ミスティア4



4スレ目 >>694


さて…と。
SSスレと迷いましたが、
こちらの作品の外伝ですのでこちらへ。
…矢張り、私にはミスティアが忘れられないようで…
…愛するなら、死ぬまでとは言わない。
死んだ後まで、愛して見せろ。
―――――――――――ー―――

移ろい揺蕩う時の流れに、流れ流れて数十年。
何ら変わらぬ夜雀と、痕跡だけのその番い。


「…」
位牌の前で、屋台で見せるいつもの表情からは想像もできないほど、
哀しみに満ちた表情を浮かべる夜雀。
分かっていた。
薄命な『人』と番いになった時点で覚悟はしていた。
それでも、一時一時を全て共に愉しんで来た相手との別離は、
無論僅かな時間で癒える様な物ではない。
五年。
妖怪の一生から見れば僅かでしかない時間。
だが、彼女が歩むには長すぎた。
愛の深さと別離の哀しみは比例し、
それだけの時を経ても未だに癒えぬ傷がある。
半人半妖の娘らは、既に一人前となって巣立って行った。
故に、屋台の奥の居住区画に一人きり、過ぎ去りし時を想う。
彼に会えるまで…命尽きるまで、そうしている…はずだった。


「…」
―おいおい、鬱にでもかかっちまったか?―
「…?」
懐かしい声が聞こえた気がした。
…だが、気のせいだろうと直ぐ諦める。
ほんの僅かな期待でも、大きな傷を齎すだけだから。
―…こら、ここにいるっての。―
「…!?」
幻聴では、ない。
はっきり聞こえた声に辺りを見回す。
―そーら、よっと!」
唐突に背後…位牌の辺りからハリセンが振り下ろされる。
すっぱーん、と小気味よい音がしていた。
そして振り返る夜雀の目には、痛み、驚き、
そして嬉しさが綯い交ぜになった笑みと涙が浮かんでいる。
「よう、みすちー。久しぶり。」
「…なんで…?」
「いやー、苦労したぞ。
閻魔に冥界送りにされたのをこれ幸いと、
庭師なんかに頼み込んで実体化やら冥界の外に居る方法やら修行してたりな。
おかげで時間も結構にかかっちまったな…寂しかったか?」
ニヤニヤと維持の悪い問いかけをする男に、
夜雀は素直に頷いた。
「…おいおい、そんな素直に反応されてもこっちが恥ずかしいぞ。」
「―――っ」
声にならない泣き声を張り上げて抱きつく夜雀。
「…あれ…あったかい…。」
「どーやら俺の能力は「人間と変わらない程度の能力」らしいぜ。
体温もありゃ呼吸もある、寝るし食べるしアレもする。
ま、もう死なないけどな。その気になりゃ成仏するが、その気もないし。
…っちゅー訳だ。
居なかった分も含めて、これからずっと可愛がってやるさ。
勿論、性的n」
「…わああああっ!!」
三年間の寂しさ。
失った瞬間の哀しさ。
今までとこれからの愛しさ。
全てを詰め込んで、夜雀はその番いの片割れをを抱き絞める。
「ぐぅお…ちょ、待て、絞めすぎだ…」
「…御仕置き。…本当に、寂しかったんだから…っ!」
絞められながらも、男は夜雀の頭に手を置き、優しく諭す。
「分かった分かった…もう居なくなる訳じゃないんだから、
落ち着け…な?」
「…うん。」




翌日、「快気祝い」と称する宴会が屋台を会場に開かれた。
実際は死んだままである訳だから「快気」ではないのだが、
細かいことは気にしないようだ。
そして、出席者は異口同音に言う。
「鴛雀夫婦に、さらに末長き幸を」、と。


5スレ目 >>4


スレ立てついでに界面活性剤…あれ、活性炭…えーと、何だっけ。まあいいや、
取り合えず景気付けの一行告白だぜ。

『この鳥目で、ずっと見つめさせてもらってもいいか?』 toミスティア


5スレ目 >>7


『食べたくなるほど愛してる』→みすちー

いや物理的な意味じゃなくて


5スレ目>>244


 >>243
創想話の夜雀の嫁話を思い出した。
「死ぬときはキミに食われて死にたい。でも、もし叶うならキミの膝の上で死にたい」→ミスティア


5スレ目>>314


「俺と結婚してくれ!ミスティア・ローラレイ!!」
 ↓
食べられました(無論性的な意味ではない)


6スレ目>>79


「○○~」
「ん、どした? ……あ、もしかして調味料か何か足りなかったか?」
「んーん、違う違う。そうじゃなくて、開店まで時間あるし」

ぎゅー

「それまで……ね?」
「はいはい了解、店主サマ」



「……もうすぐ開店時間だぞ」
「う~……じゃあ、ギリギリまで」


「……時間過ぎちまうぞ」
「じゃ、じゃあ……お客さんが来るまで、ね?」


「やっぱり今日はお休みに……しよ?」
「みすちー……織姫と彦星の話、知ってるか?」
「う……明日はちゃんと開くから」
「はいはい。解ったって」

某所のみすちーが非常にけしからんからつい。


6スレ目>>222


いい夢を見た!

