紫4




4スレ目 >>119


できる限り状況描写を省いて(省いても状況が浮かぶセリフで)
テンポのよさを追求してみました。↓

~小劇~
前提、もとい、あらすじ。
よりにもよって紫に惚れてしまった俺。
この思いを伝えたとき彼女は微笑んでこう言った。
紫「そうねえ…あなたがボムも復帰無敵もなしに私の弾幕をかいくぐって
  私をさらってくれたら…貴方の物になっちゃおうかあ♪」
俺「ΣΣ(゚д゚lll)」
紫「本気で言ってくれてるんでしょう?だから私も本気よ?」
俺「本当か?なら俺がんばっちゃうぜ!」
紫「ええ。本気だから当然Lunatic以上にガチよ。」
俺「orz 」
この日より、俺の挑戦と墜落の日々が始まった。
この物語はそんな日々を綴るものである。

~9日目~
藍「紫様、なんですか、それ?」
紫「ああ、これ?撃墜マーク。」
藍「8個…愛されてますね…」
紫「難しくしすぎたかなあ…(´・ω・`)」
藍「ホントは攻略されたいんですね。」
紫「よくわかってるのね。」
藍「そりゃまあ、紫様あいつが来る時間帯は起きてますから…」
紫「藍、ちょっとあいつを手伝ってあげてくれる?」
藍「へいへい…。(紫様が手加減する気はないのね…)」

~10日目~
俺「くっそ~…今日こそは10カウントは凌いで見せるぞ…」
藍「凌ぐので精一杯見たいだな。」
俺「む?貴方は確か紫のとこのきつねさん。」
藍「藍だ。お前が不甲斐ない限り、長い付き合いになるから覚えておけ。」
俺「(´;ω;`)」
藍「まあ泣くな。作戦がある。」
俺「何!?どんな作戦だ!?」
藍「コレを読んでみろっ!」
俺「なになに…ダッシュ中は全ての飛び道具を無効化できるだと!?」
藍「そうだっ!なにも考えずに、紫様の胸に正面から飛び込んで行けっ!
  途中で速度を緩めるな!迷い無き突撃こそが正解だ!」
俺「そうかっ!そうだったのかっ!」
藍「判ったら早速特訓だ!テンコーの走法を叩き込んでやるぞっ!」
俺「おう、よろしく頼むぜ!」
なおこの日の紫戦のリプレイは開始0.5秒で俺が自爆して終わるのであった。

~11日目~
紫「藍…あんた何を教えたの?」
藍「いやあ…紫様も攻略されたがってたので、てっきり消せる弾だと…」
藍は紫の布団でぐるぐるまき…いわゆる「すまき」にされている。
紫「はぁ…激しい墜落で彼は重傷。今日は来そうもないわ。」
藍「会いたかったんですね。」
紫「うるさい!ああもう、しばらくそうしてなさい。私は寝るわ。」
藍「あ、ではこのすまきをほどいて…」
紫「別の布団で寝るわよ!」
藍「(´;ω;`)」
次回(あるのか?)さらなるネタ、もとい、策を持って紫攻略を目指す!

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4スレ目 >>692


「紫、とりあえず、だ…
 君の心に俺の入る隙間を作ってくれないか?
 そうでなければ俺の心の隙間を君で埋めてくれ。
 それもダメならいっそ食ってくれ。もう耐えられない、いろいろと!
 つまりは…好きだ、大好きだ!どうしようもなく好きだ!
 …なに?わかったからさっさと埋めろって? わぷぷっ!」→紫

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4スレ目 >>697-698


 夜。
 神社で開催されている宴会も中盤に差し掛かった頃、一人喧騒から離れて空見上げる少女が居た。
 少女――八雲紫は、ゆっくりと傘の方を見ると徐に片方の腕を入れた。
 傘の中を見ながら腕を動かす事数秒、腕を戻した彼女の手には一種の携帯電話が握られている。
 と、そこでもう一人の少女が唐突にやってきた。

「あんたなにやってんの?」
「ちょっとね」

 紫は曖昧に答えてやってきたもう一人の少女――博麗霊夢の方を向いた。
 霊夢は紫の曖昧な答えにはそれ以上聞かずに、別のことを聞いてきた。

「なにそれ、手に持ってるの」
「これ? ……そうねぇ、似たようなものを持っている人が居ると遠くでも会話できる……式かしらね」

 その言葉に霊夢は訝しげに携帯電話を見た。

「本当かしら?」
「本当よ。私の言った事が信じられないの?」

 その問いに霊夢は即答する。

「信じられないわ」
「なんなら話してみる?」
「できるの?」
「出来るって言ったじゃないの」

 そういうと紫は携帯電話のボタンをあれこれと押していった。
 その手つきは初心者のものではなく、慣れた者の手つきだった。
 霊夢はその動きを特におもしろくもなさそうにみていた。

 少しして紫が携帯電話を本来と同じ当て方で耳に当てた。

「こんにちは、お昼のニュースですわ」

 その言い方に霊夢は別に表情を変えず、そういう風に話すものなんだなと思っていた。
 少しして機械経由特有の声が霊夢の耳にもわずかながら届いたが、小さすぎて何を言っているかわからなかった。

