レティ1
1スレ目 >>58
「もうじきお別れね…」
「俺、待つよ。
また冬が来て、君が戻ってくれるのを」
「今までも何人かそう言ってくれる人がいたわ。
でも結果はいつも同じ、その人は次の冬までの間に別のいい人を見つけてしまっている。」
「レティ!俺の気持ちがそんなに軽いと…」
「そうじゃない、そうじゃないの。
でもひと冬の間でいっぱいの私と一年の季節全てを生きるあなたとでは流れる時間が違いすぎるの!
私にとってはいつもの一晩と同じにしか感じない時間、
でもあなたにとってそれは私と一緒に過ごした以上の時間よ。
その間、ずっと待っててだなんて私には言えない。
だから…ここでさよならしましょ。」
「…わかった、じゃあ、これでお別れだ」
「……うん…」
「でも、次に出会ったときにまた惚れ直すくらいは許してくれるよな?」
「…うん…あてにはしないけど、ちょっぴり期待してもいいかな」
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1スレ目 >>778
「あなたは、何を望んでいるの?」
今はもう消えかけてしまっている彼女が、そう問いかける。
もう、向こう側が透けて見えるくらいだ。
それは、彼女が存在できる季節――冬が過ぎ去ろうとしている証拠であった。
ある秋の日。
目が覚めるとそこは自分がいた世界とは明らかに異なる世界だった。
幻想郷、と後に知り合った緑髪の妖精は言っていた。
ここは、外界から隔離した世界であり、戻るのは困難であること。
戻る方法は、博麗の巫女に頼むくらいであること。
色々なことをその妖精に教えてもらった。
教えてもらった情報を元に神社を訪ねてみた。
そこの巫女に訳を話すと、色々と都合が悪いため、元の世界に戻れるのは春以降だと言われてしまった。
そんなことから、俺の幻想郷での生活が始まったのだった。
初めのうちは外界との差もあり、やはり一日一日を過ごすのが精一杯であった。
しかし、色々な人たちと触れあい、二月経つ頃には何不自由ない暮らしが出来るようになっていた。
そんな、幻想郷の生活にも慣れてきていた冬のある日、俺は彼女に出会った。
その日、俺はいつものように森で食料を調達して帰る途中であった。
しかし、その日に限って何故か道に迷ってしまった。
「まいったな…こんなことになると思ってなかったから灯りも何も持ってないぞ?」
そして、あても無く彷徨ううちに、俺は山に出てきてしまった。
幸いなことに、少し歩くと手ごろな洞穴が見つかった。
「今日はもう日も暮れるし、ここで一晩明かすか…」
凍えぬように寝支度をし、俺は眠りに就いた。
明くる日。
俺は誰かの気配で目を覚ました。
「あら、生きていたのね」
目を開けると、そこには俺の見知らぬ少女が立っていた。
「ところであなた、良く大丈夫だったわね。このあたりは妖怪が多い地域だというのに」
紫色の髪、青色の服、不思議な形の白い帽子。そしてそれと同じように白い肌。端整な顔立ち。
一瞬、見惚れてしまった。
「あら、私の顔に何かついているかしら?」
そうして首をかしげる少女の姿は、とても愛らしく思えた。
しかし、今はそれより大切なことがある。
「ちょっと、いいかな?」
「何かしら?」
俺はその少女に、道に迷ったこと、どこをどう行けばいいかわからないことなどを簡潔に伝えた。
「…ということなんだけど、道わからないかな?」
聞くと、彼女は指をある方角に向けてこう言った。
「この方角に真っ直ぐ行けば湖畔にぶつかるわ。そこから先は大丈夫でしょう?」
詳しく聞いてみると、ここはあの妖精(と、おバカな氷精)が住む湖から少し奥にある山であるということがわかった。
「ありがとう。それじゃあ、俺はこれで」
「ええ、気をつけて」
そして少し歩いたところで、ふと気づいて振り返った。
「…? どうしたのかしら?」
「そういえば、君の名前を聞いていなかったな。俺は○○。君はなんて言うんだ?」
「私の名前はレティ。
レティ・ホワイトロックよ」
「そうか、レティ、本当にありがとう。それじゃ」
そうして俺は無事に湖畔にたどり着いた。
―――これが、俺と彼女との出会いだった。
それから暫くしたある日。
妖精に聞いてみたところ、レティは冬の妖怪であるとのことだった。
思い起こしてみれば、確かに人間とも妖精とも違う雰囲気があったように思える。
そしてその後、氷精をからかって帰る途中。
湖畔に佇む、見覚えのある後姿が目に入った。
「よう、レティ。先日はどうも助かったよ」
「あら、何時ぞやの人間。…○○だったかしら?」
一応名前も覚えていてくれたようだ。
「覚えていてくれたのか。嬉しいな」
