アリス3
はぐれ人形使い純情派 乙女文学編(>>490)
はぐれ人形使い純情派 乙女文学編
「かんぱーい」
「シャンハーイ」
「……」
今日は俺が此処、幻想郷に迷い込んでめでたく(?)一周年の記念日だ。
わざわざ俺を拾ってくれた目の前の少女、アリスには感謝してもしきれない。
電気が使えないとか、トイレがアレだとか、色々不便な事もあるが、なんだかんだいって俺は今の生活に満足している。
向こうではどうあっても体験できない出来事。毎日が新鮮だ。ただ妖怪に食われそうになるのは勘弁。
そんな一年を送ってきた俺に、現在気になる事があるとすれば、最近そのアリスの元気が無い、という事だろうか。
ときおり寂しげな、それでいてどこかキツイ、という微妙な視線を感じることがある。そう、まるで観察されているような……
「ねえ……」
「ん。どうした? 味が薄かったか?」
「違うわよ……」
そんな中、ふとアリスが手を止め、いつになく真剣な表情でこちらを向く。
と同時に、空気が心なしか重くなっていく。どうやら味付けの事ではないらしい。
とりあえず、最近の元気の無さに関係してるのは間違いないだろう。
「……どうして、どうして私なんかと一緒にいるの? 生活するなら博麗神社だってあるし、貴方には帰るべき場所があるでしょう?」
「…………」
搾り出すような声。ヒク、と俺の頬が引きつったのが自覚できる。
話が重くなりそう、と予想はしてたが、よりによっていきなりそれかよ。しかもこんな日に。
いや。むしろこんな日、だからか。それで言いにくい事を酒の力を借りて。ってか? ともあれ……
「お前さ。なんでせっかくの飯と酒が不味くなるような話題を、わざわざピンポイントで振るかねぇ。なあ、上海?」
「シャンハーイ……」
「…………」
悲しそうに答える上海と、俯いたまま何も答えないアリス。
折角のいいムードがぶち壊しだっつーの。
いい感じに酔ってきたって時に。
……因みに、俺は帰りたい、とはあまり思っていない。両親や友人には申し訳ないが。
来てすぐの頃は、そういう事も考えてはいたものの、一年も経ってすっかり幻想郷に染まったらしい。
まあ、その“帰るつもりが無い”というのに、少なからず目の前の金髪の少女が関係しているのは、俺にとって否定できない事実だろう。
「はあっ……。酔いも醒めたわ……ほれ」
溜息をつきながら、足元に置いてあった紙袋を突き出す。
飯の後に渡すつもりだったが、なんかそんな空気じゃなくなったし。
「? なに、これ」
「いいから開けてみ?」
がさがさ、と袋を開ける音が室内に響く。
中身に興味があるのか、クルクルとアリスの周りを飛ぶ上海。喜んでくれるといいんだが。勿論アリスが。
「……ひょっとして、これ、私?」
「ひょっとしなくてもお前だよ」
「シャンハーイ♪」
そう、俺が渡した物はお手製のアリス人形。
彼女の目を盗みながら、数ヶ月もの時間を掛けて作り上げた苦心作。
確かに、彼女の作ったそれに比べるとどうしても見劣りするものの、愛だけは同様……いや、それ以上に篭っているはず!
「どうだ? 自分では結構上手くできて……てオイ!」
――ポロポロポロポロ。
零れ落ちる涙、涙、涙、涙。
アリスは彼女を模した人形を見つめたまま、溢れる雫を拭おうともしない。
「ど、どうした!? まさか泣くほどショックだったのか?」
なんてこった。人形使い相手に人形を作るのは間違いだったのか……
それとも男からのプレゼントが自分の人形――しかも手作り――とか怖い、とか思われたのか!?