「いいじゃないの、偶には趣旨を変えないと」

「……毎日同じだと飽きるじゃない?」

「…そうそう、自分主義」

「……ああそうそう、忘れるところだった。ちょっとね、人間を紹介しようと思って」

「…………うん、だからね」

「……そう。解ってるじゃないの」

「…そんなこと言わないの。じゃあ変わるわね」

 そういうと紫は携帯電話を霊夢に差し出してきた。

「はいこれ、彼と繋がってるわよ」

 霊夢は恐る恐る受け取ると、紫と同じように携帯電話を耳に当てた。

 最初に紫が言った事を言ってみたが、なんかぎこちない。

「…………?」

 言ってみたものの残念ながら相手からの返答なく、霊夢は少し不審に思って再度話しかけてみた。

「おーい」
 返答なし。

「生きてるー?」
 返答なし。

「死んでたら返事して頂戴ー」
 返答なし。

「…………」

 いくら喋っても返答がこないので、霊夢は紫の方を睨んだ。
 紫はと言うと、優雅に空を見ていた。
 その無関係オーラ全開の紫に、霊夢はため息をついて携帯電話の方に意識を向けた。

「最後通告よ。さっさとなんか喋りなさい」

 ちょっと脅しをかけてみたものの、返答は無かった。
 そのほかに色々と試してみたものの、とうとう諦めたのか携帯電話を紫の方に突きつけた。

「返す。っていうか話なんて出来ないじゃないの」

 携帯電話を受け取りつつ紫は少しからかうような笑みを浮かべた。

「当たり前よ。私以外彼の声は聞こえないもの」
「なにそれ?」
「……何時か貴方にもわかるわよ」
「尚更解らないわ」

 その後霊夢は紫に文句を一通り言った後、遠くから聞こえる声に反応して宴会に戻っていった。
 霊夢の姿が消えるまで見た後、紫は携帯電話を耳に当てた。

「ちゃんとやったわよね?」

 紫の問いに今度は返信が帰ってきた。

<<当たり前だ>>

 しかし、紫以外にこの声を聞くものは居ない。

<<……しかし、なんで黙っていてくれなんて言うかねぇ>>
「それは貴方が一番わかってるでしょ?」
<<はいはい、嫉妬するお姫様は大変だからな>>
「その言葉、宣戦布告とみてよろしいですね」
<<気にするな。それよりもだ……>>
「何?」
<<あの最初の言い方を真似させたのはお前が言ったからか? 携帯放り投げて笑い転げてたんだが>>
「ああ、あれは何か勘違いしていったと思うわ」
<<……そうかい>>
「じゃあ、そろそろ戻るわ」
<<ってかいちいち毎日電話しなくてもいいんだぞ>>
「あら、迷惑?」
<<正直迷惑している>>
「じゃあ三日に一回に変えるわね」
<<そして三日に一回じゃ寂しいからやっぱり毎日にしてくれって願う事を願ってるだろ>>
「あら、なんでわかったの?」
<<その程度解る>>
「そう、じゃあ次はもう少し巧妙に仕込むわ」
<<精々頑張ってくれ>>
「ええ。貴方もね」
<<何処を頑張るのかわからんがな>>

 そう二人が交わした後、紫は携帯電話のボタンを押して通話を切った。
 と、突如此方の方を向いて妖しく笑いつつ言った。

「さてはて」

 そして紫は宴会場へと戻っていった。




後日談はスキマに放り込まれました。
真相を知りたければ目覚まし時計のON/OFFを50往復変えてください。

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4スレ目 >>728


紫「○○!○○はいる!?」
俺「おお紫殿、いかがなされた?」
紫「藍が開幕一騎打ちで妖夢に負けて撤退したのよ…」
俺「ぶっ!」
紫「あなた何とか時間稼いで!あと30カウントほど…」
俺「では私が妖夢殿に踏まれます。彼女なら撤退に追い込めましょう。
  あとは紫様と橙様に幽々子殿を抑えていただければ…」
紫「うん!冥界デッキなんかに負けな…」
(ジャーン、ジャーン!)
魔理沙「よくきたな」
橙「みぎゃー!」(撤退)
俺「( ; ゚Д゚)」
紫「ポチッ! ( ; ゚Д゚)σ(兵法再起)」

…イチャつくのってむずかしいっすね…

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5スレ目 >>55


紫様と会いたい。
紫様としゃべりたい。
紫様とお茶を飲みたい。
紫様とお酒を呑みたい。
紫様と歩きたい。
紫様と手をつなぎたい。
紫様と腕を組みたい。
紫様と抱き合いたい。
紫様とキスしたい。
紫様と寝たい。
紫様とネチョいことしたい。

