慧音1



1スレ目 >>23


慧音に
「慧音さま一人に苦労はさせたくないんですよ・・・」


1スレ目 >>27-28


慧音「わ………私の思いの丈を……受け取ってくれるか?」

  1.ケツまくって逃げ出す
 →2.観念して尻を差し出す
  3.必死に説得する

 >>27
ああ、それで問題ない・・・
というかぶつける相手に俺を選んでくれるのは嬉しいな(w
ツノかわいい。




1スレ目 >>157


満月の夜。僕は竹林へ踏み入った。
妖怪達が力を増す夜。その道中はけして楽なものではない。
だがもう少し。もう少し進めば…
「待っていたぞ。満月の夜にやってくるとはいい度胸…」
「満月の夜だから来たんだ。今のあなたは満月の夜にしか存在しない」
僕の言葉に彼女―――上白沢慧音は一瞬戸惑ったようだが、いつものように言葉を続けた。
「あの人間には指一本…」
「あの人間なんか関係ない。僕はあなたに会いに来たんだ」
「なっ…」
彼女が言葉を発する前に、僕は言っていた。
「あなたが好きです」
言うことはそれだけの筈だった。だが、僕の口からはさらに言葉が溢れ出た。
「今日をずっと待っていた。あなたと会える満月の夜を。今のあなたに、この気持ちを伝えたかったから…」
僕の言葉を、今度は彼女が遮った。
「なんで今の私なんだ!今の私なんか怖いし…気持ち悪いし…」
僕は何も言わず彼女を抱き締めた。彼女の身体は獣。だがそれは人間のそれよりずっと、ずっと…弱い。
「なんで…なん…」
僕は彼女を包み込む腕に力を入れた。そして彼女は、僕の背中を思いきり掴んだ。
胸元が湿ってくるのを感じた。僕はそっと、彼女の頭から生えているそれに口付けた。

とある満月の夜。僕はもう彼女を離さないと誓った。
とある満月の夜。彼女はもう僕から離れないと誓った。

それは能力も何も使わずに創られた「歴史」だった。


1スレ目 >>369


けーね、君に出会った事がこんなにも僕の心を悩ませる。
愛ってつらいものだったんだね、けーね

「じゃぁ、であった事をなかった事にしておきますね♪」(←すごいいい笑顔)


1スレ目 >>568


「けーね、これから俺と一緒に2人の歴史を共に刻んで 行 か な い か ?」


1スレ目 >>717



自分が信じた人間が人間で無い 。
それは最悪の形の




『裏切り』




「暑いなぁ・・・まだ春だっていうのに」
季節は春、なのにこんなに暑っくっちゃやる気が失せる。
ここは幻想郷唯一の人里、なんで妖怪が犇く幻想郷に人里があるかっていうと。
「そんなこと言ってもやらなければ終わらないぞ?」
この上白沢慧音様のおかげであったりする。青い服に銀と青の髪、それにちょっと風変わりな帽子。
いつも俺達を妖怪から守ってくれる凄く強くてさらに良い人だ。
「それもそうなんですがこう暑いとだるくてだるくて・・・」
なんでこんなに暑い日に畑を耕さなければいけなのか。そりゃ生きるためだろうとは思うけどさ。
「だるくてもやるものだこういうものは」
厳しいなぁ・・・まぁそれも俺達を思ってのことだとは、思うけどさ。
「わりましたよ、っと」
俺が適当に答えると慧音様は苦笑しながら。
「本当にわかってるのか?」
わかってるさ、とりあえずはだけど。








「ふぃ~やっと終わった」
疲れた。しかも朝方からやったせいでやっと日が昇ったくらいだ。
「お、終わったか。ほれ、差し入れだ」
そう言って投げてきたものを受け取ってみてみると、煎餅。
…水をくれ水を。
でも嫌な表情を出すのも悪いか
「ん、どーも」
とりあえず食べておこう、煎餅を食べると醤油の味が広がる。うんやっぱり煎餅は醤油だな。
「けーね先生!あーそーぼ!」
子供が数名慧音様を呼んだ、やっぱり子供は元気に限るな。昔の俺もあんなんだったな、今思うと少し恥ずかしいが。
「すまない、子供達が呼んでいるみたいだし、私は行くよ」
「気にする事ありませんって」
いちいち気にしなくても良いのになぁ。まぁそこが良いのだけど。
さて、やる事やったし練習しますかな。最近は慧音様だけに守らせるのも、ってことで里の人々も武術を学び始めたんだ。
俺は弓を使っているが最初は全然当たらなかったし届きもしなかったが五ヶ月もやっていると流石に当たるようになってきた。
「今回は・・・50mからにするか」
まだ一度もあたったことの無い距離だ、これぐらいは当てておかないと妖怪退治は到底無理だ。
慧音様は素質はあるとは言ってたけど・・・。
50mほど離れた後弓を引き絞る、狙いを定めた後、放つ。
矢が放物線を描いて50m先の的を狙って飛んでいく。が、あと数ミリのところで外れた。
この数ミリの差が凄いんだよなぁ、当たると思っても当たらないし。
もう一度弓を引き絞り狙いを定める、前より少し修正して放つ。
今度は当たるか・・・?