「それはまあ、あんなとこで生きている人間を見るなんてそうそうないからね」
…さり気無く怖いことを言われた気がする。
もしかして、俺は相当危ない橋を渡っていたのだろうか。
「と、ところで、レティはあの時なんであそこにいたんだ?」
俺がそう聞くと、レティは決まってるじゃない、と言う顔をしてこう言った。
「それはもちろん、あそこが私の住処だからよ」
「そ、そーなのかー…」
そこまでは気が回らなかった。
まさかあんな洞穴に住んでいるだなんて。
「それはまた、勝手に使っちゃって悪いことしたなあ」
「いいのよ、別に。大して使ってないし。あの時も気まぐれで戻ってみただけだしね」
その後、俺はレティと他愛も無い話をして別れた。
別れ際に、いつもはどこにいるのかを聞いてみると、
「大体ここにいるわ。若しくは洞穴」
との返答が返ってきた。
それからというもの、俺は毎日のようにレティと話をした。
外界のこと、神社の巫女のこと、魔砲使いのこと、氷精のこと…。
いろいろな話をした。
彼女といると、時の経つのを忘れてしまうほどだった。
あの時はしみじみと見る余裕もあまりなかったが、今こうしてみるとやはり彼女は可愛かった。
いつしか俺は、レティに友達以上の感情を寄せていた。
それからまた暫くしたある日のこと。
冬の終わりを感じさせるような、少し暖かい風を感じながら、俺はいつもの如く湖畔でレティと話していた。
話がみょんなことから春の妖精の話になると、彼女は複雑な表情をした。
「レティ? どうしたんだ、さっきから浮かない顔して」
「いや…ね。春になると、私はまた消えなきゃならないから…」
そうだった。
以前妖精から聞いていた通り、レティは冬の妖怪だ。
それはつまり、春になると存在は出来なくなるというわけで…
「風ももう暖かくなってきているし…もうそろそろリリーが来る頃かしらね」
それはこのひと時が終わりを告げることを意味する。
そして、すっかり忘れかけていたが、春になれば俺は外界に帰らねばならないかもしれない。
…つまりは、レティともう会えなくなる、ということだ。
そのことを自覚した瞬間、俺は心に大きな穴が開く感じがした。
その夜。
俺は悩んでいた。
レティにこの思いを伝えるべきか否か、外界に帰るべきか否か、を。
悩みに悩みぬいた結果、決断は明日レティに会ってからにしようということにした。
その日、レティは湖畔に現れなかった。
次の日も、その次の日も現れなかった。
もう、消えてしまったのではないか、という考えが頭をよぎった。
半ば諦めかけ、家に帰ろうとした時、ふと彼女の言葉を思い出した。
「『若しくは洞穴』…か。行ってみるか!」
急ぎあの洞穴にやってくると、果たして彼女はそこにいた。
「…レティ」
俺が呼びかけると、彼女はこちらを振り返って少し驚いた表情をした。
「○○…どうして?」
「どうして、って言われてもな…気になったから来たんだ」
「…そう」
俺が近づこうとすると、彼女は俺を手で制した。
「あなたは、何を望んでいるの?」
今はもう消えかけてしまっている彼女が、そう問いかける。
「あの時からあなたはいつも私と一緒にいた」
もう、向こう側が透けて見えるくらいだ。
「あなたは、私に何を望んでいるの?」
それは彼女に残された時間が少なくなっていることを意味する。
もう、悩んでいる暇は――ない。
「レティ、一回しか言わないからよく聞いてくれ」
一つ深呼吸をする。
そして、一息に言い切った。
「俺は初めて会ったあの時からレティ、君のことが――好きだ」
レティが息を呑んだのがわかった。
暫くの沈黙の後、レティが口を開いた。
「私は…私は、あなたといると楽しい」
「それは、俺も一緒だ」
「でも…私は冬にしか存在できない、だから…」
「関係ないさ」
レティの言葉を遮るようにして俺は言った。
俯いていたレティが顔を上げる。
「たとえ、レティとは冬の短い間しかいられないとしても…俺はそれでも幸せだ」
「…いいの?」
「ああ」
「他の季節はあなたを悲しませてしまうけれども」
「永遠に冬が来ないわけじゃないんだ、待ち遠しくて悲しむ暇も無いさ」
「私は妖怪、あなたは人間」
「何を今更、種族なんて関係ないだろう?」
「…本当に、いいの?」
「レティじゃないとダメなんだ」
「…嬉しい」
そう言って、レティは俺の胸に飛び込んできた。
初めて抱きしめた彼女は、冷たくて、そして――温かかった。
「今年の冬は、長かったわ…」
俺は何も言わず、レティを強く抱きしめる。
「あの紅白や、白黒、おかしなメイドに初めて会ったときなんかよりもずっと、ずっと…」
彼女のぬくもりを逃がさないよう。
「また、来年会えるわよね?」
