フランドール10
コイン 中(新ろだ2-074)
「…あら?うどんげ、このまえ運ばれてきた○○さんの仏は?」
「え?まだ霊安室に置いてあるんですか?半月近くたったのに葬式やってないんですか?」
「彼の肉親は、いないからね…ほかの身寄りのいなかった仏と一緒に明後日葬儀する予定だったんだけど…」
「死体がなくなったって…大変なことですよね?」
「紅魔館の連中に知られたら厄介だし…しょうじき預かった仏はしっかりと供養してやりたいんだけど…」
…地下…
ゆらゆらと燃え盛る焔を背負い、グルグルと車輪を回して走る一つの人影
「ふぅー…つかれたぁ…」
火焔猫燐は多くの死体を猫車に乗せていた
疲れたのか、いったん止まり、一息つく
「おっといけない、今は休む暇はなかったね…あとちょっとあとちょっと…」
と思ったらまた駈け出した
紅く鈍く光る焔が、揺らめいた軌跡を残していく…
「あら、お燐お疲れ様」
「あ、お燐、お疲れ」
「おつかれー」
燃やす燃料の死体の山…そのそばには、空とさとり、こいしがいた
「あれ?さとりさまとこいしさまなんでここにいるんですか?」
空は火焔調節係だからいつもここにいるが、さとりがここに来ることは少ないしこいしはそもそも地上に出ていることが多い
「それがね、こいしがこのなかに探している人がいるかもしれないって言ってね、今探しているのよ」
「探している人?」
「うーん…半月くらい前に、地上で散歩してる人間がいたから驚かせようと思ったんだけど…」
「人間をかまおうなんて、珍しいこと思いつくんですね」
「その時に、その人間に足ひっかけて転ばせようって思ったんだけどね…」
香霖堂
「おや、いらっしゃい」
久方ぶりに客が来たと思ったら、ここらでは見かけない亡霊が入ってきた
こりゃ客としては期待できないと思っていたら、その亡霊は真剣に商品を眺めはじめる
「これください」
そして、探し当てた商品のお代と一緒に商品を僕に差し出してきた
「確かに…それでは今後とも御贔屓に」
「そうしたいのは山々ですが…」
そういいのこして亡霊らしく壁をすり抜けようとしたらしいが、商品が突っかかった
…気まずい沈黙ののち、普通にドアから出て行った
…そう言えばあの亡霊、どこかで見たことがある気がする
亡霊が出て行ってからすぐまたドアが開いた
「おや…いらっしゃい」
「おじゃまします…新しい種類の紅茶は入っていますか?」
来たのは
紅魔館のメイドだった 今日はまともな客しか来ない日だったらしい
「あ、それと…写真入れを」
「写真入れ?」
「ええ…妹さまに差し上げようと思って…」
妹さま、というと、
フランドール・スカーレットのことだろう
「ふむ…紅茶は特に新しいものはないが、写真入れならいいのがいくつかあるよ…ところでなぜ、写真入れを?」
「妹さまがよくなついていた方が、死去されまして…妹さまが大変悲しんでおられます」
「ああ、そういえば鴉天狗の新聞にも書いてあったね…書いた本人も結構悲しんでいたよ」
きっと死んだ方とは新聞に載っていた○○とか言う紅魔館によく入り浸っていた青年のことだろう
交流は決して広くない青年だが、交流がある人とのそれは色々と深いらしい
鴉天狗もその一人だったらしい…
「ええ…○○さんが死んでから妹さまは部屋から出なくなってしまいました…写真が一枚あったので、それを差し上げようかと思って」
「…あ…」
そう、やっとわかった…
「その○○君、いましがたここに来たよ…」
さっきの亡霊は、○○君だったようだ
三途の河岸
「おやぁ?亡霊からここに来るなんて珍しいこともあるね…」
絶賛サボタージュ中だった、眠そうな目をした死神もその珍しい存在を見て、がばっと上半身を起こした
「そうなのですか?人間が成仏したいと思うのは珍しいことじゃないと思うんですが」
「いやー、なかなかいい心がけだね…だけど、そんなに未練が残ってるんじゃ船に乗せたら沈んじまうねぇ」
「やはりですかねー…」
そう言うとその亡霊は特に残念ぶる様子も見せなかった
「それに、無銭乗船なんて受け付けないよ、ポケット漁ってごらん、三途の河渡れるやつなら金が入ってるはずだ」
「ええ、ありませんよ、だから僕はまだ渡れませんねぇ」
それを知っているようで、その亡霊はやはりそれほど驚かなかった
「それを知っててここに来るとは…一体どういう用件だい?」
再び地下
「えー、それでがけから落ちゃったんですか?」
吃驚はしたが、それでこいしを責める気は毛頭なかった
妖怪が人間を襲うことは、普通だ…それが普通で日常である
からかうつもりが殺してしまったなんて、妖怪にはよくあることだ
「うん…悪いことしたなーって思って…もしかしたらその死体をお燐が持ってきてるかも知れなくて…」
「それで、どうするんですか?」
「その顔を覚えてから、たぶん亡霊になってると思うから探しに行こうと思って…」