もしそうなら、蓬莱の隣で首を吊りかねない。いや、作るのは結構恥ずかしかったけど。
「ちっ、違うわよ! その……嬉しかったの。私、こっちに来てから、家族以外にプレゼントなんてもらった事なかったから」
「……そっか。そりゃよかった」
真っ赤な目と顔で必死に否定しながら、暖かい笑みを浮かべるアリス。
その笑顔を見れただけでも、苦労して作った甲斐があるというものだ。
「じゃあ、はい、私からも……」
そんな感慨にふけっていたら、今度は彼女がなにか寄こしてきた。
とりあえず開封してみよう。
で、中から出てきたのは……
「……俺、か?」
「……うん」
アリス本人から人形を習ったから判る、戦慄するほど細部まで手の込んだ人形。作り手の想いが篭ってるのがよく判る。
最近の彼女からの視線も、つまりはそういう事なのだろう。
俺の自惚れじゃなければ、この人形の力の入りようは……
「えっと、アリス。その、この人形はそういう風に受け取っていいのか?」
「……(コクン)」
耳まで真っ赤にしながら頷くアリス。
なんていうか、凄く、凄く嬉しい。
自分の顔も凄い事になっているだろう事が容易に判る。
表情の無い人形達が、俺達を見て嬉しそうに笑ってるような気がした。
「……ねえ、さっきの私の質問だけど」
食事が終わって一段落した所に、アリスが不安げな表情で聞いてきた。
確かに、まだ彼女の問いに答えは出してない。
互いの気持ちも確認したし、あえて言うまでもないと思ったんだが。
「俺はどこにも行くつもりなんてない。あんまり騒がしいのは好きじゃないし。
まあアリスが出て行けっていうなら別だけどな。
そうでも言われない限り、好きな相手を置いて一人帰ったりはできない……ってうをい!?」
――ぎゅっ。
気づいた時には、既に背中に腕が回されていた。
そして胸に押し付けられる柔らかい感触といい香り。それは間違いなくアリス本人なわけで。
「ア、アリス!?」
「お願い……もう少しだけ……このままで……」
「……泣いてる、のか?」
「…………」
無言。こういう場合の沈黙は肯定と取っていいのだろうか。
……聞く所によると、彼女は俺が来るまでの結構な時間、この森でたった独りきりで生活していたらしい。
それがどんなものなのか、現代で生きてきた俺には想像も付かないけど、今のアリスを見るにあまり気持ちのいいものじゃないのだろう。
……うん。決めた。俺はまだ全然頼りないけど、今俺の胸を濡らしている、この孤独で可愛い少女の拠り所になれるくらいには、強くなろう。
そしていつかは彼女の隣にいられる存在になろう。
そんな思いを込めて、愛しい彼女を強く抱きしめる。
図らずも、先の人形が婚約指輪みたいな形になったが、それはそれでいいと思う。
「っ!?」
「上海、ちょっと向こう向いててくれ」
「シャンハーイ♪」
「~~~!?(声にならない声)」
俺が何をするのか察してくれたのか、すぐに上海は反対側を向いてくれた。
アリスはといえば、俺の腕の中でそりゃあもう見てられないくらいに、その整った顔を赤くしている。
そんな可愛い仕草に俺は、慌てはするものの、腕を振りほどく気配の無い彼女に……
……それ以来、アリスの家の玄関には、一対の人形が寄り添うように飾ってある。
あとがき
アリスが可愛くて仕方ありません。精神攻撃でしょうか。
>>535
現実と幻想は意外に曖昧らしい。
目の前の光景を見ながら、男は微かに絶望していた。
そこにあるのは一匹の獣。真夜中だというのに、その獣は月に照らされて
ハッキリと分かる。男の手には武器などない。つまり、一般人などが言う所
の絶体絶命だったのだ。
「勘弁してくれよ……」
今更ながらに自分の状況を恨む。ただ山奥に不思議な場所があると民話で
聞いて来ただけだというのに、この状況になるのはあまりにも酷すぎる。
だが、そんなことは目の前の獣には関係がないようだ。獣は目の前にいる
獲物を見て、鼻息を荒くしている。
「……俺は食べても美味しくないですよー」
無論、そんな言葉に反応するような賢い獣ではなかった。案の定、牙を
立てて、襲い掛かってきたのである。
「戦操『ドールズウォー』」
そんな時だ。その声がはっきりと響いたのは――
牙を立てて襲いかかってきた獣の前に、一斉に現れたのは人形群……
否。むしろ、全て何かしらの武器を持っているのならば人形群というよりは
『人形軍』だろう。
その人形たちが、まるで生きているかのように、剣で獣を一突きにしたのだ。
「ご苦労様」
獣が完全に息絶えると、唐突に現れた少女の元へその人形たちは帰っていく。
「あんたは……?」
唐突に現れた少女。見目麗しいというべきなのか、恐らくは街で見かければ
男性ならば息を飲むような少女。そんな人物が彼の目の前に立っていた。
「……人に名前を尋ねるなら、まず自分から名乗ったらどうかしら?」
確かにそれは礼儀であった。男は名前を名乗ると、少女は興味なさげに頷いた。
