慧音5



うpろだ402


 「なぁ○○」
 「どうしたんです?慧音先生」
 「最近妹紅が輝夜とばかり遊んでいてな」
 「そうですね。殺し合いもしなくなりましたし、良い事じゃないですか」
 「いや、良い事なんだが・・・」
 「もしかして、妬いてますか?」
 「ばっ、馬鹿なことを!! 私は輝夜なんかにっ」
 「妬いてるんですか?」
 「っ・・・・・・まぁ、違うと言えば嘘にはなる・・・」
 「そうですか」
 「なぁ○○、私はどうすればいいんだ?」
 「任せてください。この○○に不可能は無いんです」
 「で、具体的にどうすれば?」
 「妹紅さんは蓬莱人とは言え女の子です。
  女の子は『甘い言葉』に弱い、さらっとそんな事を言われれば絶対ズギューンです」
 「確かに、不意をつかれればクラッとするだろうな」
 「では手本を見せますんで慧音さんは妹紅さん役でお願いします」
 「了解した」



 「それじゃケース1、妹紅と迷いの竹林で会った時やろうか」
 「・・・口調変わってないか」
 「雰囲気の問題ですよ。さ、どうぞ」
 「む、では・・・・・・あれ?○○じゃないか、こんな所でどうしたんだ?」
 「永遠亭からの帰り道だったんだけど、どうやら道に迷ったみたいだ」
 「しょうがないな・・・ほら、私に着いて来な。人里まで送ってやるよ」
 「あぁ頼む」
 「・・・・・・・・・・ほら着いたぞ」
 「ありがとう、助かった。だけど・・・まだ迷い続けているみたいだ」
 「なに?人里には無事に着いたじゃないか」
 「そうじゃない。君に会った時から、僕の心は君と言う存在に迷わされていたんだよ」
 「甘ぁぁぁぁぁぁぁい!!!甘い、甘いぞ○○!! 狐が自分の式に対する気持ちくらい甘いぞ!!」
 「主に対しては激辛なのにね」
 「頼む、もっと教えてくれ!」
 「いーよぅ」



 「ケース2、妹紅が輝夜との殺し合いで負けた時」
 「了解・・・・・・あー悔しい!!あとちょっとだったのにぃぃ!!」
 「どうしたんだ? また輝夜とでも殺し合いをしたのか」
 「これで28571戦14283勝14288敗、最近負け越しが続くなぁ」
 「そりゃあ良かった」
 「・・・ひどくなぁぁぁぁぁい!!?私が負るのがそんなに嬉しいの!?」
 「そうじゃない。負ければ負けただけ君を看病できて、一緒に居られる時間が長くなるんだからね」
 「甘ぁぁぁぁぁぁぁい!!!甘すぎるよ○○!! イージー制覇した程度で調子乗ってノーマルの道中で被弾する奴くらい甘いよ!!」
 「イージーモードが許されるのは小学生までだよね」
 「あぁ全くその通りだ。
  ん? そういえば妹紅は蓬莱人だから看病なんて必要ないんじゃないか?」
 「形だけでもいいのさ。大切なのは、相手と居られる事なんだから」
 「くっ、なんだかお前が別人のように見えるぞ・・・。次頼む」



 「ケース3、もこたんにインする時」
 「よしわか・・・って『もこたんに』!?『に』!? コレ絶対下ネタだろ!!」
 「そうです」
 「そうですじゃない!! 認めない、私は認めないぞ!!」
 「俺のフジヤマがヴォルケイノしそうだ」
 「だから下ネタ止めろ!!!」
 「仕方ない。じゃケース4、もこたんがインした時」
 「・・・今度は大丈夫だろうな」
 「無問題」
 「・・・・・・おいっす!もこたんインしたお!」
 「・・・妹紅、勝手に人の家を改造しないでくれ」
 「いやぁごめん」
 「それと、大事な話があるんだ」
 「ん、どうしたの?」
 「もうやめにしないか」
 「え」
 「勝手に人の家改造して、押しかけて来て・・・こっちの身にもなれって」
 「な、何言ってるの?」
 「正直、うんざりだ。こんな関係止めだ」
 「・・・・・・」
 「それと、これ」
 「・・・・・・何よこの紙切れ」
 「見て解るだろ。婚姻届さ」
 「・・・え?」
 「これからは押しかけたりする必要なんて無い。これから、僕と一緒に不死鳥も妬くほどの熱い愛を育まないか?」
 「甘ぁぁぁぁぁぁぁい!!!甘いよー、甘すぎるよー!! 毎日毎日無いと解っていながらも日に5回賽銭箱を確認している巫女くらい甘いよ!!」
 「全く考えが甘い。余りにも不憫だから今度茶菓子でも持っていくことにするよ」
 「あぁ、そうしてくれ」


