紫9
うpろだ361
遠野物語をご存知だろうか。
遠野物語の奇談の中には「マヨヒガ」と言うものがある。
そこは基本的に無人で、多くの家畜がおり、座敷には豪華な食器があるだけの屋敷であると言われている。
登場人物は基本的にマヨヒガに辿り着いても、そのまま一休みしてから帰る事が多い。
だが幻想郷のマヨヒガは、辿り着いてしまえば二度と帰る事は叶わない。
それはその屋敷の主人の食料となってしまうからだ。
屋敷の主人は人ではなく遥かな昔より存在する大妖怪であり、冬になるとまるで熊か何かのように冬眠する習性がある。
だが長期間の休眠状態にはそれ相応のエネルギーが必要になる。
そこで、その妖怪は冬眠の前に人を喰らうのである。
ゆえに幻想郷のマヨヒガは、迷い込んだが最後二度と元の世界には帰れなくなるのだ。
「・・・・・・ここでの生活にも随分慣れたもんだ」
そう、俺もここに来てかなりの時間が経過している。
本当ならばいつ例の妖怪に喰われるか怯えていてもおかしくはないのだが、俺にはそのような恐怖心は全く無い。
なぜならば・・・
「・・・俺は“彼女”を愛しているからな」
あろう事か俺はその妖怪を心から愛しているからだ。
無論“彼女”の従者である子達をも含めて。
「あーあ、愛は人を狂わせるってのは本当だったんだな」
そう、俺もまた意味は違えども帰れなくなってしまったのだ。
それはただ“愛”ゆえに。
もっともその事が悲しいとは思わないし、「狂っている」と言われても構わない。
俺にとっては今あるこの日常が何よりも大事な事なのだから。
マヨヒガでの生活は現実世界にいた頃よりも案外楽だ。
俺はただの人間でしかないので人里へお使いに行ったり、屋敷の掃除や家事手伝いをするぐらいしか仕事が無い。
よって、よほどの事が無い限りは予定が空いている。
今日もやはり特にする事が無いので、縁側でお茶を飲みながらぼんやりとしていた。
「○○~!!」
けたたましい音を立てながら橙がやって来た。
「どうしたんだい、橙?」
手に持った湯飲みを脇によけて訊く。
「弾幕ごっこしよう!!」
「え゛・・・」
にこにこと太陽の様な笑顔を浮かべて橙が言ってくるが、逆に俺はその言葉に凍りついた。
「ねぇねぇ、やろうよ~~」
「い、いや、え~っと・・・・・・」
彼女はじゃれ合いのつもりで言っているのだろうが、人間である俺にとってはじゃれ合いのレベルでは済まない。
そもそも俺は空を飛ぶ事も弾幕を放つ事も出来ないのだから、はっきり言って一種のリンチである。
「ねぇ~、遊ぼうよ○○~~」
唐突に彼女は俺の膝の上でゴロゴロと転がり始めた。
元が化け猫であり、人化していても頭頂部に猫の耳があるのでこの仕草は非常にマッチしている。
「・・・・・・」
「うにゃ~~♪」
試しに頭を撫でてやると猫そのものの声で橙が鳴いた。
どうやら喜んでいるらしい。
「・・・・・・」
「うにゃ~ん♪」
「・・・・・・ふふ」
「うな~・・・ゴロゴロ」
猫にするよう撫でていると、それに応じて橙も反応する。
どうやらすでに弾幕ごっこの事についてはどうでもよくなったらしい。
「・・・可愛いなぁ、橙は」
無邪気にじゃれてくる彼女に、思わず俺はこぼしていた。
その言葉を聴いて橙は一瞬だけ驚いたような顔をしたが、すぐに再び膝の上で転がり始めた。
「それそれ」
「うにゃにゃ~ん♪」
心なしさっきよりも嬉しそうにじゃれてくる橙を微笑ましく思いながら、俺は昼ご飯まで彼女の事を撫でていた。
ちなみに、昼を知らせにきてくれた藍さんにブッ飛ばされたのはまた別のお話だ。
「それじゃ、今日もお願いします」
「ああ、それでは始めようか」
昼食(蕎麦だったのだが油揚げが無かった)を終えてから、藍さんと向かい合って座る。
卓袱台の上には様々なジャンルの本が並べられている。
「さて、今日はどうする?」
「そうですね・・・ 今日はこれなんてどうでしょうか?」
「ほう、なるほど。 最近めっきりやらなくなったからな丁度良い機会かも知れないな」
「藍さんこれ好きですよね」
「ああ、ここだけの話だが私は特にこれが好きでな。 内心、いつ来るか楽しみにしていたんだよ」
「そうですか、ならこれにしましょう」
ちなみに橙はいない。
彼女は今外に遊びに行っている。
仮にいたとしても、きっとこの手のものはまだ早いと思うから外へ行って貰うと思うが。
「しかしこの“シュレーディンガーの波動関数”はいつ見ても面白い」
・・・今もしかして卑猥な想像をした方いました?