「なるほどぉ…じゃああたいも探すの手伝いますよ!」
「うんありがとう!」
そうして、四人の少女は死体の山をあさり始める…手始めにお燐は、自分の今日持ってきた死体をあさり始めた
こーりんどう
「そう…○○は亡霊になっていたのね…」
「そのようだねぇ…まぁ、そんな死に方じゃあ未練も残るだろう、たぶん僕だって残る」
香霖は咲夜にそのことを詳しく聞かれて、嘘偽りなく話した
「で、○○は何を買っていったの?」
「んーと…たしか指輪を買っていったね」
サボり魔が代表した河岸
「あっはははは!!あんたなかなか面白い奴だねぇ!」
「こんなに大きい未練残したんじゃ死ねませんしね…」
「いやぁ面白い…気に入ったよ!あんたが今度ここに来た時未練を全部解消できてたら、あたいがあんた運んであげるよ!」
「ええ、その時にはいろいろとこの件に関しての話を聞かせてあげますよ…」
「楽しみにしてるから、頑張りな!ああ、さっきも言ったけど、あんたが死んだ原因は…こいしに躓いて崖から転落死だからね?あと死体はさっきも言ったように地霊澱にあるよ」
「ええ、ありがとうございます」
三度地下
「あ、お燐!その黒いズボンの、その今右手で首つかんでるそれ!」
「え、これがその人間ですか?」
探し始めてから間もなく、○○の死体は見つかった
冷えた霊安室に安置されていたため、腐敗はそれほど進んでいなかった
「お、綺麗な死体だねー…顔も綺麗な死体だねー…」
「こういう顔なのか…よし、探しに行ってこよう!」
「待ちなさい、本当に亡霊になってるかなんてわからないわよ?」
「あれ…?これなんでしょうか…わぁ、綺麗なコイン…」
「あ、お燐それいいなー!私にちょうだい!」
四人がそんな話をしているときは気づかなかった…
ひとりの亡霊が地下億深くに入り込んでいたことに…
その日の夜…紅魔館
「そう…○○は亡霊になっていたのね…」
「そう…」
晩餐の時間、咲夜は今日の出来事を主と主の友人に告げた
「なんで紅魔館にまっすぐ来ないのかしら…亡霊だからって今までと変わらない扱いするのに…」
「きっと、何か考えがあるんでしょう…それにいても亡霊…か…」
ふとパチュリーが首をかしげた
「どうしたの?パチェ」
「○○は果たして未練を残すような生き方をする人間だったのか…そんな性格だったのか…」
「さっぱりとした性格でしたので、てっきりすでに転生の準備が住んでいるものだと思っていました…」
「まあ、それはともかくフランにこのことを伝えておきましょうか…咲夜、いきましょう」
「はい、お嬢様」
食事を終えた二人は、席を立った
「タイムリミットはあと三日間…」
一人残ったパチュリーはそう呟いた
同時刻地霊澱
「ほんっっっっっっとうにごめんなさい!!!!!!」
「…謝って住むことじゃないんですけどねぇ…」
こいしが、、亡霊に○○に深く深く頭を下げていた
殺してしまったことの罪悪感は思った以上にこいしを苦しめていたらしく、泣きながら謝っている
対する○○も、それなりに怒っている…というよりは、恨みを持っている顔をしていた
「姉として、私からも謝ります…許してくれとは言いません、本当にすいませんでした…」
「…正直、簡単に許すことはできませんけど、まあ今日はそのことでここに来たんじゃないんです」
と、○○は本題を口にする
「ここに僕の死体があると、死神が教えてくれました…その死体のポケットにコインが入っていたはずです…それを受け取りに来ました」
「コイン…ああそういえばう、空がやたらと欲しがっていましたね」
「しょうじきあれがないとこまりますね…どうか返していただきたい」
「それはもちろん…空、でてらっしゃい」
とさとりがいうと、一羽のカラスが飛んできて・・
人型になった…不満そうな顔をしていた
「ちぇ…気に入ってたのにな…」
そう言いながらそのコインを○○に差し出した
「うん…確かに返してもらいました…では、急ぐのでこれで…」
受け取った途端に○○は立ち上がり、地霊澱を後にした
「なんだい…無礼なやつだね…」
去ってからすぐに、猫形態から人形態になったお燐が愚痴る
「やめなさいお燐…遊びで殺されてしまったのにそのことをほとんど口に出さなかった分、あの人も相当我慢していたのよ」
「…今度もっとしっかり謝らなきゃ…」
「だからってあんまりにも不愛想ですよー!」
「正直、私があの人の立場だったら、あんなに冷静でいられる自信がないわ…」
それから色々と会話があったが、めんどくさいのではしょる
「フラン、ここを開けて、話したいことがあるの」
キキタクナイ…
「妹さま、どうかドアを開けてください…伝えることがあるのです」
キョウミナイ…
「フラン…!いい加減になさい、鍵を開けるのよ!」
ウルサイ…
どうせ○○のことは忘れなさいとか、そういうこと言うにきまってる…
なんで?そういう言葉がどれだけ私を苦しめてると思うの?