 「よし、これで妹紅が私のことをもっと見てくれるだろう」
 「よかったですね、慧音さん」
 「お、口調が元に戻ったな。ありがとう○○、感謝している」
 「それじゃあ最後にとっておきの言葉を教えてあげましょう」
 「とっておき?」
 「好きです。慧音さん」
 「え」
 「貴女に会ったその瞬間、僕の歴史に恋と言う異変が起きました。
  もしよろしければ、僕と一緒に、身も心も蕩けてしまうような歴史を創りませんか?」
 「・・・・・・・・・」
 「無理強いはしません。貴女には妹紅さんと言う大切な人が居るんですから。
  嫌ならそれでかまいませ――――」
 「そんなことない!!」
 「慧音さん?」
 「私も、○○のことが好きなんだ。だが、半分妖怪の私がお前に告白して、そして拒絶されるのが恐かったんだ。
  だから、だから・・・」
 「慧音さん・・・泣かないでください。別に貴女が悪いわけじゃない、その気持ちに気付いてあげれなかった僕が悪いんですから」
 「ぅ・・・○○・・・」
 「ほら涙を拭って、さぁ・・・僕達の歴史は始まったばかりです。
  誰もが成し得なかった、誰もが羨むような、そんな歴史を創っていきましょう」
 「・・・最後は、普通の台詞なんだな」
 「すいません。詰めが甘かったようです」
 「ふふっ、そんな終わり方もいいだろう」


うpろだ410


「雨だな・・・」
縁側にて一人呟く
朝起きた時には降っていた雨は一向に止む気配はない
「雨にもちゃんとしたわけがあるんですよ?」
突然の呼びかけに驚いて振り向く、其処には良く見る奴が、一人
「○○か・・・ところでその訳とは?」
一拍おいて、噛み締めるようにこう謡った
「誰かの事を想うときには、零れる涙かくしてくれる・・・ってね」
「それは外の詩か?」
「ええ、私の好きな詩、です」
彼は続きを歌ってくれた
どうせ雨だ、閉じこもって本を読むよりも、彼の歌を聴いているほうが
「慧音先生、今日は何をするんです?あいにくの雨ですが・・・」
「あ、ああ・・・特にする事はないな」
「まぁそうですよね、雨の日にする事なんてあんまりないですもんね」
「○○は何をしに来たんだ?君の好みそうな本はもうないが・・・」
彼の好みそうな本はもうない
彼は幻想郷の生態系を色々調べていたようだが残念な事に私の所有する本の中にそういった類のものはないのだ
稗田の家に行けばあるだろうが・・・私はあまり歓迎されない、阿求は別だが
「いや、そういうのではなくてですね・・・先生に会いに来たんです・・・よ?」
「え?そ、それは・・・その・・・あ、ありがとう?」
不意打ちを喰らって混乱してしまう、私に、会いに、わざわざこの雨の中
いや、深読みするな、この雨で暇だったのでたまたま、何となく此処に来ただけなのかもしれない
でも、もしかして私の期待する、いや期待じゃないぞ!こうだったらいいなぁ~なんていうただの考えであって
いや、でも、彼が此処に来た理由が・・・私に対してその・・・好意を抱いてくれているような理由であるならば・・・(赤面
「先生?何を赤くなってるんですか?」
「なななんでもない!気にするな」
いけない、へんな妄想に入り込んでいた、気をつけねば
彼が持ち込んできた少女まんがと言うものを読んでから・・・「恋する乙女状態」とやらだ
もう何だか、彼を意識してしまって・・・ああ、もうなんだこれは
「○、○○・・・そういえば今日はなぜ私に会いにきたんだ?」
とりあえず確信を、期待しつつも期待してないふりで自分をごまかしつつも・・・
「んーと・・・雨で、どうせ一日動けないなら、先生と過ごしたいなぁ、と思いまして・・・ご迷惑でしたか?」
「いや、そんなことは無い、今日は一緒にゆっくりするとしようか・・・ではちょっとお茶を入れてこよう」
そう言って、縁側から台所へ
さらっと流したつもりだが、内心は動揺している、とても動揺している
こんな雨の日に、わざわざ私の所へ来てくれた、それだけでも嬉しいと言うのに
一緒に過ごしたいとまで言ってくれた、手が震えてお茶が淹れられない
とりあえず落ち着こう、ゆっくり湯が沸くのを待っていよう
そうしてヤカンを眺めていた、なかなか遅いものだ
何分たったか知らないがもうそろそろかと思い湯の様子を見ようと思った時
いきなり目の前に腕が、その腕は優しく私を抱きしめた
「あ・・・・」
「先生・・・すいません・・・嫌なら言ってください、直ぐ離れますから」
「え、あ・・・」
突然の出来事に硬直、上手く声も出ない
「・・・先生?」
何が怒っているのか解ってはいるけども、脳の処理が追いつかないと言うか、なにがなんだか
「・・・離れますね」
彼の腕から開放された、寂しいと感じる辺り私の気持ちは確かなようだ
「○○」
振り返った彼女は、予想に反して、反してはいないが、不貞腐れたような、表情をして、こういった
「しょ、正面から・・・もう一度、その・・・ぎゅーってしてくれないか?」
怒られるか、嫌われたか、と思っていた、それが
「先生?その・・・いいですか?」
「も、もちろんだ、だからその・・・」
俺は先生を正面から抱きしめた、さっきよりも確実に、恐る恐るではない
頭が鳩尾辺りに来るぐらい、ちっちゃい先生
とても愛らしい先生
外が明るい、雨が止んで日が差してきたようだ
「・・・先生、雨が止みましたよ」
「そうか・・・」
「何処か出かけますか?」
「うん、それもいいな・・・でも」
「でも?」
彼女は、俺に抱きしめられたまま顔を上げて
「今は、このままでいたいな・・・」
だから俺は彼女を、抱きしめる
「そういえば君が歌ってくれた歌に、最高の天気は最高の口実に、とあったな、今日の雨はまさにそれか?」
「ええ・・・俺はどんな天気でもそれを口実に先生に会いに来ますよ」
「ふふ・・・ありがとう」
そうして二人で、湯が吹き零れるまでの間、抱き合っていた