だとしたら残念ながらそれは無いよ。
何せ卓袱台の上の本も、ただの参考書の山だから。
「俺には何が面白いのかさっぱり分かりませんよ」
彼女は数字、早い話が数学関係に強いので面白みを感じるのだろうが、俺はそっち方面の人間では無いので理解できない。
「ふふ、その面白さを教えてやる為に私がいるのだぞ?」
「そうでしたね」
ただ単純にマヨヒガでのんびりしていると、徐々に知識が無くなってしまうのではないかと思った俺は、危機感からこうして藍さんなどを頼りにして勉強を続けているのだ。
「さて、まずは粒子が時刻・・・」
「ふむ・・・・・・」
かくして二人だけの勉強会は始まった。
この勉強会は基本的に藍さんが教師役を勤め、俺が生徒役というスタンスになっている。
それから毎日やっている訳ではなく、藍さんが仕事を終えてしまっている時ぐらいしかやっていない。
無論、彼女は本来かなり多忙の身であるので正直気が引けてしまうので、それを言ったら、
「ははは、心配してくれるのか。 優しいな○○は。 だが安心しろ、私なら平気だ」
とか言って笑われた。
でも実際あんまり安心していない。
何せ以前彼女の部屋の前を通ったら、何かすすり泣く様な声が聴こえてきたのだから。
(・・・実に心配だ)
何か彼女その内鬱にでもなるんではないだろうか。
確か数日前にも“彼女”に無理難題を押し付けられていたし。
そう思うと、目の前で嬉々として数式の説明をしている女性の事を不安に思ってきてしまう。
「あの、藍さん」
「何だ、○○? 解らない所でもあったのか?」
「い、いやそうでは無いんですが」
言ってみたものの、何と言って切り出せば良いのか悩む。
「どうしたんだ?」
黙りこくった俺を訝しがる様に藍さんが問うてきた。
こうなれば言ってしまうしかない。
「あ、あのですね藍さん!」
「な、ななな何だ!?」
勢い余って乗り出してしまった。
流石に彼女もたじろいだらしく、心なし身体を後の方へと倒している。
「ど、どうしたんだ○○。 そんなに意気込んで・・・」
何故だか頬を染めて、俯き加減で藍さん。
いつものキリッとした様子が一転、年頃の娘のような様子に変わってしまう。
非常にぐっと来るものがあるが、そこは何とか抑えて俺は言葉を口にした。
「・・・藍さん、ストレス溜まっていませんか?」
俺の言葉を最後に、無音の空間が生まれる。
藍さんは俺の言葉を受けてポカンとした表情でこちらを見つめていた。
あれ、もしかして俺はおかしな事でも言ったのだろうか。
「・・・何だそんな事か。 全く驚かせてくれるな」
硬直が解けて、彼女は苦笑した。
「全く○○は心配性だな。 前にも言ったが私は大丈夫だよ」
「嘘ですね」
幾分声のトーンを落として言う。
そもそもストレス性の疾病と言うものは本人がストレスを溜め込む事で生じる事が多いのだ。
表面上繕ってはいるが、このままではいつか破綻してしまうのは目に見えている。
俺にとってそれが何よりの気掛かりだった。
「この前だって自分の部屋ですすり泣いていたでしょう」
「っ!?」
俺の言った事が核心に触れたのか、藍さんは目を剥いた。
「お、お前何故それを知っている!?」
「偶然ですよ。 夜、トイレに行った帰りにね」
「な、なななな・・・・・・!!!」
唐突に彼女の顔がボンッと音を立てそうな勢いで赤くなった。
「どうしたんですか、藍さん?」
“日頃のストレスで泣く”ってそんなに恥ずかしいだろうか。
それとも彼女にとって「泣いた」と言う事実が恥ずかしい事だったのだろうか。
「お、おおお・・・」
「お?」
壊れた機械のように繰り返す藍さんに、ついつい合わせてしまう。
が、ふいに彼女は顔を上げたかと思うと、
「お前と言う奴はぁーーーーーーーーーー!!!!!!!!!」
「え? う、うわあああぁぁぁぁぁあああーーーーーー!!!!??」
物凄い勢いで飛び掛ってきた。
(少女撲殺中…)
「すまないっ!!」
「いや、良いんですよ・・・」
10分後、ようやく開放された俺の顔はもはや原型を留めていなかった。
痣、切り傷、腫れ、その他様々。