「もちろん」
最後に微笑むと、レティは光とともに消えた。
「春ですよーっ!」
窓の外からリリーの春を伝える元気な声が聞こえる。
レティが消えて程なくして、春が訪れた。
俺は巫女のところへ行き、ここに留まることを告げた。
巫女は呆れたような顔をして、
「ま、せいぜい妖怪に喰われないように注意しなさい」
なんてことを言ってきた。
妖怪に喰われる、か…。
そう考えると、俺は既に妖怪に喰われてしまっているのだろう。
レティに、俺の心を。
桜が散り、新緑の若葉が生い茂り、紅葉し、やがて枯れ落ち、冬が来る。
俺が幻想郷に来てから、もう1年以上が経った。
今日のこの寒さならば、きっと雪も降るだろう。
雪が降れば、きっと彼女も帰ってくるだろう。
冷たくて温かい、誰よりも愛しい彼女が。
「ただいま、○○」
自分で自分のをここに並べるのは非常に気が引ける件について。
だれか レティ たのむ
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>>212
寒いと言えば
「また会えたねレティ!今冬も俺と付き合ってくれ!」
と毎年言っては振られてるorz
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>>539
「そろそろ冬も終わりね」
「……そうだな」
そう俺の横で感慨深く呟くのは、冬の精霊レティ。
幻想郷では数少ない大人の女性の一人である。
四季折々の風物詩の一角。つまり冬しかいない、いれない彼女はもうすぐ消えてしまうわけで……
「そんな顔しないで? 決して今生の別れ、というわけでもないのだし」
そんなに顔に出ていたのだろうか。まあ他でもない彼女が言うのだからそうなのだろう。
「レティがずっといれるだけの冬があればいいのにな……」
「いつかの時みたいに? ふふっ……私たちの所に巫女が来るわよ?」
「もしくは魔法使いか瀟洒なメイド、か。そりゃ勘弁」
軽く笑いあう。
渡すなら……今か。
「なあレティ」
「なあに?」
「少し早いけど、ホワイトデーのお返しだ」
直接手渡すのも気恥ずかしく、彼女に向かって放り投げる。
俺の投げた小袋は放物線を描き、ぽす、と軽い音を立てて彼女の腕に収まった。
この陽気では当日が来る前に彼女は消えてしまう、と予想した俺は急遽こーりんの店でクッキーを調達してきたのだ。
「……ありがとう、嬉しい」
そう感謝の言葉を紡ぎ、冬の精霊とは思えないような暖かい笑顔を浮かべた。顔が熱くなるのがよく分かる。
この笑顔を再び見るために、一年かけて俺は彼女を待ち続けるのだろう
(惚れた弱み、だな)
レティが嬉しさのあまり周囲が吹雪かせているのを感じながら、思わず苦笑する。
これが⑨だったりしたら問答無用で叩き落す所だ。出来るかどうかは別として。
そしてその数日後、ホワイトデーを待たずして彼女は消えてしまった。
……さよならレティ。また、来年。
書いてる時は暖かいのに、いざ投稿する日はクソ寒い罠ww
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3スレ目 >>78-79
78 名前: 名前が無い程度の能力 投稿日: 2005/12/21(水) 13:59:52 [ zas95HEM ]
窓の外は猛吹雪だ。
今日いっぱい降りこめて、今夜にかけてはさらに激しく降るらしい。
昨日の雪下ろしのお陰で外套はびっしょりで、天気が悪いから着替えもまったく乾いていない。
窓の外でレティが笑いながら、おいでおいで愛しい人と手招きしている。
さて、男ならここでながらうべきか死すべきか。
何が春だ。
こちとら冬真っ盛りだ馬鹿者もにょ。
79 名前: 名前が無い程度の能力 投稿日: 2005/12/21(水) 15:22:53 [ QO9wgSB6 ]
78
反対にレティを家の中に連れ込む勢いで。
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4スレ目 >>689
「春は涼しく過ごせる所を探す。夏はお前がよく眠れるようにに氷を持ってくる。
秋はお前が来る時の準備を始める。冬はお前と一緒にずっといる。それでいいか?」→レティ
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6スレ目>>92
最近、めっきり冷え込んできた。
(……そろそろ、かな)
ふと思い立ち、軽く厚着して散歩に出る。
肌を刺す、とまではいかないがそれでも十分に寒い。
吐く息は白く、地面には枯葉が積もっている。
……この分なら、会えるだろうか?
