妖夢11
うpろだ1170
「幽々子ー」
少し前までは静かだった白玉楼も、今では静かとは言わなくなってまいりました
「あら、何かしら○○」
というのも、
「ちょっと楽しい運動を教えてあげようと思ってだな」
この
「まず両手を胸にあててー」
○○とかいう人間が
「で、ぽんぽんぽんで両手を上にー」
頻繁に来だしたからで
「こうかしら?」
というか、
「そうそう。んで、それにあわせてこういうんだ」
生者が何故こうも易々とおおおおお
「はい、「らんらんるー♪」」
「だあああああああああああああああああああ!」
思わず叫んでしまった
二人合わせてきょとんとしている
「どうしたのかしら妖夢ー?」
「どうしたー?妖夢ー」
「だからそこハモるな同じ仕草をするなっ」
顔を見合わせてどうしたのかしらとでも言いいそうな顔
「でーすーかーらー」
とのばして一端止め、今まで言わんとしたことを言う
「何で生者がふっつーに何の躊躇もなくここにこれるんですか!結界は!?そもそも入り口は上空にあるんですよ!?ただの人間のあなたがどうやってきてるんですか!」
ぜーはーぜーはー
「まぁまぁ落ち着いて落ち着いて。ほら、息を」
「吸ってー」
「ひっ」
「吸ってー」
「ひっ」
「はいてー」
「ふー」
「はいつなげてー」
「ひっひf・・・って何させるんですかあああああああ!!」
思わずぐーで殴った
「はっはっは、痛いなぁ妖夢」
まるでこたえてないのが何ともいえない
「で、そんなに知りたいのかな妖夢ちゃぁ~ん」
「気色悪い声出さないでくださいちゃん付けしないでください!・・・でも一応教えてください」
小馬鹿にされている気がするのは私の気のせいだろうか
しかし気になることはしょうがない
「はっはっはー。知りたければ俺を捕まえてごらーん」
「は、はぁ・・・?」
いきなり何を言い出すのかこの人は
「ほーっほっほほー。捕まえてごらんなさーい♪」
「まてまてーあっはっはh・・・って!」
のせられてしまった
というか、何で私が男役?
「胸の平たさh」
「皆まで言わせるかあああああああ!」
かきーんと打った
柄で
「あーっはっはっは、まったく妖夢は照れ屋さんだなぁ、球筋に出てるぜ」
彼方まで吹っ飛ばされながら何かのたまい、○○は星になりました
「めでたしめでたし」
「じゃないでしょうもう」
「ゆ、幽々子様!?」
まったくもう、とでも言いたげな顔でこっちを見てくる
「痴話喧嘩もいいけど、程々にしなさい。彼は人間なんだから加減しないとホントにここの住人になっちゃうわよ?」
「ち、痴話喧嘩とかじゃなくて・・・その!」
「あら、じゃあ夫婦漫才?」
「め、夫婦!?」
にんまぁ~と嫌らしい笑みを浮かべる幽々子様
「幽々子様ぁ~!」
「あらあら、うふふ♪」
まったく、いつまでも食えない方だこの人は
「はぁ、もう何でもいいです」
いつまでも否定してると話が終わりそうにないので適当に濁す
「それじゃあ、○○を探してくるから妖夢はここで待ってなさい」
「え、いえ、それは私g」
「待 っ て な さ い」
有無を言わさぬ態度に言葉が詰まる
一拍をおいて、幽々子様
「・・・彼とは少し二人で話がしたいの。あまり妖夢には聞かれたくないからここで待ってなさい」
「・・・私に、聞かれたくないこと?」
「あら、気になる?」
うふふ、とからかい顔
「心配しなくても色恋沙汰じゃないから安心しなさいな」
「だ、誰もそんな心配は・・・!」
「あらそう?だったらいいんだけれど・・・妖夢、奥手過ぎるのもあれよ?」
「ゆーゆーこーさーまー!」
「うふふ、じゃあちょっと行ってくるわね~」
ふわふわと一人庭に消えていった
本当に、食えない人だ
「あ、そうそう」
「うわぁ!・・・って脅かさないでくださいよ幽々子様」
「あらあらごめんなさい」
ケタケタと笑う
狙ってやったんじゃないかとすら思ってしまうが、この人の場合どっちなのかやはりわからない
「小一時間したらおにぎりでも持って来てちょうだいね」
じゃっと片手を上げて、こちらの返事も聞かずに言ってしまう
やっぱり
「かなわないなぁ」
姿が消えた後に、一人呟くのだった
「あいたたた・・・」
妖夢に吹っ飛ばされた後、起き上がって細部を確認する
そんな必要など無いのに、やってしまうのはやはりクセか
当然のように体には傷一つ無かった
「○○ー」
「・・・ん?」
「ああ、いたいた。結構とばされたわね」
ふわふわと幽々子
「ああ、幽々子か」
「一応聞くけど、大丈夫?」
「んー、相変わらず何故か痛覚だけはあるみたいだけど、外傷は無いし大丈夫だろ」
あっけらかんと宣う
まぁ、実際そんなに気にしちゃいない
「ならいいけど・・・でも○○、あなたいくら霊だからといって、無茶したらホントに死んじゃうわよ?」
「一度死んでるのにまた死ぬってのもあるのかね・・・まぁ大丈夫だよ」
再三言われてきたんだ、それぐらいのことはわかっている
よくわからないことに、俺は自分自身が死ぬ前、つまり生きていた頃の記憶がまったくないらしい
ついでに霊のクセして実体持ってたりなんだりもしていたりよくわからない
その辺を聞いたら、紫が人間と幽霊の境界を弄くったってなんじゃそりゃ
とどのつまり、死んでるんだけど肉体持ったまま生活できて不老なんだとかなんとか
その上肉体も肉体でやたら頑丈って何だこの超人
で、妖夢自身はそれを知らないんで俺のことは一般人だと思っているらしい
「ならいいんだけども・・・っとこの話はちょっと置いておいて」
わざわざジェスチャーまでしてのける
「・・・んー?」
「貴方、少し妖夢をいじめ過ぎよー?いくら好きだからって度が過ぎると怒っちゃうわよ、私」