幸い歯とかは無くなっていないのだが、それにしたってやはり痛いものは痛い。
「本当にすまない!! 私とした事がついつい我を見失ってしまった!」
「ははは、良いですよ。 誰にでもある事でしょう?」
「し、しかし!」
律儀に謝り続ける彼女に思わず苦笑してしまう。
「・・・顔を上げてくださいよ。 そもそもは俺が妙な事を言ったのが発端なんですから」
ちなみに「何故取り乱したんですか?」と問うても、彼女は真っ赤になるだけで答えくれなかった。
「だ、だが私はお前の好意を無碍にしてしまったんだ! 私は、私の事が許せない・・・」
それは自責の念。
やれやれ、真面目な上に心優しいとはなかなか彼女も損な気質だ。
だから俺は提案する。
「ならば、俺に何かやらせて下さい」
「は?」
「ですから、藍さんが喜ぶような事を俺にやらせて下さい」
藍さんは一瞬フリーズした後、意味を理解したのか、
「な、何を言っているんだお前は! 何でお前が私の為に何かをするんだ!! 私はお前を害してしまったんだぞ!?」
と怒鳴り声を上げた。
でもこちらも負けずと返す。
「そもそも俺は好意で日頃疲れている貴女の為に何かしてあげたいと思っていたんですよ。 ならばそれを大人しく受けてもらうのが一番良い罰になると思いますが?」
「う、むむむ・・・」
「ね?」
しばらく唸り声を上げていたがやがて彼女も納得したらしく、
「なら・・・ その、頼む」
少しだけ恥ずかしそうにそう言った。
夕飯を終えた後、俺は縁側に腰掛けて夜風に当っていた。
「やっぱり藍さんは相当疲れていたみたいだな」
結局彼女が俺に所望したのはマッサージだった。
日頃から肉体労働(精神労働も)の絶えない彼女の肩は、女性の物とは思えない程に凝っていた。
「まさか母に教え込まれたものが役立つ時が来るとは思わなかった」
俺は幼少期から親は何かとマッサージなどを教え込まれた。
いらない知識だと思っていたのだが、この様な形で実践する日が来るとは思わなかった。
内心、少し親に感謝している。
「少しは楽になったのなら良いけど・・・」
所詮は素人のマッサージだ。
専門家のそれに比べたら、どれほど効能があるか分からない。
それでも藍さんは始終心地良さそうにしていてくれた。
「・・・全く良く出来た人だ」
本当ならばそんなに心地良いものでも無かっただろうに。
仕舞いには「またやってくれるか?」なんて訊いてくる始末だ。
まるで立場が逆だな、とか思った。
まぁ、とりあえず「いつでもどうぞ」と答えておいたのだけど。
「やれやれ・・・ 俺って役立たずだな」
小さく溜息を吐く。
実際、人間である俺に出来る事は少ない。
“彼女”は「そんな事は無い」と言ってくれるが、そもそも俺がやっている(らしい)事は実感出来るものでは無い事が多い。
「認知出来ないものは存在しないに等しいからなぁ」
例えば身体的な変化(背が伸びる等)だって、他人に指摘されて初めて気が付くだろう。
要はそれと同じ事。
“役立っている”と言う実感がなければ、その人間は自分が何かの役に立っているとは思えないのだ。
「・・・頑張ろう」
仮にも俺は“彼女”に見初められた男だ。
いつまでも“頼りない人間”ではいられない。
夜空の星の下で、俺は小さく呟いた。
「何を頑張るのかしら?」
横からふいに人の気配が現れ、声がした。
「・・・色々ですね」
視線を向けずに言う。
軽い音がした後、気配の主は俺の隣に腰掛けた。
「もう、あんまり根を詰めちゃ駄目よ?」
俺の最愛の“彼女”、
八雲 紫はそう言って微笑んだ。
「いえいえ、貴方の“恋人”である以上はもっと頼れる男にならないといけませんからね」
「あら、頼もしい」
むん、と大して無い力こぶを作って言うと、彼女はクスクスと可笑しそうに笑った。
「でも、私は今の貴方でも十分だと思うわよ?」
「そんな事は無いでしょう」
「そうかしら?」
ふいに彼女の笑顔の種類が変わった。
「貴方・・・ 今日も橙や藍と仲良くしていたわよね?」
よく見る胡散臭い笑顔だ。
しかし迫力がいつもより5割増しぐらいになっている気がする。
というか、何で昼間の事を知っているんだ?
