フランドール7
12スレ目>>573
「ねーねー〇〇~」
「おや、どったのフラン?」
「あのね、赤くて~、普段は小さいのに~」
「うんうん」
「たまに四倍になったりする~」
「ふんふん」
「えっちなものな~んだ」
「ってうおっ!何聞いてるんだフラン!」
「え~?」
「いや、だってその、まあ。
とりあえず答えは俺の口からは言えん」
「答えは私だよ?」
「なるほど赤くて四倍・・・ってフラン、えっ・・ち、なのは・・・」
「もちろん」
アッー!
12スレ目>>626
ねえ○○、弾幕ごっこしよ。え?「勝てる気がしないからやだ」?
…じゃあ、○○がどれだけ避けられたかで、私がご褒美あげる。それならいいでしょ?
んーとね…「レーヴァテイン」まで避けられたら、飴あげる。
「カゴメカゴメ」までなら、さっき咲夜にもらったビスケットもあげるわ。
それから…「スターボウブレイク」を避けたら…うん、私の頭を撫でさせてあげる。…そんな顔しないの。光栄に思いなさい。
「過去を刻む時計」まで行けば…そうね、じゃあ…キスしてあげよっか?
…ふふ、真っ赤になっちゃって。ほっぺにちゅってするだけよ。
それから…もし「495年の波紋」も避けて、○○が勝ったら……○○のしてほしい事、私がなんでもしてあげる。
…でも、「レーヴァテイン」も避けられなかったら…○○には罰を与えるわ。
嫌な顔しないの。ご褒美だけじゃあ割に合わないじゃない。
え?罰は何にするのか?…そうね……じゃあ──○○の血、私が吸っちゃおうかしら。
○○も吸血鬼にして、永遠に私の弾幕ごっこの相手をしてもらうの。素敵でしょ?
…準備はいい?じゃあ…行くわよ。
13スレ目>>240
フラン「○○~!」
なんですか?妹様
フラン「えへへへ~、ほっぺほっぺ~」
妹様?
フラン「○○もほっぺほっぺして~」
いいですよ
むにむにむに
フラン「んん~~、気持ちい~」
そうですか、それは良かった、俺も気持ちいですよ
フラン「もっと~~」
はいはい
むにむにむに
レミリア「…………」
咲夜「混ざりたいんですか?」
レミリア「そ、そんな事無いわよ!?」
咲夜「そうですか?やけに熱心になって御覧になってたので」
レミリア「ね、熱心に見てないわよ!
それより、後で○○を私の部屋に呼びなさい」
咲夜「かしこまりました」
13スレ目>>452
「はぁ……はぁ……○○……なんか体が変だよ……」
「だ、大丈夫か!? フラン!?」
倒れこんできたフランを俺はしっかりと抱きしめる。
「うう……体が熱くて、○○の事しか考えられなくて、○○のことめちゃくちゃにしたいって事しか浮かんでこないの……
私、○○を壊したいなんて望んでないのに……」
弱弱しく俺にすがり付いてくるフラン。
「これってびょうきなの……? わたし、こわれちゃうの……? いやだっ、いやだよぅ……
もっと○○とキスしたり、ぎゅーってしてあげたり、もっともっといろいろなこと二人でたくさんしたいのに……」
「大丈夫だよフラン。大丈夫だから」
フランを安心させるためにそっと頬に手を添える。上気した顔は普段より数倍熱く、潤んだ瞳でこちらを見上げてくる彼女はとてつもなく可愛く見える。
「こわい……こわいよぅ○○ぅ……このままじゃわたしこわれちゃう……ねぇ、たすけて……たすけてよぅ○○ぅ……」
これ以上フランを不安にさせてはおけない。俺は――
(省略されました。続きが読みたければ今すぐ地下室に行ってフランを安心させてください)
うpろだ1153
紅魔館の地下の厳重に閉じられた扉。
その扉の前に、一人の男が立っていた。
「ここで、いいのか?」
そう呟いた男は、扉の鍵を外す。
扉の先には、赤色に染まった部屋。
そして、その中に佇む一人の美しい少女。
「あの子がフランドールお嬢様か…」
男はそう言った瞬間、世界が回るかのような衝撃を受けた。
少女は、男に飛び掛り、抱きついたのだ。
「美鈴…あなた、だぁれ?」
「あ…初めまして、フランドールお嬢様」
「ねぇ、あなただぁれ?」
少女は笑みを浮かべながら何度も言葉を繰り返す。
男はこの館の主から、「少し気が触れている」と聞いていたが、どうやらそのようだと納得する。
「…すいません、自己紹介がまだでした。俺は門番さんが病気のために教育係として臨時でやってきた○○です」
「そうなの?」
「はい、そうです。普段は紅魔館で執事として働いています。今日から一週間ほど、よろしくお願いします」
「そう、よろしくね!○○。わたしの事はフランって呼んでね」
フランは満面の笑みで男に応える。
○○は思う。
この子が悪魔の妹だなんて到底思えないと。
「今日のおべんきょうはなぁに?人間を壊さないで血を上手く吸う方法?」
…○○は思った。
やはり吸血鬼、レミリアお嬢様の妹なのだと。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「…はい、と言う事で、ここは割り算を使いましょう」
