リリカ1
1スレ目 >>342-344
私たちのライブには熱心なファンも多くて
それは妖怪だけでなく中には熱心な人間のファンもいる。
特に最近よく見かける「外の世界から来た」という人間の男は
私たちの演奏をはじめて聞いたときからずっと毎回欠かさずライブに来てくれる。
まぁ、実質私がまとめてるライブなんだから人間が虜になってしまうのはしょうがないけどね。
それにしても彼は、楽屋にまで遊びに来て
おいしいお土産と面白いお土産の話をしていく。
外の世界の話は、私としても失われた音を見つけるのに役立つので聞いていて損はない。
ただ、最近姉さん達が
役に立つ以上に彼のことを気に入ってしまっているみたい。
彼が帰ると、
メルラン姉さんは天国のお祭り騒ぎみたいな陽気を奏でて
ルナサ姉さんは、この世の終わりのような悲愴を奏でる。
分かりやすいわね。
面白いから二人に彼のことを問いただしたら、やっぱり好きだって白状した。
でも、姉妹で男を取り合うのは、三人の音楽活動にもよくないわ。
だから、二人ともフェアに彼に告白してみたら?
って提案してみた。
もしかして、失われた面白い恋の音が聞けるかもしれないしね~♪(←本音
今日のライブが終わっていつも通り私たち三人のところに来た彼。
今日の演奏がいつも以上によかったってはしゃいでいる。
本当に私たちの演奏が好きなのね、そこは確かに可愛いと思う。
純粋な笑顔を私に向けている彼が、この後どうなるか…みものじゃない?
どっちを選ぶかなぁ、さすがにそこまでは分からないけど。
「実は今日はあなたに大切なお話しがあるの」
「私、あなたのことが好きになりました。この気持ち、私の音楽とともに受け取ってください」
「私も、あなたのことが好きなんです! あなたといるととっても幸せな気持ちになれるから!」
真剣に彼を見つめるルナサ姉さん
本当に純粋な笑顔で彼の答えを待つメルラン姉さん
彼は、姉さんたちは、どんな心の音を聞かせてくれるのかしら?
彼は当然戸惑っているようで、少しキョロキョロした後何かを決心した強い瞳をした。
「ごめんなさい、僕には他に好きな人がいるんです」
彼はまっすぐに頭を下げた。
潔くて有無を言わせない答え。
意外。
それでも、納得いかない姉さんたちの様子を見て彼は言った。
「僕は、リリカさんが好きなんです!!」
まっすぐな言葉に、警戒心ゼロだった私の心が打ちぬかれた。
ドキン
言葉ではそうとしかいえない強い音が心から奏でられた。
私の心から。
とたんに、冷静でいられなくなる。
姉さんたちに信じられないといった顔で見られる、
普段ならたいしたことじゃないのに、今はすごく恥ずかしい…
「え、えと、私!? あの」
うまく言葉を奏でられない。
「あなたのことは、確かに嫌いじゃないけど…、あ、でも好きでもないってワケでもなくて
ほら、あなたは私と違っていい人(単純)っぽいし? ってそういうことじゃなくて」
「「リリカ!」」
姉さんたち二人が私の目の前によってきた。
「三姉妹で、男の人を取り合うのは」
「私たちの音楽に、あまりいいことではない、そうよね?」
あれ、なんか、牽制されてる?
でも私、べつにこの人のこと好きだって言うわけでもないし!
私が取ったわけじゃないし!
珍しく取り乱す私を見て姉さんたちはくすっと笑った。
「だから、私たち」
「身を引くことにするわ、この人間はあなたにあげる。くやしいけどね」
な、な、な、なんですとーー!?
