ミスティア6



9スレ目 >>271


よぉ、久しぶりだな、神社での宴会以来か。景気はどうだ?
俺のところか? おかげさまで、相も変わらず繁盛させてもらってるよ、また今度嫁さんと一緒に飲みに来い。
しっかし、夏もそろそろ終わりだってのに、まだまだ暑いな。お前ん所は大丈夫か?
ん、嫁さんがバテ気味なのか。お前が無理させすぎてるんじゃないか? 何がって、そりゃ夜の生活に決まってるだろうが(ニヤニヤ
よし、悪かった、その拳を下ろしてくれ。…ったく、短気なのは相変わらずだな。
詫びといっては何だが、こいつをやるよ。 ん? 中身は鰻だ。スタミナ満点、これで精力付けて夜に挑めば嫁さんも大満ぞk …何も、殴ることは無いだろう。
そんなことよりお前の方こそどうなのかって? ははは、繁盛してるって所から察してくれ、二人で元気に切り盛りしてるよ。あいつの歌も一日中響いてるしな。
それじゃぁそろそろ俺は行くよ。仕入れの最中でな、あまり遅くなるとまたどやされちまう。
絶対飲みに来いよ? 約束だからな。


9スレ目 >>446


今日も今日とて、みすちーは俺の風呂の中でリサイタル。
相変わらず艶めかしくしなやかな両脚とか
バスタオルに覆われた膨らみかけの胸とか
少女らしい少し痩せた丸っこい両肩と色っぽい項とか……
……要するにみすちーの姿全部、未だに直視できないけれど。
そして、俺の家の風呂の中でみすちーが声を張り上げて歌っていた。

「―――― 赤く燃え 見事に散って 星になった命よ~♪
 時を越え その名前を 胸に刻もう……Just Forever~♪」
「おおおお! すごい! すごく熱いよみすちー! 熱すぎる!!」

みすちーはすごい。
歌声が奇麗なことは言わずもがなだが、歌を歌うときには必ず曲のイメージに声を合わせてくる。
ロックを歌うときは、激しく強く荒々しく。
しっとりしたラブソングを歌うときは、優しく切なく。

「みすちーは やっぱりすごいな……! ってか、どんな曲歌っても、曲のイメージぴったりに歌えるってのがすごい!」
「えへへ……曲を選ばないのがプロってものよ♪」
「いやいやみすちー! プロよりもすごいんじゃないかってくらい上手かったよ! 」
「そ、そうかな……」
「そうだって! まださっきの曲の余韻が残っててドキドキしてるしさ!」
「も、もう……口が上手いんだから……」

胸の前で、曲げた両手の人差し指を互いにいじらせながら
僅かに俯いた顔、その色はわずかに赤く染まっている。

「……もしかして、みすちー……照れてるの?」
「え? あ、あの……その……」

焦ってる……確定だ。
みすちーってば照れちゃってるよ。
その時、俺の心に悪戯心が芽生えた。
もっと照れるみすちーが見たいなー……と。

「いや、謙遜することないよ。まるで、ローレライの歌を聞いてるかのように歌に引き込まれちゃうしさ」
「そ、そんなに褒めないでよぉ……」

彼女は持参していたミニタオルを両手で持ち、口元をそれで隠す。
頬は先ほどよりも紅く染まっていた。
子犬のような愛らしい瞳が、俺を上目遣いで見上げている。
背中の羽をパタパタと羽ばたかせ、耳が僅かにぴょこぴょこ動いている。

「みすちーの歌は幻想郷一だね。いや、外の世界でも頂点に立てると思うよ」
「や、やだやだぁ……そんなに褒めちゃダメだってばぁ…!」

背中の羽の動きが“パタパタパタ…!”でなく、“バタバタバタバタ!!”と速くなる。
耳がさらなる速度でにぴょこぴょこ動き、ミニタオルを両手に持ったまま顔全体を隠す。
きっと、彼女の頬はこれ以上ないくらい紅く染まっているのだろう。
……ヤバイ。
止められない。
みすちーって……時々、思わず襲ってしまいたくなるくらい ものすごく可愛い時がある。
今がまさにそれだ。
照れるみすちーが可愛すぎる、
もっと照れさせたい
もっと恥ずかしがらせたい
もっともっともっと……

「すごく安らぐ歌声だもん…… い つ ま で も ず っ と 聞 い て い た い な」
「えっ……?」

―――― いつまでも、ずっとって……ずっと、一緒に……?

「……――――~~~~ッ!!!」


 ボ ン ! !


