藍2



3スレ目 >>275>>287


藍「足を洗って久しいが、私はこれでもお前達人間の歴史に名を残す大悪党でね。
  ヒヨワで何の力も持たないないお前が、私の正体を知った上で尚そんな事を口走っているのなら、悪いが正気を疑うよ。
  むしろ、この三国の覇者共を弄んだ九本の尻尾が、それ程容易い存在になってしまったのかと少し寂しくなる程だ。

  どうだ? それでもお前はもう一度、今と同じ事を、この私に言えるかい?」

 「何度でも言えるさ。俺と結婚してくれ」
 諦めるものか。何度でも挑戦してやる。
 罵られようと、貶められようと。例え誰かに、それこそ藍本人に殺されかけても。
 この命が続くならば、俺は諦めない。
 それに…
 「それに、あんたは俺をヒヨワで何の力も持たないない人間と言った。
  だがそれは違う。なぜなら…」
 藍の眉がぴくりと反応する。
 俺の言葉に興味を持ったのか、憤怒一色だった表情が変わっていく。
藍「ほう… なぜなら、何だい?」
 秘密だった。親にも、親友にも、それこそ今まで付き合ってきた恋人達にも。
 誰にも、秘密だった。
 勢いまかせの言葉に逡巡する。言ってしまっていいのだろうか。
 これを言うと俺の人生は大きく変わってしまう。

 ………ふ。 人生? 知ったことか。

 今の俺には藍が全てだ。目の前の、ただ一人の女性。
 それを手に入れるためなら、たかが人生、惜しくもなんともない!
 「なぜなら!」

 俺もまた、特別な存在だからです。


3スレ目 >>458


ある日、藍さんに呼ばれてこう言われた。
 「お前がこのマヨヒガに来てもう3年か。結構、長かったな。だからな……、私の式になってくれないか?」
藍さんは尻尾をぱたぱたさせながら、頬を赤くして言う。
 「お前もよく働いてくれたからな。人間にしておくのは惜しい。そのほうが、ずっと一緒にいられるしな。どうだ、受けてくれるか?」
当然うなずいた。こうして、一人の式が新たに誕生することとなった。

すると、やって来た橙に言われた。
 「ふーん、あなたも式になったんだ。おめでとう。……ってことは、私が式の先輩だね?これからはお姉ちゃんって呼んでいいよっ」
式の序列から、橙には逆らえない。人間のときはそうじゃなかったのに。
かくして、自分より遥かに年下に見える少女の橙を、「お姉ちゃん」と呼ぶ羽目になった。


3スレ目 >>618


 ――ズズズズズ……、モグモグ。

「……もう冬だな」
「そうだな」
「……毎回のことだが紫さんが冬眠してると暇だな」

 ――ズズズズズ……、モグモグ。

「私はこの時期にならないと休みが取れないから暇の方が良い」
「……非情だな」
「どっちに対して?」
「どっちもだよ」

 ――ズズズズズ……、モグモグ。

「……それにしても」
「ん?」
「このお稲荷さんは美味いな」
「それは俺が作ったんだよ」
「知ってる」

 ――ズズズズズ……、モグモグ。

「橙はどうした?」
「寝かせた。この時間まで起きていたら健康に悪い」
「そうか(……本来猫は夜行性なんだがなぁ)」

 ――ズズズズズ……、モグモグ。

「なぁ○○」
「ん?」
「たまには一緒に寝ようか」

 ――ブッ! ゴホッゴホッ! 

「い、いきなり何を言うんだお前は!」
「いいじゃないか、別に」
「いや、別にじゃなくて!」
「嫌なのか?」
「……いや、そういうわけじゃないが――」
「じゃあ行こうか」

 ――ズルズル。 

「ちょ、何押してんの? ら、藍。酒臭いぞ!? 俺が渡したのはお茶だぞ!?」
「なに、軽く紫様のところから拝借させてもらった」
「軽くで何酔ってるんだ!? って、お、押されてる? 俺だって男のはず!」
「大丈夫、私だって覚悟はできていた」
「何の覚悟だ!! 俺たちはまだそこまで進展していない! ちぇ、橙が見たらどうするんだ!?」

 ――ピタッ。

「……まぁ橙もそれぐらい学んでおいた方がいい年頃だろう」

 ――ズルズル。

「橙を脅しに使ったものの効果無し!? ちょ、誰か助け――」

 ――ピシャッ。


カッとなってやった。後悔はしていない。


3スレ目 >>895


運命的な出会いとした俺とねこ・・・もとい、橙。
紫のもとに身を寄せ、時を重ね、俺と橙はその繋がりを強めていく。
互いを求めるも、そのためには着けねばならぬけじめがある・・・

