慧音6



8スレ目 >>369


トランシーバーの副産物のような良く分からない状態のまま
俺は結局慧音の家に泊まることになった、まぁ何度かお世話になったこともあったし
それほど構えてもいなかったわけだが
そして夕食を食べ終え俺が今までのように毛布を借りようとしたとき
事件は起きた

「今日は同じ部屋に寝るぞ」
「……は?」
「だ、だから今日はここで一緒に…」
「本気か?慧音」
「だからさっき夜寝るときに何か話そうっていったじゃないか」
「ああ、そういうことか」
俺はかな~りアダルティなことを想像していたが単純にそれだけらしい
「ほ、ほら布団敷くから手伝え」
そう言って襖を開けて布団を取り出そうとしていた
「ん、これなんだ?」
襖から布団と一緒に何か転がり出てきた
「人形かこれ?」
それは人間の男をかたどった、なんていうか愛嬌のある人形だった
しかしかなり良くできたものであることは俺でも分かった
「っ!!」
慧音は俺が掲げた人形を奪い取ろうとした
俺はそのまま渡しても良かったがなんとなく避けてしまった
「なんつーか、どっかで見たことある顔だな、コレ」
どうにもこの間抜け面には見覚えがあるんだよな
なんか毎日顔を合わせてるような
「それは○○だ…」
「ああ~、俺かどうりで……ってマジ!?」
慧音は頷いた
「うあ~よく見ると確かに俺だな」
そう思うとさっきまでの間抜け面が急に凛々しく見えるような気もしたが
気のせいだった
「でもなんで俺の人形なんか?」
慧音は俯いたまま答えない
なんか俺はいやな予感がした、なんとなく人形から連想する嫌なものが
よぎった
「あのさ、これもしかしてアリスが作ったとか?」
「ああ…この前作ってもらったんだ」
と、ここまで聞いて俺は既に土下座していた
「すいませんでした!!」
「は?○○何をやって…」
慧音が何か言ってるが土下座続行
「すまん!つーかマジでそんなに怒ってるとは思わなかった!」
「いやだから…何を言っているんだお前は?」
「何って、慧音に謝罪をだな」
「謝罪って、何かしたのか?」
「いやだって俺の人形に釘刺すくらい怒ってるんだろ?」
「何の話だ?」
「だからアリスに俺の人形作らせたって…」
「作らせたが別に釘を刺すためじゃないぞ」
「マジで?」
「ああ」
俺は頭をあげて土下座を解除した
「はぁ~よかった、なんだよ、まぎらわしいぞ慧音」
「勝手にお前が勘違いしたんだろ」
慧音は呆れたように言った、そして
「で?○○、さっき謝ってたのは何故だ?また何かしたのか?」
「……」
「何をしたんだ?」
妙に怖い笑顔が近づいてくる
「黙秘権とかはなしか?」
「却下だ」


その後説教は一時間以上続いた

「はぁ~お前にはほとほと呆れてものが言えん」
「一時間以上説教してたが…」
「何か言ったか?」
「何にも言ってないゼ!」
「…声が裏返ってるが、まあいいさっさと寝るぞ」
そう言って布団を敷き始めた
俺も自分の分をやろうとしたが、少し疑問が残っていたので
聞いてみた
「なぁ、慧音結局あの人形はなんに使うんだ?」
「……」
「何に使うんだ?」
妙に紅くなっている慧音に追求した
「黙秘権とかはないのか?」
「却下だ」

夜はまだ始まったばかりだ


8スレ目 >>381・382


   今日は七月八日七夕の翌日である、普通ならもう七夕は終わり
  飾り付けられた笹もしまわれるたり焼かれたりするのだが、俺は笹をもって慧音を訪ねていた
  「というわけで慧音七夕をやろう」
  「何がどういうわけでそうなったかは知らんが、七夕は昨日やっただろ」
  「昨日やったが寺子屋の子供たちとやったからすげえ忙しくて
  ぜんぜんゆっくりできなかったし、第一メチャクチャ雨降ってて星も見れなかっただろ」 
  昨日はそれこそバケツをひっくり返したという表現がぴったりの天気だった
  「まあそれはそうだが」
  「だろ?というわけで飾りつけ手伝ってくれ」
  「しょうがないな全く」

  そんな感じで俺たちは二度目の七夕をすることになったんだが

  「なあ慧音は願い事は何書くんだ?」
  「ん?ああ昨日書いたからもういらないだろ」
  「そうか?せっかくもう一度やるんだからまた書こうぜ
  せっかくあまった短冊もらってきてるし」
  そう言いながら俺は慧音に短冊を渡した
  「願い事なんて欲張るとろくな事にならんと思うが…」
  「まあ願うだけならタダだし、書くだけ書こうぜ
  短冊がない笹も味気ないだろ」
  慧音は呆れたような顔をしながらも短冊を受け取り
  願い事を書き始めた