○○…優しかった○○…いつも私に面白い○○…私を恐れなかった○○…
あってから一度も壊したいなんて思ったことがない、初めての人
…この部屋から出たくない…○○のいない世界に触れたくない…
○○がいない世界なんて意味がない…ああ、そうだ、いいことをおもいついた
ミンナコワレレバミンナナニッモイワナイ…コノヘヤカラデルコトモナイ
ソシテ…ダレモイナクナレバ…
そうだ、この手に持つ世界を焼き尽くす焦熱の刃で、誰もいなくなれば…
甘い匂いで誘い込む罠もいらない、誰もいないから
星すら砕く矢は放たなくていい、もう壊すものがないから
恋の迷路にさまよって、悩み続けることもない
喜怒哀楽、四人の自分なんていらない…ダ レ モ イ ナ イ カ ラ
ジャアイマダケガマンシヨウ…ミンナコワシテミンナノメヲサマシテ…ミンナデ○○のトコニイコウ
ソウスレバマタオナジ…タノシイマイニチ
ガチャリ…と、ドアが開いた…
「やっとわかってくれたのね…」
そう言って、その鉄製のドアをレミリアが明けた先には…
「オネエサマ…アソビマショ…」
狂気の笑顔をたたえたフランが立っていた
「残り三日以内にやることは山積みだな」
○○は紅魔館目指して走っていた
コイン 下(新ろだ2-077)
「おねえちゃん、さっきの…○○って人、なんでコインほしがってたの?」
「…あんまり心を深くまで読まなかったんだけど…儀礼上必要…っていうのと、命に代えても欲しい、っていう相反した感情があったわね」
「もう命ないのに代わったお兄さんだったね~…ついでに礼儀知らずのー!」
「えー?さっき誰か来たっけ?」
『美鈴、あなたはここで待機よ…戦闘が終わったと感じたら、ここに着てあとをお願いするわ…今日は本気を出さなきゃまずそうなの』
「…うー…そんなこと言われても…こんな状態じゃあ心配にもなりますよぉ…」
今、紅魔館にて猛烈な爆発と、紅い槍、銀色に輝くそれと色とりどりの弾が飛び交う様を美鈴は眺めていた
これは弾幕勝負ではない…思考が暴走してもう弾幕も何もない純粋な攻撃をフランは行っている
止められるか?止められないか…それを、命令とは言え眺めることしかできないとは…
非常に歯がゆい…
「だーもー!○○が間抜けに死ななければこんなことにはならなかったのにー!」
「間抜けで悪かったねー…今度から差し入れなしだよ…」
「そうです間抜けで…ええ!?差し入れなしは嫌ですよ~!」
「わかったよ…はいじゃあこれ…」
「もう勝手に通ってください!死んでも知りませんからね!」
といって、そんな騒ぎの中勝手に○○は紅魔館に入って行った…
おそらく考えがごっちゃになってまともな状況が分析できなかったのだろう
「…ん?あの金のコインって、○○さんしか持ってないはずだけどなぁ…?あれ!?今の○○さん!?」
美鈴はあわてて紅魔館の玄関を見たが、すでに○○は館に入っていたのか、姿がなかった
「みんな!いなくなれば!もう何も変わらない!!」
「落ち着きなさい!フラン!」
もうこちらの言葉などまるで耳に入っていない様ね…!!くそ!多人数で攻めてるのが災いしたわ!
こっちは仲間に当たらないような手加減が必要だけど向こうはそういうのお構いなしだもの…
パチェは喘息が悪化でギブだし、咲夜は一発いいのを肩にもらって離れて止血中だ…
今は二人を守りながら戦わなくてはならない…
「これでしばらく眠ってなさい!!」
スペルカードも何もない…ただ純粋に魔力を練り上げて作った槍状のそれを、本気で投げつける
「うるさぁい!!さっさと壊れろ!!」
それを剣の形をした炎で思いっきりはじかれる…ッくそ!どうやら力は向こうが一つ上らしい
大きなハンデと、力の差…どうする?
