フランドール6



うpろだ538


 それは特に変わった事も無い、いつも通りの朝の事でした。

「○○、いるー?」

 コンコンと控えめの二回のノックの後の呼びかけ。
 そしてドアを少しだけ開けてそこから一人の少女が顔をひょっこりと覗かせます。

「はい、こちらに」

 少女の呼びかけに応えるため、○○と呼ばれた男はゆっくりと体を起こしながら言いました。
 ○○がいる事を確認すると少女は部屋の中に入ってきました。
 少女の手には何か大きな袋が握られています。

「お早うございます、フランドール様。
 ――ところでそれは?」
「うん、おはよー。
 えーっと、これはね」

 フランドールと呼ばれた少女はいそいそと袋を開いて中から何かを取り出します。

「ほぉ、これはまた……」
「えへへー、凄いでしょ?」

 フランドールが持っていた袋の中身はこれでもかと言わんばかりの量のハーブでした。
 ジャスミン、マロウにラベンダー等々、どれもこれも色取り取りの花をつけています。
 その爽やかな香りが空気に乗って○○の元にも届いてきました。

「ああ、とても良い出来栄えです。
 ――――そうか、もうそんな季節なのですね」
「うん、そんなだよ」

 歳月の経過を感慨深く感じながら、○○は一つ大きな息を漏らします。
 そんな○○の姿を見て、フランドールはくすりと笑って続けました。

「また、ハーブティ作るね」
「有り難うございます。楽しみにしていますよ」
「うん!

 ――あと、お茶請けのお菓子も作るからね!」



 先程までの和やかな雰囲気は一転。
 世界が凍りました。「キング・クリムゾンッ!」という声まで聴こえてきそうです。
 そして○○の時が再び動き出すまでに数秒掛かりました。



「――――いやぁフランは本当に料理の腕前の上達に余念がありませんねいや全く関心関心でも何と言いますか少しぐらい体を休めても良いんじゃないかと私は思うわけなんですけども」
「作るからね!」
「…………健闘を祈ります」

 健闘するのが誰になるのかはあくまで不明です。
 明らかに取り繕った笑みを顔に貼り付けながら、○○は心の中で涙を流しました。大洪水でした。
 そして今度は食べられるものが出てきますようにと守矢の神に祈りました。

 必ずしも愛の大きさと料理の腕前は比例の関係には無いということです。レ・ミゼラブル。
 一方そんな事に微塵も気付かないフランドールはいつもでもいい笑顔でした。





 やがて朝食が運ばれてきて、○○は遅めのそれを恙無く終えました。
 カチャカチャと手際よく食器を片付けるメイド(妖精)の傍らで、フランドールは○○に問い掛けます。

「ねね、○○」
「はい、何でしょう?」

 ○○は食後のお茶を飲んでいましたが、フランドールの言葉に応じ彼女の方向に向き直ります。

「えっと、その」

 何を聞くのかと思いきや、フランドールは何やら指と指を突き合わせながら俯いてしまいます。
 聞き難い事なのでしょうか、なかなか言い出すことが出来ません。
 それでも○○は決して催促などしたりしませんでした。
 ただ内容は何だろうな、と何となく考えながら手元のお茶を飲みながらフランドールの言葉を待ちます。
 因みにそのフランドールのむにゃむにゃ言いながらまごついている姿はこの上ないほど可愛かったのですがとりあえず閑話休題。

 やがて○○のお茶も無くなりかけ、彼が再びカップを口につけて最後の一口を流し込んだその時でした。



「○○って、ロリコンなの?」

 すかさず噴出。一瞬だけ虹が見えました。
 純粋故にあまりにもストレート過ぎたフランドールの問い掛けは、正確無比の剛速球で○○の心の余裕のストライクゾーンに突き刺さりそれを粉々に破壊しました。ナイスピッチング。
 それでも咄嗟に顔の向きを変え、主人に粗相をしなかったのはさすが執事ともいえます。
 そしてその強かな執事っぷりでまるで何事も無かったかのようにフランドールに聞き返しました。

「あの、フランドール様、そのお話はどちらで?」
「魔理沙から聞いた」

 突拍子も無い噂の出処を知り、あんの白黒魔女は……と○○は怒り心頭でした。
 しかし表情は依然としてクールなまま。大した忍耐力です。

 一方でこんな事態が身近で起こっていても、メイドは黙々と食器の片付けをしています。
 と、思ったら小刻みに肩が震えていました。どうやら笑いを必死に噛み殺しているようです。
 そして耐え切れなくなりそうなのか、すかさずトレーを引っつかんで遁走。
 あくまでも失礼の無いように素早く部屋から消えてしまいました。でも廊下からは少しだけ笑い声が漏れちゃってました。

「フランドール様、かの御老婦の言葉は決して鵜呑みにされてはいけません。
 イッツァアメリカンジョォクです」
「アメリカン?」

 多少言葉がおかしくなっています。いつもより些か国際的です。
 どうやら動揺は隠し切れてはいないようでした。
 その後も○○は何とか説得に説得を重ね、何とか『自分はロリコンではなく、好きになった方が偶然幼かっただけ』とまでに改める事が出来ました。
 何と言うか最早手遅れにも感じられます。合掌。