怒っちゃうわよーとかいいつつぷくーっと頬をふくらませる
いや、怖いというか、可愛いんですが幽々子さん
「んー、ほら、好きな娘ほどいじめたくなるっていう奴でして、やり過ぎですかね」
「私が妬いちゃうぐらいやりすぎよー。まったく、貴方もあの娘も素直じゃないんだからもう」
「いやー、自分はまだまだガキだからねぇ。好きな娘に面と向かって好きって言えるほど人間できちゃいないんですよ」
というか、恥ずかしいわ、いざ言おうとしたら頭の中が真っ白になっちゃうわ、あげくなんか変な事してるわ、うわー俺って何だ
これが族に言うツンデレか!そうなのか!そーなのかー
「わかっててやってるとなると始末に負えないわねぇ・・・どうせ結末はわかりきってるんだし思い切って告白しちゃいなさいな。男は度胸!って言うでしょ?さぁさぁさぁ!Hurry!Hurry!Hurry!」
「いやいや幽々子、落ち着いて?って結末はわかりきってるってどういうことだ」
きょとん、と幽々子
「どういうことって言葉通りの意味だけど、そこまで教えないとだめなぐらいにぶちんで度胸無しなのかしら?」
あれあれ幽々子?なんか怖いですよ?
さっきと違ってふざけてないというか、顔は笑ってるのに怖いというアレ
しかし、流石にここまで言われてもわからないほど馬鹿ではない
「えーと、つまりあれか。え?何、相思相愛?」
その考えに思い至った瞬間、頬が急激に熱くなる
照れとかそんなの通り越して恥ずかしい
何も恥ずかしくないのに恥ずかしい
なんだこれ・・・?
「あらあらー?お顔が真っ赤ですよー?」
「う、ううううううううるさい!」
途端からかい口調に戻り茶化してくる
必死に反論しようにもそんなもの出てくるわけもなく、しかもドモる
「ふぅ・・・これはあれね」
満足したのかクスクスと軽くしていた笑いも止め、こちらを真剣に見てくる
「・・・あれって何だよ」
「練習よっ!」
びしぃっっと人差し指を俺に向け、大まじめに言う
……練習?
「何をわけわからないって顔してるのかしら?」
やれやれ、とでも言いたげな顔だ
「練習って言ったら告白の練習に決まってるでしょうに」
当たり前じゃない、と幽々子
「・・・は?何でそんなのを練習しなきゃ・・・」
「だって貴方ってばいつまでたっても告白すらしようとしないし、妖夢をいじめてばっかりなんだもの。だったら練習少しでもして慣れておいた方がいいでしょ?」
「うーん・・・」
そういわれればそうな気もする
何より、幽々子の話に寄れば俺と妖夢は相思相愛らしい
だったら告白あるのみだろう
でも俺ってば肝心の場面じゃあーだから、確かに練習はしておいた方がいいのかもしれない
何より、この場面においてYes以外の選択肢が用意されていない気がする
というかNo!とか答えたらどうなるかわからない
「・・・わかったよやるよ、やればいいんだろ」
「そうこなくっちゃ!さぁ、早速練習しましょう」
言うやいなや俺を急かしてくる
「そうね、屋敷の方に向かって思いっきり叫びましょうか」
「え?いやそれ妖夢に聞こえない?練習でもなんでも無くない?」
「流石にここからじゃ妖夢には聞こえないわよ。でも、妖夢がいる方向って言うぐらいの緊張ぐらいはあったほうがいいんじゃなくて?」
むぅ・・・言われてみれば確かにそうだ
「すーはー、すーはー」
深く深呼吸をし、俺は
言われたとおり小一時間後、私は手製のおにぎりを持って○○さんを吹っ飛ばした方へと歩く
幽々子様の分は多めに、私の分は少なめに、○○さんの分は・・・あの人も割とよく食べるので多めでいいだろう
割と、というか食べっぷりだけなら幽々子様にも負けていないのではないか
以前流れで食べ比べをした際、勢いだけならば寧ろ勝ってさえいた
あれはあれで見物だったが、その後一日唸っていた○○さんを介抱していたこちらの身にもなって欲しい
何故か幽々子様からその日一日暇をいただいたので、楽ではあったのだが
それにしても○○さんも○○さんだ
毎日のように白玉楼に来ては私をからかっていく
私なんかをからかって一体何が面白いのだろう
退屈はしていない
退屈はしていないが、最近○○さんが来ない時
何故かその時は酷く寂しさを感じる
来る前と同じ日を繰り返しているだけなのに
何故だろう
先ほど幽々子様にからかわれた際に言われた言葉
「夫婦・・・漫才」
妙に気恥ずかしい響きがする
「夫婦・・・か」
でも心地がいい
何なんだろうこれは・・・
もしかしたら私は○○さんが好きなんだろうか
「好き・・・」
声に出してみる
意識して、音にして初めてわかる
嗚呼、私はあの人のことが好きなんだ、と
でも意識して思う
あの人が私のことを好きなわけがない
私にあんな事をしてくる人が
寧ろ、何故私はあの人を好きになってしまったんだろう
嗚呼、ダメだこの気持ちは
ズキリと傷む
しまっておこう
そうさ、あの人だってただの人間だ
どうせ私よりも早く死んでしまう
早く忘れた方が身のため・・・
「ふぅ・・・」
おにぎりを下に置き、ぱんっと両の手で頬を叩く
ダメだダメだこんなのでは
こんな迷いはあってはいけない
さぁ、いつもの顔で、いつもの声で、いつもの調子で
あの人がいなくなるまで続けていけばそれで・・・
「・・・ー!」
「・・・ん?」
何かが聞こえる
「・・・○○さん?」
「・・・だー!」
何だろう、何かを叫んでいる
恐らく幽々子様と一緒にいるはずだが・・・
私は、それとなく足を速めた
「ぜーはー!ぜーはー!」
あれからかれこれ十数分
俺はひたすら叫び続けていた
あれか?二百由旬の庭で愛を叫ぶってか?