イチャも何も無かったんだが、ただ ただ ミスティアの屋台で
世間話をして、笑いあいながら八目鰻を食べていた。
目覚めすっきりでよかったんだが、欲を言えばもっと見ていたかった!


6スレ目>>740


ミスティアにずっと歌を聴いていたいって言ったら本当に家の中まで来ちゃって、
一ヶ月経った頃に求婚してみたら「もうつがいだったんじゃないの?」ってきょとんとされた。


6スレ目>>978


みすちーの屋台に晩飯食べに行った訳だが、
「やっぱ、ミスティアの鰻は美味しいなぁ」と何気なく言ったら、
『そんな事言って。今日がどんな日か知らない訳じゃないのよ』
って、ちょっと怖い目で言われた。
「じゃあ、他の日に言ったら信じてもらえるんだ」
と返したら、みすちー、ちょっと上目遣いに、
『・・・うん、信じてあげるから、明日もきてくれる?』


うpろだ233


 >> 答え① ハンサムなオレは突如、逃走手段のアイデアがひらめく

俺がマルをしたいのは答え②だが期待はできない……
永遠亭にいるはずのえーりんさんが、あと数秒のうちにジャジャーンと登場して間一髪助けてくれるってわけには いかないよな……


「やはり答えは……①しかないか……」


しかし、ルーミアの脇から逃げるにしても、道幅が狭すぎて逃げられそうにない。

となると後は、川に飛び込むしか……

正直、泳げない俺が死ぬ確率は かなり高い。

だが……ルーミアに捕まるよりは わずかに助かる可能性がある。


「くそっ……」


そのとき、森の中にチラリと見えるものがあった。


「……!」

「それじゃ、いただきまー…」


そして確信する。
たった今 目にしたものが最後の賭けに勝つ要だということを。


「……信じてるからな」


そう呟いた俺は、急流の川の中に、身を投げた――――


「あー! ごはんー……」


ルーミアの驚愕の叫び声が一瞬聞こえたと思ったら、次の瞬間、俺は水の中をもみゃくちゃにされていた。

必死でもがくが、体をまっすぐにすることすらできない。

かろうじて、沈むのを水面に顔を出し、空気を貪るが、すぐに水の中に引き戻される。


「っぅ……! ヤバ……」


死ぬ。

冗談抜きで死んでしまう。

助けてくれ……はやく……

その時――――


「つかまって!」


来たっ!

俺は藁にすがるような想いで…差しのべられた手を、掴んだ ――――


 ・

 ・

 ・

「大丈夫? 怪我はない?」

荒い息を吐きながら仰向けに倒れる俺に、助けてくれた少女が俺の側に跪き心配そうな表情で尋ねる。

「ああ……大丈夫…だよ……」

「本当に……?」

「…ああ、もう心配ない。」

「……よかった…」

少女が胸を撫で下ろす。

「助けてくれて ありがとな、みすちー」

ようやく落ち着いた俺は 上体を起こし、目の前の夜雀の少女に視線を向けた。
彼女の名は、夜雀の少女ミスティア=ローレライ……幻想郷に来て以来の俺の親友だ。

「まったく……助かったからよかったものの、なんで泳げないのに 水の中に逃げるのよ!?」

「いやー、さっき追い詰められた瞬間、森の中にみすちーの姿がちらっと見えたから。おまえなら、飛べるし助けてくれると思って。」

「だからって、何もあそこまで無茶なこと……」

「―――― みすちーさ、ルーミアに不意打ちして俺を助けようとしてたでしょ?」

「えっ……う、うん」

さっき川に飛び込む直前、彼女はスペルカードをルーミアに向けて発動させようとしていた。
ルーミアの不意を突いて、俺を助け出すつもりだったのだろう。
俺のことを思って助けようとしてくれたことはすごく嬉しい。
だけど……

「ルーミアを一撃で倒せなかったら、今度は みすちーが危なくなるじゃないか」

少なくとも、こっちのほうがみすちーに危害が及ばないと判断したから

俺は迷いなく水の中に飛び込んだ。

「……」

「だろ?」

しばらく押し黙るみすちー

そして、数秒の間の後

「……ありがとう。」

「気にするなよ、俺も助けてもらったし……それに」

俺はみすちーに体をまっすぐに向けていつも彼女に言っている言葉を言う。


「「俺(私)達、親友だろ!」」


みすちーと俺の声が見事にハモった。


「ははっ! さすが みすちー。嬉しいよ、俺の言いたいことわかってくれてる」

「ふふっ、わかるわよー……あなたってば、助けあった後はいつもその一言だもん」


数か月前に幻想郷に迷い込んだ俺に、一番最初にできた友達が彼女だった。
出会いは、あの腹ペコお化けに追いかけまわされている彼女を助けたのが一番最初。
……まあ、助けたといっても俺が囮になっただけだが。
それ以来、俺は彼女を何度助け、そして彼女に何度助けられたかわからない。