 結局話を終える頃には随分な時間が経っていて、フランドールも部屋を去りました。
















「ふう……」

 フランがいなくなった後、再び静寂に包まれた部屋の中で一息つく。
 こんなにたくさん話をしたのは久しぶりである。お陰で少し疲れてしまった。
 ふと考えてみると、一日の間で眠っている時間が徐々に増えている事を自覚した。

 自分では気が付かなかったものだが、やはり体が休息を求めているのだろう。
 そうして短くなっていく時間の中でフランと会うのも今まで通り、というのは難しい。

 自分が寝たきりになってしまってからというもの、フランは私の身を案じて朝に訪ねるようになった。
 本来夜を生きる者の筈なのに多少無理を重ねている。
 本当なら何か悪い事が起きてしまう前にやめてもらうべきなのだろう。

 それでもフランがそうして訪ねてくれる事が、私を心配してくれる事が嬉しくてついつい甘えてしまう。
 フランと一緒にいられる時間を求めて、いつも言い出す事を躊躇ってしまう。


「やれやれ」

 全く、本来仕えるべきである方に頼って負担を掛けさせてしまうとは。
 執事失格もいいとこである。更に悪いなら人間失格。
 が、実際どうにもならないのだから厄介なのである。

「……ふぅ」

 これで何回目だろうか。
 どうにも最近、溜息が多くて困る。
 いや、何かに支障をきたす事は無いのだが、精神的な面で何か蓄積していくものを感じてしまう。

「考えるまでも、ないかな」

 あと、増えたものでいうなら独り言も。
 やはり一人でいる時間が長くなったからだろうか。
 元々他人との交流が盛んだったわけではないが、こうも部屋に篭っていては自分以外に話し相手はいない。

 でもそれは仕方が無い。いまさら愚痴を並べたところでどうなる訳でもない。
 老いとはそういうものだ。そう思うことにしている。


「でもここの住人は、規格外だよなぁ……」

 様々な種族が入り乱れて共存しているこの世界では、足並みを揃えて生きていく人物は決して多くない。というかいないに等しい。
 事実、自分の周りで歩幅の等しい人間なんてあのメイド長ぐらいなものか。
 彼女ももうすっかり御隠居である筈なのに、私と違ってまだまだその精力は衰えていない。
 まだ現役のメイドたちに混ざって指示を飛ばしている。大したものだ。


 何にせよ他の全員は、自分のよりずっと、ずぅっと先を歩いていく。
 マスターも、パチュリー様も、司書さんも、美鈴さんも、そしてフランもみんな。

 彼女らはそういった人生の中で何度か違う時を生きる者との別れを経験してきていて、きっとこれからも続けていくのだろう。
 そして自分はその一部。ほんのひと時の旅の道連れ。
 だがもう寄り添って歩いていける場所は目の前に迫っている。
 そこに辿り着いてしまったなら、もう後任にバトンタッチだ。


 ――――一体、どれだけの数の出会いと別れを繰り返してきたのか。

 長い時を生きてきたからといってそういった事に無頓着だとは思わない。きっとそういう次元の話じゃない。
 別れは、いつだって悲しい。

 だからと言って彼女たちは出会いを拒むことはしない。今自分がここにいることがその証拠。
 必ず訪れてしまう別れを誰よりも多く味わって、そしてそれがどれだけ心を痛めるのか分かっていて尚、また新しい絆を求める。
 何故か。



 それは、きっと、ひとりは寂しいから。


 人は一人では生きられない。
 それは金銭面の問題とかそういう話ではなく、心の豊かさを言うのだろう。
 他人を排斥してまで自分の殻に篭っているだけでは生きていても虚しいだけだ。
 今この年になって、漸くそれが分かった気がする。


「どんな人が…くるんだろうなぁ」

 この館に招き入れられ、マスターたちに仕えるその人は。
 マスターの意地悪に耐えられ得る人物だろうか。フランの我が儘に付いていける人物だろうか。


 ――そして、彼女たちを支えてあげられる人物なのだろうか。





「……やめた」

 考えかけて、すぐに思考を放棄する。
 その時はその時だ。自分はもうその場所にはいない。
 ならば自分はそれらしく。

 そこで頭を働かせるのは未来の彼らの役目だ。
 彼らの物語は彼ら自身の手で作り出さなければならない。


「今は自分の事だ、自分の」

 思考を切り替える。
 そうだ、フランがまた紅茶を淹れてくれると言った。それにお茶請けも。
 久しぶりのティータイムだ。正直楽しみでもあり、不安でもある。

 というか、どうして紅茶はあんなに巧く作るのに、料理はからっきしなのか。
 一度、料理の達人だとか言う白玉楼の庭師とやら稽古をつけてもらって欲しいものだ。
 でないと自分の身が危うい。
 只でさえ歳を重ねて老衰しているというのに、そこに追い討ちをかけられては堪らない。


 ――――○○、享年XX歳。死因、食中毒。

 ぬあ、報われない。想像するだけでも惨めだ。


「まあ、なるようになるかな」

 そしてなるようにしかならない。だからといって努力は惜しまない。
 これも自分がこれまで生きてきた中で学んだとも言えること。
 だとしたら今自分に出来る事は、徐々に忍び寄りつつあるこの睡魔に身を任せることぐらいだろうか。