洒落にもならねぇ・・・
「あら、○○。貴方の妖夢への愛はこんなものなの?」
「えーいなにくそっ!」
既に恥は掻き捨て
思いっきり息を吸い、思いっきり
叫ぶ
「妖夢ー!俺だー!結婚してくれー!」
ドサッ
「・・・へ?」
脇から聞こえた音に振り向く
そこには赤面して茹で蛸のような妖夢が立っていた
「・・・は?」
状況を理解できない
「あれ・・・妖・・・夢?」
妖夢の名を声に出した途端、顔が一気に熱くなる
ギギギギ、とさび付いたように動かない首をなんとか曲げ、幽々子を見る
「・・・謀ったな?」
ニヤニヤといやらしい笑みを浮かべるは幽々子
「ふっふっふ。キミは良き友人であったが、キミのその奥手さがいけなかったのだよ!」
またもびしぃっっと人差し指を俺に向ける
赤い人ですか
「○・・・○・・・さん?」
「は・・・はい?」
びくり、と体が反応する
そりゃそうだろう、今の今まで愛を叫んでいたその本人が目の前にいるんだから
しかも思いも寄らぬところで聞かれてしまったし
「・・・今のも、いつものですか・・・?」
「・・・え?」
「・・・今のも・・・ひっく・・・いつもみたいに・・・私を・・・ひっく・・・からかっているんですか・・・?」
言いながら、妖夢は静かに泣いていた
「・・・」
言葉に詰まる
いつも照れ隠しにとからかっていたツケがここで返ってきてしまった
言おうとしていた言葉もつまり、無言で返すことしかできない
嗚呼、本当に俺は奥手で、臆病で、ろくでなしだ
でも
ザッ、と一歩
目の前で好きな娘を泣かしたままで
ゆっくりと一歩ずつ
平気でいられる俺じゃあ
妖夢へと近づく
ーーー無い
「ひっく・・・○○・・・さん・・・?」
目の前まで行って、優しく抱きしめる
「ごめんな、妖夢。今まで散々からかって。全部照れ隠しだったんだ。お前が好きで好きでたまらなかった。いつだってこうしてやりたかったし、好きだって言いたかった。でも俺ってあんなだからさ、どうしても言い出せなかったんだ」
抱きしめていた手を解き、妖夢の目を見る
「好きだ、妖夢。これからもずっと一緒にいたい」
「私も・・・です。○○さん・・・」
そして、お互いの顔が近づき・・・
キスを・・・
じぃー・・・
「「うわぁ!」」
「あらあらまぁまぁ仲良くハモっちゃって♪」
忘れていた
この状況を作り出したとうの本人を
「ゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆ幽々子様!?いいいいいいいいつからそこに!?」
「いつからってずううううううううううううっっっっっっっっっっっと見てたわよ?」
長い溜めだなおい
「・・・ずっと?」
「ええ、ずっと」
「・・・全部?」
「ええ、一部始終。で、キスは?ほら、私の事は気にしないでいいからほらほら♪」
「は、はは・・・ははははは・・・はぁ」
言うや、弛緩したかのようにもたれかかってくる妖夢
「おわ!どうした妖夢?おい、妖夢ー?妖夢ー!?」
「あらあら、恥ずかしすぎて気絶しちゃったのかしら。初心だわねぇー」
ニヤニヤとまたあのいやらしい笑みを浮かべるのは当然幽々子
「あ、あんたって人はああああああああ!!!」
「あらー?私は貴方と妖夢をくっつけてあげたのよ?いわば・・・ほら、なんだっけ。恋のキューピッド?そんな私が感謝されこそすれ非難されるいわれなど無いわっ」
えっへんっとでも言うかのごとく胸を反らせていいのける
ああ、畜生
「ほらー、私に何かい・う・こ・と・は?」
かなわねぇ・・・かなわねぇよ
「あーもう!ありがとうございま・し・た!今後とも宜しくお願いしやがりますねこの野郎!うわあああああん!」
言うや、妖夢を担いだまま屋敷へと走り去った
「あらあら、これからはもっと賑やかになりそうね」
楽しみだわ、と独りごちて、幽々子もゆっくりと屋敷へと戻っていった
あ(と)がき
ギャグ路線で行くはずが真面目に突っ走って暴走したらこうなりました
すいません
設定?空気です
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うpろだ1191
とある秋。○○は「涼しくなってきたかな~」とか「今日こそ言うぞ~」とか色々考えながら階段を上っていた。
向かうは秋だろうが夏だろうが冬だろうが無論春だろうが暖かい体温のある幽霊と半霊。その他愉快な霊が居る場所だ。
妖夢「幽々子さま。お出かけですか?」
幽々子「多分すぐ帰ってくると思うけどね。お庭のお掃除頼むわよ。」
妖夢「かしこまりました。」
妖夢「(…今日は○○さん来るかな…と…お掃除お掃除。)」
彼女は忙しい。特に秋。さらに言うと春や夏なんかも。でも冬も忙しい。
