フランドール4



4スレ目 >>24


フランドールへ
全てを壊すというのなら、俺のこの、あなたに対する愛しさを、綺麗に壊してみせてみろ。


4スレ目 >>174


俺は今フランドールと遊んでいる。
内容は「毛玉の毛を全て抜く」という相変わらず意味の解らないものだった。
他人から見れば馬鹿らしい事を、俺と彼女は本気で楽しんでいた。

「なぁ、フラン。俺お前のこと好きだ」
「んー、私も好きだよ?」
「いや、普通の好きとは違ってな……」
「違うの?……よく解らないな」

背に居るフランの顔は見えないが、どうも意味は解っていないようだった。
何気なく勇気を出した告白だったのだが、少し不満な俺は乱暴に毛玉をブチブチと引き抜いていく。

「――ねぇ、やっぱりおままごとしようか」
「ままごと?」
「うん、私がお母さんで、○○がお父さん」
「……いいよ」


「お帰りなさい、お父さん」
「あ、帰るところなんだ。えーと……ただいま、お母さん」
「愛しています」
「待て待て!展開が速い!」

そう言って、フランが俺を押し倒した。流石に吸血鬼だけに力は強く簡単に倒されてしまう。
見上げる彼女の顔は笑っていて、だんだんと近づいてきた。
察して、そのままキスしてやる。長い間、子供のように唇をくっつけているだけだった。

「……夫婦ならこういうことしてもいいんだよね?」
「そうだな」
「………」
「愛しています、お母さん」
「……ん」

彼女の唇を塞ぐ。フランの手が後ろに回って、離れる気も無いのに離れられなくなる。
今、俺が壊れるまで終わる事の無い“おままごと”が始まった。



――そんな事を妄想してにやける俺が紅魔の地下で死んでますよ〓■●


4スレ目 >>671


「壊されてもいい。俺はただ、おまえのそばに居たいんだ」→フラン


4スレ目 >>789


フランの部屋に迷い込んで仲良く遊んでたら食事を運んできた
メイド長がびっくりして血入りスープをダイナミックにこぼしちゃって
少年ずぶぬれ、折角だからそのまま舐め取る妹様
などという光景を幻視した

「フランちゃん、くすぐったいよぉ」
「だってこれ私の御飯だもん」
ぴちゃぴちゃ



4スレ目 >>944


【此処が我等の】東方キャラとイチャつくスレ【幻想郷】


場違いだけど、折角なのでごっこしてみた。イチャついてる…筈



「外界産は珍しいから」、という単純な理由で紅魔館に連れてこられた俺。
なんだかお気に召されたのか、妹様直々に遊び相手をしてくれ、ということになった。
何でも俺と同様外界から流れてきた雑誌に載っていた「プロレス」に興味を持たれたらしく、
その相手をして欲しい、と言われたのだ。嬉しそうな顔で俺の身体に組み付いてくる妹様。
ほのかに香る乳臭さとかぷにぷにとした肌の感触とか、それだけでもう俺鼻血噴出モノですよ。
しかも見た目幼女とくんずほぐれつの激しい運動ですようはうはは…



えぇ最初の内はそう思えました。しかし吸血鬼ってやっぱり基礎能力が人間とは桁違いなんですね。
腕ひしぎをキメられると肘から先が有り得ない方向にひん曲げられ
四の字固めをされたら脚が付け根からもぎ取られ
裸締めされると首が180°回転し
おまけで電気あんまなんてしてきた時には俺の漢の象徴が……
しかもその度に図書館に運び込まれる→パチュリー様が回復させてくれる
→また妹様の部屋へ…という無限ループが成立。ここには人権ってないんですか?
そして今も帰ってきた目の前には嬉しそうな表情の妹様が…たすけてえーりん。
あー、満面の笑みを浮かべた妹様の手がこちらに……