「ちょ、ちょっと! みすちー大丈夫か!? ってか、また湯当たり!?」
「はぅぅ~……」

―――― ああ…私、幸せ……もう、死んじゃってもいい………

夜雀の意識は幸せな色に包まれたまま、薄れていった……

近くにいすぎるために自分の淡い想いに気づかない青年と
熱い想いを胸に秘めながらも、自分から告白することができない恋に臆病な少女。
2人は、まだまだ恋愛初心者。

……その割に互いに結構大胆だったりもするのだがw


11スレ目>>143


 草木も眠る丑三つ時。
 それは闇と妖怪が支配する時刻。
 だがその中で、それを照らす光のような歌声が響いていた。

 声の主は夜雀、ミスティア・ローレライ

 その歌声は流麗。
 それでいてどこか温かさを感じさせるものだった。

 少女は歌う。
 その身の幸せを。心の内の喜びを。そして溢れんばかりの愛を。

 それを木陰で聞くは一人の青年。
 彼は目をつむり、彼女の歌を一心に聞く。
 今この場は他ならぬ彼のためのコンサート会場。

 やがて想いと旋律は最高潮を迎え、歌は終焉へと至る。

 一瞬の静寂の後に拍手の音が響き渡った。 

「どうかな? 今度の新曲?」

 少女は問う。
 期待と不安の入り混じった声で。

「うん、すごくいいね。何て言うか胸にジーンて来た」

 青年は答える。
 その感じたものを素直に。

「えへへ、ありがと」

 顔を赤らめ、少し照れた様子で笑う。

 二人にとってこのやりとりはいつものこと。
 しかし違ったのは青年がある疑問を口にしたことである。

「けど、何かいつもよりしっとりとした歌だね。今度の歌のテーマって何なの?」

 それに対し、少女は体を少しこわばらせる。
 そして息を大きく吸い、それを大きく吐き出す。
 その顔は真剣で、決意に満ち溢れていた。

「この歌のテーマはね……『あなた』なの」
「え? それってどういう……」

 少女は目を閉じ、自分の胸に両手を当てる。

「私はあなたのことが好きです」

 少女は朗々と言葉を紡ぎ出す。
 その想いと共に。

「あなたに会えて良かった。あなたの笑顔を見てると私も嬉しくなれた。
 あなたが傍にいないとどうしようもなく寂しくなった。そして私は……あなたと居るだけで幸せだった」

 再び目を開け、その視線を青年へと向ける。

「だから……私とずっと居てください」





 少女の突然の告白に青年は目を見開いた。
 だがその表情はすぐに元の穏やかな微笑へと戻る。

「俺もミスティアのことが好きだよ」

 散歩にでも出かけるような気軽さで告げる。
 なぜなら、既に彼にとっては彼女と共に在る世界こそが当たり前だから。

「歌う時の真剣な表情が大好きだ。屋台をするときの楽しそうな顔も好きだ。俺は君と君の歌が大好きだ」

 だから彼女の願いに対する答えはたった一つしかありえない。

「俺は君と一緒に居たい」

 少女の手を引き、その小さな体を抱きしめる。
 それは強く抱きしめれば壊れそうで、それでいて何にも勝る温かな強さも持っていた。

 少女もまた青年の背中に手を回し、その温もりを感じる。
 いつも傍にあった大切な温もりを。




 そして二人は歌い続ける。
 彼らの大切な想いを乗せて。
 いつまでも。いつまでも。


12スレ目>>451 うpろだ832


食べ物が無い!
この部屋にはぞっとするほどに、口に入れられるものが無いのだ。
おまけに、扉には鍵がかかり、目の前には無表情かつ無愛想な男が立ちふさがり、あ、つまり○○なんですけど。
他人行儀な言い方してみたけど結局○○なんですけど。
とにかくそいつが無表情かつ無愛想、更に無言で立ちふさがり、見下ろす両の目。
覗き込んだらそのまま何処か、この世界の何処か、もしくはすぐ傍の外の深い夜の空、それの色が透けて見えそうな、暗い色。夜を含む赤。濃い死んだ色。
好きだったものを飽きたからと無邪気に殺して、後から取り返しのつかない過ちに怯えだす、幼い子供が血溜りに見る色の瞳。
絶望を満遍なく、多量に含む色だ。
手が持ち上がらないから、視線だけでじっと見る。



座り込んだ床が冷たいのは、夏だというのにこの部屋が、病的に冷房が効いて何処にも熱がなく、生きているものの私の中にすら、温度が無いくらいだから。
触れていないから解らないけど、いつもいつも青白い、この部屋と同じく病的な空気を孕んでいる瞳の彼も、同等に冷たいだろうと安易に予想できた。
肌が寒いし、お腹は空っぽだし、全部が全部空虚じみていて、頭が上手く回らない。
腕や足に力が入らないのは、彼の瞳に住み着く悪魔、もしくは彼そのものが、私の事を飲み込もうと企んでいるから?
この使い勝手の悪い生白い手足は、恐怖に竦んでいるのだろうか。
食べ物の無い空間で始まること、それは最後、共食いだ。
強い方が生き残り、次の世代に駒を進めるため。
弱いものは食われ、血肉になるのだ。弱肉強食と言えば早いか。
なんとも血沸き肉躍る話だが、自分が弱いほう、血肉にならざるを得ないほうでは、話にならない。
私はまだ飲み込まれたくないし、自分を生かすのに精一杯なのだから、いくら愛する男といえど血肉なんぞになるのは真っ平御免である。



私は漠然じゃない、しっかりとした生命の危機、不安から、曖昧な笑顔を浮かべてそっと後ずさる。
後ずさりながら、何回か瞬きをする。
すると、いつの間にか彼は私の背後に回りこんでいて、無表情かつ無愛想かつ、更に無言で、私の首と胸の中間辺りに、腕を回す。
緩くだけど力が入って、筋張って太い、いかにも男らしい、強者らしい、勝利者らしい腕がぐっと私を押さえつけて捕まえる。
自分の後頭部が彼の胸の辺りに当たっていることに気付いて、驚いた。
心臓の鼓動は当然、私までは聞こえないけど、呼吸の度、微かに上下している。本当に、微かに。確かに。