勝手に話が進んでる。
あ、もしかして普段の私に対する仕返しもかねてるのかな…
「私は本気であなたが好きでした、でも、はっきり断られたなら」
「大切な妹になら譲ることにします、でもしばらくはトランペットは弾けないかも…」
そう言って去っていく姉さんたち。
取り残された私と彼。
「急な展開だけど…でも僕は、初めて君たちの音楽を聴いて、リリカさんの音を聞いてからずっと
あなたのことだけ追いかけてきました。好きです」
また言われたぁぁ
心の不思議な音はさらに複雑に鳴り響く、
意外なことに、予想もしてなかったことに、この音は心地よいいい音だった。
悔しいなぁ、姉さんたちを利用するつもりが、私自身が彼にいいように弾かれてる
きっと惹かれてる。
「私は、返事しません」
強がってみた。
「それでもいいです、だって、僕が勝手に好きになってずっと追いかけていただけだから
でもこれからも、断りの返事をもらうまでは追い続けるよ?」
綺麗な笑顔の音。
彼といるともっといろいろな音が聞けそうで、
だからそれでいいかなと思った。
うん、そういうことならしばらく”利用”してあげよう。
私の音のために。
とりあえず手始めに、キスの音はどんな音かな…
end
2スレ目 >>38
~~~♪ ~~~♪ ~~~♪
軽快なフルートの音とともに森を歩く。
確か魔除けになるって・・・けーねがいってた。
そのおかげかどうかは解らないが、妖怪には邪魔されずにゆったりと歩く事ができた。
この幻想郷に迷い込んだ時の唯一の持ち物だからなぁ・・・。
そうのんびり歩いていると、暑くもなく、寒くもなく、比較的暖かい温度だった。
そんな平和な日が。
「春ですよ~」
一人の弾幕で表現したい妖精にぶち壊される。
突如目の前に現れた弾幕に俺はひるむ。勿論フルートなんて口から離れる。
「うぉ!ちょ、ちょっと待て!弾幕で春なんか伝えるなぁ!」
俺の反論も空しくその春風少女(妖精)リリー・ホワイトは問答無用で攻撃をしてくる。
「春ですよ~」
「痛っ!痛痛っ!そんな春見たことない!痛っ!」
たまらず逃げ出す。しかし追いかけてくる。
「春ですよ~」
「追いかけるな!痛っ!・・・この、春は貴様の頭の中で十分だ~!!」
そんな事が数分続いた後。リリーは満足したのか、帰っていった。
「ぜぇ、ぜぇ・・・あの春頭めぇ~」
逃げたら追いかけてくる、追いかけたら追いかけてくる。
自分が攻撃できない非力な人間だと知ってぇ~。
「まぁ、治癒魔法程度なら使えるんだけどさ」
そう言って呪文を唱える。その後、体を青白い光が包んだ。青白い光が消えたあと、傷はすっかり癒えていた。
「さてと・・・またのんびり吹きながら行きますかな」
そう言い、フルートを吹く準備を始めて、吹き始める。
~~~~♪ ~~~~♪ ~~
「そこ、甘い!甘すぎる!砂糖120%のケーキぐらい甘い!あれは地獄だ!」
いきなり後ろから大声をかけられたので、多少驚いて後ろを向くと。
赤い服に赤い帽子、それとキーボードを持った少女だった。
…砂糖120%って、そりゃ地獄だろう。
「な、何?」
「フルートはそういうふうに吹くんじゃないの!もっと・・・・・・とか、・・・・・・いう風に」
何故かいきなり正座され、フルートについてうんたらこーたら聞かされた。
…誰かも解らないのに説教されるのは初めてだ。・・・前にやられた記憶があるけど。
「聞いてるの!?」
思い出に耽っていた俺に、赤い服の少女が聞いてくる。正直聞いてません。
「え?ああ、えと。え?」
いきなり聞かれたので、俺は訳のわからない言葉を喋ってしまった。
「ちゃんと聞いてよ。だから・・・・・・とか、・・・・・・いう風に」
また同じ話だよ、・・・こいつ、相当気が立ってるな。
「じゃあ今言った事を参考にして、吹いてみて」
「は?」
いや、いきなりフルートの説明聞いて、はい吹いてみましょうじゃないって。
「いいから、早く吹いてみて!」
なんか主導権握られてるよ。流石に握られっぱなしじゃ癪なので。
「ちょっと待て。見知らぬ人間に突然フルートについて言われて、それで『はい、吹きましょう』じゃあ、まずは大丈夫ですか?って聞くもんだ」
「・・・そう?」
突然冷静になった少女が聞いてきた。
「一般常識的に、そうだと思う」
とりあえずは答える。ここで一般常識なんて通用しないくらいわかってるが。
「・・・・・・」「・・・・・・」
しばらくの沈黙。良く見ると赤い服の少女が服に負けないくらい真っ赤になっていた。
「・・・大丈夫か?」
あまりの変化につい声をかけてしまった。単に沈黙を破りたかっただけだが。
「・・・なんで?」
「顔真っ赤だぞ?」
「赤くない!」
突然大声を出して反論してきた。いや、何でそんなに必死なんだ。それ以上触れてはいけなさそうなので話題を変えてみる。
「それで、何でいきなりそんな事を言ってきたの?」
「へ?な、何のこと?」
どうやら混乱しているみたいだ、これは面倒だが説明が必要だな。
「いや、見ず知らずの人にフルートの吹き方について言うほど、非常識じゃないでしょ」
「・・・それは、あまりにも下手だったから」
…少しショック。そこまで下手だったのか?