5スレ目 >>179


初投稿です。
フランドールのつもり。
あまり甘くないかも。
「こんなのフランじゃねえっ!」っと思ったら文才の無さということでご勘弁を。

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「ごめん、待った?」
「いや、今来たところ」

毎日繰り返される会話。
日が完全に沈みきった頃、紅魔館を見下ろす丘の上で。

「えへへ~」
「まったく、フランは甘えん坊だな」

夜の帳とともに訪れる、俺とフランとの忍び逢い。
抱きついた彼女の、仄かな香りが鼻腔をくすぐる。

「腕、組んでもいい?」
「えいっ」

返事を言う前に、フランは俺の腕に抱きついていた。
腕に触れる、柔らかい肌の感触が心地よい。

――今日の彼女は積極的だった。



「ねえ、キス、しよ?」

いつもの習慣、いつもの言葉。
俺とフランのミッドナイトデートは、大体このキスから始まる。
唇同士が触れると、すぐにフランは舌を絡めてきた。
負けじと、俺も舌を絡め、フランの歯をなめる。

「んっ、んっ、んっ」

この犬歯の感触を気持ちよく感じるのだから、俺もフランに首ったけなんだろう。



「ねえ、しよ?」

唐突にフランが言った。
まさか。
確かに今日のフランは激しかった。
弾幕の代わりに投げキッスなレーヴァテインも、もらった。
フォーオブアカインドで前後左右にフランが抱きついてきたりもした。
だが。

「ねえ、しよってば!」

こんな言葉が出てくるとは思いもしなかった。

「む~、もういい! 実力行使!」

あまりの事態に呆けている俺を、フランは草むらに押し倒した。

そして、

(以下、X行にわたり、検閲されました)



「なあ?」
「なに?」

満月が中空に昇る頃、俺とフランは元の場所で寄り添って座っていた。
吹き抜ける初夏の風が、やさしく俺たちを撫でていく。

「どうしてこんなことを?」
「えっとね、今日の昼間なんだけど」

~~~ここからフランの回想~~~

私とお姉さまは、部屋で3時の紅茶を楽しんでいたの。

「ねえ、お姉様?」
「何、フランドール?」
「お姉様、彼氏っているの?」

お姉様の口から琥珀色の霧が噴き出した。

「な、な、なんでそんなことを?」
「うーん、なんとなく、かな。で?」
「い、い、いるわよ。
 彼氏の100人や200人くらい、両手の指で数えられるほどいるわよ」

うろたえながらも、お姉さまは返事を返してくれた。
あ、咲夜が後ろで笑ってる。

「ねえ、お姉様。恋ってどんな感じ?」
「こ、恋!? えっと、そうねえ、うーんと、
 言うなれば、そう、口では表せない、なんと言うか、
 そう、甘い、甘美な感じよ、すごく、とっても」

~~~ここまで~~~

「と言うことがあって」 

フランは満面の笑顔で話してくれた。

「それって、レミリアのはったりじゃないのか?」
「うん、私もそう思う」

「じゃあなん」
で、と言おうとした俺の唇を、フランは指でやさしくふさいだ。
そのまま立ち上がり、紅魔館の方へ歩いていく。

「だって」
「私の能力はありとあらゆるものを破壊する程度の能力だから」
「お姉様のプライドもズタズタに破壊してあげるの」

そう言って振り返った彼女の笑顔は、
いつもと同じ笑顔のはずなのに、
なぜかとても凄絶に見えた。





「あ、明日お姉さまに紹介するから」
「え、マジ?」
「大丈夫、ちゃんと守ってあげるから。
 愛してるわ、ダーリン」
チュッ


5スレ目>>330


フランちゃんが俺のシャツにマジックで「S」って書いた
何かと思って見たらフランちゃんの服に「N」って書いてあった
「じしゃくー♪」って抱きついてきた離れなかった


5スレ目>>502


昨日見た夢で誰かが、イチャイチャしてたので一部始終を書いてみる



フラン「実は私、男の人からは直接血を吸ったことがないの」
〇〇「どうして ?」
フラン「だって、初めては好きな人って……〇〇って決めてたから」
〇〇「そうなんだ(……あれ ?もしかして吸われる ?)」
フラン「いい……よね ?」
カプっ(はぁと