彼女は冥界の姫のおかげでほとんど1年中忙しい。でもそれが仕事だし、自分が居る間は精一杯その仕事をこなそうとしている。
広い庭をそこそこ掃き終えたと言ったところで○○は落ちた赤い葉を箒で掃いてるそんな忙しそうな彼女を見つけた
○○「お~い妖夢~。」
妖夢「あっ○○さん。2日ぶりです。」
○○は最近週3ペースでここに通っている。2年くらい前から。たまに週7だったりするが基本は週3だ。階段がしんどいから。でも妖夢とゆゆ様には会いたいから。
昔○○は死にそうなところを幽々子に助けてもらい…とそんなことはどうでもいいがとにかく通うことが習慣化し始めてる。寧ろしている。図々しい事この上ない。
○○「掃除ごくろうさま。今日ゆゆ様いる?」
妖夢「幽々子様ですか?今ちょっとお出かけ中ですが」
○○「う~ん…まぁいいや。急ぐ用事でもないしな。」
妖夢「用事ですか?私に言って頂ければ幽々子様にお伝えしますが」
○○「言っちゃっていいのかな?ゆゆ様にまず伝えたかったんだけどなぁ…」
妖夢「迷ったら言うべきですよ。迷って良いことは特に無いと思います」
彼女に斬れないものはあんまりない。そんな性格だ。
○○「じゃあ言っちゃうわ。こんど妖夢を一日借りれるかなぁと。」
妖夢「えっ!?」
○○「え? じゃなくて。あぁちょっと言葉が悪かったかな?」
妖夢「ど…どういうことですか! 私を一日借りるて!」
○○「そのままだよ。ちょっとどこかに出かけたいなぁと。妖夢と。」
妖夢「え~っと……え~っと………幽々子様に聞かなければ…え~~……」
○○「で、妖夢は大丈夫なの?ぶっちゃけゆゆ様が許してくれても妖夢が決定を下してくれなきゃ無理だろうし」
妖夢「え~~っと……」
○○「迷っていいことは何もないんじゃなかったっけ?w」
妖夢「そうですが…まぁ私でよければついていきます。」
○○「ありがとう。ゆゆ様にお世話になっててなんか買ってあげたいけど何買ったらいいかわかんなくてね。そこらへんは妖夢について来てもらった方がいいかな~と。」
妖夢「でも○○さん。幽々子様と結構一緒にいますよね?大体好きな物とかも分かるんじゃないですか?」
○○「いや、まぁそうなんだけどねwでも、妖夢と一緒にどっかに行きたいんだよ。単純に。」
妖夢「…どういう…ことですか?」
○○「ゆゆ様の好きな物は知ってるけど妖夢が好きな物はしらないんだぜ?そういうとこを買い物ついでにでも聞こうかなとw」
妖夢「私も…○○さんが好きな物知りたいです。」
○○「…俺は、妖夢が好きだ。」
妖夢「そうですか…」
○○「・・・」
妖夢「・・・」
しばらくの沈黙が続いた後彼女は重い口を開いた。
妖夢「○○さん…あなたは最低な人です…」
○○「え?えぇえ!?」
彼女は目に涙を浮かべていた。明らかに我慢をしていた。
○○「あ…ごめん! 突然…わるかった。きかなかっ」
そこで遮る様に彼女は言う。
妖夢「いえ!!!いえ…違うんです…」
○○「え?」
妖夢「私は○○さんあなたのこと好きになってはいけないと思っていました…あなたは人間です。いくら好きになっても私の方が…長く。ずっと永く生きてしまう。」
○○「…」
妖夢「それに耐え切れなかった…あなたが居ない世界なんて…でも…今は…そんなことを言われて…もっと…耐え切れない…」
○○「妖夢…」
○○は妖夢を抱きしめる。優しく。でも彼女との距離を埋めるようにしっかりと。彼女の悲しみ、苦しみが自分にも分けられるように。
そしてこれからの言葉をすべて聞き逃さないように。
妖夢「えっく…わた…しも…○○さんの…こと…が…好きです…私のほう…が…永く…生きます…が…」
彼女の目からは、熱い涙が溢れ出していた。
○○「…俺もつらいんだよ。…ずっと。ずっと。妖夢。お前を愛せないから…。でも今お前を愛せるなら。
それならそのときに。そのときに目いっぱい愛す。それでも…お前からしたら短すぎる時間しか愛せないがいいか?」
妖夢「私は…そう思ってくれているだけで…十分です。ですが私にそれ以上望むことを許してくださるなら…」
彼女は目を瞑った。○○はそれを見て……そっと。触れるか触れないか。…触れたか。そんなキスをした。
幽々子「熱いわね。秋なのにwあと買い物でもなんでも行きなさいw週末行くことを許すわw」
「「…!!??」」
幽々子「あぁ気にしなくていいのよw幽霊は気づかれないものだから。私はお屋敷に戻ってるから越冬の準備をしなさいw越春させないようにねwあ~疲れたw」
幽々子はいつから観ていたのか。2人はそんな色々な考えを含め血の気が引いたあとに頬を赤くして笑った。お互いの顔を見つめ。
