アリス8



7スレ目>>678


拝啓魔界のアホ毛様、夜中に寝ていたら突然貴方の娘が泣きながら家にやってきました

「どうしたんだ?アリスこんな夜中に恋人とはいえ男の家に来るなんて」
俺は動揺を極力顔に出さないようにしアリスを刺激しないよう聞いた
「○○が・・・・」
「俺が?」
「○○が死ぬ夢を見たの・・・」
「そいつはまた演技でもない夢を見たな」
だからアリスは不安になって俺の所に来たのだろう
俺がもし同じ立場だったら不安になるだろうからあながち笑い飛ばせる事ではない

「まあ俺はこうして生きてるんだから泣き止めよ、な?」
「・・・でも」
「でも?」
「でも○○はいつかは私を置いて逝ってしまうじゃない!」
そうだ俺とアリスとでは種族としての寿命が違いすぎる
片や不老の魔法使いのアリス、片や老いて後60年もしたら死んでしまう人間の俺
アリスにとっては直ぐに訪れる避けられない別れ

「そうだな、だからこそ今このときを大切にしよう」
「嫌!私は嫌!○○と分かれたくない!○○とずっと一緒に居たい!!」
「アリス・・・・・・分かった、じゃあ俺に『捨食の魔法』を教えてくれないか?」
「○○?」
「吸血鬼とか蓬莱の薬とか色々あるけど、どうせなるならアリスと同じが良いしさ」
「で、でもいいの?人間じゃなくなるのよ」
「自分で言っておいてそれはないだろう?いいんだよアリスと一緒に生きられるなら」
ただ人間をやめる勇気がなかっただけで俺も口ではどんな事を言っても
心の中で本当は人間をやめアリスと一緒に生きる事を望んでいたのだろう
でもこれで決心がついた、たとえ何があろうともアリスと一緒に生きていく事を

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うpろだ350


「な、なに?」
○○にいきなり腕をつかまれた、強く、乱暴に
「アリス・・・そこは分量が違う、そっちを入れたんだからそれの分量は半分にしなきゃだめだろ」
「え、あ、ああうん、ごめんなさい」
魔法薬の調合中にいかがわしげふんげふん不謹慎な事を考えてしまった
修行が足りないなぁ
「これで良いのか?設置型遠隔操作型弾幕装置は」
「ええ、これで罠を作れるわね、戦術も広がるわ」
「俺は人形を弾にするのは好きじゃないな」
「どうしてかしら?」
「我が祖国に昔在ったと言われる神風特攻や爆弾三銃士のようではないか」
「なにそれ?」
「深く知る必要は無い、どうしても知りたいならばスキマ妖怪にでも聞けばいいさ」
コイツは私の知らないことを色々と知っている
「ふうん、何でも知ってるのね」
「何でもは知らない、知っていることだけ知っている」
いつものお決まりの台詞、彼から見れば私は無能で無智な子供でしかないのだろう
「さて、一通り終わったろ?」
「あ、あの・・・お茶を、のんで、いかない?」
「うーん、じゃあちょっとゆっくりしていくかな」
アリスに誘われては断れないな、茶菓子は・・・ふむふむ、クッキーですか
おお、美味い、美味いなこれ
「ど、どう?美味しい?」
「あ、ああこれ凄く美味いぞ・・・なんだどうした」
「な、なんでもない!」
何だコイツ、いつにも増して、変な・・・
「もしかしてこれお前が焼いたのか?」
「ななな何でそれをっ!?・・・あ」
「まじかよ、凄いなお前、これならいい嫁さんになれるぜ」
ああ、解りやすいぐらい赤くなっちゃって、可愛らしいったら
「よよよ嫁だなんて!そんな、その、まだそんな」
あー・・・見てる分には面白いけどな、あやしいひかりかちょうおんぱか、アリスは混乱した!
「まぁ相手がいないうちは結婚どころか(ばきゅーん)とか(どぎゅーん)だって、無理だろうけどな」
「ななななな(ぼんっ、ぷしゅー」
あーあオーヴァーヒートしちまった
アリスはうぶだなぁ、愛らしい
「はっはっは、アリスはまだ子供だな」
「っ!私は子供じゃ無い!馬鹿にしないでよ」
そうやってすぐに向きになるところが子供なんだって
大人は少なくとも自分の感情をある程度コントロールできるし
「(ばきゅーん)とか(ずぎゅーん)、口にしただけで赤くなっちまう奴が偉そうに、大人ってのはな!物腰は柔らか感情は出さずに、スタイリッシュに振舞う奴のことだっ!」
「わけわかんない!(ばきゅーん)とか(ずぎゅーん)ぐらい私だって!」
「・・・したことあんのかよ?」
「あっ、いやその・・・で、出来る!それぐらい簡単よっ!」
悪い癖、なのかね?この意地っ張りというか、なんというか
「そうか・・・でもなアリス、そういうのは惚れた男の為に取っとけ、本当にコイツになら一生預けて良いと思える位いかした男の為にな」
まぁそんなに莫迦な子じゃ無いからなぁ、むしろ頭はいい、だが硬いんだよなぁ
「○、○○は・・・そういう人はいないの?」
「んーいないんだよなぁ、俺もてないし、知り合いも少ないし」
「・・・私じゃ・・・私じゃだめ?」
うわぁ、コリャやべぇぜ、こんな事言われて、けど俺はコイツの事は好きだけど
なんていうか、餓鬼が近所のお姉さんやお兄さんに惚れるようなもんだと、俺は思ってしまう
その好意を受け取っていいものか、悩む
はたしてそれで良いのか、アリスの一時の感情ではないのか、何か思い違いではないかとか
受け取ることで苦しませたくは無い、俺もコイツと離れたりするのは怖いしいつまでもこんな関係でいければいいなんて思ってしまう
ようは失敗が怖いわけだ、アリスに子供だと言ったが、大人になれば失敗が怖くなる
あの頃は失敗する為に生きてるんじゃないかって思うぐらい後先考えず行動できた
でも今は、深く深く考えてしまう、それがイイコトなのかワルイコトなのか、俺にはわからない
「ねぇ○○・・・私は」
俺は臆病者だ、そして、莫迦だ
アリスを強引に、抱き寄せる
「・・・俺でいいんだな?」
「それはコッチの台詞、私で・・・いいの?」
「もちろん、お前じゃなきゃ嫌だ」
「私も、○○じゃなきゃ絶対に嫌だ」
アリスが、少し上を向いて、目を閉じた
この状況で俺がすべき事は
壊してしまわぬように、優しく、口付けを
「んっ、んちゅぷぁ、あんっ、んーぷぁっ」
「ぷはっ・・・下向くのも辛いな」
「私だってずっと上向いてなきゃいけないんだから」
「ねぇ○○・・・その・・・(ばきゅーん)とか(ずぎゅーん)とか・・・しなくていいの?」
「あー・・・先の楽しみに取って置こう、うん」
「なにそれ、可笑しいの」
まだ、アリスを壊しそうで怖いと思う
彼女を傷つけそうで、怖い
「○○?」
「なぁアリス・・・もう一回キスしようか」
色々と成長しなきゃいけないのは俺も同じらしい
この腕に収まりきれてしまう小さな体の、愛しい女の子を、守っていけるように
はぁ・・・課題は多いな

