フランドール12
Megalith 2011/01/09
人類未来改竄素敵計画に比べればマシだ
地下に連れて行かれて初日は、そんなことを叫んで走り回るハメになった
生傷擦傷切傷、打撲捻挫にコブ三つ
それでも生きて帰れただけもうけもんだった
ほんと死ななかったのが鬼籍……もとい、奇跡だとみんなに言われたぐらいだしな
それが紅魔館の居候として置かせてもらってから一週間目
お嬢様は俺を処分するつもりで地下に連れてったんじゃ無いかとも思う
まあしかし、生きのこったんだ
その喜びを噛み締めて、こんな恐ろしい館は早いところおさらばしよう
近くに村があったな。しばらくはそこに置かせてもらおうか
「○○、今日から妹様の執事に任命されたから頑張ってね」
「おいおい咲夜さん、冗談にしてもタチが悪すぎるぜ」
しょせん居候の俺に断るという選択肢が用意されているわけも無く、その日から俺は地下に行くことになった
信じられるか? 傷も治ってないってのに。ここの労働条件はどうなってんだまったく
しかし次にあの弾幕を張られたらたぶん俺は死んじまう
大怪我してんだぞ? 完治どころか治療したばっかなんだぞ?
5000フィート上空から落っこちて全身骨折ですんで、なおかつそれを三日で治すような超人じゃないんだぞ俺は
毎日朝食にコーンフレークを山盛り二杯は食ってるけどさ
……なんて愚痴っても刑期が延びるわけでもなく、黒のスーツなんて着せられて地下に向かっていた
俺の喪服か? ずいぶんと用意がいいことで。しかし俺のためなら白い服のほうが火葬場に直行できるぜ
本音言えば逃げ出したいが、背中に抜き身のナイフ突きつけられて連行されてちゃ逃げるに逃げられない
「思ったよりも似合ってるわね、その執事用制服」
「俺としたことが花束を忘れた」
「タキシードじゃないのよ。あと、もうちょっとシャンとしなさいな」
「死地に赴く男に言うセリフじゃないな」
「そうは言うけどね、あなたを執事にっていうのはフランドール様きってのお願いなのよ」
「執事と生贄ってのは違うもんだと言っといてくれ」
ああ嫌だ嫌だ
しかしここでグサッとされるのはもっと嫌なんで、覚悟を決めて扉をくぐる
「じゃ、頑張ってね」
おいコラ! 流れ的にあんたも入るところだろここは! ちょっと待て! 閉めんな! 外の光をくれ! ヘルプミー!
…………閉まった。しかも外から鍵かける音もしてやがる
まずいな、今の俺は走れる状態じゃないぞ。本当は医者から歩けもしないと言われたが、そこは気合でなんとかなった
スゴいね、人体
「○○、だよね?」
「そんなイケメンな名前の男は知らん。ついでに言うと俺は弾幕ごっこは大嫌いだ」
「うちに一週間も居候してて食費も入れず仕事もしなかったごくつぶしの○○だよね?」
「……はいそうです。そして俺は弾幕ごっこは大嫌いです」
「やっぱり○○じゃない。それじゃ、これからあなたは私の執事だよ。よろしくねっ!」
「わかりました、それじゃこれからよろしく。そんで俺は弾幕ごっこは大嫌いです」
「そんなに私のことを嫌わないでよ。昨日は初めてこの地下室に男の人が来たから興奮しちゃったの。ごめんね」
「大丈夫だ。俺はフランのことを嫌ってないし、仲良くやっていきたいと思ってる。でも俺は弾幕ごっこは大嫌いだ」
「……弾幕撃たなかったら、仲良くしてくれる?」
「ああ、執事と言われても何をしていいのかわからんが、俺はかわいい女の子を嫌うような男じゃないぜ
しかし俺は弾幕ごっこは死ぬほどどうしようもなくヘドが出るほど大嫌いだ」
「しつこい! 次それ言ったらまた弾幕ごっこするからね!」
「い、いえすぼす」
「よろしい」
面白そうな人間が自分の弾を避けたから興味を持った。だからそいつを執事にしたってのが概要らしい
まあそれから、俺はフランに仕えることになった
まあ執事なんつっても気楽なもんだ。話し相手か遊びに付き合うかしか仕事が無いんだから
つまりフランはいっしょにいてくれる相手、友達に飢えてたってこったな
ずーっと一人ぼっちだった寂しさを発散するみたいに、フランは俺になついてくる
……問題は、もうそれが三日目だってことだ
飲まず食わずで一睡もせずにだぞ。そろそろ目がチカチカして幻覚まで見えてきやがった
「なぁフラン、そろそろ寝ないか?」
「やだ。まだまだ遊ぶ」
「しかしもう三日も寝てない。俺もすげえ眠い」
「じゃあ、このゲームで勝ったら寝ていいよ」
「チェスVS将棋はもうヤダ。俺が将棋で取ったのは死にっぱなしなのに、フランがチェスで取った駒は再利用可って日本軍不利すぎる」
「だってしょうがないじゃない。それがルールなんだもん」
「いや、ほら……しょうがないかはともかく………」
そこで限界が来たらしく、意識が途絶えた
三日ぶりの睡眠は、硬く冷たい地面に顔をぶつけながら訪れた
「○○! ○○っ!!」
「……OKOK、今日こそは床屋に行くからもう少し……」
「起きてよ! まさか死んじゃって無いよね○○!?」
天国ってのはこんなにうるさいところなのか?
