慧音3



5スレ目>>831>>836


里で悪戯をしていた⑨を無何有の里まで送り届けたけーねだったが、帰り道で吹雪の雪山で遭難してしまった。
辛うじてボロ小屋を見つけて避難したものの、火種も無ければ食料も無い。無事に今晩を乗り越えられるかどうか……

「ハァ……。どうしてこんなことになってしまったんだろう……」
寒さを凌ぐために体育座りよろしく丸めていた身体を起こし、顔を上げて窓の方をうかがう。
凍りついた窓の外には無気味に広がる暗闇の中でわずかに雪が見える。風でガタガタとドアが揺れている。
「……あいつは今頃何をしているんだろう」
彼のことを考えると、心が少し温かくなるような気がした。
「私がこんな目にあっているなんて……知らないんだろうな……」
彼女はクスリと笑った。
「私が里を護るなら、自分は私を護ると大口叩いたくせに……助けに来るんじゃなかったのか……バカ」
ポツリとつぶやいた。目が潤んでくる。何故だろう、拭っても拭っても次から次へと溢れて凍っていく。
少し疲れているのか、それとも寒さにやられたのか、頭の中で彼が自分に呼びかけてくれているような気がした。
「……こんなことなら、もっと優しくしてやるべきだったのかもな……」
心の中で響く彼の声が次第に大きくなっていった。
「白沢時ならともかく、人間の身体でこの寒さは厳しいか……幻聴が聞こえるなんて、私も長くは無いな……」
そう思うと次第に眠気が五感を襲い、自然と大きなアクビが出る。
「……ふぁ……さすがに今日は疲れたな……」
次第にゆっくりと瞼を閉じていった。彼のことを思い浮かべながら、私は覚めることの無い深い眠りに落ちていった……


と思ったら、小屋の扉がドンという衝撃音と共に勢い良く開いた所でハッと我に返り、ドアの方を見た。
「……幻聴の次は幻覚か…?」
私は目を疑った。そこには私が思い浮かべていた人物が立っていた。彼は私を見ると、ニッコリと笑った。
「慧音!!良かった……無事で……」
そう言うと、彼はその場にバタリと倒れた。急いで私は彼の元へ駆け寄った。
「バカ者っ!どうしてこんなところにこんな薄着で来るんだ!顔が真っ青じゃないか!」
彼の格好はジーンズに長袖の上着だけという雪山とは到底かけ離れた格好で、マフラーや手袋や防寒着の類は何一つ纏っていない。
「……俺がここに向かったことは……妹紅に言ってあるから……すぐに救助の人が来てくれるハズだ……問題ない」
彼は息を弾ませながら言った。
「大ありだ!私のことよりも自分のことを心配しろ!…まったく、お前という奴はいつもそうだ……」
けれども私の心はポカポカと温かくなり、頬を伝わってこぼれた涙が彼の頬を伝った。
「……まさか膝枕して貰える日が来るとはなぁ……」
「こんな時に何を言っているんだ」
「……目が真っ赤だ。らしくないな」
「バカ……誰のせいだと思っているんだ」
彼は再びニッコリと笑って私の頬を伝わる涙を手でふき取った。次の瞬間、その手がパタリと地に落ちた。
「……何の冗談のつもりだ?」
彼の体を揺らして見るが反応が無い。
「……おい、返事をしろ!」
次第に激しく揺すってみるが、彼は目を開こうとしない。
「どうした…起きろ!こんな所で寝たら…」
揺すりながら、私の目から涙があふれてきた。
「バカっ!起きろと言っているだろ!…これ以上…私を悲しませないでくれ……お願いだ…」
私は泣きながら彼の体を力強く抱きしめた。その体は恐ろしいほど冷たかった。


しばらくそのままでいると、彼の頬だけがほんのり温かくなった。
「(もしかすると……)」
ある考えが頭の中をよぎった。私は彼の腕をさすり続けた。すると頬と同じようにそこも温かくなっていった。
体中を暖かくすれば、もしかすれば彼は助かるかも知れないと思った。
しかし手だけでは埒が明かない。その間もどんどん彼の体は冷えていく。
「(そういえば、こういう時は地肌で体を温めあうのが一番良いと効いたことがあったような……)」
そこまで考えて、私の顔は火が付いたように熱くなった。妹紅ではないが、たぶん耳まで真っ赤だろう。
「(じっ地肌で暖める!?そっそんなことっ、出来る訳が無いだろう!)」
けれども、彼の命には変えられない。
「(しかしっ……もし途中で目覚めてしまったら……)」
ちらりと彼の方に目をやった。彼はほとんど息をしていないように見えた。
「くっ……今回だけ特別だからな…?」
そう自分自身に言い聞かせて、ゆっくりと自分の服に手を掛けた。