微かな期待を胸にぶらぶらと。どこぞの巫女のように。
そして小一時間後、俺は紅魔館の湖前に辿り着いた。
決して妖精の仕業で迷いこんだではない。
俺は最初から、ここを終着にするつもりだったから。
「……寒」
流石に水場という事もあり、ここは一段と風が冷たい。
普段の俺なら、こんな寒い場所には絶対に近づかないのだが……。
……お、いたいた。
湖の畔に、俺に背を向けた状態で佇む一人の姿を発見。
半ば確信していたとはいえ、それでも自分の予想通りだと嬉しいものがある。
「……」
ここでほんっとうに唐突に、彼女を驚かせたい衝動に駆られた。
平時は落ち着き払った彼女の驚いた顔は、さぞ可愛いことだろう。
が、俺の足音によって、彼女はもう少しという所でこっちを振り向いた。残念。
まあ、こんなもんだよな。
「おいーす。半年ぶり」
半年振りに再会した事など、微塵も感じさせずに軽く手を上げ挨拶。
てっきり、向こうも柔らかく微笑んでくれるものだと思っていたのだが……。
「……遅かったのね」
目の前の女性は、少々お冠だ。
怒った顔も可愛い、とか言ったら更に怒るのは間違いないので言わない。
しかしなんというか、これはつまり、そういう事なのだろう。
「あー、すまん、どれくらい待った?」
「二日と半日。てっきり忘れられたかと思ったわ」
そう言って、冗談っぽく笑う。
半年前、最後に彼女と此処で別れた時と、何一つ変わっていない。
そう直接言ったら
「○○も」
と苦笑混じりに返された。微妙な気分だ。
まあいいか。
「とりあえず、今年もよろしく、レティ」
「ええ、こちらこそ」
――今年も冬が始まる。
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6スレ目>>276
「俺は、暑いより 寒いほうが好き・・・・・・かな」→レティ
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うpろだ338
「おい妖怪、お前がこの豪雪の犯人か?」
「もしそうだとして、人間が何か出来るとでも?」
「少なくともお前を殴るくらいは出来る」
吹雪の雪原で雪女に喧嘩を売るとは、自殺願望でもあるのか
適当にあしらってやろうと思い気温を下げる
「・・・気温を下げるのか、吹雪を強くしたり・・・まるで雪女だな」
「似たようなものよ」
おかしい、既に相当な寒さのはずだ、なぜ凍りつかない?
更に下げる・・・変化なし
「・・・」
何も変わりないように男は向かってきた
「な、なんで!?なんで人間のくせに!?なんで効かないの!??」
「気合だっ!!」
その一言と共に走った衝撃、消え行く意識の中、そんなアホな、なんておもった
「目が覚めたか雪女」
「っ!?」
がばっっと起き上がる
どうやら山小屋のようだ
「・・・何のつもり?」
「いや、お前を倒せば吹雪が止むと思っていたんだが・・・弱くはなったが止まんので困っていたのだ」
この男・・・莫迦か?
いや、それにしても・・・やっぱり莫迦なのか
「・・・なんで私を倒しにきたのよ」
「あー・・・最初は交渉するつもりだったんだがな」
「交渉?なんの?」
「このちょっと先に小さな集落が在る、今冬は吹雪が止まないせいで色々と困っていてな、それでこの吹雪の中まともに動ける俺が交渉役に選ばれたわけだ」
「・・・吹雪を止めて欲しかったのね」
「うむ、しかし・・・此方の勘違いであった、手荒な真似をしてすまない」
深々と頭を下げる男、莫迦だが悪い奴ではなさそうな・・・気がする
「・・・ま、別にいいけど・・・吹雪さえ止めば何とかなるの?」
「ああ、せめて食料を里から買ってこれれば何とかなるらしい」
「ふーん・・・仕方ないわね、力を貸してあげるわ」
「本当か!?ありがとう!」
強める事はあっても弱めることはないからなぁ・・・ちゃんとできるかしら?
「俺は○○、お前の名前は?」
「へ?れ、レティよ、レティ・ホワイトロック」
「そうか、レティか・・・宜しくレティ!」
こうして食糧不足の集落を救う人間と妖怪の作戦が始まったのだ
~プロ○ェクトⅩ~
かぜのなかのすーばるー
「一つの集落を食糧不足が襲った、外は猛吹雪、里にいけるような状況では無い」
「皆は、絶望した・・・しかし其処に一人の男が立ち上がる」
すなのなかのぎーんがー
「その男は冬の妖怪と協力し、見事一つの集落を救うことに成功した」
みんなどこへいっーたー
「恋に落ちる二人・・・しかし二人を待っていたのは、種族の違いという大きな壁であった」
みおくーらーれることもーなくー
つーばーめよー(ry
~プロジェ○トⅩ~真冬への挑戦者達
今冬下旬公開予定!!