「○○ー、ここもわかんないー」
「はいはい、フランお嬢様。そこはですね…」
○○の普段の仕事は紅魔館での執事。
館の主
レミリア・スカーレットに拾われ、雇われた幻想郷の外の世界の人間。
そんな○○に、教育係の仕事を押し付けたのはレミリアだ。
なんでも門番の紅美鈴さんが病気で一週間ほど休むとの事で、○○はその役割を受け持つ事になった。
だが○○は残念ながらあちらの世界で真面目に勉学などしたことがなく、あまり頭は良くない。
しかし、人間の○○よりとても長く生きているとはいえ、レミリアとは違いフランは姿相応の勉強しかしていなかった。
これは○○にとってとてもありがたい事だった。普段の執事の仕事より、こちらのほうが数段楽だからだ。
○○は思う。、執事の仕事はとても辛いものだった。執事とはいえそこらに居るメイドと仕事は変わらない。
せっせせっせと働いては、少しのミスでメイド長に説教される。その上、かなりの重労働を強いられて来た。
「あ、できた!ありがとう、○○」
「どういたしまして。」
こんな可愛い少女とふたりきりでお勉強。
やましいことなどしていないが、言葉だけでどこか背徳的な気分になる。
○○は別に幼女趣味などではないが、そう感じるものは感じるのだ。
そう思えば、この仕事など執事の仕事の何十、何百倍も楽。むしろ幸せなくらいであった。
「おや、もうこんな時間ですね。今日のお勉強はおしまいです」
「えー、まだお歌の練習してないのにー」
少女は駄々をこねる。
「すいません、フランお嬢様。明日は今日の算数で多く使った時間をそっちに使いましょう」
「じゃあ、明日も来てくれるの?」
「はい、これから一週間ほどは」
「そう、じゃあまた明日ね」
「おやすみなさいませ、フランお嬢様」
○○は扉を閉め、フランの部屋から立ち去った。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「こんにちは、フランお嬢様」
「あ、○○。元気だった?」
「はは、俺は元気ですよ。さて、お勉強の時間です」
「えー、少し遊ぼうよー」
「何で遊ぶんですか?」
「弾幕ごっこ!」
「…俺は只の人間なので、勘弁してください」
「つまんなーい」
「我慢してください…では、今日は幻想郷の歴史です。里に居る慧音さんから貰ったわかりやすい資料があるので楽だと思いますよ」
「はーい」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「はい、それでこの幻想郷の結界が…」
「○○、しつもーん」
「はい、なんでしょうか」
「河童って、どんな姿なの?」
「う、それは俺もよくは知りません…」
○○は幻想郷に来てからまだ4ヶ月ほどしか経っていない。
だから、妖怪などには一部としか会えず、あまり「種族」としての妖怪を知らないのだ。
そしてフランもまた、500年ほど閉じ込められていたせいであまりこの部屋の外のことを知らない。
どちらも、幻想郷についての知識はあまり多くないのである。
「フランお嬢様、この部屋の外の世界を見てみたいですか?」
「見せてくれるの!?見たい、見たい!」
「あ、いえ、そういうわけじゃないんですが」
「えー、見たかったなー」
「と、とりあえずレミリアお嬢様にでも話してみます」
「…あいつなんかに言っても、無駄だよ」
フランの声色が急に変わる。
「フ、フランお嬢様、いくら姉妹とは言えあいつ呼ばわりは…」
「あいつはわたしから全部を奪おうとしているんだ」
「フランお嬢様…?」
「きっと○○もあの時と同じように奪われる」
「だ か ら わ た し が こ わ し て あ げ る 」
フランの身体から衝撃波のようなものが発生する。
次の瞬間、○○の左手の中指は消えていた。
「う、うわあああああ!」
○○は狭い部屋で必死にフランの攻撃を避け続ける。
全身に痛みが走るが、○○は避け続けなければ死ぬ事を悟っていた。
レミリアは○○にフランの能力を説明していた。
フランの能力は「ありとあらゆるものを破壊する程度の能力」だ。
攻撃を喰らったらひとたまりも無く、自分は死んでしまうだろう。
○○は必死に避け続ける。しかし、人間である○○が敵うわけもなく、壁に追い詰められる。
――もう、だめだ。
が、扉の開く音と同時に声が響く
「そこまでよ!」
パチュリーの声だ。彼女は部屋中に水をばら撒く。
…すると、フランは急におとなしくなった。
おとなしくなったと言うより、力が抜けたと言う表現のほうが正しいだろう。
「早く、こっちに来なさい」
○○は倒れたフランをベッドの上に寝かせて、部屋を出る。
「危ないところだったわね」
「…はい、フランお嬢様は「あの時と同じように」と言っていましたが、どういうことですか?」
「…思い出したくも無い出来事ね。いいわ、教えてあげる」
「○○と同じように妹様に勉強を教えていた男がいた。多分妹様は彼に恋をしていた」
「でも、彼はレミィに恋をしていたの」