恐らく名前を聞いても、そこから先に会うことがないだろうから意味は
無いとでも考えているのだろう。
「それであんたは……」
「アリス。アリス=マーガトロイド」
目も合わせようとせず、少女――アリスは言った。
「それで……えぇと、アリスさん? ここは何処なんだ?」
訳も分からないといった口調で、男は言う。無論、本当に訳が分かっていない
のだから仕方ない。まず、ここがどこか訊いておくのが先だ。状況やら他の事は
後回しでもいい。
「ここは幻想郷。あんたは迷い人。つまりそういう事よ」
淡々と事実だけを伝えると、アリスは振り返って歩みだした。
「ま、待てって! どういう事だよ!」
幻想郷や、迷い人などといわれても分かるはずがない。
「それが知りたいんだったら、ここから先に神社があるからそこの頭の春っぽそうな
巫女を尋ねなさい。少しは質問に答えてくれるかもしれないから」
それだけ言うと、森の奥に向かう背中はやがて見えなくなった。
「シャンハーイ」
と、彼女の操っていたはずの人形が一体、いつの間にか傍らに飛んでいた。
「……何?」
ふわふわと飛んでいるその存在は、別に鬱陶しいわけでもなかったが、飛んで
いるだけだとしても、落ち着かない。
「シャンハーイ、アリスガ オクッテケッテー!」
そう言いながら、まるでどこかの妖精のようにくるくると周りを回る。
「あ……ありがとう。で、その頭の春っぽそうな巫女ってのは何処に?」
「アッチー」
その指を差した方向には山があった。よく目を凝らしてみると鳥居が見える。
どうやらあそこが彼女の言っていた神社らしい
「遠いな」
「シャンハーイ、トベバハヤイー」
「普通の人間は飛べないんだよ。飛べる人間はおかしいって」
「彗星――『ブレイジングスター』!」
空を、一人の魔法使いが箒に乗って飛んでいた。
それを見て、必死に目を擦ったが既に居なくなった後だった。
「夢だな」
「タタカワナキャー、ゲンジツトー」
こうして道中、幻想郷を人形と男は歩いていった。
「無理ね」
「いきなりそれかよっ!?」
話を聞き終えて、開口一番に聞いた台詞がそれだった。
ちなみに何が無理かといえば、ここから帰ることが、である。
「だって、面倒だし」
いつか帰る日は来るらしいが、どうやらこの巫女の気まぐれで
その日が決まりそうだった。
「お前、それで職務果たしてるのか!?」
「いちいち煩いわね。そんな騒いでないでさっさと塒を探すなり
何なりしなさいよ」
彼女は残酷にもここに止まらせる気はないといった。
いや、それが当たり前だろう。元々、彼女には何の義理もない。
迷ったのは彼なのだし、彼との関わりなんて何もないのだから。
くいくい
服を引っ張られる感覚があった。
「シャンハーイ」
「ん、どうした?」
「あら、アリスの人形じゃない」
今気付いたとばかりに巫女が言った。というか先程から付いて回って
いたので気付かない方がおかしい。
「アリス カエッテコイッテ」
「あぁ、そうか。ありがとう」
正直に礼を言ったが、人形は宙に浮いたままで彼のほうを向いて
帰ろうとしない。
「どうかしたのか?」
「シャンハーイ ツレテクカラクルー」
ぐいぐいとまるで言うことを聞く気がないように人形は引っ張る。
「何処に連れてく気だよっ?」
「アリスの家でしょ。それが連れて行きたい場所なんて」
と呆れ気味に言う巫女。
「……そうだ。アリスって一体どんな奴なんだ? 妙に素っ気ない奴
だったけど」
「そんな奴よ。素っ気ないって言うよりは人に興味がないだけよ。
宴会には来るけど」
「何だよ、その天邪鬼は」
「まぁ、そんな奴よ」
巫女の話では要領を得ない。しかし少しは納得できる部分もある。
人に興味がないからこそ、関わろうとはしなかったという事だ。そ
れでも、死なれると面倒だから案内役の人形をつけた、といった所か。
「興味がなさそうで実は興味津々なのよ。難儀よね」
「どうだろう。少なくとも、俺はそういう奴は嫌いじゃないけど」
「物好きねぇ」
「イコー」
更に力を込めて引っ張られる。
「それじゃ、今度は帰らせてくれる時にでも会おう」
「気が向いたらね」
そう言って、彼は神社を後にした。
魔法の森に佇まいを置くマーガトロイド邸では珍しく慌しかった。
普段ならば、特に忙しくなる要因もなく、ゆったりと落ち着いた
雰囲気を出している邸が、今日は妙に騒がしい。
「……何で上海人形は、命令無視したのかしら」
それは、今居ない人形に問うた言葉だった。
普段ならば考えられない出来事。人形は従順で逆らうことはなかった。
人形だからこそ、感情なんてものはほとんど存在し得ない。だが、気に
入っている人形だけは別だった。
『どこに居るの? 上海?』
『ジンジャー』
『帰ってきなさい。すぐに!』
『シャンハーイ』
遠くにいるであろう上海人形との会話はそれだけだった。上海人形は
何の用事があって博麗神社に行ったのだろうか?