「っくしゅ!! …さすがにちと冷えるな……俺は帰って風呂入るけど、みすちーはどうする?」

「……私もついて行っていいかな?」

「ああ、もちろん。」

俺の了承を得た みすちーは、朗らかな笑顔で言った。

「それじゃあ……助けてくれたお礼に、今日は御馳走してあげる」

 ・

 ・

 ・

 ・

 ・

 ・

「……ん~~~ 気持ちいい~」

家に帰り 身体を洗って泥を落としたあと、俺は湯船に浸かる。
みすちーは、俺が風呂に入る間に食事の支度をしてくれている。

「ふー……いい湯だねぇ……」

熱いお湯に、ルーミアから逃げる最中に付いた傷口がピリピリしみる。
だが、それすらも気にならないほどに、気持ちよかった。

「ねえ、湯加減はいい?」

脱衣所からみすちーの声が聞こえた。

「ああ、最高だよー」

「じ、じゃあ……私も入っていいかな?」

「ああ、いいよー…」

深く考えずに、みすちーに返事した後、俺は妙なことに気づいた。

『私も、入っていいかな?』


……どこに?


一瞬の思考停止……そして、思考を再開させようとした矢先、風呂の扉からバスタオルを胸に巻いたみすちーがおずおずと入ってきた。

「…せ、背中…流してあげる」

再び思考停止。いや、今度は思考を破壊されたといっても過言ではなかった。
紅く頬を染めて こっちにちらちら目を向ける その仕草が可愛らしい。

「……あ…ああ」

かろうじて声を絞り出すのがやっとだった。
……が、その後どうしたらいいものか分からず、十数秒硬直してしまう。

「ど…どうしたの……?」
「……え、あ……ああ、いやその……」

全く反応せず固まったままの俺にみすちーが狼狽の声をかけ、俺は我を取り戻し理性を総動員する。

いやいやいや落ち着け俺。
みすちーが不純なことを目的にしているわけじゃないだろうに。
背中流してくれるっていうのもお礼だお礼。
まったく汚れてんなぁ……俺。

一瞬びっくりしたが、俺は いつも接しているようにみすちーに話しかけることにした。

「ごめんごめん……ちょっとビックリしただけだよ。みすちーも風呂入りな、いい湯加減だぞ」
「……」
「ん? どうした、みすちー?」

みすちーの顔色があんまり良くない。なんて言うか失望感に満ちているという風な顔。

「……はぁ……ホント鈍感なんだから……」
「? なんか言った?」
「う……ううん、なんでもない!」


……そして、みすちーが風呂に入った数分後


「♪♪~~~~」


彼女は鼻歌を歌いながら湯船につかっていた。

ひょっとして、みすちーってば……

「……みすちー、お前 風呂入ると歌うタイプだろ?」

「うっ……な、なんでわかるの?」

やっぱりか。
図星を刺され焦るみすちーが可愛い。

「ん~? 歌いたいけど鼻歌で我慢してるみたいだったしな」

「う~……知られたくなかったのに……」

「いいよ、歌っても。ここならいい感じに響くし、今日はみすちーの歌を聞いていたいし」

「えっ……」

「? どうかした、みすちー?」

「な、なんでもない! ……それじゃあ、一曲だけ……」


―――― 小さな灯り消して、真っ暗にしてみて……すると わかる? 私は 今 ここにいる ――――


みすちーが歌詞を口ずさみ、我が家の風呂で彼女のコンサートが始まった。
透き通るようなきれいな声。
そして、聴いていると心に温かいモノがあふれかえるような歌詞。
それだけではない。
彼女の歌には、俺に向かって伝わってくる“何か”がある。


―――― ただの 平々凡々な 日々に埋まる……あなたを 想う 私が 今 ここにいる ――――


だから、俺は彼女の歌が大好きだ。


 ・

 ・

 ・


「いくら風呂の中で歌うのが好きとはいえ、湯当たりするまで歌うなよ……」

「ご……ごめん…なさい……」

あれから、勢いに乗って何曲も歌った彼女は、当然の結末というか湯当たりし、ダウンしてしまった。
いや、つーか、むしろ 何度もアンコールした俺が一番悪かったんだが。

「まあ、そこでゆっくり休んでな。なんか欲しいものとかあるか?」

「ううん……大丈夫」

とりあえず、体を冷やしたほうがいいと考えた俺は団扇でみすちーの体を仰いだ。
クーラーとか扇風機とかがこの幻想郷にあるわけが……いや香霖堂には売ってるかも知れないが、そんなもん買えるほど財力があるわけでもない。
そうして、じーっとみすちーの顔を見つめながら団扇を仰いででいると