〇〇「あふん」


フラン「……甘い。もしかして〇〇も初めてだったの ? ―― うれしい !」


夢の中だったので、フランの性格や口調が違う等のツッコミは却下な


5スレ目>>696


今日もフランちゃんとウフフなことをしに紅魔館までやって来た。
遊び終わって帰ろうとしたら、俺のバイクが原型を留めないくらいボロボロに壊されていた。
あぁ愛しのセリーヌ号。あまりにも溺愛し過ぎて、きっとフランちゃんが嫉妬しちゃったんだろうなぁ…

フラン「ごめんね……私の能力は"ありとあらゆるものを破壊する程度の能力"だから……」
オレ「大丈夫、次は絶対に壊れないバイクで来るよ」
フラン「ごめん…なさい……グスン」
それからフランちゃんが泣き止むまでウフフなことをして慰めてあげた。



~翌日~

トタトタトタトタ...
さわやかな排気音が、澄み切った青空にこだまする。
昨日の反省を踏まえて、今日は別のバイクでフランちゃんに会いに来た。

フラン「なにそのヘンテコな乗り物」
俺「こいつは外の世界で"滅多なことでは壊れない"って定評のある乗り物なんだ」
フラン「……壊れないの?」

そう言うと、萃夢想のレミリアよろしく後ろ手で両指を絡ませながら物珍しそうにバイクを眺めるフランちゃん。



そう、このバイクがあったからこそ、私は最愛の人と結ばれたのです。
今では荷台の座布団が彼女の指定席。今日もこのバイクでデートに向かいます。


キミを乗せてどこまでも行こう...



ホ○ダ スーパーカブ

週末はお近くの代理店まで。試乗車を用意してお待ちしています。


6スレ目>>313


キンと冷えた空気が無音の夜を凍らせる。
 民家から火も消えた月の無い夜空の下、飛べない俺はひたすらに歩いていた。

「こんな夜でも外に居るの?」

 澄んだ冬の空気によく通る声でさえ、まるで聞こえないかのように返事は無い。
 眼前に佇む人影はきっちりとしたマフラーに顔を半分隠しながら、瞳だけで門の先を示す。
 どうもこの門番は好きになれなかった。
 こういうときだけは、何でも見通しているかのように騒ぎを起こさず通してくれる。
 そんな、上から見られているような感覚もこの時だけは感謝するしかあるまい。

「なかなか似合ってるよ、その完璧過ぎる手編みのマフラー」
「……ありがと」

 門を抜けながらに口にすると、紅魔の門番はマフラーに隠れた顔を少しだけ緩めた。
 規則正しい網目に赤と緑のクリスマスカラーに独特のセンスを感じるへんてこな龍の模様。
 こんなマフラーを門番に送るとしたら、恐らくは只一人だろう。
 幸せそうに目を閉じている門番へ笑みを浮べながら、門の中へと進んでいく。

 目の前に広がる紅の館。夜明け近くとあってか、普段と変わらぬのか、灯りというものは存在しない。
 さぁ、愛しきお姫様の為に、紅を纏いて降り立とう。

 扉を開く、怪訝な顔をするメイド長に曖昧な笑みを浮べて通り過ぎる。
 どうも、そう簡単には通してはくれないようだが。

「何の用かしら?」
「この格好を見れば解るだろ……」

 ナイフの腹で頬をペチペチと叩かれながらに答える。
 メイド長は下から上へと俺を観察すると、深い溜息を吐いて背を向けた。

「そのペンダント、似合ってるよ。随分慕われてるんだね」
「ありがと、貴方も真っ赤な衣装が滑稽よ」
「全然褒めてないな、さんきゅ」

 長い永い廊下を進んでいく。
 そのうちに、見覚えのある顔と擦れ違った。

「あら、サンタクロースがこんな時間に珍しいわね。プレゼントでもくれるのかしら」
「こんな時間まで起きてる吸血鬼には、スマイルだけで充分だろう?」

 何度も見た顔となれば、自然とこのような口もでる。当然、メイド長の居ない場所限定だが。
 あの子にはあげるくせにという皮肉を純粋だからと跳ね除けて微笑んでやる。

「それなら、スマイルを二億ほど。無料なんでしょう?」
「まいったな、日が暮れちまう」
「えぇ、だから私の分のそれは妹にあげて頂戴」
「……それならば、よろこんで。二億といわず無限にも」