そして死ぬときは
紫様に食べられて死にたい。


あー、お目汚しすまん、紫様への愛が暴走した。

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5スレ目 >>102


某同人誌、24後と脳内で変換してください。

俺はじっと待っていた、いつもなら寝てる時間なのに珍しく出歩いてるあいつを。
藍が言うには“楽しそうに出かけた”そうだ、どうせロクでもない事を企んでいるのだろう。
長く付き合ってれば何となくわかるものだ、まぁわかって得をした試しはないが。
「あら、起きてたの?」
「それはこっちのセリフだ」
そうこう言う内に帰ってきたようだ、あらぬ場所からスキマを開いて出てくる。
始めは心臓に悪い思いをしたが付き合っていけば気にならなくなるから不思議だ。
スキマから降りると丁度、目の前で対峙する形となった。
「……どこに行ってたんだ?」
溜息をついた後で俺は聞く、よく見れば頬が少し赤い。
この表情を俺はよく知っている。
「ちょっと幽々子のところにね」
「幽々子が丁度いない時にか」
目の前の“少女”は口を噤む。
今日は誰が見ても少女と言うだろう姿をしていた、昨日まではグラマーな美女の姿だったのぐらいは俺でも覚えてる。
だがそれにも慣れていた、互いにファッションの幅が広がるぐらいな認識となっている。
「幽々子に男ができたのよ・・・それでね、ちょっと見てきたのよ」
お前は遥か昔に俺という男がいるだろう、その突っ込みを心にしまって俺は言う。
「それでちょっかい出したんだな?」
実際いい気分ではないができる限り不機嫌な顔をしてみせる、効果は期待していない。
「まぁそうね、でもなかなか一途で誠実な方でしたわ、どこかの誰かさんとは違って」
「自分の男を放っておいて友人の男に手を出す奴に言われたかないね」
露骨に嫌な顔をしてみせる、このぐらいやってもこいつは悪びれない。
悲しいことにそれにも慣れてしまった、嫌そうにするのは最後にして最低限の抵抗である。
大きく溜息をつくと俺は目の前の悪びれてない少女を見る。
「まぁお前が何をやっても俺にそれを止める権利はない、
 だけど俺が何をやっても文句を言う権利はないのはわかるよな?」
顔から笑みがすっと消えるのを俺はもちろん見逃さない。
「・・・そうね」
俺は立ち上がって体だけを部屋の襖に向ける。
「せいぜい、式たちがお腹を大きくしないよう祈るん―」
「そんなのっ!」
立ったまま体の向きだけを戻す。
俯いた少女に俺はできるだけ優しく聞き返す。
「そんなの?」
「……そんなの、やだ」
俺は厳しい表情を崩した。
「わかってんじゃねぇか」
少女の隣、肩が当たるぎりぎりの距離に座る。
「わかってるなら」
腕に細い腕が二本とやわらかい髪の感触が伝わる。
この辺は本当によくわかっている。
付き合った当初はよく妖怪らしい事をしてたが最近は女らしい事をするようになった気がする。
「わかってるなら、やめてくれよ?」
「……うん」
しばらくはこのままで居るのも悪くない、だがそろそろ日が暮れそうだった……。



さて、素直な振りをしてまったく反省していないこの女をどうしてやろうか?
正直、バレバレなのをわかってやってるのか、それともわかってないのか・・・、
それは俺にもわからない、いくら付き合っても底が見えないのは流石と言うのか。
まぁそんな紫だからこそ好きになっちまったんだ。
たまには「愛してるよ、紫」とでも言ってやるべきか。
俺は日が暮れるまで思考力を全開にして考えたが結局答えは見つからなかった。


あとがき

しらうお兄さんよぉ!ゆあきんの扱いがあんまりだったから俺が貰っていくぜぇ!
文句なんざ言わせ・・・げっお前はしら・・まだお仕置きしてな・・ギャアアアアアアアッー!!!

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5スレ目>>883-885


883 名前: 名前が無い程度の能力 投稿日: 2006/10/10(火) 15:06:26 [ P.o0NH8o ]

恋人と夫婦の境界も私が弄らないといけないの?
というフレーズがなんとなく浮かんだ


884 名前: 名前が無い程度の能力 投稿日: 2006/10/10(火) 19:31:02 [ dEk8mras ]

 >>883
こ、これは…貴公、良いセンスをお持ちだ(*´Д`) 
告白するゆかりんか!


885 名前: 名前が無い程度の能力 投稿日: 2006/10/10(火) 19:54:50 [ 1wW/3tpA ]

 >>883
 >>884
紫「恋人と夫婦の境界も私が弄らないといけないの?」
と、口にだせばゆかりんが告白。

紫「(恋人と夫婦の境界も私が弄らないといけないの…?)」
と、口に出さなければ、その気になればいじれるくせに、
その境界だけはこっち(自分サイド)が引き出すのを待っている…

やばい、どっちも胸にくる。。(うω;)

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5スレ目>>947


 >>946
おでんのこんにゃく吹いたじゃないかwwwwww

「……ようやるよ」
「まあまあ、それも肴の一つだと思って」
 >>945の出来事をスキマから眺めつつおでんを食う俺と紫。
「とりあえずあの薬師には報告しなきゃ」
「この外道が」
「お褒め戴き光栄ですわ」
そう言い合ってるうちにすき焼きのいい香りが。
「って、何でにんじん?」
スキマの向こうにはすき焼きではめったに見ない赤色。
「……兎だからじゃない?」
「なる」

『にんじん多いな、おい』
『あ、ごめん。ついつい兎用に作っちゃった、えへ』

「やっぱ兎用だって」
そう言って、こんにゃくを口に放りこんだ矢先。

『箸置けぇー!』

「ぶふぉっ」
久しぶりに聞いたお父さんの台詞でこんにゃくを吹き出してしまった。
「……ちょっと?」
「ああごめん!!」
そしてコンニャケルの放出先……紫の顔は灰色の物体まみれになっていた。