~end~


7スレ目>>804


ある日あぶなくてあったかい幻想郷に迷い込んだ俺。
そこで出会ったのは弁当っぽい帽子を被った女の子、上白沢慧音。
恋する俺。
紆余曲折をへて相思相愛な俺と彼女。
ある日彼女の親友も交えての三人だけの宴会。
飲む俺。
飲む妹紅。
舐める慧音。
楽しい時は過ぎ行くもの。
「じゃあ、またねー、慧音」と立ち去る妹紅。
二人きりのお家。
ほろ酔い気分の俺。
白い肌に朱が入った慧音。
片付けをする慧音に背中から抱きつく俺。
抵抗する(フリの)慧音。
一週間ぶりだもの、止まらないだろう俺たち。

「わっわっ、わわの忘れもの~♪」

戻ってきた妹紅。
慧音のうなじに顔をうずめる俺。
後手で俺の頭を抱える慧音。
止まる時。

どうすんの、どうすんの、どうすんの俺っ!

どうすんのよー!


7スレ目>>827


別に角があろうとなかろうと俺の好きな慧音なんだがな。


7スレ目872


○「慧音ってさ、俺にあんまり甘えてこないよな
慧「いきなりどうしたんだ○○、何か変な物でも食べたのか?」
○「・・・気遣いありがとう、でも今はその気遣いがイタイ」(泣)
慧「で、甘えてくるのがどうしたって?」
○「人が泣いてるのにスルーかよ、チクショウ・・・」
慧「話が進まないんだが?」
○「分かったよ、で、話の続きだけどいつも俺が慧音に甘えてばっかりで慧音が俺に甘えるのってないじゃん」
慧「まあそうだな」
○「なんで?」
慧「○○こそなんでそんな事と聞くんだ?私に甘えるのが嫌いなのか?」
○「いや、只単に薄っぺらい俺のプライドの問題だ
  慧音が俺に甘えてくれないから俺ってそんなに器の小さい男なのかなー?なんて思っちゃうわけよ
  ・・・・・・すまん、今の聞かなかった事にしてくれ」
慧「そんな事思ってたのか・・・私の方こそすまない
  ○○の気持ち分からなくて」
○「だから聞かなかった事にしてくれっt」
ぽすっ
○「け、けけけけけ慧音!?」
慧「甘えて、欲しいんだろ?だったら少し眠たいから肩を貸してくれないか?」
○「・・・・・この体制結構きついから膝枕でもいいか?////」
慧「ああ、タップリと甘えさせてくれ」


10スレ目>>724


幻想郷のとある人里の寺子屋にて。

「というわけで、コレはこうなるんだ。わかるか?」
「はーい!」
年端もゆかぬ子供達に学問と呼ばれる類のモノ(とは言え年齢に沿った内容だが)を教えている女性――上白沢慧音を眺める。
本来ならば授業が終わる頃合に来る予定だったのだが、仕事が思ったよりも早く片付いてしまった。
前々から見たいと思っていたが(慧音からは「見に来るな!」と言われていた為控えていた)
時間が余っては仕方ないということで、堂々と寺子屋の壁にもたれて野望を果たしている。

…時々慧音のこめかみがぴくぴくとしているのは気のせいだということにしておこう。

「よし、じゃあ今日はここまでだ。宿題はちゃんとやってくるんだぞ!」
「…はーい」
何故だろう、心なしか子供達の顔が一瞬硬くなる。
疑問を抱いたのも束の間、次の瞬間には笑顔に戻り外へと駆け出す子供達。
「さよーなら、けーねせんせー!」
(…あれくらいの歳ならまだ遊び盛りだろうしなぁ…やれやれ)
苦笑を浮かべながら開け放されたままの戸を閉めようと手を伸ばした所で
「ぐぇ」

首根っこを掴まれた。

「何故、お前が、こんな時間に、ここに、いるんだ?」
軽く掴まれているだけなのだが、ちょっと動いた程度では振りほどけそうもない。雰囲気とか。
我らが里の代表こと慧音様はご立腹のようだった。
(…意外に力強いぞ、なんてこった)
逃げ出すことは溜息と共に諦めて、手をかけていた戸を閉める。
「いやぁなに、今日の仕事が思ったよりも早く片付いたもんで」

「片付いたから、何だ?」
嗚呼、掴んでる力が上がった…痛い、痛いぞ慧音。
「一度くらいは、お前の授業している姿を見たいなー…なんて」

「なんて、じゃないだろう○○!
 あれだけ見に来るな、と言っていたのに…」
なんとか動かせる範囲で振り向くと、慧音は心なしか恥ずかしそうにしている。

「ん、どうした?」
「なんでもない!」
顔を見ている事に気づいたのか、物凄い勢いで顔をそらされた。
と同時に、首の圧力からも開放される。

(見に来るな、と言っていたのは恥ずかしかったから…か)

あえて言及はしないが、恐らくは正解であろう予測を胸に仕舞う。
「ま、いいか…それじゃ、そろそろ帰ろうか」
「あ、ああ、そうだな!帰るとしよう」
「戸締りはちゃんとなー」
この小屋の管理もしている慧音に後を任せ、一人裏口から先に出る。
程なくして慧音も鍵束を持って出てきた。
裏口にも鍵をかけ、二人並んで帰路につく。