(ツカツカツカ・・・)
俺「藍、いるか!」
藍「ん?どうした○○、血相変えて。」
俺「橙を俺にくれっ!」
藍「んー、ダメww」
俺が意を決して、精一杯の勇気と勢いで、橙の主に掛け合ったというのに…
その願いは一蹴された。
俺「ぎゃふん(´Д⊂」
藍「あはははw」
俺「なーんーでーだーよー・・・」
藍「ふふふ・・・」
藍は意地の悪い笑みを浮かべて言う。
藍「お前、橙が好きなんだよな?」
俺「お、おう。」
藍「実は・・・」
藍は普段話すのとなんら変わらない調子で・・・
藍「私もお前が好きだ。」
俺「ΣΣ(゚д゚lll)」
とんでもないことを言ってくれる。
藍「なんだ、お前・・・気づいてなかったのか?ひどい奴だな。」
俺「う・・・」
ズキリ、と胸が痛い。
藍「橙をお前なんかにやるもんか!
  お前を私の式にもしてやらない!
  お前と橙に永遠の時間なんて・・・やらないぞ!」
俺「藍・・・」
燃え上がる感情を爆発させる彼女に、俺は何もいえなかった。
俺は・・・

1.じゃあお前が橙ごと俺のものになれっ!
2.紫に相談してみよう。


4スレ目 >>335-336


くそう…みんななんたって可燃物(萌えるもの、の意)を投下していくんだ…
おかげで私も書きたくなって…きがついたら2時だぜ…
明日仕事辛いな。(´・ω・`)

八雲家泥沼劇場 ~藍フラグを立てるの巻~
紫「そうねえ…あなたがボムも復帰無敵もなしに私の弾幕をかいくぐって
  私をさらってくれたら…貴方の物になっちゃおうかなあ♪」
…そんな彼女の最上級の誘惑(釣りエサともいう)に食いつき、
紫に挑戦&撃墜される日々を送る俺と…頼もしき協力者藍&橙。
今日は…

:×△日目:
今日はちょっとばかし攻略が進んだ。
今まで避けれなかったパターンを避けれるようになったのだ。
だが…その避け方は藍に伝授してもらったテンコー走法を必要以上に駆使するものだった。
普通の人の身で、弾を打つ力はなく…できたとしても、俺に紫を攻撃することはできない。
つまり俺は紫の気が変わる、いわゆる「時間切れ」になるまで、
人の身でテンコーの力を使いつづけるという「常時光速アイシールド」以上に無茶をして
この日は紫のドクターストップ(?)で終わったのだった…
紫「バカね…そこまでして私が欲しいの?」
俺「と、当然だ…」
紫「嬉しい事言ってくれるじゃない…でもね!」
(キッ!)
紫は珍しく怒ってるようだ。
紫「私は常時テンコーしなきゃ避けれないような事してないわ!
  ちゃんと見れば、低速移動と通常移動で避けれるようにしてるもの…」
  だからそんな無茶もうしないで…(´・ω・`)」
俺「わ、判った…」
しょぼんさせちまった…好感度ダウンの予感…

その日の夜…
藍「○○…起きてるか?」
俺「ん、ああ。筋肉痛で寝付けないでいるさ。」
藍が俺の寝室を訪ねてきた。
俺「今日はみっともないとこ見せちゃったなあ。」
藍「筋肉痛で動けないんだろ…今も十分みっともない。」
俺「うう…(´;ω;`)」
何の用かと、俺が聞こうとする前に藍は俺の枕元まで来てちょこんと座る。
俺「で、どうしたんだ?わざわざこんな時間に…?」
藍「あ、うん…あのな…」
一呼吸どころか、三十秒くらいあったんじゃないかという沈黙…。そのあとにぽつりと…
藍「おまえ…本当に紫様が好きなんだな。」
俺「な、なんだよいきなり…」
作り笑いが判る位の明るい笑顔で、でもその声はとても寂しそうで…
藍「毎度毎度撃墜されても懲りずに通い続けるし、
  後先考えずに今日みたいな無茶だってしてしまう…
  はっきり言って、マゾか、そうでなければ『どうかしてる』かだ。」
ぼろくそ言ってくれる。だが褒め言葉と受け取っておくぞ…。