「俺はそこまで駄目だったのか・・・」
「うん、駄目。何で駄目かって言うと、・・・・・・・」
ヤバイ、また始まった。・・・長いからな、嫌になってくる。
「リリカ。あなた、何やってんの?」
右の方から声が掛かったので向いてみると、黒服の少女がいた。似ているから、姉妹かなんかか。
「ん、姉さん?いや、この人にフルートが何たるかを教えてるのよ」
そのかわり全然頭に入ってないけど。
「教えるのはいいけど、もう時間よ」
「へ?嘘、もうこんな時間!?」
空を見るともうすでに日は沈みかけていた。
「ゴメン!私もう帰らないと!」
「そ、そうか?」
「あ、まだ名前も聞いてなかった。私はリリカ。あなたは?」
「俺は○○だけど?」
「○○、じゃあね」
ああ、この地獄から開放されるのか・・・。リリカが去り際に。
「明日もここね!大体日が昇る頃!」
…開放は、まだ遠い。
眠かったので帰ってすぐ寝た。
―――――翌日
「遅い!遅すぎる!」
「悪い、悪い」
ついた頃には日が昇ってから少しした後なのに、リリカは怒っていた。
「で、何でこんなところに呼び出したんだ?」
「へ?解らないの?」
一瞬きょとんとした顔の後、ため息をついた。
「だから、あんたが下手すぎるから、このリリカ様が教えてあげようって言ってるの」
「ああ、そう」
いまさら教えられてもねぇ・・・。ん?教える?
「時にリリカ」
「何よ?」
リリカがこちらを睨む。
「フルートは持ってきてないぞ」
「・・・は?」
「だから、フルゥトは持ってきておりません」
「・・・なんで?」
「いや、聞かされてないし」
ああ、眉間に青筋が立ってるよ。音楽家 こだわるところは うるさいな ・・・字余り。
「さっさと・・・取ってこーーーい!!!」 ・・・バサバサバサバサ チュンチュン
朝の森に怒声が響き渡った。
「はいはい、それじゃあ始めるわよ」
なぜか俺は学校の机に座っている。目の前にあるのは浮いている黒板と何故かメガネをかけたリリカが居る。
「その前に」
やっぱりここは手を上げて質問する。
「なに?」
「何でメガネかけてんだ?」
「雰囲気が出るからよ。じゃあ、まずは基礎から」
どうやら逃げるのは無理みたいだ。
~~少女(と)勉強中~~
「まぁ、今日はこんなところね」
「厳しいなぁ・・・疲れた」
勉強なんて全然してなかったからなぁ、疲れた。ちなみに寝ているところにチョークがすっ飛んできたのもお約束。
「じゃあ、復習はしておいてね」
そう言って帰っていく。ちなみにもうすでに夕方。
…なんか、変なの。
そう思いながら帰った。
――――そんな日が数週間たった頃
「毎回遅刻しすぎ!」
「朝は弱いんだよ・・・」
何日も続いた挨拶を交わして、俺は席に着く。
「そういえば、知ってる?」
いきなりそんな事聞かれても解らんって。
「知らない」
「まぁ知らなくて当然ね。言ってないもの」
じゃあ聞くなよ。そんな事を考えながら、リリカを睨んだ。
「一週間後くらいに、神社で宴会があるのよ。たしか」
「ふーん。そうかぁ」
あんまり関係なかったので適当に答えた。
「何よ、つれないわねぇ。それよりも、ここからが本題」
膨れっ面になったと思ったらすぐにまじめな顔になった。器用なものだ。
「神社の宴会で、私たち演奏するんだけど。なんと、あなたも出しちゃう事にしました!ジャジャ~ン!」