 紅魔の主が高く笑って道を譲る。
 少しだけ渇いたそれを見ながら、ポケットから取り出した箱を一つ投げ渡す。

「……いいの?」
「サンタだからね。他の子にもあげてるから、お嬢様にあげないわけにもいかないだろう」

 一番似合うしね、と溢すと同時に鼻で笑われた。
 僅かに沸いた後悔も、小さく聞こえたありがとうに掻き消される。
 先に進んで真っ赤な扉の前に出た。
 帽子を整えて白髭をつける。笑顔は、既に完璧のものが自然と浮べられている。


「メリー・クリスマス、フラン!」



7スレ目>>138




 ――――丁度あの日も、こんな重たい雨が降っていた。

















「うー……退屈」


 しとしとと雨が窓の外で降り注いでいる。
 そんな単調な繰り返しの風景にも見飽きて、私は己の体をベッドに投げ出した。
 ぼふっ、という柔らかい着地音と共に訪れる、一種の安心感に身を任せる。

「誰か来てくれないかなぁ……」

 そんな事は到底無理な話だと自身の中でも分かりきっているのだが、何となく今は口に出してみたくなった。


「……ああ」

 何故そういう思考に至ったのか。
 理由を考えてみて、ちょっと納得する。
 思い出すまでに掛かった時間は、私の中で日に日に長くなっていた。

 ゴロリと体の向きを変えて、再び窓の方に目をやる。
 そこに映るのは、先ほどと同じ灰色の空と降り頻る雨。

 そして心に映るのは、今ではもう遠いあの日々の面影。





























「フランドール様、お目覚めですか?」


 不意に聞こえてきた声に勢い良く体を起こした。
 目線の先では、いつもの様にトレイを手に持った○○が優しく微笑みかけている。

「申し訳ありません、ドアが開いていましたので……」



 ――――ああ、そっか。これは夢なんだ。

 だって彼の声は、もう聞こえる筈が無い。
 例え天と地がひっくり返っても、日が西から上る事があろうとも、それだけは絶対に無いとフランドールは痛いほどに分かっていた。


「今日はお早いですね」

 でも、折角なら楽しまないと損だ。
 私はそう自己完結し、またいつものようにトレイの紅茶をベッドの脇に置く彼を見る。

「マスターからの伝言で、『今日はパーティーだからフランもいらっしゃい』だそうです」
「えー……私はいいってお姉さまに言っといて」
「畏まりました。
 ですが、フランドール様も一度は出られては如何でしょう? 私からもお勧めいたしますが」
「いいったらいいの。あと○○、私の前ではそんな丁寧な言葉遣いじゃなくても良いって前言ったでしょ?」
「マスターの妹様で在られる貴方ですから、紅魔に仕える者としてはこれが適切なのですよ」
「もー!身分とかそんなんじゃなくて、私が良いって言ってるの!」