藍「お前の心に、私の入るスキマはないのか…?」
俺「え…?」
藍「…鈍い奴だ。私はお前が好きだと言っている。
  私だけじゃない。橙だって、お前に好意を抱いているハズだ。
俺「そ、そうだったのか…」
藍「結局、私は紫様の式だし、橙は私の式だからな…紫様がお前を気に入ったのなら、
  お前は八雲家全てに愛される脈を持つんだろうよ。」
俺「……。」
藍「けど、けどお前は…紫様ばかり見ている!私の…私の気持ちは…っ!」
俺「ら、藍…」
藍は…泣いていた。灯りをとうに消した夜の寝室。光は無くても、いや、見えないから余計に、
藍の悲しみとやるせない気持ちがひしひしと伝わってくる。
藍「す、すまない…な…。こんなこといわれても、
  100年も生きていないお前は何を言っていいのか判らないよな。」
まったく、その通りだった。
藍「お前は、何も考えないでいい。ただ…今夜だけ…」
俺「え…!?」
(しゅる…)
藍「今夜だけ、私を…お前の傍に…」
(しゅるしゅる…)
俺「ちょっ…ら、藍!?」
暗くてよく見えないが…布のこすれる音。間違いない。藍は服を脱いでいる。
このスレじゃそこから先はご法度だぜーーーー!!
俺「よせ、藍!その気持ちには…んむ!?」
(むちゅ…)
止めようとする俺の唇を、藍は自分の唇で強引に塞いできた。
(れろ…)
藍「もし紫様が相手だったら…そういって止めたりしないんだろうな…」
俺「(藍…)」
頭がぼんやりしてしまう。思考がまとまらない。  
藍「私に気を使う必要もない。紫様に後ろめたさを感じる必要もない。
  私が、好きでやってるんだ。だから、私の好きにさせて…」
雲の切れ目から月が顔をだす。その光は寝室にも差し込み、俺は藍の今の姿を見てしまう。
どう考えてもここから先はネチョスレにて展開されるであろう、その姿は…

        ノO        o
       ノィ´`ヽ、     ノ/´`ヽ
        i    >--,='='ヽ、  ':,
        (/   く__/  \/ くヽ
       ト--,  r_ニ=-=r_ニ=ニr、 )
       L// ̄"⌒ ̄ ̄`、 ヾ;;
      <-''   ′  ∀    ゙彡
       ヽミ            ';彡      
      ,ヘ ミ  ,,  |l:::ゝ,o,イ:|   彡
     〈`'ミミ ,゙つ |l:::::::y::::::|'"つ ';シ
     ,ゞミミ    |l::::::::と::::|"  ;ノノ
   ,ノ':_  ゙ミミ    |l:::品::)::|  ';ヅ
    ̄ ;;'"~`ミ    |l::::: ( ::|  彡'
 (( ノ':_,,.,,;;ミ、   |l:::::::::゚:::|;;  ;;シ
     ̄  "゙しシ^~"'"゙''"゙~""'し"

俺「ッッッ!!!?」
やっべ、理性が一瞬でバーストした!
俺「藍!!!!!!!!」
藍「ど、どうしたんだ急に!?」
俺「も、もっと傍にきてくれっっ!」
藍「な、なんだ?もしかして今になって私に惚れたか?
  ふ、ふふん…いいぞ、今夜だけは私を好きにしても…」
月の光は再び雲にさえぎられ、藍の姿を見ることはできない。だけど、だけど俺は…
俺「惚れたも何も…くっそう、この誘惑に耐える精神力なんぞ、俺には…!!」
(ぼたぼた…)←血涙
こうして俺は、「大いなるふかふか」によりこれ以上無い至福の癒しを得、
いろいろとみなぎらせて一晩で奇跡ともいえる超回復を果たすのであった。


4スレ目 >>496(うpろだ0029)


「藍、藍、こっちへおいで。」
「ん?なんだ…もうあぶらあげには釣られないぞ…」
「違う違う*1フルフル」
あいつの膝の上には、2本の尻尾をつんと立てて、
のどまでごろごろいわせてご機嫌な橙が座っていた。
「いま橙にブラシをかけてたんだ。藍も抜け毛の季節じゃないのか?」
「お前が…手入れしてくれるのか?」
「紫がやってくれると思う?」
「それもそうだな…」
どうしよう…私は、尻尾をいじられるの弱かったりする。
特に(言ってもわからないだろうが)第3尾と第6尾は敏感なんだ。
でも、こいつに触られるのならいいかな…