ああこの人は生きている、と改めて思って、やはり私はこれから彼に食べられるのだろう。と半ば諦めのように、だけど微かに恍惚して、思った。
やたらと大きい手のひらが私の肩を撫でる。
ぎょっとするほどに長い指先が喉元に触れる。
きちんと切られているのに、どうしてこの爪は、こんなにも大きいのか。
飴玉のように艶々と光るそれは、食べられる側の私なのに、うっかり舐めてみたいと思ってしまうほど、極上に素晴らしい代物だった。
食べる側というのは、いつも必ず何処か、あるいは全てが、食べられる側より優れていて、彼らの死に際にうっとりと憧れを抱かせる。
肉食獣なら牙。巨大な魚類なら輝く鱗。彼なら、美しい爪。
本音を言うなら、その全部を。
私はセオリー通り、憧れて、うっとりと目を細める。物欲しそうに。
だって、出来たら、力があれば、私はその爪をひとつひとつ唾液を絡めて舐め上げて、絶望の象徴のようなその瞳を、嫌悪やら、憎悪やら、運が爆発的に良ければ、快楽とかに染めてしまいたかったのだ。
こんな寒さと飢餓に震える何も出来ない今の私では、無理だけれど。



ああ、この部屋には食べ物が無い。
なんにも、無い。
扉には鍵がかかっていて、私の全ては彼の手の中で、胃に詰め込む食べ物を求め里まで走るには、少々障害が多すぎる。
仕方が無いから私は、彼に憧れたままで、血肉に成ろうかと、思います。
私は妖怪だから、優しく上手くしてくれれば生き返れるかもしれないのだし。
鋭い歯が、近づいてくる。
世界中の魅力を独り占めしたような、緻密な手のひらが服を破る。
肩紐が落ちて、帽子が落ちて、髪の毛が舞って、頬にかかった。
どうか、私の周りの皆様、先立つ不幸をお許しください。
一時的とはいえ、私は、愛する男の血肉になるしかないようです。
何故なら、この部屋には食べ物が無いし、鍵はかかっているし、○○は私の首を撫でて、それはもう愛おしげに撫でて、たっぷりと欲を含んだため息を吐くのです。
これはもう、咀嚼されるしかないでしょう。
まさかあのしつこい庭師より大食らいの亡霊より先に、自分の愛する人に食べられるとは思わなかったけれど。
私は、弱者です。弱肉強食で言ったら、肉なのです。
ああ、この部屋に食べ物があれば!
そうしたら私も○○も、お腹がいっぱいで、少しは幸せに笑えたでしょう。
私は生白く、彼は絶望の色した瞳で。絵画のよう。もう、それは叶わないけれど。



彼の瞳と同じ、絶望を瞼の裏で見ながら、朦朧とした体を彼に任せていた。
そのとき。
首の後ろに押し当てられた柔らかな唇の感触と、「ミスティア」と微かに掠れた、この部屋で唯一熱を持った声で私を呼ぶ彼に気付いて、私は初めて知る。



食欲を別の欲で満たす方法を。



(乗り切る方法は愛/頂きますなの?頂かれますなの?)


12スレ目>>318


幻想郷に流れ着いて今年で6年目、ここでの生活もすっかり慣れ友達もできた。
しかし、人間以外の友達がほとんどだが…。

〇〇「今日も特にする事無いなぁ。」

普段特に目的意識もなくそこはかとなく生活する俺。NEET予備軍 or NEETである。
と、そこへ現われた一人の妖怪。

ミスティア「あ、いたいたぁ。やっぱりここね。」
〇〇「やっぱりってなんだよ。」

彼女はミスティア・ローレライ、知り合って3、4年になる大の仲良しだ。

ミ「〇〇はいつも家にいるでしょ、他のとこに居ることなんて滅多に見ないからねぇ。」
〇〇「まぁ、否定はしない。で、今日は何の用なんだ?」
ミ「へへ、蒲焼屋の新メニュー試食会よ。ちょっとコンロ持ってきてよ。」
〇〇「炭火じゃなくていいのか?」
ミ「試食だから堅い事言わないの。」

台所からカセットコンロと金網を持ってきてテーブルに置く。するとミスティアは持ってきた籠から商売道具一式を出し始めた。

〇〇「言葉の割には本格的だな。‥‥って、それはなんだ。」
ミ「えへへ、この前人間が置いてったお酒よ。すごく高いんだって。」
〇〇「じゃあなんだ、飲み会でもするのか?」
ミ「もちろんよぉ。だって今日は〇〇と会って丁度4年目よ。ま、試食もやるけどねぇ♪」
〇〇「なんだ、覚えてたのか。」
ミ「あらあら、〇〇も覚えてたとは関心関心。うれしいじゃないの。」
〇〇「去年はやったっけ?」
ミ「去年は〇〇が先に酔い潰れておしまいよ。今年は最後まで残っててよね。」
〇〇「最後っていつまでだよ。」