「え、いや、それはですね・・・」
言い訳が全く思いつかない。
そもそも今更反論しても、むしろ「はい、そうです」と言っているのと同じだ。
「・・・・・・・・・・・・」
俺が反論しないのを見て、紫さんの笑顔が徐々に不機嫌そうな顔になっていく。
と、彼女は急に腕を伸ばし、
「い、いひゃいでふよ、ゆはひひゃん!!」
俺の頬をグイグイと引っ張り始めた。
当然俺は抗議の声を上げたが、彼女は許す訳もない。
「当然の罰ですわ」
とだけ言って、俺の頬を引っ張り続ける。
内心そのむくれた表情が可愛い、とか思っていたりするのだが、そんな事を言う余裕は俺には無い。
結局それから大体5分くらいの間、俺は彼女の好きなようにされてからようやく解放された。
「い、痛い・・・」
「当然よ、痛くしたんですもの」
ヒリヒリとした頬をさすりながら言うのへ、紫さんがピシャリと言う。
「うう・・・すいません」
言い訳なんて出来るはずもないので、俺は誠意を込めて謝罪する事にした。
「・・・・・・つーん」
ツイッと顔を背けられる。
これは、可愛らしいと思う反面非常にショッキングだ。
ちなみにこう言ったやり取りは、彼女の“恋人”となった日から結構な頻度起こっている。
どうも彼女は俺が橙や藍さんと仲良くしているのが気に入らないらしい。
「むむ・・・困ったな」
しかしここまでへそを曲げられたのは初めてだ。
普段はただ必死に真摯な態度で謝罪すれば許してくれるのだが、どうやら今回はそれでは済みそうにない。
「本当にすいませんでしたっ!!!」
もうこうなればなりふり構っていられないので、縁側に頭を擦り付ける勢いで土下座してみる。
「・・・・・・・・・」
チラリと上目遣いで様子を窺うと、横目でではあるが彼女が目を丸くしているのが見えた。
しかしまだ彼女の唇から「許す」と言う言葉は出てこない。
さて、どうしたものか。
(・・・そうだ)
妙案と言えるかは分からないが、この策ならば現状を打開する事が出来るかも知れない。
ただこの方法は後の事を考えると、ある意味では諸刃の剣であると言える。
早い話が引かれたら終わりだからだ。
だがこのまま土下座を繰り返すだけは埒が明かないだろう。
ならばリスクを負う事になってもやる価値はあるのではないだろうか。
(イチかバチか・・・ やってみようか)
ゆっくりと、出来るだけ音を消して紫さんの背後に回り込む。
・・・今だ。
「紫さん・・・」
「な!!」
そっと少し押すようにして彼女の身体を背後から抱きしめて、
「紫さん、許してくれませんか?」
わざと耳元で囁くように許しを請う。
「ちょ、ちょっと・・・!」
拘束から逃れようと身をよじるが、俺は上から覆いかぶさる様に抱きついているのでそう易々とは抜け出せない。
風呂上りだったのだろうか、シャンプーの甘い香りが俺の鼻腔をくすぐった。
その香りに酔いしれて、俺は一層彼女を抱く力を強くした。
「ん・・・もう、○○ったら・・・・・・」
そのまましばらくそうしていると、徐々に彼女の抵抗も弱くなって行った。
「・・・許してくれませんか、俺の大切な紫さん」
頬を擦り合わせる様にして再び許しを請う。
「卑怯ね、○○は・・・ そんな風に言われたら許すしか無いじゃないの」
でも一つ条件があるわ、と彼女は続けた。
「紫って呼んで」
「え?」
「だから、私の事を紫って呼んで頂戴」
期待するような眼差しでリクエストしてくる。
そう言えば、よくよく考えると“恋人”になってからも彼女の事を呼び捨てた記憶は無かった。
多分、それは彼女に対する一種の敬意の様なものだったのだと思う。
でも彼女にしてみれば“恋人”にそんな感情を持って接されるのはあまり嬉しいものではなかったのだろう。
ならば、俺は彼女の願いに答える。
「紫・・・これで良いかな?」
「ええ、それで良いわ」
純粋に嬉しそうな彼女の笑顔を見て、俺もついつい釣られて微笑んでしまう。
「ね、もっと私を呼んで」
クルリと身体の向きを180°回転させ、向き合うような体勢になってねだって来た。
勿論、答えない理由なんて無い。
「紫・・・」
「○○・・・」
名前を呼び合って見つめ合う。
まさに王道的な恋人同士の空間が発生した様な気がする。
それが何となくこそばゆく感じた俺は、ちょっとした悪戯を試みる事にした。
「・・・愛してるよ、紫」
と、イケメンボイス(某領主風)で囁いてみる。
「・・・・・・・・・」
瞬間、紫の表情が硬直した。
そして徐々に瞳が妖しく揺れ始める。
・・・あ、しまった!
「ああ、もう我慢ならないわ!! さぁ○○、二人で楽園に逝きましょう?」
「ちょ、おまっ!!! 字がおかしいですって!」
「うふふ・・・大丈夫よ、優しくしてあげるから♪」
「や、止めてーーーー!!!!」
「逃がさないわよ♪」
(少年少女奮闘中…)
十数分後、俺達は互いに縁側に仰向けに倒れていた。
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・お、俺を殺す気ですか」
何の準備運動も無しに1000m走でもやらされた様に俺は全身から汗をかいていた。
「・・・もう、つれないんだから」
対して彼女は俺と同じ様に縁側に転がっているが、殆ど息が上がっていない。
「藍も橙もとっくに眠っているのだから、ナニをしたって良いじゃない」
「か、勘弁して下さいよ・・・」
今また字がおかしかった様な気がする。
でもツッコミを入れるとそれを逆手に取られそうなので止めておく。
「○○」
ふいに彼女の顔がアップになった。
おそらくはスキマを使って、俺の上に転移したんだろう。
腹の上に感じる彼女の重みが心地良い。
「愛しているわ」
言葉と同時に、そっと唇を奪われた。
微かに触れる程度のフレンチキス。
それはまるで麻薬か何かのように脳髄を甘く蕩かしていく。
「紫・・・」
「○○・・・ん」
どちらからとも無く再び口付け。
今度は先程よりも長く、深く。
互いの想いを確かめ合うかのように。
「っはぁ・・・・・・ねぇ、○○」
「ん?」
永遠の様な刹那の後、俺の上に跨ったまま頬を染めて彼女が言った。
「・・・そろそろ良いかしら?」
「・・・ん、分かった」
夜は更けていく。
恋人たちは今宵もきっと幸せな夢を見るだろう。
どうか、どうか二人の穏やかな幸せが末長く続きますように。
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うpろだ383
吾輩は罪袋である
名前は知らない
年齢も、血液型も、自分の顔も知らない。
「ゆかゆか~ゆかりん~~ゆかりんゆかゆか~♪」
今日も今日とて、吾輩はゆかりんをつけ狙う。
「ゆかりん~♪……ゆか?」
クンクン……
おおぅっ! 吾輩のゆかりんレーダーに反応がっ!