そんなことをいぶかしみながら体を起こす
「あ、起きた!」
「うわっ、地獄かあっ!? そんなっ! 日曜に教会に行かなかったからって!!」
………ええ、ちょっとした冗談のつもりだったのに、危うく鼻の骨もってかれるとこだった
しかしまあこんな薄暗い天国なんざなんかあるわけない
それに、天国ってもんにはもっとも不釣合いな可愛い吸血鬼が俺の顔を覗き込んでんだしな
「よく寝てたわね」
「ああ。寝る前の俺は風が吹けば折れそうな紫もやしくらい弱ってたからな」
「ケンカ売ってる?」
「いやいや、俺は平和主義者さ」
フランの横に立っていた紫もやしの顔に青筋が走る
これ以上入院期間は延ばしたくねぇ
「冗談はともかく、俺ってここでどんくらい寝てたんだ?」
「この娘がここに連れてきた時は睡眠不足に脱水症状、あとは栄養失調直前の飢餓状態
丸一日寝てたから睡眠不足は解消されたでしょうけど」
「つまり不健康極まりないって事か」
喉も腹も減りすぎてもはや感覚がねぇ。なんでもいいから腹に入れたい
「なんか飲むものと食べるものあるか? マジで何でもいいけど」
「うん! あるよー!」
俺の手を掴んでしゃくりあげていたフランが、急に医務室の奥に走る
………チクリ、チクリと手首に刺すような刺激を感じる
この痛みが来ると、大概はなんかの危険が迫ってるってな俺内ジンクスがあるんだが……
「おまたせっ!」
………なるほど、今もそのジンクスは健在みたいだ
この茶碗に盛られた物は十中八九おかゆと言う食物だと思うんだが、俺の知ってる粥と言う食い物は虹色に輝かない
あとまんべんなく入ってるこの緑色の触手は何だ
「どしたの? 食べてよ」
「……ああ、あんまり美味そうで手をつけるのが躊躇われてな」
「………」
哀れみの表情で俺を見るな紫もやし
そうだ、イメージコントロールだ! これはリゾットだ、リゾットだから白くないのは当然だ
この緑色のはとってもおいしい邪神タコか宇宙植物だ
食えるかあっ!!
「わーいいただきまーす。おなかすいてるからすっげえおいしそうだー。ぱぱいっぱいいたべちゃうぞー。わはははははは」
「いっぱい食べてね。おかわりもあるよ!」
………ええ、食べる爆弾っていうのは、ああいうのを言うんだと初めて知りましたよ
下や口内の粘液を焼くというか、数十枚のカミソリや針が口で暴れまわる感覚と言うか……
あの白玉楼のおっとりしたお嬢さんでも、コレはムリじゃないかなぁ……
あれが宇宙粥なんですねぇ………
「入院ね」
「ええっ!?」
「見なさい。○○の体も虹色に発光しだしちゃったでしょ。ほっといたら死ぬわよ、これじゃ」
「でも、その間私はどうなるの?」
「地下に戻ってなさい。治ったらまた行かせるから」
「………私、嫌われちゃったかな?」
「平気よ。この男はばかで馬鹿でバカで仕方ない男だけど、自分に好意を持った者を嫌うような男じゃないわ」
「また、私と遊んでくれるかな?」
「弾幕ごっこ以外なら」
「……うん! じゃあ私は地下で、○○が来るまでおとなしく待ってるね!」
「あ、これを持っていきなさい」
「? 料理の、本?」
「ええ。今度はちゃんと、美味しいって言ってもらえるように頑張りなさい」
ノリだけで書いていたらパロネタが多めになってしまいました
そういうのが嫌いな方にはすみません
魔法使いと妹様(Megalith 2013/01/04)
フ「○○って頭いいけど相当の馬鹿だよねー」
○「何を仰るフランさん」
フ「だって独自の魔法理論の使用先全部わたしのためって馬鹿じゃないの?」
○「俺にとって一番大事なところですよ?」
フ「じゃあ例題」
○「なんでしょう」
フ「ある一人の男がただ一人の不死の女と一緒にいたいという理由だけで不死となりましたこの男は馬鹿でしょうか?」
○「馬鹿でしょう?」
フ「思いっきりブーメラン投げるわね」
○「自分が馬鹿なのは理解してはいますから」
フ「ならさっきのやりとりはなんだったの?」
○「自分で馬鹿と認めるのと周りから馬鹿と言われるのでは違うんですよ」
フ「ああそれは確かにそうかもねー」
○「ちなみに魔法の使用先が全部が全部フランのためということでもありませんよ?」
フ「そうなの?」
○「ええ、ですから全部ではなくほとんどが正しいです」
フ「例えば?」
○「そうですねぇ……暖房の魔法とか掃除の魔法あたりは咲夜さんのためですし」
フ「巡り巡ってわたしのためにもなってるよね?」
○「うぐっ……身体強化の魔法は自分のためですよ?」