「壊れろ!!」
その刹那…弾幕ではない光の弾が辺りを包みこむ…
よけることなどかなわない…まさに回避不能の弾幕…
「ック…普段から実戦のトレーニングをするべきだったわ!!!」
体内の魔力を一気に爆発させあたりの弾を吹き飛ばす…その衝撃で砂埃がまって…
「!!!ッガァ!!」
その時にはもうすでに目の前にいたフランの振り下ろした腕に当たって、地上にたたき落とされた
地面にたたきつけられる…!!しょうじき勘弁願いたいほど痛いのだが…
そして当たる直前に二本の伸びてきた棒に、体を支えられた…のではなく、地面との間に挟まってクッションになった
頭には衝撃が結構来て…そのまま意識を手放したようだ…目の前が真っ暗になって、意識もなくなった
最後のほうで○○の声の幻聴を聞いた気がする
レミリアがたたきつけられる寸前で何とか滑り込んで支えようとしたら、腕が地面と超高速で降ってきたレミリアに挟まれて…
「いってええええええええ!!!」
ボキンって音が聞こえたような気がして、つい大きくて情けない声を出してしまった
それが幸いしたのか災いした?
「え…○○…?」
上空で猛り狂っていたフランがまるで時が止まったかのように停止、そしてゆっくり俺のほうを向いた
「や、やあこんばんはフラン…いい夜だね!ワインなんかが今日のお勧め!?」
痛みのあまりでひきつった顔と、意味不明のハイテンションでおかしな言動が出てしまう
「○○…○○…」
地に足をついたフランが(俺も別の意味で浮き足だった足を地にどっしり落ち着けた)壊れたラジカセのように俺の名前を連呼して…
「ゴファア!!」
「○○ー!!!」
飛びかかってきた 腹のあたりに… 吹っ飛ばされた レミリアは寸前で瀟洒なメイドさんが回収してくれた
壁にくぼみができるほど強く頭打った…幽霊じゃなかったら死んでるな…あ、もう死んでる
「○○!○○!会いたかった、会いたかった!」
先ほどまでの狂気の表情などは○で消えて、泣きじゃくる年相応の女の子の顔を俺の胸にうずめてフランは泣いた
「…ご、ごめんね、俺、死んじゃってさ、ちょっといろいろあって、なかなか来れなかったんだよ…」
「うぅ…うぅぅ…!!」
聞こえてるか聞こえてないのか…聞こえてるなら嗚咽で返事してるな
「ほら!お土産だ!なかなか来れなかったから奮発したよ!前に欲しがってた!ほら!」
降りやりフランの顔を上にあげさせて、ポケットから取り出したそれを見せた
「ひっぐ…それって…指輪?」
真紅の色に光った宝石と、豪華な黄金色の光を放つリングの指輪…香霖堂で大特価で売ってたから買った(死神船の渡し賃はたく必要があったが)
「最後に遊びに来た時…「○○、私指輪がほしい!」っていってたよね!」
「…ふふ…下手なマネ、私そんな低い声じゃないよ…」
涙を流しながらも、ようやく笑ってもらえた
「やーっと笑った…久しぶりに遊びに来てずっと泣かれてたら、俺こまっちゃうよね、ほら、笑った笑った!」
「…うん!」
おお、この子の笑顔は満月のようだ…駄目だ、この表現は弱いな
おお!この子の笑顔は太陽のようだ!吸血鬼としていいのかそれ?…まあ比喩だからいっか!
「フラン、実は、今日俺はお願いがあってきたんだ」
「…何?」
「ええっと…ここで…コホン俺は人間をやめるぞー!!ジョジセフーーーーー!!!」
スコン! 頭にナイフが刺さった
「ぐおいてえ!!」
瀟洒なメイドは耳掃除も瀟洒で完璧みたいです
メイドを睨んだら、知らん顔で主の手当てしていた…うわぁ、今気付いたけど、羽もげてる
「…今の、何の真似?」
「気にするな!…それでさ…俺、またしばらく紅魔館に来れなくなるんだ…」
「え…」
言った途端にフランの顔が曇った…
「早とちりすんなよ!いいか?俺は必ず戻ってくるからな!」日数は約束しないが
「それまで、いい子にして、今日みたいに暴れたりせずに、待っててくれるか?」
「…わかった」
まじめな表情で話したからまじめな表情で答えてくれた…ええこやなぁ…
「それまでこのコインは預けておくよ…だから一旦俺のコインも返してk「いやだ」…なんで?」
「○○の大切なものなら、これ取り返しに来るように私が預かっておく!」
「一本取られた…よしわかった!」
長い話を(実際には五分くらい)終えて、俺はフランを上から卸立ち上がった
「コインを返してくれなかったことを後悔させてうやるぅ!次にここに来るとき、俺は泥棒だからな!覚悟しておけ!!」
そう言って、俺は華麗に走りさ…こけた
あははは!という笑い声となぜか飛んでくるナイフを背に受けて俺は門まで失踪した
「おかえりなさい…生きてたんですねー…」
「ほっとけ、で、美鈴よ、ひとつお前に、いいそびれた伝言を渡して奥からレミリアさんに伝えておいてくれ」
「めんどくさいですねー」
口では嫌がっていながら、美鈴の表情は嫌悪感ゼロだった