  二人とも願い事を書き終え飾ろうとしたのだが
  「○○はなんて書いたんだ?」
  そう言って慧音がこちらの短冊を覗き込んできた
  俺はとっさに短冊を隠して
  「慧音こそなんて書いたんだ?」
  と聞き返した
  「私か?私は無病息災だ」
  「なんつーか、慧音らしいというか普通だな、というか慧音って
  もともと病気になりにくいんじゃなかったっけ?」
  「そうだが、私の近くにすごく無茶というかバカなことばかりするやつがいてな
  そいつの分も含めてだ」
  「ふーん、誰だそれ?妹紅か?でもあいつ慧音よりも丈夫だろ?」
  「お前自覚がないのか?」
  「何が?」
  「はぁ…もういい。それで結局お前はなんて書いたんだ?」
  「それは教えられないな」
  「私が教えたんだから、教えろ…っというか飾るんだから結局見るだろ」
  そう言って俺から短冊を奪い取った
  「ちょ…おい!」
  「ん?二枚重なってるのか?○○願い事は欲張るとろくなことがないとさっき言っただろ」
  「いや、それはどっちにしようか迷っているんだよ」
  「何だ?そんなに願い事が多いのかお前は…」 
  そう言って慧音は笑っていたが願い事を読んで固まった
  「どうした?慧音」
  「この願い事はどういうことだ?」
  すごく静かな声でそう言いながら俺が書いた短冊を示した
  そこには俺の二つの願いが書かれていた

  一枚には
  『このまま幻想郷で楽しい日々がおくれますように』

  もう一枚には
  『いつか自分の世界に帰れますように』


  「まだ迷っていたのか…」
  「まぁな、やっぱあっちの世界に未練がないとは言い切れないしな」
  「そうか…」
  慧音はそういうと俺の短冊を笹に飾りつけようとした
  俺が帰れますようにと書いたほうをだ
  「慧音何を…」
  「明日神社に連れて行ってやる、うまくいけばお前の世界帰ることが
  できるかもしれない」
  「は!?ちょっと待ていきなり何言ってんだよ」
  「だから帰りたいんだろう!」
  「いやだからまだ迷ってるんだよ!」
  俺自身まだ踏ん切りがついていなかった、幻想郷に生きるにしても
  元の世界に帰るにしても
  「ならちょうどいい機会だ、今決めるといい」
  「待てよ!いきなりそんなこと言われても…」
  「どうせいつかは決めることだ」
  「それはそうだが…」
  いきなりのことに頭がついていかない
  俺は黙り、慧音も黙って俺の答えを待っていた

  少しの間沈黙が続き、俺は口を開いた

  「ひとつだけ質問してもいいか?」
  「…何だ?」
  「俺が幻想郷に残った場合、慧音は傍にいてくれるのか?」
  「は!?何を言って…」
  「だから幻想郷に残った場合傍にいてくれるのか!」
  俺はずっと迷っていた原因を慧音に聞いた
  慧音は驚きながらも俺の目をまっすぐに見て
  「…ああ、いいぞ。傍にいてやるとも」
  と答えてくれた
  「そうか」
  なら迷いはなくなった
  「慧音…俺はここに残るよ」
  そう言いながら慧音の腕を引いて強引に抱きしめた



  結構長い間そうしていたのだが、短冊吊るす途中だったので
  作業を再開した
  「なあさっきの短冊貸してくれ」
  「ん?こっちを吊るすんだろ?」
  そういって俺が幻想郷に残ると書いたほうの短冊を掲げる
  「ああ、だけど少し書き直さないと」
  「書き直す?」
  「ああ」
  そう答えながら俺は受け取った短冊に少しだけ書き加えた


  『このまま幻想郷で慧音と楽しい日々がおくれますように』


8スレ目>>384-385,388,392,394,404,412,421

384 :名前が無い程度の能力:2007/07/09(月) 01:22:18 ID:ujTdlG1w0
  慧音が溢れちゃいそう!なんて嬉しい悲鳴。

385 :名前が無い程度の能力:2007/07/09(月) 01:36:33 ID:ujTdlG1w0
  分が抜けた。慧音分ね。
  …どんな状況なんだ。

388 :名前が無い程度の能力:2007/07/09(月) 12:12:49 ID:OVenZwtI0
  >>385
  ちび慧音がポコポコと涌いて溢れるとか

392 :名前が無い程度の能力:2007/07/09(月) 15:33:27 ID:0.UsN4d2O
  >>388
  チビけーねがポコポコ腕振り回して「◯◯のバカー!バカー!」している、に見えた


  ちょっと吊ってくる

394 :名前が無い程度の能力:2007/07/09(月) 19:55:08 ID:0ixxGnI60
  >>392
  満月の時はきもけーねになって
  新月になったら幼女になるんだな

404 :名前が無い程度の能力:2007/07/10(火) 01:23:30 ID:Weh6KDSQO
  >>394
  つまり、いつもはしっかり者で姐御肌な慧音先生で
  満月時は愛しの人に角を見られるのを恐れる奥手なきもけーねで
  新月時は純粋無垢の好奇心旺盛なょぅじょけぃねでFA?

412 :名前が無い程度の能力:2007/07/10(火) 15:22:12 ID:mAhjnMjg0

  >>404
  つまりはこういうことか!

