慧音8



13スレ目>>417、432、477、489 うpろだ989,993,996,998


「はら・・・へったorz」
そもそも財布さえ落さなければこんな状況にはならなかったんだ
しかも家と倉庫の鍵まで入ってる財布・・・釣り道具すら手に入らない
嗚呼、流石に山に入って木の実を拾うのも限界だよなぁ・・・
「チクショウ、こんなことなら知り合いの一人や二人作っとくんだった」
地面に跪いて今までの後悔やらざんげやら、これからどうしようかと言う脳内会議を頑張っていると
「おっさんがへんなことしてるー」
「小銭でも落としたんじゃねーの?」
「ちげーよ、彼女に振られて落ち込んでるんだよー」
何処からとも泣く子供の大群が現れ、一定の距離を保ちつつ俺をおちょくってきやがる
まぁそこの所俺は大人なので冷静に、気にも留めないわけだがね
「きっと「この豚めを踏んでください!!」とか言ったんだなー」
「そりゃふられるよねー」
「くそがきゃぁぁぁぁ黙って聞いてりゃ調子に乗りやがって!!俺は資本主義の豚か?ああ?」
「きゃーっ!おじさんがキレたー!」
「おい其処のガキ、残念ながら俺には振られるような女どころか顔見知りの人間すらいないんだよ糞ッ!いや、俺だって好きで引きこもってたわけじゃねぇんだぞ!
ちまちまと地味な仕事して!魚とって食いつないで!やっと俺もこのワケワカラン世界になじめたかなーとか思った矢先に財布落としてこの有様だ、わかるかコラ
外もここも!結局は金かチクショウ!外だったら日払いのバイトして何とかなったかもしらねーのによ、嗚呼、何で俺はこんな所で空腹に苦しんでいるのだろうか」
いつの間にかガキどもはひとりも居ない、ああ、また一人ぼっちか
話したら余計腹減った、糞、やっぱりいいことなんか何もないじゃ無いか
「成☆敗!」
ごずっ!
前頭部に激しい痛み、突然の出来事に瞬間的にパニックになる
しかし至近距離前方に姿を確認した瞬間、反射的に飛びのいた
ぶぉんと風を切る音がした、頭突き?
ちょっとまて、頭突きで風きり音ってどういうことだよおいおい
「貴様が不審者か、成程・・・見るからに悪人面だ」
「うるせぇ!生まれつきこんな顔なんだよっ!」
「・・・そんな顔の赤ん坊は怖いぞ?」
「ああそうだね!俺も今そう思ったよ!」
俺の目の前にいる、女性
薄い青の長い髪が、ふわりと風に舞っている
既に向こうは構えている
やるつもりらしい
正直頭突きは勘弁願いたい、だがどう見ても細身の女
其処まで強そうには見えんが・・・
素早い踏み込み、そしてジャブ
だが俺はちゃんと見ている
まずジャブをサイドにかわして―
首の横を過ぎたはずの拳、だがそれは違う
左肩を引っ張られる感覚、そう、既に肩をつかまれた
「なっ!?」
拳打ではない、それは肩を掴む為の偽装
「しまっ」
また頭突きか!?
目をつぶって衝撃に備えたのがいけなかった、俺は目を開いているべきだったのだ
腹部を貫いたのは、彼女の膝
腹が減りすぎて腹が痛いのだ、其処に膝蹴り・・・もう死ねるぜ、これは
踏鞴を踏みつつ、彼女との距離をとった
どう見ても細身の(ry
ああ、けしからん乳だ
よく見れば実にケシカラン乳がステップを踏むたびに揺れ(ry
嗚呼、何でか知らんが余計に腹が減った
俺をどう見れば不審者に見えるんだって話だ
長身イケメンまっちょー、三拍子揃って文句のつけようもないじゃ無いか
「・・・君、大丈夫か?」
「大丈夫なわけねぇだろ馬鹿女、こっちの言い分も聞かずにいきなり膝蹴りかますとはいい感じに頭いかれてんのか?」
「随分口が悪い奴だな、そういう口の悪さが誤解を生む原因でもあるんじゃないか?」
おいおい、俺に非があるってのか?だいたいなんだこの女は、いきなり出てきて頭突き膝蹴り説教
そもそも俺は何でこんなことしてるんだ?何でこんなにいらいらしてるんだっけ?
「おい、顔色が悪いぞ?大丈夫か?」
だから大丈夫じゃないって言ってんだろ、ああそうだった、俺お腹減ってるんだった
「なぁあんた、今までの事全部水に流して仲良くしようじゃ無いか、俺は腹が減ってしょうがないんだ」
「・・・まぁ・・・うん、一食ぐらいでいいなら、昼餉の残りぐらいはあるかも知れないが」
「何でもいい、出来れば米とかそういったものが食いたい、栄養価が高そうで腹にたまるもの」
「・・・解った、ついて来てくれ」