「そ……そんなに見つめないでよ……」

「あ…ご、ごめん」

恥ずかしがるみすちーのしぐさが妙に女を感じさせている。
そして、その後に長い沈黙が続く。

「………」

「………」

なんだ……なんなんだこの雰囲気。
すっげー居たたまれない。

つーか、どこに目をやっていいものかすら わからない。
どうしても、視線はバスタオルに覆われた膨らみかけの胸とか、バスタオルから伸びるしなやかな太腿とかに目が行ってしまう。
……やばい、俺なんで親友に対してこんなに意識しまくっているんだ?

「……の、咽乾いたろ? 何か飲み物とって来るな」

「あ……」

あまりの気まずさを何とか打開しようと、何とかみすちーから距離をとろうとする。
しかし俺の腕がみすちーにしがみ付かれ、それはかなわなかった。

「み、みすちー!?」

「お願い……心細いから、そばに…い……て………」

やばい……やばいやばいやばい。
みすちーの胸が腕にあたって気持ちい……いや、そうじゃなくて!
このままじゃ我慢のリミッターが外れる!
親友のみすちーに襲いかかるなんて絶対に――――

って……あれ?

「みすちー?」

声をかけたが返事がない。
彼女の顔を覗き込んでみると、みすちーはすーすー可愛い寝息を立てながら眠っていた。

「……あぶなかった……」

本当に危なかった。みすちーが寝ちまわなかったら襲ってしまっていたってくらい。

「おやすみ、みすちー」

彼女にタオルケットをかけ、俺は床に布団を敷いて、横になった。

そして、風呂に入りながら聴いた みすちーの歌声を思い出しながら ――――

「また歌ってくれな。みすちーの歌 大好きだから」

聞いてないはずの彼女に語りかけて……

俺の意識は緩やかな眠りの中に落ちて行った。


 ・

 ・

 ・


男が眠りについた暫く後、私はベッドに腰掛けていた。

そして、眠っている愛する人の寝顔を眺めている。

「今日は失敗だったなぁ……「私の歌が聴きたい」って あなたの言葉に舞い上がっちゃって……」

挙句、湯当たりするなんて……せっかくのチャンスだったのに。
それにしても、あなたとの仲を進展させようとして慣れない誘惑までしたというのに……本当に手ごわい。

「でも……私の歌を大好きって言ってくれて、ありがとう。」

眠ってしまっていたが、わずかに残っていた意識の中で確かに聞こえたあの人の声。
すごく嬉しかった、死んでしまいそうなくらいに。
だから、私は――――

「また、聴かせてあげる……あなただけのために」


ミスティア Never End「鈍感なあなたに捧げる歌声」


うpろだ346


「おーいミスティアーいるんだろー?」
森の中、男が叫んでいる、魚籠を片手にもち、網のようなものもっている
「○○さん!こんにちは!」
少し間をおいて、ミスティア・ローレライが飛んできた
「ようミスティア、今日の分これでいいか?」
ミスティアは魚籠の中を覗いたあと、嬉しそうに頷いた
「ばっちりです、じゃあ代金は屋台をたたむ頃に」
「あいよ、それじゃあまた後でな」
「はい!」
魚籠の中は活きの良い八目鰻が10ほど、山女もいるようだ
「蒲焼と・・・やまめは甘露煮にでもしてみようかな、それなら水あめがいるから・・・」

その夜
「みすちー、こっちに温燗三本ちょーだーい」
「はいはい、ちょっと待ってね」
「蒲焼ー、まだー?」
「はいはい、すぐできます!あーなんで今日に限って!」
右往左往、忙しすぎて死ねるぜ、ってぐらい忙しい
今宵は客が多すぎる、今宵の客はよく酒飲みよく食う客だ
「おーおーやっぱり忙しそうだな、ミスティア、手伝ってやる」
「あっ、○○さん!」
「とりあえず料理は出来ないから運ぶぐらいしてやる、お前は作るほうに専念しろ」
「はいっ!」