  通常時慧音場合

  慧「ほら、いつまで寝てる気だもう朝日はとうに昇ってるぞ」
  ○「ん~~?ああ、慧音かおそよう」
  慧「まったく……朝飯はできてるから早く食うぞ
    この後私は寺子屋に行かないといけないんだからな」
  ○「先に食ってればいいじゃん」
  慧「ま、○○と一緒に食べたかったんだ////」
  ○「慧音……ありがとな」
  慧「ほ、ほら早く食べるぞ」
  ○「ん、いただきます」

  きむけーねの場合

  慧「………………なあ○○」
  ○「ん?どうした慧音」
  慧「いや、なんでもない」
  ○「そうか」
  慧「………………………………」
  ギュゥ
  慧「ま、○○!?」
  ○「安心しろ俺はずっと慧音と共に在るから」
  慧「……ありがとう○○」
  ○「ありがとうを言うのはこっちのほうだよ」

  ようじょけーねの場合

  慧「○○!○○!」
  ○「あ?どうした慧音」
  慧「○○はわたしのことすきか!?」
  ○「ああ、大好きだぞ」
  慧「そうか!ならちゅーして!」
  ○「ちゅ、ちゅーは大きくなってからだ」
  慧「むぅ~、ならおよめさんにして!」
  ○「それも大きくなってからな!」
  慧「○○はだめだめっていうー○○はわたしのこときらいなの?」
  ○「それはないまずない絶対ない」
  慧「そっかー、じゃあ愛してる?」
  ○「ああ、愛してるぞ」
  慧「じゃあ抱っこして」
  ○「それならいいよ」
  慧「わーい!」

421 :名前が無い程度の能力:2007/07/11(水) 09:46:54 ID:pUWIVUG6O
  >>412に続いてみる

  新月の夜
  慧「ねー◯◯!◯◯!」
  ◯「おぅ、どうした慧音。」
  慧「けっこん、てなーに?」
  ◯「んーそうだな。愛し合う二人がずーっと一緒にいること、かな。」
  慧「そうなんだ!じゃーわたしも◯◯とけっこんするー!」
  ◯「それはうれしいな。慧音、俺の嫁さんになってくれるかい?」
  慧「うん!」

  そして次の日
  慧「ま、◯◯!あのな、昨日言っていたことはな、なんというか幼体での無垢な願望というか日頃心に留めているというか
  私も白無垢着てみたいなーとかそういうものではなくてだな、言葉のあや…ではなくて
  いやお前と結婚するのがイヤな訳ではない!」
  ◯「ときに落ち着け慧音(ニヤニヤ)」←確信犯

  そんなやり取りが月一でやっとるそうな


8スレ目 >>475


「なぁ慧音、ホッケーマスクの殺人鬼知ってるよな?この間教えたもんな」
「それがどうした○○、確かに今日は13日の金曜日だが幻想郷にあんな妖怪はいないぞ」
「いや、適役は目の前に、後はマチェットとホッケーマスクで完璧」
ごすっ!
「額が!額が割れた!!」
「デリカシーが無い奴、だからもてないんだ」
「いいジャマイカ!せっかく13日なんだぞ!?不吉なんだぞ!?」
「いやいや、それは喜ぶべき事じゃ無い」
「・・・仕方ない、殺人鬼に追っかけまわされるよりベットでギシアンしてるカップルのほうがいいな」
「ぎしあん?なんだそれは?」
「気にするな、覚えなくて言い単語だ、ほんとにやるとほんとに出そうだな」
「?さっきからわけのわからないことばかり」
「慧音!俺とギシアン、じゃ無かった、不吉な夜のデートをしよう!」
「で、デート!?私と○○で?夜の人気の無い森へ?」
「うむ、山のほうに行って月でも眺めようか」

「結構冷えるな、もう一枚羽織ってくればよかった」
「だから言ったろ?ほら、これ着とけよ」
そう言って○○は慧音に自分の上着を着せる
「す、すまない・・・暖かいな」
思った以上に明るい、夜だが妖怪の気配も無い
「・・・こんな暗がりに連れ込んでどうするつもりだ?」
「どうした慧音、襲って欲しいか?」
「ば、ばか!そんなことは・・・そんなことは」
「襲っちまうぞ~」
「そ、そこまで言うなら・・・私は」
そう言って慧音は頬を赤らめつつ服を脱g


8スレ目 >>525


慧「なあ○○、ちょっと聞きたいことがあるんだがいいか?」
○「聞きたい事ってなぁに?けーねーちゃん?」
慧「その・・・だな、妹紅と私どっちが好きだ?」
○「んー、もこたん!」
慧「っ!?・・・なんでだ?」
○「お菓子くれるからー!」
慧「そうかではもう一度聞こうか
  妹紅と私どっちが好きだ?」←お菓子をあげつつ
○「けーねーちゃん!」
慧「そうかもっとお菓子をあげよう」
○「わーい♪けーねーちゃん大好きー!」

~その夜~

妹「ねえ慧音」
慧「ん?なんだ妹紅」
妹「昼間の見てたんだけどさ、情けなくない?お菓子で釣るなんて」
慧「も、妹紅もやってるだろう!?」
妹「私は下心ないし」
慧「むぅ・・・分かってる、みなまで言うな
  でも!それでも!○○に大好きと呼ばれたいんだ!!」
妹(・・・今度永遠亭にでも連れて行こうかな)



8スレ目 >>545


いつもどおりの午後、そろそろ日も暮れてきて
そろそろ慧音のところに夕飯をたかりに行こうとしていた時
その闖入者は現れた

「うぉわ~~~~~!」

ドカドカーーーン!!!