「藍の尻尾がふさふさのふかふかになったら、きっと気持ちいいんだろうなぁ♪」
「そ、そうか?私の尻尾がふかふかになったら、お前は嬉しいか?」
「そりゃもう。橙だって嬉しいだろうし、紫は枕にしたがるんじゃないの?」
私はこいつに嬉しいかどうかを聞いてるっていうのに…まったく。
「…痛くしたらひどいぞ。」
「うーん、毛量多いし、汚れてるとブラシ引っかかるかもね…先にしっぽ洗う?」
と、いって、あいつはシャンプー(たぶん猫用?)を取り出してみせた。
「え…!?」
尻尾を洗うとなったら当然服を着たままでは洗えないわけで…
「どうする?」
「ば、ばか!お前と一緒に風呂に入ったりなんてできるか!」
「え…藍は自分で尻尾洗えないのか?」
しまった、墓穴を掘った。こいつは洗ってやるよなんて一言も言ってない。
私の勝手な勘違いではあるのだけれど…
「話の流れからしててっきりお前が洗ってくれるものだと…」
「俺は構わないけど…?」
「あ…じゃあ、頼む。……じゃ、なくってっっ!」
墓穴はすこぶる深かったらしい。
きっと今の私の顔、真っ赤なんだろうな…鏡を見るまでもない。
「洗ってくる…かせ!」
(ぱしっ! すたすたすた…)
私は、目の前にいる狐の気も知らない鈍感人間からシャンプーを奪うと、
すたすたと風呂場に尻尾を洗いに行った。
ああもうっ、紫様!あなたが選んだだけあって、こいつはいい性格してますっ!
「(なんたって私が100年も生きてない人間にこうも…)」
(すたすたすた…ごんっ!)
「---っっ!(涙)」
鈍い音。走る激痛。まともに前を向いていなかったんだ。察してくれ。

尻尾を洗い終わって…私はあいつの待つ縁側へと戻る。
「さあ、手入れしてもらおうじゃない。」
「あぁ、お帰り。9本もあるからな、張り切っちゃうぞ。」
橙はどこかに行っていたらしく、姿はなかった。
天気がいいから、きっと他の場所で寝てるんだろう。
「まあ、そこらへんにうつ伏せになって寝ててくれ。
 起きる頃には終わっているはずだ。」
私は、こいつの言われるままに、うつぶせに寝そべる。
「(寝れる訳ないだろ。敏感な尻尾触られるんだし…)」
尻尾の手入れが始まった。
(サッ、サ…ふわっ…)
やわらかい布で、細かな水気も取りながら、丁寧に、そして優しく、ブラシが通される。
それはとても…気持ちがいい?心地が良い?
それだけじゃなくって…どうも上手く言えないな。
(さわわ…)
嬉しい…のかな?自分が大事にされてる、愛されてるって感じが、
ブラシで尻尾をなでられてるだけなのに伝わってくる。
「気持ちいいな…」
「そうだろう、そうだろう♪」
1本、また1本。手入れされた尻尾から手が放されると、
その尻尾はとても軽く、隣り合う他の手入れされた尻尾とぶつかると
ふわふわと弾力を感じる。実に気分がいい。
触られるのが怖かった第3尾も第6尾も、これっぽっちも不快ではなかった。
「すぅすぅ…」
あぁ…不快じゃないのも当然か…
「すぴー…」
私は、途中で寝てしまってたんだ。縁側の、硬い板床の上だってのに…

はっと気が付いて目を覚ますと、私の尻尾はふさふさとかふかふかとか、
そこら辺の形容詞のどれもが当てはまりそうに見事に仕上がっていた。
半端に残っていた冬毛はきれいさっぱりと抜け、
その抜け毛を集めてつくった毛玉には、橙がじゃれて遊んでいる。
「で…なんでお前はそんなに傷だらけなんだ?」
お礼くらい言ってやろうと思ったのに…私の直ぐ隣に座っているそいつは、
なぜか顔中引っかき傷でいっぱいだった。
いつの間にそんな傷をと、その理由をきくと…
「あ、ああ…橙に予防注射をしようとしたら…見ての通りだ。」
「予防注射って、猫じゃないんだから。いや、猫だけど…」
橙に猫用予防注射をしようとした点をあきれるべきか、
橙に引っかかれて平気なことに驚くべきか、反応に困ることをしてくれる。
まあ、引っかき傷ができたのは好都合だ。仕返しとお返しの口実ができた。
「じっとしてろ…」
(ぺろ…)
私は、そいつの顔、腕の傷をひとつひとつ舐めてやる。
「わっ、藍…しみるよ…」
「お前な…ここは驚くなり、照れるなりするところだぞ…」
(ぺろ、ぺろ…)
橙に引っかかれて、なんとも無いはずが無い。
でも私が舐めて消毒(なのかな?)してやれば…そのうち治るだろう。
「いや!十分、すっごいはずかしい!」
「ふふふ…照れろ照れろ♪」
(ぺろ、れろんっ…)
全部の傷は舐め終わったけど…どうしてやろうかな。
こいつ、しばらくからかってやろうかな。
そんな昼下がりの、ちょっと幸せなひと時…
願わくば紫様も橙も、もーしばらく寝ててくれますように…