「…しかし、早いものだな」
「んー?」
「○○を助けてから丁度1ヶ月だ」
「そうだったっけか」
「あれからどうだ?少しは何か思い出したか?」
「いや、全然」

俺こと○○には少しばかり前から記憶がない。
豪雨の日に里の近くの川岸に倒れていたのを、氾濫しそうか否かの様子を見に来た慧音が見つけて家に運んだらしい。
目が覚めた時には常識程度の知識はあったものの、名前やら思い出といったものが丸々と消えていた。
見知らぬ女性の家に居座るわけにはいかない、と滞在を断ったのだが、
住処はどうする、食べ物は、着るものはどうするつもりだ(以下略)…としつこく説得を受け、結局お言葉に甘えている。
いい意味でも悪い意味でもおせっかい焼きのようだ。
名前に関してはその時着ていた服の懐にあった"パスポート"というものから分かった…というのは慧音談。

「…俺は別に記憶なんぞ戻らなくてもいいけどなぁ」
「ど、どうしてだ?お前の今まで生きてきた"歴史"が分からないんだぞ?怖くはないのか?」
何気ない一言であったのに慧音はひどく驚いたように見えた。
「…記憶が戻らなくても生きてはいけるし。それに…
 俺は今の暮らしにとても満足してるからさ。
 今はそれでいいじゃないか」

俺は今の暮らしに満足している。
そりゃ名前しか分からないし、それすらも正しいのか自分で確かめる術も無い。
…でも、今こうして生きている。話せる奴もいる。それで十分だ。

「…慧音には感謝してる。名前も定かじゃなかった俺に部屋も貸してくれたし、仕事も紹介してくれたし」
色々考えた末に、月並みな感謝の言葉を述べる。
本来ならもうちょっと気の利いた言葉でも投げかけるべきなのだろうが、そこまで思いつくほど甲斐性はない。
「わ、私は人間が好きだからな。…仕事とかそういうのも、それ故だ。別に○○が好きだからと言う訳では…」
「そっか。うん、でも…ありがとう」
「ああ」
そういって俺を見た彼女の顔は柔らかく微笑んでいた。
若干頬が赤かったのは夕陽のせいだろう。



「…ああ、そうだ。今日の晩飯何がいい?確か俺当番だったよな?」
「夕餉か…いつぞや作ってくれた牛の乳で出来た焼き物を作ってくれないか。アレは美味かった」
「グラタンね。了解」
(確かチーズは保存庫にまだあるよな。野菜も申し分なし、と。…よし)
食材の残りを考えた上で希望が叶えられることを確認する。
「あれは手間がかかるからな…さっさと帰ろうぜ!」
喋りこんでいたせいで少し遅くなっていた歩調を戻す。
「お、おい、置いていくな○○!」


夜も覗き始めた夕刻。
茜色の小径に並ぶ影が今日も二つ。


うpろだ548


 あれは必然だったのだろうか。
 ただの偶然であったかもしれない。
 いずれにせよ、いつかは来る問題だったのかもしれない。
 そしてそれは、俺達の関係を確実に変化させた。



「おお……今日は満月だったか。キレイだな」
 夏の終わりとはいえ、夜はまだ少々暑い。
 用を足しに起きたついでに涼みも兼ねて、夜の散歩と洒落込む事にした。
 慧音宅は里の外れに位置しているのもあってか、比較的大きかった。
 この家で暮らしているとは言えど、まだ一ヶ月。見知らぬ箇所もある。
 そういった箇所を潰していこうというわけである。
 ちなみに現在知っている場所は…正門から行ける土間、慧音の寝室、書斎、俺があてがわれた部屋、
 それに生活に必要な台所なんかの空間くらいか。

「まずは外をぐるっと回ってみるか……」
 そんな事をひとりごち、草履をつっかけて歩き始める。

    ~10分後~

「ちょ、ちょっと待て…いくらなんでも広すぎるぞ!」
 正門から探索を始めて…今ようやく裏庭といった所。
 新しい発見がある度に歩みを止めていたせいもあるが、如何せん広すぎる。
 普段は家の広さなど気にしていなかったため広さ云々まであまり気にしたことはなかったが
 恐らくは割と裕福な一族が住んでいた屋敷なのではないだろうか。
 里の代表という扱いを受けているのだから、この位もあって然るべきなのかもしれない、が
(……一人暮らしには……ちょっとどころじゃなく広いよなぁ)

 慧音はずっと一人でここに住んでいたのだろうか?
(だとしたら寂しすぎるぞ、慧音)

 裏庭には大層な樹齢の桜の樹が生えていた。
 どれほど生きているのかは知らないが、腰掛けて一息いれるには丁度いい。
 樹の幹に背をもたれ、夜空を見上げる。
 満点の星空に、明かりを不要とするほど明るく輝く満月。
(酒と肴でもあれば最高の月見になるんだがなー)
 アイツはそういったものを嫌うのか、倉にはそれに類するものはなかった。
 曰く「あそこの山の神社にでも行けば全てがあるはずだからな」とのこと。
 何があるのかは検討が付かないが、いつか行ってみようと思う。