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6スレ目>>68(うpろだ0068)


 八雲 藍です。
 紫様の式をやっております。百年から先は数えるのを止めました。

 さて、最近――我々の時間で、ですが――我がマヨイガに、新たな客が増えました。

 何の事は無い、唯の人間の男です。
 名を、○○と云います。

「……なあ、ここは何処だ?」
「ようこそ、マヨイガへ。どうぞごゆるりと――」

 思い返すのは、少々昔。

 神無月も過ぎようと言うある日の夜。
 何の事は無い、いつも通りの、我が主の道楽。
 気分次第で、冬の間食か、唯の珍客かの二択。


「――貴女方の、名は?私は、○○と申します」
「私は、紫。八雲 紫と名乗っておりますわ。
 こちらは私の式の藍」
「そしてその式、橙でーっす」


 ――その筈だったのです。


「――可憐だ」
「は?」
「あ、いや、これは失礼。


 ――紫さん、この不肖○○。貴女に一目惚れ致しました。
 ほんの一時で良い。
 この私めを、お傍に置いてはくれませんか」





 その男が、こんな寝言を口走るまでは。




 当初、私は『卑しい奴めが、噛み殺してやろうか』と奴を脅した物です。
 そうすれば、大概の人間は皆、興味に身を竦ませ、情け無い風体を晒すものです。



「っ……い、否と言うのならば、せめて紫様、貴女の意を以って……!」

 だが奴は、少々それらとは違ったようで。
 歯を鳴らし、頭を畳に擦り付けるように伏し、肩を震わせ――
 しかし、答えを聞くまでは梃子でも動かぬ、という覚悟を、厳として崩しませんでした。





 まあ、後はお察しの通り。





「変わった人ね、貴方――藍、良いわ。下がりなさい」

 こんな変わった者を、紫様が目を付けない訳は、無いので有りました。



















 そこが運の切れ目と言うか。

「紫さん、今日も貴方は美しい!」
「あら有難う――と、2千回前までは素直に言えたわね」

 日を重ねるごとに。

「紫さん!どうですか!今度屋台でも!」
「御免なさいな。今晩は既に幽々子と閻魔様と一席いれてあるの」

 化けの皮が剥げていったと言うか。

「紫さん!湯加減は如何ですkへごわぁ!」
「女性の湯浴みに乱入する殿方がありますかッ!!」

 人が変わったように、破廉恥な所業の数々であり。


 こう、ぶっちゃけ、その喉笛かっ切ってやろうかとか、考えちゃったりした。



 しかし、まあ不思議な事に、式でそれだけは硬く禁じられておりまして。
 逆らうことも出来るのですが、まあ主には私には考え及ばぬ慮があるのだろうと思い。
 さらにどういうわけか、

「○○ー、弾幕の訓練するんでしょー?私が付き合うよー」
「おおそうか橙よーしそろそろ通常弾幕1抜けるz御免やっぱ無理でs」


 我が愛すべき駄式、橙が懐いており。
 『これまでの』通例どおり、橙が懐く人間に悪い奴は居まい、と一目置いておく事にしました。

 そして結局、現在に至るまで、こんな調子が続いております。


「なあ藍さん、屋根の具合は良いか?」
「む?ああ、済まん――面倒な作業だったと思うが、大丈夫か?」
「いや大丈夫――コーティング瓦の上から、あんたの作った呪を刷っただけだから」
「ほぉ、外界の機械は、紙以外への印刷も出来るのか」
「そーいう機械の取説も含めて、ここにあるのが幸いだ」


 はてさて、これは奴と私のやり取りである。
 と、まあこのように、気が付けば私もこの男に対する険は緩んでおり。
 話してみると、中々解る奴でありまして。


 そうそう、思い出せば、冬の間の問答。
「三途の川幅が解る?――50点だな」
「む?貴様、この式に不備があると――」
「不備が無いから50点なんだよ。
 『川幅は生前の行いによって変わる』んだろ?
 だったらこの解が『絶対に正解を導き出せない』条件が存在する。
 もちろん、ちゃんと死ぬ人間を当てはめた場合に、だ」
「ほほう?言って見ろ」
「『この解を導き出す』度に、式に当て嵌める数字自体が変わる。
 ――自分の死期を悟った、臨終前の人間が、自分を当て嵌めたら――ほれ」
「それは当たり前だろう。だから『役立たず』なのだと言っている」
「当たり前じゃないぞ――数式は、必ず役に立たなきゃならない」
「何だと?なら数多の数学者の問答は――」
「ありゃちゃんと役に立っているだろ。『手の届かぬ未知を確かめる』為に。
 或いは、『間違う為』に」
「間違う為に?」
「ああ、よって――この式も、ここで初めて満点を与えられるんだよ」
「ふむ――なるほど、ではこうしておこう」

 正直、数学が出来る性質では無さそうだったが。
 いやはや、なまじ数字に強いと、数字が正しいだけで収めてしまいそうになる。
 ここで初めて、私はこの式に『死者の』を付け加える事にした。
 用いる用途という『前提条件』を含めて、初めて式とは有効になるのだ。