「どうした!?○○」

この間約3秒、その3秒の間に

俺が悲鳴あげる
 ↓
慧音が悲鳴を聞きつける
 ↓
壁吹っ飛ぶ
 ↓
慧音登場
という事態が起きた

「どうしたんだ!?○○」
驚いていて言葉を失っている俺にもう一度聞いてきた
「……あ、ああ、ちょっと驚いただけだ」
「そうか?あの悲鳴は尋常じゃなかったが…」
「まぁ、どちらかというと今の慧音の登場に驚いたんだが……」
いくら隣に住んでるからって壁ぶっ壊して飛んでくるとは思わなかった
「お前が何か困ったら助けてやると、前に言っただろう?」
と自慢げに言った
「確かにそんなことを言ってたな」

俺は幻想郷に来たときに慧音に助けられてから慧音の家に
居候させてもらっていたが、ある事情から隣に自分の家を作り
住むことになった、そのときに慧音は反対したのだが結局は俺の意見を尊重してくれた
その時に
『何か困ったことがあったらすぐに呼ぶこと』
と言う条件を出していた。
まぁこんな風に壁ぶち抜いて登場するとは思ってもみなかったが

「で、結局何があったんだ?」
「ああ、そいつだ」
そう言いながら俺は壁に張り付いている奴を指差した
「そいつってこのムカデか?」
「……そうだ」
「○○は虫が苦手だったか?」
「いや基本的には大丈夫なんだが、ムカデだけはちょっとな……」
子供の頃に刺されてから軽くトラウマだ
「そうか、まぁなんにせよ、お前に別状がなくてよかった」
慧音は壁にあいた穴にムカデを追い出しながら言った

「しかしな慧音、壁をぶち壊すのはどうかと思うぞ」
「し、しかたないだろう……○○の悲鳴が聞こえた時には
もう飛び出してしまっていたんだから」
「それでお前の家の壁も俺の家の壁もぶち抜いて来たと」
「そ、そうだ」
まぁ俺が悲鳴挙げたのは事実だしな
「とりあえず、ありがとな慧音」
「あ、ああどういたしまして」
「だけど次からは玄関から入ってくれ」
「……わかった」


「とにかく壁をふさぐぞ、このままじゃ風邪を引くし、ムカデがまた入ってきても困る」
「ああ、そうだな」
そしてとりあえず応急処置として壁をふさごうとしたのが
「なぁ○○」
「何だ?」
「この穴そのままにしておかないか?そうすればすぐにこっちにこれるし」
「却下だ」
「ならもういっそのこと渡り廊下のようにしてだな……」
「却下」
「……」

その後なぜか機嫌の悪くなった慧音に夕食を作ってもらうのに
二時間かかってしまった


8スレ目 >>567


「というわけで妹紅からのラブレターを渡してきたんだ」
「ふーーん、●●も苦労するな」
あの二人は顔合わせると喧嘩してしまうみたいだしな
「まあ、今回一緒に祭りに行く事でうまくいけばいいんだが」
「大丈夫だろ?あいつらなんだかんだで両想いだと思うし」
「確かにな、全く早く素直になればいいものを」
「……慧音が言うのかそれを」
「わ、私はいつも素直だぞ」
「ほう、そうかそうか」
「な、なんだその言い方は」
俺は鞄の中から一冊の本を取り出した

「何だそれは?」
「これはだな、俺の日記帳だ」
「は?」
「俺は物忘れしやすいからな、結構細かく書いてるんだ、コレ」
「ほ、ほうそうなのか」
明らかに動揺している
「コレによるとだな、慧音が結構素直じゃなかったことが書かれてるんだ」
「……」
「例えばだな、俺が妹紅やらチルノやらの相手してて不機嫌だった時に
素直にどこかに連れて行け言えなかった事とか」
「あ、あれはだな」
「例えばチルノについたご飯粒取ってやったときに自分も取ってほしくて
わざとご飯粒くっつけてたこととか」
「……気づいてたのか?」
「いや気づくだろ、あんだけ大量にくっつけてれば」
「なら取ってくれても良かったじゃないか!」
「いやどんだけ増えてくか気になってな」
確か最終的にはかなりの量になってたな、まぁスルーしたが

「…○○、お前というやつは」
慧音が非難の目を向けてくるがかまわず続ける
「その日は確か夜になって膝に……」
「ちょっと待て、分かったからもうやめろ!」
さすがに聞いてられなくなったのか慧音が俺の口をふさごうとした
俺はそのまま慧音の背中に手を回して目をまっすぐに見て言った
「じゃあ、今日は素直になってもらおうかな?」
「な、何!?」
「さっきの手紙の話を俺にしたことから推測して、何か言いたいことがあるんだろ?」
何が言いたいのか俺は大体分かっていたがあえて問いただした
「…っ!」
「慧音は素直なんだろ?」
そう俺が言うと慧音は顔を真っ赤にしながら
「……×月×日の夏祭り一緒に行こう」
と小さな声で言った
「了解した、金魚すくいでも射的でも何でも付き合うぞ」
俺がそう答えると慧音はうれしそうに頷いた