「~~ちょっと冷えてきたかな……そろそろ戻……ん?」

 月のあるはずの方向とはまた別の方向に明るさを感じる。
 ふと見やると、そこには

 緑色の髪に、角が生えた、見知った顔が。

 そう、確かに所々おかしい点はあるが(尻尾とか生えてるし)、間違いない。
 命の恩人を、見間違えるはずはない。彼女は俺のよく知る上白沢慧音だ。


「……慧、音……?」
 思わず出てしまった、誰何の声。
 予想などしてもいなかったのだろう、振り向いて俺の顔を確認するや、慧音は驚愕の顔のまま固まってしまった。
「○……○……どうして、そこに?」
「………」
「…そうか、見られてしまったか、とうとう」
 できれば知られたくなかった。そんな口調で俺に語りかける慧音。
「御覧の通りだ。私はワーハクタク。"人"と"妖怪"の中間のような存在だ。
 従って、人間では、ない」


 ――人間と"妖怪"は争うもの――
 仕事場で色々と聞いた与太話の一つとして記憶していた言葉が思い出される。


(あいつは妖怪……なのか?)
 だけど普段は人間そのものだ。……話し方は少しどころじゃなく可愛げがないし、すぐに俺の事を怒るけど。
 それに妖怪ならば何故人里にいる? 何故人を襲わない? 何故人間に優しくするんだ?
 俺の中では解決しないまま次々と疑問が浮かんでくる。
 目の前にいる彼女にぶつければそれもすぐに解決するのだろうが、
 俺は、辛そうな顔をして俯く目の前の少女にそんな事は出来なかった。

「怖がるのも無理はないな。今まで騙していたようなものだ。
 それに関しては謝る。すまない」
 俺が黙っているのを恐怖と見て取ったのか、慧音はそのまま話を続ける。

「……私がこんな存在であると知ったからには、もう一緒にはいたくないだろう?
 明日になる頃には私のことも忘れている……安心してくれ。
 それに、住む場所も用意しておこう。ココではないどこかに」

(……何を、言ってるんだ?)
 恐らく妖怪ならではの能力でも発揮して、俺の記憶を消す、ということなのだろうか。
 そして聞き捨てならない事も言いやがった。それだけは止めなければならない。
 知らないうちに震えていた身体に鞭を打ち、立ち上がる。

「逃げるのか? それはそれで、いいのかもしれないな。
 何処へなりとも逃げるがいいよ」
 半ば投げやりに言った後、俺に背を向ける彼女。
 いつもより少し、背中が小さく見えた。

 少しずつ、少しずつ。
 逸る気持ちを抑え、俺は足を動かす。
(……ったく、誰が怖いっつったよ。そりゃ足は震えてたけどさ)
 言いたいことを、少しずつ、頭の中で纏めながら、足を動かす。

(妖怪とか……人間じゃないとか……どうでもいいや、もう)
 先ほどまで頭を渦巻いていた疑問を今だけは、少なくとも今だけは押しやる。
 そんな事よりも大事な事を、言わなければならない事が出来た。
 さっきよりも近づいた慧音の背は、少し震えている。尻尾も元気がない。
 俺に襲い掛かるのを抑えているのか、それとも。

(まったく、一人で言いたいことばっか言いやがって、この)
 もう、手が届く範囲にいる。
 一度、深呼吸。 よし、落ち着いた。

「なぁ」
 びく、と震える背中。
「ビビったことは謝る。お前がそういうモンだって、知らなかったからさ」
「……」
「何だよ、そういう事なら早く言って欲しかったんだがな」
「……すまない」
 声が震えてるぞ、慧音。
「だけど、俺は出て行かないよ。あと、記憶を消されるのもまっぴら御免だ」

「!?」
 震える背中を、そっと抱きしめた。
「な、何を……」
 彼女にとっては予想外の出来事だったのだろうか。驚愕の気配と、堅くなる身体。
「俺はさ」
 構わず続ける。
「こんなに辛そうな顔してる奴を、放ってはおけないんだ。それに」
 言いたかったことを、言ってやろう。 

「綺麗で、頭もよくて、優しくて、でもちょっと抜けてて。そんな慧音が、俺は好きだ」
「―――っ! ……だ、だが私は妖怪なんだぞ。寿命とか、人とは違――」
「そんなの関係ないな。俺は俺。お前はお前。ただそれだけじゃないか。
 お前が永遠を生きるというのなら、俺もそうであるように頑張るさ。
 里の近くには永遠に生きる元人間も居るって話だしな、そいつに方法を聞きにいくさ。
 だから、出ていけなんていうなよ。後、そんな辛そうな顔もやめようぜ。
 俺は、里の人と楽しそうに笑いあうお前だから好きになったんだぞ?」

 言いたいことを言いたい放題に言ってやる。
 さっきやられたんだから、コレでおあいこだ。

「こんな……」
 俺の方を向いた慧音の顔は、涙でボロボロだった。

「こんな、私でもか?」
「ああ」
「人間じゃ、ないのに?」
「そんなの関係ないって言ったじゃないか」
 もう一度抱きしめる。
 今度は、彼女の顔を胸に埋めさせる形で。
「――っうわああああああああ!!」
 腕の中で泣きじゃくる少女の心が、少しでも晴れる事を祈って。
 より強く、抱きしめた。