思わず手に持っていた鉛筆を落とす。リリカはジャジャ~ンのポーズをしたまま固まってる。
そのまま少しの沈黙。
「・・・俺を出す?ハハハ何をご冗談をそんな俺がたいそれた場所にしかもリリカ達となんて冗談にもほどが」
「本当よ?嘘ついてどうするの?」
「楽しむ」
嘘ついてどうするかと聞かれたので、まじめに答えた。
「そりゃあそうだけど・・・、今回のは本当だって」
「いや、それでもさ、いきなり俺も一緒にってさ」
「大丈夫!姉さんたちには言ってあるから!」
多少胸を反らして自身ありげに答えた。姉さん云々じゃないって。
「俺は下手だぞ?」
「何日も私の手ほどき受けたんだから。大丈夫、大丈夫」
「何やるか聞いてないぞ?」
「それも大丈夫!一週間あるから、死ぬ気でやればなんとかなるって」
こいつ、人のことになると適当に言いやがる。
「んじゃ、これが宴会でやる曲の楽譜」
渡された楽譜は、それだけで一冊作れるんじゃないかと思われるくらいの量だった。
「・・・待て、これを一週間で全部覚えるのか?」
「うん」
そこまで俺は超人じゃない。この紙を破ってやろうかと手に力を込めて・・・。
「冗談。やるのは上から10ページまで」
よかった、おかげでタウンページ破りをしなくてすんだ。しかし、少し破けてしまった。
「10ページ・・・ねぇ」
眺めてみるも、簡単とは言えないような難しさ。いわゆるHard。
「できるのか?」
不安だ、不安すぎる。失敗したらどうなることやら。
「できるって。もしできなかったら、生きていられるとは思わないほうがいいけど」
そうか、つまり、『しろ。しなければ殺す』ってことか。まぁ、拒否権は無いな。
「解った。死ぬ気でがんばるよ」
「本当?良かった。やらないとか言ったら冥界にも行かせないようにするつもりだったから」
さらっと笑って恐ろしい事を言う。まぁ、拒否しないとわかってて提案したんだろうに。
「んじゃ、帰ってやるか・・・」
そう言って腰を上げようとしたら、リリカに押さえつけられた。
「何逃げようとしてるの?ここでやるに決まってるじゃない」
「いや、家でやった方がさ、集中してできるじゃん?」
「駄目、ここで私と一緒にやるの」
「それが狙いか。断る」
「駄目」
「断る」
「だ」
「こ」
しばらくの睨みあい。
「解ったよ・・・」
リリカの眼力(単にメガネで暑かっただけだが)に押されて、俺は渋々ここでやる事にした。
「それでいいのよ」
リリカは満足そうにうなずいた。
―――――そして宴会当日
「遅い!あんたには習慣ってものが無いの!?」
「同じ時間に来てるつもりだが、これは習慣とは言わないのか?」
「言い訳しない!」
言い訳ってさ、あのねぇ。
「で、神社には行かなくていいのか?」
「まだ行かなくてもいいのよ。姉さん達が準備してるし」
「お前は鬼か。手伝ってやれよ」
「私はあなたの手伝い。さぁ、残り数時間、地獄よりきつい特訓が始まるわよ!」
ああ、なんか嫌な予感がするよ父さん。
「ひぇぇ」
「何それ?」
…とりあえず言ってみたかったんだよ。
~~~~特訓中~~~~
「さて、もう行くわよ~」
「リリカは・・・赤い彗星だ。に、逃げろ~」
「見せてもらおうか、れんp・・・って何言わせんのよ!」
思いっきり腰を蹴られた。そこまで蹴らなくてもいいのに。永遠亭に行く破目になるだろ。