4スレ目 >>673


貴方の主も式も、全員まとめて死ぬまで面倒見てやるよ→藍


5スレ目>>774


766氏
マヨヒガはないのですか!
きっとこんな展開が……と妄想。

======

「ここは?」

山道を歩いていた俺は、いつの間にか知らない土地へ迷い込んでいた。
辺りからは光が消え、
聞き慣れない、ブッポーソー、と言う声がこだましている。
後ろを見れば、歩いてきたはずの山道は消え、鬱蒼とした茂み。
そのまま登っていくと、一軒の家の前に出た。
暖かい、けんちん汁の匂い。
煙突から、仄かに煙が上がっている。

「ごめん下さーい」

声をかけて中へ入ると、

「何? こんなところに人など珍しい」
「藍様、迷い込んだ人じゃないんですか?」

狐の女の子と猫娘の2人連れ。
奥行きのある部屋が、綺麗に整頓されている。
囲炉裏には、大きな鍋が一つ。
奥への扉は、寝室であろうか。

「えっと、あのー」
「そうだったわね。
 人間よ。ここはマヨヒガ。迷い家とも呼ばれるところ。
 ここから人は逃れられない。
 だが、ここで会ったも何かの縁。
 どうせ、出られないなら、私の手伝いをしてくれないか?」
「藍様?」
「橙、この人間がいれば、お前の相手になれる時間も増えるわ」
「うん、それならいい!」

勝手に話を進める2人。

「あの、俺はここから出たいんだけど」

それに対して、

「ああ、無理。
 でもまあ、挑戦するのは自由だし、明日から存分に試してみると良いわ」

返ってくるのは非常な答え。
とりあえず、一晩お世話になることになった。



それから数ヶ月。
俺は、まだ帰れていない。
橙の相手として、散々山を走ったこともあったが、気がつくとはぐれている。
しかし、藍や橙は普通に出入りをしているようだ。
何か、違いがあるのだろうか。
でも、もういいと思わないでもない。
ここの暮らしは快適だし、藍と一緒に家事をするのも、橙と一緒に遊ぶのも楽しい。

「○○、ここの暮らしはどう?」

橙を寝かしつけると、藍は俺へと声をかける。

「最高だ。まさかこんなに快適だとは思わなかった」

俺の偽らざる気持ち。
なぜなら、ここには藍がいるのだから。
橙にいたずらされて怒る藍。
家事に忙殺されつつ笑顔を絶やさない藍。
主人の紫に無理難題を言われ困る藍。
その全てが美しく、愛おしい。

「まだ、向こうへと帰りたい?」

それは、数ヶ月間、藍が封印していた質問。
一度たりとも、聞かれたことはなかったと記憶している。

「向こうは向こうで楽しいさ。
 だけど、こっちの方が俺にとっては充実しているな」
「そう」

満足げな藍。
そして。

「実は、向こうへ帰る方法があるんだ」

爆弾発言。
思わず、俺は硬直してしまった。

「え?」
「向こうへ帰る方法はあるの。
 お前がここにもう一度帰ってきてくれるなら、教えるわ」

突然の展開。
だが、そういうことなら、俺の答えはもはや確定。

「わかった。
 ここにいることを親や友人たちにも伝えたいし、ここにも戻ってきたい。
 だから、教えてくれないか?」
「そう、なら、教えるわ」

重々しい口調。

「迷い家から出るには、その家の物を持ち出せばいいのよ。
 けれど、ここにあるものはすべてご主人様のもの。
 式として、勝手に持ち出させる訳にはいかない。
 ――だから――」
「だから?」
「私を、もらってくれないかしら?」

藍は顔を赤くして、俺を見つめる。
きっと、俺の顔も真っ赤に違いない。
俺と藍は、きっと、相思相愛。
だから俺は、こう答える。

「ああ、喜んで」

胸に飛び込んで、顔を擦り付けてくる藍。
その顔は、喜びで一杯だった。



「あとで、お前を式にしてくれるよう、ご主人様にお願いしないと」
「俺を、式に?」
「ええ、未来永劫、一緒のつもりだから」
「……ありがとう」
「どういたしまして」