 落ち着いてきた頃を見計らって、もう一度言ってやる。
「改めて、言わせてくれ。
 慧音、好きだ。愛してる。
 ……一緒に、いさせて、くれないか?」

 ちょっと卑怯かな? と思わなくも無いが
 今逃したらもうチャンスがなさそうな気がする。

「……それは、こちらが言いたい台詞だよ。
 一緒に、生きてくれないか? ○○」
「お安い御用だ」




 二人の想いは、一つ。
 前にそびえる壁は、分厚く、高く。
 でも、それがどうした。
 俺達なら、きっと乗り越えられる。
 そんな、気がした。









~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

どうも、長文お疲れ様です。
妖怪(半妖)と人間の恋愛って相当覚悟がいるものだと思うので
(寿命やら、生き方等)
それらを踏まえた上で慧音に色々行動取らせてみました。
○○?
あいつぁ記憶がないからかえって大胆に動けるっていう事で。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


紅魔館執事日誌(8スレ目 >>38)


紅魔館執事日誌
○月闇日

注文していた物が今日届いた。
休みはすでに後日とる予定があるので
自分で買いに行く暇がなかったからだ。
配達を頼んだら若い男性が配達にきた。
自分と年が近かったせいか、門番に
「仕事に戻らないとナイフが飛んできますよ。」
とたしなめられるまで話し込んでしまった。 反省

しかし最近のカップルはすごいな、まさか頭を彼女にかじらせて
尚且つコミュニケーションをとるとは、今度メイド長に進言してみようと思う。
○月こぁ日

今日は湿気が高いため除湿作業に追われていた。
外の世界なら除湿機やらで終わるのだが機械などあるはずもなく
人間である自分には結構辛い作業だ。
紅魔館では主に風魔法による除湿をしているので
魔法の使えない何人かの使用人には魔女特性の魔法石を渡された。
ほどなく作業は完了、本日は何事もなく終了。

と思いきや図書館勤務の男が一人湖までふっとんだ。
ちょうど玄関担当だったので帰ってきた男から話が聞けた。
曰く司書と仲良く仕事をしていた時私の同僚から例の石を借りたらしい。
図書館には除湿は必要ないはずだが?と聞き返したら
「風の魔法はスカートめくりに使うのが男のロマンだろ!」と熱弁された。
実行のあと司書のジャイアントスイングにより
ふっとんでしまったらしい。
司書とはすでに結婚しているはずなのに、いまだに
バカップルのごとくラブラブな二人を見ていると
ため息半分羨ましさがあったのは日誌だけの秘密だ。

しかし湖までふっとんだのにピンピンしているのはなぜだろう?

○月妹日

妹様大暴走。
いつもいっしょにいる家庭教師が風邪で寝込んだことを知ると
「あいつの所に行くー!」
とのこと。
図書館の主人の魔法にて迅速な消火がされたが館はずぶぬれ。
あの妹様にここまで慕われる家庭教師は幸せものだと思う。
そんなことを考えながらずぶぬれになった館を掃除していたら、
メイド長が妹様に拉致られていた。
おそらく慣れない看病のヘルパーとしてつれていったのだろう。

南無

○月パ日

メイド長が帰ってこなかった。
今日配達された新聞によると、
とある宅配の仕事をしている男が本日誕生日らしい。
接点は知らないがメイド長は顔見知りらしく
いつもは着ない私服で出かけていった。
しかし、日付が変わっても帰ってこなかった。
お嬢様曰くほおっておけとのこと。

○月ッ日

メイド長帰宅。
メイド隊はほっ、と一安心、門番は鼻水たらして抱きつきていた。
私服ではなくいつものメイド服なのと時々
「烏に月人め…。」
と呟いていたは気になったが、清掃部門も一安心だ。
今日は白黒の侵入もなく平和だった。

○月ド日

メイド長が毎晩屋敷を空けるようになった。
以前の男の家に通い妻をしている。
泊まってくるときもあるので屋敷一同で式の準備をしていた。
もう少し書きたいがまだ作業が残っているのでここで切り上げることにする。

○月暦日

今日のことはあまり覚えていない。
明日は待ちに待った休暇だ、緊張で仕事に身が入らなかった。
先月までに貯めた三ヶ月分の給料で頼んでいた指輪を
一日中握り締めていたら同僚に笑われてしまった。
司書夫妻には夫婦漫才で激励された。
いまはそんな気遣いがありがたい。
私には幻想郷に迷い込む際、世話になった恩人がいる。
別に日誌書く必要はないのだが、なにかしていないと落ち着かない。
その恩人に告白したのは三ヶ月前だ。
その時は酒でよった勢いなので保留になってしまった。
三ヶ月待つのは辛かったが、指輪くらい甲斐性をみせるのは
ちっぽけなプライドである。

だから明日君に言うよ

結婚しよう、慧音


8スレ目 >>48


「よしっ!今日の仕事はおわりっと」
昼を少し過ぎたとき俺は慧音に頼まれた寺子屋の教材を
まとめる作業を終えた
向こうの世界でそれなりに勉強していただけだが
こういった雑用をすることで居候させてもらっているので
あっちでの勉強も無駄ではなかったのだと思う
今日は夕方から妹紅が来るので慧音は買出しに行った
つまり今は家には俺しかいない
「というわけで今日いつもできないことをゆっくりとさせてもらおう」
俺は押入れから枕を二個を取り出して縁側に向かった
俺は昼寝が好きだ、それこそ『の○太君』のように一日中寝ていることも可能だ
特に縁側で日を浴びながらまどろむのは天国にいるような時間だと思う
しかしこっちに来てからあまりできなくなっていた
なぜなら慧音がだらしないとか風邪を引くといってさせてくれないのだ
もちろんこちらのことを考えて言っているのはよく分かるのだが
昼寝を生きがいにしていた俺にはかなり厳しかった
「慧音はまだ帰ってこないだろうしゆっくり寝れるな」
そう独り言を言っていつものように枕一つおいてもう一個を腕に抱いて眠った
枕を腕に抱くのは昔からの癖だ、慧音にも最初かなり笑われたが
こればっかりはどうにもならない
まぶたを閉じると暖かな日差しとともにゆっくりと眠気が意識を覆っていった

