ミスティア1



1スレ目 >>5


「今夜は僕のためだけに歌ってくれないかな、みすちー」


1スレ目 >>759


 夜雀の歌が聞こえる。
「―――」
 それは実に騒がしい歌だった。
 聞いてて癒されることなど絶対にありえない、ハードなリズムと歌詞の歌。
 だから俺は目を覚ました。
「……」
 今は夜。夜というより真夜中。人間は寝る時間だ。
「安眠を妨害する奴はシメてもいいよな。死ぬほど」
 呟いて俺は外に飛び出す。
 そして歌の発生源を弾幕で追い払い、寝た。……あまり眠れなかった。


 夜雀の歌が聞こえる。
「―――」
 それは実に騒がしい歌だった。
 聞いてて癒されることなどまずありえない、ハードなリズムと歌詞の歌。
 だから俺は目を覚ました。
「またか……ッ!」
 俺は外に飛び出していき、歌の発生源を弾幕で追い払い、寝た。しかし―――
「―――」
 今日の夜雀はしつこかった。またこの近辺に舞い戻り、歌を歌い始めたのだ。
「……上等だよ」
 俺は外に飛び出していき、歌の発生源を弾幕で追い払い、寝た。
 だが、夜雀はまた舞い戻ってきて歌い始めた。俺は飛び出していき―――
 それの繰り返しは朝まで続いた。ほとんど眠れなかった。


 その日から、俺の夜は変わった。
 夜雀の歌を合図として目覚め、弾幕で追い払い、寝る。次に夜雀が歌い始めるまで。
 朝が来るまでそれの繰り返し。
 そんな生活が、一月以上続いた。
 ……体の一つや二つは壊して当然だったが、しかしまったくもって体調は良かった。
「何でだろうな……」
 体が壊れない事、夜雀がしつこい事、―――そして、自分が一思いにやってしまわない事。
 疑問だらけだった。


 夜雀の歌が聞こえる。
「―――」
 それは実に騒がしい歌だった。
 聞いてて癒されることなどありえない、ハードなリズムと歌詞の歌。
 いい加減聞きなれた、綺麗な声の歌だ。
 だから俺は目を覚ました。
「……外は雨だぞ? 土砂降りだぞ?」
 雨音の間を縫って、夜雀の歌は聞こえてくる。
「……」
 気づくと俺は外に飛び出していた。
「おいっ! 今日はやりあう気は無い! だから話を聞け!」
 俺の姿を認め攻撃態勢へ入った夜雀に、俺は声を張り上げる。
「……」
 夜雀は攻撃態勢を解かないものの、しかし攻撃を仕掛けてくる様子は無かった。
 さて何を言おうかなと俺は考え―――すると自然に口が動いた。
「お前、名前はなんていう?」
「ミスティア。ミスティア・ローレライ
「そうか。―――ミスティア。歌うなら俺の家の中で歌え」
 それだけを言って俺は夜雀に背を向け、家のほうへと歩きだした。
 夜雀―――ミスティアはその後を飛んで着いてきた。
(何で、だろうな……)
 横になりながら、俺は考えた。
「―――」
 ミスティアの騒々しい歌を枕元で聞きながら、思った。
(……いい歌じゃないか)
 そして俺は眠りについた。


 翌朝、俺はひとつの質問をした。
「ミスティア。なぜお前は歌う?」
 なぜあそこまでしつこく、雨にも負けず、弾幕にもめげずに歌えるのか。
「好きだから」
「……そんなに歌が好きか?」
「あなたが好きだから」
 なるほどな、と思い、俺はようやく自分の気持ちを理解した。
「俺もどうやらお前のことが好きらしいぜ?」



 ―――今日もミスティアの歌が聞こえる。
 いつの間にか俺は、この歌が聞こえないと眠れなくなっていた。





             おわり






……うむ。どうやら俺には甘いの書く才能が欠如してるようだぜ。


最終更新:2010年05月25日 00:15