「ではこう伝えておいてくれ…ことは一年くらいかかるかもーってね…」
「わかりました」
三途リバー
「で?あたいに船賃代わりにあげるって言ってたコインは?」
「すいません、小さな小さな賢将スカーレットVERSIONに持っていかれました」
ジャパニーズ正座で鎌を持った死神にいいわけ 鎌…カマ…オカマ…
『えぐるわよ?』
聞こえない聞こえない…最強のオカマの声なんて聞こえない
「まぁいいか、あんたのその潔さと、生に執着する貪欲さが気にいった!乗り賃ゼロでいいよ!」
「感謝感激雨あられ!」
「土産話聞かせ終わるまで向こう岸につかないけど」
「鬼!悪魔!人間じゃねぇ!」
長い長い土産話約三時間後裁判所に到着
一本の太い釘を背中に刺したまま俺は船を下りた…太い釘はどっからかとんできた
「それはともかく裁判所…」
大きくて重厚な扉をあけると、そこには裁判長が、えらそうないすに座っていた
「これより、被告人○○の生前の罪、善行を比べ、天国行き、地獄行き、転生、のいずれかを決定する裁判を行います」
さあここからが俺の本当の勝負だ…
「まず、被告人○○は、生前大半を外界で過ごす…外界での生活はいたって平凡、ここで積んだ善行と罪はどっこいどっこいといったところです」
…ここまではOkです
「ここ幻想郷に来てからも、他人に迷惑をかけることなく、つつましい生活を送る…嘘もそれなりについたようですがね」
俺が嘘をついてるだなんて、嘘だといってよエーキィ!…すいません結構嘘吐きでした
「○○、あなたの人生においてもっともその…密度とでもいいますか…それが濃かったのは、わずかな間の紅魔館に通うようになった生活からです」
さあここからが最も重要だ…
「貴方は、あの館の中にあったわだかまりを見事に解消した…姉と妹の確執…図書館の魔女の人みしりの改善…さてここでひとつあなたに重要な知らせがあります」
なんだろうか?
「図書館の魔女はあなたが何をしようとしているか…知っています、その心を読み、今あなたが私に何をしようとするか、すでにわかっています」
GYA-------------------------------------------------!!!
「それは後にしますが…つまり、あなたが生前に積んだ善行は、十分に天国意気に値するものです…問題はここからです」
「貴方は、死んだ後、三途の河の渡し船の金を指輪を買うために使用、亡霊と嘘をつき…一度とある死神から逃げていますね?」
「う゛…はい、そうです…」
「報告は受けていますよ…次に、ああなたの死の影響で、紅魔館は崩壊しました…間接的ですがあなたにも罪は含まれます…最後に」
「…」
「地霊の姉妹に、なぜ偽りの怒りを見せつけたのですか?怒ってなどいなかったでしょうに」
「謝る姿を見てみたかったからです」
「嘘はついていませんねぇ…重い罪です」
ああもう過程は問わず結論を言ってよ!
「貴方は生前行った善行をすべて不意にしてまで…罪を積み重ねてまで、自分が思いを寄せているあの少女の為に…
亡霊ではないからあと数日で消えるであろう魂を引きずって、あの子に伝えることを伝えて、そしてここまで来ました…」
そして唐突に閻魔が木槌を打ち鳴らした カンカン、と、高い音が辺りに響く
「被告人○○は、生前と死後の行動に差がありすぎるため、一様に地獄天国どちらへ行くかは決められません!
よって判決!転生をし、もう一度人生を歩ませて結果をその先にゆだねます!」
「…あれ?」
おかしいな、俺の予定では転生って判決になるの難しいからこの後強引に転生に持ち込ませるためのラストカード(懐の閻魔の庁恥ずかしい写真)
で脅す予定だったんだが…
「なお、この転生については途中ででついえた生…その途中から…つまり、死んだ瞬間からの転生、さらに、本人の希望する種族にしてからのものとします
さらに、前世の記憶をすべて引き継いだ状態から…です」
「・・いたせりつくせりできょうしゅくで…」
その瞬間閻魔は目の前に来て胸倉つかんで…
「その代わりその写真をこちらに引き渡しなさい今すぐ早く…」
「…は、はひぃ…」
こわかったです、ええ…
「転生するにはこの道を通ってもらいますが、通常は数百年かかるところを、特別な理由により、かなり短くしてあります」
転生への道を前にして閻魔が俺にいろいろ教えてくれます
「知っての通り貴方の魂は亡霊でもないのに無理をしたため、残り二日で完全に消滅します…出口までたどり着けば、大丈夫ですがね」
「つまり今話しているこの時間も惜しいと…」
「その通りです、書類は今のうちに作ります、手続きも済ませます…なので急いで行ってきなさい」
「はい、ありがとうございました…」
思ったより簡単に転生できることになったので、俺は転生への道を走りだした…
「では、書類を作っておきましょうか…」