カッ!!
木に当たる良い音がした、どうやら当たったみたいだ。
パチパチパチパチェ
後方から拍手が聞こえたので振り返ってみると、遊んでいたはずの慧音様が居た。
「結構うまくなったじゃないか、けどもう少し姿勢を直した方が良いぞ」
姿勢か、あんまり気にしてなかったから悪くなったかもしれない。
「それよりも、子供達と遊んでいたんじゃなかったんですか?」
「ん?ああ、お昼ごはんとか言って帰って行ったよ。やはり子供は元気が一番だ」
そういえばもう昼か、そんな事を考えたら腹が減ってきた。
「んじゃ、飯にしますかな」
そう言って懐を漁っておにぎりを三個とお茶を取り出す。中身は全部梅だ。
「まったく、家に帰ってちゃんとしたのを作ったらどうだ?」
慧音様が呆れ顔で言ってくる、良いじゃん別に死にはしないさ。逆に作ったら死ぬかもしれないし。
「とりあえずは代用ですよ、料理作れないし」
そう言いながらお茶を啜る。
「なんなら私が作るか?」
「ブフゥッ!!」
思わず飲んでいた茶を吹いてしまった。この程度の水じゃ虹は出ないけど。
「ゴホッ、ゴホッ!作るって別にゴホッ!いいですゴホッ」
ついでに咽たため何言ってるかわからない状況だ、それでもちゃんと翻訳してくれるけど。
「まぁ気にするなって」
気にする、もしそんな事が知人にばれたら殺されるって、絶対。
「いえ、いいですから本当に」
「そうか?ならばいいんだが・・・」
慧音様の料理は確かに一度は食べてみたいものだが、今は自分の命の方が大切である。
とりあえず練習再開しないと。
「それじゃああんまり無理するなよ?」
そう言って慧音様は去っていった。
あと十発は打ち込もう、そう考えていた。



@@



すっかり遅くなってしまった。っていうかもう夜だよ、真っ暗じゃん。それに今日は満月だし・・・早くしよう。
十発とは考えていたけどあんまり当たらなかったせいで何百発打ち込んだ事か・・・。
家へ向かって走っていると、訳のわからないところに着いた。どうやら迷ってしまったようだ、二十年近く暮らしてきた里なのに。
どうやって帰ろうか、そんな事を考えていると暗くてよく見えないが目の前に後ろ向きの慧音様が見えた。丁度良いから道でも聞こう。
「おーい、慧音・・・さ、ま?」
そこに見えたのは姿形は慧音様だが服の色は緑になり、普段被っている帽子が無く、代わりにツノらしきものと尻尾が見えた
人間、つまりは・・・獣。
「なっ!お、お前!どうしてここに!?」
振り向いた慧音様が驚いてこっちに言ってきた。慧音様はこんな姿ではない・・・偽者か!
「誰だ貴様は・・・!」
俺は声を低くして聞いた。
「私だ!上白沢慧音だ!」
「嘘をつくなバケモノ!!」
慧音様はこんな姿ではない!こいつは偽者だ!絶対に!
「そうだな、今の私はバケモノだろう。でもお前の事は覚えている、子供の頃に井戸に落ちた事があってそれ以来井戸に近づかなくなった
 とか、いろんなことをな」
「どう、して。どうしてそんな事を知っているんだ!お前は、お前は慧音様の偽者なのに!」
たしかに、昔井戸に落ちた事があってそれ以来トラウマになっていた事は事実だ。なのになんでこのバケモノは知っている!?
「私は偽者ではない!!慧音だ!!本当だ、わかってくれ!」
解っている、心のどこかでは本人だと解っているのだが、今まで尊敬していた人物が妖怪だったなんて認められない、信じられない。
だから、だからこいつは偽者なんだ!
「うるさい!貴様のような偽者が、バケモノが、慧音様の姿を真似ることなんて俺は、許さない!!」
「くっ・・・!」
俺は即座に後ろに持っていた弓と矢を構えた。こんな奴、俺が退治してやる。
「覚悟しろよ・・・!慧音様に化けた代償は大きいぞ・・・」
「・・・その弓か、お前もだいぶ上手くなった。子供の頃に妖怪を退治するんだって言ってた頃が懐かしいな。
 まさか、こんな形で使われようとは思わなかったよ。○○」
その瞬間頭の中にあった記憶が走馬燈のように甦ってきた。



子供の頃に一緒に遊んだ慧音様、大きくなったと言ってくれた事がうれしかった。



それから弓を習って上手くなったと言ってくれた慧音様、あの時は家で喜んだ。



妖怪が来た時に助けてくれた慧音様。たまに家に来て様子を見に来る慧音様。仕事の時に手伝ってくれた慧音様。
笑っていた慧音様。慧音様、慧音様、慧音様慧音様慧音様慧音サマ慧ネサマケイネサマケイネサマケイネサマケ
イネサマケイネサマケイネサマケイネサマケイネサマケイネサマ。


様々な出来事にはほとんど慧音様が居た、それが今敵として目の前に居る。


いや違う。こいつは偽者だ!偽者なんだ!!化け物が化けた偽者なんだ!!!