「ふぁ……」

 大きな欠伸を一つ。
 そしてそれを合図にゆっくりと体をベッドに預ける。
 目に映るのは見飽きるほど眺めてきた部屋の天井。

 ふと自分の未来を思い描いてみる。
 若い時なら茫漠としすぎて断念していたが、今ならばある程度予想がつく。

 ……そうだな。
 今は何とか朝に起きているけど、段々昼頃しか起きられなくなって。
 で、食事も消化に良いお粥とか、そういう味気無いものばかりになって………


 次第にまどろんでいく意識の中で、そういえば昼ごはん食べてない、と密かに後悔するのだった。
















 朝です。何処からか小鳥のさえずりが聴こえてきそうなくらい清々しい朝です。
 そして部屋に響くノックの音が二つ。

「○○、いるー?」

 今日も今日とて、フランドールが少しだけドアを開けて中の様子を伺います。
 ○○の姿は確認しましたが、返事は返ってきませんでした。

「んー、まだ寝てるのかな?」

 こういうことは偶にありました。
 だから今日もじきに目を覚ますだろうと踏んでフランドールは部屋の中に入ります。
 そしてその手には紅茶と、何かクッキーめいたものが乗せられているトレーが。

 カップの中の紅茶が零れないよう、幾分慎重になりながらフランドールはトレイを運んでベッドの脇のテーブルに置きました。
 鮮やかな緋色の紅茶からは、鼻腔をくすぐる良い香りが漂っていました。

「早く起きないと冷めちゃうよー?」

 ○○の顔を覗き込みながら呼びかけます。
 その顔はいつもと変わらず、寧ろ幾分穏やかで安らかなように感じられました。
 呼吸の音も、耳を済ませれば普段通りに聞こえてきそうでした。



 少しだけ時間が経ちました。
 いつもなら朝食を摂っている筈の時間帯です。
 それでも○○は一向に起きる兆しを見せません。

「むー、寝ぼすけ」

 少しだけ非難めいた声色で、フランドールは皺の刻み込まれた○○の頬を突付きました。
 老人特有の肌の感触がフランドールの指先に伝わります。
 しかし顔の形が若干面白くなるだけで、それ以上の効果はありません。
 やがてフランドールは手を離し、手近なイスを引き寄せて座りこみました。

 ○○の目覚めを待つ以外にすることも無いので、ただ足をぶらぶらとさせています。
 以前○○から行儀が悪い、と咎められた事がありましたが、今は起きてないからいいやと足を揺らし続けます。



 いつの間にか時間は過ぎ、空は茜色に染まっていました。
 紅茶は当の昔に冷め切って、ただその水面に変わらぬ景色を写しています。

「まだ寝てるのー?」

 足を揺らすことにも飽きたフランドールは、○○の横たわるベッドに上半身を預け手をパタパタさせます。
 小さな両手がベッドに触れる度、ぽふぽふと軽い音を立てて○○の体をゆすりました。

「もうすぐ晩御飯だよー?」

 顔をベッドに埋めながら再三○○に問い掛けます。
 フランドールは、自分の入れた紅茶を○○が飲んで褒めてくれるのが大好きでした。
 そしてお茶請けのお菓子を何だか変な顔をしながらそれでも食べてくれる○○が面白くて、やっぱり大好きでした。

 だから今日もそんな○○が見たくて、フランドールは○○が起きるのを待っていました。
 いつまでも、いつまでも待っているのでした。












 いろんな人が、並んでいる。
 お姉様も、咲夜も、パチュリーも、小悪魔も、美鈴も。
 屋敷のメイドたちも総出で、列を作って並んでいる。


 そしてその視線の先には○○がいる。
 朝見たのと幾分も変わらない穏やかな顔つきで、皆の前で相変わらず横になっている。

 集団の中からは、誰かがすすり泣く声が度々聴こえた。
 見るといつも○○の身の回りの世話をしていたメイドがハンカチを顔に押し当てて体を震わせていた。
 他の方にも目を向けてみる。
 普段は威厳を湛えているお姉様も今日ばかりは何だか雰囲気が違った。

 重々しい鉛色の雲が空を覆い尽くしている。
 きっとこういうのを今にも泣き出しそうな天気というのだろう。
 嫌な空だ。





 ――――○○が、死んだ。





 理由なんて問うまでもない。誰が見ても分かる、老衰。
 ○○は天寿を全うしたんだ。

 思えば、長かったようで短かった。
 特に何の予兆も見せず、一人静かに逝ってしまった。
 でも、起こってしまえばそんなのものなのかもしれない。

 いつもと同じように朝に部屋を訪れた時には、あまりにもいつも通りで気が付かなかった。
 時間さえ経てばひょっこり起きてきそうで、そして私に笑顔を向けてくれそうで。
 またあの掛け替えの無い一日が始まるんだと思っていた。




「――――違う」

 いや、そうじゃない。

 気が付きたくなかった。認めたくなかったんだ。
 ○○の、死を。その現実を。
 これからは○○に会えないんだという急すぎた事態の発生を受け入れたくなかったんだ。


 でも、まだ完全には理解できていない。
 だって私の頬はちっとも濡れていない。あんなにも大好きだった人が死んでしまったのに全然悲しくなんてない。

 ただ胸の内に広がるのは漠然とした虚無感。
 全てのことに関して感情の触れ幅がなくなってしまったような、そんな実感。
 なんだか今目の前で起こっている事が擦りガラス越しのぼやけたものに見えた。


 これが、人の死――――?