会話をしながらもミスティアは手際よく下拵えしている。流石、商売慣れしてるなぁ。

ミ「まずは乾杯ね、私の自慢の八目鰻。炭火じゃなくたっていけるんだから。」
〇〇「ん、じゃぁかんぱ~い。」

いつ食べてもミスティアの蒲焼はうまい。たとえガス焼きでも他の人が焼いた蒲焼は食べられそうもないくらいだ。

〇〇「相変わらずうまい!どんどん焼いちゃって!」
ミ「最初からそんなに飛ばしちゃっていいの?最後までもたないかもよ?」
〇〇「いいの、ミスティアが焼いてくれてるんだもん。」
ミ「あら、もう酔ってきた?じゃあ、次は新作よ。」
〇〇「‥‥‥‥なにそれ。」
ミ「カエル。」
〇〇「それは客に出していいのか!?」
ミ「ちゃんと処理してあるわよ。つべこべ言わず食べなさい!」
〇〇「う‥‥むぐむぐ‥‥‥ん!割とイケるかも!」
ミ「ほんと?」
〇〇「まぁ、ミスティアが焼いたからかな。」
ミ「絶対酔ってるわね、でも、ま、ありがとねぇ♪」

その後も新作を食べ続けた。
牛肉、豚肉、魚、昆虫、果ては野菜まで。蒲焼にできるのかと思うような物まで器用に焼いていった。

〇〇「よくもまぁ、こんなものまで‥‥。」
ミ「や、焼ければ大体、蒲焼にできるわよぉ。」

二人ともフラフラに酔いながら作り置きしてた蒲焼を食べながら杯を交わす。ミスティアの持ってきたお酒が無くなったら〇〇の家にあるものを持ってきて終わる事無く飲み続けていた。

ミ「それにしても〇〇~、お酒強くなったわねぇ。」
〇〇「俺が先に潰れたらミスティア一人になっちゃうだろ?」
ミ「な、何言ってんの!ばか‥‥。」
〇〇「あれ?顔、さっきより赤くなった?」
ミ「お酒の‥‥所為でしょ!」
〇〇「そっか、無理するなよぉ。布団敷いとくから今日は泊まっていきなよ。いくらミスティアでもそんなに酔ってたら帰れないだろ。」
ミ「‥‥‥そのつもりで来たから…。」
〇〇「ん、何か言った?」
ミ「な、何でもないわよ!飲み会なんだから最初から泊まるつもりだっただけよ!」
〇〇「強引な、とりあえず風呂作ってくるよ。」

ま、今日は初めから泊まってもらうつもりだったけど‥‥。
そう、何を隠そう俺はミスティアの事が好きなんだ。無邪気で頑張り屋、仕事中は普段とは違った魅力があり、みんなは気付いてないけど周囲への気配りも忘れない。
一緒に居る時間が積み重なるほどこの想いも深くなっていく。

〇〇「ほら、できたよ。先に入っちゃいなよ。」
ミ「覗かないでよねぇ♪」
〇〇「できたらね。」
ミ「まったくぅ。」

ふふ、可愛いなぁ。こんな可愛い子と今夜一緒に寝るなんて。寝顔はもっと可愛いのかなぁ。
そんな事を考えてたらいつのまにかミスティアが風呂を出ていた。

ミ「覗きに来なかったのねぇ、サービスショットで待ってたのに♪」
〇〇「ちょっと酔いすぎじゃないか、ほら、早く寝ちゃいなよ。」
ミ「じゃあ、待ってるから早くねぇ♪ふふふ…♪」

今日は酔い潰れないように押さえておいたが代わりにミスティアが飲み過ぎたみたいだ。こんなミスティアは初めてみる。
でも、たまにはこんなのも‥‥‥。

手早く入浴を済ませミスティアのもとへ向かう。

ミ「あ、きたきた!はい、こっちこっちぃ。」
〇〇「俺は自分の布団があるから一人で寝なさい。」
ミ「冷たいのねぇ、一日くらいいいじゃないのぉ♪」
〇〇「それもそうだな。」
ミ「切り替え早ッ!〇〇こそ酔ってるじゃないの。」
〇〇「ミスティアほどは酔ってないよ。」

なんだ?今日のミスティアは?やけに誘ってくるけどまさかそんな事は‥‥。
とりあえずミスティアの布団に入る。

〇〇「酒臭い‥‥。」
ミ「お互い様ぁ♪」
〇〇「なぁ、今日はどうしたんだよ。そんなに酔っ払って。」
ミ「そうねぇ、じゃあ最初に言っとこうかしら。私と付き合ってぇ♪」
〇〇「はいはい‥‥、ってなんだってぇ!」
ミ「えへへ。だから付き合ってほしいのよぉ♪」
〇〇「やっぱり酔いすぎだ。」
ミ「ちょっとぉ。好きだから付き合いたいってのは自然の道理でしょう?それともな~に?私じゃ不満でもぉ?」
〇〇「不満はないがこういうのは酔ってないときにするもんだろ。」
ミ「酔ってなかったら〇〇に言わせるまでずっと付きまとうつもりだったのよ~。でも、お酒の力借りないと〇〇も言わなそうだけどねぇ♪」
〇〇「今酒の力借りてるのはミスティアでしょ。ミスティアだって酒の力借りないと言えなかったんだろ?」
ミ「むぅ、言ったわねぇ!何の為に私が自腹で試食会なんて開いたと思ってんのよぉ!〇〇は食べるだけ食べて飲むだけ飲んで、それで終わり~?」
〇〇「それはミスティアも同じだろ。それにもうすこしでミスティアの誕生日だろ?それまで待ってれば俺の方から行ったのに。」
ミ「ちょ、ちょっと、今、後半なんて言ったのよぉ!〇〇の方から~?」
〇〇「あ、あぁ。俺もミスティアの事好きだからな。」
ミ「え!!!!‥‥‥‥‥‥。」