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
懇親の力を込めて弓を引き絞る、もう何も考えられない。勝手に涙が出てくるがお構いなしに狙いを定める。
「!」
いきなり何者かに強く押された気がした、いや押された慧音様に。
吹き飛ばされて尻餅をつく、そのあと俺が居たところに大量の弾が降り注いだ。
「あーあ、なんで助けるのよ。もう少しで食べられると思ったのに」
「そんな事はさせない、あの人間には指一本触れさせるものか!」
空中で妖怪二人が生死を賭けた勝負が始まった。それなのに俺は腰が抜けてまともに動けない。
「残念だけど一人じゃないのよ、早く逃げれば助かったのかも知れなけど」
後ろから声がかけられてとっさに振り向くと、女が立っていた。しかしコレも妖怪か。
「そう、私は妖怪。妖怪は人間を食べるの、だから死んでもらうわ。家に帰ってから食べるし」
そう言って腕を振り上げた。逃げたいが足がすくんで動けない、俺は・・・死ぬのか。

ザシュッ!

あれ?痛くない。目を開けてみると目の前には緑の服を着た・・・妖怪。どうやら俺をかばったみたいだ。
「あら、また邪魔されちゃった」
「どうしてかば、ったんだ・・・?」
「それ、はな。私は人、間が好きだ、からさ」
「人間が好き・・・?」
慧音様なのか、やっぱりそうなのか。解っていたのだけど信じられなかった。それでも、これは慧音様なんだな。
「まったく!人間を守る妖怪なんて酔狂な奴も居たものね!前から知ってたけど!」
「くっ!」
そう言ってもう一度腕を振り上げた、狙いは慧音様。拙い!俺はとっさに弓を構え、矢を放った。

「っ!この人間が!狙うなら目の前の妖怪を狙いなさいよ!緑の服の方!」
腕に当てられた妖怪が叫んだ。そう言うと思った、もうすでに答えは用意してあるさ。
「妖怪だろうと人間だろうと!慧音様は慧音様だ!だから貴様を倒す!」
「はっ!この妖怪と同様にお前も変わった人間だね!さっさと死になさい!」
「死ぬのは・・・お前だよ」



@@@



結局最後の最後で慧音様が妖怪を退治してくれたわけ。にしても、なんで妖怪になったんだ?
「ああ、私は半獣だ。満月になるとハクタクという歴史食いになる」
一通り落ち着いた後に慧音様はこう言った。ああ半獣かぁ、なんとなく解った。
「このことで、私を嫌いにならないか?」
「嫌いになんかなる訳無いじゃないですか。それよりも、あなたに伝えたい事があります」
子供の頃から思い描いていた思い。今こそ言うべきだ。
「俺は、貴女が好きです。幻想郷のどの人間の中でも」
「私は半獣だっt」
何かを言おうとした慧音様の口を俺の口で塞いだ。

「お答えは?」
「ん、そうだなどちらでもないでは、駄目か?」
「駄目ですね、可か否でお願いします」
「じゃあ、今度からお前の昼ご飯でも作ってやる事にするか」
「それは可・・ですか?」
「いや、それは保留だ」
そう言って慧音様は少し笑った。



@@@@



「貴様!昨夜慧音様と口付けしたってのは本当か!?」
「してないしてない!絶対してないってば!」
まったく何処から漏れたんだが・・・。
「嘘付くなぁ!貴様なんぞまた井戸に落としてくれるわ!」
それは勘弁して欲しい、井戸はトラウマだってのに。

「おーい!持ってきたぞー!」
一通りの鬼ごっこした後に慧音様が弁当を持ってきてくれた。
「あ、どうも」
「何っ!?貴様よこせー!」
「嫌だ、もし欲しかったらお前も頼めばいい」
俺は頼んではないがな。
今のところは可か否かは決まってはいないらしいがそのうち決まる事になるだろう、俺が死ぬ前には。
慧音様と目線が合うと慧音様は軽く微笑んだ。つられて俺も笑ってしまった。



里は今日も平穏だ。


2スレ目 >>15


「ここはどこだぁーーー!?」
気がついたら見知らぬ竹林に立っていた、思わず叫ぶ俺。
しかし何の反応も返ってこない。
空を見上げる、満月が輝いていた。
「困ったなぁ…」
ここに立っていても反応が無い事を確認すると、当ても無く歩き出した。