匂う……匂う匂う匂うぞッ!
胸一杯に吸い込まれる浄土宗……否、少女臭。
方向は12時方向、距離は約3km。
――――ん?
匂いの位置が変わった……スキマで飛んだか?
今度は3時方向で距離2km。
そのまま、吾輩の方向へまっすぐ近づいてくる。
「―――― スキマで移動しながら近づいても、気付かれてしまうみたいねぇ」
「かっわいいよ、かっわいいよ ゆ~かり~んり~~ん~~♪」
袋で目の前は見えないが、バットを構えた姿も美しい。
「今日こそ、殺してあげるわ……」
殺意を込めてバットを両手で握るゆかりん。
うぉぅ、これやばくね?
「今日と言う今日は永遠に私に付きまとえなくしてあげる!!」
一度、ゆかりんの式に「お前は、何故紫様をつけ狙うんだ?」聴かれたことがある
理由は無い
是非も無い
愛でもなく、憎しみでもなく、嫌悪でもなく――――
ただ、在るがままに此処に在り、在るがままにゆかりんを追い
在るがままにゆかりんから逃げ惑い、在るがままにゆかりんに折檻される。
そこに愛だの恋だの陳腐な感情などいらんのです!
偉い人にはそれがわからんのです!
「待ちなさ―――――い!!」
ゆかりんが走って追いかけてくる。
楽しい……楽しい楽しい楽しい~♪
追って追われて、折檻されて――――
「きゃっ!!」
可愛らしい声が響く……ちょっと待ちたまへ、今の可愛らしい悲鳴はゆかりんかッ?
「いたた……」
急ブレーキをかけて背後を振り返ると、ゆかりんが鼻を押さえていた。
どうやら、木の根っこに足を取られてすっ転んだらしい。
GJ!! 初めて見るゆかりんのドジっ子属性もGJだッ!!
いあ、それよりもスカートが肌蹴られていて白い下着とガーターベルトが――――
「――――きゃあっ!!」
吾輩の視線に気づいたゆかりんは、慌てて、スカートを抑える。
「~~~~ッ!」
怒りと恥じらいにより、一瞬で頬を赤く染めて
近くに転がっていたバットをスキマで手繰り寄せて
「飛んでいきなさ――――いっ!!!」
カッキ――――――ン!!!
「お~ぱ~○~つ、見えてるよ~!!」
おおぅ、これ大気圏脱出できるんじゃね?
生身で大気圏脱出ってすごくね?
って、いつの間にか大気圏脱出したよ俺SUGEEEEEEEEEEE!!
あれ? ……なんか太陽が近づいてきてる
そうかー、このまま太陽に突入して燃え尽きるのかー
熱いなあ、地球が遠くなっていくな……萌えていくなぁ……
「 か わ い い よ ~ ゆ か り ん ! ! か わ い ~ い よ ~~~♪」
でも吾輩は死ぬことは無い。
いろいろ手を尽くして、明日には幻想郷に戻れるだろう。
あぁいる びぃぃー ばぁぁーーーーっく!!
……吾輩は罪袋である。
名前はいらない。
・
・
・
―――― 一方、博麗神社の境内では霊夢と藍と橙がお茶を啜りながら
「以前、あの罪袋に『お前は、何故紫様をつけ狙うんだ?』って聞いたら……
『お前は、何故 自分が此処にいるか 考えたことはあるか?』……って返されてな」
「何それ、どういうこと? 」
「あの罪袋にとっては、紫様に付きまとうのは愛じゃなくて……
自分が存在すること=紫様を追いかけ追い回され折檻される……と言うことだろうな」
「難儀ねぇ……紫もあの変態も」
「紫様おっしゃってましたねぇ……『あの罪袋が相手だと自分のペースが狂わされる。あんな不条理な生物は見たことない』……って」
「そうだなぁ……紫様のスキマで異次元にすっ飛ばしても、次の日には必ず戻って来るしな……」
「どういう生き物なのよ……」
「最近では紫様、逃げるの諦めて自分からあの罪袋を叩きのめしに向かわれてるんです……」
「でも、心底気持ち悪がられている反面、妙にノリノリでバット持って出かけられるんだよな……」
「…………」
end
ちなみに、罪袋=○○ ねー
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うpろだ405
「ちょっと待てー!?俺が一体何をしたー!?」
「問答無用!!」
チュドーン!!