6スレ目>>272


勇気を出して一行告白
「式だとか妖怪だとか、そんなことは関係ない。俺は貴方と共にいたいんです」→藍


6スレ目>>285-286


膝の上に整った顔が置かれる。
凛とした可愛いというよりは美しいという表現が合う顔立ち。
多忙の為か少し乱れた金色の髪に指を通して整えていく。
さらりと通す度に動く狐の耳が可愛くて、ついつい撫で続けてしまう。
俺は今、マヨヒガの縁側で藍様を膝枕している。
経緯は簡単だ、疲れの溜まっていた藍様の肩を揉んでいたときだ。
よほど消耗していたのか、数分後には背を預けて寝付かれたので、起こさないように膝に乗せたのだ。
いつも世話焼きで目上の存在と意識する藍様を見下ろすのは新鮮だった。
久しく見た眉を顰めていない藍様は可愛い。
邪まな想いは何もない、ただ純粋にこの時間が続いて欲しいと思った。
叶わぬ願いならば、この時を堪能するとしよう。

「藍様、私はどうしようもないほどに貴女をお慕いしております」

どうせ寝ているのだ、普段言えないことを告げるのもいいだろう。
髪を梳いていた指を頬へと伝わせて、告げた言葉に悔いを混ぜる。
叶わぬ想い、届かぬ場所で呟くことほど虚しいことはないのだ。
それでも俺は幸せだった。
できるなら、その心の片隅に置いていただけるだけで俺は。

柔らかい黄昏の光が目蓋を通る。
橙色のそれは優しくて、目を覚ましたばかりの意識をぼやけさせた。
――寝ていた?
意識を乱暴に覚醒させて目を見開く。
膝の上に藍様はもう居なかった。それどころか、俺は横になっている。
目の前には凛々しい顔立ちの主が居た。

「よく寝ていたな、二刻半は寝付いていたぞ」
「す、すみません!」

状況を理解する、意識を落とす直前とは間逆の位置に俺は居た。
あまりの不甲斐無さに声をあげ、慌てて身を起こそうとする。
しかし、その行く手を繊細な指先が邪魔をする。

「いいよ、もう少しこのままで」
「え……あの……」

風が凪ぐ、日は暮れていく。
橙は藍を含み始めて、辺りは暗くなってきた。
灯の無い縁側ではもう、藍様の顔さえよく見えない。

「なぁ、○○」
「はい?」

表情の読めない藍様が、静かに溢す。
想い人の膝に居るという状態に胸を高鳴らせながら、俺は曖昧に返事を返した。

「私を慕っているというのは本当か?」
「――なっ!?」

陰になった表情に笑みが混じったように見えた。
心は高鳴るどころか止りそうになる。

「少し疲れたから目を伏せていたのだが、まさかお前があんなことを言うとはな。おかげで起き上がることもできなくなってしまった」
「あ、あの、あれはですね……」

上手い言い訳が浮かばない、浮かぶはずもない。
もうどうにもならないのだ、後戻りは出来ない上に先も無い。

「ごめん……なさい」

目を閉じて、子供のように贖罪をする。
藍様の顔は陰になって見えやしない。
できるなら、このまま影となって消えてしまいたかった。

「私も――だよ」
「……え?」

藍様の声は擦れて、途切れてしか聞こえなかった。
聞き返そうとした瞬間、俺の唇に何かが触れた。
恐らくは、藍様の――

「さぁ、そろそろ橙も帰る頃だ。夕餉の支度をするぞ」
「え……藍様……?」

灯りの燈った中、ようやく見えた藍様の表情はいつもと同じ。
その中に、微かな朱が混じっているような気がして。
胸の高鳴りは、収まりどころを失っていた。


うpろだ130


 俺は現在幻想郷のマヨヒガと呼ばれる場所で居候をさせてもらっている。なんでかって……聞くな、俺にもよくわからん。
 ここの住人である藍さんの手伝いや、橙の遊び相手などをしたりで割と毎日が充実している。
 それで今日は先程まで家主である紫さんと酒盛りをしていたのだが、終わった直後に紫さんから
『折角だし、これを持って行って藍と一緒に飲んできなさいな』
というお言葉と酒を頂いたため、藍さんの所へ移動中だ。
 酒盛りとは言っても俺は酌係で、実際は殆ど紫さんが飲んでいたからあまり飲めなかったし、
宴会などに行っても、色々と忙しい藍さんとは今まで飲む機会がなかったので丁度いいと思って引き受けたわけだ。
 惚れた相手と飲める、という気持ちもあったんだが……それは置いておこう。