「うぅ・・・母さん。三倍は酷いと思わないかい?」
「何言ってんのよ?さぁ、行くわよー」
そう言いながら俺の服を掴んでズルズルと引っ張っていく。
「やっと来たわね。何処でサボってたの?もう準備は終わってるわよ」
多少怒りが混じった声を出したのは。素敵な楽園の巫女ならぬ博麗霊夢だった。
「いや、なんだ。色々とあってな」
「ふ~ん、そう。まぁ別にいいけど」
あぁ、いい人だなぁ。そう考えてると、リリカに引っ張られた。
「なに?」
「なに?じゃないわよ。私たちはこっち。準備があるんだから」
「何怒ってんだ?」
「お、怒ってない!」
そう言いながらも、ずんずんと前に進んでいく。俺は引き離されまいと、少し急いでついて行く。
「あ~、緊張するなぁ」
宴会での出し物はミニコンサートみたいなもので、何曲か吹いて終わりらしい。それでも緊張はするが。
「大丈夫よ、自分を信じれば」
心配したのか、リリカが声をかけてきてくれた。
「ん、そうする」
とりあえずは集中だ。そう思って俺が瞑想をしているところ・・・。
「ちょっといい?」
声をかけられたので振り向いてみると、始めてあった日にリリカを連れ出した少女だった。
「私たちの演奏では、指揮者が居ない。つまり、周りに合わせる必要があるわ。それだけ。・・・じゃあ」
周りに合わせる・・・か。結構難しそうだ。
『次は、プリズムリバー三姉妹+αの演奏だぜ!』
変なアナウンスコールとともに、歓声が沸く。さて、行くかな。
とりあえず一曲目をなんとか終わらせて。二曲目に入った。
「・・・もう我慢できな~~~い!!!」
二曲目のまだ最初のところで、いきなり人が入ってきた。たしか、紅魔館の門番の・・・ちゅ、中国だっけ?
後ろからだと良く見えないが、どうやら酔っているらしい。
「みなさ~ん!元気ですか~!?それでは早速、いってみよ~~!!」
突然の乱入もお構い無しに演奏を続ける。勿論観客も酔っているらしく、関係なく騒いでる。
「ハイ!」
『1!2!3!』
突然中国の体全体をナイフが覆った。つまり刺さった。
そのまま倒れる中国。と、倒れる直前に姿が消えた。ついでに誰かが消えた気がした。
ギャーーーーーーー!!!
凄い悲鳴が聞こえた気がするが、全員で無視した。
その後も、雀が歌いだしたりして大変だった。
まぁ、吹いていない時に大食いで有名な幽々子のところに蹴り落としたが。
そんなこんなで、人生初の舞台演奏は大成功に終わった。
「あー、終わった。終わったんだ・・・。ん?なんだ。」
俺が脱力状態のままでのんびりしていると、リリカが突っついてきた。
「ちょっと、ついてきて」
そう言って俺の腕を取り、逃げるように引っ張っていく。
「お、おい、転ぶって」
俺の呼びかけにも答えずに、森の奥に俺を連れて行く。
「な、なんだ?こんなところにまで連れて来て」
リリカに呼びかけるが、返事は無く俯いている。と、リリカが顔を上げて。
「あなた、今自分の腕前、どう思ってるの?」
「腕前・・・ねぇ、そんなにうまくないんじゃないのか?」
「うまくなくない!」
いきなりの大声に俺は怯む。リリカは俯いて。
「うまいのよ、フルートだけだけど、私以上に」
「それは、リリカが教えてくれたからだろ?」
俺は急に声のトーンが変わったリリカに驚いて、とりあえず慰める。
「私が教えるよりも前に、私よりも、メルラン姉さんよりも上手かった」