 そうだ。この問答には続きが有る。腹正しいことが。

「俺も、紫さんも、お前も。世界の存在は基本的にヌル・ノイマン。
 数字と言う単位、即ち視点を当て嵌める限り、取りこぼしが絶対に出るんだよ」
「だが数値化できないものを計算など――あ」
「そーいうこと。お前も俺も、数に分解できない物で出来ている。
 最終的には有る(1)と無い(0)の塊くらいにはなるが――
 それに加減乗除と言う『流転』を行う存在とその構造を、『事象』とか、『時間』以外の言葉で証明出来まいよ。
 単位は付けられるだろうが、虚数の域を超えん」
「だが――紫様は私を『式』と呼ぶ」
「おうよ――つまり紫さんは、俺らを自分なりの有理数の塊として捉えてるわけだ。
 ――自分の主がどれだけトンでも妖怪なのか、恐れ多いばかりで考えたか?」
「い、いやしかしあくまで仮定であって――」
「方程式は証明されるまで仮定のままだが――ゴミ箱に棄てるのは間違ってからでも構わんだろ」
「うう――」

 生意気にも論破された。しかも紫様に関わることで。
 いや、実際は結構無茶苦茶な事を言っているのだが――具体例で否定できない。

 後にも、そしておそらく先にも、こいつが問答で私を負かしたのは、この一件のみだろうが。
 まっこと、腹正しい。

「じゃんじゃん間違えよ――お前は間違った解を作り出せる、優秀な式なんだ。
 道具じゃないって事だ。幸いだろ?」
「んなっ!?」
「いいじゃないか、もっと叩いて貰え。――叩かれた分だけ、紫さんとお前は等しくなる」
「ぬお――こら、頭を撫でるな!」

 ――まっこと、腹正しい。
 自分が紫様に想われている事を、こいつの口から証明されるなど。


 眼から溢れる物は、昨晩紫様に叩かれた部分を撫でられて痛かったからだ、と弁明させていただく。






 ――あくる晩。
 これまで連ねた物事はあれど、唯一つのことが気になった。

「○○、ぶっちゃけ、何故紫様なのだ?」

 酒の席にて、何の事は無く聞いてみた疑問。
 この男、最初は好色の類かと思っていた。



 だが、整理してみれば――対象は全て、紫様限定である。

 どのくらい限定かを例に取る。


 ひとつ。紫様の寝起きの寝床にダイビングを決め込むときは、必ず事前確認を怠らず、
 布団に橙が忍び込んでいないかは勿論、霊夢や幽々子・妖夢に萃香、そして私等の
 同伴が居る場合は普通である。
 寧ろ、襖や戸の向こうで座して、静かに呼び掛ける始末。慎ましいことこの上ない。


 ひとつ。紫様を食事や酒の席に誘うときは、必ず断りを入れる。
 その断りを敢えて無視する場合も在るが、絶対に他の方の先約を妨げることはしない。


 ひとつ。風呂場の覗き見、及び盗撮の類は、全て紫様単体が対象となる。
 写真内に少しでも他人の存在を感じられる場合は、躊躇無く没とし、精々交換相手の
 新聞屋との交渉用にストックする程度だ。
 一方で、その新聞屋が同様の行為に及んだ場合は例外なく徹底抗議、
 可能であればネガ強奪の上にその場で抹消である。
 その癖、紫様に発覚した際は、甘んじてその報復を受ける。

 ……そこ、何を冷静に解説しているんだとか言うな。
 私は事実を言っているだけだ。

 ……奴のほんの僅かの生命の保証の為、それでも現在保有しているネガが幾つか在るらしいのは、
 私の胸の内に秘めておく。
 別に橙のベストショットをタナボタ的に補完してもらっている為ではない。
 また、その中に如何わしい写真など一枚も無い事を、特に強く主張しておく。

「む?こら藍さん、逆上せたか?」
「むお、いかん――酒をトバし過ぎたか」

 いかんいかん、話が逸れてしまった。

「さて、質問の答えだがな――ぶっちゃけ、言い飽きたが」
「何?」

 その返答は、初めて聞いたとき、正直、理解に苦しんだのを覚えている。


「一目惚れっつたろ。外観とか――第一印象そのまんまだ」
「だが、人では無い」
「ああ、妖怪で――今となっては、あの姿も胡散臭い」
「だが、お前の気持ちは変わらない。何故だ?」


「決めてたんだよ」
「は?」








「一目惚れたら、それが誰であろうと、まずは一直線に想ってみよう、って」




 ――まかりなりにも、数で編まれたモノとして、仮定の話をするのはどうかと思うが。




「ああ、言いたいことは解ってる。

 ――物好きで、此処にいろんな人を招いては『餌か生存という幸運か』の二択。
 その中には当然、面白い奴も居て、俺のような奇特もとい危篤で、しかし運の良い奴も居ただろうさ」

「つまり、それは」



 仮に、私が理解したとおりの意味で、奴が言っているのならば。




「応よ。
 ――その、顔も知らない、ひょっとすると覚えられてもいない有象無象でも、別に良いって言ってるのさ
 だって、それが惚れた弱み、って奴だろーが」


 ああ、やっぱり。



「――いや、割と覚えているぞ」
「ん?そりゃ大概だな」
「ああ、それはもう大概だ――お前のような奴らほど、頭に残るモノも無い」
「そいつは光栄だな」



 こいつも――同じなのか。



「お前ら――狂っている」
「当たり前だ」

「我が身可愛さも捨て切れず――だが、胸に秘めた思いも棄て切れんが為に、馬鹿をやる。
 しかも素面だ――冷静であっても、正気であるわけが無い」
「久方振りに見た――愚直な馬鹿を」