「○○さんが追加の八目を持ってきてくれて助かりました」
「実に間がよかったよ、おつかれさん」
店じまい、客は既に誰もいない
いつもの倍ぐらいの客が来たので屋台が軽いから良いか、なんて
「お手伝いまでして貰って、本当にありがとうございます」
「いやいや、気にするな、俺が困ったときにお前が助けてくれればそれでいい、お互い様でな?」
「はい、そうですね、ありがとう」
ギブ&テイク、心地いい、彼が私を頼っていてくれる気がして、私も彼を頼っていい、と言われた気がして
「それじゃ代金を」
「うむ、八目20な山女はオマケだ、やる」
「あ、あの・・・甘露煮にしてみたので明日の昼に食べてみません?」
ちょっと変化球な?お誘い
俺はそれに乗る、もちろん
「いいね、じゃあ明日の分の八目を届ける時にでも頂こうかな」
「はい!お待ちしてますご飯も用意しておきますよ~ 」
「ははっそれは楽しみだ・・・じゃあ・・・また明日」
「はい、また明日」
いつも、ちょっと名残惜しいなんて思うけど
明日会えるから
さてさて、明日のお昼が楽しみです


うpろだ415・416・417


 俺は、とある屋台で働いていた。
 屋台の名は、『八目鰻』。
 そこで一人の少女と共に、この屋台を営んでいた。

「ねぇ〇〇、最近、屋台の売り上げが上がってきたんだよ。
 これも、〇〇のおかげだね」

 計算機片手にニコニコ微笑む少女――『ミスティア・ローレライ』。
 それが彼女の名だ。

「……しかし、あの屋台には追いつけないんだよな」
 新しく出張ったその屋台の名は知らないが、どうにも焼き鳥をメインに営んでいる屋台らしい。
「ひどいよね、私の前にそんな屋台を建てるなんて喧嘩売ってるとしか思えないー」
 ぶぅ、と頬を膨らませる彼女の姿は可愛過ぎ。

 彼女が屋台を始めた理由は、『焼き鳥を撲滅するため』である。
 そんな我々の前に現れた焼き鳥屋は、単純に味だけで客を引き付けるのだ。
 ……その焼き鳥の中には危ない薬が入ってるとしか思えないのだが?

 一回、みすちー(俺が彼女を呼ぶときこう呼ぶ)が
その焼き鳥屋に強攻策を取るために乗り込もうとしたが、俺は彼女を呼び止めた。

「力技ではダメだ、周りから反感を得てしまう。
                やはり、屋台で勝負だ」

 しかし、あの屋台の焼き鳥はかなり美味いらしく、
 幻想郷売り上げNo,1の屋台として『文々。新聞』に取り上げられた。
 かく言う我々も、No,2として着々と後を追っている。

「だけど、その差が埋まらないのがキツいよなぁ……」
 みすちーの肩越しに売り上げ手帳を見る。
 ――この距離感、ちょっとヤバクナイカと言うことに二人同時に気付いた。
「なっ、なんでだろうねっ!?」
「あー……やはり、種類の違いかな」

 頭がパニクって言ってみたが、実際その通りだ。
 焼き鳥の強さは、その種類の多さである。
 皮、手羽先、つくね、軟骨、レバーなど様々だ。
 それに対して鰻は、蒲焼や白焼など数えるほどしかない。

「それを補えるのが、うちのみすちーの歌なのであった、まる」
「誰に言ってるの、〇〇?」
「どっかのスキマさんに言ったから気にすんな……だけど、俺が思うに昔よりうまくなったんじゃねぇか?」
「……うまくなったって、味が? 歌が?」
 ブラックジョーク過ぎて笑えませんよ、みすちーさん。
「もちろん、歌が」
 味も上手そうなのは内緒だ、特に胸肉。

 我々の屋台が強い理由は、鰻の他にも簡易カラオケがある。
 繁盛し始めたときに、みすちーが歌い始める。
 とある満月の日に歌った、慧音先生との『バッ〇ァローマンのテーマ』は凄かった……あぁ、本当に凄かったともさ!!

「可愛い女の子の声であれはないだろう……!? 映姫さまに訴えるぞ!!」
「あっ、あれは……慧音さんが悪ノリしたから、つぃ」
 歌いきった後、慧音先生はかなり満足気だった――ストレス溜まってたのですか?
 連れの人が恥ずかしげに引っ張って行ったのは、すぐ後の話だ。

 ……で、だ。
「改めて言うが勝利の鍵は、みすちーの歌だと思うんだ」
「ストレートに言われても困るんだけど?」
 俺が言いたいことが、どうにも伝わってないようだ。
「最近、カップルが増えてきているのは知ってるかい?」
「……うん、聞いたことある」
「だったら、ラヴソングしかないだろ?」
「考えが端的じゃない?」
 流行に乗ることは、端的ではない。
 むしろ、流行に乗ることにより儲け人々は数知れない。
 しかし、ここまで嫌そうな顔をする理由は――?
「まさか、ラヴソングが歌えないとか?」
「歌えっ……歌えるけど……………………歌いたくない」
 ぷぃっ、と頬を膨らませながら、横を向かれた。