「三角関係、ってやつね。彼はある日、外に出た事の無い妹様に外の世界を見せてあげようとした」
「それで、レミィのところにそのことを頼みに行ったの。…このとき、すでにレミィと彼は恋人同士のようなものだったわ」
「…それを、妹様は見てしまった」
「妹様は、次の日に部屋に来た彼をどうしたと思う?…そう、殺したのよ」
「妹様は、レミィのことが好きなのだろうけど、どこかで同時に憎んでいる」
「自分の好きなものを奪い、自分の世界を奪ったレミィを憎んでいるのよ」
「…そう、なんですか。そんな事が…」
「きっと、妹様は貴方と彼を重ねてしまったのよ」
「そうですか…きっと、俺もそのときの彼と同じように彼女のことが好きだと思います」
「もしかしたら思い込みかも知れないわよ、よく考えてみなさい」
「いえ、出会って2日しか経っていませんが、彼女と会える事を考えただけで嬉しいです」
「まだ恋なのかはわからないけど、気になっているってところね」
「そんな感じかもしれません…そう言えば吸血鬼は水が弱点らしいですがフランお嬢様は大丈夫ですかね?」
「きっと大丈夫…あ、そう言えば貴方の指、なくなってるわよ?」
「え?」
○○は話を聞き、パチュリーと会話をしている間にすっかりと忘れていた。指摘されると同時に指を失った痛みが押し寄せる。
「この程度なら治療できるわ、私の部屋にいらっしゃい」
「…ありがとうございます、パチュリー様。一つ相談が…」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
少女は水で濡れた部屋で一人泣いていた。
「わたしは殺そうとしてしまった わたしは○○を殺しかけてしまった」
少女は水に濡れた部屋で一人苦悩していた。
「これは只の嫉妬 レミリアお姉さまに対するわたしの醜い嫉妬」
「○○に謝りたい。でもきっともうここに来てくれない
少女は水で濡れた部屋で、自嘲的な笑いを浮かべた。
「これは愚かなわたしの責任 ごめんなさい、ごめんなさい…」
ぎぃー…と、重い扉の開く音が響く。妖精メイドが何かを置きに来た音だ。
フランは、妖精メイドに問う。
「○○は、大丈夫なの?」
「○○、ですか?今、パチュリー様に指の怪我の治療を受けています」
「そうなの…ありがとう」
もう一度、ぎぃー…と、重い扉の音が響く。ばたん。妖精メイドが帰った音だ。
フランは、ベッドの上で力が抜け、そのまま倒れこむように寝てしまった。
紅魔館の地下を、夜の静寂が包み込む。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
○○は深夜の紅魔館の地下を走る。指はすでにパチュリーによって再生された。
目指すは
フランドール・スカーレットの部屋。愛する人の部屋へと○○は走る。
「フランお嬢様!…水浸しですね、この部屋。掃除しないと」
「○…○?なんで○○が?あ、指は大丈夫・・っ!?」
「ははは、この通り元通りです。安心してください」
「○…○っ!」
フランは○○に飛び掛り、抱きつく。
しかし、それは二人が初めて会った時とは違うもの。
あの時とは違い、弱々しい力で抱きしめてきたフランを、ぎゅっ、と○○は抱き返す。
「ごめんなさい…お姉様に○○を持っていかれるような気がして…」
「私、もう○○に会えないかと思ってた…謝れないかと…!」
「大丈夫ですよ、フランお嬢様。ちゃんと、一週間の間は俺はお嬢様の先生ですから。」
「…一週間経ったらいなくなっちゃうの?そんなの、やだ!」
「わ、落ち着いてください。大丈夫です。ちゃんと時々遊びに来ますから…」
「…毎日じゃなきゃやだ」
「できる限り、善処します」
そういって、二人は笑いあった。
「ねぇ、○○。キスしていい?」
「フ、フランお嬢様!だ、駄目ですよ!」
「キスって好きな人同士がするものじゃないの?じゃあしてもいいよね?」
「あぁ、でも俺は只の雑用みたいなもなので館の主の妹君とキスするのは…ま、いいか」
「それじゃ、○○もうちょっとしゃがんで。届かないの」
「わかりました、お嬢様。」
それは、二人の唇と唇が触れる程度のキスだっただろう。それでも、そんな経験が無い二人の顔は真っ赤になってしまった。
この甘い雰囲気をどうにかしようと、○○は話を切り出す。
「そ、そうだ!フランお嬢様、外に出てみたいですよね?」
「…出れるの?」
「はい、準備はしておきました。」
「ありがとう、○○!じゃあ行こ?」
「ちょっと待ってください、約束事がいくつか。
「約束事?」
「一つ目は外で妖怪や人にコンタクトを取らない事です。この話が流出すると大変ですから」
「二つ目は外で力を使わない事です。それで気付かれる可能性があります」
「三つ目はこのことを誰にも話さない事です。特に、レミリアお嬢様には。」
「この三つが守れるなら、一緒に行きましょう。」
「わかった、○○の言う事だからちゃんと守る!」
二人は、そっと部屋を出る。誰にも気が付かれない様に、そっと図書館への道を辿って行く。