ホイホイついてきてよかったのかい?私はノンケだって構わずに食っちまうような女なんだぜ?
「おい、大丈夫か!?しっかりしろ!?」
「はっ!??・・・夢か」
「飯を食いながら夢が見れるのか、器用な奴だな」
俺の前には夢にまで見たご飯
4杯目のご飯と3杯目のお味噌汁
残り物が少なかったので彼女がわざわざ作ってくれたのだ
「むぐむぐ・・・・んぐんぐ・・・ぷはぁ、ご馳走様でした」
「随分腹が減っていたようだな」
「はい、ここ3日ほど何も口にしておらず・・・本当に助かりました・・・ええと」
「慧音、だ」
「慧音さん、本当にありがとうございます」
俺はなるだけ感謝の気持ちが届くようにと、頭を下げた
彼女はそれを見て、狐につままれたような奇妙な顔をする
「・・・なんだか、さっきと随分キャラが変わっているぞ、君はご飯を食べると性格が変わるのか?」
「ははは、先ほどは無礼なことばかり、失礼しました・・・空腹で気が立ってまして」
また頭を下げた、彼女は優しそうに笑っていた
嗚呼、なんていい女性だ
飯、しかもこんな綺麗な女の人の手作りのご飯、HAHAHA笑いが止まらんよ
もう頭突きとか膝蹴りとかもう忘れるわ、あれはこれでチャラですよ
「・・・君の、名前は?」
「え、あ、私は○○と言います」
「そうか、○○・・・そんなに気を張って話さなくてもいい、楽にしてくれ」
「・・・そうか、じゃあお言葉に甘えるよ、ええと・・・慧音さん」
「慧音で構わない、私も○○と呼ばせてもらう」
「解った・・・慧音、貴方にゃほんとに感謝してる、ありがとう」
一宿一般の恩とは言うが、まさにそれだ、頭突き等分差し引いても大きな仮だ
仮、否、これは恩だ
なんと言うか、食べさせてもらったこともなんだが、ちょろっとでも話をしてくれた事が、嬉しかった


「もう、行くのか?」
「はい、お金がなくても鍵さえ見付かれば何とかなりますから、いざとなったらどうにかして家に入りますよ」
空はオレンジ色に染まりだしていた
カラスも雀も、森へ帰っていく
俺も、家に帰らなきゃいけない
「それじゃあ・・・また、縁があったら」
「・・・○○、なんなら家に来てくれて構わないぞ」
「え、いや、ええと・・・そ、そうですね、どうしても入れなさそうなら、お世話になるかもです」
とりあえず、別れた
腹が膨れてまともな思考、こんな時間に魔法使いは動いてくれないだろう
それに、あんまり彼女に頼りすぎるのもよくない、依存しそうで怖かった

「さて」
とりあえずドアを蹴ってみる、悲しいかな硬い音がするだけだ
裏に回って窓を蹴ってみた、三日前に試したとおり、ヒビすら入らない
「こんな家、買うんじゃなかった」
この世界に来た時の全財産で買った家
妖怪の侵入を防ぐ結界つき♪とかいうから買ったのに
人まで入れないんじゃ意味ねーよorz
はぁ、怪しい狐女から買ったのは間違いだったな
「・・・野宿できそうな所を探さなきゃな」

なるべく明るくて、人気が多くて、里の真ん中
さほど寒くないし、大丈夫だろう
いい場所を探して日の暮れた里をふらふらと、うろついていた
そして
「やぁ、おかえり」
後ろから、声をかけられた
「慧、音・・・」
「やぁ、その様子だと駄目だった見たいだな」
「あはは、無駄に頑丈な家でね・・・」
「・・・・家に来るか?」
「いや、遠慮しとくよ」
「・・・居候も居るし、今更遠慮しなくていい、それよりも君を野宿させることの方が気になってしょうがなくてな」
「・・・そんな言われると、お言葉に甘えたくなっちゃいますよ?」
「ああ、好きにしてくれ、無理にとは言わんが・・・君さえよければ、泊まっていけないか」
思い込みかもしれない、ただ通りがかっただけかもしれない
もしかしたら、もしかしたら俺を探していてくれたのかもしれないなんて、期待をしてしまう
それでも、今は、なんでもいいから、嬉しい
「それじゃあ・・・帰ろうか」
「そう、ですね・・・それじゃあ・・・お世話になります」
財布をなくしたせいでとんでもない目にあった
野宿したり空腹に苦しんだり、木の実を拾いに入った山で妖怪に追いかけられたり
子供におちょくられて頭突きで膝蹴りだったり
でも、無くしたおかげで、知り合いが、増えるのなら、あんな目にあったことも、悪くないかもしれないと、思える
自分でもよく解らない展開になっているとは思うが、このよく解らん世界なら、何が起こっても不思議はない、そう自然に受け入れられそうだ


「居候が一人居るんだがな・・・まぁちょっとぶっきらぼうな所もあるが基本はいい奴なんだ」
「はぁ・・・?」
「まぁアレだ、喧嘩とかしないように頼むぞ」
「・・・?」