 相乗効果で、脳死しかけた。


「――おぉ、走馬灯が見えた」
「だって……って、聞いてる?」
「大丈夫、聞いてる聞いてる」
「私、恋人いないもん」
 あぁ、嫉妬ですかぁ……かぁいいなぁ、しかし、ここはガッチリ言わないといけない。
「屋台を経営する者は己を捨てねばならないぞ?」
「だけど、なんて言うか……なりきれないと言うか、上手く歌えないと思う」
 だったら、この問題を解決する方法は簡単だ。


「みすちー、今、好きな人いる?」


 愕然とする顔を向けられた。
 ……んー、可愛くない。
「あの、〇〇? いきなり、何を? 遂に現実逃避を始めたの?」
「いや、恋人を作れればいいんじゃないの? だったら、作っちゃいなよ」

 あたふたとジェスチャーで何かを伝えようとするが、全然、解らない。
 必死な顔なのは、やはり知って欲しい事なのだろう。
 俺を指差して、……あぁ、そう言うことか!?


「恋人作るんだったら、俺も手伝うぞ!!」


 違う、違うと首をブンブンと振られた。
 みすちーの目に涙が溜まっている、ヤバい気付いてあげないと……。
 しかし、だったらなんだろう?



 この時の彼女の心境はこうだ。

(ばっ……馬鹿、ここで言わなきゃ、言わなきゃ……!!)
 いつも際どい時には意識してくれるのに、二人っきりの時にはまったく意識してくれない彼。
 それだったら、普通の女の子と同じじゃないか――。

 胸が痛い……こんなに痛いのは、初めてかもしれない。
 たった一言、一言だけ言うだけで開放されるんだ。
(――私のためにも、言わないと!!)


「〇〇!!」
「うぉ!? なんだ、みすちー?」
「えっと、私たちの出会い、覚えてる?」
 そう、まずは相手に私の言いたいことを理解させるのが王道だ。

「あの出会いは普通じゃなかったよな。もちろん、今でも覚えてるぜ」
 うんうん、と納得気な〇〇。
(……あれ? そう言えば、どうやって会ったんだっけ?)
「まず、俺が道端を歩いてたんだよな?」
(そうそう、歩いてるのを私が見つけて、)
「上からダイブして、俺をキャッチ。そのまま食べようとしたんだよな?」
(……あ、れ? 道行が怪しくなってきた、かな?)
「俺が必死に言うんだ、『あの川に降ろしてくれ!!』って、そしたらすんなりと降ろしてくれてなぁ」
(降ろして逃げるんだったら、すぐさま殺して食べようとしたんだけど……)
「んで、降ろしてもらった場所から川に飛び込んで八目鰻をゲット、
 そしてキメ台詞は『食べるよりも、食べない方が役に立ちますよ?』だぜ?
 HAHAHA、俺カッコわりぃ」
(真面目にカッコ悪いよぉ、〇〇)
 あー、これじゃあ誤解されるよー。

「なんで、恋人の話から変な話に入ったんだっけ?」
「変な話じゃない!! だからぁ……」
(泣いちゃダメだ、ちゃんと言うんだから……!)
「だっ……だったら、この屋台をやってて良い事とかってあったよね!!」

 〇〇は熟考するようにして、空を仰いだ。
 空は既に黒く染まっていたが、星がポツポツと綺麗である。
(ム、ムードは良いんだけどなぁ)
 なんだか辺りの空気が、なんか濁ってる気がする。
「例えば、一日に八目鰻を取って来いという量が人間の限界を超えてたり、」
「はぇっ!?」
(一日に素手で百匹は普通……だよね?)
「栄養摂取量がおむすび二つだったり、」
「……えっと」
(人間の主食は米だって聞いたから……)
「とどめに特製のたれの材料を得るために東奔西走。
 ついでにかなりの量の妖怪たちに食べられかけたりする」
「あ、れ?」
(やっぱり、こっから香林堂まで遠かったかな?)

「……〇〇」
(こんなんじゃ、嫌われて当然だよ、ね)
 彼は、こちらを見ないようにして上を向いている。
「――ゴホンっ、これも例えばの話だがな?」
「……あの、〇〇。あのね?」
(だったら、これ以上嫌われたくないから、謝んなきゃ――)


「例えば、店を開く前のときの話だ。
 鰻を取るの手伝ってくれた妖怪たちと、店の前で与太話。
 実は、結構気に入ってたりもするんだ」


「〇〇?」


「例えば、みすちーがカラオケで歌っているときの話だ。
 腹が減ったからと言って、ご飯をご馳走になった永遠亭の兎たちへ隠れて鰻を奢ったときの表情。
 あの時の表情が忘れられなかったりする」