「ウボァ~~!」
先ほどから馬鹿騒ぎをしているのは私の主、八雲 紫様とその恋人○○である
恋人なのに上のようにバイオレンスな関係なのはひとえに我が主紫様の所為である
妖怪の賢者とまで言われていてもこと恋愛関係には非常に初心だ
以前○○が不意打ちで紫様にキスをした時真っ赤になってテンパった紫様に
「高速の永久弾幕結界」で白玉庵まで吹き飛ばされたことは記憶に新しい
その後吹き飛んだ○○をみて赤い表情から青い表情になったときは不謹慎だが面白いと思ってしまった
ちなみに今回の騒ぎになった原因は……
~回想開始~
「ゆっかりー、おはよー!」
「ZZzz」
「紫ー、起きろー」 ゆさゆさ
「Zzz」
「ゆーかーりー!グッド、モーニーング!!」
「Zz、ん~もう少し寝かせてよ藍~…………………!!??」
ガバッ!
「○、○?」
「おそよう紫」
「…………もしかして見た?」
「もしかして寝顔のことか?それなら見たぞ、可愛い寝顔だった」
「ghs8bfD#gje!!??/////」
「ん?どした?顔、真っ赤だぞ」
「……の馬鹿」
「は?」
「○○の馬鹿ー!!!」
そして冒頭へ
~回想終了~
とまあ単純に紫様が○○に寝顔を見られたのが恥ずかしいから怒ったことだ
まったく紫様もいつまでたっても初心だな、他の者の恋をからかうのは好きなのに
自分の事になると奥手になる、そして恥ずかしがって○○に当たる
○○も災難だな
うむ、まだ続いてるな
「待ちなさい、○○!!」
「だが断る!!今待ったら死ぬ!」
「なら!」
紫奥儀「弾幕結界」
でた紫様の切り札「弾幕結界」逃げ道を防ぐように展開される弾幕には
○○ごときでは成す術もなく落とされてしまう
救急箱の準備と橙に頼んで薬師を呼んできてもらうか
「甘いぞ紫!!今までの俺と思うな!!」
「何をする気?」
反則「防弾結界」
○○がスペルカードを発動すると周囲に結界が貼られ弾幕がすべて消え去った
まさに反則だ
「な、なによこれ!?」
「これぞ俺の切り札の一つ「防弾結界」、発動すれば結果内の弾幕は全て消え去る!」
「それは反則よ○○」
「うるせー!日々弾幕に追われぼっこぼこに被弾する俺の気持ちも考えろ
紫に始まり魔理沙に
チルノ、雑魚妖精や毛玉にも撃たれボコボコにされ……
あれ?目からしょっぱい水が……なんだろうすごく悲しいや、うぅ!!」
漫画みたいな大粒の涙を流す○○、よっぽど悔しかったか……
というか毛玉にやられるって……
見れば紫様も物凄く気の毒そうな目で○○を見ている
「ま、○○だって頑張れば強くなれるわよ
現にこんなにすごいスペルカードを作ったじゃない
もっと頑張れば毛玉なんかすぐに倒せるわよ」
「でも俺接近戦が主体で弾幕なんて撃てないし
第一空、飛べない」
「で、でもスペルカードならそんなハンデなんて覆せるわよ
あるでしょ、攻撃用のスペルカード」
「あるにはあるけど効果がちょっと……」
「男は度胸、なんでも試してみるべきよ
変なところがあったら私も協力するから直せば良いじゃない」
「うーん、紫がそこまで言うならちょっとやってみるか
じゃあとりあえず結界貼ってくれ」
「分かったわ、壊すぐらいの気合でやりなさいよ
まあ無理だろうけど」
境符「四重結界」
「んじゃ、いくぞ!!」
そう言うと○○は拳を振りかぶりスペルカードを発動させた
鬼拳「一方通行」
ゴゥッ!!
○○の拳から撃ち出された拳大ほどの大きさしかないレーザーみたいなものは
真っ直ぐと紫様の方へ飛んでいった
速さは大したものだが紫様は事前に結界を貼っているから大丈夫だろう
ギリリッ パリィン!!