 月の光に照らされるマヨヒガ。風景がより幻想的に見える。
 藍さんは縁側にいた。こちらに気が付くと声を掛けてくる。
「……○○か。紫様の相手は済んだのか?」
「ええ、今さっき」
 藍さんの隣に腰掛け、手に持っていたお盆を降ろす。
「ここで酒盛りをするのか?」
「紫さんの勧めでしてね。藍さんと一緒に飲んでこいと」
 その言葉に怪訝そうな顔をする藍さん
「私は……出来れば遠慮したいな」
「藍さん、酒が嫌いなんですか?」
 宴会などでは紫さんの相手や片付けなどで忙しいから飲んでないだけだと思っていたんだが。
「いや飲めなくはない。飲めなくはないんだが……」
 藍さんにしては珍しい歯切れの悪い言葉だ。訝しむ顔で酒を指さし、
「それはどれ位の強さなんだ?」
「度数ですか? ちょっと待ってください……」
 表面のラベルを読むが、銘柄こそ書いてあっても度数は書いていない。
 銘柄は……『狐の嫁入り』か。俺は酒に詳しくないから結局はわからないな。
「あー、ダメですね。書いてません」
「よく考えると……仮に書いてあったとしても参考にはならないか。あの方にかかれば、中身を入れ替えるぐらい造作もないことだからな」
「うーん……まあ幾ら紫さんでも、スピリタスを入れるような真似はしないだろうし」
 色々と無茶を言ってくることはあるが、一応体の限界は察知してくれる人である。だから平気な筈だ……多分。
「それでどうします? 無理に飲もうとは言いませんが……」
 紫さんには一緒に飲んだことにしておく、という意味を込めて言う。が、藍さんは頭を振る。
「いや、紫様のことだ。今もスキマから覗いているかもしれん。バレてお前がスキマ送りにされたら私が困る」
 それに、と話を続ける。
「さっきは遠慮すると言ったが、私もお前とは飲んでみたかったんだ」
 そう言って杯をこちらに出してくる。
「注いでくれるか?」
「ええ、是非とも」
 酒をお互いの杯に注ぎ、二人同時に飲み干す。
 惚れた相手と飲む酒は、今までになく美味かった。


 正直気付くのが遅かったと思う。杯から少しづつ飲んでいた藍さんのペースが段々と上がっていたことに。
「あの~、藍さん……?」
「なんだ~」
 普段よりも間延びした声。振り向いた顔は赤く、目はトロンとしている。
「もしかして、酔ってます?」
「何を言う。酔ってにゃんかにゃいと言っとるだろ~に」
 どう見ても酔っぱらいです、本当にありがとうございます。
 まさか大妖怪の式神である九尾の狐が酒に弱いなんて誰が考えただろうか。
「う~ん? お前はあんまり飲んでないな」
「あ、いえ、ちゃんと飲んでますよ?」
「ほれほれ、もっと飲まんか」
 有無を言わせず酒を注いでくる。断ったら暴れ出しそうだ。
 酒に弱い上に酒癖が悪いとわかっていれば、そりゃあ飲まないよね。うん納得納得。
 って、そんなこと言ってる場合ではない。
「そろそろ止めたほうがいいんじゃないですかね? ほら、明日の仕事にも響きますし……」
「なんの、私はまだまだ飲めるぞ~」
 藍さんは酒を一気に飲み干す。ダメだ、聞き入れてくれそうにない。
「それじゃあ飲むついでに私の話でも聞け」
 これはあれか? 酔っぱらい特有の長話か? マジですかー。
 そんな俺の気持ちを当然察してはくれず、藍さんの長話は始まった。