「……では、始めるわよ」

 一体どのくらい自分が思考を巡らせていたのかすら覚えていない。
 不意にお姉さまが合図をする。
 その途端に○○の入った棺の周りを火が囲んだ。


「………」

 ごうごう、パチパチと木の爆ぜる音が耳に届く。
 あっという間に火は棺へと燃え移り、さらにその勢いを増した。
 やけに低く感じられる空の下。息苦しい雰囲気の中でただ炎だけが周りを明るく照らしている。


「……………………」

 ○○が、燃えている。
 きっとあの中は熱いんだろうな、と何となく思った。


 ――――燃え尽きてしまったら、どうなるのだろう。

 そんなの分かりきっている。
 後には○○の骨と、少しの灰だけが残って。
 そして他にはもう何も無くなってしまうのだ。




「…………無くなる?」

 そう、消えてしまう。
 あの大きくて暖かかった手も、いつも私を見ていてくれた優しい目も。



「…………無く、なる」



 そう、消えてしまう。

 ――――○○が、全て、消えてしまう。





「……妹様?」
「え」

 呼びかけられて我に返る。
 美鈴が私のことを心配そうな顔をして見ていた。
 そして自分がどういう状況にいるかを理解した。

 私は今、地面に腰を落として座り込んでいる。

「あれ、あれ?」
「大丈夫ですか? どこか具合でも……」

 何か異常を感じた美鈴がお姉さまたちに呼びかける。
 私も何とか体を起こそうと足に力を込めるが、全く動かない。

 一体どうしたというのか、こんな事は初めてだ。
 それどころか、体の中から何かが湧き上がってくるのを感じて。



「あ……」



 やがてそれは堪え切れなくなって溢れ出し。



「ああっ……」



 遂に限界を超えて爆発した。



「うわあああああああああああああぁぁぁぁっ!!」



 涙が止まらない。湧き上がる思いが止まらない。
 今まで○○と過ごしたこと、そして楽しかったこと、幸せだったことばかりが思い出されて。
 それを感じる度に悲しさはより一層深みを増した。


「わああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんっ!!」


 向こうからお姉さまたちがやって来たようだ。
 それでも涙は枯れる事を知らない。
 止めどなく、私から一切の水分を搾り取るように頬を流れた。


「ふぁっ……○、○っ、…うわあああああああぁぁぁぁんっ!!!」


 果てる事なく泣き続ける私の肩に誰かの手が置かれる。
 その方向に顔を向けてみると、お姉様が優しいような悲しいような良く判らない表情をして立っていた。
 よく見るとその目尻にはうっすらと涙が浮かんでいた。

「フラン」
「お姉、様ぁっ……○○がっ、○○、がぁっ……!!」
「そうね……逝ってしまったわ」
「…!…っく、ひっく……ううぅぅぅ…!!」

 逝ってしまった。
 その言葉を聞いた途端、一度は途切れたと思った涙が再び目に浮かびすぐに零れ落ちた。
 矢も楯も堪らなくなってお姉様の胸の中に飛び込む。
 お姉様はそんな私はとても優しく包み込んでくれた。












「あ…………」

 次に気が付いた時には、私は自分の部屋のベッドにいた。
 どうやら泣き疲れて眠ってしまったようだ。枕にはまだ少しだけ涙の後が残っている。
 事の次第が気になった私は、軽く身支度を整えて足早に部屋を出た。


「あら、フラン。起きたのね」

 エントランスホールでお姉様と出遭った。見ると他の皆も一緒の様だ。
 何だかちょっとホッとした。

 そこで聞いた話によれば、私はあの後意識を失いそのまま一日中眠っていたらしい。
 我ながらよくもそんなに寝ていられたものだと思う。
 そして、それだけの負担が一気に掛かったんだろうということも感じた。


「○○は?」

 その言葉は自然と口を突いて出ていた。
 私の言葉を受けたお姉様は、無言のまま何かを取り出して「持っていなさい」と私に言った。
 手に置かれたものを天にかざして見てみる。