「おや、帰ってるみたいだな」
玄関にちょっと乱れた靴を見つけた
それは先客がいると言う事か、先ほど言ってった居候とはこの靴の主なのか
靴を、もう一度見た
小さい、慧音とそう違わないサイズ・・・女か
両手に花か、うふふ、ふひひ
「慧音ーお腹すい・・・た」
部屋に入った瞬間、タバコのにおい
縁側で胡坐をかいて座っている少女は、タバコを咥えている
なんか色々と抱いていたイメージが崩れたと言うかなんと言うか
「あんた、誰?」
「あ、ああ俺は、○○だ、今晩はお世話になる」
「・・・そういうわけだ妹紅、仲良くするんだぞ」
あ、見るからに不機嫌そうだ
なんと言うか仲良く出来るか不安になる奴だなぁ
「ふぅん・・・慧音、コイツとどういう関係?」
俺と慧音を交互に見て、ワケワカランことをぬかしやがった
「どういう?いや・・・なんと言うべきか・・・なぁ?」
確かに、どういう中かと問われたら、凄く返答に困る
俺が財布を落とした所から話を始めねばならん
「ええと・・・鍵が無くて家に入れないんだ、困っている所を慧音が助けてくれたと言うわけだ」
我ながら色々と断片的で何がなんだか
まぁ言いたい事は伝わったはずだ、はずだ
「・・・まぁいいや」
ふぅう、とタバコの煙を大きくはいた
家の外に向かって煙を吐くのは彼女なりの気遣いなのか
彼女、ええと・・・もこうって言ってたか
もこうはタバコに火をつけると・・・あ?
「あれ・・・?」
「んーどうし・・・ああ、これか」
もこうは人差し指を立てて
そこに、火が点った
慧音は困ったようにうなだれ、妹紅はニヤニヤと、哂っている
「○○、あれはだな、その」
「へぇ、便利な能力だな」
発火能力か、ライター要らずってのはいいなぁ
俺もああいう役立つ力があればなぁ、野宿とか楽になるなぁ
「・・・驚かないね」
「幻想郷に来てから、だいぶ驚きなれたみたいでね、それ位じゃ驚かないぜ」
「・・・」
宴会でとっておきの手品の反応がわるかった、そんな感じの落ち込みかた・・・いや、不貞腐れてるのか
「ほ、ほら、早く夕餉にしような!妹紅、手伝ってくれ!」





飯も食い終わり、特にやることも無いのんびりとした時間が
「ねぇ・・・ええと」
妹紅が俺に話しかけてきたのだが悲しいかなまだ名前を覚えられていないらしい
「○○だ、妹紅」
「あ、ああ・・・○○、あんた外の人間?」
「そうだ」
「こっちに来てどれ位?」
「半年ぐらいだな」
「こっちの住人は怖くない?」
「別に、変な力を持ってようが見た目は人間だろ」
そこで慧音がくすりと、笑った
「あ、いや、すまない・・・なるほど、性質より見かけか」
中身は簡単には知りえない、ならば外を見るしかない
何となく、外見でわかるもんだ
取繕ったカタチと、そうでないカタチは
「何となく解る、二人とも完全な人間じゃ無いことぐらいは」
「・・・」
「・・・結構鋭いね、まぁ変り者じゃなきゃこんな所には流れつかないか」
へんな奴に変り者扱いされてしまった、軽く傷つくぜ
「その、○○は、私たちがまともな人間じゃ無いと解っていて・・・」
「そもそもまともな人間ってなんだろうな」

「うわ、めんどくさいなんちゃって哲学見たいな事言い出したよこいつ」
妹紅がぎゃあぎゃあと五月蝿いが、せっかくなので放っておく
「ここって、幻想郷ってよ、そういうことひっくるめて何だかんだで共存できるすばらすぃー場所なんだって、へんな巫女が言ってた
そもそも、慧音や妹紅を見て、悪い奴には見えんし、怖くも無い・・・だから俺はここにいる」
そもそも人間じゃ無いからって怖がってたらここじゃ生きていけないだろう
相手の本性がぼんやり解る程度の能力
自らが変だと、周りが普通で俺が変、そう思っていた
だが幻想郷に来て、自分より変な奴しかいないことが、可笑しくて
「まだ出会ったばかりで、よく解らない事ばかりだけど・・・俺は二人を信用する」
「○○・・・・・・わ、私は、風呂にはいってくるなっ」
どたばたと、騒がしく入浴宣言をして、慧音がいってしまった
妹紅と、二人きりになった
「・・・あんたさ・・・いま慧音フラグ立ったよね」
「・・・ふらぐ?」
「あー・・・いや、わかんないならいいんだけど」
ふらぐ?フラグ?フラッグ?フロッグ?
俺がフラグについて脳内会議を開いていると
「・・・慧音は、半獣人だ」
「・・・それが、どうかしたのか?」
「もし、慧音の違う姿を見たとしても、怖がったりしないで欲しいな・・・なんてね」
最後に付け足した呟きが、あんたなら大丈夫か、と聞こえた気がした
たしかに、慧音の言った通りだ
ぶっきらぼうだけど、やさしい、いい奴
妹紅、か・・・仲良く出来るか不安だったが、杞憂だったみたいだ
「でもさ、今日あったばかりの俺に、何でそんな助言をくれるんだ?これからも濃い付き合いになるとは」
「勘だ、あんたは慧音と仲良くなれるさ」
「長年の勘ってやつか」
「まぁね、長く生きてると、少しはね」
俺の知らないぐらいの時間を、彼女は生きてきたのだろう
彼女の瞳の奥が、あまりに深くて
俺はまともに見る事が、出来なかった