急に黙り込んでしまったミスティア。俺の方もまさかの告白で緊張してるがそこは酒力でカバーする。

〇〇「どうなんだ、付き合いたいのか?」
ミ「〇〇はどうなのよ。」
〇〇「俺は付き合いたいよ。ミスティアの事好きだからな。」
ミ「‥‥‥‥‥。」
〇〇「ん、どうした?」
ミ「‥‥‥‥すやすや。」
〇〇「大事なところで寝るなよ。まぁ、今日はミスティアがすごく頑張ってたからな、続きはまた明日って事で。おやすみ。」

ミスティアのほっぺたをぷにぷにしながら眠りについた。やわらかくて気持ちいい。
頬を伝う涙は見なかったことにしてあげよう。


翌朝


〇〇「う~、ちょっと頭痛いかな。」
ミ「大丈夫?飲み過ぎるからよ。」
〇〇「ミスティアの方が飲んでただろ?」
ミ「普段から飲んでる量が違うのよ。」
〇〇「いつもあんなに飲んでるの?それより昨日のことだけど…。」
ミ「え、な、何よ、昨日の事って。」
〇〇「知らんぷりしても顔は正直だぞ、もう赤くなってきたよ。」
ミ「むぅ、仕方ないわね。じゃあ、昨日のことが何?」
〇〇「俺からも頼む、付き合ってくれ。」
ミ「‥‥‥。一つだけ、私と〇〇両方に条件付けていい?」
〇〇「何?」
ミ「別れないこと」
〇〇「それじゃなんか縁起が悪いよ。そういう時はこう言うの。一生一緒に居ることって。」
ミ「〇〇!」
〇〇「ミスティア!」

それ以上の言葉は必要なかった。抱き合って触れ合う肌からお互いの気持ちは伝わっていた。



しばらくして蒲焼屋の店員が一人増えたという噂が流れだした。


12スレ目>>861 うpろだ898


青年の目の前に巨大な獣が迫る。
獣は腹が減っているのか牙を剥き出しにして、青年に襲いかかろうとしていた。


「く……そぉ!」

「グォォォォォォォ!!」


対し、青年は尻餅をついたまま追い詰められている。
獣の咆哮が響き渡り、青年は恐怖に身を震わせ、瞳を閉じた。
そのまま、青年の人生は終わるはずだったが――――


「ギャアアアアアアァァゥ!!」


ズゥゥゥゥ………ン!!


――――その前に、獣の人生が終わるほうが早かったようだ。
獣は突如として出現した光の弾に貫かれて、断末魔の咆哮を上げながら絶命する。


「大丈夫? 怪我はない、○○?」


恐怖に歪んでいた青年の顔が、この上なく安堵に緩んだ。
それも当然だ。青年の心強い親友が助けに来てくれたのだから。



「助かったよ……ありがとう、みすちー」



 ・

 ・

 ・


「にしても、早いもんだよね。幻想郷に来てから もう1年かぁ……」


宵闇の腹ペコお化けに襲われていたミスティアを、○○が助けたのが慣れ染め。
それ以来、この二人は種族こそ違うものの、無二の親友として付き合っていた。


「うふふ……思い出すわね、あなたが初めて私を助けてくれたこと――――」


そして、二人は しばし過去の逢瀬を肴に話をふくらませる。
けれど、楽しい時間はすぐに過ぎ去ってしまうもの。
いつの間にか太陽は西の空に傾き、周囲は闇に覆われつつあった。


「ん……もうこんな時間か。みすちー、今日はお仕事?」

「え? ええ……あ、あの……」

「ん、どうしたの?」

「あの……今日はちょっと忙しくなりそうなんだけど……もし、よかったら――――」

「待った」

「え?」

「皆まで言うなって。水臭いじゃないか」


皆まで言わずとも、○○はミスティアの意図を悟ることができた。
今夜は『忙しくなりそうだから助けてほしい』……というミスティアの意思を汲み取る。
それを断るほど、○○は友達甲斐の無い男では無かった。


「……あ、ありがとう」

「おう、なんでも御座れだ」

「それじゃあ、早速行こう?」


○○はしゃがみこみ、万歳の要領で両手を頭の上にあげる。
ミスティアは、その手を掴み、翼を羽ばたかせた。


ふわっ――――


ミスティアの身体が、次いで○○の身体が宙に浮く。
普通の人間である○○は空を飛ぶことができないので、屋台のあるミスティアの家まで連れて行ってもらうのだ。

木々の高みを超え、視界が緑から赤に染まる。
沈みゆく夕日が眩しい。
美しい景色を眺めながら、○○はしみじみ考えていた。


―――― 幻想郷に来てよかった


ここは現代社会ほど便利な場所では無い。
けれど、それを補って余りある色々な魅力がある。

なによりも、生涯の親友とも言えるミスティアにも会えたことは、○○にとって人生最高の幸運だった。
けれど、そのことは照れくさいので、ミスティアには言わない。
いや、言わなくてもミスティアもわかっているだろう。