30分ほど歩いた、何も無い。
1時間ほど歩いた、何も無い
「勘弁してくれよ、もしかして遭難ってやつですか…」
愚痴りながら歩いても歩いても見渡すは竹ばかり、このまま野垂れ死にするんじゃないかと想像して怖くなった。
疲労した体に鞭を打ち、歩きつづけた。


そうして1時間52分ほど歩いた所で何かに出くわした。
『あれっ!?』
俺の声と何かの声が重なる。
日本語だ、ママ日本語だよ!と心の中で叫びながら、確認しないまま声の主に駆け寄ってしまう。
「ここはど「あの人間には指一本触れさせん!!」
声の質がやばい事に気づいたが、確認したときには時すでに遅し。

ピチューン

体中に衝撃が走る、薄れてゆく意識の中で声の正体を見た。
長い髪の小女だった、頭には角が生えていたが…
その姿を見て、何故か1000万パワーの悪魔超人を思い出した。
「ゆ○先生、彼は何故…ヅラだったんですか…」
そこを境に意識は無くなった。




目を覚ましたときは布団に寝ていた。
思わず上半身を起こし、辺りを見まわす。
昔の日本家屋みたいな感じだった。
「よかった、目が覚めたか」
後ろから声が掛かる、振り向くと救助してくれたらしい少女がいた。
「あれっ、悪魔超人は?」
「なんだそれ?お前が竹林で倒れていたのを見つけてな、ここまで運んだ訳だ」
目の前の少女は名前を上白沢慧音といい、見つけた経緯を話してくれた。
「何でまたあんなところに居たんだ?」
「実は…」
俺も自分の分かる範囲の事を説明した。
「大変だったな、しばらくはここで休んでいると良い」
俺は慧音の行為に甘えることにした、疲れていたし、休みたかった。




その日の夜、布団にもぐりながら考え事をしていると…
布団に何かが入り込んできた、確認しようとすると。
「こっちを向くな、そのまま寝てろ」
「ちょっとなんでこっちに??」
もぐりこんで来た何かは慧音だった。
戸惑いを覚えたが、内心では慧音キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!だった。
可愛い子が一緒に寝てくれる事で、頭の中でファンファーレが鳴り響いた。
「布団が一組しかないんだ、しょうがないだろう…まったく…」
何か愚痴っていたが、全然聞こえていなかった。
良い髪の匂いだなぁとか暖かいなぁ、そんなことしか考えていなかった。




それから3ヶ月
慧音の手伝いをしながら過ごしていた。
ある日、子供たちと遊んでいるときに質問が来た。
「けいねせんせーとおにいちゃんてこいびとなの?」
休憩していた慧音は茶を吹いた。
「ゴホッゴホッ、からかうんじゃない、○○はただの居候だ」
「えーー、でもけいねせんせーうれしそうだよ」
「そうそう、おにいちゃんきてからうきうきだよ」
慧音が赤面しながら弁解している、必死な姿も良いなぁ。
そんなこと思っていると。
「おにいちゃんはどうなの?けいねせんせーのことすき?」
油断も隙もありやしない…こうなったら覚悟を決めるしかない。
「俺は慧音のことが大好きだ!」
3ヶ月前に出会ってから、今現在に至る思い出を込めて叫んだ。
助けられた時のこと、一緒に飯食ったこと、一緒に笑ったりしたこと。
自分の中で慧音の存在が大きくなっていること、自分の気持ちを込めて叫んだ。
「俺は慧音のことが大好きだぁーー!」




その叫びは村全体に聞こえたらしく、俺と慧音は散々茶化されてしまった。
そのせいか、帰りはすっかり夜になったしまった、満月が綺麗だった。
慧音に竹林に寄って行こうと言われ、ついて行った。
「3ヶ月前ここで倒れていたお前を見つけたのが、始まりだったな」
背中を向け、寂しそうに帽子を取る。
「あの時は本当に助かったよ…しかしあの角は…」
本当は気付いていた、角の生えた慧音が俺をノックダウンしていたこと。
「やっぱり分かっていたか、本当に知られたくなかった…」
慧音の頭に角が生えてくる、そして威圧感が辺りに撒き散らされる。
「悪いな、可愛い子の顔は覚えてるんだ」
威圧感に負けないように軽口をたたく、みっともないことに足が震えている。
「さぁ分かっただろう、私は化け物だ!どこかへ消えてくれ!」
こちらへ振り向き弾幕を放つ、狙いは全然合っていない。
「断る!」
震える足を前に出す、一歩一歩前進する。
弾幕が体を掠る、狙いが定まっていないとはいえ、ばら撒けば十分脅威だ。
「来ないでくれ、頼むから来ないでくれ!」
弾幕の量が増える、怖い…怖い…怖い。
ここから逃げ出せればどんなに楽なことか、でも出来ない。
ひたすら前進した。