「――そういえば」
その前に迷い人に出会った気がする。
確か相手をするのが面倒だったから、そのまま放っておいて神社の場所
だけ教えておいたはずだ。
なるほど、どうやらあの人間を送って行ったらしい。
それで大体納得した。
こんこん
ドアのノック音。
どうやら、困った人形のお帰りらしい。
「まったく、遅かったじゃない……」
ドアを開けた少女は固まった。目の前にいるのは帰るのを待ちわびた人形と
――確か神社にいるはずの迷い人だった。
「……先程はどうも」
「……こちらこそ」
会話はそんな間抜けなものだった。
あまりにも間抜けすぎて、上海人形がため息を吐いていた。そこまで高機能
だった記憶はないが、吐けるものは吐けるのだろう。
「で、何の御用? 押し売りなら御免よ?」
「物もないのに出来るかっ! そうじゃなくて、その子を送ってきたんだよ」
と、迷い人はアリスの周囲を回っている上海人形を指差した。
「シャンハーイ」
指された本人は気楽にアリスの周囲を回って、喜んでいる。先程吐いた
ため息はなんだったのか……。
「まぁ、いいわ。あなたの役目はこれで終わりでしょ? 帰ったら?」
「帰る家がないのに、どうやって帰れって言うんだ。あんたはっ!」
「あー、霊夢の所を追い出されたの? さすがにあの巫女も他を養う余裕は
なかったのね……」
貧乏なのかどうなのかは知らないが、賽銭は少なそうだった。
あれで、普通の生活をしているのだから世の中は分からないものだ。
「シャンハーイ トマッテケー」
「なっ……」
「泊めてくれるのか?」
人形が意思を持っているのは自分の意思だったが、こんなことを言うなんて
想定の範囲外だ。
「ダメに決まってるでしょ!」
そもそもアリスも、例え弱いとはいえ人間を家に入れるほど無用心ではない。
「じゃ、外で寝るよ。外が冷えてても死にはしないだろ」
「……それはもっと駄目」
「何でだ? 外に居ようと平気だろ」
「妖怪に食べられたいならどうぞ。今度は上海人形も守ってくれないでしょうし」
「……すまん」
「分かればいいのよ。洋服に汚れが付着するのは嫌だし」
朝起きて、ドアを開けたら惨殺死体なんて猟奇物語ではない。
気分は悪くなるが、それよりも洋服にシミがつくのが嫌だった。
「じゃ、俺にどうしろと? さすがにただで泊めてくれるわけじゃないんだろ?」
「当たり前よ。それ相応に働いて……と言いたい所だけど下手すると人形よりも
働けなさそうね」
「ほっとけ!」
彼の身体は貧弱というわけではないが、人間の里に居る人間の方がまだ、
ここでの仕事が出来るだろう。
「そうね。魔法の実験台というのはどうかしら?」
「……何だ? 生贄に捧げる気か?」
「そこまで危険なのはしないわよ。それともして欲しいの?」
「謹んで遠慮させてくれ。死んじまう」
生贄なのだから、半分くらいは生きているはずだ。
「魔法薬の実験なんだから、別に運が悪くない限り支障はないわよ」
今までの成功率もそれほどいいものではないが。キノコを使った実験よりは
成果が出ている。森のキノコは絶対に使わないようにしている。
「……一回だけだぞ」
「あなたが一晩泊まるたびにね」
つまり、この人間が早く塒を見つけなければ薬漬けになってしまうと、彼女は
これから実験台になるであろう迷い人に言った。
その日の夕食は豪華なものだった。
「いただきますっ!」
「何でそんなに気合が入ってるのよ……」
そう言えば、誰かがいただきますと聞いたのは、宴会以外でいつ以来だろう?
そして人形以外の誰かと一緒に食事の場に居るのは……一体いつ以来だろう?
もぐもぐ
咀嚼音だけ聞こえる。
ナイフとフォークを出したが、彼はテーブルマナーというものが
まるでなっていなかった。
スープは音を出して食べる、持ち手が逆だ、等と片端から挙げればキリがない。
それでも、どの料理を食べても「美味い」と言ってくれるのは、妙に嬉しかった。
ぱんっ!
「ごちそうさまでしたっ!」
勢いよく手を合わせて、気合の入った声で礼をした。
「お粗末さまでした」
「で、この食器どこに持ってけばいい?」
「別にいいわ。後で私の分も洗うから置いておいて」
むぅ、と唸るような声を出して迷い人は納得しない表情でいたが
「今日くらいは、お客様扱いさせてもらうわ」
というアリスの言葉に渋々だが納得したようだ。
「シャンハーイ」
「手伝ってくれるの? 上海」
「シャンハーイ」
洗い物をしている最中、上海人形が台所を訪れた。
考えてみれば、この人形が今の状況を作り出したのでもあった。
「ねぇ、上海。どうしてあんなのを連れてきたの?」
「シャンハーイ……アリス サビシソウ」
「寂しそう?」
人形が見ても寂しそうとはどういうことだろうか?