数時間後

今日は妹紅が来る日だから腕によりをかけて夕食を作ろうと思ったが
少し○○に雑用押し付けすぎたかもしれんな
まああいつが好きだというコレも買ってきたし大丈夫か
と考えつつ私は家に急いでいた
そうこうするうちに家が見えてきたのだが縁側に誰かがいるようだ
「ん、妹紅か?」
近づくと確かに妹紅だった
「早かったんだな、今夕しょ…ん?」
こちらに気づいた妹紅はなにやら指を口元に立てている
「何だどうかしたのか?」
声を小さくして尋ねてみると
妹紅が縁側を指差した
そっちを見れば○○が昼寝をしていた
全くいつものことだが少々呆れてしまった
「○○こんなところで寝ると風邪を…」
と私が○○の肩をゆすろうとしたが
その手を妹紅に止められた
そして妹紅は○○の腕から枕を抜き取り少し離れたところに置いた
すると○○は寝たまま手探りで枕を見つけまたそれを大事そうに抱え込み
安心した子供のような顔で眠り続ける
なんだか小さな子供のようでかわいく思えた
「おもしろいでしょ?何回やってもこうなるんだ」
妹紅が○○を指差して笑う
「確かにそうだな、まったく○○はどうも子供っぽいとこがあるからな」
私も笑いながらもう一度枕を遠くにおいてみる
やはり○○はさっきと同じように手を伸ばし腕の中に抱え込んだ

その時私はあることを思いついた
「どうかしたの?慧音」
不自然に動きを止めた私に妹紅が聞いてくる
「い、いやなんでもない。……すまない妹紅、卵を買い忘れてしまったから
買ってきてくれないか?」
「ん、ああいいよ。じゃあちょっと行ってくる」
そう言って村のほうへと向かっていった
その姿が見えなくなったのを確認してから私は○○の腕から
枕を奪い部屋の中に放り投げた
そして○○の正面に寝そべって目を閉じた
程なくして肩に暖かさを感じそのまま眠ってしまった



なんだかすごくいいにおいがして目が覚めた
目を開けるとそこにはなんというか『特盛り』な物体があった
そしてその向こうになんか紅い鳥が見えた
ここで記憶は途切れた


8スレ目 >>218


「じゃ、俺そろそろ行くよ」
「ああ、○○。気をつけて行けよ」
「わかってるって。何時までも慧音は心配性だなぁ。
 俺だっていつまでもガキじゃないんだからさ、大丈夫だって」
「…そうだな。今のは私が悪かった、すまない」
「謝るなって。心配してくれる人がいるのは、嬉しいことさ」
「私の役目は終わりだ。早く行ってやれ」
「……ああ。その…慧音、今までありがとな」
「…………早く行け。奥さんが待ってるぞ」
「なんだよ、棘があるなぁ。まさか嫉妬してるとか?」
「ははは、ばれたか。さっさと彼女のところに行ってやれ。
 さもないと私は○○を殴りかねん」
「そりゃあ恐ろしい。さっさと退散するよ。……じゃあな!」
「ああ。…………元気でな」


「……おーい、慧音。居るか?」
「…妹紅か。ちょうど暇になったところだ」
「うわ……酒臭いな。どうしたんだ、いきなり酒盛りなんか始めて。
 ……いや、ヤケ酒か」
「そういうときもあるさ。放って置いてくれ」
「また…………ダメだったのか」
「……………………」
「何でお前はそう、○○に固執するんだ? 先代のときも、その前も、その前も
 ダメだったろう?」
「それでも…………」
「どうしてだ。諦めろよ。○○以外にもいい男はごまんといるだろう?
 大体、お前を見捨てて他の女に乗り換える男なんざ――」
「それでもっ! 私は!!」
「……………………」
「…………○○が好きなんだ」
「……はぁ、わかったわかった、そう怒るな。なら、また待てばいいさ。
 私たちの寿命は長い。100年やそこら、短いもんだ」
「…………妹紅、ありがとう……」
「ああ、もう、泣くな泣くな。今日は飲み明かそう、明日からまた頑張ればいいだろう?」
「『また、100年後、○○に会えると信じて』」
「『今度は、○○と一緒になれるといいな』 ……100年前も同じ台詞言ったのな、私たち」
「もう忘れたさ、そんなこと。……さあ、飲もう! 今日はつぶれるまで飲むぞ!」
「望む所だ。途中で寝るなよ、慧音!」


8スレ目 >>269


 今日は慧音が昼寝を許してくれた、いつもなら
だらしないとか言って寝てると枕を引き抜かれたりするのだが
今日は俺が眠そうにしていると
「そんなに眠いのなら寝ればいいじゃないか…」
となんか不機嫌ながら言ってくれたのでお言葉に甘えて
昼寝させてもらったのだが、なんとなく視線を感じた
まぁ別にそんなことが気になって眠れなくなるほど
デリケートな人間でもないのでさっさと寝たのだが