「ふぅ、少し・・・逆上せてしまったな」
逃げるように風呂に入ったのだが・・・色々とぐるぐると考えていたら
「みず・・・」
頭がボーっとする、こういうときは表で涼むと気持ちいいんだが・・・この間そうやって風邪を引いたからなぁ
「うぉ!?」
「え?あ、○○・・・えと・・・喉が渇いたのか?」
「え、あ、ああ・・・まぁうん、そんなところだ」

正直、ドキッとしてしまった
うっすらとピンク色に染まった肌、いまだ少しばかりぬれたままの長い髪
風呂上りで暑いのか、着くずした服装、そのせいで見える谷間とか、谷間とか

「君もボーっとしてるな」
ボーっとしていた○○
声をかけたとたんに私のほうから、体ごと視線を変えてしまう
「?」
「な、なんでもない」
何かワルイコトでもしてしまったか?それとも
「なぁ○○、妖怪は・・・怖いか?」
恐らくまだのぼせているのだろう、柄にも無く、へんなことを聞いてしまう
でも、彼はきっと、私の望む答えをくれるのだと、期待してしまう
「・・・そうだな、妖怪人間問わず、俺に害をなすのが怖いな、妖怪でも友好的なら、怖くない」
ほら、彼はこういう人間だ
あってまだ一日経っていないのに、私は、彼が
「ふぁ・・・あー・・・もう寝るな、おやすみ」
「お、お休み○○・・・」
反射的に、手が出そうになった、待ってと、言ってしまいそうになった
「・・・なんだろうな、これは」
自らの内に湧いた、未知の感情、不思議な心地よさとじれったさ
「・・・私はこんなに惚れっぽかったのか?」
なんだかよく解らないが、一目ぼれという奴なのだろうか
いや、二目惚れぐらいか?
「人は人を、いつの間にか好きになる・・・か」
湯上りで幸いした、もしかしたら私は赤くなってるかも知れないから
私は、一杯の水を飲み、ほてった感情を、醒ました


「・・・はぁ」
深い、溜息をついてしまった
慧音の家に世話になってもう4日
財布も鍵も見付からず、家を買った狐女を捜して徘徊するが、まったく見付からない
俺の能力なんてハッタリを見破る程度の能力だしなぁ、使えねぇ
「・・・まだ飼える訳にも行かないし・・・どうしたもんか」
昼間のあそこには、居辛かった
妹紅は早々に何処かへ出かけて行ったし、慧音は学校(?)にいってしまったし
流石にあの家に一人だけ居るのは、何か嫌な違和感を感じてしまった
「・・・誰かのとこで時間が潰せたらなぁ」
そんな知人がいないから慧音の所でお世話になってるのにね、可笑しな話しだははは
嫌な考えはおいといて、どうしようか



「倉庫なら、壊しても大丈夫だろ・・・そもそも壊れるのか?」
俺は自分の家に戻り、釣具やらなんやらが入った倉庫の前に、立っている
「すぅぅぅぅううう」
大きく息を吸って、吐くと同時に、渾身の中段前蹴りをっ!!

ば、馬鹿な!?俺の前蹴りが・・・効かない!?
「は、はは、手加減してやればいい気になりおって、あまり調子に乗るなよ、小僧(倉庫」
半歩ほど、倉庫に近づいて、構えた
「我が真の力!しっかりとその目に刻むがいい!!」
ぐるん、ぶぉん、がしゃーん
俺の渾身後ろ回し蹴り
アルミ?薄い金属性のトビラは90度近く曲がって、見事に、破壊に成功した
「は、ははは!見たか我が力を!・・・・・・なんか予想以上にやっちゃったZE」
真っ昼間から倉庫相手に何やってるんだ俺は
我に帰ったとたん、凄く虚しくなった
「まったく君は、昼間から何をやってる」
こ、この声は!
「慧音・・・いつから其処に?」
「あまり調子に乗るなよ小僧、ぐらいから居たんだが・・・やはり気付いてなかったんだな」
ぐはっ!そんなに前から・・・orz
もうだめだ、穴があったら入れtじゃなかった入りたい
「えっと・・・昼飯は食べたのか?」
「え?ああ、そういえば忘れてたな」
「そ、そうか・・・こいつが無駄にならずにすみそうだ」
「?」
慧音は右手に持った風呂敷に包まれた何かを高く上げて、俺に見せ付けた
しかし俺はそれがなんだかさっぱり解らない
慧音は痺れを切らして、自らの口でその何か、の正体を
「べ、弁当だ!君が腹を減らしているのではないかと思って、その・・・」
ぐは、こ、これは
なんと言う破壊力!
頬を染めてもじもじ+手作りの弁当=神をも凌駕する破壊力
ここで注目して欲しいのがこのうつむき加減だ!
完全に伏せてしまうのではなく、潤んだ目や赤い頬、また、耳までよく見えるベストな傾き加減だ!
作者の私見を言わせて貰うなら、これは恐らく自然に生み出された、究極の美であると言えよう
普段はお姐さん系の性格にも拘らず、ここぞと言うときにか弱い女の子に戻る、それによって生ずる威力は筆舌に尽くしがたい
「○○?」
「はっ!?い、今なんか変なナレーションが!??」
「・・・もしかして、食べたくないか?」
「何言ってる、食べたくてうずうずしてるんだぜ!(即答」
「そ、そうか・・・えと、じゃあ食べよう」
とりあえず座れるような場所を探して、玄関の段差に座る事にした
…重箱?
2段の重箱?いや、上の段は二つに分かれて・・・ああなるほど、それがご飯ね
ってことは下の段が、おかずか
卵焼きを一つ、食べてみた
~青年食事中~
こ、これは、シャッキリポンとry
口の中に残るほのかな甘味とry
舌触りはまさに官能的なry
~青年食事中~


