紫17



うpろだ1484


「・・・ねぇ、私何か変かしら?」
最近彼が、おかしい
冬になってからは私のことを観察している気がする
新調した冬服は変だったかしら?もしかしたらクリスマスのサンタコスが悪かったのかしら
もしかして・・・そういうプレイなのか
「いや・・・なんでもないなんでもない」
怪しい、どっかの焼酎のcmみたいじゃないか
彼は私から目を逸らし、視線を外にやった
「・・・幻想郷は、雪が深いんだな」
彼がここに来たのはそういえば雪が溶けたころだったな、と思い出していた
彼にとって初めての冬なのか

「ねぇ藍、彼に何か言ったりした?」
藍は少し考え込むしぐさをとり
「そういえば、紫様、今年は冬眠なさらないんですね」
なんか冬眠するのが当たり前みたいに思われてる気がする
「冬はやることもなくて退屈だから寝てるだけよ・・・今年は彼も居るし」
まぁ燃費が悪い力のせいでもあるのだが
「紫様が冬眠なさらないんでしたら、彼のしている心配は無用ですね」
藍曰く、私が冬眠する事を彼に伝えたらば心配していたそうだ、そして私が冬眠している間の事を考えていたそうだ
「紫が寝ちまうなら、里にでも遊びに行こうかな」
と言ってたらしい

そういえば、彼を拾ってから
此処に縛り付けていたかもしれない
いや、実際そうなのだろう
別に特に制限はしていなかったし、束縛も制約も、なかったはずだ
けど、私がソレだとしたら?
「あ、紫ちょうど良かった、いま」
「・・・ねぇ、私は眠ったほうがいいのかしらね」
ちょっと意地悪になってたんだと思う
彼が里に行くのは、私にとっては不安だからだ
私が眠らないのは、彼と過ごしたいだけではない、不安なのだ
目が覚めたら彼は居なくて、私はまた
「今藍さんに聞いたけどさ、今年眠らないんだってな」
「・・・ええ」
「良かった、いつ眠っちゃうのかと心配してた・・・だってお前が居ないとさ、寂しいじゃんか」
彼は照れくさそうに笑った、なんか、馬鹿だ私は
「初詣とか、行きたいしな」
「ええ・・・そうね、楽しみにしておくわ・・・ねぇ」
私はちょいちょいと手招きした
「ん?なんd」
がばっと彼に抱きついた
やっぱり暖かいものだ、コタツのように、離れがたい暖かさだ
「ゆ、ゆゆ紫!?いかがなされた」
「・・・さて、大掃除は藍と橙にまかせて、年末のつまらない特番を見ましょう」
「いや、それはだめだと思う何だが・・・まぁ、少しだけなら」
いつもなら寝ている間に終わってしまう、過ぎてしまうそれも、彼との短い記憶の1ページに
「紫さん、離れてくれないと動き辛いっす」
「気が利かないわね、こういうときはお姫様抱っこに決まってるでしょ」
「初耳です」

「お茶入れてきます」
彼はそういってコタツから出て行った
「・・・ほんとに何もないわねぇ」
私は新聞のTV欄に目を向け、つぶやいた
さて、彼と見るにふさわしい番組はあるだろうか

「紫ー」
俺はお茶とお菓子を持ってコタツの部屋に戻ってきたのだが
「あれ、寝てる」
すうすうと可愛い寝息を立てて寝ている紫
茶をコタツの上において、彼女の肩に毛布をかけた
テレビからは音と映像が流れ続けていた
「さて、起きるまでなんか見てるかな」