 頬を膨らませてそっぽを向き、怒ったような仕草をしてみる。
 こうなると○○は決まって「困りましたな」と苦笑を浮かべたものだ。

 私の予想通り、彼は苦笑を浮かべて頭を掻いた。
 そんな当たり前だった遣り取りがとても懐かしく思えて、

 ――――ちょっとだけ、悲しかった。
































「あ……」

 急に世界が移り変わる。
 視界にあるのはいつも見上げている紅い天井。

「んぅ……」

 眠っていた事を思い出し、私は目を擦りながら上半身を起こした。

「――――あれ?」

 しかし、ベッドの脇には紅茶が置かれている。
 どうしてだろう、と手を伸ばして、隣にある紙に気付いた。

『眠っておられましたので置いておきます  十六夜』


「なーんだ……」

 紙を伏せて、まだ幾分温かさの残っている紅茶を手に取る。
 夢の続きを見ているかのように、その味だけは彼のハーブティーのものだった。

「最初は苦手だったんだよねー……この味」




 結局○○が遺していったのは、たくさんの思い出とちっちゃなハーブ園だけ。

 趣味でして、と言って美鈴の管理する花畑の一角を借りて彼が始めたハーブの栽培。
 そこで得られた恩恵から作られた紅茶の味は、今でこそ飲める様になったものの当時はあまり好みで無かった。

 当然花の世話をしていれば○○と美鈴の二人は良く出会うわけで、仲もそれなりに良かった。
 そんな二人の間柄に、年甲斐も無く嫉妬なんてしてたっけ。

「……見た目の割りに年甲斐も無く、なんて不相応かな」

 きっと彼ならそう言った。
 まだまだフランドール様はお若いですよ、なんて言いながら。

「あら、雨も上がったみたい」

 いつの間にか空に浮かぶ雲の切れ間から夕日が顔を覗かせていた。


 もう彼が居なくなってどれだけなんて事は覚えていない。
 例え思いが強くても、どれだけ思い出の色が濃くても、それは時間と共に磨耗していく。

 きっと私は、これからも○○の事を忘れている時間が増えていくのだろう。
 彼と交わした言葉さえ思い出せなくなる日が来てしまうのだろう。


 でも。

 今はまだ消えていない。
 そう簡単に消したりはしない。
 彼との掛け替えの無かった日々は、絶対に忘れてしまいたくなど無いのだから。



「もう冷めちゃったなー」

 掌のカップに目を落とす。
 残り少なくなった紅茶の水面に、自分の顔がゆらゆらと浮かんでいた。

 あの頃よりか少しは大人びて見えるだろうか。
 ○○にも見せてあげたいなー、なんて考えが頭に浮かんですぐに消えた。

 さて最後の一口、とばかりに紅茶を口に流し込む。


 ――――おいしいよ、○○。


 この香りも、彼の元に届いているだろうか。

 もうすっかり雨の上がった空に、○○にも見えるかな、なんてカップを翳してみた。












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 あ咎き


 主観的に書くのは簡単だがクオリティを上げ難い。
 客観的に書くのは難しいがクオリティは上げ易い。
 自分はそんな性格なんだと、これまで作品を書いてきてふと思った。

 これでやっと書きかけのものを全て消化できたー!
 でも次から次へと妄想が広がっていくので、大変やら嬉しいやら。


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7スレ目>>256


 あーめあーめふーれふーれかーあさーんがー。なんとかおむかえうーれしーいなー。

「うむ、見事に忘れてるな。最後に聞いたの何年前だろう」

 ざーざー降りな雨の中、街灯便りに傘を差して帰路を歩いていた。
 いつものバイトの帰り道だ。今日はいつもなら夕方で俺はシフトが代わり終わるはずなのだが、丁度次のシフトの人員が風邪で休むことになり俺が続けて出る羽目になった。
 面倒では在るが、先日の痛手を取り戻せるならと自分に渇を打って仕事をした。まぁ今日はそこまで客足も多くなかったし、少しは楽だったな。
 事前に天気予報を見て傘を持ってきたのは正解だった。夕方から降るとは言いつつも空は晴れてたから迷ったんだけどね。
 何となく勝った気分で歩いていると、視界に懐かしい公園の入り口が目に入った。
 今歌っていた歌同様、もう何年も入ることをしていない公園。遊具があるのは見える範囲でだけだが、その奥は芝生などを仕切られて木が植えられていたはずのそこそこ大
きい公園だったはず。
 気づけば、何かに惹かれるように足を進めていた。