(省略されました。母親に風呂入れと急かされているので、続きを読むには中の人が風呂からあがるまで待って下さい)

…………………………

俺はゆっくりと目を開けた。

「気が付いた見たいね」
「まったく、心配ばかり掛けさせて……」
枕元には慧音と……誰このおbsn

ギロリ

「おおおおねいさん(←なぜか変換できない)は誰ですかっ!?ていうか、ここどこですかっ!?なんで俺連れてこられたんですかっ!?」
何だか得体の知れない殺気を感じたので必死で命乞い。何者だこのおねいさん。
「私は八意永琳。ここは永遠亭。あなたは雪山で体中が冷え切って、凍死寸前の状態でここへ運び込まれたのよ」
「そうなのか~」
慧音を探しに雪山へ行った所から先は全然覚えていないが、大方途中で野垂れ死んでた所を慧音にでも発見されたんだろう。
「まったく……お前は本当にバカだな。私を助けに来たくせに、ミイラ取りがミイラになってどうする」
「でも、貴女の適切な処置のお陰で回復は順調よ? あとは安静にして体力が回復するのを待つだけね」
「ふーん。よく覚えてないんだが、慧音の処置が適切だったお陰で俺は命拾いしたって訳か」
「……本当に覚えてないのか?」
覚えてないものは覚えてないんだ。疑い深いなぁ…… 俺が気を失っている間に何かしたのか?
「ああ、慧音が遭難したって新聞屋から連絡が来た時はもう無我夢中で……気が付いたらここにいたんだ」
「そうか……それなら別に良いんだ」
「……そういえば、なんだか夢を見ていたような気がする」
「夢?」
「なんだかとっても温かくて気持ちいいお湯につかっているような……それに時々声が聞こえた」
「もしかして彼女の?」
「そうそう、ずっと慧音の声が聞こえて、気が付いたらここで寝ていたという訳さ」
何だか慧音の顔が赤いが、雪山の寒さにやられて風邪でも引いたか?
「あらあら、慣れないことはするものじゃないわねぇ~」
「そっ、そんな事は私の勝手だろう!」
「何しろウチに着いてからも、彼をお風呂に入れて暖めようt……」
「わぁーーーっ!!!わぁーーーっ!!!!」
そのまま慧音は永琳の背中を押しながらドスドスとドアに向かい、部屋の外へ永琳を押しやるとバタリをとドアを閉めて、クルリとこっちを振り向いた。
「ハァ……ハァ……わ、私はそろそろ帰ることにする。今日はゆっくりと身体を休ませることだ。無理をしたら承知しないからな?」
「あ、ああ……わかったよ。心配かけて済まなかったな」
「まったく……。それじゃあ失礼するが、何か食べたい物はあるか?」
「え? これと言って特には無いけど、強いて挙げるなら何か果物が食べたいな」
「分かった。明日も見舞いに来るから、それまでに考えておくことにしよう。……探しに来てくれてありがとう」
そう言うと、慧音はドアを開けて部屋を後にした。
その時かすかに「嬉しかったぞ」と呟いたように聞こえたが、扉の閉まる音に掻き消されてよく分からなかった。


完  お粗末様でした


5スレ目>>894(うpろだ0064)


 最近里に客人が来ている。幻想郷の外から迷い込んだ男だ。
 里での仕事を紹介し、住む家の手配をしたのは私だった。
 畑仕事などには慣れていないようだったが、しばらく仕事を教えるとすぐに要領を掴んだ。
 今では里でもなかなか重宝がられている。
 その男が今私の目の前にいる。ついでに酔っていた。

「黙ってすわればピタリとあたる!!」

 そういって男は、私を無理やり切り株に座らせてから酒をあおった。
 なぜこうなったのかわからないが、酔った彼をこのままここに放置していくわけにも行かない。
 満月の光を浴びて異形と化したまま私はこの男の酔いが醒めるのを待たなければならなかった。

「酔ってるのか?」

 分かりきったことを聞いてみる。「酔ってない」なんて言うようなら泥酔確定だろう。

「あぁ? 姉ちゃんだって酔ってるじゃないか。小粋な角なんて生やしちゃって」
「…………」

 十二分に酔っていた。そして彼は異形に気がついていた。
 それはそうだろう、こんなに目立つ角に気がつかないわけがない。
 だが、きっと私が上白沢慧音であることに気がついていない。
 彼はいつも私を『慧音ちゃん』と呼ぶ。
 それだけが、私にとっては大きな救いだった。