「……〇〇」


「例えば、特製たれの材料を得るために東奔西走したときの話だ。
 妖怪から守ってくれた奴らや、わざわざ来るのも大変だからと材料の量を増やしてくれた香林堂の店主との再開。
 まともに顔を合わせられない恥ずかしさがあるが、それも良いもんだ」


「あのね、〇〇」


「例えば、一日の売り上げに一喜一憂したり、カラオケで妖怪たちと楽しそうだったり、
 鰻の焼き具合で首をかしげたり、何もかも必死に頑張ろうとする、お馬鹿な夜雀と頑張ってきた屋台が」


「私、私ね……!!」


「楽しくないはずねぇじゃん?」


「貴方のことが好きなの!!!」


一瞬の沈黙、そして時は動き出す。


「なんで、告白……!?」


 完璧に頭の中が凍りついた。
 そしてみすちーも、近くにいたスキマ妖怪も、読者の皆様方も思った。

(おぃ、〇〇……空気嫁っっ!!)

「完全に告白って雰囲気だったじゃないっっ!?」
「ちょっ……ちょっと、みすちー!! お前、本気か!?」
「本気よ、本気なの!! へっ、返事は……どっ、どうなの、よ?」
 腕を組んでふんぞりかえって見せるも、心の中は雛鳥そのものだ。
(あっ、ああもぅ……どっ、どうなのよぉ。〇〇)



 ふんぞり返ったみすちーの目には、小さな涙が溜まっている。
(あいつ、強がっちゃいるが……やっぱ)
 頑張って言ってくれた言葉、嬉しかった。
 けど、俺は――怖いんだ。
 お前を守りたいけど、守られてる自分という存在が……。

「……なぁ、みすちー」
「なっ、何よ。ちょっとした、ほっ、発作のせいで、喉がおかしいだけ、だからね」
 涙声を必死に誤魔化すみすちー、可愛過ぎ。

 あー、和んでる場合じゃない。聞かなければ。
「なんで俺を選んだかは、流石に空気読まなさ過ぎだから聞かない。
 だけど、本当に俺でいいのか?」

 右腕が翻って、必殺の右フックが俺の脇腹に直撃した。

「その言葉の方が、空気読んで、ないわよ!!」
「――あぐ、うがぁあぁあ、まぁず、は、なんだ? 発作抑えるためにティッシュを使え」
「わっ、解ったわ、よ」
ちーん、ちーん、鼻をかんで、涙を拭いてこちらに振り返る。

「え、と? 俺が人間なのは知ってるよな?」
 無言でコクリ、その目が語ってるぜ『変なこと言ったら、食べます』って。
 食べられたくないので、言葉を選びつつゆっくりと言う。
「例えば、たまにうちの屋台に来てくれる『通称:@さん』の事だがな?
 鰻を食べる振りをしてお前の事を狙ってるようだし、屋台と言うこともあるからどっかの巫女に金銭目的で襲われかねないし、
 しかも俺ただの人間だし――お前のことを守れな

 い」と言い切る前に押し倒された。
 俗に言うと、馬乗りと言うものだ。
 あー、食べられちゃうかなーと、顔を上げて

                   涙をボロボロと流して、それでもなんかを言おうと必死なみすちーが目に入った。

「――あの、みすちー?」
「馬鹿ぁっ!! 〇〇の馬鹿ぁっっ!!」
 ドンドンと、胸板を叩く手の力は弱くて――
 弱いどころか、手が震えていて、彼女が自分よりも何倍よりも強い妖怪であることが嘘のようだ。
「困っているときに、助けて欲しいわけでも、襲われたときに守、って欲しいわけ、でもない……!!
 ただ、ただ――」

 恥ずかしいのか、顔が見えないように額を俺の胸板に当てたまま、気持ちを暴露する。


「私の隣に、いて、欲しいだけ……なの」


「……なぁ、みすちー」
「これだけ、恥ずか、しい言葉言ったんだから、馬鹿なこと言ったら、さば折りなん、だから」
 収まって来たのか、弱々しい声ながら強気な意見である。

 さて、ここで俺は思うんだよ。
 俺だって、ここまで恥ずかしい言葉を言わせた彼女に対して、
NOを言う気は更々ない(冗談で言っても、草むらからなんか大勢出てきてリンチっぽいし)。
 しかし、普通に『おk』と答えると亜音速の狐が胴を貫きかねないし、
どうにも簡単な返答をしたら、死亡フラグが立つと思うんだよね。


 だから、言う言葉は単純だけど、意味が深いのがいいと思う。


「まぁ、話が戻ってしまってスマナイが……」
「……」
 ちょっ、まっ、腹が潰されていくんですが、みすちーさぁん!?ミシミシ言ってますYOぉ!?
「みすちーは、ラヴソング歌いたいのがぁぁぁあ」
 可愛い女の子にさば折りされて苦悶の表情の俺、目茶苦茶カッコわるぃと思うんだ。
「……歌いたい」
 あ、ちょっと緩んだ。
「だったら、一つだけ質問」
「……何?」


「ラヴソングでデュエットって、あったっゲェ!!」
 喉から、なんかの臓器が出るかと思った!!
 ってか、死んだと思った!!