「なっつかしいなぁ」

 公園に設置された街灯にぼやーっと照らされた遊具たちが怪しく映る。ブランコにジャングルジム、あの円形状に組まれた名前の知らないものなど、代わったところは一つ
もない。
 あそこの滑り台だって、よく遊んだもん……

「……んん?」

 雨と宵闇のせいでよく見えなかったが、今滑り台の下辺りに、何か見えた。
 はてはて、こんな雨の日のこんな時間に奇怪な。
 気になって近づいてみると、確かにそこには何かいた。

「…………………」

 赤い靴履いた女の子。ではなく、金の髪を片サイドに結い上げ、赤い服と赤いスカートの女の子が、滑り台の下でうずくまっていた。

「どうしたの?」

 できるだけ視線の高さを合わせるべく膝を折り、背を丸めて声をかける。
 女の子は軽くびくっ、と反応してから、ゆっくりと顔をあげた。
 その瞳は、紅い。

「……………誰?」

 弱弱しく、かつどこか警戒を含んだ声で聞いてきた。目も軽く細められている。

「ただの通りすがりのお兄さんデス。君は?」
「………………」

 ハッハッハと爽やかな好青年を演出しつつ聞いても女の子は警戒を解かずにだんまりだった。
 うーむ、どことなく外人さんっぽいような感じはするけど、今日本語話してたから言葉がわからないってことはないと思うんだけどなぁ。

「こんな時間にこんなところで、家の人が心配してるよ?」
「…………ぃ……」

 ん? 今何か……

「雨が降ってて……帰れなぃ……」

 女の子はまた顔を俯かせ、消え入るような声で呟いた。
 あー、確かになぁ。今結構雨脚は強い。わんぱくな小僧ならともかく、この子みたいな女の子に雨の中走って帰れってのは酷な話だろう。

「ふむ……」

 わんぱくな小僧なら……
 雨はざーざー。傘がなければ数秒で全身びしょぬれ。俺の家まで走って10分。季節は春だがまだ寒い。幸いなことに携帯は家に忘れてぬれる心配なし。
 =若いわが身に望みを託す。

「これ、使っていいよ」
「……え?」

 傘を指差してそういうと、女の子はキョトンとした顔で反応した。その隙を狙って女の子に傘を手渡した。大きさは大人サイズだから、この子がまず濡れることはなくなるだろう。

「……いらな――」
「返却不可。俺もうずぶ濡れだしね、もう傘があろうがなかろうが関係なくちゃったし」

 軽く離れて全身水浸しっぷりを披露する。もう下着までぐっちょりである。

「てわけで、早く帰るんだよ。じゃ!」
「あっ、ちょ……」

 これ以上ごねられる前に立ち去ることにする。シュタッと手を振って一目散にダッシュ。俺こそ早く帰って風呂に入らねば風邪を引いてしまう。

「……なーんか忘れてるような……」

 ――暗がりの中、女の子の背中から生えていた何かを、俺はあまり覚えていなかった。





「ぶぇーくっしょいっっっ!!」

 盛大なくしゃみを一つ、夜の街並の近所迷惑関係なしにぶっ放した。唾が地面に散ったのは見逃してくれ。
 昨日のあれ以降、熱などは出なかったが軽い寒気を覚える程度の風邪を引いてしまった。今日もバイトな一日、バイト中は衛生管理上マスクをつけてまた夜まで頑張りました。
「ふぅ~……ん?」

 昨日とは違い空は晴天。といっても夜だが。そんな中、昨日同様公園が目に入った。
 ……昨日の子、ちゃんと帰れたかな……。
 そのことが気にかかり、またもや足は公園へと向いていた。
 月が出ているため昨日よりかは明るさは増している。遊具の形もはっきり見える。