「おあ? なんだ?」
「いや、なんでもない……」
「おいおいおい。人がせっかく気持ちよく酔ってるってのに辛気臭い顔しちゃいかんよ」
「す、すまない」
「遺憾に思います」
「…………」
「だっはっはっはっはぁ~」

 なにが面白いのか、さっきからこの調子なのだ。つまらないことをいっては膝をたたいて笑う。
 笑い上戸らしい。

「私は何をしているんだろう?」

 まったくわからなかった。

「だいたいよ姉ちゃん。里から外れたこんなところにいちゃ危ないよ。
 この辺は妖怪が出るんだぜ?
 俺なんてこのあいだな。箒に乗って飛ぶ黒白の妖怪見たんだぜ」
「いや、それは妖怪では……」
「あの妖怪は俺を食わなかったけどな、手持ちの酒を全部掻っ攫っていきやがった」
「あぁ、だからそれは……」

 魔理沙らしい。なんとなく、その現場が目に浮かぶ思いだ。

「まったく……ひどい目にあった。
 っておいおいおい。人の不幸笑っちゃいかんよ姉ちゃん」
「え? いや、すまない。笑ったつもりは……」
「遺憾に……」
「それはもういい」

 そうして男はまた大口を開けて笑った。

「それにしても姉ちゃん。こんなとこで何してたんだい?」
「別に何かしていたわけではない。この異形の姿を誰にも見られたくなかったんだよ」
「おぁ?」
「なんでもない」

 意外なほどさらりと言えたことばに自分自身が驚いていた。
 それは彼が異形の姿を恐れていないからなのか、酔っ払いだからなのか……

「まぁなんだ? 要するに悩みがあるのか?」
「まぁ……そういうことだ」
「そうかそうか。なんだ? 相談に乗るぜ? おっちゃんに話してみな?」
「いや、私自身の問題だ。あなたに相談することじゃない」
「そうかい? まぁいいやな。
 もしその姿が気になって、里の人間に引け目を感じているならそんなの気にする必要ないんだぜ? 『慧音ちゃん』」

 !!

「気が……ついていたのか?」
「そりゃ気がつくさ。慧音ちゃんみたいな別嬪さん見間違えたりゃしないよ」
「ふふ……人が悪いな○○は」
「酔っ払いだからな」
「そうか……」

 彼はこのことを里の人間に言うだろうか?
 言わなかったにしても、これから先彼の私を見る目がきっと変わるだろう。
 なぜかそれが一番悲しかった。

「そんな顔しなさんな。ほれ、呑みな」
「あ、ああ」
「こうやって差し向かって酒呑むのははじめてだなぁ」
「そうだな」
「神社の宴会じゃ静かには呑めないものなぁ」
「あぁ。あそこは賑やかだ」
「……なぁ慧音ちゃん」
「なんだ?」
「酒。美味いだろう?」
「あぁ」
「酒の容器がよ、まったく別のものだとしたら、中身の味は変わるのかね?」
「馬鹿な。そんなことはあり得ない。容器が何だろうと中身に影響はしないだろう?」
「どうしてそれが、慧音ちゃんには当てはまらないと思うのかね?」
「歪な容器は誰も手に取りたがらないということだ」
「だが、里の皆は酒が美味いことを知っている」

 そうかもしれない。だけど私は……

「怖いんだ。この姿を見た里のみんなの目に恐怖が宿るのが。
 あなたは怖くないのか? この異形の私が」
「怖い? 何を怖がれってんだい?
 慧音ちゃんは里での生活の世話をしてくれた、子供たちに字や歴史を教えていた。
 それに里を守っていた。
 そんな慧音ちゃんの姿形が変わったくらいで何を怖がれってんだい?」

 男は笑う。大口を開けて、何か面白い冗談でも聞いたように。
 そうして一通り笑うと立ち上がって私の頭を撫でた。
 酒のせいか、それとも元々そうなのか、その手は暖かく優しかった。

「もし里の皆が慧音ちゃんにひどい仕打ちをするなら俺が守ってやるよ」

 心配ないだろうがね。と、付け加えて里のほうに向かって歩き出した。

「お、おい。酒が……」
「あ? おいおいおい。酔っ払いにこれ以上飲ませてくれなさんな。
 慧音ちゃんにあげるよ。酒でも飲んで心を落ち着けてみな」

 そういい残して、思いのほか軽い足取りで坂を下っていった。
 それにしても……

「『守ってやる』か……嬉しいこといってくれるじゃないか」

 自分でもそうとわかるほどに口角が上がっている。きっと締まりのない顔をしていることだろう。

「……よし。明日、今夜の礼に弁当でも作って持って行こう。
 いつも握り飯だけ持って野良仕事をしていると里の皆も言っていたしな」

 なんとなくうきうきしながら私は静かに手酌で酒を飲んだ。
 酒はとても美味かった。


5スレ目>>900


「本当に、お前がいてくれて助かるよ」

唐突に、慧音が言った。
卓袱台には、紙や糊、はさみが乱雑に置かれている。
今、俺と慧音は、次の授業で使うための教材作りをしている。
何も知らない人に歴史を教えるのは、結構工夫がいるのだ。