「・・ぷはぁ、ごちそーさま・・・美味かった」
「うむ、お粗末さまだ・・・いやぁ、アレだけ気持ちよく食べてもらうと、作った方としても嬉しいよ」
ただ食べただけなのだが、そう言ってもらえるとまぁ悪い気はしない
しかし・・・料理が美味いと言うのはイイコトだな
料理が出来ない女の子は嫌い?と聞かれたら嫌いとはいえないがね
むしろ下手でも一生懸命作ってくれるところに意味があるのではないかと
つまり料理の上手下手は関係なく誰が為に作ろうとするかが重要なのではなかろうか
「○○、君はボーっとする癖があるようだな」
「え、いや、そんなことは無いぜ、うむ」
俺がほうけている間に片付けてしまったらしく、もって来た時のような風呂敷包みになっていた
「・・・この後さ、時間ある?」
「あ・・・すまない、午後からも少し授業があるんだ」
「いやちょっと聞いただけだ、別に用があったわけじゃ無い」
「そ、そうか・・・じゃあ私は行くよ」
「・・・ああ、いってらっしゃい、頑張れよー」
彼女は少し歩いていって、突然に振り返った
夜までには帰ってくるんだぞ、と
俺はそれに対して、手を上げて、解ったと告げた


「・・・帰ってこい、か」
慧音が行ってから少したって、一つ言葉を、零した
慧音は俺が今日も帰るものだと思っている
俺もそれをありがたく思って、今日もあの家に世話になるのだろう
でもあそこは俺の家じゃ無い
あくまでも彼女、慧音の家だ
「帰るべき、場所か・・・」
一週間近く誰も立ち入っていない家を、見た
前までは当たり前のようにここに帰っていたのに、今では
「・・・はぁ、めんどくせえ」





倉庫から釣り道具やらなんやらを引っ張り出して
時間をつぶす事に・・・したんだが
「おーまた釣れた、あんたって釣り巧いんだね」
なぜか隣に座るヤンキー、あらため妹紅
「・・・」
「もう8匹目だ、あと一匹で一人3匹食べれるじゃん」
いや、コイツが竹林にいると知ってれば、近くの川まで来なかったんだ
ちょっと足を伸ばして湖まで行ったんだ
「・・・お前、見てて楽しいか?」
「ん?楽しいよ」
…初日とあまりに違うコイツの態度、馴れ馴れしげふんげふん、フレンドルィーな態度に、少し戸惑いつつも
「ほら、お前もやってみろよ」
「え?いや・・・わかんない」
こいつは釣りもしたこと無いのか
しょうがないのでとりあえず
「餌はついてるから、ほら、竿持って」
とりあえず竿を持たせた
だがほんとに何も知らないらしく、と言うか今まで横で見たただろ
「ほら、こうやって、下からゆっくりと、振り込みたいに」
「こ、こう?あ、おお・・・」
ぎこちないながらも何とか投げる事が出来たようだ
伸べ竿でこんなに苦戦する奴は始めてみたぜ
「あのウキをよく見て、沈んだら引っ張ってやれば」
「あっ・・・」
「?・・・あ、わ、悪い」
いつの間にか、と言うか最初からか
妹紅の腕を握って、いや、そういうつもりは無くただ純粋に教えようと思ってだなry
気にしてなかったのに、そういう態度を、とられると・・・余計に気になってしまうじゃ無いか
「・・・慧音の次は私のフラグ立てるつもりかって・・・」
「え?」
「な、なんでもないっ!」
なんなんだよまったく、ドイツもコイツもフランスもオランダもイタリアもセネガルも
「・・・妹紅、竿を立ててみろ」
「え?こ、こう?」
何も理解せず、ただ言われたまま竿を立てた妹紅
「う、わ!○○!?」
予想通り、上手く魚が掛かったようだ
「竿を高く上げて、手前に寄せろ」
竿が三日月のように曲がり、その引きは妹紅の手へと伝わっている、はずだ
「んー・・・よし、外れたぞ」
岸に引っ張りあげられた魚、針を外して妹紅に見せてやった
「・・・はは、人生で初めて魚を釣ったよ」
「お前長生きなんじゃないのかよ・・・釣りって、楽しいだろ?」
「うんっ!」
ああ、こいつの笑った顔、凄く可愛いんだな
いつもしかめっ面でいるけど、やっぱ可愛いなぁ、女の子なんだなぁ
やべ、妹ができたみたいな気持ちだ
釣った魚を手にはしゃぐを妹紅を眺めていて、妙な気分に陥った俺だった