「そういえばさ、みすちー 最近 歌いに来ないよね?」

「え? あ……うん……ちょ、ちょっと……ね」

「どうしたの? 顔真っ赤だよ?」

「な、なんでも無いよ!」

「? ……ヘンなみすちー」


そう長い時間も経たず、二人はミスティアの家に着く。 小さな洞窟の側に建てられた家だ。
ミスティアは、○○を洞窟――――もとい屋台が入っている倉庫の側に下ろす。


「じゃあ、俺は屋台をいつもの場所に出してくるわ」

「う、うん……」



屋台を手伝うのも、週に数回――――このような力仕事はもはやお手のものになっていた。
ミスティアが家から食材を用意している最中に、○○は倉庫から屋台を出す。
大きめの屋台をえっちらおっちら洞窟の外に運んで行くと、ミスティアが食材を用意して待っていた。


「そ、それじゃ始めようかしら……」

「おう」


食材を屋台の上に置くと、ミスティアは一枚の板を屋台に立てかけた。
その板に描かれてある文字を見て、○○は首を傾げる。


「あれ、『貸し切り』?」

「そ、そうよ」


これまで、幾度となくミスティアの屋台を手伝ってきたが、今までに貸し切りになったことは一度も無い。
ミスティアの屋台を貸し切る者が誰なの、少し興味があった。


「へー、客は誰よ?」

「…………」

「? ……みすちー、どうしたの?」


ミスティアは俯きがちに、黙り込んでしまう。
外面は、ただ頬を赤く染めているだけだが、彼女の内心は大喧噪を引き起こしていた。


(言え……言うのよ、みすちー! 大丈夫! きっとうまくいくわ……!
 今日こそ、この進展の無い関係から、大きな一歩を踏み出すんだから――――!!)


「……た」

「え?」


しばらく、沈黙した後――――
ミスティアは、強く絞り出すように呟いた。




「あ、あなた……」




再び沈黙が流れる。
今度は長い沈黙。
○○には、ミスティアの意図がさっぱりわからない。

それも当然だろう。

手伝ってと言われたのに、客が自分自身などとは
お釈迦様も想像できないだろう。


「………???」


今、何が起こっているのか、頭を抱えながら○○は考えて――――

ああそうか、聴き間違いか

そうか、そうだろ、そうに違いない。

いやっはっは、ダメだなぁ俺の耳も――――


「き、今日は、あなたの貸切りだよ……」

「へ?」


違った、聞き間違いではない。
だが、理解ができない。
今日は、○○の誕生日でもない。
ミスティアが○○と出会ってから、一周年の記念日は来週だ。
貸し切りになる理由がわからない。


「いや……でもさっき手伝ってって……」

「て、手伝ってもらうの……私の恋心を……ぁぅぅ……」


可愛らしく、俯きながら頬を染めるミスティア。
○○の貸切である理由を、恥ずかしさから最後まで告げることができない。
この時点に至れば、たいていの者にはミスティアが○○に抱く感情がどのようなものかは理解できたであろう。
けれど、○○はそれに気付けない。



何故か?



○○が“ウルトラ”の上に“超”が付くほどの超ウルトラ鈍感青年だったからだ。


「え? ごめん、聞こえなかった。もう一回言ってくれないかな?」

「だから……その……あのね、○○」

「うん」

「貴方……好きな人って……いる?」

「好きな人? いるよ。みすちー」

「えっ……」


ミスティアは喜色を伴った声を漏らす。
そんな彼女を、○○は――――


「無二の親友だもん。当然じゃないか」


――――即 叩き落とした。

全く気付いていないあたり、もはや神が与えた才能と言わざるを得ない。
ミスティアの怒りのボルテージがどんどんと上がってくる。


「ああもう……そうじゃなくて……!」

「?」

「だから! えっと……好きって言うのは、そうじゃなくて!! その……」


今までに、ミスティアはそれとなくアプローチをしてきた。
否、幾度となく積極的の極みとも言えるアプローチまでしてきた。

一緒に風呂に入り、背中を流し ―――― 湯当たりするまで○○の為に歌った。

なのに、全く○○は気付かない。


「うーん、ごめん、みすちーの言いたいことが 良くわかんないや……もっと、わかりやすく言ってくれないか?」


―――― プツン


さすがのミスティアにも我慢の限界が訪れた。


「もうっ! もう! もう! もう!! どこまで鈍感なのよぉ!!」

「え、え?」


けれど、○○は自分がミスティアを怒らせてしまった張本人だと気付いていない。
そもそも、鈍感と言われて気づくくらいなら苦労は無い。
いきなり怒りだしたミスティアに、狼狽しながら混乱しているのがいい証拠だ。


「いい!? 一度しか言わないからよく聞いて!」

「え? あ、うん」

「私が! 私がしょっちゅう あなたの家に行っていたのも!」


ぶん!
腕を振りながら、ミスティアは○○に力説する。


「一緒にお風呂に入ったのも! 歌を歌ってあげたのも!!」


ぶんっ! ぶんっ!!
腕をぶんぶん振りながら、力の限り叫ぶ。


「それもこれも! 全部! 全部ッ…!! 貴方のことが! 好きだからに決まっているじゃない!!」


怒りと羞恥に頬を紅く染めて
目の端に涙を浮かべて
緊張に身体を震わせながら……
ど真ん中ストレートの直球勝負でミスティアは○○に想いを告げた。


「はぁ……はぁ……」


荒い息を吐きながら、ミスティアは目を閉じて○○の返答に震える。


(言っちゃった……!)