「なんだ? いきなり」
「いや、私一人だったらきっと挫折していただろう。
 歴史の話をできる人間が側にいるというのは、本当にありがたいと思う」
「よしてくれ、俺の方が世話になりっぱなしなのに」

幻想郷に来てほぼ2年。
何もわからなかった俺の面倒を見てくれて。
本当に慧音には世話になりっぱなしだ。

「少し疲れたろう。休憩にしよう。
 お茶でも注いでくる。今日は、妹紅が良いお茶を持ってきてくれたんだ」

そう言って、立ち上がる慧音。
俺も手を休ませて、背後の台所からの香りを待つ。

コポコポコポ

ほのかな香りが部屋に満ちる。
こちらに来るのも時間の問題だろう。
だが。

カタッ

俺の右前に、お茶はお盆ごと置かれた。
そして、背中から両手を回して、しなだれかかってくる慧音。
やわらかい頬は、俺の頬に寄せられ、
まるで頬同士でキスをしているかのようだ。

「慧音?」
「幻想郷の歴史もいいが――。
 そろそろ、私たちの歴史も、新たな1ページを刻まないか?」
「え?」
「惚れた性、とでも言うのかな。
 いつも、こんなに独り占めしているのに、もっともっとお前を求めてしまう。
 全てを曝け出したことだし、いいだろう?」
「あ、あれは俺が風呂に入っていたところに慧音が!」
「おや、私はそんなこと言ってないぞ?」

そう言って、悪戯っぽく微笑する慧音。

「くっ、だまされた」
「でも、責任、取ってくれるのだろう?
 あの時約束したしな」
「ああ、もちろん。
 ……実は、今日、慧音に渡そうと思っていたんだ」

胸のポケットから指輪を取り出す。
村の小物屋に誂えてもらった特注品。
シンプルな銀の飾り模様の中心に、青いスターサファイアを配した一品だ。
スターサファイアの宝石言葉は、慈愛、誠実、賢明、徳望。
これほど慧音に似合うものはない。

「これは――、高かっただろう?」
「慧音のためだから。
 それに、プロポーズの指輪が安くちゃ話にならないだろう?」

指輪を掲げ、

「さあ、手を出して」
「あ、ああ。
 でも、なんだか照れるな。
 ……と、こうか?」

慧音の、左手の薬指に指輪を填める。
その指輪は、慧音の白魚のような指に、まるでそこが本来の居場所であるように、よく映えた。

「ああ、やっぱりよく似合ってる。
 ……慧音、結婚してくれないか?」
「喜んで、受けるよ。
 でも、この宝石じゃなくても、浮気なんてしないぞ。
 私はお前一筋だからな」
「え?」
「知らなかったか?
 サファイアのご利益は浮気封じだぞ」

そう言って、くすくすと笑う慧音。
まったく、かなわない。

すでにお茶は、すっかり香りを飛ばしきっていた。



そして――。
数年後。

そわそわと居間で落ち着かない俺。
そこに、妹紅が入ってきた。

「生まれたわよ! 女の子!
 母子ともに健康だって!」
「そ、そうか!」

そう言って、産室へ駆け出す。
大きく足を踏み鳴らしながら、廊下を走る。

ガラッ

襖を開けると、満面の笑みを浮かべた慧音がいた。

「また、私たちの歴史に新たな1ページが刻まれたな」
「慧音、よかった……。本当に、良かった……」
「これしきで泣くな。
 私は、あと51ページは刻んで、徳川家斉を超えるつもりなのだからな」
「ははは、それはがんばんないとな」

泣き笑いのようになってしまって、上手く言葉が出てこない。
俺たちは、限りなく幸せだった。


6スレ目>>648


ぐもんしきで『けーね先生の頭突き』が少し話題になってるみたいですが…

そこで、風邪を引いた時なんかには慧音先生に
「どうした?熱でもあるのか?」
とか言っておでこでおでこをコツンと頭突きしてもらいたい。あれ、日本語がおかしい。

里のやんちゃな童子に説教をする慧音先生。
童子が聞き分けの無い事を言ってそっぽを向くと、けーね先生はその子の頭を、すっと掴んで正面を向かせて
「こら、私の話をちゃんと聞いているのか?」
とか言いながらおでことおでこをコツンと頭突きしたりして欲しい。あれ、文法が変。
そんな慧音先生の教育を受けて育ちたい。