確かにそこら辺の者が客観的に見れば孤独な生活を送っている
のかもしれない。
だが自分には人形が居る。上海人形も蓬莱人形も、たくさんの
人形たちが居るのだ。寂しいことなど何もない。
「私は寂しくないわよ? 上海、少し調子でも悪いの?」
それなりに昔、感情を持たせた人形が、今更反動が来るというのも
おかしな話だったが、上海人形の様子はどこかおかしかった。
「……もしかしたら、おかしいのは私なの?」
「シャンハーイ?」
「ううん、何でもない。さて、さっさと洗い物を終わらせましょうか」
「シャンハーイ!」
アリスの言葉に、生き生きとした人形が呼応した。
「うぅむ、やはり客扱いというのは落ち着かん」
「ホラーイ?」
「だって、そうだろ? 出会い頭が微妙に険悪なのは認めるんだけど
あーいうツンケンした態度だとなぁ……」
「ホラーイ」
迷い人の言葉にやる気のない蓬莱人形が答える。
「お前も、首吊ってないで降ろしてやろうか? 苦しくない?」
「ホラーイ」
どこまでの言語が通じているのか、全く分からないが、通じていると
いうことにしておき、相談らしきものを続ける。
「そもそも、あの人形はどうして俺を連れてきたんだと思う?」
「ホラーイ……それは多分、上海が貴方に何かを感じたからだと思われます」
「そうか……。っていうか何か俺に感じる要素なんてあるのかよ?」
「恐らく、何かしら惹きつける要素程度はあったのでは? 磨けるか
どうかは貴方次第ですが」
「そうかぁ……」
「ホラーイ」
やる気のない声が部屋に響く。
どこも変わらない雰囲気。別に変わったところなんてない。普段なら
人形が居る場所に珍しく人間が居るだけだ。
それ以外に何もありはしない。
「……蓬莱、お前話せたんだな」
「ホラーイ?」
惚けるように首を吊りながら首を傾げた。
その日、服用した薬は人によっては、毒薬にも回復剤にも感じられる
ものだった。
「どうみてもポーションです。本当にありがとうございまし……うわらば!」
彼にとってはどうやら毒薬のようなものだったようだが。
「ふむ、要改良と……」
敢えて危険な薬を試しているようだった。
「なぁ、本当に効くのか? この薬」
「さぁ? 多分こんなものでしょう……っていう風に作ったものだから
効果は副作用の方が大きいかもしれないわね」
今日はアリスの部屋にほぼ全ての人形が集合していた。あの男に人形を
壊されまいと全ての人形こちらの部屋に集めたのだ。
「……シャンハーイ」
そしてベッドに入っている上海人形。
「さぁ、今日はもう寝ましょう」
「アリスー……アレハ スキー?」
アレと言われて、明確な判断が出来ないまま、思考をめぐらせる。
そうして行き当たった結論はあの人間ということだった。
「……なっ、好きな訳ないでしょう! あんな粗暴で、野性的でテーブル
マナーを知らないような人間!」
「アリスー タタカワナキャーゲンジツトー」
「……どこでそんな言葉覚えたの?」
この幻想郷には戦うような現実なんてない気がする。
あぁ、一つだけあった。妖怪が人間を食らい、人間が妖怪を退治するという決まり。
そして彼は今、言うなれば籠の鳥だろう。いや、どちらかと言えば、まな板の上の
食材に近い。
「……上海、先に寝ててね」
ベッドを起き上がる。
そうだった。妖怪がする事はただ一つだった。何故、そんな面倒なことをしたの
だろう? 妖怪は人間を食らうものだった。
ならば、その摂理に従うだけだ。本来なら人間を食らうなんてこと趣味ではないの
だが摂理なら仕方がない。彼を殺すのに理由が出来てしまった。
少なくとも彼が居なくなれば、こんなに面倒な思いはする必要がない。
苛立つこともないだろうし。そもそも彼がここに来てから妙に苛立つ。どうしても彼の
ことを考えてしまう。
ならば――
ノックもせずに、彼女は部屋に入る。当たり前だ。もともとここは彼女の家
なのだから
「……寝てる」
彼はのん気に寝息を立てていた。それはもうアリスがこの家には居ないかのように
警戒は欠片もなかった。
それに関して軽いショックを受けつつ、彼の様子を見る。
寝息を立てているから、しばらく起きることはないだろう。では、どうするか?
――決まっている、彼を殺すのだ。
寝静まっている彼を人形を使って一撃で殺すことは用意だ。どの人形だろうと、
剣を持たせて彼の心臓目掛けて剣を突き出せば、力を持たない彼は呆気なく命を
散らすだろう。
「……ふぅ」
眼に見えない糸を操って人形を呼び出そうとして、止める。
そのまま剣を突き刺してしまうと、せっかく作った衣装も処理をする自分の服も、
家も汚れてしまう。
そうして汚れない殺し方を模索して……被害を最小限にするために、首を絞める
ことに決めた。
「よし……」
のん気に寝ている彼の腹に乗るとベッドが軋んだ。
指を組んで絞めやすい形にし、彼の首に手をかけた。
「……む……」
寝息が聞こえた。苦しそうではない。まだ力を加えてないのだから。
「はら……へった……」
その寝言で全てが決まった。ここまで妖怪に迫られてここまで余裕なら恐怖を
与えながら、じっくりと殺してあげよう。
少しずつ力を込め始めた。
「……アリスー」
「っ!?」
急に呼ばれたことで、慌てて手を離した。
「……くかー……」
寝言だが、余りにもハッキリとした寝言だった。
「……私がどうかしたの?」
自然と出た言葉だった。
夢に出てきたとしたら、どうなんだろうか? 嬉しいのか? それとも怒るのか?
自分にも分からなかった。
「……ホラーイ」
「!?」
その声に振り返ると、首を吊った蓬莱人形がこちらを見ていた。表情はないが
こちらを真剣に見ているということは分かった。
「蓬莱……どうしたの?」
「ホラーイ……ご主人様、彼を置いていただけませんでしょうか? 彼は恐らく貴女の
役に立ちます」
「……軟弱なのに、どこが役に立つって言うの?」
「……恐らく、ご主人様に必要なものを教えてくれる……かもしれません」
「私に必要なものなんてないわ」
それは明瞭に出てきた言葉。
自分には人形だけ居ればいい。それは嘘偽りのない自分の言葉だ。
しかし――どうして、こんなにも違和感を感じるのだろうか?