8スレ目 >>579


「あーマジで冷たくて気持ちいい」
「ちゃんと約束は守ってよ」
七夕も終わりだんだんと夏が本気を出してきた今日この頃
俺はあまりの暑さにチルノを捕まえてきて縁側にいた
今度また遊びに付き合うということで涼をとらせてもらっていた
「わかってるって、蛙の沼でも湖でも付き合うよ」
実際この季節にチルノと行動を共にするのはこっちからお願いしたい
まぁ冬はマジで死にかけるが
「あとまたアレ持ってきてよ」
「アレってこの前の弁当か?」
「そう!」
「ああ、それなら慧音に頼まないと無理だ」
「じゃあ、頼んでよ」
「頼んでみるけど、保障はできないな」
「え~~!?」
「まぁ無理な時は俺が作ってやるよ」
「○○が!?」
チルノがすごく意外な顔をした
「自炊してたし結構料理は得意だぞ、まぁ今は慧音が作ってくれるし
めんどくさいからやらんがな」
「ふ~ん」
「あーーっと、これは慧音には言うなよ、なら食事を作るの手伝えって
なっちまうからな」
そんな風に冗談めかして言うと
「そうだな、今度からは○○に食事を作ってもらおう」
部屋の中からすごく聞き覚えのある声が聞こえた
俺は振り向かずに、いや振り向けずに
「あ~~慧音、帰ってたのか?」
「ああついさっきな、全くお前というやつは……」
「あははは……」
「○○、明日から一週間は食事当番だ」
「うわ、まじか?」
「もちろんだ」
「……はぁ、めんどくせぇな」
「なんか言ったか?」
「なんも言ってないぜ?」
「何で疑問系なんだ……」
はぁ、なんかすげぇ墓穴掘ったな、なんかまた暑くなってきた気がする



「なぁチルノ?」
「なに?」
「ちょっと失礼」
そう言ってチルノを持ち上げて膝に乗っける
「わ!?」
「ああ、やっぱこうしたほうが涼しいな」
「な、○○何やってるんだ!?」
慧音があわてたような声を出す
「ん?こっちのほうが涼しいぞ」
「そ、そうじゃなくてだな」
「別にチルノも構わないだろ?」
「ん、別にいいよ。びっくりしたけど」
「だってさ」
「うぅ~……」
なんか納得いかないことでもあるのか慧音は不満げの顔をする
「どうしたよ?」
「なんでもない…」
ここで俺はなんとなく何が不満なのか気づいた
「ああ、そういうことか!」
「っ!」
俺がそういうと何故か慧音は紅くなった
「慧音も涼みたいんだろ?」
「は?」
「ほらほら、遠慮するな」
そう言って俺は慧音を縁側に手招きする
「お前は鋭いんだか、鈍いんだか……」
「は?」
「いやもういい、じゃあ遠慮しないぞ」
と、なんか引っかかるようなことを言いながらこっちに来る


「あの~慧音さん?」
「何だ?」
「何で慧音さんまで膝に座りやがるデスか?」
「遠慮しなくていいんだろ?」
「そうは言ったがな、しかし……」
「……だめか?」
そんなことを言いながらこっちを上目遣いに見てきた
この時点で
「……だめじゃねえよ」
と答えるしか俺には選択肢はなかった




その日はなんかチルノが近くにいるのに物凄い暑い日だった


8スレ目 >>629


「今帰ったぞ。…聞いてくれ○○、この暑さのせいなのか皆少しおかしいんだ。
 なにが、とは言わないが……○○? いないのか…?」
「……………………」←床に突っ伏してる
「○○…っ! おい、返事をしろ○○! ……くそっ、熱中症か!?」
「……………………」←面白そうなので無視を決め込む
「永琳に連絡して……いや、それよりも身体を冷やす方が先か……!」
「……………………(汗」←ちょっと展開がおかしいぞ
「ええと、熱中症のときは服を脱がせて腋の下を冷やすんだったな」
「……………………(汗(汗」←やばい、やばいぞ。何かがやばいっ!
「……ちょっと待て……。ここのよりも風呂場のほうが冷たいんじゃないか……?」
「……………………(汗(汗(汗」←何でそんな展開になるっ!
「うん、よし。○○……私が助けるからな…………」←○○を担いで風呂場へ入ってゆく
「……………………(汗(汗(汗(汗」←誰かー! たーすーけーてー!


「あーーーーーーーーーーーーー!!!!」
その数分後、○○の悲鳴が夏の空に飲み込まれていったそうな。
「ったく、悪ふざけが過ぎる!」
それを聞きながら慧音氏は濡れた服を着替えたそうな。


9スレ目 >>493


「○○どの~ご在宅か~?」
響く声、一人の少女が家の中に呼びかける、返事はない
「鍵もあいているじゃ無いか・・・もしかして裏か」
勝手に家に上がる、しかし靴は持っていくらしい
家の中を真っ直ぐ進むと裏口、其処で靴を履き、扉を開けた
「ん?ああ、先生でしたか」
「やはり裏にいたか、探したぞ、数分」
「ははは、すいません」
桶、のようなものを洗う男、どうやらこの家の主のようだ
「何か掃除か?」
「ええ、こいつらの家ですよ」
そう言って男が指差したのは色とりどりの綺麗な、金魚
「おお、あんなに黒かったのにずいぶん綺麗になったものだな」
「今年は色変わりが早かったですから、もう完全に色が変わってますよ」
「・・・綺麗だな」
「ありがとうございます・・・その子達も喜ぶでしょう」
掃除を終えたのか桶を壁に立てかけ、群れた手を拭いた
「それで・・・今日は何か用ですか?」
「い、いや、金魚たちがどうなったか気になって・・・身に来ただけ・・・だ」
男は嬉しそうに笑った、少女も、笑った
「ん?この金魚背びれがないぞ?顔も何か違う?」
「ああ、それはランチュウといって・・・・・・」
それから男の金魚話が続いた、長くなったのでカットカット