7スレ目>>282


「慧音先生!貴方と同じ時間を歩む為なら
 千の妖怪の血すらも浴びて見せます!!」


7スレ目>>288


夜風に当たりながら慧音と晩酒
もう桜は散ってしまったがそれでも隣に愛しい人がいるだけで酒が進む

「風が気持ちいいな今日は晴れてるし月が綺麗だ」
「ああ、もう春だからな桜も散ったし
  そろそろ暖かくなるだろう」
「まあちょっと前までは寒かったしな
  そうそう、そういえば慧音寒いからって俺の布団に潜り込んで来たよな」

その時の慧音の行動は今思い出しても可愛かったな
真っ赤な顔をして「その・・・寒いから一緒に寝てもいいか?」だもんな

「な!?んなぁ!!////は、恥ずかしい事思い出させるな!」
「そうか?俺は普段甘えてこない慧音が甘えてきて嬉しかった」
「う、うぅあんまり虐めるな、恥ずかしいだろう」
「あはは、かわいいぞ慧音、愛してる」
「あ、ああ私もだ」


うpろだ194


真っ暗な闇の中。
青い髪の少女は幸せな顔で。

「好きだ」と。

言った。
そしてその目を。
ゆっくりと閉じた。












◇◆◇





その少女は青い髪をしていた。
不思議な帽子を被っていて、村で先生をしていた。
俺は彼女に一目で恋をした。
人の世でも、こんな腐れた世の中にも美しい人はいるんだって。
俺は彼女に近づこうとした。
勉強をして、体を磨いて、己を磨いた。
だけど、まだまだ俺はガキだった。
そんな者に彼女が振り向いてくれるわけない。
まだだ。
まだだ。
彼女が振り向いてくれない。
なんでだ。どうして。
俺はこんなに頭がいいぞ。
俺はこんなに力があるぞ。
村を歩けば女共は俺の方を向くぞ。
なのにどうして。
お前は俺のほうを向いてくれない。

「お前は慢心が過ぎるな。少し、自分を見つめなおせ。恋だのなんだのいう話は、それからだな」

慢心が過ぎる?
ふざけるな。こんなの認めないぞ。
ふざけるなふざけるなふざけるな。
こんな理不尽なことは認めない。
お前が俺を認めてくれないなら。
認めさせてやるさ。
俺は強いんだ。
力があるんだ。





◇◆◇





月のない夜。
俺は慧音を山に連れ込んだ。
妖怪がいるという、山。
強い妖怪だという。
それを俺が倒して見せれば。
慧音、お前は俺を振り向いてくれるだろう!?

登る登る。
山を登って、見つけた。
妖怪だ。俺よりも、慧音よりも、ずっと大きい。
蛇のような姿をしていた。
「あれか?」と慧音は訊ねる。
答えずに俺は飛び出した。
家から持ち出した刀剣を持って。
村長からもらったものだ。
妖怪を退治するといったら、くれたものだ。
「○○はほんに勇敢じゃのぅ」
村長は言った。そうさ、俺は勇敢なんだ。強いんだ。
慧音、お前にそれを見せてやる。
俺は飛び出した。
大声を上げて、刀剣を振り下ろした。
妖怪にそれは突き刺さる。
妖怪は悲鳴を上げて倒れこんだ。

「どうだ! 慧音! 俺は強いだろう! さあ、俺と結婚するといえ! 
 俺と一緒になれ! 一緒に暮らせ!」
「……○○っ! そこをどけぇっ!!」

何を言っているんだ。慧音!
さあ、早く言わないか。俺と一緒になると!
何でそんな顔をするんだ。
何で俺に向かってそんな顔をするんだ。
頭がこんがらがって。真っ白になった。
強い衝撃が俺を襲った。
木にたたきつけられた。
肺から息が搾り出される。
心臓が止まった気がした。
かすかに辺りには血のにおいがした。
衝撃に閉じていた眼を開けると。
慧音が立っていた。
俺に背を向けて、両手を広げて。
その身体は、妖怪の口に半分以上飲み込まれていた。
傷口からは止めどなく血が溢れて、地面を汚している。
なんで。お前はそこに立っている。
俺は強いんだ。助けなんて必要ない。
何でお前は。俺を守るんだ。俺は強いんだ。
妖怪の攻撃なんて。見なくても避けられたのに。
何で。

「吹き飛べっ! 終符“幻想天皇”!!」

閃光に俺はまた目を閉じる。
轟音と絶叫と断末魔。
耳も閉じたかった。でも全ては一瞬の出来事で、そんな暇はなかった。
また目を開ければ閃光も妖怪も何もなく、青い髪の少女は地面に倒れ臥していた。





◇◆◇





「……ああ…………○○……無事だったか……。
 ………………………………よかった…………」

何が良かっただ。そんなに血塗れになった。
何が良かっただ。俺は強いんだ。助けなんて必要なんてなかった。
勝手に助けて、そんなに血塗れになって。何が良かっただ。

「…………泣くな……………………○○…。
 私がかっ…………てに…………した……ことだ」

泣く!? 俺がか!? こんなに強い俺がか!?
笑わせるな、俺は強いんだ! お前に守ってもらわなくてもいいんだ!