「ふーん・・・久しぶりに映画でも見に行くか」
~完!~
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>>うpろだ536
「あれからやっと一年か・・・・。」
俺はひっそりとそうつぶやいた。
晩秋、いや定義上今は初冬。俺は博麗神社にやって来た。夜が明けてまだ早く、息が少し白くなる。だが、神社の周りの木々は所々まだ黄色や紅に色づいていた。
一年間待った。いや一年間の猶予とも言うだろうか?俺が思いを伝える為に並べる御託を考える猶予。
俺は去年の二月、彼女と別れた。別れ際、彼女に思いを告げた。だが、その声が届く前に彼女は消えていた。彼女の答えを聞く事はなかった。
正直ばかばかしいとも思う。彼女は妖怪で俺は人間。共に生きる事など出来ないのだ。だが、この思いを伝えて、相手の答えを聞いて、無惨に砕け散るまで、俺は諦める事は出来ない。人間は、自分の欲求を満たそうとするから。
ばさっと布団がめくれ上がる音がする。巫女が起きたのだろう。それから五分後、彼女は外の様子を見に来る。そして、肩をすくめた。
「本当、懲りないわねぇ。今日来るかどうかだって、分からないのよ?」
「いつ来たって構わないようにしてるだけさ。誰も今日くるとは思ってない。それに、これを日課にすると体が鍛えられるんだ。」
「そもそも、妖怪と人間は、共に生きる事なんて出来ないのよ。」
「俺は別に共に生きようなんて事は考えてない。駄目でもともとさ。ただ、この思いを伝えないと、諦めがつかないんだよ。」
巫女は大きくため息をついた。そして、神社の中に戻ろうとする。
「ま、好きにしなさいな。私は何も止めないわよ。」
戻り際、彼女は呆れた声でそういった。
俺はそんな彼女の事など気にせずに空を見上げる。そのときだった。
「あらあら、空に何かあるのかしら?」
それは、一年前、厳密には九ヶ月前に聞いた声。俺は振り返った。俺の後ろに、彼女はいた。
「久しぶりだな。」
「ええ、別れ際、貴方が何か言うのが気になったから。戻って来ちゃった。」
「覚えていてくれたのか。」
「ええ。覚えていたわよ。○○。」
「覚えていてくれただけでも嬉しいよ。レティ・ホワイトロック。」
「で、あのとき、貴方は私になんと言おうとしてたのかしら?」
彼女は微笑みながらそう言った。俺は一瞬息詰まる。だが、俺は、彼女にそれを話すことにした。わしわし。と頭の後ろを掻きながら。
「レティ。あのさ・・・・」
九ヶ月かけて考えた「御託」を並べて。
俺たちの「冬」は、この時から始まった。
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>>うpろだ542
出会いはいつも、唐突で
別れもまた、唐突で
「……寒ぃ」
ついぞ数日前までは秋と呼べていた気候も、いつのまにか真冬のソレへと変貌を遂げている。
まだ年が変わるには余裕が有り過ぎるというのに。
今頃里では急な変化に慌ててるだろう。雪吊りとか。
手伝うはずのところを抜け出して、こんな森へ来ているのも訳がある。
白い息を吐きながらふと思う。
「1年……か」
厳密には1年ではなく、もう少し短いのだが
それでも俺にはとても長く感じられる。
漠然と過ごす時間と、待ち焦がれる時間では、天と地程も違うのだ。
森へは毎日のように来てはいたが、こうして待つために来るのは久しぶりだ。
「おーい、いるんだろ?」
アイツが来ていなければここまで冷え込んだりはしないから。
いないならいないで、別にいい。
また明日来て呼びかけるだけだ。
「だんまりを決め込むか……」
その場にごろりと寝そべる。
急いで走ってここまで来たせいか少々疲れていた。
(また明日……かな。嗚呼、帰って晩飯の支度もしないと……)
ゆさゆさと、体を揺さぶられる。
「――きな い」
「……」
「――おきてってば」
「……んー……あと5分ー……」
「あと5分すら惜しいと言っていたのは1年前のあなたじゃなかったかしら、○○?」
寝ぼけた頭がようやく声の主が誰かを認識する。
眠気なぞ一瞬で吹き飛ばした。
飛び起きようとして
ごいんっ
「「っ痛ー……」」
頭をぶつけた。
肉体労働で慣れているせいもあってか、すぐに立ち直る。
若干涙の滲む目を開けた先には、額を抑えてうずくまる待ち人の姿があった。
かけたい言葉が山ほどあったはずなのに、月並みな事しか口から出てくれなかった。
「よう、久し振り。遅かったな」
すぐに立ち直った俺とは違い、さすがに妖怪といえど女性。
……ついでに結構な勢いでぶつかったせいか。
レティは涙目で俺を睨んでいた。
「優しく起こしてあげようと人が親切心を出してみれば……」
「あー……その、なんだ。……すまん」
両手を合わせて平謝り。機嫌をとること約5分。
ようやく普段の彼女に戻ってくれた。
「久しぶりね」
「ああ」
淡々と会話を始める。顔は合わせない。
背中合わせでだらだらするのが、俺達のスタイル。
「待たせちゃってる間は退屈じゃなかったかしら」
「焦がれすぎて死ぬかと思ったぜ」
死ぬかも、はさすがに誇張だけど苦痛に感じる程になってしまったのは事実。
「やめてよ、冗談に聞こえないから」
「冗談だ。ホントは酒屋の娘と……って嘘ですごめんなさいその右手に収束させてる冷気を早く散らして死んじゃう、死んじゃうから!」
うわあ、意外に嫉妬深いぞ……心にしっかりと刻んでおかねば。