 度々と言う程度には珍しい――紫様が『惜しんだ』馬鹿と。



「まあ、男としては最悪の部類だ」

 ああ、奴が――否、彼が次に言う言葉が何であるのかが解る。
 もはや、丸暗記だ。方程式も必要ない。

「惚れた女を、必ず遺して逝ってしまうのだから――大概にも程が有る」



 ならば、と。



「なら、お前の名誉の為に、幾つか言う事が有る」
「ん~?」

 私はその『通過儀礼』を履行することにした。
 最初の何回目かに、自分で自分に、紫様の許しも無く、折檻されても取り消すことの無かった、
『誓い』という名の式だ。

「まず、これまでの時点で、紫様に狼藉を働いた回数が+5回。
 うち、紫様に素面で打ち棄てられたのが+2回。
 一月あたりの回数記録を、お前はそれだけ更新した」
「……いや、自分の馬鹿さ加減を数値化されると寧ろ傷付くんだが」
「まあ、最後まで聞け」


 ――二度か三度か。ここまで履行するのは。

「その内、割と最近の方で――紫様が無視を決め込まなかった連続回数を超え、
 さらに+1回、紫様が根負けした回数を更新した」
「……何?」

 ああ、驚いている。皆同じ様な顔をしていた。
 当たり前であろう。

「あれだけ馬鹿やってんのに、付き合ってるのか?あの人は」
「ああ――あの顔は、退屈だけは絶対にしていない顔だ」
「その証明は?」
「私が、今まで紫様の式として在る程度には、確からしい」

 ――ここまで、紫様に想われていると言うのは。

「喜べ――歴代の博麗の巫女以外で、これ程の快挙はそうそう無い」
「は……なんてこった、呑み過ぎか?幻聴か?」
「幻視ではあっても幻聴ではないな――ほれ、顔を拭け、杯が汚れる」


 彼等にとって、信じ難い幸いであるから。



「つまり……ゆかりんはツンデレってことでファイナルアンsへぐぅッ」
「む、隙間からタライとは新しい」

 今回は、紫様のお墨付きと言うことか。
 これは本当に珍しいことである。

「ぅおおおおおッ……他人事じゃねえぞテンコー。お前冬眠あけたら――」
「うむ――

 傘でビシバシでは留まらず、深弾幕結界対天狗没ver.確定だろうな。

 いやあ今度こそ終わりかな橙に遺言頼めるか参ったなこれはハハハヒャッ(゚∀゚)ホイハハハ」

「いや悪い全然嫌そうに見えないし壊れたようにも見えない」

「当たり前だ」

 だが、一つ、釘を刺しておく事にした。

「先の勘定には、私は入っていない――お前は一生第二位だ」
「なッ、何ぃいいいいッ!!?」



 ああ、これだけは、お前たちには断じて無いものだ。



















 ――私は、紫様を遺して去く事など断じて無い。
 ――私は、紫様が看取る事などは決して無い。

 ――私は常に紫様に寵愛され。
 ――私は常に紫様に想われ。
 ――私は常に紫様を支え。

 ――そして、私は失せても、紫様の重荷となることだけは無い。

 それが、私の主と云う、この世で最も不確定なものの、数少ない証明。
 定義は唯一つ――それが、式である私の存在証明であるから、だ。

 ――それは幸いだと、『彼等』に言われなくとも解っていること。
 だが、ほんの僅かに寂しい事だ。


 だから。

「よし○○。否――○○様」
「ぬおッ!?な、何だよ改まって」


 そのやり切れぬ思いを晴らす為、馬鹿をやる。


「手前勝手の上、身の程を弁えぬ事を覚悟の上でお願い申し上げます」

「この流れは……例えば――お前に化かされろ、ってか」
「は。その通り――夢に一つ、化かされて頂きます」
「ふーむ――内容を言ってみぃ、狐」
「は――」


 それが、私の不出来の証明であり――


「人と妖、相容れぬものが家を一つにする。
 ――そんな泡沫で御座います」

「は――茶番ではある」
「ですが茶番とは――茶を美味くする為のものであるのが本懐かと」
「さて、その茶番は誰の為に」

「無論、我が主の為」
「これ駄式。お前の主が何時言った?」
「私の中の主は、常に我が主と等しきと――そう打たれております」

 普段使われることの無い、『必要の無い』機能であり――

「主も出し抜くわけだ。事を損じた場合は」
「その場合は、私が糾されるのみ――貴方様に厄なす事は無きと」
「覚悟の上か」
「それは有りませぬ――私は、主の望むところを欲する式ですので。
 過ちもまた、主の欲するところであると」


 しかし、それは『自ら欲した』モノであり。


「さて――その茶番に付き合い、道化をやる俺の顔を、どう立てる」
「芝居といえど、為した事はこの耳に届くこと。故に――」


「紫様と夫婦になろうという不敵な輩。
 たとえ泡沫であろうとも、その縁在る限り、その言霊は我が主と等しく、私めに刻まれます。
 ――幕開けから幕引きまでは、何なりと」