「!?紫、避けろ!!」
「くっ!!」
それは四重結界に当たると暫らく拮抗した後四重結界を破っりそのまま紫様に直撃しそうになった
しかし○○が結界が破られる前に避けるように警告した為
掠っただけで紫様は無事回避できた
一方通行は四重結界に当たったにも拘らずそのまま真っ直ぐ飛んでいった
別に真っ直ぐ飛ぶのは問題ないんだがただ私の位置に問題があった
図にするとこうなる
○○ 紫様 ――→ 私
↑
一方通行
紫様の後ろで観戦してた私は四重結界が破られたことに驚いて
紫様がとっさに避けた一方通行を避けきれずそのまま直撃を受けてしまった
その衝撃で気絶直前の意識が捕らえたものは
「紫!大丈夫か?」
「ええ、○○が早めに教えてくれたから掠っただけよ
それにしても結構な威力ね」
「スマン、俺の所為で紫に傷を……」
「文字通りかすり傷だから大丈夫よ」
「でも、紫の陶磁器の様な肌に傷をつけてしまった」
「も、もうほめても何もでないわよ////」
「紫、本当にすまない」
「だからもう謝らないでっていってるでしょ」
「俺の気がすまないんだよ」
「なら……だ、だだだだだだ抱きしめてくれない?////」
「それぐらいならいくらだってしてやるよ
なんならキスもどう?」
「だだだだ抱きしめるだけで十分よ!!」
「そっか、残念」
顔を真っ赤にしながら○○に抱きしめてもらう紫様と
紫様を抱きしめさりげなく紫様の髪の匂いを嗅ぐ○○の姿だった
……………………覚えてろ○○
そして目を覚ました私が見たものは真っ赤な顔をしながら私の枕元に座っている橙と
あの後何があったのか知らないがやけにイチャネチョしている二人の姿だった
その様子を見てもう大丈夫なんだなと思いもう一度意識を手放した
───────────────────────────────────────────────────────────
7スレ目>>745>>791
「…………………・・・○○…………○○……」
「ううぅん、何ですか紫様……。まだ眠いですよ…」
「そりゃあれだけハッスルすればね。うふふ、元気だったわね」
「もう精も根も尽き果てましたよ。あいたたた……腰どころか背中まで痛い…」
「うふふ。はい、お水。のど渇いてるでしょ?」
「ありがと……んっ…ちゅるっ……ぷはっ」
「まだ飲みたい?」
「どうして口移しで飲む必要があるんですか……」
>>745の続きを勝手に考えて書いてみた
反省はしているが後悔はしていない、若干紫の性格が違うかも
「紫様、お食事ここに置いておきますね」
襖の向こうから→「ええ、ありがとう藍、ほら○○ご飯よー」
同上 →「ちょ!?待て!紫一人で食べれるかr」
「藍様ー、ご飯持っていたんですよね?紫様と○○さんどうでしたー?」
「あ、ああ二人ともちゃんとご飯を食べてるよ」
「そっかー、でもなんで箸一つしか使わないんだろ?」
「き、きっと紫様が○○に『あーん』をしてあげているんだろう」
(○○の様子だと絶対口移しで食べさせられたんだろうな……)
「仲いいですね紫様と○○さん」
「恋人同士だからな」
(それにしたって四日間部屋に篭りっきりっていうのは……その、なんだ橙の教育に悪いよな、声も時々聞こえてくるし)
「でも今度は四人一緒に食べたいです」
「ああ、楽しみだなその時はご馳走を作るから橙も手伝ってくれるか?」
「はい!」
「などと言ってますけど、そろそろ出るか?橙も寂しがってるし……ってなんで泣くんだよ!?」
「グスッ…ヒック、だって……○○は私のこと嫌い?」
「嫌いじゃないって!愛してるから、な?泣くなよ」
「ええ、分かったわ、だからもう少しだけ……ね?」
「ああ、分かった、来いよ紫お前の全部、俺が受け止めてやるよ」
(……惚れた弱みだな、すまん橙、四人一緒にご飯食べるのはもう少し後になりそうだ)
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7スレ目>>796
藍の日記より。 ~乙女(?)の葡萄踏み~
@月*日。
紫様が台所に立っている。
最近御執心の○○に手料理を振舞おうと張り切っておられるようで、
そんな紫様からは少女臭がぷんぷんする。 それにしてもあれは…
紫「~♪」
藍「紫様、何をされるおつもりで?」
紫「今年はブドウの出来がよかったから、
きっと美味しいワインができるって聞いたのよ。」
藍「それで…そのブドウを人里から失敬してきたと?」
紫「それだけじゃないわ。私の手作りワインを造って、
ああしてこうして、○○をとろけさせてやるのよ♪」
藍「人里のお酒なんて、できあがったやつを失敬してくればいいじゃないですか。」
紫「いえいえ藍。男は女の手作り料理や贈り物に弱点属性持ってるものよ。
人間の女性は手料理ひとつで男の愛と恋の境界を操ってしまうのだから。」
そういうと紫様はたるの中にブドウをほいほいと詰め込んでいく。
ああ、まてよ?たしかブドウからワインを作る方法って…
ttp://allabout.co.jp/gourmet/wine/closeup/CU20051006A/
紫「さあ、できたわ♪ 藍、ちょっと味見してみない?」
藍「あ、頂きます。」
(ぐび…カシャーン!)