フ「それわたしと遊ぶ時以外に滅多に使わない魔法の事?」
○「……パーティー用の魔法h」
フ「それ結局わたしも楽しませてるよね?」
○「降参です」
フ「意外と早かったね」
○「こういう時のフランにはかなわないなぁ」
フ「こうして聞くとわたしかなりひどい女だよね?」
○「どの辺がです?」
フ「ここまで貢がせておいて大好きの一言で済ませるあたり?」
○「いやいや何よりのご褒美をもらっておいてひどいとか思えませんて」
フ「周りから見たらだよ?」
○「そんなことを言う奴はお仕置きですね」
フ「どんな感じで?」
○「そうですねー縛り付けた上で俺たちのラブラブっぷりを見せつけるとか?」
フ「ないわー」
○「俺も言っててないと思いました」
フ「恋愛対象として大好きだけどラブラブって柄でもないしね」
○「恋愛対照的な意味で愛していますがベタベタするのは似合いませんしね」
フ「あなたも大概よね」
○「何がです?」
フ「ただ好きだからって理由で人間やめてわたしの執事になろうとしたところとか」
○「その上臆面もなく愛の言葉を並べておいていざ付き合ったらある程度の距離で満足してるところとかでしょうかね?」
フ「わかってるじゃない」
○「まあ自分でも理解してますから」
フ「歪んでるよね」
○「いいえまっすぐです」
フ「そうかな?」
○「ええ好き合っていればそれでいいじゃないですか?」
フ「それもそうね」
私のフランのイメージは落ち着いているときはこんな感じで
暴走してる時は色々ぶっ飛んでる感じ
魔法使いと妹様IF(Megalith 2013/01/04)
フ「○○って頭いいけどバカだよねー」
○「何を仰るフランさん」
フ「だってアナタが覚えた魔法ぜーんぶわたしのためじゃん」
○「俺にとって一番大切な事ですから」
フ「堅苦しいの禁止ー」
○「おっとすまんすまん」
フ「それでよし、話は戻るけどあなたって馬鹿だよね?」
○「ひどいな」
フ「じゃあ例えばなんだけど」
○「なんですかいな」
フ「とある男の人が長生きな女の人と添い遂げたいからという理由で長生きになりましたこの人は馬鹿?」
○「馬鹿だろう?」
フ「アハハッ、まるっきり自分のことなのに馬鹿って言ってる」
○「そりゃ自分が馬鹿なのは知ってるからな」
フ「じゃあさっきのやりとりは?」
○「自分で認めるのと人から言われるのじゃ違うんだよ」
フ「確かにそうかも?」
○「あと別に魔法覚えたのはフランのためだけでもないぞ?」
フ「そうかなー?」
○「おうよ、だから全部じゃなくてほとんどが正しい」
フ「たとえばー?」
○「そうだなぁ……暖房とか掃除の魔法は咲夜さんのためだし」
フ「あったかいとゆっくりできるし部屋がきれいだと心地いいもんね?」
○「うぐっ……身体強化の魔法は自分のためだし」
フ「いつも遊ぶ時に使ってる奴だね」
○「パーティー用の魔法h」
フ「あれ楽しいから大好き、また見せてよ」
○「降参だ」
フ「えへへ……なんだかんだ言ってやっぱりわたしのためなんだもん嬉しいなぁ」
○「こういう時のフランにはかなわないなぁ」
フ「こんなことしか言えないけど〇〇……大好きっ!」
○「こりゃ最上級のご褒美をありがとう」
フ「あーでもわたしってかなりひどい女だよねー」
○「こんないいご褒美もらってるのにそんなこと思いますかいな」
フ「それでも周りから見たらねぇ?」
○「そんなことを言う奴はお仕置きだな」
フ「どんな風に?」
○「そうだなー縛り付けた上で俺たちのラブラブっぷりを見せつけるとか?」
フ「してくれるのっ?」
○「すまん無理だ」
フ「大好きな○○と一緒ならわたしはそれでもいいんだけどなー?」
○「俺もフランのことは愛しているがベタベタなのは柄じゃない」
フ「全く○○も大概だよねー」
○「何がさ」
フ「ただ好きだからって人間やめちゃったりー」
○「その上愛してるだなんだと言いながらこの距離感保ってること?」
フ「わかってるじゃん」
○「わかった上でこうしてるからね」
フ「一線越えてもいいのよ?」
○「危険なことを言わんでくれ」
フ「むぅーつれないなぁ」
○「好き合っているんだからそういうのはおいおいでいいだろう?」
フ「それもそうだね」
ぶっ飛びきっているときはまともに話もできないので
ある程度落ち着いている時のしかし落ち着ききっているわけでもない妹様のお話
このような文で満足いただけたでしょうか?
最終更新:2013年05月11日 23:37