「冗談でも……次にそんなこと言ったら許さないからね?」
「……イエス、マイフェアレディ」
「何?それ」
「"分かりました、我が愛しの人よ"という異国の言葉」
「…ばっかみたい」
口調とは裏腹に、後ろからは嬉しそうな気配が伝わってくる。
よくやった、俺。
「だけど、どうして今日だって分かったのかしら?」
「寒いじゃん、今日」
「それだけ?」
「あ、あとはそろそろレティが待ちきれなくなるかなって」
待ちきれなかったのは俺だけどな。
「そうね。確かに、待ちきれなかったわ」
「まだ年が明けるまで一月半もあるぜ?」
「それだけ貴方に会いたかったのよ」
背中の温もりが一瞬離れた後、包み込むようなモノに変わる。
どうやら背中同士から抱きつかれる形に変わったようだ。
「ま、そういうわけで」
「?」
「これからまた春までの間、よろしくな、レティ」
「こちらこそ。よろしくね、○○」
目の前に回されていた手を優しく握る。
冬の精といわれる彼女だが、その手はとても暖かかった。
「なぁ、ところで」
「何?」
「お前、少し太ったか?」
「……氷像にされたい?」
「嗚呼、それもいいな」
「馬鹿」
まだ11月半ば。
春が訪れるとされるまで、三月半。
今年は彼女と何をして過ごそうか……。
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10スレ目>>228
「ああ、やっとこの季節が来たんだな」
つい先月まで暑さが続いていたというのに
すでに吐く息は白く、窓から外を見れば霜が降りているのを確認できる
「・・・雪が降るのはまだかな、でも案外・・・」
この青年、冬を、この寒い季節を待ちわびていた
それには一つの、想い
「さて、探しにいくか・・・」
厚手のコートを羽織り、雪が入らぬようにしっかりとブーツを編んだ
そして彼は適当、もとい直感でふらつくのだった
「やっと・・・私の季節が来たわね、うふふふ」
野原に生えた高い杉のような木、他の草類はほとんど枯れている
その杉の木の上で、両手を組んで偉そうにふんぞり返っている雪女
「ああ・・・此処に居たのか」
そこは今年の冬の終わり、彼女と別れた所
「えっ・・・○○・・・・・・○○っ!」
木から飛び降り一目散に俺のところへ
ああ、せっかくのパンチラが
「○○っ」
そのまま俺の懐にダイブするレティ、俺はしっかりとそれを受け止めた
「あれ・・・しっかりと受け止めたね」
「そりゃあ・・・冬までにはもうちっといい男になってるって約束したからなぁ」
目標はレティをお姫様抱っこ!だったんだが・・・いや、昨年度までは貧弱だったんで、いやいや
まぁ見栄を張るために鍛えたんだが・・・順調にマッチョになりつつある
「・・・お前は相変わらずぷにぷにしてるな」
「んっ、ば、ばかそんなと、こ」
むにむにと一年近くぶりにレティを確認した
「・・・レティ」
遊んでいた手を彼女の肩において、引き寄せる
人肌の恋しい季節、俺は彼女の唇の感触に、寒さを忘れて
「ぷぁっ・・・そんなところは相変わらずなのね」
「レティ・・・会いたかった」
強く抱きしめる、それだけで安心した
久しぶりに彼女にあって、抱きしめて、キスをして、それだけで別れが怖くなった
だから忘れる為に、彼女を抱きしめた
「・・・暖かいのね・・・とけちゃいそう」
「あー・・・」
「ど、どうしたの!?」
「いや・・・幸せすぎるなぁ、と思ってな」
幸せだ、何を恐れる事があろう
年に半年足らずしか会えなくとも十分、一年分の幸せをその間に謳歌すればよし
「さぁレティ!遊びにいくぞっ!」
「ええっ!?何処に!?」
「とりあえず
チルノのとこだー!」
俺は彼女の手を引いて走る、今年の冬も、疲れるまで遊ぼう、あの馬鹿なちびっ子も一緒に
そんな冬がずっとずっと続いていく事を願いながら
~終~
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>>うpろだ693
辺り一面の雪化粧。肌に感じる白銀の風。
そんな冬景色の中、一本の木の根元に俺と彼女は立っていた。
「雪は良いわね。これがあるからこそ、私の時間な気がするわ」
粉雪舞い散る空を見上げながら、彼女は何の気無しに呟いた。
「お前が頑張れば雪ぐらい降るだろ」
「自然に降るのが良いのよ」
そうかい、と適当に返して辺りの雪に目を落とす。
彼女の方も気分を害した様子も無く、そのまま空を眺め続けていた。
暫くの沈黙の後、冬服とは思えない軽い服を纏った彼女――レティに訊ねてみる。
「今日はクリスマスらしいな」
「そうみたいね」
「お前は何処かに出掛けないのか? 紅魔館辺りがパーティーでもやってるだろうに」
騒ぐ口実になれば何でもいいというのが幻想郷の常識なので、毎年クリスマスとなれば何かしら催しが行われているものだ。
妖怪が主催するものなど幾らでもあるし、彼女がその内の何処かに誘われていたとしても何の不思議も無いのだが。
それに対してレティは軽く頭を振った。
「私に縁の有る話じゃないし、暖房が効いてる場所は嫌いだから」
「そうか」
短く答えて話を切る。と、珍しくレティの方から話を続けてきた。
「あなたこそ、何処かに誘われてたりしないの?」
「俺は只の人間だぞ。縁が無いという点ではお前以上だ」
「只の人間ねぇ」
何故かレティはクスクスと笑った。何か変なこと言ったか?