「ねぇ、蓬莱……私に必要なものって何?」
「ホラーイ?」
そこに居たのは首を傾げて佇む、少し意思のある吊られた人形だった。
そうして気付いた。どうしてあんなに蓬莱人形は喋ることが出来たのだ
ろうか?
普通ならば、上海人形のように不確定な片言になってしまうだろう。
「……」
ベッドから降りて、彼を見やる。
寝息は落ち着いて、先程まで首を絞められたとは思えない。
「……お休み」
それだけ言うと、彼女は部屋から出て行った。
一週間が経った。
無論、その一週間彼は薬物投与実験を課せられたのだが。無職で宿無し
ならば仕方ないだろう。
反応はまちまちで、同じ反応をしたことはない。
『ホント薬物は地獄だぜ! フゥハハハーハァー……あべしっ!』
『後悔はない……僕のこの行動に……後悔は……ゲフゥ!』
『アリスー! 貴様は俺のぉー……アファ!』
『オンドゥルルラギッタンディスカー……アウァ!』
その反応を見ると彼はひょっとしてリアクションを楽しんでいるの
だろうか?
「で、どうして塒を探さないのかしら?」
「いや、ここって住みやすいし」
「……少しは探す気とかないの?」
「うーむ、立地条件として、妖怪が寄ってこないとかあるけど」
「無理ね」
しかし彼女もまた、この生活を楽しんでいるのも事実だった。
薬物の実験に付き合わせることも出来るし、何よりも、アリス自身が
珍しく、楽しいと感じているのだ。
「シャンハーイ」
「ホラーイ」
二体の人形も、まるで祝福しているかのようだった。
――しかし、転機は唐突に訪れる。
それは二週間を過ぎた頃だった。
「……いつまで寝てるのよ」
朝食になっても起きてこない迷い人をアリスが起こしに行った時だ。
ドアを開けるとベッドではなく彼は、床に倒れていた。
「……ちょっ、どうしたの!?」
「……問題ねぇ……ちょっと、風邪みたいなものだ……」
答える彼にはいつものような覇気がない。
たった一つの言葉が過ぎる。
『ワタシガ、ムリナコトヲ、サセスギタ?』
その言葉を打ち消すかのように、アリスは叫んでいた。
「……医者を呼んでくるわ。上海、蓬莱!」
「シャンハーイ!」
「ホラーイ……」
「彼をベッドに、すぐ連れてくるわ」
すぐに上海人形と蓬莱人形が、ベッドに倒す。
「……おまえ、どうすんの?」
「医者になら少しはアテがあるから、連れてくるのよ!」
玄関を出て、彼女は空を翔る。
考えている時間はない。
一刻も早く、医者を医者を医者を――!
人気のない道を越えて、人里を越えて、竹林に辿りつく。
「……永琳っ!」
「これはまた、慌しい客が来たわね」
急いでいるアリスとは逆に、医者である八意永琳は落ち着いた態度で
対応する。
「……人が、倒れたの」
「そりゃ倒れるでしょう。何をしたのか知らないけど。人は
倒れるものよ」
「そうじゃなくて! 倒れたのよ、急に!」
何を言っているのかさっぱり分からない、というような永琳を引っ張り
外へ出る。彼女の腕を引っ張り、再び空を翔る。
「流行り病ね。今人里でも似た症状が出ているわ」
彼の容態を見た永琳が言った台詞は、そんなものだった。
「免疫が低下して、病原菌を繁殖させてしまうのよ。そうして
――やがては死に至る」
「……私は、どうすれば?」
「あなたのせいじゃない、とでも言って欲しいの?」
そんな言葉、気休めにもならない。言って欲しいのは別の言葉。
どうすれば。どうすれば――彼は――
「……どうすればいいの?」
「今日はゆっくり休ませることね。人間なのだから意外に免疫力は
高いかもしれないわよ?」
「彼次第ってこと?」
「薬は出しておくから、どうにか飲ませることね」
薬包紙に包まれた粉薬を取り出して、アリスに渡す。
「それにしても意外ね。あなたがそんなに積極的に人間と関わるなんて」
「あんたにも関わってるでしょ?」
「そうじゃないわ。異性と関わるって事よ」
彼女曰く、異性に関わることは与えることを知り、与えられることを知るそうだ。
どうしてかは知らないが。
永琳は含んだ笑顔を見せると、アリスに耳打ちする。
「一応言っておくけど、頑張りなさい」
そういって、後は全てアリスに託したのである。
「死んだら……承知しないわよ――」
彼の横顔を見て、アリスは呟いた。
与えられるものは与えられた気がするが、こちらから与えたものなんて薬だけだ。
そんなものは与えるものとしてはおかしすぎる。
彼女は、初めて本気になった――
エピローグ
「ん……あ?」
彼は目を覚ました。
傍らには、一人の少女。
「……おはよう」
少女は無愛想ながら、挨拶をする。
「あぁ、おはようさん」
少女に向かって彼は笑いかける。
「ちっとは良くなったぜ。お前のおかげか?」
「さぁね」
「そっか」
「ところで、貴方が寝ている間に薬が二、三本増えたんだけど。どうする?」
そう、彼は二、三日眠りこけていた。
つまり、服用しなければならない薬も当然、二本も三本も増えているのだ。
「……参ったな」
「そうでしょうね」
「……じゃあさ。こっちが何でも言うこと聞くで、どうだ?」
そうして、彼は最悪にして最高の選択肢を取った。
「そうね。それじゃ――」
彼女は笑って自らの願いを言った。
──────────────────────────────────────────────────
3スレ目 >>588
よし、至ってシンプルに
「次鋒>>588行きます!!」
「アリスー、好きだー!」
「御免なさい───っ!!」
「ギャアーッ!!」
告白から振られるまで、僅か5コマ!