「なるほど・・・そうなのか、じゃあこの種類は・・・」
金魚の勉強、変な話だが彼女にとってこの話は面白いらしい
何処で生まれ、どうやって改良され、そしてこれからは
ぶっちゃけ染色体がどうの色素変異がどうのってのは全然わからないが、先生はそっちの方が詳しいみたいだ
「先生、日が暮れてしまいます」
夕焼けに染まる風景、全て等しくなるように、暗闇の前触れに
「ああ・・・その・・・また来ても良いかな」
「はい、先生が来るのを心待ちにしています」
「そ、そういうのじゃなくて!き、金魚に、金魚に会いに!金魚を見に来るんだぞ?」
「ふふ、そういうことにしておきます」
「だ、だからだな、そういうのじゃなくて!」
夕焼けは短い、故に美しいのだろう
彼女と話す時間は夕焼けのように短いかもしれない、でも
「お、綺麗だねぇ」
夕焼けの中、金魚だけは自らの色を持ったまま、輝いていた


11スレ目>>336


「おや、○○」
「ありゃ、慧音さん」
甘味処で、ばったりと彼と遭遇してしまった
「こんなところで会うとは奇遇だな」
「そうですね、先生が餡蜜を食べるのは驚きですよ」
「何を言う、私とて一応女子だぞ、甘味を欲するときもある」
私が甘いものを食べるのは以外、か・・・正直あまり嬉しくはないな
私だって甘いものは好きだ、妹紅は「慧音は甘いもの喰っても胸にいくからいいよね」なんて言うが・・・
「俺は授業してる先生も餡蜜食べてる先生も可愛いと思いますよ」
「!げほげほ、そ、そういう冗談は止めてくれ」
いきなりへんなことを言うものだから粒餡の粒が気道に入ったじゃないか
だいたい以前から何かとつけて可愛いとか綺麗とか、心にも無いお世辞ばかり
私はそんなによい女ではない、それは自分が一番解っている
「冗談じゃ無いのになぁ・・・お、餡蜜」
私の餡蜜のすぐ後に彼のものも運ばれてくる
私は彼の戯言を聞き流してしらたまを食べた、幽霊に似ていると思った
そういえばあの娘の傍らの幽霊もなかなかどうして美味そうだな・・・
「あ、美味し・・・」
なかなかいい餡子を使ってあるな、やはりあんこは粒餡だな、皮の風味と触感が・・・
にやにやとこちらを覗く○○が目に入った
「・・・なんだ?にやにやして」
「いや、慧音さんが凄く幸せそうにしてるから、女の子らしいなぁ、なんて思ってました」
「なっ!そ、そういうことは・・・なあ○○、私も一応女だ、そんな事ばかり言われるとその・・・勘違いや期待をしてしまう」
「いや・・・はぁ、鈍いにも程がありますよ、それとも俺はそんなに軽薄に見えますか?」
互いに全然食べれていない、私も彼も半分ほどで止まってしまっている
いつの間にか話すほうが主になって
「先生、右向いて」
「え?あ、うん」
いきなり右を向いてと言う指示、意図は解らないがとりあえず従ってみた
「えい」
頬に柔らかい感触、すぐに解った
だって彼の顔がこんなにも近くにあるのだから
「な、な、ななななな」
机をこえて、私の頬にその・・・ちゅうを
「・・・流石にいきなり唇はだめかなぁと思って」
「(いきなりの出来事に処理落ち)」
「慧音さん、俺の気持ちわかってくれますか?」
「い、いや、解らない・・・ちゃんとこっちに」
自分でも何を言ってるかわからない、ただ客観的に暴走してるなぁなんて思っていた
「んっ、んーぷぁっ」
「・・・慧音さんの唇・・・餡子の味がしますよ」
「はは、それは君のも同じだ」
「・・・時に先生、時と場所と時間、さて、ここは何処でしょう」
「え・・・アッー!」
ほとんどの客が私たちを見ていた
そんなことにも気付かないほど油断、いや、彼ばかり見ていたということか
「~ッ!」
「慧音ッ!」
恥ずかしすぎる
席を立って店の外に逃げ出そうとしたのだが、彼に手をつかまれ、阻まれた
「まだ餡蜜が残っています、もったいないです」
「え、あ・・・そ、そうだな」



他の客の視線とざわざわという話し声
店を出るまで恥ずかしくて顔から火が出そうだった
「慧音・・・俺は帰るけど・・・ええと・・・また明日」
「あ、ああ・・・ま、また明日!」