そして軽く。さっきよりは触れるか。くらいのキスを幽々子が背を向けてからした。
秋中口。これからは熱くなりそうだ。
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うpろだ1218
夏。俺の家。
この前の恨みをはらずべく妖夢に怖いDVDを見せつけ、恐怖の挙句俺のTシャツの中で一夜を過ごしてもらおうかと思う。
そんなことも露知らず日が沈みかけたころにゆゆ様にお泊りの許可を貰った妖夢が家に来た。
「お邪魔しま~す」
お泊りセットかな?ちょっと大きいカバンを両手で重そうに持っている。
「いらっしゃい。それ、持つよ」
そう言って、ひょいとカバンを持ち上げテレビのある部屋まで運ぶ。
そこには人5人は座れるようなでかいソファーがある。
そこで妖夢が怖がるようなビデオを見ようという作戦だ。俺は悪いやつかもしれん。
「で、今日もトランプをするんですか?私またあのポーカーってゲームがしたいです」
・・・前彼女がこの家に来たとき(そのときはゆゆ様もいたが)「トランプやろうぜ!」といったのがきっかけで
「ポーカーなんかどうかしら?」と全幽霊の彼女が提案する。
妖夢はルールがわからないらしく、一通り説明し終えたあと、妖夢が「じゃあはじめましょうか!」と言った。
だがゲームはどうにも賭けるものが無きゃ盛り上がらない。
そう思ってなにをかけるか考えてる最中に
「何か賭けなきゃ面白くないわね・・・おやつなんてどうかしら?」の提案。
ゆゆ様がカードを配る。
俺がカードを受け取る。(スリーカードか。ボチボチだ。様子見様子見・・・)
妖夢が受け取る(これは○○さんの話だと4カードだったかな?1枚だけ変えよう・・・)
……
(ゆゆ様のインチキの)おかげさまで家からおやつがなくなりました。ええ。
ゆゆ様が来てもいいように。と溜め込んだおやつがすべて。
「前回のポーカーのおかげで、家から賭けれるものは無くなったんでね。トランプはパス。」
「残念です。私は今日のためにまたおやつをたくさん持ってきたのに・・・」
またあんなことをやられたら溜まったものではない。
「だから今日はこんなものを見てみたいと思う。ジャン!」
ここで露になる4枚の、表紙からして恐ろしいDVD
「えっ!?」
妖夢の目が泳ぎ始める。表紙だけでもう怖くてたまらないようだ。ふふふ。作戦通り。
「へいへい。まぁ座りなすって」
俺はそういいながらP○2にDVDの1枚を入れる。
妖夢が恐る恐るソファーに座る。そして俺がドカッと座る
ビクンッ!
妖夢が震える。まだ始まってもいないのに。俺におびえてどうする。
DVD「オドロオドロオドロ」
・・・別段たいしたことはない。そう俺が思っていて、ふと横を見ると
布団を抱き枕のようにして目を細めながら見ている妖夢。
「妖夢それ熱く無いの?」
……
聞こえていないようだ。
「妖夢さ~ん?」
「・・・」
「妖夢!」
「キャァッ!!!!」
「うおっ!?」
「驚かさないでくださいよ・・・」
「驚かせるなよ。」
別にそんな気は無かったが(いや、まぁ少しあった。)こっちが驚いてしまった。
「・・・怖いの?」
「そ・・・そんなことないですよ。あんな人の後ろに映っている影みたいな、恐ろしい顔みたいな・・・いや、怖くは無いですが・・・」
どうやら相当怖いらしい。
「・・・俺このDVD怖いから妖夢、手繋いでくれないか?」
妖夢の顔がすこしだけほころぶ。
そして安心するように妖夢がにゅにゅっと手を絡ませてくる。
ふふふ・・・Tシャツ作戦第一歩に近づいた。
「1枚目終わったみたいだな」
DVDを変えようとP○2に近づこうとすると妖夢もついてくる。
「俺はもう大丈夫だから手、繋いでなくていいよ」
「そ・・・そうですか。じゃあ私は大人しく座ってます・・・」
だがここでさらに目標に一歩近づいてみる。
「あ、ちょっとまって。2枚目も怖そうだから妖夢にまた近くに居てほしいなぁ。たとえば俺のひざの上とか」
お、顔の表情がまた変わった。
「そんなに怖いのならまた私と一緒に見てもいいですよ?」
「そうさせていただきます」
DVD「オドロオドロオドロ」
俺は膝の上に居る妖夢の頭を撫でながらDVDを見ていた。
・・・だが妖夢の様子がどうにもおかしい。震えているようだ。
「妖夢。寒いの?」
「いえ・・・ちょっと・・・」
さらに一歩踏み出す
「寒いなら俺のTシャツから顔だけ出す形になって見ようよ。そうだ。それがいい」
「それのどこが「それがいい」なんですか・・・」
と、言いつつも妖夢はなかなか乗り気なようだ。
「まぁまぁ妖夢。そう言わずに」
Tシャツを前に伸ばす
「Tシャツが伸びますよ?」