もし、断られたら

もし、嫌われたら

どうしよう

私たちはどうなってしまうのだろう……?


今まで、積み上げてきた二人の関係が壊れてしまうのではないか。


嫌だよ

そんなの嫌だ

怖い……

怖い 怖い 怖いよ……


永遠に続くかのような、長くて短い時間の中、恐怖がミスティアを激しく苛む。
彼女の手も足もカタカタと震え、心はルーミアに喰われるとき以上の恐怖を味わっていた。
ミスティアは固唾をのんで、○○の次の発言を待つ。



○○の返答は――――



「え、好きって……ライク? ラブ?」




ブチッ!!




「 ラ ブ に 決 ま っ て い る で し ょ お お お ! ! 」




シュン――――ドゴァッ!!




「ごふぁぁ!!」




どこまでも空気を読めない超ウルトラスーパー鈍感男に、ついにミスティアの幻の右が炸裂する。
人の力をはるかに超えた妖怪の力によって、○○は天空高く吹き飛ばされた。
その姿や廬山昇○破に吹き飛ばされる蟹のようだった。


「 あ じ ゃ ぱ ァ ――― !! 」


ひゅぅぅぅぅぅ~~~~~ぽふっ!


空気を切りながら、落下してきた○○を、ミスティアは両手で受け止める。
さすがに、○○の全身が地面に打ち付けられるのは無視できなかったようだ。


「あ、あんなこと、好きじゃなきゃ……貴方じゃなきゃ死んでもやらないわよ!!」

「いたたたた……ご、ごめん、全然気付かなかった」

「……ッ!!」


この上なくデリカシーの無いセリフが、ミスティアの心を真っ二つに切り裂く。
さすがにミスティアも、もう限界だった。


「うう……酷いよぉ……」

「あ、あの……みすちー?」


○○のあまりの非道さに、ミスティアは怒りを通り越して、とうとう泣き出してしまった。


「ひっく……一緒にお風呂に入ったりとか……ぅぅっ…ものすごく恥ずかしかったけれど、頑張ったのにぃ……」

「みすちー……」

「バカ……バカバカバカぁ……ふぇぇっ…ぐすっ」


事此処に至って、○○はようやく深い罪悪感に苛まされる。
……ハッキリ言って、遅すぎるのだが。


「ごめん……今まで、気付いてあげられなくて」

「うぅ……ぐすっ………」


○○は、ミスティアを優しく抱きしめる。
ミスティアは泣きじゃくりながら、バカ、バカ、と○○をなじる。
そうして、彼の胸の中で子供のように泣き続けた。
子供のように、いつまでも――――


 ・

 ・

 ・


そうして続く長い嗚咽の後、ミスティアはポツリと呟いた。


「……ごめんなさい、ヘンなこと言っちゃって……」

「ヘンなこと?」

「……いいの、わかってるよ……貴方にとって、私は親友でしかないって」


ミスティアが、○○の身体を押し戻す。
彼女の声色は、今まで泣きじゃくっていたとは思えないほどに強い。
けれど、その反面ひどく儚いイメージを抱かせる。


「……みすちー?」

「……でも、ごめんなさい……私、貴方のこと諦められないよ……」

「ミスティア……」

「たった一晩だけでいいの! あなたのこと、大好きだから……
 今夜だけは貴方のためだけに歌わせ――――んぅ……ッ!!??」


ミスティアの声が途中でくぐもったモノに変わった。


何故か?


○○の唇が、ミスティアの唇を塞いでいたから。


「!!??」


今度はミスティアが混乱する番だった
何が起こっているのかも分からない
驚きのあまり思考を纏めることもできない

けれど、驚くミスティアとは裏腹に、○○は冷静そのもの。
少し頬が朱に染まっているが、啄ばむようなキスを数度繰り返す。


「ん……」


そのまま、○○はミスティアの唇を本格的に責め始めた。
まず、自身の唇で、彼女の唇の柔らかい感触を、ゆっくり味わう。
凍りついたように動かない――――動けないミスティアの唇をペロリと一舐めする。
さらに、唇で彼女の唇を挟み、緊張を解きほぐすように――――味わい、貪り、嬲る。
それは、どんな上等な食事よりも濃厚で、愛おしくて
そして、僅かに淫らな味付けがされていた。


「ふぁ……」


ミスティアは耐えきれずに切なげな声を上げた。
熱い彼女の吐息が頬にかかり、酷く心地がよい。

たまらず、ミスティアの指に、自分の指をするりと絡ませる。
すると、彼女もそれに応えるかのように手を軽く握り返してきた。


「ん……ぅ」


喘ぎ声にも似た、か細い呻き声。
それが、彼女の歌声以上に、○○の心の琴線を震わせる。

ミスティアの身体から、どんどんと力が抜けていった。
しかも、その理由は驚きはもとより、この上ない心地よさによるものだった。
唇を中心に、体中全てが蕩かされるような甘い情欲が身を包む。