転生書類 ○○ 人間
転生希望種族 吸血鬼
性別 男
転生開始年齢 前世死亡瞬間
「…」
今日もフランは、ボーっと窓の外を眺めている
無論、日差しは入ってこない方角の窓だ
結局○○が騒々しく家を出て行って一年…
あの日から二日たった時パチュリーは多いに嘆き悲しんでいた(訳はフランなっ強引に聞き出した)
それを聞いても、フランは○○は帰ってくると信じているようで…窓を眺めていた
レミリアも、来ないとはわかっていながらもどうしてか、あいつなら来るんじゃないかと心の隅で思いながら…
○○が来る前の日常を過ごしている…
「どちら様ですか?」
「わかんない?俺だよ俺俺」
「俺俺詐欺ですか?幻想入りするぐらい古い手法ですよ」
「ああ、転生したからかな?もっとイケメンになったかもね?まあ…止めるというのなら…強引にINするお!」
「なに訳のわからないことを…!?」
いきなり門付近で猛烈な爆音が起きた
「!?な、なに!?」
フランもあわてて立ち上がり玄関のほうへ飛び立った
「あら、だいぶ変わっている不法侵入者ね…子供のくせに…」
「こう見えても二十歳超えてるから子供扱いやめてくれ」
「…その翼…」
レミリアはその侵入者をきつく睨みつけている
「貴方、吸血鬼?」
「その通りだよ…んもう!転生するのすごく疲れたからね!あの閻魔書類作るの後回し後回しにしやがって!本来なら五日で来れたの一年もかかったじゃねーか!」
「…貴方何を言っているのかしら…」
咲夜は変な顔でその少年を睨む
「まだわかんないの?俺だよ…○「○○ーーーーーーー!!!」グッハァァァ!!」
チュドーンという音とともに…またしても壁に頭強打
「…咲夜…吸血鬼って、一年であそこまで成長するものかしら…」
「さぁ?前世の年齢で転生したら、吸血鬼としてはまだ幼い、といったところじゃないでしょうか?」
二人は生温かい目で○○たちを見ていた
「頭がああああああああああ割れるううううううううううううううううううううう!!!!!!」
「ああ、ご、ごめん○○!」
「へー、あの閻魔も自分の秘密保持のためならなりふり構わないのねぇ…」
「そうですねぇ…そうだ、フラン…コイン」
「うん!はいこれ!」
「おうわが愛しのコイン…さてと、実は俺、フランに言うことあるんだよなー…」
「何?○○」
「好きです」
「!?」
「あら、○○ってロリコンだったのね」
「お嬢様、現状今日では、フラン様がショタコンなのですが」
紫魔女は○○が転生したことを知って、目をまわっして倒れたそうな
「私も…○○の事が好き…」
「よしOKもらえた…ほっとしたよ…それじゃフラン」
「な、なに?」
「これからよろしく…」
「うん…よろしくね!」
俺のコインはフランからもらった金色のコイン
フランのコインは俺が上げた銀色のコイン
このコインを握った手で互いに手を取り合い…カチャンと音がした
その日から幻想郷に吸血鬼は三人になった
全員もれなく紅魔館に住んでいる…全員幼い姿かたちである
ひとりだけ妙に幼くて、よわっちい吸血鬼がいた
男の吸血鬼だ…そいつだけほかの二人より家事ができた
フランと○○、二人の吸血鬼はとても仲良しで、その二人をもう一人のレミリアは温かく眺めていたそうな
その日から紅魔館は…いろんな意味でやかましくなった
その音は主に…狂喜するフランの声と、打ち鳴らされるコインの音だった
―――――――――スキマ―――――――――
最後グダグダだね…
長編ものは難しいと改めて実感
もう短いのしか書かないと誓った
新ろだ2-212
「ぬわー!」
HPは一桁、生きてることが信じられん
「これがスカーレット家48の必殺技が一つ、右ストレートよ」
「あとの47個、全部ものすげえ単純な技じゃないでしょか」
「軽口を叩けるなら死にはしないわね。咲夜、お客様はお帰りよ」
「はい」
俺はこれでも重症患者のはずだ
その患者の首根っこ掴んで引きずりながら玄関に持っていくとは、メイドにどんな教育をしてるんだここは
クソッ JAR〇に訴えてやる
「〇〇さん、忠告しておきますけど、ただの人間がお嬢様を怒らせるなんて自殺行為以外の何物でもありませんよ
だいたい、あなたはいつもフランドール様と遊びに来ていたんではないんですか」
「まったくそのとおりですねぇ。俺としても怒らせるつもりなんて露ほども無かったんですがねぇ」
それでここまで殴るなんて血も涙も無いな あいつは
「何を言ったんですか?」
「いえ、一言、[妹さんを僕にください]と」
言ったとたんに、ナイフが喉元に構えられた
メイド長って、こんな殺気満々の短気でいいのだろうか
よし、これから咲夜のことは心でターミネーチャンと呼ぼう メイドだし
「何でそんな事を言ったのか、理由をあまさず吐き出しなさい」