 そして、紫様が、私から削除を諦めたものであり。


「ならば聞いておこう――お前の望みは何だ、傾国の九尾」


 しかし、私ごと放置を決め込んだものでもある。


「どうか――私の主を」





「その芝居の間――紫様を。
 ――私の『母』を、宜しくお願い致します」


 それは、私の『幸い』である。



「しかと、承った。高き天の狐、八雲立つ処に従えられし狐」
「まこと、有難き事と――」


 だから、どうか。

「さて、藍。芝居の始めに――堅苦しい話は抜きにして、言う事が在る」
「――何だ、言ってみろ馬鹿者」

 どうか。無理だとは解っているが。

「俺の頭と口がマトモなうちに行っておく」
「……当分はまともではないのか?」
「この先の保証は微塵も無い――それくらい、人は脆い。
 だから――な」

 どうか。どうか。どうか――

「芝居の先の、紫の事は頼むよ」
「ああ。わかっている゛――っ」


 芝居の最初で、ネタ晴らしをするのは、止めて欲しい。


「こーら、何泣いてるんだ幻想郷三美人」
「な゛、な゛い゛でなんが……ッ」

 余りに見飽きた三文芝居に――笑い泣きが、止まらないじゃあ無いか――















 追伸。
 後で思ったのだが。
 三美人とは私と誰らの事だ?
 『紫様は少々マニアックなので除外する』と、傘を付き込まれた顔で言っていたが。
 どうも昔の話にヒントが在るらしいが、はて。












 ――月日は巡り、再び神無月。
 何分、今日は事が事だ。こうやって続けた手記も、手が踊る。

 何故なら今日は――目出度き、宴席の日である。

 巫女は婚姻会場の場所代に陶酔を通り越してあわや昏睡と言う所だった。
 無理も無い。

 身内以外で、この夫婦の誕生をいたく祝福したのは、やはり幽々子嬢と伊吹の童子だろうか。
 他は程度・比率の差はあれど、怖いもの見たさ物珍しさで来ているものばかりだ。

 ただ、まっこと意外なのは、花妖怪と閻魔様からは、素直にご祝言を頂いたのみであった事だ。
 閻魔様はともかく、花妖怪のほうは裏がありありと慮れる為、不安だ。


 そうそう、是非とも書いて置かねばならない事があった。
 今回の式、和洋折衷で在ったのだが――。

 何と、花道にて紫様の引率を仕ったのは、何を隠そうこの私である。
 流石にこのような事は初体験。正直、ガッチガチに固まってしまった。なんとも情けない。

 ただ、角隠し越しに見た紫様の、幸せそうな表情は、きっかり脳裏に焼き付けさせて頂いた。
 あれはいいものだ。

 その後、珍しくあの男がリードして誓いの口づけまで行った。
 あの手馴れよう――後で探りを入れてみるものとしよう。



「さて、幽々子」
「あらー何かしら藍?紫に構ってもらえなくて寂しい?」
「いや――」


「紫さん、もう一回、もう一回言って頂けますか!?あいstほぐぅ」
「にゃ゛ーーーッ!!!?ゆゆ紫さまが新婚早々痴情の縺れで殺人をッ!!!?」
「紫、蓬莱人相手じゃ在るまいし、傘で鳩尾地獄突きは無いわ」
「ふふふ心配要らないわよ霊夢――この色ボケ旦那のギャグとシリアスの境界は弄ったから」
「ふっふっふふふぐぅそうですよ霊夢さごぶフッ敢えて言うならエロスを追k」
「はい正中線三段ー」
「し、しかもエリアル始動!!?」
「霊夢、今私達は、史上稀に見るマイルドな殺人現場に遭遇してると思う」
「大丈夫、平行世界での他の女どもの相方の方がエグイ目にあっていると思うから。
 ――近いのは多分輝夜とか幽香とかアリスとか」
「「「勝手なことを空想で抜かすなぁッ!?」」」


「……巻き込まれるのは確かに御免ですよね」
「妖夢、解かってくれるか」
「よくもまあ描写無しで固体識別が出来るものね?――新手の概念条文?」
「条文という仕組み自体は幻想となったから解からんでもないな。さて幽々子」
「はいはい、多分結果は解かっているけど――高くつくわよ?」
「あの夫婦の今後の痴情について――これでどうか」

 何故に、このような不穏な交渉を行っているのかと言うと、だ。

「まあ、調べさせる為に妖夢が全身全霊になっちゃったら困るものね。
 いいわ、引き受けてあげる」
「幽々子様。私に何をさせるつもりだったのですか」

 単刀直入に云えば、先の確認事項と。

「でもいいの?――誘っちゃって」
「貴女の方こそ良いのか?喧嘩になるかも知れんぞ」
「あ、大丈夫。それだけはないから」

 ちょっとした悪戯心だ。



「む」
「あら、どうしたの○○?とうとうお迎えが来た?」
「そうかもしれません――が、どうしてだろ」
「何よ?」
「御迎えにしちゃ穏便かなと。――黒い蝶なんて」



 次の瞬間、○○の頭に停まっていた黒蝶は木っ端微塵となり、
 ほぼ同タイミングで、

「いってきま~……」
「ゆ、幽々子様ぁッ!!?」

 ひゅるるるる……と擬音付きで幽々子が『落ちて行った』。

「……はッ、い、今俺は何を」
「○○」
「え、あ!紫さ――んッ!?」

 そして、知らぬ間に三途を渡りかけて引き戻された花婿には。


「――ん」
「「「「おおー………」」」」


 最大限のイチャ付きを衆人環視で行われるという、特上の責め苦が待っていた。


「――あの、紫さん」
「駄目よ?他のひとの誘惑に乗っては――泣いちゃうわよ?」
「あー……済みません」
「誰の為に朝方も起きていると思っているのかしら」
「俺の為です、はい。以後気をつけます」