「あっ」
「お」

 そして、昨日の女の子の姿も、はっきりと、見えた。

「や、こんばんわ。昨日はちゃんと帰れた?」
「う、うん」

 昨日と全く同じ格好でその女の子はいた。ただ、

「フラン、こいつ?」
「うん」

 今日は一人ではなかった。
 昨日の女の子ともう二人。一人は今フランと呼ばれた子とはあまり歳が離れていなさそうな女の子。紅に近い色をベースとした服に紫とも水色とも取れる髪。瞳は、紅。
 もう一人は、大体俺と同い年くらいの子。銀の髪に何やらメイドさんがつけるようなヘッドセットをつけている。ロングコートを着ているので服装はわからないが、もしか
してメイド服でも着てるんじゃなかろうか。それもロングコートの下からスカートが見えないから、結構ミニスカな。

「あなた、名前は?」
「え? あー、○○、だけど?」
「そう、○○。昨日はフランが世話になったみたいね、礼を言うわ」

 すんげぇ偉そうな態度でそういう女の子。恐らくどこぞの貴族のご令嬢か何かなんだろう。今の日本はそういう存在がいるのかどうかは疑問だが。

「………………」

 女の子の隣にフランちゃん(?)が並び、何かを差し出してきた。

「……昨日は、ありがとう」

 軽く頬を赤らめながら差し出すそれを俺は受け取った。
 昨日俺がこの子に渡した傘だった。

「こりゃまた律儀にどうも。……えーと、フランちゃん?」

 未だに名前を聞いてないのを思い出し、もう一人の女の子(小さいほう)が言っていた名前で呼んだ。どうやら合っているようで、コクコクと頷いてくれた。

「私はフランドール・スカーレット。こっちは……」
「レミリア・スカーレット。フランの姉よ。で、この子が十六夜咲夜」

 紹介された十六夜咲夜さん――おそらくメイド?な人――が軽く頭を下げたのを見て、俺も反射的に軽く頭を下げた。
 まぁ外見からしてもそうだが、名前が日本人じゃなかったか。十六夜さんは姿はともかく――銀髪とかそもそも普通できる髪色ではない――名前は日本人だけど。んーむ、またもや不思議な関係な人たちだ。
 ……とりあえず、だ。

「今まで気になって気になって踊りたくなってたことを聞いてもいいかなレミリアちゃん」
「……踊りたければ勝手に踊りなさい。あとちゃん付けは止めろ。レミリアでいいわ」
「はいすいません」

 レミリアちゃ……げふん、レミリアから発せられた異常なまでの嫌なオーラに即効謝る俺。怖いよれみりゃれみりゃ怖いよ。

「で、なに?」
「……レミリアとフランちゃんの背中のものはまさかと思うけど本物でせうか」

 ―――スカーレット姉妹の背中から生えているもの。それはまごうことなき―――翼。人間が空に憧れながらも、生えていないが故に機械で実現させた空の象徴。
 ただフランちゃんのあれは翼と表現していいのか疑問に思うところでは在るが。

「ふふ、どうかしらね?」

 パタパタ、バッサバッサ

「めがっさ動いてますね。やべーくらい動いてますね。機械仕掛け?」

 俺めがっさ動揺。背中に回りこんで色々見てみるが、仕掛けらしきものはない。おまけに機械独特の駆動音のようなものもない。……つまり、

「本物!?」
「えぇ。私たちは、ヴァンパイアだもの」
「私は違いますわ」

 驚愕の事実!吸血鬼は存在した!

「うへぇ、まじでかぁ」
「……あら、あっさり信じたわね」

 俺の言葉にレミリアが目をぱちくりさせる。

「だって、別に嘘ついてもそっちに得はないっしょ?」
「あるわよ? 貴方の間抜けな顔が見れる」
「うわーん、フランちゃーんお姉さんがいじめるよー」

 泣きまねをしながらフランちゃんに抱きつこうとした。
 だが、俺は本能でそれを踏みとどまった。

「いい勘ね。もう一歩踏み込んだらお嬢様たちの食事になれたのに」

 ―――いつの間にか、俺の首筋に冷たい感触を持った刃物がつきつけられていた。

 いつ動いたのか、十六夜さんが俺とフランちゃんの間に入り込み、その右手に持つナイフを俺の首筋に当てていたのだ。確かに、もう5ナノメートル踏み込めば俺の首から赤い噴水が出たことだろう。
 ていうか、あれですか? 食事ってやっぱりまっかっかーな赤血球やらですか?