弾が体を捉える。1発、2発、3発…
痛みが体に走る、だけど前進を止めない。
「お願いだから倒れてくれ!もう止めてくれ!」
慧音が叫ぶ、放たれた弾幕が止む。
「まだ倒れない!止められない!」
意識が飛びそうになるのを防ぐため、気合を入れる
全身が悲鳴を上げるなか、何とか慧音の目前に立つ。
「あっ…」
震える慧音の両肩を掴み、顔を見つめる。
泣いていた、子供が拒否されるのが怖くて泣いているようだった。
「俺は慧音が大好きだ!角が生えてようが生えてなかろうが大好きだ!慧音が大好きだ!」
最後の力でそれを伝えると、意識が消えていった。
「○○!しっかりしろ○○!」
なんか俺を呼んでるようだけど、眠りたかった…





目を覚ます、体の節々が痛む。
我ながら無茶をしたなぁと思いつつ辺りを見まわし、慧音の姿があるか確認した。
視界には姿は無かった。
「駄目だったか…肝心な時はいつもそうだ、情けない…」
大きいため息を付く。
「目が覚めたか○○、本当に困ったやつだよ」
求める姿を確認し、心臓が跳ね上がる。
「慧音、お前…」
「あれから私も考えたんだが、これが答えだ」
唇に柔らかいものが当たる、慧音がキスしたと気付くには時間が掛かった。
「これからは2人の歴史で満漢全席だ!」
赤い顔で慧音が微笑む、俺もつられて微笑む。





その日の夜、縁側で月を見上げながら考えていた。
「何を考えているんだ?」
隣でお茶を飲んでいた慧音が不思議そうな顔で俺を見る。
「まぁ色々な…幸せを実感している」
上手く説明できないが、嬉しい気分だけを伝える。
「そうか、私もだ…だが本当にいいのか?私なんかで…」
不安そうな表情でこちらを見る慧音。
「その話はもう止め!俺は慧音を選んだ、慧音は俺を選んだ。だから問題は無い!」
自分の意見をハッキリさせるのが上策だと感じたので聞かせる、言葉を聞いた慧音はハッとした顔で。
「そうだな、宜しく頼む旦那様」
そう言って背中に抱きついてきた、背中に当たる柔らかい感触にドキドキしながら、
照れ隠しに頭をかく。
「私だってドキドキしているぞ」
ばれていましたよ、多分赤面しているんだろうな俺、
思わず降参のポーズを取る。
「分かってたか、まったく…かなわないなぁ」
振り返り慧音を見つめる。
「幸せだな」
「私も幸せだ」
こうして幻想郷の1日は過ぎていく。

まぁ多分幸せにやっていけるだろう、そんな気がする。
なぜなら隣に素敵な人がいるから。










 ********************
後書き
一緒の布団で寝るのはマイジャスティス!

読んでいただき誠に有難うございます。

私の脳内ではなぜか、けーね=ツンデレの方程式が成り立っています。
溢れるドリームをイメージするのは良いんですが、言葉にすると難しいですね。
妹紅を出そうと思っていましたが、長くなるのでカット。

次も書くことが有ったら宜しくお願いします。


プロポスレ全てのビューティフルドリーマーに送る


2スレ目 >>107


ドゴッ!バキッ!ドガッ!
僕の繰り出した攻撃を食らって妖怪が吹っ飛んでいく。
…よし、次だ!

「キシャァァァァァ!」
「お前らぁ、絶対に里へは行かせないからな!」


僕はとある里の外れに一人暮らしで住んでいる。
正確に言えば、里からは少し外れている。
…そして、少し高台にあるので妖怪の襲撃が一目でわかる。
そして…慧音の家の隣である。

「○○、お前は見込みがあるんだから私を手伝わないか?…まぁ、お前は人間だからやめておいた方がいいか…」

ある日慧音が言ったこの台詞、それが僕を奮い立たせた。
毎日10時間の猛特訓、それを半年毎日欠かさず続けた甲斐あって僕は本当に慧音の手伝いをするようになった。

「フッ…まさか本当に私のこの仕事を手伝ってくれるとはな…お前はいい根性してるよ…」
「フフフ…人間の努力を甘く見てはダメだぜ…」

その日からは結構大変だった。
どうやらこの里は妖怪たちに完全に狙い目にされているようで毎日のごとく妖怪たちが襲ってきた。
だが、今までその妖怪たちを一人で追い払っている慧音とここ半年の間にスペルカードを使えるようになるまでの成長を見せた僕とのタッグの前に妖怪たちは成す術もなく退治されていった。
が…最近になって少し様子が変わってきた。
妖怪たちが前よりも数の多い群れで来るようになり、しかも僕だけを執拗に狙うようになったのである。
いくらスペルカードが使えるからといって僕は人間、慧音の様に強くはない。
そして、慧音もそのことを知ってか、いつしか僕をカバーしながら闘う様になってしまった。