帰路に着く彼を見送って、私も帰ることにした
帰ったら妹紅に冷やかされるだろう、私の頬は自分で解るぐらいに緩みっぱなしだ
また明日、この一言がこんなにも嬉しいとは思わなかった、きっと私は有頂天と言う奴なんだ
「あ、さっき餡蜜屋で・・・」
小さい声だったがしっかりと聞こえた、聞こえた私は思い出して悶えた
…狭い世界だ、そういうこともあるさ・・・きっと噂が広まるのは早いだろうなぁ・・・天狗が好きそうなネタだなぁ
しかしあの恥ずかしい出来事を消してしまいたいとは思わなかった、だって恥ずかしい以上に嬉しくて素敵な出来事もあったのだから


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「おい、○○。起きろ、朝だぞ」
 ゆさゆさと揺さぶられる感覚。
「んー……あと5分だけお願いします」
「……」
「あと…5…f…Zzz……」
「あくまでも起きないつもりか。ならば……」
 頭を両手で包まれる感触。
 撫でるような力加減に眠り心地も最高潮。
 しかし甘かった。

 俺はコイツの特技を、すっかり忘れていたんだ。

「てい」

 ごす、という音と共に額に襲い来る激痛。
 お星様が見えたのは気のせいじゃない。

「ッ!!!!」
「起きたか。そろそろ朝御飯の支度も仕上がる。
 着替えたら来るといい」
 涙目で額を抑えている俺とは対称的に、慧音の顔は涼やかなまま。
 くるりと踵を返すと、彼女はそのまま台所へと向かっていった。

 まだ少しジンジンと痛む額をさすりながら思う。
 里の寺子屋では宿題を忘れる子どもたちには正義の鉄額が見舞われるという噂だが。
 ……正直あの威力は勘弁願いたい。

 枕元に置いてあった懐中時計を開けて時間を確認する。

 ……嗚呼、結構ギリギリじゃないか。
 意識を一息で切り替え、仕事着に手を伸ばす。
 冬の冷え込みも本格化しつつある今日この頃。
 本当なら布団の中でゴロゴロしていたいのだが、そんな事をやった日にはこの家から追い出されかねない。
 いそいそと着替えを済ませ、井戸水をくみ上げて顔を洗う。
 凍りつくような冷たさが、僅かに残っていた眠気をキレイに消し去ってくれた。

 手ぬぐいで水気を拭いながら、居間へと歩き出す。
 程無くして味噌汁や焼き魚等といった典型的な朝ごはんの匂いが漂ってきた。
 ちらりと台所を覗けば彼女が鼻歌交じりで味噌汁の味見をしている。
 普段のお堅いイメージとは随分かけ離れたものではあるのだが……
(多分知ってるのは俺だけなんだよなー……)
 もうちょっと愛想よくすれば男衆からは絶大な支持を得られるだろうに、という所まで考えて
(ああ、でもそうすると独り占めできねーや。却下)
 思い浮かんだ情景を手で振り払う。
 ご丁寧に毎朝玄関に放り投げこまれている(どこから入れに来るんだろうか)新聞を開きつつ、ご飯の完成を待つ。

「何々……今日は外界では"クリスマスイブ"とよばれる聖夜であり……」
 ゴシップ感溢れる新聞から要点だけ抜き出すと
 ・今日は年に一度の特別な日(の前夜)
 ・本来はどこかの国の聖人様がどうたら
 ・今となっては恋人たちの祝宴の日だったり
 ・子どもたちには赤い洋服を着たサンタさんが贈り物を
 ・特別な人にプレゼントなどいかがでしょうか
 ・取材情報は私、射命丸 文まで。
 ……ということらしい。

「……はぁ」
 溜息と共に新聞を閉じる。
 何を隠そう、このクリスマスという知識を持ち出したのは俺だからだ。
 スキマ妖怪の紫に頼んで一度外界をブラついた時……確か十年くらい前のこの時期だったか。
 やたらと華やいだ祭のような雰囲気が気になり、外界の蔵書を読み漁り……
「持ち帰った知識をあの烏天狗に教えるべきではなかったかな」
 もう一度、溜息をつく。
 本来あのブン屋にはそういった大衆的な事の他にも、クリスマスの歴史や伝承なども伝えていたハズなのだが。
 ここはもうさすが、と感心する所なんだろうか?

「どうした、朝から疲れた顔をして」
 そうこうしている内に、鍋やら櫃を台車に載せて慧音がやってきた。
「ああ……アレみりゃわかるよ。俺の数少ない汚点かな」
 苦笑いをしながらよそわれた茶碗を受け取り、顎をしゃくる。
 新聞のめぼしい場所は読み漁ってしまったので慧音の所に放ってある。

「クリスマス……か。確か下界の聖人の生誕日だったか?」
「さすがだな。昔一度話しただけだったハズだが」
「私を甘く見ないでくれ……というのは冗談だがな。
 紅魔館の連中はお前が伝聞するよりも前から似たような事をやっていたよ。
 もっとも、昨今持て囃されるようなものではなく、随分と厳かなものだったが」
「へぇ……確かあそこの領主は外界の貴族の血を引いてるとかって話だしなぁ。それの繋がりかね」
「ま、それはさておき、メシだメシ」
「ああ、そうだな。教える側が遅刻するようでは面目が立たんぞ、○○」
「わーってるよ……いただきます」
「いただきます」