「一つ忘れてるわよ」
「何をだ?」
「極度の寒がり」
「ほっとけ」
とりあえず不躾にそう返しておく。
確かに上着を二重三重に着込んでいる姿は、彼女とは対照的に見えるだろう。
だが俺が寒がりという以前に、レティと一緒に居るために必要なことだ。
雪中で動きにくいことこの上ないが。
……と、いかんいかん。普段から無愛想だと言われる顔を余計に無愛想にしてどうする。
隣に視線を向けると、レティは少し意地悪そうな表情をしていた。
「ねぇ。冬の妖怪である私と、人間であるあなた。
種族の違うあなたが私と一緒に居たがる理由、教えてもらえるかしら」
「……またその質問か。去年も答えた気がするんだがな」
「そんな昔のことは覚えてないわ」
嘘だな。あれはもう一度言わせたい顔だ。
まあ別に今更恥ずかしがることでもないし、期待されたら応えるのが礼儀だ。
「種族の違いなんか知るか。惚れた女と一緒に過ごそうとして何が悪い」
……わざわざ言わせておきながらレティは笑った。そういえば去年も笑われたっけか。
だけど一頻り笑い終わった彼女は、どこか嬉しそうな表情をしていた。
「ほんと変わり者よ、あなたは」
「褒められるのは照れくさいな」
褒められ慣れてないので素直に嬉しい……のだが、
そこが変わってるのよ、とレティには苦笑された。また変なことを言っただろうか?
先程言ったことを思い返しているうちに、レティは降り積もる雪の中に歩を進めた。
「さて、と……そろそろ時間かしら」
「? 何処にも誘われてないんだろう?」
「パーティーにはね。チルノたちに誘われてるのよ。
今日の夕刻、ミスティアの所で皆で騒ごう、だって」
「クリスマスに屋台か……。似つかわしくないね、まったく」
この聖夜に屋台とは場違い……とは言わないが、何処か違和感を感じるのは無理も無いことだろう。
確かにね、とレティは笑って、
「あなたは来ないの?」
「……いいのか? 部外者なんぞ誘って」
「構わないわよ。他の誰かを誘うなって言われたわけでもないし。
まぁチルノが機嫌悪くするだろうから、それは手立てを考えてほしいところだけど」
それなら大丈夫だ。やたらと突っ掛かってくるあの氷精をあしらえる程度の口先ならば持っている。
そもそも、答えなど最初から決まっているのだ。
「お前が行く所なら何処へでも」
「そう。なら行きましょうか」
そう告げて歩き出すレティに遅れないように、その横に並ぶ。
ふとその横顔を覗こうとすると、彼女は笑顔でこちらに振り向いた。
冬の妖怪とは思えないような、柔らかく暖かい笑顔で。
そうだ、この表情に俺は惚れたんだったな……
「ねぇ○○」
「何だ?」
「メリークリスマス。今冬もよろしくね」
「こちらこそ」
今年の冬も少女と一緒に――
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10スレ目>>750
「ねぇレティ!次はね!」
今年もこの季節がやってきた、紅葉は終わり、葉は落ち、目の前には雪原が広がっている
白のなかに青い妖精と雪女
「・・・」
「レティ?」
先ほどから挙動不審にあたりを見回している
「・・・まだ起きてこないのかしら?」
「○○は寝ぼすけさんだからねー」
いつも待たせられる、私は冬しかないと言うのに
「ちっ、もうこの季節か・・・アイツはもう起きているのか」
本来眠るべき季節、それを無理して起きようというのだ
「妖怪とはいえ寒いもんは寒いぜ・・・」
のそりと緩慢に身を起こし、防寒具を纏った
「・・・いくか」
扉を開けたときに積もった雪を見て、引きこもろうかとも考えたが
決心して雪原へと足を踏み入れた
「あれ?・・・○ー○ー!!!」
チルノが急に飛んだ、彼の名前を叫んでいた気がする
「おっと、あんまりくっ付くな、夏も秋も会ってるじゃねぇか」
「・・・○、○」
「レティ・・・」
数ヶ月ぶりの再会、特に言うべき事はない
俺たち妖怪からすれば数ヶ月などたいした時間ではない
「・・・会いたかった」
「私も」
ゆっくりと抱き合った、変わらぬ抱き心地
「・・・冬が待ち遠しかったよ」
「待たせちゃったわね」
「待たせる方も辛いんだろ?」
どれだけ長い時間を過ごそうが、数ヶ月は長い