「くっ…まだ…まだ僕は鍛錬が足りないのか…」
「いや、お前は良くやってるよ。私だって正直驚いているんだから」
「だったら、僕をカバーしながら闘うのはやめた方がいいぞ。慧音だって半獣だけど限界はある。そんな闘いかたをしてるといつか死ぬぞ」
「フッ…考えておこう…」

そういったものの、やはり慧音は僕をカバーし続けた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「くっ…また多いな…今回も…」
「大丈夫だ、私とお前なら十分に倒せる。」

今回もやはり妖怪たちは僕を重点的に狙ってきた。
そして慧音も僕をカバーしつつ闘っていた。
しかし、最悪の事態が起きてしまう…

「痛ッ!!」
「○○!大丈夫か!」

妖怪の放った斬撃が僕の腕を掠めた。
しかしこれくらいならまだ闘える。

「大丈夫だ!心配な…!慧音!危ない!」

僕が見たもの、それは慧音の後ろで妖怪が爪を大上段に上げている瞬間だった。
そして…鮮血が舞い散った…

「ぐあっ!」
「慧音!!」

周りにいる妖怪を蹴散らしつつ僕は慧音のそばに駆け寄った。

「大丈夫か!?」
「クッ…うああ…」

まさか…これは毒!?
一刻も早く解毒しないと…

「…くそっ!とにかくこいつらを追い払わないと!食らえ!裏百八符"大蛇薙"!」

僕のはなった炎により何とか妖怪たちを撤退させることに成功した。
しかし、依然慧音は毒にうなされている。
僕は自分の家に戻り解毒剤を投与した。

「…慧音…僕のせいで…」
「フン…私がやられるなんて…ヤキが回ったかな…」

…慧音は…僕をかばったせいでやられてしまったんだ…
クッ…自分の非力さを…憾みたい…
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
慧音は今は静かに眠っている。
解毒剤の鎮静効果が効いているみたいだ。
僕は気分転換に外に出た。

「ふぅ…ん!?」

なんと昨日の妖怪たちがまた襲撃に来ているではないか。

「嘘だろ…クソッ、止めなくては!」

僕は妖怪たちの元へ走っていった。

「ケーケッケッケッ、何だ今日はお前一人か!」
「ああ、だがお前らを里に行かせるわけにはいかない!」
「フン…あの半獣さえ居なければ突破するのは簡単だ!お前を血祭りの第一号にしてやる!」
「どっちが血祭りになるか、試してみるか!?」

そして、死闘が始まった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「クッ…」
「ヒャーハハハ!もう限界か?」

なんとか後二匹まで減らすことは出来たが、僕自身、もう限界だ…
満身創痍でスペルカードももう1枚しか残っていない。

「フン…やはり人間は弱いな!」
「クソッ…こんなところで終われるかよ…」

まだ、自分の想いを伝えていないのに…

「行くぞ!」
「くっ!させるか!食らえ!」

炎を纏った渾身の右ストレートが妖怪にクリーンヒットする。

「ぐああああ!」

その妖怪は炎に包まれて消えた…
後一匹だ、そう思った直後だった。

ザクッ!ドシュ!

気がつくと腹から何かが生えていた。
否…それは、後ろに居た妖怪の腕だった。
背中から体を爪で刺し抜かれていた

「ヒャーハハハ!油断大敵って言葉知ってるか人間!」
「ぐあっ…がはっ…」

その腕が引き抜かれて、鮮血が飛び散った。
僕は吐血しその場に倒れ伏した。
まずい…内臓をやられたっぽい…

「ヒャーハハハ!終わりだな人間!お前の里はこれから俺がいい餌場として使わせてもらうぜ!」
「……」

…僕は、死ぬのか?
いやだ!こんなところで死にたくはない!
まだ…まだこの想いを伝えていないのに!
くそっ!僕の体よ!動け…動けよ…動いてくれよぉぉぉ!

「うあああああああああああああああああ!」
「ヒャッハッハ!まだ生きてやがったのか人間!今度こそ死ね!」

妖怪が僕に向かって突っ込んでくる。
僕はポケットからスペルカードを取り出して…

「最終決戦奥義"三神技ノ壱"!」
「なにっ!ギャアアアアアア!」

最後の妖怪も炎に包まれて…消えた。

「はぁ・・・はぁ・・・勝っ・・・た」

その言葉を最後に僕の意識は遠のいていった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
気がついたら僕は自宅の布団で寝ていた。

「う・・・」
「気がついたか、ったく・・・無茶をしすぎだぞ。」

そうか…慧音が僕を運んでくれたのか…

「慧音…」
「喋るな。まだ峠は越えていない。お前は生死の境を彷徨っているんだからな。」

いや、僕にはわかる。
この体が…命が…最期を迎えようとしていることが…
多分…慧音もうすうす感づいてるんじゃないか?