図書館に到着すれば、パチュリーが何とかしてくれる事を○○は知っていた
「やっと着いたか、そーっと来ると結構長いですね、フランお嬢様」
「そうね、○○。ここって事は、もしかしてパチュリーが協力してくれるの?」
「そうですよ、…おっと、パチュリー様だ」
「今晩は。二人は仲直りできたの?…その様子を見る限り、もっと先に進んでいるのかもしれないけれど」
二人は顔を真っ赤にする。
「貴方達、バレバレよ。もっと周りからわからないように…まあいいわ、あっちの出口をこっそり空けておいたから」
「はい、ありがとうございますパチュリー様。…今なら美鈴さんも居ないし、大丈夫ですよね」
「多分、ね」
「行こ!○○」
「ちょっと待って下さいフランお嬢様ー…あまりはしゃいでるとバレる可能性がー…」
フランはスピードを上げながら出口へと向かって走る。
それを制止しようと○○も追いかけて走る。
その光景をパチュリーは二人を微笑みながら見送った。
「ふふ、楽しそうね。…○○、彼女の傷を癒してあげてね」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「あ、あそこに居るのが夜雀です。綺麗な歌声でしょう」
「本当だ、きれいな声。羨ましいなー」
「フランお嬢様の声もすごく綺麗ですよ」
一人の男と一人の少女の影は、夜の幻想郷を歩く。
フランは○○に質問し、○○はフランの質問に答える。
暫くの間、歩いたり、妖怪をこっそり見たりしながら、歩き回った。
更に歩き続けると、小高い丘が見えた。
「フランお嬢様、あそこの丘をお嬢様に見せたかったんですよ」
「○○、あそこに何があるの?」
「正確には、あそこの丘から見える光景ですね」
二つの影は、手でつながり、丘のゆるやかな傾斜を登っていく。
そこから見えたのは、満月。
「…すごい」
「どうですか、フランお嬢様。綺麗ですか?」
「○○、ありがとう。こんな素敵な場所を教えてくれて」
「教育係ですからね。本当は、この場所は秘密にしたいんですが…」
「じゃあどうしてわたしに教えてくれたの?」
「それは、フランお嬢様が俺にとって特別な人だからですよ」
「○○…」
「お嬢様…」
「…○○、お嬢様じゃなくて、フランって呼んで?」
「わかりました。お嬢様…いや、フラン」
「俺はお前のことが好きだ、フラン」
そう言って、○○はフランを抱きしめる。
フランも、○○にぎゅ、と抱きつく。
「参ったな、月は人を狂わすって言うけど、俺はフランに狂わされたみたいだ」
「もう、○○のばか」
二人で笑う。誰も居ない丘に笑い声が響く。
「なあ、フラン。キスしてくれないか?」
「いいよ、○○」
○○はしゃがみこんで、フランの背の高さに合わせる。
今度は、唇が触れるだけではない。
互いの舌で、互いの口を貪りあう。所謂、大人のキスだ。
口が離れ、名残惜しいかのように口と口の間に糸が引く。
「好きだよ、フラン」
「わたしも、○○」
二人は名前を呼び合い、もう一度キスをした。
その光景を、丘の上に輝く月だけが見守っていた。
うpろだ1206
Something Old,
Something New,
Something Borrowed,
Something Blue,
And a Sixpence in her shoe.
いつだったか。
それは、お姉様から聞いた。
幸せな花嫁の物語。
今は6月、花嫁の月。
美鈴と一緒にお買物。
白く輝くウェディング・ドレス。
彼との結婚式のため、
新しく仕立てたお気に入り。
咲夜がくれたペンダント。
ナイフの飾りをあしらって、
柄に真珠をはめ込んだ、
瀟洒な彼女の宝物。
パチェから借りた、髪飾り。
蜂蜜色の、金細工。
透かし彫られた、模様には、
妖精たちが、舞い踊り。
小悪魔からは、サファイアを。
綺麗に光る、青い星。
プラチナ飾りの、ブローチを、
左の胸に、留めました。
そして、お姉様からは。
小さな銀の6ペンス。
バージンロードを歩く前、
かかとに、そっと入れました。
ありがとう。
フランは、きっと幸せになります。
だって、こんなにみんなから、
愛されてここまできたのですから。
ここまで私と居てくれた、
みんなに新郎新婦から、
尽きぬ感謝と花束を。
いつか誰かが結ばれる、
そんな時には私から、
この6ペンスを送ります。
それが私に出来ること。
お世話になった人たちへ、
ちょっと幸せをお裾分け。
幸せな花嫁の必需品。
新しいもの。
古いもの。
借り受けたもの。
青いもの。
そして、小さな6ペンス。
うpろだ1400
拝啓、皆様方、いかかがお過ごしでしょうか。
今俺は・・・フランに追われています。
フランが弾幕打ちまくりでよけることに精一杯です。
「○○ー!!避けてばっかりじゃ私に近づけないよー?」
コッチは避けることに精一杯なんだよコンニャロウ。
隙を突いて抱きついて「大好きだ!!フラン!!」って言ってやんよ!