ただ過ごした数ヶ月と、待ちぼうけの数ヶ月では
漫画を読んで過ごした3分と、カップ麺を前にまつ3分ほどの違いがあろう
唇を重ねた、雪女の唇は、柔らかくて少し湿って暖かい
前の冬と何も変わらない、またこの季節が来ただけの話
俺たちがいつまでも、いつまでも唇を重ねていると
「・・・まだ?」
背後から忘れていた奴の声がした
「や、やだ私ったら」
完全に浸っていたのか、我に帰ったレティは、真っ赤になってしまった
まぁたしかに教育上あまりよろしくない行為だったね
「せっかく三人揃ったんだから遊ぼうよっ!」
ぶーぶーと五月蝿いチルノを肩に乗せて、雪を踏みしめて歩く
そしてレティと手を繋ぐ、たぶんこれも前と変わらない
さて、何の遊びをするか・・・
雪合戦は危険だし、雪だるまでも作ろうか?しかしそれじゃ前と一緒だ
今冬は、少し違う事をしてみたいなんて、柄にもない事を考えた
end
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11スレ目>>501>>504
○○「レティ、メリークリスマス!」
白岩「あら、ずいぶんと遅いわね。もう一時間で終わっちゃうけど」
○○「ごめん、遅れちゃって」
白岩「別に気にしてないわ。待ってもいなかったし」
○○「そ、そっか……あとさ明日から」
白岩「知ってる。……ここから凄く遠い所に行くんでしょう?」
○○「あ、知ってたんだ……」
白岩「まぁね」
○○「……レティと会えるのもこの時季だと最後になる」
白岩「…………」
○○「だからさ、あと一時間、一緒に祝ってくれないかな?」
白岩「どうして、私なのよ?」
○○「理由はない、かな。敢えて言うならレティだから、かな」
白岩「意味が分からないわね」
○○「じゃあ、もっとはっきり言わせてもらう――レティ、愛してる」
白岩「……ばかね。私と会えるのは他のに比べて少ない。春夏秋は私と会えないのよ?」
○○「だからだよ。レティと会える間に、たくさん会っておきたいんだ」
白岩「……充分、よ」
○○「え?」
白岩「動機が充分だ、って事。――さぁ、一緒に祝いましょう。短いけど」
○○「あ、うん……それじゃ、改めて。メリークリスマス」
白岩「えぇ、メリークリスマス」
白岩「0時……クリスマスももう終わりね」
○○「うん、ありがとう。楽しかったよ、レティ」
白岩「こちらこそ。こんなに時間が惜しいと思ったことは無かったわ」
○○「そう思ってもらう為に来たから、凄く嬉しいよ。それじゃ、僕はもう行くから」
白岩「……確かにクリスマスは終わったけど、少し早すぎるんじゃないの?」
○○「ごめん、伝えきれてなかったかな。明日に"なったら"出発しなきゃいけないんだ」
白岩「え……?」
○○「身支度は既に整えてあるし、急がないと……それじゃ、また一年後!」
白岩「あ、ちょっと!」
非常に満足げな笑みを浮かべながら、彼は行ってしまった。
彼は、たまに自分勝手だ。今日は、それが本当に顕著に出ていた。
自分で勝手に来て、自分で勝手に「愛している」なんて言って。
自分が良ければ、それで良いのか。
私は満足していない。
もっと彼と一緒にいたいし、彼と一緒に余韻にも浸りたい。
それに。
――私はまだ、彼に「愛している」を、言っていない。
「一年後――か」
他の三季は寝ているから早いと言えば早いのだけど、それでも、やはり長く思えてしまう。
特に、今季が終わるまでが。こんなに、早く眠りにつきたいと思ったことはない。
いつもなら、もっと長く続けばいいのに、と思ってしまうのに。
これは、私が素直になれなかった、罰なのだろうか。
しかし、逆に次の冬が楽しみになってしまった事もまた事実。
いつもなら、そんな事考えてる暇、無かったのに。
「"一年後"って言ったからには、来なさいよ。来なかったら氷漬けにしてやるんだから」
「レティー!」
向こうから、チルノが私を呼ぶ声が聞こえる。
久しぶりに、遊んであげますか。
彼に言う「愛している」は、来年まで暖めておきましょ。
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最終更新:2011年02月26日 12:34