「……小瓶?」

 それは手のひらに収まるほどのサイズのものだった。
 中には何やら白い粉のようなものが入っている。


「それが、○○よ」
「……!」

 一瞬体が戦慄に震えたが、同時に理解して、受け入れた。
 心は何とか平静を保っていてくれたようだ。

「……うん」

 もう涙は流れなかった。きっとあの時出し尽くしてしまったのだろう。
 いつまでも泣いている訳にはいかない。


「彼の事、忘れないでいてあげなさい」


 諭すように、慈しむように。
 多くは語らなかったが、お姉様は私に何か大切な事を教えてくれた気がした。


「うん」


 お姉さまに対して、そして自分に対して。
 手の中の小瓶を握り締めて力強く頷く。


 ○○のこと、きっと覚えてるから。だから○○も私のこと忘れないでね。


 そう心に思い浮かべ、今はもういない彼に思いを馳せた。







 ――――ありがとう、さようなら。


       あなたと共にいられて、私は本当に幸せでした


         またいつか会えるのなら、どうかその日まで――――



8スレ目 >>114


「こんばんは、フラン」
「………○○」
「どうした、元気ないな?」
「そんなコトない」
「なくはないだろ。 泣きそうな顔しやがってからに」
「………」
「悩み事なら相談に乗るぞ」
「…じゃあ、いい?」
「どーぞど-ぞ」
「今日、メイド達と話してたよね?」
「…聞いてた、のか」
「立ち聞きするつもりはなかったけど」
「…フラン」
「やっぱり…○○も私の事は怖い?」
「そんなコトないさ」
「『正直、よく保ってるよね』」
「やめろよ」
「『壊されない秘訣とか在るの?』」
「やめろって言ってんだ!」
「だって…だってぇ」
「…ったく、しょうがねぇな」(ぐいっ)
「うわ!?」
「胸貸してやる。 泣きたいなら遠慮しねぇで泣いちまえ」
「え…」
「今日だけだからな」
「あ…、うぇ…っく…ふあぅぅぅッ…!」