あ!やべ、弾にあt(ピチューン)
○○
プレイヤーが悪かったな
・・・なんだったんだいまのメッセージは・・・ガクッ
この後、俺はベッドに運ばれ、フランが一緒に寝ていたのは別のお話だが。
新ろだ401,402
私がこの図書館に寄生するようになって何年が経っただろう。いや、実の所一年も経っていないかもしれない。
村から気違いと蔑まれ、人里を追われ、人間よりもむしろ妖怪相手のほうが何かと面白く会話が出来る事に気づき、湖を渡り、私はこの館に辿り着いた。
今は家事手伝いの十六夜が運んでくる僅かな食事を口にしながら、この愛すべきヴアル魔法図書館の書物たちを少しずつ読み続ける日々が続いている。
ぱたり、と、私は手元の書物を閉じた。
一冊の読書を終えた私の頭に残るのは、ひとつの疑問。心理学的に言えば好奇心とも言うだろうか。
今まで読んだ事のないジャンル「恋愛小説」。その中のいわゆる「愛」の記述の中に、私は少し気になる表現を見つけた。
その表現について尋ねる為、私は親友
パチュリー・ノーレッジの姿を探して広い図書館の中を早足で移動する。
お互い口という器官をあまり必要としない性質の生物のため、いざ聞きたい事があると不便だ。
と、そこで私は本棚の影に、見慣れた赤い翼を見つけた。
「小悪魔」
「ひゃわっ!?…あ、○○さんですか。驚かせないでくださいよ~…」
図書館整備担当要因小悪魔。この図書館ではノーレッジに次ぐ知恵者であり、蔵書の位置にも詳しい。
まだ私が来て間もない頃から何かと世話を焼いてくれている。本人曰く、「○○さんはフラフラしてて危なっかしいですから、いつだって目が離せませんよ」だそうだ。
ありがたい事だが、読書中に後ろからじーっと私の事を見つめているのはどうかと思う。以前そのことを指摘すると「きっ…気づいてたんですか!?」と言って赤面とともに逃げた。
私は今自分が抱えている疑問を、彼女にぶつけてみる事にした。
「なあ小悪魔。…キスとはどういう味がするんだ?」
「へ…え?え、え、えええええええええええええっ!?」
そう。私が感じていた疑問はそれ「キスとはどういう味がするのか」というものである。
書物曰く行為の対象の味がするとあったが、どうも小説の類は表現がうやむやな事があって困る。
それだからノーレッジにでも聞けば分かり易く説明してくれるのかと思いやってきた訳だが──
「…小悪魔、風邪か?顔が赤い──「あああああああああ貴方って人は!もう!なんてこと言い出すんですかっ!バカ!バカ!罪な人っ!」
発言を遮られた上に、赤面されたまま力無く胸のあたりを殴られた。
「…キスとは、何かマズいことだったのか?」
「う…えーっと、いや、その…悪くは…ない、です…で、でも、それには順序ってものが…あう…でも…いい…のかな?」
小悪魔が何か慌てた風にしどろもどろになってしまっていたその時───
「そこまでよ、小悪魔」
「おお、来たかノーレッジ」
「パチュリー様!?」
動かない大図書館パチュリー・ノーレッジが宙にいた。
彼女は私と小悪魔の間に割り込むようにふわりと着地し、小悪魔に向き直った
「こぁ、今から私は○○ととても大事な話があるから、貴方は外で門番でもしてなさい、そう、朝まで」
「いっ…嫌です嫌です嫌です!朝までって○○さんに何する気ですかパチュリー様───!?」
彼女は小さく自分のスペルカード名を呟き、色鮮やかな弾幕とともに赤い翼の彼女を屋根の外へと放りだした。
「…スペルカードを使うほどか?」
「ええ。あの子がいると何かと進みにくいから」
そういうと彼女は私に向き直り、薄紫の髪をなびかせた。
彼女こそ私の親友にして屈指の知識人、パチュリー・ノーレッジ。
この図書館の主であり、館の主人レミリア・スカーレットの古き友人でもあるらしい。彼女の知識の深さは私も一目置いている。
…そういえば一度、彼女に「知識を求めるその姿勢は結構だけど、もう少し貴方は他者からの好意に敏感になってもいいんじゃないかしら」
と、唐突に言われた事があった。そりゃ私がここで本を読むために生きているような生活が出来るのも、全て人からのご好意で成り立っておるわけであり、その事に対しての感謝は十分してるはずなのだが。
そう彼女に言うと、「…………そういう所が鈍感だって言うのよ」と言われた。
どうやら、私には彼女にしか見えない欠点があるらしい。
彼女はさて、と前置きして切り出した。
「キスの味が知りたいそうね、○○?」
「話が早くて助かる」
「ここで私が貴方にその行為の味を口頭で説明するのは簡単。けれどそれでは貴方に100%伝わるという保証がない。