「お、二人ともお帰り」
家に入ると慧音が出迎えてくれた
今から料理をしようというところだったのか、髪を後ろに束ねていた
「あ」
「ん?・・・あ・・・へ、変か?」
「いや・・・似合ってるな」
いかん、また変な方向に話しが行こうとしている
いつもの爽やかな感じの髪もいいんだが、サッパリした今の髪も、なかなかどうして
ごすっ
いきなり妹紅に足を踏まれた
「づぁっ、てめ「慧音!魚を釣ってきたから、料理するなら手伝うよ!」
「あ、ああ」
「もう腸は出してあるから」
妹紅は慧音の背中を押して、急ぐように台所へと行ってしまった
トビラ一枚向こうでは楽しそうな会話も聞こえて
「・・・今日は、疲れた」
でも、楽しかったな
慧音と昼飯を食べて、妹紅と釣りをして
「いかん、なんか馴染みはじめてるな・・・」
彼女たちがそういう性質なのもあるだろうが、俺もまたそれに甘んじている所もある
「・・・はぁ」
色々な思いを込めて、大きな溜息を吐いた


「びくとも、しないな」
俺はまた、俺の家にいた
相変わらず、なんと頑丈な事か
蹴っても叩いてもびくともしない
「長所だが短所だな」
冷蔵庫の中身が心配すぎる、出かけ際に机に置いた牛乳が怖い
…ちょっと開けたくなくなった
「○○」
「ん、慧音か」
またここで、昼飯を食べる
変な習慣になっていた
彼女も家で食べればいいのに、ここにきて、俺と飯を食う
彼女がなぜそうするのか、なぜ俺がそれを嬉しく思っているのか
「なぁ○○、この後は暇か?」
「・・・俺は今お前にその質問をしようとした」
聞く前に聞かれるとは、少し驚いた
しかし彼女の方から聞くということは、午後からは時間が有るんだろうな
「えと・・・暇なんだな?」
「ああ、暇だな」
「そう、か・・・だったら私に付き合ってくれ」
ほう、何処へ行こうと言うのか
買い物?荷物もち
はて、この狭い世界じゃ皆目見当つかない
「買い物と・・・ちょっと人に会うだけだ」



「うん、これもいいな」
「・・・慧音さん、これはどういうことでしょう」
俺は今、服屋に居る
何でか知らんが、慧音は俺に色々な服をあてて、うんうんと
「こっちはどうだ?あー、何か違うな」
「慧音・・・なぜ俺が服を買う必要がある」
「何故って・・・お前が服を持たないからだ」
「いや、家には入れれば」
「入れる見込みが無いからこうして」
「金ないし」
「出してやる、食費にしか使わないからな、貯えはあるぞ」
ま、まてっ!衣食住、これ全てを彼女にゆだねると言うのか!?
否!断じて否!踏み越えてはならない最後の一線だ!そこまでさせてしまったら、俺は・・・俺は・・・
唯の、ヒモじゃ無いかっ!
「そ、そうだ!俺用事を思い出してぐはげふっ」
慧音のレバーブローが、俺の横っ腹を貫いた
「・・・さぁ服を え ら ぼ う か 」

~青年試着中~

「ありがとーございましたー」
結局三着ほど、買わされ、買ってもらわされた
「もうお嫁にいけないめそめそ」
「何を言ってるんだ君は」
呆れたように、かのじょは
「ほら、まだ後一つ用事があるんだ」
俺の手を引いて、歩き出した

これじゃあまるで、カップルのデートだ
ぐは、恥ずかしすぎる、そんなの恥ずかしすぎる!
ああ、慧音の手柔らかくて小さくて・・・しまった!変に意識したら
「・・・○○の手は、大きいな」
はにかんで、楽しそうに、笑った
俺はそこで、諦めた
せっかくなのだから、この状況を存分に、楽しんだって罰は当たるまい
「慧音」
「ん?どうした」
「これじゃあまるで、俺たち・・・カップルみたいだな」
慧音は一瞬固まって、ぼんと音を立てて赤くなった
「ばばばばばばばばばかなここことをいって」
「手、離そうか?」
「なっ・・・・は、離さないで、くれ」
耳まで真っ赤にして、消え入るような声で、そう言った
俺はこの場で抱きしめてしまいたかったけど、人通りも多かったので、頑張って我慢した