 それから一時間。藍さんの話はまだ終わりそうにない。
 やれ紫様が結界を修復してくれないだの、やれ橙が私の弾幕を真似してくれただの、やれ最近油揚げの値段が上がっただの、
なんとなく正座をして聞いているので、好い加減足が痛い。
 折角藍さんと飲めると思ったのに、満足に飲めたのは最初だけか。紫さん、こうなることがわかってて寄越したんだろうなあ。
「それでだな~……おい○○! 聞いてるのか!?」
「き、聞いてますってば」
 でもまあ好きな人の意外な一面を発見できたと思えば……ダメか。
「まったく……なんで私がお前と飲みたかったのかわかってないな?」
「はあ……一応聞きますがなんです?」
 もはや俺は飲んでいるという気分ではないんだが、と思ったところで、藍さんが予想外のことを口に出した。
「そんなこと、お前のことが好きだからに決まってるだろう」
「はあ成る程……って、えええええぇぇぇぇぇぇっ!!」
 余りにも驚きすぎて二の句が継げずにパクパクしてしまう。そんな俺が可笑しいのか、藍さんはカラカラと笑う。
「なんだ気付いてなかったのか? お前も鈍い奴だなぁ」
「いやいや妖夢。そんな素振り少しも無かったですよ?」
 やっと落ち着いた。藍さんの顔を窺う余裕が生まれる。
 顔は相変わらず赤いが声はいつも通り、いや寧ろ普段よりも真面目なように聞こえる。
 最初は酔った冗談かと思ったが、これは……本気の話か?
「本気も本気だ。私の言ったことを疑うな」
「人の心を読まんでください……」
 確かに考えてみると藍さんはやたらと俺に世話を焼いてくれたり心配してくれたりしていたが、それは俺が頼りないからだと思っていた。
 そもそも藍さんといえば、主と違って(失礼)働き者だし器量もいい、ある意味完璧な人である。
 そんな人が俺なんかに惚れるなんて想像すらしなかったわけで。いやホント。
 と、好い加減まどろっこしくなったらしい藍さんが顔をグイッと近づけてきた。眼前にきた顔にドキッとする。
「私はお前が好きだ、どうしようもなく好きだ。だから聞くぞ。お前は私のことをどう思ってるんだ」
 その言葉に目を伏せる。が、すぐに開く。
 まさかこんな状況になるとは思いもしなかったが、どう答えるかなんて考えるまでもない。
「勿論、俺だって藍さんのことが大好きですよ」
 藍さんは少しの間黙っていたが、すぐに笑顔になって、
「そうかそうか、だったら私たちは両想い…だ……」
「ら、藍さん?」
 急に倒れ込んできたので慌てて受け止める。見れば、寝息を立てて寝入ってしまっていた。
 酔いながら真面目な話をするなんて器用な人だ。そう考えたら途端に可笑しくなった。
 藍さんの頭を膝に乗せてあげてから、改めて顔を覗く。本当にいい寝顔だ。綺麗だと同時に可愛いと思う。
 さて、と……本当ならすぐにでも布団に運んであげるべきなんだろうけど、もう少しこうしててもいいよな……















 翌日、昨夜のことが思い出せないという藍さんに事実を話して改めて告白したところ、
赤面した藍さんから仙狐思念をぶっ放されたのは、また別の話……


7スレ目>>112


季節が冬になり雪がちらついてきたころ。
場所はマヨイガ。主が意中の男性と冬眠したこの季節は実に静かである。

そして居間のコタツでは日頃の疲れを癒すように寄り添って横になっている男女。
式の式は気を利かせたか気まぐれかこの場にはいない。
女・藍はその布団のようなしっぽを力なく広げ男にすべて任せるように体を預けている。
男はそんな藍を大切なもののようにいとおしく包み込むように抱きしめている。

その場は時が止まったように静かでただ雪だけが深々と落ちていた。


うpろだ251


その日、俺はある人物を探して里を彷徨っていた。
ふらふらと、手に油揚げを持って歩き回る。
ふと曲がった角の先――――いた!

「藍様!」
「…ん、ああ。○○か。そんなに血相変えてどうかしたのか?」

俺は小走りに藍様に駆け寄る。
俺よりも少し背の高い(何てことだ)彼女は、九つの尻尾を持つ天孤。
しっぽのもふもふ具合は素晴らしいらしく、俺も是非触りたいのだが、触らせて貰えない。
まあそれはどうでもいい、俺は目的を完遂するため、油揚げを差し出した。

「藍様、これを差し上げます。だから、お願いがあるんです」
「ああ、構わない。言ってみなさい」

その言葉に安心した俺はいった。

「藍様、千倍になって下さい」
「…え…………えっと、」

一瞬藍様は困った顔をした。
しかし、空気にほんの少し気が張り詰めると、俺の周りには藍様の分身がいた。

「これで千倍……のはずだ。何の意味があるんだ……?」

彼女は俺の言葉を不思議に思っているようだ。
そんなことも俺は気にせず、藍様の姿を見つめた。
彼女の頬が少しだけ赤くなった。恥ずかしさを隠すように、俺の渡した油揚げにかぶりついている。
ちがう、俺が見たいのはそんな姿じゃない!

「…………なんで」
「…ど、どうした…………?」
「何で見えないんですか!!」

俺は叫んだ。藍様にしがみ付いて、彼女の瞳を睨んで叫んだ。
彼女はそんな俺に驚いた顔をする。それでも、俺は叫んだ。

「落ち着け…○○」

藍様が俺を抱きしめた。
暖かい身体、揺れない鼓動、細い腕。そのどれもが、今この瞬間、俺のために存在している。


だけど…………!

「俺は…………藍様の千倍のが見たいんです…!」


最終更新:2010年06月01日 00:14

*1 -ω-。)(。-ω-