五感によって感じられる事を言葉で相手に伝えるのはとても難しい事。…つまり百聞は一見にしかずね」
そこではた、とノーレッジの口が止まる。少し溜めたあと、彼女はゆっくり続けた。
「そこで───私は、実際に私とキスをしてみることを提案するわ」
酒でも飲んでいたのか、彼女の顔はほんのり赤い。
酩酊でもそんな良案が出るとは流石だな、と口の中で呟き、私はその案を肯定した。
「良案だな」
「…決まりね」
私の前に手を差し出すノーレッジ。身長を合わせろと言う事だろう。
私はその場で膝立ちになる。交錯する視線。そして彼女は私の頬に両手を添え、そのまま自分の唇に────
触れる直前、カツンという硬い金属音が静かな図書館にどこからか響く。
何かと思い首を上げると、そこには銀色のワゴンを携えた家事手伝いの主──メイド長だったか──十六夜咲夜が立っていた。
「…紅茶をお持ちしました」
十六夜咲夜。私が最もご好意に甘えさせていただいてる人物は彼女であろう。
人間である私が死なない程度の食を用意し、定時になるとどこからともなく現れては美味な食事を振舞ってくれる。
……しかし、紅茶(嗜好品)を持ってくるとは珍しい。それほどキリの良い時間でもないというのに。
と、そこで私はこういうことが以前にもあったなと思い起こす。
あれは──そう、いつだったか、ふとした事から私がノーレッジの読もうとしていた本を取ってやろうとして転落し、誤ってノーレッジを押し倒した際に一度。
それと私が椅子の上で本を読みながらうっかり寝てしまった時。彼女の声で目を覚ました時、小悪魔が何故か顔をぎりぎりまで接近させていたのが印象的だった。
どこか緊張したような彼女の声に、私はすまないなと言ってワゴンの上のカップを取る。
「待ちなさい、○○」
紅茶を飲むためカップに口をつけようとした私を、ノーレッジが呼び止めた。
「実験がまだ途中よ。すぐに終わるから、こっちが済んでからにしたら?」
ああ、それもそうかと言って私は再び膝をつく。
「すまないが十六夜、紅茶は後で頂くよ」
再び、ノーレッジが頬に手をかける。そして顔を素早く近づけ、私の口に────
瞬間、世界が変わる。
仄暗い図書館から、赤い絨毯に蝋燭の燭台が並べられた図書館前の廊下へと。
私は手早く状況を理解するよう、あたりをキョロキョロと見回す。
目の前にノーレッジの姿が無く、十六夜咲夜が立っていた。
私は辺りの情報を整理し、結論を見つける。
「…つまり、時を止めて連れてきたと言う事か?」
「お早いご理解、助かりますわ」
彼女は美しいという表現ができる笑みを浮かべ、ぺこりと一礼した
私は彼女に対し不満げに口を尖らせ、抗議の意を表する。
「私は実験中だったのだが?」
「ええ。ですから、私はあなたをここに呼んだのです」
少しばかりの疑問符が頭に浮かぶ。私は十六夜に、詳しい説明を求めた。
「説明してくれないか?」
「ええ。…私のこのことが大変な失礼な事であるというのは承知の上。
しかしキスという行為は、そもそも男女間の深い愛情を表すもの。○○さんほどの方ならば、実験とはいえそういう行為をしてしまうのですから ───
相手も、それなりの方が必要かと存じまして」
「…つまりノーレッジでは役不足であり、見ていられなくなったから連れ出したと?」
「概ね、そのように解釈して構いませんわ」
成程、と私は筋の通った理屈に頷く。しかしその説明では疑問が残る。
「…では、私が実験するに相応しい相手とは誰か?」
「それは…勿論」
ぽん、と自分の胸を叩く十六夜。
「不肖、紅魔館メイド長十六夜咲夜。これより○○さんのお相手を勤めさせていただきたく存じます」
「…………?」
私はやたらと硬い彼女の口振りに少し疑問を覚える。
これではまるで、嫁入り前の娘ではないだろうか。
「……十六夜、嫁入りの練習か?」
その口調がおかしく、私は柄にもなく冗談を口にした。
彼女はそれに答えるように、無言でただにっこりと微笑んでいた。
やがて会話が途切れ、十六夜は胸に手を当てて二、三度深呼吸を始める。瞳を閉じて、唇を私のほうへ突き出した。
こちらから、という事らしい。私は先ほどノーレッジがそうしたように頬に手を当て、顔を近づけ────
「おっ兄っ様────────っ!!」
廊下右奥より、光の勢いで何かが迫り来る。
それは以上の言葉を述べつつ十六夜を跳ね飛ばし、私の前でぴたりと停止した。
「何か」の正体を確認すればそれは悪魔の妹フランドール・スカーレット嬢。
地下牢に幽閉されし囚われのイカレ姫君だ。