「前振りが長い、いちいち言葉を考えない、しかも意味が解りにくいよ!!」
 さば折りの格好のまま、怒った振りをする俺の『彼女』。
 みすちーの目から涙がいっぱい出てるのに、なんでだろう? 幸せそうで一杯そうに見える。

 しかし本当に良かった、大勢のリンチや、亜音速狐砲弾で胸を貫かれたりと、死亡フラグが立たなくて。
 だって、この笑顔が曇らせたくないから――と、あれ?
 なんかかっこいいっぽいこと考えてる癖に、気付かなきゃいいことに、気付いてしまった。


「あれ?」
「ん?」


 ――この距離感、かなりヤバクナイカと言うことに。

「あっ、」

 先に気付いて避けようとしたのは、みすちー。
 単純に後ろに頭を起こそうとし――


 ――どこぞスキマから出た傘が、彼女の頭を後ろから押して――。


「あっ、あの、あのねっ!? これは、後ろから押された感じがして、それで、それで――あの、その」
 真っ赤かな顔で俯いて、必死に弁明を取ろうとして、それでも言葉が思いつかないようで蚊のように言葉が消え行く。
 んむ、スキマさん。テラGJです。絶対に、みすちーにはバラシマセン。
 それにしても、俺さ? キスよりもその態度に鼻血が出そうなんです。
 しかし、そんな事したら嫌われるのは明らかなので、気が利くことをしてみようと思った。


 彼女を抱きしめてみた。


「――あっ、あっ、あの〇〇……っ!?」
「ん?なんか初めてみすちーに対して気が利くことをしたと優越感に浸ってる俺になんだ?」
「だから、……!!」

 人差し指を自分たちの周りに向けるジェスチャーをする。
 ふむ、これは又、難しいジェスチャーをする。

「五車炎情拳?」
「何それっ!?」
「だったら『ハレ晴れ愉か
「違うっっ!!!」

 それ以外、指をまわりに向けるジェスチャーと言えば何がある?
 何かヒントがないかと、周りを見回してみた。


 人がいた。
 妖怪がいた。
 天狗がいた。
 ……もう種類が多すぎて数えるのが嫌になった。

 全員の共通点は一つ――全員、うちの屋台の常連客だったりする。
 そう言えば、開店時間がもうすぐだったっけ?


「だっ、だから、さっき私もこれに気付いて……」
 あたふたしていて、頭がパニクっているようだ。
 これ以上やったら、なんらかの弾みで俺が死にそうだ。


「しょうがない――じゃあ、イチャイチャもこれまでか」
「……はぃ?」
「さぁさ、さっきから見てたんなら、うちの鰻を食ってきなぁ」
 ばんばんと手を鳴らすと、「これは一本やられたかぁ」や、「しょうがないねぇ」などと言いつつも観客たちが席に座っていく。
「みすちー、お前がやらないと鰻を焼く役目がいないぞー。俺がカラオケセットするから」
「……分かったわよ」

 惜しそうに目をこちらに向けて、ボソリと。
「もうちょっと、抱き合っててもいいじゃない」
「そんな事言うと、抱きつきだけじゃすまなくなるぞ?」
 笑顔で、ストレートパンチが顔に決まった。


 しかし、とカラオケのセットを組み立てながら、辺りを見回した。
 満席どころか、立ちながら鰻を食う姿が目立つなぁ。
 後に聞いた話だが、こんなことは屋台を初めてから一回もなかったらしい。

 いつも通り、みすちーが八目鰻を焼いて、俺が皿を運んでいたときに、とある野次が挙がった。


「なぁ兄ちゃん、カラオケはまだやんないのかい?」


 ニッ、と笑ってみせる。
 こんな野次に対する返事は、既に考え付いてる。
 皿を客に出しながら、一言だけ言ってやった。


「俺の恋人がOKだしたら、ラヴソングのデュエット歌ってやんよ」



        ~あとがき~

 結果的に、屋台での一位を取ることに成功した――が、問題が発生した。
「なんで、あの焼き鳥屋が潰れないのー!?」
「うちが儲かったって、あの屋台が潰れることに関係するとは限らないよな。普通に考えれば」


 普通に考えられなかった我々は、結構馬鹿だった。


「そんなこと、あたいでも解ったよ?流石、あたいはさいきょーね!!」


泣きそうになるほど悔しかったが、本当のことなので歯を噛むしかなかった。



                みすちーと、にっくき焼き鳥屋と、俺と。            ~終わり~


最終更新:2011年03月27日 22:14