さっき起きてみたら何か妙に唇に違和感を感じる
鏡を見に行くときにすれ違った慧音の様子もおかしかったし
まぁなんとなく察しはついたのだが、ちょっとカマかけてみることにした
俺は居間に戻って慧音に
「なぁ俺が寝てるときになんかしたか?」
と聞いてみたら
「な、何もするわけはないだろう」
そんなふうに動揺を隠そうとしながら答えた
「そっか、なんか鏡見たら口紅がついていたんだが?」
「そんなわけないだろう!ちゃんと化粧は落としてから……あ」
分かりやすいな、いや本当に
「で、落としてから何したんだ?」
「いや…それはその……」
そういって口ごもった
「まぁ、別にいいんだけどさ。そういうのは起きてる時にしてくれ
なんか損した気分だ」
「あ、ああ…」
顔がもう真っ赤だった
「とりあえず何回したんだ?」
「い、一回だけだ!」
「そっかじゃあ俺も一回だけ…」
そう言って俺は慧音の口をふさいだ
「いきなり何を!?」
「慧音が一回したんだからコレでおあいこだろ?」
「……回だ」
小さな声で聞き取れなかった
「ん?」
「本当は二回したんだ、だから…」
そう言ってこっちをみつめてくる
「そうか、じゃあもう一回…」
「ん…」
そういってもう一度したのだが

その後慧音の『本当にした回数』はどんどん増えていった

8スレ目 >>279


「で、コレはいったいなんなんだ?」
慧音が俺が持ってきたモノを指差しながら言った
「コレはトランシーバーっていうモノだ」
「トランシーバー?」
「そう俺の世界の機械、まぁこっちで言う式みたいなもんだよ
バイト先で入荷してたから買ってきたんだ」
「お前のバイト先というとあの店か、大丈夫なのか?」
「大丈夫!、というわけではいこれ」
俺はトランシーバーの片方を慧音にわたした
「ん?くれるのか、しかし何に使うんだコレは?」
慧音が珍しそうに見ながら尋ねてくる
「これを使うとだな、なんと遠くにいても会話することができるんだ!」
「何!?」
「だからコレを使えば何か用があったとしてすぐに連絡がつくから
いちいち会いに行ったりしなくても済むんだよ」
「…そうか」
「便利だろコレ」
俺はそう言ったがどうも慧音はひっかかることがあるらしい
「便利かもしれないが…私は要らないな」
そう言ってトランシーバーを机に置いた
「ん、何でだ?」
「逆に聞くが○○は私に顔を合わしたくないのか?」
「質問を質問でぇ…じゃなくてそんな訳ないだろう」
「しかしそれを使うと用事を顔を会わさないで済ましてしまうのだろう?」
ここまで聞いて慧音が何を言いたいのかが分かった
「つまり慧音はコレを使うと俺が会いにこなくなるからいやだと?」
「……」
顔を紅くしながら慧音は小さくうなづいた
俺は慧音がとてもかわいく思えて抱きしめた

終わり



「でもさ、夜寝る前とかさ。ちょっと話したりとかもできて便利だと思うんだけどなぁ」
「そ、それなら…わ、私の家に泊まっていけばいい」
「(゚д゚)」

本当に終わり


8スレ目 >>336


「い、いやだっ……見るな! 見ないでくれっ!!」

初めて見る彼女の本当の姿。

「……けーね……君は」

妖怪だったのか?

「お願いだから………いやだっ…嫌いにならないでくれっ………おまえに嫌われてしまったら…私はっ……」

いつも凛としていた彼女が、今、俺の目の前でポロポロと涙を流していた。
そして、近くにあった頭から布団を被った。
“人では無いモノ”と化した自分の姿を必死で見られないようにしている。

「いいや、見せてくれ、けーね。」

俺は、彼女が纏っている布団の…彼女の頭の部分だけを優しくはぎ取る。

「ひっ……」

彼女はカタカタと震えていた。
否、怯えている。
俺に『本当の姿を見られて、嫌われてしまう』ということに。

「……」
「……?」

数秒間の沈黙…そして

「すごく、かわいいよ、けーね」

俺は満面の笑みを浮かべて彼女に言った。
それが、俺の素直な感想。

「おまえは…こんな姿の私でも……」

けーねの瞳から、次第に次第に恐怖の感情が消え去っていく。

「愛しているさ。むしろ、惚れなおしているくらいだ。」

彼女の恐怖からくる涙が、一瞬で歓喜の涙にすり替わる。
そして、気づけば、彼女は俺の胸に飛び込んでいた。

「私は……幻想郷一の幸せ者だ」

「……はは、大袈裟だな」

大袈裟なんかじゃないと、けーねは言う。

「私は、もう お前を離したくない……いいや、離さない。」

「ふふ……」

普段の彼女が見せない、もう一つの姿。

「だから、私から、離れないでくれ……」

「もちろんだよ」

それは、人間でない姿と…こんな風に俺に寄りかかってくる姿。

「私は、もう お前なしでは、生きていられないカラダになってしまったから…」


8スレ目 >>337


けーね依存症候群?

「くはははは・・・みぃぃぃたぁぁぁなぁぁぁ」

「……けーね……君は」



牛だったのか?



Grave!!



「・・・俺は、もう 君なしでは、生きていられないカラダになってしまったから…」


最終更新:2010年05月26日 07:21