推定告白時間、およそ1秒!
──────────────────────────────────────────────────
3スレ目 >>813>>820
コンコン
「どなたかし…あら、○○?」
「よ、ようアリス。いや違うんだ、たまたまここを通りすがっただけなんだ。」
「なんだ…。え、いや何でもないわ。まぁ別にいいわ、上がって。言っておくけど他意は無いからね。」
「お邪魔します。」
「はい、紅茶。」
「お、サンクス。…旨いなやっぱり。べ、別にアリスの紅茶の淹れ方を褒めてるんじゃないからな。あくまで素材の話だ。」
「ふ、ふん。○○の為にとっておきの茶葉を使ったわけじゃないんだからね。そんな気分だったのよ。」
「そうだ、お土産。い、言っておくけどお前の為に買ったわけじゃないからな。たまたま安かったからだ。」
「どれどれ…指輪?わたっ、私がこんな物で喜ぶと思ったら大間違いなんだからね!」
「か、勘違いするなよ!プロポーズの為に買ったとかじゃないんだからな!」
「あ、貴方なんかにプロポーズしてもらっても全然嬉しくないんだから!」
「ああそうかい!んじゃ邪魔者はさっさと帰るよちきしょうめ!」
「はいはい、さっさと帰りなさい!」
ガチャ、バタン
少し経って
「またやっちゃったー!何で素直に結婚してって言えないのよ!私のバカッ!」
「またやっちまったー!何で素直に結婚してって言えないんだ!俺のバカッ!」
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上海「またやってるよ・・・」
蓬莱「もう日常の一風景と化してるな。ところであの2人がいつくっつくか賭けをしてるって知ってたか?」
上海「知らなかったけどどうせ魔理沙とか隙間とかが胴元でしょ?」
蓬莱「うむ、魔理沙が主催で隙間が実況をしてるらしい。ちなみに私はあと2ヶ月と見てるがね」
上海「賭けてんのかい。まぁ私はあの男が死ぬまであんな感じだと思うけどね」
蓬莱「で、死の間際に『実はずっと好きだったー』『私もよー』ってか」
上海「そうそう」
3スレ目 >>822
「…なによ、また来たの」
「べ、別にアリスに会いたくなって来た訳じゃないぞ。この前借りた本を返しに来ただけだ」
「なんだ……え、いや別に何でも無いわよ?それで、貸した本はちゃんと読んだの?」
「ああ読んだよ。その、何だ……薦めてくれてありがとな。読みやすかったよ。
か、勘違いするなよ?あくまで本の内容が良かっただけだからな」
「わ、分かってるわよ。いい本だから薦めただけよ」
「それでだな……次のお薦め、あるか?」
「はい、これとこれ。魔術書とか興味あるならこれも」
「反応早いな」
「べ、別に……ちゃんと返しに来なさいよ?」
そこへアホ毛が口を挟む。
「この娘ってば、貴方が来る前に必死で本棚漁ってたのよ。貴方も随分と愛されてるわね、こいつ☆」
「ちょ、ちょっと! そんなことっ。そんなことないから、ないからっ!
暇だったから本棚の整理してただけよ!」
「その割にはメモまでとって熱心なことで」
「も、もうっ! あ、あ、あなた! さっさと本借りて帰りなさいよっ!」
「お、おう。ありがと。また来るな」
「お礼なんかいいって言ってるでしょ!!」
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3スレ目 >>825
「アリス、贈り物だ。か、勘違いするなよ、友人に頼まれたから仕方なくなんだからな。」
「ふ、ふん。そこまで言うなら貰ってあげ……ねぇ、これで指輪5個目なんだけど。」
「いや、その、それはだな…ゴニョゴニョ。アリスぅー!!」
「な、なによっ!?」
「俺とけっ、けっ、けっ……。」
「け……?」
「けっ、けっ、決闘しろやゴラァー!!そして負けた方は何でも言う事を聞く!いいな!」
「の、望む所よ!」
そんな訳でアリスと決闘中。
「ふふふ、御免なさいね?こう見えてもチェスは得意ですの。」
「むがー!そもそもルールわかんねぇよチキショウ!」
「それじゃあ私の言う事を聞いてもらうわよ。」
「おう、煮るなり焼くなり好きにせいや。」
「そ、それじゃあね。わ、私とけっ、けっ、けっ……。」
「け……?」
「けっ、けっ、決闘しなさい!そして負けた方は何でも言う事を聞くこと!いいわね!」
「の、望む所だ!」
時は過ぎて。
「フ、フフフ。これで私の9862勝目ね……。」
「そうだな……。はは、外で雀が鳴いてらぁ……。来た時は朝だったのになぁ……。」
「それじゃあ私の言う事を聞いてもらうわよ……。」
「なんじゃぁー……。」
「寝かせて……。」
「まかせろ……つか俺も眠らせてくれ……。」
「じゃあ一緒に寝ましょうかぁ……。」
「さん……せい……。」
「それじゃあお休みさない…。」
「ん、お休み…。」
「なぁ上海、あの二人、一つのベットで寝てるけど。くっついたと見ていいのか?」
「無いね。あれは二人そろって意識が朦朧として正常な思考ができてないだけでしょ。」
「マスターが起きた時には『何でアンタが私のベットに居るのよ!』とか何とか言うんだろうな。」
「王道だよね。」
「王道だな。」
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3スレ目 >>826
博麗神社にて
「なあ」
「何?」
「神社のお参りのときに柄杓で飲む水があるよな」
「ええ。というか今まさに私が飲んでるけど」
「これって間接キスしまくりだよな」
ぶはっ!