「フン…やれやれ…妖怪と戦って里を守ってあの世へ逝くのか…僕の人生としては…上出来かな…」
「何を言ってるんだ。早く元気になってくれよ。また妖怪が来るかもしれないんだから…」
「…慧音…分かってるんだろ…僕は…もうダメだって事ぐらい…」
「…くそっ!何で・・・何でお前が死ななくてはならないんだ!」

慧音が涙を流している。
…初めて見たな…まあ、冥土の土産には充分すぎる…

「…いや、慧音…僕は結構満足してるんだぜ…慧音の大好きな里を、人間を、…そして慧音自身を守れたし…それに…この想いを伝えることが出来るんだし…」
「…何?お前は…どんな想いを伝えたいんだ?」

僕は慧音に向かって人生の中で誰にも見せたことのないぐらいの満面の笑顔で言った。

「僕は、慧音が…貴女が好きってことさ…」
「な…」

慧音が真っ赤になった。フフフ…可愛いなぁ

「心残りなのは…貴女を…抱きしめられずに…逝くことだな…」
「…フッ…心残りなんて…させるものか」

慧音が布団の中に入ってきて僕を抱きしめる
…ああ、慧音って…こんなに温かいんだ…

「ありがとう…慧音って温かいな…」
「…○○、私も…私もお前のことがずっと好きだった」
「フッ…今の僕ほど…この世で幸せに逝ける人間は…居ないだろうな…」
「○○ッ!」


こうして…幻想郷で一番幸せな恋が…暁に散った…


~~~~チラシの裏~~~~

なんつうか、メチャクチャ文が変だ…orz

~~~~ここまでチラシの裏~~~~

 >>75さん、とりあえず…すみませんでした…orz


2スレ目 >>184


「慧音さん!!!」
「おお○○か。どうした、こんな夜中に。」
「実は・・俺・・・」

 ---

けーねおねーちゃんはやさしい
このまえ、ぼくがころんでないてたときも
やさしくなぐさめてくれた
「○○、お前は男の子なんだからもっと強くならなければだめだぞ」
って
ぼくはつよくなりたい
つよくなってけーねおねーちゃんをまもるのがゆめなんだ
だってぼくはけーねおねーちゃんがだいすきだから

 ---

慧音お姉ちゃんは強い
長老から聞いた。
慧音お姉ちゃんは僕達を妖怪から守ってくれてるんだって。
僕だって武術を習ってるけど、絶対かなわないよ。
お姉ちゃんは優しいだけじゃなくて強いんだね。

 ---

慧音さんは人間じゃない
妖怪と対等に渡り合えるなんておかしいと思っていたが、
慧音さんは本当は人間ではなく、半獣(ワーハクタク)らしい。
なるほど、それなら、
村人が妙に彼女を恐れているのも、
彼女が村の外れに住んでいるのも、
満月の夜に姿を現さないのも、
全て納得できる。

でも、
よく考えてみれば、彼女は人間とそう変わらないんだ。
だって、満月の日以外は普通の人間じゃないか。
みんなどうして「大好きなお姉ちゃん」から、
「忌み嫌うべき妖怪」と見方を変えるんだろう。
俺みたいに普通に接することが出来ないのか。

満月近くの思いつめた彼女の表情。
十六夜の晴れ晴れとした表情。
それを見れば、彼女を悪く言う事など出来ないだろう。
…実際のところ、俺はすっかり魅せられてしまった。
小さい頃から好きだったが、
今の「好き」はどうも違うみたいだ。
これが「恋」と言うものなんだろうか・・・。

今日は十六夜。
行こうか。
…彼女のところへ・・・

 ---

「俺は慧音さんのことが好きなんだ。」
「私も好きだぞ・・・特にお前は小さい頃から見てるしな」
「・・・違うんだ。その『好き』じゃない。」
「??」
「愛してる!!!俺と一緒にいてくれ!」
「・・・!!・・・・あ・・・・ええと・・・」
慧音さんは顔まで真っ赤にしている。

俺は軽く口付けをすると、
彼女を優しく抱きしめた。


3スレ目 >>132


むしろ慧音に毎日料理を作ってやりたい。
「今日も来てくれたのか。まったく………そんなにしてもらうほど、私は偉いものではないんだぞ」
なんて言って赤面している様子を見てみたい。


3スレ目 >>450


慧音様
あなたの想いも、
あなたの傷も、
あなたの心も、
あなたの在り方さえも、
全部ひっくるめて俺が支えます。
だから、もう、一人で何もかもを背負いこもうとしないでください。