彼女との出会いは非常に衝撃的であった。あくる日、地のそこまで響く轟音と共に私の目の前の床をブチ抜いて現れたのである。
私は突如現れた彼女に押し倒されてそのまま殺されそうになったが、
その時の私は生命の危機よりも読みかけの本を壊された事に腹を立て、その場で彼女の頬を思いっきり張ったのだ。
そのまま小一時間ほど説教を食らわし、今では私の妹のような存在となっている。
彼女は跳ね飛ばした十六夜に蹴りを入れて紅魔館外まで吹っ飛ばすと、私に向き直り幼子特有の太陽のような笑みを見せた。
「ね、お兄様何してるの?お散歩?」
そのまま彼女は私に抱きつき、胸板に顔を埋めた。返答を必要としない自己中心的な会話は、実に彼女らしいと言わざるを得ない。
度重なる出来事の連続で忘れかけていたが、私はそこでふとキスの味についての実験を思い出す。
十六夜も戻ってきそうにないし、いっそ彼女に頼むかと私は考えた。
「…フラン、キスしていいか?」
実験だのなんだの言わない方がより早く実行できるのではないか、と私は考えた。
「ん……え?キス?うん!しよしよ!」
それからの彼女の行動は早いものだった。
埋めていた顔をすぐに離し、私の顔の位置に持っていく。
一瞬だけ互いの視線を交差させ、その後すぐに唇を重ね合わせた。
まさに一瞬。誰から邪魔する隙もない早業だった。
「ん、ちゅ…ぷはっ」
少しして、フランは私から口を離す。
さて、肝心の味だが……正直な所、よくは分からなかった。
予想通り、濡れた唇の感触というか…やはりフィクションの表現は大袈裟だったか。
そこで私は思考を内部から外部に切り替えフランを見る。少し眠たげ(とろんとした、というのだろうか)な目をして、頬を赤く染めて蟲惑的な笑みを浮かべていた。
と、そこでふと思いつく。私はフランにも味を聞いてみる事にした。
「…フラン、キスとはどういう味がした?」
「ん…えーっとね、お兄さまの味…かな?」
えへへ、と、自分の発言が恥ずかしかったのか頬を染めて俯くフラン。やはり彼女もそういう表現をするか。
顎に手を当てしばし考える。以上の結果より導き出される結論は───
・キスとは、行為の対象の味がする
・私にそれを知覚する事はできず、フランには知覚する事ができる。
というところだろうか。後はその味を私がどのようにして知覚する事ができるようにするかの模索だが───
「……………お兄様?」
と、私がそこまで考えた所で不意にフランから声をかけられる。
…困った事に、思案してる間に彼女を置いてけ堀にしてしまっていたらしい。私の悪い癖だ。
「ね、お兄様、もう一回…しよ?」
フランは私に向けて両手を掲げた。恐らく、身長をあわせるために抱っこしろという事なのだろう。
私は両手を取ってフランを抱き上げ、もう一度口づけを交わした。
「……ん…」
相変わらず、何の味もしない。
対してフランの方はというと、口に残った味を噛み締めるように舌で舐っていた。
「……フランは、私が知らないことを知ってるんだな」
それなりに知識人になったつもりでいたが、目の前の少女にすら私の知識は劣るのである。
私は自嘲気味に、羨望の意も込めて彼女にそう言った。
彼女は私に三度目の口づけを交わし、やがて笑顔で言った。
「ん…うん。だから今度は…私がお兄様の知らない事、たーっくさん教えてあげるねっ!」
その言葉を聞いて、私の顔にも自然と笑みが漏れる。
長閑な午後の昼下がり、多くの犠牲を出して為された実験は、こうして幕を閉じた。
新ろだ441
帳簿整理も終わり、いざ就寝と言った時の事だった。
廊下から、ザックザックと言うか、ガッシャガッシャと言うか。
そんな、足音のような鈍い金属音が聞こえてきた。
確実に近づいてきているその音は、俺の部屋の前で止まったらしかった。
「○○、いるー?」
聞き慣れた声が扉から聞こえた。
「ん、フラン?」
「うん」
こんな夜更けにどうしたのだろう。
そう思ってから、吸血鬼ってば夜行性だってばよ、という事を思い出した。
まさか、遊んで欲しい、とか言われる訳ではあるまいな。
流石にそれは無いとは思うのだが、仮にもレミリアの妹である。絶対に無いとは言い切れない。
どうやって断ろう、などと考えながら、扉を開けると。
そこには、灯りを反射して光沢を放つ小さなぶたを持った、笑顔の女の子がいた。
背中の羽がぱたぱたと動いている。
「……どうした?」
「これ見て!」
ぶたを俺に差し出してきた。直後、ぶたの体内から、ガション、という豪快な音が聞こえた。
「……ぶただねぇ」
「うん、ぶたさん」
フランは相変わらず笑顔だ。何が嬉しいのだろうか。