「別に隠すつもりなんて無いんですけど。何度も会ってるうちにフランも俺もお互い意識し合うようになって
俺が、結婚して一緒に暮らそうと告白したらものすごく喜んでくれたけど、フラン、お姉様が絶対許してくれないと諦めてるんですよ
それだったら俺がレミリアに頼み込んでやるということになり、次に地下室のドアを開ける時は
俺達の新しい生活の始まりの日だってカッコつけて言っちゃったんです
んで、今こうして瀕死の重傷を負ってるんですわ」
世にも微妙な顔をされ、ナイフが引っ込められる
「あなたねえ……理由はわかったし、フランドール様には幸せになってほしいと私だって願ってるわ
でも何でそう無策で突っ込むのよ。他にもやり方はあるでしょうに」
「ですよねえ……明日はもっと策を張り巡らせてやってみますわ」
「重症患者が明日来るとか言わないの」
翌日
「お義姉さん! 妹さんを僕にください!」
「「ホントに来た……」」
心底あきれた顔をする義姉さんとターミネーチャン
俺が[一日宿屋で寝ればHP・MPが全回復する程度の能力]を持ってる事を知らなかったらしいな
しかしMPってなんだ 使った事ないんだが
そして、今日は体に大量のニンニクと十字架をくくりつけている
これで義姉さんは近づく事ができず、俺の申し出を聞くしかないのだ!
フッ 自身の天才ぶりが怖いぜ
「ねえ〇〇、クモやムカデって好き?」
「は? いえ、嫌いですけど」
「じゃあ、自分の進行方向にムカデがいたら、逃げるかしら?」
「いえ、気にせず進むと思います」
「それが現状。つまりはそういうことよ」
……なるほど スゲーわかりやすい
「スカーレット流合戦礼法 ”右ストレート”が崩し……」
うわ、なんか右手から紫電がほとばしっ
「――ダッシュ・ストレート」
「あぎゃああああ!」
「悪に報いは 必ずあるのよ」
「決めゼリフまで……ぐふっ」
翌日
「お義姉さん! 妹さんを僕にください!」
「……いろいろ聞きたいこともあるけど、何で自分の周りに水を撒いたの?」
「ふっ 吸血鬼が水を渡れない事は調査済み! この円の中にさえいれば、義姉さんの攻撃を受けることなく
好きなだけフランへの愛をぶちまけることができるってことです!」
「……そうね、吸血鬼は流水を渡れない。それは本当よ」
「そうでしょうそうでしょう! それでは、諦めて俺とフランを……」
吸血鬼は、流水を渡れない?
流水を渡れない
流水を
流水
[流]水
「わかった?」
ええ、もう、嫌ってほど
「で、今日のおしおきは 刺し穿つ真紅の槍 と 無限熱量レミリア・インパクト どっちがいいかしら?」
どっちも死ぬじゃん それ
前者は投げられた時点で死亡確定、後者は灰が残れば運がいいってレベルじゃねーぞ!
「……ここは平和的に、かわいい妹とかわいい義弟の門出を祝福するっていうのは」
「かわいい義弟? それはどこにいるのかしら?
自分を知りなさい そんなオイシイ話があると思うの? あなたのような人間に」
「なんてひどい野……」
「無駄無駄無駄無駄無駄(7ページ中略)無駄ァアアア!!」
「ヤッダーバアアアアアアア!」
「お嬢様、燃えるゴミは月・水・金ですよ」
翌日
「お義姉さん! 妹さんを僕にください!」
(中略)
「な、なにをする きさまらー」
翌日
「お義姉さん! 妹さんを僕にくだ(略)
翌日
「お義姉さん!妹さ(略
翌日
「お義姉(略
翌日
「お(略
翌(略
なんか最近、俺へのおしおきが略されてる気がする
そして今日散ればめでたく100回目の玉砕だ
いや、フランのことを考えたら、めでたくもなんともなさすぎて困るんだが
「お義姉さん! 妹さんを僕にください!」
「毎日毎日ホント懲りないわねえ……はじめは嫌いだったあなたの事が、最近はちょっと気に入ってきたわよ
こっけいなコメディアンを見てるみたいで、退屈がまぎれるのよね」
「それはつまり、俺達の結婚を認めてくれるというわけですね!」
「かわいい妹をピエロに嫁がせろって言うの?」
「ううっ ひどい! ピエロだって一生懸命生きてるのに!」
こりゃまた今日も玉砕かなぁ
今までさんざんここに書いたら作者がイチャスレを永久追放されそうなことされてきたから、多少の痛みにはもう慣れたんだが
これ以上フランを待たせるのが正直心苦しすぎる。そしてフランに会えない俺も心苦しすぎる
しかし、絶対に俺達の結婚を認めてもらわなきゃならないし、多少の事なら耐え忍ぶ。フランと俺 ここが我慢のしどころだ
「それよりあなた、私に仕えない?」
「はいぃ?」
「なによ、その窓際部署に追いやられた警部みたいな声は
私を楽しませるための仕事、どう、あなたにはぴったりでしょ?」
……前言撤回。多少の事なら我慢する。しかしあくまで、[多少の事なら]だ
「…ふ、ざけんな……」
「え?」
「俺はアンタの妹との結婚を許してもらうために必死になってたんだぞ!