3スレ目 >>867


「理不尽だとは思わないか。知り合いだからといってお前の家に荷物を届けさせられる。
 あの店主、私の都合などお構い無しだ」
「悪いことしたな。どうも店主に顔を覚えられちまったようでなぁ…」
「全くだ。常連客だからと頼まれたから来たものの、
 個人として頼まれたら断固として断っていたところだ。
 ……それにしても汚い部屋だな。掃除ぐらいしろ」
「してるって。昨日も机の上を片付けたところだぞ」
「机の上だけ片付けてどうする。それでこの有様か……少し片付けるぞ。
 …別にお前のためじゃないぞ。私が落ち着かない」
「昨日掃除機かけたんだがなぁ…。その割にはゴミが多いな。
 いつ落ちたのかわかんないけど、あそこの毛も結構あるし」
「――!?そ、そういう下品で低俗な根性だから部屋が汚れるんだ!!」
「縮れた毛ぐらいでそう怒るなって。誰にだって生えてるものさ。俺にも、お前にも。
 この毛だってお前のかもよ?」
「お前はもう喋るなっ!口を開くな!そこで少し反省していろ!
 だいたい、私がそんなものを落とすハズがないだろうっ!!」
「……落とすハズないって、ずいぶん自信満々だな………もしかして」
「もう口を開くなと言っただろう…」
「もしかして生えてな」

 Caved!!


4スレ目 >>160>>176


160 名前: 名前が無い程度の能力 投稿日: 2006/06/19(月) 23:14:01 [ B9E7mHRA ]

ぶっちゃけ 慧 音 に 甘 え た い

いやまぁどちらかというとチルノとかドSのレミ様とかタイプなんですが…慧音は真面目でいいやつってイメージがあってすごい安心するんだ
俺がどんなにへたれでも叱ってくれそうなんだ落ち込んでても励ましてくれそうでなんつーか最近慧音がいいやつ過ぎて涙がでるんだよおおと書き殴り






ただしEXは別


176 名前: 名前が無い程度の能力 投稿日: 2006/06/20(火) 11:56:26 [ YTgpxExE ]

 >>160
しゃらくせぇー!!(バキィ
「何すんだよアッチャン!?」
こんな姿見せたく無かったのに…と泣くExけーねを抱き締めて
Ex込みでけーねの全てを愛してる!と叫ぶのがけー姉への愛だろ!?
「アッチャンカッコイー!」
カッキーン!

フリはともかく、けー姉を愛すなら全てをうけとめるんだ


避難所 >>15


 暑い日差しが容赦なく降り注ぐ夏。
 前はそうでもなかったのに、ちきゅう温暖化というものか。
 と、教科書から目を離し外を見ながら慧音は思った。
 授業を受けている子供たちは熱心に話を聴いている。
 時折風が吹いて風鈴がリリン、と鳴った。

「じゃあ今日はここまで、先生もやることがあるからな」

 それを合図にしたように、教科書を閉じて慧音が言った。

「せんせー、やることってなんですかー?」
「ちょっとな、人に会いに行くんだよ」
「それって恋人ですかー?」

 慧音は少し考えてから答えた。

「似たようなものだな」

 その言葉に、驚く子供や少しムッっとする子供。
 各それぞれの反応に慧音は思わず苦笑いをした。

「だったら毎日会いに行ったらいいじゃないですかー」

 その子供の言葉に、慧音は苦笑いの顔のまま、少し寂しそうに答えた。

「毎日会いに行く必要はないんだよ、もう」

 風に煽られて、風鈴がリリン、と鳴った。



 移動中の道が日陰だったのが幸いしたか、そんなに汗をかかずに目的地に着いた。
 暑いだろうと思い、慧音は水を持ってきて周りに撒いた。
 その後持ってきたカゴの中身を再確認し、墓の前に置いて静かに黙祷をした。

「やっぱりここにいた」

 そう言われてから、ようやく慧音は目を開けて後ろを振り向いた。

「妹紅か……」

 妹紅と呼ばれた少女は、少し笑いつつ慧音の横まで歩いて、墓に手を合わせた。
 少しの間、セミの騒がしく鳴く声だけがあたりに響いた。

「そういえば」

 ゆっくりと手を戻しながら、妹紅は墓を見続けながら喋り始めた。

「学校ってやつ、まだやってるんだっけ?」

 その問いに慧音も墓を見続けたまま答える。

「古い時代なら寺子屋だって○○は言ってたけどな」
「……元は○○がやってたやつだから、もう止めてもいいんじゃないかな」
「あいつが残した唯一のものだ、止めるわけにはいかないよ」
「あれ? それ以外残ってないの?」

 少し驚いたように慧音を見る。
 慧音は笑っていた。
 だが、その笑いもどこか暗い部分があるのを妹紅は見逃さなかった。

「変わったヤツだったからな、それ以外は残ってない」

 その答えに妹紅も苦笑して話す。

「確かに。私が聞いた最後の言葉は『止まったら死ぬ!!』だからね」
「……仕方がなかったんだ」

 そう、落ち込んだように慧音は言った。

「……慧音、その、思い出させることになっちゃうんだけどさ」

 妹紅の呼びかけに慧音は静かに妹紅の方を向いた。

「やっぱり逃げる物に対して咄嗟に掘る癖は直した方がいいと思うよ」

 どこかで風鈴が、リリンと鳴った。


最終更新:2010年05月25日 23:59