「……となるから、この掛算を使うわけだ。わかったかー?」
「はーい!」
「それじゃあ、こことここと……この問題やっとけ。
 解けた奴は休憩しててよし。ただし、あんまり騒ぐなよ?」
 生徒たちに課題を適当に与えた後、廊下に出る。
 少し前から、"その日の最後の授業"を俺が受け持つことになっていた。
 それを知ってか知らずか、子供達は比較的真面目に取り込んでくれている。
「慧音ー、そろそろ終わりにするから帰る支度を……」
 カラカラ、と控え室の戸を開け「うわっ!?」

 ……見なかったことにしよう。

 カラカラ、と戸を閉めようと「待て、待ってくれ!」
 控え室に強引に連れ込まれた。

「……で」
「……」
「これは一体どういう了見なのかな慧音さん」
「こ、これは……クリスマスだし」

 控え室のイスに座って一対一で面と向かって座る。嗚呼、何だか尋問みたいだ。
 俺の目の前でしおらしくなっている慧音は……何故か真っ赤な服にヒゲと帽子をつけていた。
 まさか慧音がこんなマネをするとは思ってもみなかった。

「……その、子供達が、喜ぶと思って……」
 恥ずかしそうに俯いたまま、指をもじもじとする慧音。
「そういうことなら俺にも少しくらい相談をしてくれたっていいじゃないか」
 俺だって教師の一人なんだぞ、と頬を膨らませる。

「す、すまない。話そうとは思っていたのだが……○○はこんな格好をするの、嫌だと思ってな」
「ああ……なんだ。そういう事か」
 確かに俺はそういう面倒事は嫌いだが……
「子供達の為ならやぶさかではない。……ということで」
「何だ?」
「その服一式を寄越せ。俺も着る」
「ほ、本当か!?」
「男に二言はないんだぜ?」
「そうか……よし、待ってろ。もしもの事を思って二人分用意して……」
 いそいそと荷物を漁る慧音の顔は、とても嬉しそうだった。



「それじゃ、いくぞ」
「ああ」
 子供達のいる教室への戸を勢いよく開ける。

「いい子にしているかな!? 子供達」
「おじさん……誰?」
「私かい? 私は"サンタクロース"というんだ。
 いい子にしている子供達に年に一度、プレゼントをあげているんだよ」
 ……ちなみに喋っているのは俺。声色を変えてしまえばどうとでもなるものである。
 さすがに慧音が声を変えてもバレるので、彼女は俺の後ろで黙っている。
「プレゼント?」
「そうさ。今日は頑張って勉強している君たちにプレゼントだ。ほれ」
 慧音があらかじめ用意していた袋から、菓子の詰まった小袋を取り出す。
 子供達一人一人に手渡しをしていく。
 反応はそれぞれ異なるが、皆嬉しそうだ。
「ありがとう、サンタさん!」
「ほっほ。これからもいい子でいるんだぞ?」
「はーい!」
「それから、○○先生と慧音先生からの伝言だ。
 今日はもう終わりにしていいとさ。気をつけて帰るようにな」
「いいの!?」
「ああ。また明日、だそうだ」
 わー、と歓声を上げながら、出ていく子供達を見送る。
 両手には大事そうに小袋を抱えていた。


「……行ったみたいだな」
「そうだな。でも良かったのか? まだ授業も途中だったろうに」
「構わないさ。これくらいなら明日にでも取り戻せる」
「それならいいのだが……と、そうだ」
 控え室に戻り、更に荷物をごそごそと漁る慧音。

「コレは○○の分だ」
 ふわ、と首にかけられたモノ。
 もこもこしていて、あたたかい。
「マフラー……か。これ、お前が?」
「何だ、私が編み物をするのは意外か?」
「いや、ありがとう、大事に使わせて貰うよ。しかし……困ったな」
「どうした?」


「折角いいものを貰ったのに、俺からお前に渡すものが……」
「渡すものが?」
「ないわけでも、ない」

 右手にいつも嵌めていた指輪を、外す。
「それは……」
「指輪だよ」
「大事なモノなんじゃないのか?」
「大事だよ……だからこそ、意味があるのさ」
 かちり、と音を立てて、二つに分離した。

「これ、俺の両親が使っていた結婚指輪なんだ。
 ちょっと古びているのがアレだが……片方は、お前に嵌めてほしい」
 す、と慧音に差し出す。
「え……」
 予想外だったのか、困惑気味の顔。

「駄目か?」
「とんでもない! ……その、私なんかで、いいのか?」
「ああ。慧音だからこそ、受け取ってもらいたい」
「…本当に?」
「……まったく」

 まだうろたえ気味の慧音の身体を抱きよせ、唇を重ねる。
 驚きに目を見開き、顔を赤く染めながらも、彼女は抵抗をしなかった。
「んっ……」
「……これでもまだ、不安かな?」
「い、いや。ただ……もう少し、私を後押しさせる言葉をくれないか」
「……一緒に居て欲しい」
「まだ足りないよ」
「好きだ」
「まだだ」
「……愛してる」
「私もだ……」
 再び、口づけを交わす。

「不束者だが……よろしくお願いするよ、○○」


最終更新:2011年02月27日 00:22