好きこのんでピエロをやってたと思ってんのか!」
「ほとんど素でやってたくせに……」
うっさい ターミネーチャン
「99日毎日毎日死にかけて、それでもいつかはアンタも俺が本気だってわかってくれると思ってたんだぞ!
それなのに、なんだそりゃ? いったい俺が何をしにここに来てると思ってたんだ!? 人をなめるのもいいかげんにしろ!」
「…………」
あ、ヤバいか? つい怒りに任せて言いたい事を言っちまった。でもこれは言わずにはおれないしなぁ
しかし、これで100回目の玉砕が確定しちまった
今回は久しぶりに原形をとどめず散る事になるかもしれん
「あなたは、どうしてそんなにフランに固執するのかしら?」
「そりゃ愛してるからですよ。吸血鬼だろうが、なんだろうが」
「……簡単に言ってくれるわね
それじゃあ、いつの間にか気になってた男が、妹を愛していると叫び続けられている。そんな姉は、どうしたらいいの?」
「なに?」
「変な勘繰りはしないで。あくまでたとえばの話よ
女に生まれたからには、素敵な男の人と恋がしてみたい。それは、吸血鬼の姉妹には全く縁のないこと
けれど妹は、タフなだけががとりえの馬鹿にだけれど本気で、情熱的に愛されている
姉はそんな妹が羨ましくてたまらない
そして、毎日馬鹿なことをやっているうちに、いつのまにか姉はその愉快な男のことが胸から離れなくなってくる
でもその男が姉のところに来る理由は、妹との結婚を承認してもらうためにだけ
最後には素直になれない姉は、仕事と称して男を自分のそばに置こうとするも、手酷く断られる
……ねえ〇〇、そんな惨めな姉は、いったいどうしたらいいの?」
「あー……」
「絶対にありえないけれど、荒唐無稽なたとえ話としてだけど、もしも、もしもよ
姉がプライドも何もかも捨てて、男に泣いてすがりついて、自分だけを見てほしいと叫んだら、二人の未来は変わるの?」
「うー……」
まいった
こんな展開は予想してなかった
ただのたとえ話って言ったって、これはまあ、そういうこと、なんだろうなぁ……
今までのようにボコボコにされるといったようなことなら、耐える事ができる
けど、女の涙は卑怯だ。それは相手の反論を一切許さない、呪いの一種じゃないかよ
「………紅魔館から、徒歩で30分圏内に住むこと。二日に一回は顔を見せる事。それが条件」
「へ?」
「それと、妹を泣かしたら、今までのおしおきを一日で全部やる の刑よ」
「三日分くらいで絶命しそうですね
って、それはつまり?」
「ええ。……あの子を、よろしくお願いね 〇〇」
「任せてください!」
深く頭を下げて、部屋を飛び出し地下室に向かう
さっきの話が気にならないわけじゃないし、なんで突然許してくれたかはぜんぜん分からん
けど、俺は頭が良くないので、悩んだっていい結果が出るわけないのはわかってる
それでも唯一絶対不変の事実は、俺の伴侶は地下室で待っている少女だと言う事
大切な事が分かってれば、あとはもう滅茶苦茶といわれようが行動するだけだ
今までもそうやって生きてきた、そして、これからも
そして、重い重い地下室の扉に飛び込もうと、俺は渾身のドロップキックを決めた
ゴキャッ
……妙な方向に曲がった足を引きずりながら、おとなしくドアノブを捻った
「ほんと、長いこと待たせてごめんな」
「遅いよ…遅すぎるよ……ばか…………」
「お嬢様」
「何も言わないで」
「ですが」
「いいから、今日は一人になりたいの」
「…………」
「私はね、まだ〇〇を諦めきれないの
あの男は馬鹿だけれど、包容力も優しさも持っている。だからフランを任せてもいいと思ってる。信頼してる。
だから近場に住んで、二日に一回も顔を見せて欲しいというのは、ただの私のわがままなのよ
ねえ咲夜、あなたは笑う? 妹の夫への未練を断ち切れないで、あわよくば、なんて事を考えてる私を」
「……誰かを好きになることを笑う事は、たとえ神でも許される事ではありません」
「そう ありがとう
それでも、今日だけは私を一人にして頂戴
……泣き顔は、やっぱり誰にも見られたくは無いのよ」
「かしこまりました」
最終更新:2010年10月15日 22:25