「じゃあ、なんで教えたんだ・・・?」
一つの疑問を覚えて聞いてみた。しかし、それが確信をつく言葉だと俺は気付いた。
『・・・』
長い長い沈黙。なにかよくわからない、修羅場のような雰囲気。
「・・・・き・・・から」
「ん、なんだって?」
「好きだから!」
大声で叫び、俯いた顔を上げる。目に涙がたまり、ギリギリ零れないで止まっていた。
「好き・・・って」
「好きなのよ。最初に、あなたが吹いていたのを見たときから。それで私、どうすればいいのかわからなくて・・・
とっさに思いついたのがあれだったの。そして、私がフルートについて知っている限りのことを話したわ。
独学だったみたいだから、解らなかっただろうけど、あれは最初に勉強する極基本的なことよ」
リリカが早口で喋る。大方恥ずかしいのだろう。
「・・・そうか、それでお前は俺が好きなのか」
イマイチ実感がわかない。それは、ずっと一緒に居たからなのだろうか。
「・・・でも、幽霊と人間、結ばれない関係。そんなこと言った私がバカみたい。私なんかいっそ死んだ方がいいn・・・!」
自暴自棄になってきたリリカの体を抱きしめる。
「・・・俺も、リリカのことが好きだ」
「・・・・・・でも、私たちは結ばれない」
「結ばれないなんて、誰が決めた?愛があれば何でもできるんだよ」
そう言ってリリカの顔を見て微笑む。つられてリリカも微笑んだ。その時に、涙があふれて頬に流れた。
しばらくの見詰め合い。
抱き合う二人。
「ねぇ・・・」
「なんだ?」
「今から、演奏しない?」
「ん、そうだな。今からメルランとルナサを呼んでもいいd」
「そうじゃなくて、・・・二人で」
「・・・二人で、か」
「駄目?」
リリカが首を傾げて言った。
「いいに決まってるじゃないか。それに、それを承知で聞いてるんだろ?」
「うん。あなた、騙されやすいし」
さりげなく酷いこといったな、コイツ。
「さて、じゃあ吹くか!」
「じゃあ、宴会で最後に演奏したやつね!」
そう言って二人は構える。・・・と
「お前ら!隠れコンサートなんてずるいぜ!」
「なっ!魔理沙!?」
出てきたのは黒い魔法使い、霧雨魔理沙。
「おっと、私だけじゃないぜ?」
そう言って指差した方向には、プリズムリバーの上二人。
「あーあ、見つかっちゃった」
「まぁ、最初から解ってたけど。リリカが○○を好きだってことは」
「ね、姉さん・・・いつからそれを」
「毎日毎日、変わった場所に行って。それで一人の男が居れば、決まりじゃない?」
「・・・」
リリカは真っ赤になって俯いた。やっぱ姉妹には隠せないみたいだ。
「これじゃあ隠れコンサートじゃないぜ。私達だけ聞きたかったんだがなぁ」
魔理沙が残念そうに言う。何事かと思い周り見ると、いつのまにか宴会に出ていた全員が居た。
「な、なんでだ・・・。魔理沙、呼んだか?」
「いや、私は呼ばないぜ。こんな楽しみ、一人で聞くもんだ」
じゃあ、他に誰が?そう思い、ふとある人物を思い出す。
「・・・鬼、出て来い。出なけりゃ豆撒くぞ」
「ばれたか。いや、よく解ったね」
そう言って現れたのは、ちっこいが鬼の萃香。
「普通なら皆、紫のせいにするのに・・・」
いかにも残念そうに答えた。
「紫が居ないから紫は除外だ」
「あんた賢いねぇ」
今度は感心するように。どうでもいいけどそろそろやってもいいか?