「…落ち着いたか?」
「うん…ごめんね、服」
「気にすんなって…でも、随分変わったよな」
「どういう意味?」
「陰口程度でへこたれないと思ってたからさ」
「…たぶん、○○のせいだよ」
「俺かよ!?」
「だって、○○優しいから」
「…フランが可愛いからな」
「そういうコト言わない!」(ぽか)
「痛ぇ! 何で褒めたのに殴るかな!?」
「うるさいうるさい!」(どふどふ)
「こら! ボディは止め…(どむ)ぬふぅっ!?」
「あ、ごめん…」
「げほ…ようやく調子が戻ったか…」
「え…」
「陰口叩かれても大丈夫だろうな?」
「…うん、元気出た。 ありがと」
「さいですか…。 あ、ちょい待ち」
「ふえ?」
「♪図に乗って 君はまたノーリアクションさ♪」
「???」
「♪友人の 評価はイマイチでも She So Cute Ah~
  順番を待ってたんじゃ辛い 勇敢な戦士みたいに 愛したいな♪」
「…何の歌?」
「俺が居た世界の歌だよ、濁声でスマンね」
「ううん。 …それよりもっと聞きたいな」
「………」
「だめ?」
「そんなコト言われると、お兄さん調子に乗っちゃいますヨ?」
「どーぞどーぞ」
「よっしゃ~! そんじゃフルバージョン、行ってみましょか!」

~~~青年熱唱中~~~

「あぁ…太陽が眩しいぜ」
「ナニを朝っぱらから黄昏てるんです。 それに酷い声」
「ああ、ちょっとハッスルしすぎてな…げふ」
「咲夜はお楽しみでしたね、と言うヤツですか」
「何を言っとるんだお前さんは。 あと字が違う」
「…違うんですか?」
「ありのまま起こったことだけを話すとだな…。
 『レパートリーを全部歌いきったと思っていたらいつの間にか朝になっていた』
 何を言ってるのかわからねーと思うが」
「はいはいポルポルくんポルポルくん」


8スレ目 >>354


フ「"たなばた"?」

○「はい。日本・中国・朝鮮など――私が元いた国と、その近隣諸国です――
  における節供・節日のひとつで、元来中国での行事であったものが奈良時代に伝わり、
  元からあった日本の棚織津女(たなばたつめ)の伝説と合わさって生まれた言葉です。
  年に一度、織女星――西洋風には、こと座のベガですね――と、
  牽牛星――西洋風には、わし座のアルタイルです――が、
  天の川をわたってデートすることを許された特別な日とされています」

フ「どうして年に一度なの?」

○「私自身、少々うろ覚えなのですが――

  ――――――中略――――――

  ――と、言い伝えられています」

フ「ふーん。それで、その"たなばた"が今日なの?」

○「はい。そこで、永遠亭の方と交渉いたしまして、
  少し小さめの竹を頂いてまいりました」

フ「竹? 竹で何をするの?」

○「私が元いた場所では、この日にちなんで、願い事を書いた短冊を笹の葉につるし、
  織姫星に技芸の上達を願う、とされており、これが転じて、
  願い事を短冊に綴り、笹の葉につるすとその願いが叶う、と言い伝えられているのです」

フ「願いが叶うの?」

○「無論、本当に叶うわけではありません。所謂、願掛けというものです」

フ「ふーん…まぁいっか。それで、朝から紙を切ったり貼ったりしてたの?」

○「左様で御座います」

フ「○○は、どんなお願いをするの?」

○「私は……そうですね、フラン様やお嬢様、この紅魔館の皆様が健やかでありますように、と」

フ「相変わらず○○ってば真面目ね。自分のために願えばいいのに」

○「私にとっては、これが一番の願い事ですので」

フ「まぁいっか、○○がそれでいいなら。私にも短冊ー」

○「はい、こちらに」

フ「えっと……うーん、と……うん、決めた!」

○「差し支えなければ、どのような願い事か、教えていただいてもよろしいでしょうか?」

フ「うん! えっとね、『いつまでも○○といられますように』!」

○「フラン様…」

フ「○○には、本当に感謝してるの。
  他の人は…人間でも、妖怪でも…皆、私のこと、遠ざけてて……。
  たった一人の家族のお姉様も…」

○「………」

フ「でも、○○は違った。
  間違えたら叱ってくれた。勉強が出来たら褒めてくれた。
  私の話を聞いてくれた。私に色んな話をしてくれた。
  それが、凄く凄く嬉しかった。だから、私はこれからも○○と一緒にいたいの」

○「フラン様が望むのであれば、この身が朽ち果てるまで…」

フ「んー…そのことなんだけど、ね?」

○「何でしょう?」

フ「私の眷属になる気…無い?」

○「フラン様、それは…」

フ「えー、ダメー?」

○「私の一存では、なんとも……」

フ「むー。じゃあ、短冊に書く願い事変える!
  えっと、『○○が私の眷属になりますように』!」

○「フラン様…」

フ「願掛けなんだから、別にいいよね?」

○「……フラン様の御心のままに」

フ「ふふっ、だから○○って大好きっ!」


8スレ目 >>437


夜中の館内警備をしている最中だった
「○○、ちょっと」
どうやって抜け出したのか、廊下の角からフラン様が手招きをしていた
「どうなされたんですか?またレミリア様に怒られますよ?」
「・・・あのね、昨日は腕を切っちゃってごめんなさい」
あのフラン様が謝っている、別に驚いた訳ではない、ただそんなことを憶えていてくれたのが嬉しかった
腕を切られて嬉しかったというのはおかしな話だが
「大丈夫?もう痛くない?」
「ええ、もうすっかりくっ付きましたよ、腐っても吸血鬼ですから」
袖をまくって切られた箇所を見せる
まだ糸(しかも裁縫糸)が残っているが傷は塞がっているようである
「ごめんなさい、まだ力の加減とかわからなくて」
しゅんと落ち込んでいるフラン様を見ていると慰めたくなってしまう、小動物効果か
「そんなに気にしないでください、フラン様が落ち込んでいると私も暗い気持ちになってしまいます、いつものように笑ってください、それが私は一番嬉しい」
自分で言っててちょっと恥ずかしくなったけど、フラン様はわかってくれた、らしい
「うん!ありがとう○○、ちょっと屈んでくれる」
「?はい」
言われたとおりに屈むと、キスをされた、頬だけど
「!!フ、フラン様!!?」