「と、言うわけだ」
「・・・まぁ解ったが」
「なら、頼んだぞ、私はここで待ってるからな」
「・・・」

がらがら
「おじゃましまーす・・・」
小声で一応断りを入れて、屋敷に入った
慧音の言うとおりならば、ここに
「・・・どなたですか?」
「ああ、えっと・・・慧音の知り合い」
「ああ、先生の・・・それで、どういった御用で?」
かくかく
しかじか
「ええとつまり、求聞史紀の内容が気に食わないので書き直せと」
「ええ、頭突きがどうのとか、角がどうのとかキモくないとかなんか言ってたけど・・・」
「あはは、どうやら噂で伝わってしまったようですね」
「ええと・・・」
「阿求と申します、稗田阿求」
「俺は○○、外から流れついたんだ」
彼女、稗田阿求と名乗った
まだ10ぐらいの子供、だが大人びて・・・と言うより生き急ぐ様な
俺の能力ゆえか、彼女は長くないんだなぁと、感じてしまった
「貴方もこれに載せましょうか?異能を持った人間も載せてますよ」
見透かされて、と言うよりも、勘だな
今俺が少しだけ見せた驚きを、阿求は見逃さなかったらしい
カマかけられるとは、俺の力も役立たずな

「・・・表で慧音が待ってるからね、もう行くよ」
「先生には検討だけはしてあげます、って伝えてください」
このまま話しつづければ茶でも出てきそうな気配なので、早々に退散する事にした
阿求ちゃんは、俺に
「○○さん、最後に一つ」
「・・・なんだい?」
「慧音先生とは、どういったご関係でしょうか?」
意図が、掴めない
最初に知り合いと名乗ったそれとは全く違う意味の、関係だろう
だが俺には、明確にそれを指し示す事の出来る言葉を、持ち合わせていない
「・・・居候と、家主、ってところか、な?」
「・・・ふふ、また近いうちにきてくださいね、また同じ質問をしますから」
「?ああ、次はゆっくりと、お話でもしようか」
最後の、同じ質問を、と言う意味がまったく、解らない
彼女はいったい何を伝えようと言うのか
今の俺では、理解しようが無い





「お、お帰り○○」
「ああ」
入り口近くで、ぼうっと空を眺めていた
彼女は一人でいるときに何を考えていたのだろう
「どうだった?」
「検討だけはしておくとさ」
「そう、か・・・まぁ仕方無い」
慧音は俺に向かって、手を差し出した
帰ろう、と
今度は、その手を躊躇い無く握る事が、できた


どういう、関係
財布をなくした事がきっかけで、家に入れず、ふらふらしていた所を
彼女、慧音に、世話になって、今・・・俺たちの関係、か
「なぁ慧音」
「・・・なんだ?」
「俺さ、お前の家で生活し始めて、変な違和感を感じてたんだ」
「・・・」
「だけどさ、今は・・・お前の所が帰る家になって、それもやっぱり違和感があって、なんで俺がここに居るのかなぁって」
人付き合いは苦手だった
彼女の所も、3日もすれば居心地が悪くなって出て行くんだと、考えてた
俺は所詮根無し草みたいな奴で
なのになぜかそこは、居心地がよくて
「俺は、お前と一緒にいたいと、思っちまった、あの家から、お前の居る家から出て行きたくないな、何て思っちまった」
「○、○・・・それって」
「・・・お前が、好きなんだよ・・・これからも一緒にいたいんだ・・・慧音」
繋がっていた手、引き寄せて、抱きしめた
彼女の身体は、頼りないほどに軽く、柔らかかった
「私は、お前が・・・いつか出て行くんじゃないかと、出て行ったまま帰ってこないんじゃないかと、怖かった」
「・・・君が許すなら、ずっと傍に居る、いなくならない」
「・・・これからは毎日、君にお帰りなさいが言えるな」
「ははっ、そうだな、いってらっしゃいは俺が言わなきゃならないかな」
「このままヒモになるつもりか?」
「いやぁ流石にそれは・・・働くから安心してくれ」
きょろきょろと、周りに人が居ないのを確認して
「慧音」
「あ、んっ、んんっ・・・ぷぁっ」
唇を、重ねた
ただ触れる程度のキス
しかし、想いを伝えるには、十分だと、思う
それからしばらく
正確に言えば日が暮れるまで
抱き合ったまま、お互いのぬくもりを感じていた





「お腹すいた・・・慧音も○○も帰ってこない・・・お腹、す、いt(バタッ」







次の次の日ぐらい
「やぁ、遊びに来たよ」
「思ったよりお早いお越しですね、○○さん」
稗田家、縁側
今日はゆっくりと話が出来ますねと、彼女・・・阿求は言った
外の話を聞きたかったらしく、熱心にメモを取ったりしていた
「・・・そろそろ、帰るとするよ」
縁側から腰を上げ、玄関に向かって歩き出すと
「・・・ところで・・・先生とは、どういう関係なのでしょうか?」
正直、彼女は未来予知でもできるのではないかと思ってしまった
心でも読めるのか、それとも勘がいいのか
「・・・慧音と俺は・・・そうだな、恋人・・・だな」
「そうですか・・・幸せそうですね、それはとてもいいことです」
それではまたきてください、そう言っていた、俺はもう歩き出していたので、そこまでしか聞き取れなかった