ぶたを受け取る事にした。ズッシリとした重みが手に伝わった。
高級感溢れる重みだった。
やはり紅魔館。目の付け所が違う。そして、金の使い方が豪快だ。
そのぶたをよく観察する。
背中に、縦に短く横に長い小さな長方形の穴が開いていた。
「あ、貯金箱か」
「……何だと思ってたの?」
「いや……その……」
よもや、高い骨董品。等とは口が裂けても言えない。
今思えば、動かしたときに内部で音がなる骨董品なんて聞いたこともない。
どうやら、目の付け所が違ったのは俺だったようだ。
廊下で立ち話も何なので、フランを部屋に入れる事にした。
現在、テーブルを挟んで座っている。
そして、そのテーブルの中心に鎮座しておられるのがぶたの貯金箱。
そのつぶらな瞳は、付き合いの長いフランをじっと見つめている。
……いや、まぁ俺が向けたんだけど。
「それで……これがどうした?」
「お金、もう入らない」
フランが硬貨を取り出して、ぶたの体内へ続く唯一の穴に差し込む。
しかし、カチッという金属がぶつかるような音がして、これ以上進まない。
フランが手を離すと、硬貨は半分も入らずに止まっている。
「凄いなぁ、ここまで溜め込んだの初めて見たかも」
「!! でしょ、でしょ!」
俺が言うと、ようやく笑顔が引っ込めたはずのフランが目を輝かせた。
羽の動きがせわしない。
何だ? 何でスイッチが入ったんだ?
「いや、確かに凄いけど……もしかして新しい貯金箱が欲しいのか?」
「ううん、違うよ」
「違うの?」
じゃあ、一体何なんだ。れみりあうー☆って何なんだ。
真意が全く読めない俺に、フランの顔は少しずつむくれていく。
「○○、シラを切ってるの?」
「何でそうなる!?」
「だって、さっきから何も知らないって顔してる」
さっきの笑顔はどこへやら。
明らかな不機嫌顔になってしまった。
確かにここの会計管理を任されている俺が、フランが貯金をしていた事を知らなかった事には非がある。
ただ、フランのそれはどことなく違った。
「いや、実際に何も知らないんだ。フランが貯金箱で金を貯めてた事なんて、さっき初めて知ったんだぞ」
「……ほんとに?」
確かに悪いのは俺だ。そう、俺なんだ。
なのに、どうしてそんなに泣きそうな顔をするんだ?
「もし良かったら、教えてくれないか。別に教えちゃいけないってルールは無いだろ?」
俺の言葉に、俯いたフランがこくんと頷いた。
そして、顔を腕でゴシゴシと拭いながら、言った。
「この貯金箱、一杯にしたら、○○が、喜ぶから、お礼にずっと一緒にいてくれるって」
「俺が?」
「ううん、パチュリーが」
「パチュリーかよっ!?」
何言ってるんだよあの人。
っていうか、当事者無視で勝手に話決めるなよ。
「でも、知らなかったんでしょ?」
「あぁ、全く」
「……そうだよね」
やり取りを静観していたぶたを胸に抱いて、フランは椅子から立ち上がった。
「フラン?」
「お部屋に帰る」
「…………」
「だって、○○知らなかったんだもん。無理に言っちゃ、悪いもん」
あぁ、くそ。反則だろ。
そんな事泣きながら言われて、帰せるかよ。
「良いよ」
「……え?」
「流石に俺も忙しいからずっと、って訳にはいかないが」
「……ほんとに?」
さっきと同じ言葉だ。
しかし、その顔には悲しみは無く、驚きと喜びで満ちていた。
「暇があればフランに会いに行くよ。逆に、暇だったらフランからこっちに来ても良い」
「でも、お仕事が……」
「その時ぐらい、静かにしてくれるだろ?」
「うん……うんっ!」
満面の笑みのフランが飛び込んできた。
ぶたを、放り投げて。
「ちょ、ぶたぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
ぶたは、豪快な音を立てて中身をぶちまけた。
俺は、フランに飛び込まれて床に倒れこんだ。
部屋は、凄惨な状態になった。
現在、俺は床にぶちまけられた金を集めていた。
背中には、幸せそうなフラン。
「で、この処理に困る金、どうするの?」
「○○にあげる」
「いや、こんな小銭だらけ、貰っても困るんだけど……」
「でも、お金使わないから」
「……そっか。そう言えばフランは外出ないもんな。なら、ありがたく貰っておくよ」
「これで○○を買ったと思えば良いんだもんね」
「人身売買は犯罪です……」
「えへへ、ずっと一緒にいてね!」
「だから、ずっとは無理だって」
「じゃあ、いっぱい一緒にいてね!」
「うん、まぁ、それなら良いかな?」
今までよりも、もっと忙しくなりそうだった。
最終更新:2010年06月04日 00:27