 よろしい、と頬に口付けたところで、

「た、ただひまぁ~……」
「ぅ゛わ゛ぁーーーーーーーーーーーー!!!?幽々子様ーーー!?」

 ずるり。と擬音付きでボロ雑巾の様になった幽々子が『降りて来た』。
 しかも逆さ釣り。正にホラー。

「まあ、罷りなりにも、友人だし。
 幽々子は解かっててやったわけだし――主犯が別に居るようだから。
『比較的』穏便に済ませておいたわ」


 そして我が主は、周囲に笑顔を振りまき、

「皆さんも、他人の油揚げを取り上げるような味汚い真似はしないようにしましょーね?
 ゆかりんからの お ね が い ミ☆」


 見事な茶目っ気溢れる、この上なく効果的な恫喝。ちなみにウィンク付。
 確か、私の祖国の兵法にもあったなぁそんなの。
 会場全員が押し黙り、嫌な汗を撒き散らしながら首を縦に何度も振った。



 だが、さり気無く後ろ手にカメラを引っ込めた不届き者が居たので、
 仙孤思念でカメラを爆破しておいた。



 天狗の悲鳴を他所に、私が『イェア』と主にサムズアップを送ると、我が主は
 小鬼にヘッドロックを掛けながら『イェア』と同じポーズを返した。

 両手で○○を首っ丈にしているのにどうやってサムズアップとヘッドロック出来るのか、
 という問いは却下だ。
 解かってて言っているだろう?あの八雲紫だぞ?


 ともあれ、以心伝心。これで主犯云々の件は、不問に終わりそうだ。


 そして私は、視線をとある馬鹿者に移す。
 私の主に首っ丈で抱き着かれ、赤面している束の間の若旦那に、だ。



 ――精々、あと五、六十だ。それまで精々そのポジションを楽しんでおくが良い。と。



 この腑抜けた『義父』に、果たして通じたかどうか。
 多分、通じていないのだろうな。と思いつつ、今日は筆を置く。


 ああ、あと数十年の大芝居。
 リアルタイムで続く、連続家族ドラマが、また一シリーズ始まるのだ

 本当に――シリーズ監督は忙しい。








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 件名:依頼の品

 宛先:西行寺幽々子 送り主:八雲 藍


 ・先日は苦労を掛けた。
 で、これが依頼の品だ、同封するので納めてくれ。


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アイテムを取り出しますか?

「成功率は75%です。
 この手のアイテムの製造には、結構自信が在るんですよ」

ニア はい
   いいえ

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6スレ目>>169


ここで一行告白
ゆかりん結婚s(スキマ

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6スレ目>>196


最近、紫は藍と一緒に夜に出かける。
そして決まって明け方、ぼろぼろになって帰ってくる。
今夜も、それはそれは痛々しい姿となって帰ってきた。
出掛けに『今夜こそ宴会の準備をして待っているように』と言われてたが、
今夜も救急セットの用意をしていた俺の判断が正しかったようだ。

橙は藍を、俺は紫を、それぞれ手当てしている。
(じわぁ…)
紫「痛いぃぃ!しみるわ!もっと優しくやってよ。・゚・(ノД`)・゚・。」
俺「はいはい…」
紫は使わなかった符をどっさりと持ち帰っていた。
それでこの負けっぷりはつまり…
俺「…抱え落ち…(ぼそ)」
紫「うるさいわね!ヽ(`Д´)ノ」
(ぽかぽかっ!)
俺「痛、痛い!」
紫「私にだって痛くしたでしょ!仕返しよ!ヽ(`Д´)ノ」
(ぽかぽかっ!)
…ま、元気そうだからいいか…
俺「紫…」
紫「な、なによ…改まって?」
俺「おかえりなさい。紫が無事でよかった…」
俺は心の底からそう思った。
(じゅう・・・)←湯気音
紫はらしくなく、顔を赤らめて硬直する。
紫「ず、ずるいわよ…そんな直球。怒れないじゃない…」
大切な人が、出るたび怪我をして帰ってくる。それを待つのは気が気じゃない。
もしかして今夜は命にかかわる大怪我をするんじゃないか、と…
なぜ俺は藍のように紫の力となって、付いて行ってやれないんだ、と
そんな気持ちを馳せて待つことしかできないのだ。
俺「やめて、っていってもまた行くんだろうから言わないけど…
  あんまり無茶をしないでね…」
紫「わ、判ったわよ…」
願わくば中の人よ、もう少し上手くなって、紫を無事に帰してくれよ…

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最終更新:2010年05月21日 06:52