「えへへーそれじゃ○○、おやすみ!」
そう言って走って行ってしまった
まだ呆然としている、最近頭の回転が遅いのは気のせいではないだろう
「・・・まったくこまったお嬢様だ」
そういいながらも○○はニヤニヤが止まらなかった


8スレ目 >>856


レ「咲夜暑いわ」
咲「夏ですから」
レ「私吸血鬼だから暑いのは苦手なのよ」
咲「それは初耳ですね」
レ「……馬鹿にしてない?」
咲「被害妄想ですよお嬢様」

レ「咲夜」
咲「何でしょう、お嬢様」
レ「霧出してもいい?」
咲「昨日みたいに紅白に夢想封印全種類ぶつけられてもいいのでしたらどうぞ」
レ「…………やっぱ止めとくわ」
咲「英断です」

レ「咲夜」
咲「何でしょう、お嬢様」
レ「私考えてみたんだけどこの暑さは夏の所為だけではないわ」
咲「と、言いますと?」
レ「呆ける気?あれよあれ」

フ「○○あーん」
○「あーん」
モシャモシャ
フ「おいしい?」
○「フランから貰ったから余計においしいよ」
フ「本当?」
○「本当だよ、ほら、今度はフランの番、あーんして」
フ「あーん」
ムシャムシャ
○「おいしいか?」
フ「うん!おいしい!」

レ「暑苦しいわね……殺してもいいかしら」
咲「前にそれが原因で妹様と本気の殺し合いになったじゃないですか」
レ「冗談よ、八割がた」
咲「でも彼のおかげで妹様もすっかり落ち付いてきてるじゃないですか」
レ「……その点については感謝してるのよ、一応」
咲「本人の前で言ったらどうですか?」
レ「只の人間に?そんなの私のプライドが許さないわ」
咲「人間には言う気がない、じゃあ将来の義弟になった時に言うんですか?」
レ「…………フランはあいつを眷属にする気かしら」
咲「恐らく」
レ「じゃあその時にでも言うわ、あの子のドレス姿を見ながらね」

フ「ねー○○」
○「なにフラン?」
フ「ずっと一緒にてね!」
○「ああ、ずっと一緒だ」


9スレ目 >>648


「レミリアさん!妹さんを僕にください!!!」
館内に響く声
その発信源はとある青年
吸血鬼であるレミリア・スカーレットを恐れもせずにしっかりと目を見ている
「・・・本気で言っているのね?」
「当たり前です、こんなことを冗談で言うはずが無い」
彼女は知っていた、彼をどれだけ脅そうとも意味が無い事を、彼がフランの一番の理解者である事を
そして彼がフランを愛し、フランもまた彼を愛しているという事を
「・・・たった一人に妹よ?そう簡単に渡せると思って?」
これはみっともない悪足掻きだ
何よりも大切な妹を手放したくない、そして少なからず好意を持っている彼が妹の元へ言ってしまうのが少し怖かったのだ
睨み合いだ、どちらも折れる気がないのだろう
「・・・愛し合っているなら私の許可は要らないんじゃないの?二人で勝手にすれば良いじゃない」
「それじゃあ駄目です、貴方を納得させないと、俺の気がすまない」
レミリアは思った、何て勝手な、いや莫迦な男だろう、と
よく言えば真っ直ぐなのだが、正確に言えば愚直だ
フランもコイツのこんなところに惚れたのかな
「はぁ・・・もういいわ、好きにしなさい・・・その代り条件をがあるわ」
「・・・なんですか?」
どんな条件を出されるかと身構えたが、レミリアの優しい表情を見て肩の力が抜けた
一呼吸おいて、彼女は言った
「フランを幸せにしてやってください、あの子がずっと笑っていられるように・・・フランをよろしくお願いします」
レミリアは深々と、頭を下げた
泣いているような気がしたのは、恐らく気のせいではないだろう
「レミリアさん・・・俺、絶対にフランを幸せにして見せます」
吸血鬼も妖怪も、恐るべき者だが怖がる必要は無いのだろう
だって血も涙も、温もりも、家族を思う気持ちも、俺たち人間と何ら変わりないのだから


9スレ目 >>821


ここは幻想郷…ありとあらゆる幻想が集う、
ぶっちゃけ、人外魔境な世界だ。
そこにひょんなことから迷い込んだ哀れな俺、○○。

紆余曲折を経て、紅魔館の客人とは名ばかりの奴隷となっていた。
抗議? 馬鹿を言っちゃいけない。そんなことをしたら、
メイド長の咲夜さんには、ナイフ投げの的にされ、(ナイフを投げる時の笑顔が素敵すぎます)
図書館のパチュリー様には、完全無視&本の整理を頼まれて、(そのあと紅茶ご馳走してくれるから文句はない)
館の主であるお嬢様には、限界ギリギリまで血を吸われてしまう。(最後に首筋を舐めるのは反則だと思います)
どんな目に遭うか分かったか? 
正直癖になりそうで怖いくらいだ。恐るべし紅魔館。

そんな素敵(?)な奴隷ライフをそれなりに満喫している俺だったが、
今日は週に一度のあの日だ。正直あまり気が進まない。
別に嫌ではないのだが…そうだな。何と言うか…
そこまで思考したところで、

「○○ー!」

「危ねぇっ?!」

目の前の扉が開き、小さな赤い弾丸が比喩無しのスピードで飛び掛ってきた。
この数ヶ月で鍛え抜かれた直感スキルで辛うじて回避したが、
三時のおやつにと持ってきていたトレーが文字通り吹っ飛んでいった。

「あれ?」

小さな赤い弾丸の正体は、レミリアお嬢様の妹であるフランドール様だった。
因みに俺は妹様と呼ばせてもらっている。
今は俺に背中を向けて小動物のように辺りにキョロキョロと顔を向けている。
恐らく捉え損ねた俺を探しているのだろう。
妹様は会うたびにこうやって飛び掛ってくる。だから俺ももう慣れたもんだ。
そして何時もの如く声をかけようと―

「妹様…」

―が、今日は何時もと違った。

「○○ー!」

あれ? 何故背後から妹様の声が?
目の前にはしっかりばっちり妹様の姿が見て取れる。
何だ、幻聴か。HAHAHA、最近働きすぎで疲れて…

「な、何だってー!」

振り向いたら、扉の向こうに妹様が居た。余りの驚きに思わず叫んじまったぜ。
そこに居たのは、そりゃあもう立派な正真正銘純度100%の妹様だ。
何だか妹様が、擬似的に極楽へイける白い粉みたいに聞こえるが、そんなことはどうでもいい。
だって本物の妹様はガチで極楽へ逝かせてくれるんだから。冗談抜きなところがヤバイ。
あっ、幻想郷なら冥界か?

「見つけたー!」

「遊ぼー!」

「あー、不味い。本格的に疲れが来ているのかもしれない」