「んぅ・・・っ!?」
一気に意識が覚醒した
眠ってしまったのか
「おう、びっくりした、おはよう」
「え、あ、おはよう・・・じゃなくて!」
いったいどれぐらい寝ていたのか、もしかしてもう
外はには雪
目の前のお盆には少し冷めたお茶が載っていた
「2時間ぐらいか、気持ちよさそうに寝てた」
「よかった・・・」
「もう春だとでも思った?寝ぼすけさんだな」
大きな安堵のため息
私の向かいには彼が
テレビを見て笑っている
「ねぇ、もし私がずっと眠ってしまったら・・・貴方はそうして待ってくれるかしら?」
彼は少し考える
そして
「断る、待ってるのはいやだ」
「え、あ・・・」
「安心しろ、あんまり長く寝てるようなら、ちゃんと起こしてやるから」
驚いた、心臓が止まるかと思った、でも、彼は
「すぐ起きろよ、起きないと何するかわからんぞ」
「ふふっ、そうね・・・頑張って起きるようにするわ」
「そうそう、その前に明日の大晦日を頑張って起きとかなきゃな」
初めて迎える彼との年越し、そして新しい年
また一年、彼と無事過ごすことができれば、いいな
そう思う私であった まる

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新ろだ185


突発的に、ふとあることを思いつく。
思い立ったが吉日。
うろうろと目的の人物を探して屋敷を徘徊する俺。
しかしまあ、闇雲に探しても見つからないもので。
「藍さま、紫の行方を知りませんかね」
「あー、紫さまなら博麗神社に。 今頃は温泉で呑んでるんじゃないかな」
「あー、こっからじゃ遠い上に温泉か」
そんな俺の様子を不思議に思ったのか、藍さまが問い掛けてくる。
「いや、気分による思い付きがありまして」
簡潔に内容を告げれば、
「成る程。 そういうことなら送っていこう」
微笑みと共に告げてくれた。

――博麗神社 温泉

個人的には、神社で待っているつもりだったのだけれども。
姿をみつけたらしい萃香に半ば無理矢理連れてこられたのだから仕方ない。
(どうも、雰囲気的に苦手なんだがねえ)
女性複数の中に男一人だから、無理もないのだろうが。
居心地が悪い。
しかし、紫は何処にいるのだろうか。
極力目立たぬように行動を開始する。
――ダンボールでもあれば良かったのだろうか。
そうして顎のあたりまで湯船に浸かりながら移動すれば、
「あら○○。 河童の真似事?」
背後からの声に反応して振り返れば、
「あらら」
顔が柔らかいものに当たる感覚。
「大胆ねえ」
ぎゅ、と。 優しく包むように抱かれる。
「それで? どうしてここにいて、誰を探していたのかしら」
喋りたいけど喋れません。 そして息が、息がっ。
俺の様子に気付いているのか、気付かないふりなのか。 全く気にかけていない。
胸で窒息死って末代までの恥だよなあ、いや末代は自分か。
その場合死因はなんだ。 胸か、胸による窒息死か。
墓には『胸大好き』とか彫られてしまうのだろうか。 どんだけ胸好きなんだよ自分。
あ、本格的に力が抜けて――
「ああ、ごめんなさい」
ギリギリで助かった。 にしてもギリギリ過ぎます。
「いや、ですね。 ちょっと突発的な思いつきがあったので」
「わざわざ温泉まで?」
「本当は待つつもりだったんだけどな。 無理矢理連れてこられた」
鬼には敵わん、と付け足して。
「災難だったわねえ」
「まあ、美味しい思いも出来たから――っと、本来の目的を忘れるところだった」
紫さまの手を取って、適当な大きさの岩まで移動する。
「何をするつもりなの」
「ま、本当に下らないこと、と笑われるような事さ」
岩に腰掛け、紫の髪を解いて。
「折角綺麗な髪なのに、あまり手入れしてる所を見なくてね」
「あらあら。 女は人知れず努力するものだというのに」
けれども、言葉にこもる感情は柔らかく。
「それに、湯船でするものでもないでしょうに」
「それもそうなんだけど。 ま、湯上りにもう一度ってことで」
くすくすと響く笑い声。
「そうね、でも――私としては、二人きりの時に、ね?」
ああ、まあ確かに。
少し人目を引きすぎるか。

その後、霊夢達になんだかんだとからかわれたのはお約束。

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最終更新:2010年05月22日 10:32