「お嬢様や妹様に触れないこと」
「い、いえすぼす」
「よろしい」

 俺の返事にそう答え、十六夜さんはまた一瞬でレミリアの元へ戻った。なんつー速さ、メイドってすごい!

「……私はよかったのに」
「……え?」

 フランちゃんの呟きが俺の耳に入り、数舜の後に声を上げた。
 当のフランちゃんは少し頬を紅潮させて俺を見ていた。
 ―――フランちゃんは、見た目子供とはいえかなりの美少女だ。おまけにその軽く恥じらった表情とかあいまって、なんつーか、かなりやばい。
 俺の顔が熱を持つのを感じる。子供相手とかそういうの関係なしに、なんかこう、高揚感みたいなのがある。……いやね、今まで一度たりとも告白とかされたことのない俺
ですから、そんな発言されたら嬉しくもなりますよ旦那。
 辺りに微妙な空気が流れる。主に俺とフランちゃんの間に、だが。

「っくしゅんっ!!」

 突然俺の盛大なくしゃみが暴発。咄嗟に手で口を押さえたのでフランちゃんたちに被害が及ぶことは無かった。

「風邪?」
「ずず……ちょっとだけかるーく、ね」

 レミリアの問いに苦笑を浮かべて答えた。鼻をすする音は見逃して。
 だがおかげで今の微妙な空気は霧散したようだ。たまにはくしゃみも役に立つ。

「それじゃ、これ以上冷やしたら悪いわ。フランの恩人をこれ以上苦しませるわけにもいかないし、そろそろ帰るわよ」
「そうですね」

 レミリアの提案に十六夜さんが即賛同した。

「えーーー。私もっと○○と話したいー」

 逆にフランちゃんが反抗した。……にやけてないよ?にやけてないですよ?

「駄目よ。本来、今日は私たちが来ていい日ではなかったの。それを無理言ってこさせてもらったんだから」
「でも……」

 何やら深い事情のようなものが垣間見えるが、俺にはこの3人の内情は分からない。渋るフランちゃんをレミリアが更になだめる。

「それに……人間は脆いの。もしこれ以上○○が風邪をこじらせて、「壊れて」もいいの?」
「っ!? ……それは、嫌」

 レミリアの一言が止めとなったか、フランちゃんが折れた。てか壊れるって言い方もなんか妙な言い回しかただなぁ。

「大丈夫、どうせすぐに会えるわ。―――向こうでね」

 くすりと、どこか企みのようなものを含んだ笑みを見せるレミリア。俺にはその意味が分からなかったが、フランちゃんと十六夜さんは少し驚いた顔をしていた。

「えーと、それはどういう……」
「そういう『運命』って話よ。時期がくれば、嫌でも分かるわ」

 なんだかよくわからないまま有耶無耶にされてしまった。むぅ。

「○○……早く来てよね!」
「よくわからんが……うん、まぁ頑張る」

 笑って返すと、フランちゃんも満面の笑みで返してくれた。
 ふと見ると、レミリアと十六夜さんの姿が無かった。さすが吸血鬼とメイドだ。

「それじゃぁ……」
「うん、まt―――!?」

 一歩下がったフランちゃんに手を振ろうとして―――不意をつかれた。
 下がった足でそのまま地面をけり、こっちに飛んできた。そのまま……俺の頬に、自身の唇を当てた。

「えへへ、またね!」

 呆然とする俺を余所に、フランちゃんは嬉恥ずかしそうな顔をして、文字通り飛び去った。一瞬で見えなくなる背中を目で追いながら、頬に残る柔らかい感触の余韻に浸っていた。

「…………あはははは」

 だから、にやけてないですよ?


最終更新:2010年06月03日 23:31