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うpろだ384


『アリスお前……林檎の皮むき上手かったんだな』

「一応人形作れるくらい手先の器用さには自信あるんだけど……」

彼女は俺が寝てるベッド傍の椅子に座り、しゃりしゃりと器用に林檎の皮をむいている。

『ウサギの形作るのとかもできそうだな』

「できるわよ」

『ハート型とか』

「手間だけど……できるんじゃない?」

『上海の似顔絵型』

「できてもどうせ『勿体無くて食べられない』とか言うでしょ貴方」

『よく分かったな』

「分かるわよ。……はい、どうぞ」

『お、さんきゅ』


アリスといつもの様なとりとめの無い会話をしていたが、その間に彼女は林檎の皮むきも済ませていた。
風邪ひいてここまで手厚く看病されるなんて、ここに来る前じゃ考えられなかったな。
食べやすい様に切り分けられた林檎を幾つか口に入れ、現金な事に少し調子が出てきた気がしてきた俺は
アリスに "あの" 時の事を聞いてみる事にした。


『なあ、アリス』

「なに?」

『今日は、泣かないのか?』

「!? ななな何のこと、事かしら??」

ぎょっと目を丸くして、頬をひくひくと引きつらせるアリス。ああ、お前最高のリアクション王だよ。女王か。

『いやさ、お前、俺が床にぶっ倒れてる時に俺ん家来て、そんでそのまま介抱してくれたじゃん
 あの時さ、しんどくて身体は動かせなかったんだけど……意識はあったんだよなー実は』

「な、だ、だってあの時何度も貴方の事呼んだのに、貴方全然応えなかったじゃない!」

『いやそのまあ、だな、あんなボロボロ泣かれると思わなくて、あそこで応えたら気まずいかなって』

「そ、そこまで空気呼んだんならその話は胸のうちにしまっときなさいよ!」

『いやいやあの時の貴女もう本当に可愛くて、この感動を誰かに伝えたくて』

「こんな時までからかうこと無いでしょ!本当に心配したんだからっ!」

『うんまあ半分は本気でからかったんだが、感動したってのは本当。伝えたかったってのも本当だな』

「え……?」

『普段落ち着いてるお前があんなに取り乱すくらい、お前に想われてるんだな、ってさ。
 心配かけてごめん。でもすげー嬉しかった。恥ずいからもう言わないぞ』

おーおー耳まで真っ赤だ。俺もだけど。こういう時のアリスはホント可愛いなあ。
皆さん見てください、これが俺の嫁です。えっへん。

「も、もういいから、そろそろ眠ったほうが良いわ。早く治してよね」

『へいへい、おやすみー』


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「……とまあこの様に、季節を鑑みない春めいたやりとりを繰り広げているワケですが、解説の霧雨さん?」
「解説するぜ」

「アリスさんも魔法使いなんだから、人間の風邪に効果のある魔法とかあるんじゃないでしょうかね?」
「ブン屋よ、覚えときな」

「はい」
「時には魔法を使わないことが、魔法を生み出す事に繋がる事もあるんだぜ」


「意味は分かったんですが、その『今私ちょっと良いコト言ったぜ』的なオーラはしまって下さい」
「惚れてもいいぜ」
「惚れません!」
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最終更新:2010年05月18日 22:10