「いやいや妖夢。これは元から大きいサイズだから問題ないんだよ」
買って良かった。P○2と4LのTシャツ。
「じゃあしょうがないですねぇ・・・」
ミッションクリア。
2枚目のDVDは既に終わっているようだ。
俺は妖夢に見えないように満面の笑みを浮かべる。
妖夢はミッションをクリアしてないのに、なぜか満開の笑みを浮かべている。
「なんか嬉しいことあった?」
「いえいえ・・・○○さんのTシャツの中の居心地が良すぎて。このまま眠っちゃいそうです」
「もうどうせだし寝ちゃうか。幸いここはソファーの上。でも俺、怖くて寝れないかも?」
「まだ怖くて寝れないならしょうがないですね。私を抱いたまま寝てもいいですよ?」
「じゃあそうします。ではおやすみ」
「もうしょうがない人ですねぇ」
……
「ZZZ・・・」
「(もう寝たかな?・・・)」
チュッ
「(・・・えへへ)」
「ZZZzzz・・・!」
「!!??」
ムチュッ
「ZZZzzz」
「もう・・・」
仕返しも済んだ。寝覚めは良さそうだ。
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うpろだ1229
今日は七夕。
笹に吊るした願いがおそらく叶うであろう日だ。
・・・
「○○さんは何を書いたんですか?」
「俺はまぁ・・・こんなんでいいかな」
俺は(彦星と織姫が幸せになりますように)という願いを吊るした。
「あの話、悲しいですよね・・・1年に1回しかあえないなんて」
「まぁな。で、妖夢。お前は何を書いたんだ?」
「え!?・・・他人の願いは見ちゃだめなんですよ?特に私みたいな女性のは」
「俺のはどうなるんだよ」
「えへへ・・・」
頬を赤らめながら妖夢は願いを笹に吊るす。
少し気になったがまぁ見るなと言われた物を見るのもなんなのでそのまま屋敷に戻る。
・・・
俺と妖夢ははゆゆ様に夢への挨拶を交わし、二人の寛ぎタイムを満喫していた。
幸せな時間
「ちょっと外行って見てみましょうよ!」
「・・・?何を?」
「星ですよ!星!もぅ。しっかりしてくださいよ!」
「星?」
「だめだめですねー。○○さんは。今日は七夕。この時間。」
ここでやっと今日が七夕だと言うことに気がついた
「あぁ・・・もう七夕か。最近ドタバタしてて忘れてたわ。」
「うっかり物ですねぇ。○○さんは」
「願いを書いたのも妖夢がなんか張り切っちゃって、大分前に書いたし、そりゃ忘れてるわな」
願いを書いたのは6月上旬の話である。
「・・・そ、それはともかく、縁側で星を見ましょうよ」
「あいよ」
今日の妖夢は何故かテンションが高い
トタトタと少し歩く妖夢の後に付いていくと、すぐに縁側につき、腰を下ろし二人で空を見上げる
「わぁーっ。綺麗ですねー」
「本当にな。アレなら彦星と織姫も幸せになれるだろうな」
「○○さんの願いはきっと叶ったでしょうね」
「だな。で、妖夢の願いは叶いそうか?」
「・・・」
「どうした?」
突然彼女の顔が少し暗くなった。
「あぁ・・・いえ。なんでもないです。それよりも星ですよ!星!本当に綺麗・・・」
なんだかよくわからないが少し妖夢が暗い。本気の冗談でも言ってやろう
「星も綺麗だけど、妖夢。お前のほうがずっとずっと綺麗だぜ!」
「えっ!?」
暗かった彼女の顔が明るくなった。そして絶好の機会だ。偽りの無い思いをぶつける。
「妖夢。好きだ。ぜ」
言ってやったぜ。
「○○さん」
・・・あら?声のトーンが低い・・・
「・・・なんだ?」
「ありがとうございます・・・」
泣いてる。妖夢が。
「私の、願い。叶いました。今」
「・・・なんて願いだったんだ?」
「(○○さんと、私が、幸せになれるように)って」
「妖夢・・・」
目を瞑っている彼女の、眼の下を流れてる幸せの涙を指でさっとふき取り、軽くキスをする。
「・・・七夕は本当に願いが叶うんですね」
涙が残る彼女は、それでも満面の笑みでそう言う
「俺は彦星ほどロマンチストじゃあないがな。でも毎日会いに来れる。1年に1回なんてケチなことは言わん」
「えへへ。本当ですね?」
「あぁ本当だ。これから来年彦星と織姫が会う日まで。ずっと。その次に2人が会うときまで。その次まで。その次まで。ずっと。会いに来る」
「約束ですよ?」
そういって俺の手を硬く握る
いちゃいちゃしすぎてゆゆ様に永遠に別れさせられないよう、適度にいちゃいちゃしよう。
そう思い、一息吐いて妖夢の手を強く握り返した
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うpろだ1234
今日は俺の誕生日。別段何かあるわけではないが、少しだけテンションが上がる。