「こらこら。粗相をするな」
「あんたがさせてるのよっ!だっ、大体それを言ったらお参りに来る人みんな間接キスでしょ!?」
「…あれ?知らないんだ?」
「え?」
「手水舎の水は手に流してから口に含むんだよ。ついでに言うと口をゆすぐだけで飲む必要も無い」
「え?え?」
「博識な俺のおかげで間違った作法をせずに済んだな」
「ふ、ふん!知ってたわよ!そんなこと!知っててわざとやってたのよ!」
ムキになって口をゆすぎ直す
「だろうな。そうだろうと思って」
「?」
「俺もさっき、わざと柄杓に口つけて水を飲んだ。これで間接キス達成だ」
ぶはっ!
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3スレ目 >>828
風呂あがり
「あ"~ ワレワレハ~ウチュウジn」
「……」←風呂から上がってきた
「…………」←扇風機の前で固まってる
ブオー・・・
「……なあ、今」
「お湯加減、どうだった?」
「え?ああ良かったよ……楽しそうだな」
「馬鹿にしてる?」
「滅相もない。俺も昔はやった口だ」
ブオー・・・
「あ゙ ~~~ワレワレハ チキュウジン コウショウヲ キボウスル」
「オウジナイ ダンマクヲテンカイスル ダンマクヲテンカイスル」
「ウチュウジンニハ クッシナイ クッシナイ……」
「…………」
「……なあ」
「ナンダ?」
「そもそも宇宙人との会話って、俺たちが宇宙語を話せないと成立しないんじゃないか?」
「ニホンゴデ オケ」
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3スレ目 >>830
喫茶店にて
「いらっしゃいませーっ……って、ああっ!?」
「お、おう…近くまで来たから、ついでにお前の顔でも見に来ようかなって」
「そ、そうなの?」
「まあな。それよりぼちぼち座りたいんだが…」
「あ、ごめんね! 一人様ですか?」
「二人。ほら、湖で知り合った
大妖精(仮名)ちゃん」
(カチン!)
「席! あっち! 注文! メニュー! 決まったら! ベル! ご ゆ っ く り !」
「な、何を怒ってるんだ…」
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3スレ目 >>832
「アリスハ○○ノコトスキナノー?」
「スキナノー?」
「なっ!別に好きなんかじゃないわよ!あんな奴のこと!」
「ジャアキライナノー?」
「キライー?」
「そんな分けないでしょ!き、嫌いな分けないじゃない……」
「ジャアドッチナノー?」
「ドッチー?」
「えっと……ね、LOVEのほうよ」ボソッ
「シャンハーイ!」
「ホラーイ!」
パシッとハイタッチ
「ああっ!もう!うるさーい!」
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3スレ目 >>837
テラスにて
「むにゃむにゃ」
「なんだこいつ、寝てら…」
「……くー」
「寝てる時は可愛いんだがな…」
「……くぅぅ」
「いつも素直じゃねーんだから。まあ俺も同じようなもんだが…」
「……すー」
「そこが、まぁ、良いんだけどさ」
「……しゅー」
「…起きそうにないな」
「……ひゅー」
「…起きないよな?」
「……きゅー」
ちゅっ
「…んじゃ、起きてるときにまた来るわ」
………
……
…
がばっ
「うああああ、いいいまのなに!?いまのあったかいのなに?
ひょ、ひょひょっとして…きゃああっ、うわ、うああああっ…どうしよどうしよどうしよおおお
嬉し…じゃなくて、起きてるとき…じゃなくてじゃなくて! 寝顔見られた…っていうか
ごめん実はずっと起きてたっていうかぁ……って」
, "´ ̄`ヽ、
i ノレノλリ〉
|从i ゚ - ゚リi
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| トン
_(,,) m9(^Д^) (,,)
/ | |\
「お前か」
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最終更新:2010年05月17日 01:42