「そうだな……お前は…………強いな…。
 しって…いる、ぞ。…………いつも…自分を磨いて…………いたな…」

そうだ! そうだそうだ!!
だから!!
そんな顔するなよ。
泣くなよ。
幸せそうにするなよ。
なんだよ、その顔。
幸せそうじゃないか。
だめだ、お前はこれから幸せになるんだ。
俺と一緒に幸せになるんだ。
やめろよ。その顔
まだお前は全然幸せじゃない。
だから泣くなよ。
幸せそうな顔するなよ。
まだ幸せじゃないだろ。
俺が幸せにするんだから。
嬉しそうにするなよ。
お前は俺が守るんだ。
守ってやるんだ。
その時に嬉しそうにしろよ。
俺が守ってないのに嬉しそうにするなんてずるいじゃないか。

「……わた…し……は。……しってい……る…………。
 おま……え…………の……き、もち…………。
 好き……だと…………むか…………し…、いっ……ていたな。
 このさ……い…わたしも…………いっておこ…………う」

いうな!
そんな言葉今聞きたくない!
お前その言葉言ったらどうする気だよ!?
諦めるのか!?
許さないぞ!?
お前は俺と幸せになるんだ。
それ以外認めない。認めない!

「……………………○○……」

黙れ黙れ黙れっ!!


























「……好きだ…………………………………………」



7スレ目>>600>>610


「うーす、ただいまっと」
靴を脱ぎながら、家の奥にいるであろう慧音に話しかける
「今日の晩御飯は何だ?」
慧音は予想どうり居間にいた
「ああ○○、帰ってきたのか……」
少し元気がないように思えるが、それよりも台所からのおいしそうな
においが気になった
「で、なんなんだ?」
「まぁ、その前にそこに座れ」
やはり少し変な感じだ、まさかこの前のちょっとした青春の暴走がばれたのだろうか、そうなると頭突きではすまないかもしれない
「で、どうかしたのか?」
俺は動揺を悟られないように普通を装った
慧音は少しためらいを見せてから
「今日はどこに行ってきたんだ?」
そう言った
「は?」
俺はかなり拍子抜けしたが
「いや、妹紅と山菜を取りにいっていたけど」
「そうかなら、昨日はどこに行っていた?」
「湖で釣りしてたけど、ああ確かチルノ達がいたな」
「なら一昨日はどうしてた?」
「神社に行ってたよ、それがどうかしたのか?」
結局慧音が何を言いたいのか分からない
「じゃあ、最後に私と出かけたのはいつか覚えているか?」
「あーー、最近出かけてないな一週間前ぐらいか?」
「十日前だ……」
ここでやっと何が言いたいのか分かった
「つまり、どこかに連れて行けと」
そういうと目に見えて慧音は動揺した
「な、なにもそうは言ってないぞ、まあその少しくらい二人の時間を……」
「じゃあ明日は二人でどこか行こうか?」
「だ、だから、別に催促してないぞ、それに明日は寺子屋があるし」
「じゃあ無理か、残念だなあ、慧音とデートしたかったんだけどなあ」
そう言いながら俺は立ち上がって台所のいい匂いの元に歩いていこうとした
すると俺の服の裾をつかまれた
「あ、明後日は休みだ、だからその……」
俺は慧音がすごくかわいく見えて頭をポンと叩いて
「じゃあ、明後日は二人で出かけような」
と言った
慧音はうれしそうにうなずいた



「所で○○、さっき座らせた時に態度がおかしかったが
何か隠してないか?」
機嫌のよくなった慧音が食事中にたずねてきた
「ゲホッ!な、何もないよ」
煮物を噴出しそうになりながら俺は答えた
「そうか、私には言えない事か……」
さっきまで機嫌がよかったのにまた暗くなってしまった
そこで俺は渡すものがあったのを思い出した
「ああそうだ、慧音にプレゼントがあるんだよ」
「え、本当か?」
何かすごく嬉しそうだ
「あぁ、これなんだが、ちょっと前に作ったんだが、忙しそうにしてたから
渡せなくてな」
そう言って俺は紙袋から洋服を取り出した
「俺が作ったからそんなに良いもんじゃないけど、それでももらってくれるんなら」
そういって渡すと慧音は胸に抱くように洋服を持ち
「もらうに決まっているだろう、せっかく○○が作ってくれたのだ。返せと言われても返さんぞ」
今までに見たこともないほどはしゃいでいた
「そんだけ喜んでもらえたらこっちも苦労した甲斐があるよ」
本当に苦労したからな、本当に