「魔理沙、萃香を抑えろ。咲夜さん、たしか食器皿に鰯の頭が残っていたはずですから、持ってきてください」
「ほいきた」「まぁ、なんかやりたい事がわかったから持って来るわ」
ガシッ
「え?ちょ、ちょっと。ストップ!あんた、鬼の弱点で攻撃しないって言ったじゃん!」
あーあ、まだ解ってないみたいだねぇ。
「俺が言ったのは、豆を撒く、だ。誰も攻撃しないとは言ってない」
「はい、鰯の頭」
「どうも。・・・さて、制裁といきますか」
「ちょ、わ、待って。し、死ぬ!」
今にも逃げ出そうとする萃香だが、魔理沙に押さえつけられて何もできない。
「ねぇ、早く演奏しない?」
焦れたらしく、リリカがすこし怒って言ってきた。
「ん?そうだな。そうするか」
「た、助かった・・・」
「んーと、霊夢。ほい」
そう言って鰯の頭を霊夢に投げ渡す。
「それで、萃香をやっといてくれ。俺はやる事があるから」
「まぁ、今回だけは特別にやっといてあげるわよ」
霊夢はため息をつきながら萃香の方に歩いてゆく。
「うわ!や、やめ、霊夢、やめて。お願い。・・・・・・お、お、お、鬼ーーー!!!」
「さてと・・・皆様お待たせいたしました。今から、特別に演奏します。まぁ・・・二人っきりでやりたかったんですけど」
そんな俺のアナウンスに苦笑が漏れる。ちなみに萃香はと言うと、気絶している。
「じゃあ、演奏を開始します!・・・一曲だけですけど」
そう言って俺とリリカは構える。一度見つめあい、互いに頷き合う。
そして
森の中に
フルートの澄んだ音と
ピアノの軽やかな音が
合わさって
響き渡った。
それは、
皆を惹きつける
音だったとさ。
―――END―――
~あつぉがき~
どうも、>>992氏のリクエストにお答えして。リリカでした。
しかし、これは音楽コラボと言って良いのか悪いのか、正直解りません。
まぁ、皆さんに任せます。>>992氏、想像と違ったかもしれませんが、ご了承くださいませ。
最後に!
メガネリリカの絵が無いかな、なんて思っていました。
あったら見てみたい。無かったら・・・。
この作品が萌えたと言う人、誰か描いてください。
私は絵に関しては全くのヘタレですから。
次は幽々子&妖夢です!時間が無い中、ゆったりまったり書いておりますので、出来上がるまで時間掛かるかも。
2スレ目 >>195
こんなはずじゃなかった…
彼女を傷つけてしまった…
なぁ…リリカ…本当に僕たちはこれで終わりなのかい?
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
僕は騒霊楽団のファンだ。
向日葵畑のライブを見てから彼女たちの虜になってしまった。
それから行われたライブには全部行った。
友人に何でそんなに気に入ったんだ?と訊かれた時、
「演奏を聴いたときにこれは!と思ったんだよ。それに…彼女たち…可愛いし…」
「可愛いって理由が80%ぐらい占めてそうだな。このロリコンが。」
「ばっ…ばっかやろ!そんなんじゃねぇやい!」
「くっくっくっ…相変わらず面白い奴だな…」
てな感じだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ちょうど僕がライブに行くようになってから半年ぐらいだろうか?
楽団員の一人で三女のリリカが僕に声をかけてきた。
「ねぇ、キミってここ最近いつもライブに来てくれるよね。」
「え、ええ。まぁ…」
「嬉しいなぁ。私たちのライブって結構人(?)は集まるんだけどリピーターさんって居ないのよ」
「え、そうなんですか?」
彼女たちのライブを何回も見ないなんて…なんてもったいない奴らだ…
「ねぇ、私の名前は知ってるよね。キミの名前は?」
「僕は○○っていいます」
「○○君か…」
「あ、いや、呼び捨てでかまいませんよ。」
「そお?じゃあキミも私に敬語で話すのはやめてよ。なんか堅苦しくてさ。あと私のことも呼び捨てで呼んでよ」
「は、はぁ…」
それから僕とリリカはライブの後や、リリカがオフのときに良く会った。
そして二人が出会ってから3ヶ月が過ぎた…
「ねぇ、○○?大事な話があるんだ…」
「なんだい?」
「わ、私は…○○が好きなの!」
「えっ!」
「ごめんね、いきなりこんなこと言って。だけど…どうしてもこの想いを伝えたくて…」
「…うん…じゃあ僕はその想いをしっかり受け取るよ。リリカ、僕も君のことが好きだ!」
「○○!」
こうして僕たちは付き合い始めた。
相思相愛のカップル、別れるはずがないと思われた。
しかし…
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「ねぇ○○、今日姉さんに色目使ってたでしょ」
「えっ!?使ってないよ?」
「じゃあ何で今日のライブは私のほうを見てくれなかったの?」
「それは…紹介しようと思って連れてきた友人がひっきりなしに喋りかけてくるから…」
「じゃあなんで姉さんの方ばかり見てたの!?」
「その友人がルナサさんが好きだからって…」
「じゃあ何?○○は私たちのライブよりその友達のほうがいいの!?」
「そ、そんなことは…」
「もういい!言い訳なんて聞きたくない!…別れましょ…もう金輪際私の前に現れないで!」