○○は彼女の指を握っていた片手を外した。
そして、彼女の身体を片腕で抱える。
○○の片腕にかかる重量は全く無いと言っていいほどに軽い。


「ぇ……?」


不意に、ミスティアが小さな声を上げた。
二人の唇が離れたからだ。
○○の唇は、ミスティアの涙の跡を次のターゲットにする。
彼女の涙の跡に沿うように、唇を這わせ、舌先で小さく舐めあげた。


「ぁ……」


一瞬だけ、二人は互いに見つめあい、静かに目を閉じた。
○○はミスティアを強く抱きよせ、ミスティアもそれに応える。
堅くなっていたミスティアの身体も心も完全にほぐれた。
だから、今度はミスティアからも求める。

○○のキスに比べれば、あまりにたどたどしい舌と唇の動き。
けれど、その拙さが逆に○○の心を掻き乱す。


「んっ……!!」


互いを貪りあうような、熱く、濃厚な、甘い口づけ。
互いの唾液が互いの舌に絡み、唇にまとわりつく。
それだけで、甘い電流が脳を痺れさせ、溶けたアイスのようにどろどろに蕩けさせていった。


「……っは……」


10分ほど後、○○はようやくミスティアの唇を解放した。


「はっきり言うよ?」

「ぇ……う、うん……」

「みすちー、君のことが好きだ」



「……え?」



「だから、今夜だけといわず――――ずっと、俺のために歌ってくれないかな?」



 ・

 ・

 ・



「みすちー、すごく嬉しそうだね……」

「だって……幸せなんだもん」


ミスティアは、○○に体を預けながら 幸せに身をゆだねていた。
甘い甘い一時。
この上なく幸せな一時
きっと、それはずっと続いていくはずだ。
そう考えただけで、ミスティアの心は天にも昇るほどの幸福を味わっていた。
けれど、幸福のあまりに、彼女の心をチクリとした不安がよぎる。


「ね、ねぇ……○○」

「ん?」

「本当に……私で良いの?」

「え?」

「だって……私は歌うことしかできないもの。弾幕ごっこも強くないし、胸もぺったんこだし……」


「おバカ」


「え?」

「関係ないよ。弾幕ごっこが弱かろうが、胸がなかろうがみすちーはみすちーだろ?
 俺が今まで、そんなことで親友をやめようとしたことあった?」


「……ない…わ」

「だろ? そういうことだ。大好きだよ、みすちー」


○○はミスティアの頬に軽く口づけた。
彼女の表情がみるみるうちに和らいでいく。


「……これ、夢じゃないよね?」

「いや、つーか夢だったらむしろ俺が泣いちゃうぞ……」

「うふふ……」


再び、甘く緩やかな時を過ごす。

と、その時……○○は少し気がかりになっていたことを思い出した。


「そう言えばさ……どうして最近ウチに来なかったの?」

「う……き、聞きたい?」

「ああ、聞かせて」


ミスティアは、何故か喋ることをためらっていたが、○○に促されてポツリポツリと話し始めた。


「その……ここ最近ね、あなたと一緒にお風呂入っていると、ヘンなことばかり考えるようになっちゃって……」

「ヘンなこと?」

「う、うん……貴方に……その……触られたらどんなだろうとか、貴方に……抱かれたいとか」

(ヤバイ……この流れは)


○○は聞いてしまったことを激しく後悔した。
しかし、もう遅い。


「あ、あのみすちー? この流れは非常にまずいよ?」

「だんだん、そんなえっちなこと考えるようになってきちゃって……その……あの……」

(ヤバイ……このままでは別スレに行ってしまう!!)

「○○のことを考えると(>A<;)が(>A<;)っちゃって……
 でも、何回も何回も(>A<;)ても、(>A<;)が(>A<;)ちゃって……」


ミスティアの瞳は既に潤んで、その頬は羞恥だけでなく 情欲に赤く染まっている。
言動がヤバくなってネチョフィルタがかかってきている。
このままでは、この話がオチなしで打ち切りエンドになってしまう。

けれど、○○はそれ以上に抜き差しならない状況に追い込まれていた。
ミスティアがあまりにイヤらしすぎて、可愛らしすぎて耐えられないのだ。


(落ち着け、偶数を数えるんだ……偶数は必ず2で割り切れる公平な数字……俺とみすちーで、いつでも半分こに出来る……)


「で、でも……本当は、違うんだよ? 私、そんなにえっちな子じゃ――――」

「2、4、6……」


ブツブツと何事か唱え始めた○○を見て、ミスティアの目に怯えが宿る。


「ぁぅぅ……こんなえっちな子は……キライなのかなぁ……?」


「不安そうな顔 & 上目遣い & 涙目」コンボ発動。
しかも、発情した女の顔で――――

○○の理性は、そこまでが限界だった。




ブチッ!!




「アーイ……」




「え? 」



「キャ――ン……」




「ちょ……ちょっと○○?」







「グレェェェェ――――――イズ!!」






「きゃ、きゃあああああっ!!」


○○が完全に壊れてしまった。
有無を言わせず、○○はミスティアをお姫様のように抱きかかえ、彼女の家に飛び込んで――――


「みっすみすにしてやんよォォォ――――!! ア――――ッハハははははァ――――!!」

「ち、ちょっと落ち着いてぇぇ○○~~~~っ!!」


この後のミスティアの運命は、推して知るべし。


最終更新:2010年05月25日 00:49