俺がちょっと苦労を思い出していると慧音は何か疑問に思ったらしく
聞いてきた
「ところでなんで○○は私の服のサイズを知っているんだ?教えた覚えはないが……」
空気が少し寒くなった、
「いやだなあ、教えてもらったよ。うんマジで」
俺は動揺がばれないように普通を装った
「……」
「……」
「……」
「……」
「○○」
「はい、すいませんでした、前に昼寝してるときにこっそり測りました」
俺は頭突き覚悟で答えた
「……まあいい、これのためと言うなら水に流してやろう」
「よかったぁ」
本気で頭突きじゃすまないかもって思っていたからな
「全く、私に聞けば済む話じゃないか」
「いやぁまあ、驚かしたいってのもあったし、後その立派な胸を測ってみたかったって言うのもあって……」
俺はまた空気が寒くなるのを感じた
「○○」
「はい」
「頭を出せ」
「はい……」
慧音の顔が近づいてくる
「いくぞ」
俺は目を閉じ衝撃に備えた



が予想した衝撃は来ず、不思議に思い少し目を開けると
「……!」
唇に柔らかい感触が当たり、慧音と思いっきり目があった
そして慧音は顔を引いて
「今回これで許してやる」
その後食事を再開したが二人して真っ赤なになってしまい会話もできなかった


7スレ目>>623>>625


  「全く、せっかく新しい服を着てきたというのに釣りとはな」
  慧音が呆れたように呟く
  今日は一昨日約束していたようにデートに来たのだが少し慧音が不機嫌だ
  「まあいいじゃないか、俺は慧音がいればそれでいいぞ」
  すると顔を赤くしながら
  「それは私もそうだが……しかし」
  「それにさ今日は別に目的もあるんだぞ」 
  「ほう」
  何かまた不機嫌になったが
  「この湖は新月の晩に怪物級の大物が釣れるらしいんだ」
  「はあそれが本音か……まあお前の釣り好きは分かっていたがな」
  慧音はあきらめたようにため息をついた

  そうこうしているうちに正午になった

  「そういえばさ慧音、朝から弁当作っていたよな」
  今日朝起きたらいい匂いしてたからな
  「ふふ、期待していいぞ。今日は気合を入れて作ったからな」
  そう言って慧音は誇らしげに包みを取り出した
  「なんかでかくないか?」
  明らかに二人分にしては大きすぎる
  「そうか?まあ大丈夫だろこっちは夜食の分だし」
  それでも多いと思うがな
  包みを開けると色とりどりのおかずとおにぎりが並んでいた
  「うまそうだな、さすが慧音だな」
  慧音は照れたように
  「いっぱいあるからな、腹いっぱい食べるといいぞ」
  とうれしそうに言った

  すると上から声が聞こえてきた
  「○○~!なにやってんの?」
  チルノが俺たちを見つけて降りてきた
  「ん、釣りだよ。んで今は食事中」
  「ふ~ん、それおいしそうね」
  チルノが俺の持っているおにぎりを指差して言った
  俺は差し出しながら聞いた
  「なんだ、食べたいのか?」
  「いいの?」
  「いいよな?慧音」
  そう言いながら慧音をみると
  「……ああかまわないぞ」
  少し声のトーンが低かったが慧音はそう答えた
  「ほらチルノ」
  「ん、ありがとう○○、慧音」
  チルノはうれしそうに大きく口を開けておにぎりをほうばった
  「……」
  「どうかしたか?慧音」
  なんかまた少し機嫌が悪くなっている
  「なんでもないぞ……」
  「そうか?ってチルノ急いで食べすぎだ、ほうにご飯粒ついてるぞ」
  そう言いつつ俺はご飯粒を取ってやった
  「……!」
  「ん……。ありがと○○」
  「ああ、ん、慧音?」
  何かなんかさらに機嫌が悪くなってる
  「どうした?おにぎりの具で嫌いなものが当たったか?」
  「……なんでもないって言ってる」
  「?、まあいいけどな」
  その後慧音が静かなまま昼食は終わった
  何かやたらと慧音の頬にご飯粒がついていたけど