藍「ぐおぉ…」
私は…それを一口飲んだだけで倒れてしまった。
鼻を突く刺激臭、なんてレベルのものではない。視界が…歪む…
紫「あら、藍?あなたそんなにお酒に弱かったかしら?」
藍「い、いえ…その、紫様…ひとつお聞きしてもよろしいですか?」
紫「なぁに?」
藍「その…靴下は…」
紫「ああ、本当は脱ぐのよね。
種や枝が当たると痛いから履いたまま踏んじゃったけど…」
藍「ウボァ」
(バタッ!)
後日、人里でワインを調達して中身をすり替えておこう。
私は紫様の従者なればこそ、主が哀しむ結末を避ける義務があるのだから…
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7スレ目832-833
「ごはん…私のごはん…(ジュルリ)」→みんな
「貴女の為ならこの身体。喜んで貴女の血肉となりましょう」
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うpろだ541
ねえ、そこの貴方、私の言うことを聞いてくれたら助けてあげるけどどうする?
簡単なことよ、それはね……
ワイワイ ガヤガヤ
「おーい!酒が足りないよー!」
パクパクパクパク
「おいしいわね~、妖夢」
「幽々子様、他の人の分も残してくださいよ」
「……まったく騒ぎだけ騒いで後片付けしないで帰るのよね、こいつら」
「なんだよ霊夢、折角の宴会なのにため息なんてついて」
「後片付けのことを考えたら自然とため息が出てくるのよ
それより○○が来てるってことは……」
「ああ、紫様も藍も橙も一緒だよ
それより台所借りてもいいか?おでん作ってきたんだけど温め直そうと思ってさ」
「構わないけどおいしいの?」
「ああ、紫様御墨付きだぜ」
そういうと台所の方へ歩いていった
彼の名前は○○で紫の式だ
以前藍に聞いたのだがどうやらわざわざ外の世界から連れてきて式にしたそうだ
しかもご丁寧に特別な式をつけ水を被っても式が離れないと代物らしい
「でもなんだって紫は○○を式にしたのかしらね」
見た感じ○○は能力のない普通の人間だ霊力だって常人程度しかない
身体能力は優れているがそれはあくまで式として底上げされた能力で体術の方は素人同然だ
時々振舞ってくれる外のお菓子や料理はおいしいがそれなら外の料理人を式にするか藍に覚えさせた方がいいと思う
「なにか変な事考えてるんじゃないでしょうね」
「あら、知りたい?」
「!!??いきなり出てこないでよ」
「細かいことは気にしないの、それより知りたいんでしょ?
私が○○を式にした理由」
「まあね、あんただからどうせ碌でもない理由だろうけど」
「酷い言い草ねぇ、私が○○を式にした理由、それは○○の能力が関係あるわ」
「○○の能力?」
それはおかしい○○は能力なんかないはずだ
○○自身も自分は能力が無いと言ってた
「まだ完璧に発現したわけじゃないから分からなくても無理は無いわ」
「で?○○の能力があんたが○○を式にするのに何の関係があるわけ?」
「大有りよ、○○の能力はね「精神を攻撃する程度の能力」よ」
「その能力だとなにか問題があるの?」
「ええ、この能力は人間より妖怪に効果が高いわ
妖怪は肉体面では強いけど精神的なものに左右されやすいわ
つまり○○の能力は妖怪の天敵なのよ」
「成る程ね、だから○○が将来その能力を制御して妖怪の天敵になる前に自分の手元において監視しよう
と言う訳ね」
「そうよ」
でもそれなら殺してしまったほうが早い
それに○○もわざわざ式にされてまで幻想郷に来たいと思わないだろう
となると
「無理矢理○○を式にしたわけ?」
「人聞きが悪いわね、ちゃんと本人の同意の元よ
少し条件があったけど」
「条件?」
「ええ、○○には病気の妹がいてね、その妹の病気を治す代わりに私の式になったのよ」
「…………脅したの?」
「まさか、妹さんの病気は外の医学でも治らないほどの難病で
私が境界を弄るか竹林の薬師ぐらいじゃないと治せないほどの病気だったのよ」
「……まあいいわ、あんたが何を考えてるか知らないけど少なくとも幻想郷をどうこうしようって訳じゃなさそうだし」
そういうと霊夢は他の場所に去って行った
「でもね、霊夢、私が○○を式にしたのはもう一つ理由があるのよ」
私のあの能力を知っている、私が唯一愛した人が持ってた能力だ
そしてその能力を持ってる○○こそ私が愛した彼の魂が転生したものだ
彼が転生するのをどれだけ待ち焦がれただろう、彼に会えた時どれだけ私の魂は歓喜しただろう
絶対に離さない、その為にわざと○○の妹の境界を弄り病にし
特別製の式を○○に付けたのだ、あれは魂に定着して例え死んでも私の命がある限り私のものとに還って来る性質がある
「うふふふふ、もう離さないわ○○、もう少し経ったら、妖怪にしてあげるから
一緒に生きましょうねうふふふふ、あは、あはははははは!!!!」
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最終更新:2010年05月21日 23:00