白玉楼に向かい、暑くだれつつも階段を上り終えた直後に、お出迎えが。
「○○さん!誕生日おめでとうございます!」
「・・・え?」
可愛い妖夢はやはり俺の誕生日をしっかり覚えていてくれたらしい。
でも、そのまま返すのも味が無いので少しおちょくってみよう。
「・・・え?」
なにが?と言った感じで口をポカンと開けた妖夢も可愛い。
「妖夢、俺誕生日昨日なんだけど・・・」
ここで迫真の演技。俺は悲みの表情を浮かべる。フリをする。
「あ、あ、あ。すいません!人の誕生日を間違うなんて!」
こんなにあわてるとは思ってなかった。ちょっとだけ反省。可愛い妖夢がかわいそうなのでここでネタバレ。
「いや、ごめん。冗談。」
「え!?冗談!?」
「そうなんだな。本当は今日が俺の誕生日。有難う妖夢」
「冗談て・・・ひどいです」
心が痛くなる。軽々しく冗談は言うものじゃないな。
「でも今日が誕生日でよかったです・・・」
今日が誕生日でなく、何か不具合でもあるのだろうか。
「あの、私○○さんに内緒で、ケーキを買っておいたんです。誕生日プレゼントとして」
これは嬉驚きだ。プレゼントを期待してきたわけではないので、予想外だった。
「ありがと、妖夢。ちなみに、冗談じゃなかったらやばかったな。この季節」
暑い上に乳製品と来れば腐る。
「喜んでいただいて幸いです。・・・そうですねぇ。最近は暑いですからねぇ。」
腐るならばその前に食す。やられる前にやれ。だ。
「まぁそうとなればさっさと一緒に食べような。3人分買ってきてるんだよな?」
「はい。幽々子様の分に私の分。そして○○さんの分です」
ゆゆ様が居るから4人分くらいでも良かったかな~、なんて、思いながら妖夢と手を取り屋敷に向かう。
「掃除も終わって○○さんもつれてきました」
「あ、こんにちわ」
「あら、こんにちわ○○。今日はおいしいケーキが合ったんだけど、食べちゃったわ」
・・・なんかちょっとだけ予想通り。
「幽々子様!あの3つ合ったものを全部食べちゃったんですか!?」
「2つだけ食べたんだけど・・・妖夢がひとつ食べると思って」
いや、ゆゆ様はまぁ正しい。俺が来るなんて考えても居なかっただろう。
「妖夢。俺は別にいらないわ。妖夢が食べていいよ。気持ちだけで十分だから」
気持ちだけでも本当に十分だ。
「いえいえ!○○さんのために買ってきたんですから、○○さんが食べてください」
「いやいや、あとひとつしかないんでしょ?じゃあ妖夢が食べていいよ。俺は遠慮する」
・・・このままではラチがあかないとゆゆ様は思ったのか、こう提案した。
「じゃあ私が食べたら」
「それはダメです!」
妖夢が怒った。可愛い妖夢はどうしても俺に食わせたいらしい。
「冗談よ~冗談。じゃあ妖夢と○○。半分にしてでも食べたらどうかしら?」
あ、普通にそれがあったか。
「私はもうおなかいっぱいだから、部屋に戻って寛いでるわ。そのケーキおいしかったわよ」
そういい残しゆゆ様はふやふやと去っていった。
「じゃあ、妖夢。ちょっとなんかフォークとかもう一本持ってきて。切ってそれ渡すから」
「いえ、あの~・・・(あ~ん)ってしてもらえませんか?・・・」
そんな願いならお安い御用だ。
「じゃあ妖夢。あ~ん」
「あ~ん・・・ん?」
「ケーキうめえ」
妖夢の口に近づけてから俺の口に運んだ。
「まただました・・・」
ちょっと反省。
「妖夢。妖夢。あ~ん」
「あ~ん・・・あ、なんかこのケーキ、おいしいですけど凄い甘くないですか?」
「そうか?」
「いえいえ、甘いですよ。」
「そうかなぁ・・・俺らが勝ってるからよくわからん」
このセリフを言った直後妖夢がむせた。
「ゴホッ!ゴホッ!」
「ごめん妖夢!ほんの冗談だって!!!」
今日の妖夢は冗談に振り回されてる。いや、俺は冗談で言ったつもりは無かったんだが。冗談だが。本気だが。
むせてなみだ目になってる妖夢が言う。
「・・・こんなに甘いんですから、何も心配はいりませんね。これからも甘くありますように」
心配無用。現在進行、未来進行、過去進行だ。
「じゃあ、あ~ん」
こんなにもひとつのケーキが大きく感じた事は今までに無かったなぁ。
そんなことを思いながらケーキを噛み締める。
最初の一口より甘い気がした。
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うpろだ1422
「○○さ~ん」
「はいよ」
百玉楼の昼。普段なら妖夢が働いている時間。
俺は妖夢に呼ばれて寝室に行く。
寝込んでいる妖夢の元へ。
「ちょっと水換えてもらえますか?」
「お安い御用だよ。まだ全然?」
「そこそこです。ゴホッ」
珍しく妖夢が風邪を引いているのである。