  食事後不機嫌なままの慧音とチルノにはさまれながら釣りをして
  「ねえ、○○まだ釣りするの?」
  チルノが首にまとわりつきながら聞いてきた
  「今回は夜が本番だからな、まだまだいるよ」
  「ふーんあたいはお腹いっぱいで少し眠くなってきたよ」
  「なら少し寝るか、ほらひざに乗っていいぞ」
  「な……」
  慧音何故か驚いていたけどチルノがひざに乗ってくる
  「んふふ」
  「なんだよチルノ」
  ひざの上でチルノが変な声を出す
  「○○のひざなんか気持ちいい」
  「そうか?まあひざぐらいならいつでも貸してやるぞ」
  「そうなのか!○○」
  慧音が何かいきなり大きな声で聞いてきた
  「ああ、って何で慧音そんなに驚いてるんだ?」
  「い、いや別になんでもない」
  慧音は平静を装うとしていた


  まあそんなこんな日が暮れてチルノは帰り本番の夜が来た

  「なあ○○、少し寒くないか?」
  確かに春とはいえ夜になると少し寒い
  「ああ、ちょっとな」
  すると慧音は少しためらったようだがこちらに近づいてきた
  「○○ひざいいか?」
  「は?」
  一瞬頭が真っ白になった
  「だからひざに座ってもいいか?と聞いたんだ」
  「いやそれは……」
  俺が答えに詰まっていると
  「何故だ?チルノにはいいって言っていたじゃないか!」
  慧音は少し声を大きくして聞いてきた
  「チルノは子供だからであって、慧音は……」
  そういって慧音を見ると少し涙ぐんでいるように思えた
  俺はそれを見て
  「わかった、ほら」
  とひざをさし出して慧音を乗せてあげた
  髪からはいい匂いがするしひざにはやわらかい感触がするしで
  何かもう意識が持ってかれそうになるのを必死に食い止めた
  「すまない、わがまま言って」
  慧音は静かにそういった
  「別にいいよ、そんな時もあるだろ」
  「しかし、○○も悪いんだぞ、久しぶりのデートが釣りだし
  チルノの相手ばかりしてるし」
  そう不機嫌そうに答えた
  「そっか、すまんな。じゃあまた今度出かけようか?
  次は慧音の行きたいところで」
  すると慧音はうれしそうに頷き
  「今度はちゃんと二人っきりになれるところでな」
  そう答えた
  「よし、じゃあ今日はもう帰ろうか?」
  俺は巨大魚をあきらめそう言った
  「いや、もう少しこのままがいい」
  恥ずかしそうに慧音はそう答えた、
  俺も異論はなかったのでそのまま慧音の体温を感じていた


  というわけで
  おしまい


7スレ目>>642


彼女がそこにたどり着いたとき、それはもう手遅れだった
男はもう物言わぬ躯となってしまっていた
彼の名は○○、ワーハクタクの彼女が愛した男性だった
彼女はベッドに横たわる彼に泣きすがり、この事実を懸命に『なかったこと』
にしようとしていた
しかしそれは叶わぬことだった、死者をよみがえらせることなどはできない
それは彼女自身が最も理解していた、しかしそれでも一縷の望みを賭け
無駄だと理解している行為をやめようとはしなかった。
いややめることができなかった、止めてしまえば
そのとき彼女は彼の死を受け入れてしまうことになる
そしてその悲しみに自分の心がつぶされてしまうことが分かっていたからだ


そうしているうちにどれだけの時間がたっただろうか
少なくとも彼女にはとても長い時間だっただろう
依然として彼は生き返ることはなかった、それは当然のことであった
彼女も理解せざる得なかった
そして彼の死という事実も

すでに彼女の精神は限界に来ていた、このままでは自分が悲しみ壊れてしまう
そう彼女は思った
そしてそうなってもいいかとも思った、彼がいないこの世に何の未練があろうか
このまま狂ってしまうのも楽かもしれないそう思った


しかしその時彼の顔が脳裏に浮かんだ
そして自分がやらなくてはいけないことを思い出した
それは人間を守ること
安全で平和な場所からきた彼は危険なこの世界に驚き
そしてその危険から人間たちを守っている彼女の行為に賛同し協力してくれていた
そんな彼のためにもこの精神状態から立ち直らなくてはいけなかった
しかし彼の死はあまりに重かった、それは生前の彼への想いに比例していた

長い時間が過ぎ、彼女は決断した。彼との出会いを『なかったこと』にすること
そうすることで自らの精神を保つことを


彼女は彼の顔近づけ口付けを交わした
「さようなら、○○。愛してる」
そして彼女は彼との思い出全てに別れを告げた


最終更新:2010年05月26日 01:23