きっと彼女は、あの質問の、正しい解答を知っていたのかも、しれない
そして俺は、あの質問を、答える義務があった
「運命ってのは、信じないんだがな」
でも、落としてしまった鍵と、出会ってしまった俺と、慧音
そして
「恋人、か」
俺は彼女の声が効きたくなったので、ゆっくりと、歩いて帰ることにした
夕日が全てをオレンジ色に染めて
まるで、彼女に誘われたときのようだ
「私の家に、泊まらないか?」
心臓が、止まるかと思った
「けい、ね?」
夕日を背に、彼女は
であったときの、再演のように
「まだ一月ほどしか経っていないのにな、出会った日は、こんな夕焼けだったなと、思い出していた」
俺は、慧音より少し、先に行き
手を、差し出した
「帰ろうか」
「・・・ああ」
慧音は俺の手をにぎり、俺も握り返した
夕日に染まった道、二人で並び、ゆっくりと、歩いていった



end


うpろだ1095


「ここにいたか○○」
「慧音先生どうしたんですか?明日はお休みのはずでしたが……」
「いや、用事というわけではないんだが……」
「?」
「その……だな、わ、私とデートしないか?」
「デートですか……へっ!?お、俺と慧音先生がですか!?」
(コクリ)
「え、えーとですね……」
「わ、私じゃダメか……?」
「そんなことないです!行きましょうデート!」
「そ、そうか!嬉しいぞ○○!」
「で、どこに行きましょうか」
「いい場所を知っているんだがそこでいいかな?」
「あっ、はい!」



~霧の湖~
「涼しいですね慧音先生」
「ここは夏でも涼しいからな」
「……」
「……あのだな、○○一つお願いがあるんだがいいか?」
「何でしょう?」
「ふ、二人っきりのときは……その……慧音でいいぞ」
「慧音先生」
「むぅ」
「冗談ですよ慧音」
「ふふっ、嬉しいな名前で呼ばれると」


「……んっ寝てしまったのか」
「起きたか○○」
「慧音、顔が近いです……ってひざまくらですか」
「よっかかられた状態では辛そうだったからな、だからこの状態にしたが……ダメだったか?」
「いや、十分楽な姿勢ですよ慧音」
「そうだ耳掃除をしてやろう」
「あ、ありがとうです」
カリカリカリカリカリカリ
「なかなかたまっているな、教室は埃っぽいか?」
「掃除はしてるんですけどね」
「ほらっ左が終わったぞ、右を向いてくれ」
モフッ
「……」
カリカリカリカリカリカリ
「よし、終わったぞ○○」
「……」
「どうした○○?」
「いや、なんかこの気持ち懐かしいと思ってな……」
「そうか……」
「……慧音、もうすこしこうしてていいか?」
「ああ、いいぞ」



「……私が眠ってしまったか」
「……すーすー……」
「○○め、いつのまにか私がひざまくらされているではないか」
「う~ん慧音……」
「私が出てくる夢か、いったいどんな夢を見ているのだろうな……」
「慧音……好きだ~……」
「なっ、何だって!?」
「……むぅ……ん、また寝てしまったか」
「ま、○○!今言ったことは本当か!?」
「何か言いましたか俺?」
「いや、覚えてないならいい。はぁ……」
「慧音のことが好きって言っただけですよ」
「!? あ、あのな○○、そういうことは簡単に……」
「慧音だから言うんです、他の人になんか言いませんよ」
「そ、そうか……ありがとう○○、私もお前のことが好きだぞ」
「ありがとう慧音」




「その……さっきのはプロポーズということでいいんだな?」
「ああ、いつか言おうと思ってたし」
「ふふ、いつの間に敬語じゃなくなったな」
「先生だったからな、敬語を使う癖ができてるんだよ、きっと」
「だったから?」
「今は俺の愛する奥さんだろ?」
「う、うむ、そうだな」
「だったら慧音もそんな堅苦しい言葉遣いしなくてもいいんだ」
「そうか……○○、これからもよろしくな」
「ああ、よろしくな」


17スレ目>>137


上白沢塾弐千八年度一学期期末試験

1、次の空欄に入る言葉を書き込みなさい。


①、慧音先生の好きな人は( )である。

②、慧音先生は○○を( )しています。

③、○○と慧音先生は( )しあっています。

④、二人は( )です。

⑤、時々妹紅は( )になります。




○○「何これ・・・」
慧音「おお○○、百点を取ったのはお前だけだぞ、おめでとう」
○○「間違いなく皆呆れて何も書いてない筈だし俺も書いてない」
慧音「○○の答えなら空欄でも正解なのさ」
○○「はぁ・・・大体解答欄に当て嵌まる様な関係はほとんど無いだろう?
俺も慧音が好きだけど、こういう行き過ぎた嘘は・・・」
慧音「大丈夫だ○○」
○○「?」
慧音「今から事実にする」
○○「や、ちょ、待って・・・
ていうか満月なんだからせめて掘るとかで許してアッー!」


最終更新:2010年05月27日 00:05