そういって彼女は僕の部屋から出て行った。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
…寂しい。
孤独がこんなに辛いものだったなんて…
僕は…何が悪かったんだろう…
リリカ…
「久しぶりにギターでも弾こうかな…」
僕はギターを出すと念入りにチューニングをした。
そして何を弾こうか悩んでいるとある洋楽の楽譜が目に入った。
「懐かしいなぁ…これは確か僕がまだ人間界に居るときにすごく好きだった曲だ…」
「…そういえばこの曲は…自分の罪や過ちを認めて新しい出発を図るって曲だったな…」
「…フッ…今、リリカに一番捧げたい曲だけど…会えないよな…」
僕は外に出て、岩の上に座ってイントロを弾き始めた
"The Reason/Hoobastank"
♪
I'm not a perfect person 僕は完璧な人間じゃないんだ
There's many things I wish I didn't do しなきゃ良かったと思うことはたくさんあるよ
But I continue learning だけど僕は学び続けるよ
I never meant to do those things to you 君にあんなことをするつもりは全くなかったんだ
And so I have to say before I go だから行く前に君に言わなきゃいけないんだ、
That I just want you to know 君に知ってて欲しいだけなんだ
I've found a reason for me 僕は自分のための理由を見つけたよ、
To change who I used to be かつての自分を変えるような
A reason to start over new 新しくやり直すための理由、
and the reason is you 君がその理由だよ
I'm sorry that I hurt you 傷つけてゴメン、
It's something I must live with everyday そのことは日々抱えていくよ
And all the pain I put you through 君に与えた苦痛を全て、
I wish that I could take it all away 僕が取り除いてあげれたらいいのに
And be the one who catches all your tears 君の涙も受け止めたいよ、
Thats why I need you to hear だからお願いだから聞いておくれ
I've found a reason for me 僕は自分のための理由を見つけたよ
To change who I used to be かつての自分を変えるような
A reason to start over new 新しくやり直すための理由、
and the reason is You 君がその理由だよ
and the reason is You 君がその理由だよ
and the reason is You 君がその理由だよ
and the reason is You 君がその理由だよ
and the reason is You 君がその理由だよ
I'm not a perfect person 僕は完璧な人間じゃないんだ
There's many things I wish I didn't do しなきゃ良かったと思うことはたくさんあるよ
And so I have to say before I go だから行く前に君に言わなきゃいけないんだ、
That I just want you to know 君に知ってて欲しいだけなんだ
I've found a reason for me 僕は自分のための理由を見つけたよ
To change who I used to be かつての自分を変えるような
A reason to start over new 新しくやり直すための理由、
and the reason is You 君がその理由だよ
I've found a reason to show 僕は見せる理由を見つけたよ、
A side of me you didn't know 君が知らなかった僕の一面を
A reason for all that I do 僕が為すこと全ての理由
And the reason is you 君がその理由だよ
「ふぅ…僕のこの想い…届くことは…無いんだろうな…」
「いいえ、しっかりと聞き届けたわよ」
…その声は!
「…リリカかい?」
「ええ、私よ」
振り向くといつの間にか僕の後ろにリリカが立っていた。
「…フッ…僕は未だに君のことが忘れられないんだよ…だから…こんな曲を引っ張り出してきて…惨めだろ…笑っていいよ…」
「…惨めなんかじゃない…悪かったのは…私のほうなのに…」
「リリカ…?」
リリカが抱きついてきた。
「ごめんなさい…私、貴方にそんな良い曲を捧げてもらう資格なんて無いのに…」
「…いや、僕だって君のほうを見てあげなきゃいけなかったのに…」
「ねぇ…また…やり直せるよね…私たち…」
「うん……二人で見つけよう…僕らが一緒にいるべきその理由を」
勢いで書きました…今は反省してます…orz
最終更新:2010年05月31日 21:13