朝起きた時の妖夢は顔色が悪く、熱を測った時には39度あった。
今は「そこそこ」らしい。
だが、顔が赤い。
タオル用の水を換えに台所に歩いて行く途中、心配そうなゆゆ様に声を掛けられる
「○○?妖夢は大丈夫?」
「いやー。結構まだ、酷そうでした」
「そうなの…じゃあ○○。今日は妖夢に付っきりで居てあげて」
今日の食事は大丈夫なのか?等の疑問が心を過ぎったが、はいとだけ、返事をした。
それなりに考えがあっての発言なんだと思う。いや、妖夢と僕が居なくて困るのは食事くらいなんだけど。
冷たい水を汲みなおし、妖夢の元へ行く。
部屋の前に立つと、咳の音が響く。辛そうだ。
妖夢の側まで行き、腰を下ろす
「大丈夫か?」
「大丈夫です。ゴホン」
上半身を起こし、喉に何かが詰まったような声で返事をする
「無理するな。ゆゆ様にも今日休めって言われたんだしさ」
しゅん。として、布団に体を預ける
いつもの元気な妖夢が嘘のようだ
「さっきゆゆ様に妖夢を見ててって言われたんだよね。ほら、タオル換えるよ」
少し寂しそうな顔をしている妖夢のおでこからタオルを取る
かなり温くなっている。熱があまり下がってないみたいだ。
「妖夢。熱測って」
寝巻きの襟元から体温計を入れる。
体温計を入れ、黙ったままの妖夢に話しかける
「あのさ、さっき「大丈夫です」って言っただろ?でも、傍目から見てもやばそうだし、妖夢自身も今日は無理だと分かってるよね?」
妖夢が心苦しそうに布団の中に顔を半分隠す
「あんまり無茶しないようにしてくれよ。ゆゆ様も心配するし、僕も心配する」
タオルを乗せる前に手で妖夢のおでこに手を添える。
かなり熱い。体温計を取り出して見てみると、39度ちょっとあった。
ため息をつき、絞ったタオルを妖夢のおでこに乗せ、頭を撫でてから言う
「僕も、勿論ゆゆ様も大切に思ってるんだよ。妖夢の事。だから、あんまり無茶しないでくれ。頼むから」
「…はい」
苦しそうな顔で妖夢が笑う
「こんな日ぐらい甘えてもいいんだぞ?さっきも言ったけど僕は今日、妖夢に付いててもいいらしいし。僕に出来ることなら何でもするよ」
少し悩んで恥ずかしそうに妖夢は言う
「あの、さっき頭撫でてもらったときに、少しだけ頭痛が引いた気がしたんです」
「なんだ。そんなことか」
そう言って妖夢の頭を撫でる
本当に少し安らぐようだ。顔の雰囲気どこか柔らかくなる。
「どうよ?」
「気持ちいいです…」
ゆっくりと髪をなぞると、妖夢は目を細める
空いてるほうの手の甲で頬を触るとまだまだ熱い
「妖夢が辛そうなのに、僕はこの程度の事しかできないなんてな。妖夢の風邪が僕に移ればいいのに」
その言葉を聞いた妖夢は目を少し開き、間をおいてこう言った
「さっき○○さんは私の事を大切にしてくれてると言いましたよね?」
俺は妖夢の頭を撫でながら頷く
「それは、私からも言えることなんです。○○さんも幽々子様も私の大切な人。そんな私の風邪を移してまで、治りたいとは思わないんです」
「…大切なんですよ。私にとって○○さんは」
ここで気づく。妖夢の目から少しだけ涙があふれている事に
そっと涙を払って妖夢の横に横たわり、視線を合わせる
「…ごめん妖夢。何も考えないで言っちゃった。本当にごめん。そんな大切に思われてたなんて」
そう言って妖夢を布団の上から抱きしめ、背中をポンポンと叩く
「まだ頭撫でる?」
「いえ、もうそろそろ大丈夫です。不思議なことに頭痛は大分引きました」
よかった。いや、でも熱もあるだろうし、そこまでよくは無いんだろうな。等と思っているとまた妖夢に声を掛けられる
「あの、○○さん。少し寒いんですけど」
「布団、もう一枚持ってくる?」
「いえ、○○さんが布団の中に入って暖めてください」
赤い顔のまま、悪戯っ子の様な笑みを浮かべ布団の中へ誘われる。
僕は溜息をつくと、妖夢の布団の中にもぐりこみ、大切に抱きしめる
妖夢が胸に頭を埋める
「温かい…」
「楽になる?」
「えへ。楽になります」
心なしか自分の頬を妖夢の頬に当てると、少しだけ熱が下がっているような気がした
「○○さん。熱が引いても、たまにはこういう風に甘えて良いでしょうか?」
「大歓迎だよ。「たまに」なんてけち臭いことは言わずにね」
僕が言うと、妖夢は胸に埋めていた頭を出して、目を閉じた
そんな妖夢に軽く口付けをすると幸せそうにそのまま眠りについた。
妖夢に抱きしめられているので、起きるまでは動けないようだ。
たまにはこんな日もいいだろう。寧ろ毎日でも。
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最終更新:2019年03月01日 23:56