おまけに、その妹様の後ろにさらに二人の妹様がいた。
俺の視界には計三人の妹様がいた。しかも皆揃って臨戦(飛び掛り)態勢だ。
オージーザス。神は俺を見放した。
だが、俺は死なない。この数ヶ月を辛うじて無事に生き抜いてきた俺を舐めるなよ!
体は最高にHOTに! だが頭はきわめてCOOLに!

「妹様達…さあ、どっからでもかかって――」

その時、妹様達を迎え撃つべく身構えた俺の腰に何か軽い衝撃が伝わってきた。
超ド級に嫌な予感を感じつつ、俺はその正体を確かめるべく視線を背後のやや下に合わせる。

「へへっ、捕まえたよ○○」

「・・・ハッハー、捕マッテシマイマシタカ」

そこには一番最初に回避したはずの妹様が、とても楽しそうな顔で笑っていた。
俺の台詞も思わず片言になってしまうくらいのビックリだ。
回されたその細腕からは考えられないほどの力が伝わる。
あっ、ちょっと苦しいですので緩めて…えっ? 逃げるから駄目? はい、すみませんどうぞご自由に。
抵抗→諦め→達観→悟りの肯定を0.5秒で終えた俺は、改めて現状を確認する。

視線を落とすと、俺の腰元には笑顔の妹様が一人。
万力の如く力で捕まっているので逃走及び移動不可能。
前を見ると、三人の妹様が臨戦態勢で…訂正だ。既に飛び掛ってきている。
一様に見た目だけなら子供っぽい笑顔なので、出来ることなら受け止めてやりたい。
下手な弾幕より高威力で、俺の命に危険がない事が条件だが。すなわち完全にアウトだ。

「さて、総合的に判断して現状を打破する方法は…考えろ、考えるんだ○○!!」



○○は何も考え付かなかった。幻想郷は非情なほどに全てを受け入れるのである。



「いやぁぁぁーー!?」

「「「「わーい♪」」」」



○○が永遠亭の薬師の元に運ばれるまであと1時間…


12スレ目>>296 うpろだ807


愛とは与えるものなのです。
愛とは奪うものなのです。

どっちも昔読んだ本に書いてあった言葉だけど、きっとわたしは奪うほうの子なのだと思う。
そして彼も。


(ということはわたしたち、愛を奪い合っているのかな?)








「○○、ちゅうして」
「・・・いいよ?」
「触るだけじゃやだよ。ちゃんと中も」
「はいはい」


しょうがない子だなぁ、フランは。
と○○が呆れたように言って(でもわたし知ってる、○○本当はものすごく楽しんでわたしにキスしていること)、わたしの顎を持ち上げて、キスしてくれる。
○○のキスはいい気持ちになるから好き。
他の人のは知らないからわからないけれど、というかわたし○○以外の人のキスは知りたくないし興味もないからいいけれど、彼はとってもキス上手だと思う。
きっとアレだろうな、○○の舌はさくらんぼの茎とかで上手にこより作れるんだろうな。
キスの上手い人はそれが出来るって前に咲夜から習った。(咲夜はできないって言ってた)(たぶんわたしもできないと思う)


わたしの唾液に混ざってくる○○の唾液はいつも何だか甘い気がするから、この前キスしてぎゅーってされたあと「○○なんか甘いもの食べた?」って聞いてみたことがあったんだけど、
その時は「甘いもの?・・・そうだなぁ、フランを食べたよ(ニッコリ)」とか言われた。
わたしはその○○の微笑みにきゅーんってなったけどちょうど偶然わたしたちの後ろにいたパチュリーと小悪魔は正直ひいていたと思う。(しつれいな)


…まぁわたしもそれを他の人が言ったらひくと思うけれども。
○○だからいいのだ。○○なら全面的にいいのだ。
○○の言った台詞全部、どんなものでもキラキラ輝きながら天に昇って、そして最後にわたしを照らす満天のお星様になるのだ。本当に。
それくらい彼の言うことは尊く、わたしの単純な脳みそは彼の台詞だけ全て細かく記憶していく。
わたしは読み書きとか計算とかは理解できないけど、○○がわたしといるとき何回「フラン」って呼んでくれたかはこたえられるよ。
そのことも○○に言ったら「俺はフランが俺といるときに何回『○○だいすきー!』って言ったか答えられるよ。寝言も含めて(ニッコリ)」と言っていた。
わたしはやっぱりきゅんとしてその言葉は天に昇ってお星様になった気がしたけど、その時も偶然わたしたちの後ろにいたパチュリーと小悪魔はひいていた。
もういいから帰ってよ。○○とふたりきりになりたいのに。そんなにわたしと遊びたいの?
あ、わたしたちのほうから図書館に来ていたんだっけ。


「ん、○○。だいすき・・・」
「58回目だよ、フラン」
「もお」


わたしのおでこにキスをしながら、○○が言う。
そんな○○が面白くてあはは、って笑ったら、○○は「フラン」って呼びながら頭を撫でてくれた。
ねぇ、それ、本日18回目だよ。○○!


「フラン・・・」
「んー?」
「愛してるよ」
「わたしもあいしてるよ!当然だけど」


そうわたしが言ったときの、○○の微笑みといったら、本当に、全部わたしのものにしてしまいたいくらいきれいなのだ。

(ねぇ、○○もわたしをみて、そう思ってくれてる?だったらわたし、ほんとうに、しあわせだよ?)








愛とは与えるものです。
愛とは奪うものです。

例えそれが奪い合いでも、それはもう血のようにどくどくと、わたしたちの間には溢れ出るから。
○○、わたしの全部、奪っていってね?そしてわたしに○○の全部をちょーだい。


12スレ目>>428


「ねぇねぇ○○弾幕ごっこしよう弾幕ごっこ!」
「ぇ、まあいいよ」
「私すっごく強いのよ凄い強いのよ!
 だって私友達に幻想郷最強の巫女がいるもの!幻想郷最強!」
「はぁ・・・」
「じゃ何か賭けようよ!何賭ける?」
「じゃあ、ぶ・・・」
「武器!?」
「いや、今日のおやつのブラウニー」
「おやつ、あぁいいわよおやつ・・・」

「じゃあ私スペカ使うから○○避けてよ?」
「♪~」
「え、いや○○スペカ使わないでよ私がスペカ使うんだってば」
「♪~」
「だから○○スペカ使わないでよ、
 っていうかそれ私のフォーオブアカインドじゃない○○が増えたら逆にキモいよていうかだからスペカ使わないでなってばー!」
ピチューン


最終更新:2011年02月26日 12:15