永琳2



>>441


ここは永遠亭。ここに一人の人間(?)が来たことからこの話は始まる。


「れいせーーん!!」
地上の兎である因幡てゐが慌てた様子で永遠亭を走り誰かを呼んでいる。
「どうしたのてゐ?」
てゐが呼んでいたのは月の兎である鈴仙・優曇華院・イナバである。
「竹林で遊んでたら人間に会ったの」
「それがどうしたの?」
てゐの話を鈴仙は詳しく聞く
「その人間記憶がないみたいだから連れて来たの」
てゐは見ず知らずの人間を勝手に永遠亭まで連れてきてしまったと言う
「連れてきちゃったの?それでいまその人どこに?」
鈴仙は驚きその人間がどこにいるのかてゐに聞く
「永遠亭の前」



てゐは鈴仙にその人間を師匠のところに連れてきてと言われてその人間を部屋まで連れて行く。
「連れてきたよ!」
「ありがとう、てゐ。そこの方こちらへどうぞ」
鈴仙が言った師匠の名は八意永琳。月の頭脳と言われるほどの天才である
「師匠こちらの方が…記憶がないそうです」
「あ、あなた!……」
永琳はその人間を見るなり驚くとその人間が疑問に思ったのか永琳に尋ねる
「なにか?」
「いえ、なんでもないわ。ウドンゲ…姫様を呼んできて頂戴」
彼女は落ち着きを取り戻し、鈴仙に姫様…蓬莱山輝夜を呼びにいかせる
「あ、はい」
鈴仙は永琳に言われて部屋を出て行った
「それでは…聞きます。記憶がないと言っていましたが…どうやってここまで?」
「それは俺にもわからない。気がつけばあの竹林にいた…」
「……あなた、名前は?」
「わからない」
「…………」


それから暫くして、鈴仙が輝夜を連れて戻ってきた
「師匠。姫様を呼んできました」
「永琳どうしたの?そちらの方は?」
「姫様…こちらの者は記憶がないそうです」
永琳にそう言われて輝夜はその者の前に座る。
「……!!…そう…そこの方…大変だったわね」
輝夜もまたその人間を見て驚ている。人間はただ疑問に思うばかりだった
「それで永琳、この方をどうするの?」
輝夜の質問に永琳は一つの提案をする
「……記憶が戻るまでここに住まわせようと思います」
「ええ!?師匠いいんですか?」
その提案に鈴仙が驚く。永琳はどういう意味?と言わんばかりの顔をする。
「姫様さえよければ」
「いいわ。記憶が戻るまでここに居させてあげましょう」
永琳の提案に対して輝夜はその人間をここに住ませることを許した
「感謝する」
輝夜の許しをもらいその人間は礼を言う。
「自己紹介しておくわね。私は八意永琳。永琳でいいから」
「私は蓬莱山輝夜よ。そうね…輝夜でいいわよ」
二人の自己紹介が終わり、その人間は少し考え事をしていた。
…俺はこの二人を知っているような気がすると…
「………です」
その人間は考え事をしていたことで鈴仙の自己紹介を聞いていなかった
「すまない。聞いてなかった」
考え事をしていて自己紹介を聞けなかったのでその人間はもう一度お願いする。
「もう!鈴仙でいいです!」
鈴仙は怒りながらそう言った。
「私、因幡てゐ。てゐでいいよ」
四人の自己紹介が終わり、皆緊張が解れてくる。…元々誰も緊張してないかもしれないが…
自己紹介をし終えたてゐが質問をする
「ねぇこの人間なんて呼んだらいいの?」
てゐの発言により永琳が名が無い人間に名前を付けることにした。
「あなたはそうね……○○と名乗りなさい」
「わかった」
永琳の言葉にあっさりと承諾した。
ここに置いてもらう側の者なので文句は言えないと思ったのだ。
「それじゃあ………てゐ、この屋敷の中を案内してあげて」
永琳はてゐに○○を案内するように頼んだ
「は~い。それじゃあ行こう!」
「ああ」
そして二人が部屋から出て行く。


そして永琳が二人に話し始める
「……行ったようね…」
「師匠、私が案内したほうがいいんじゃないですか?」
鈴仙はてゐじゃ心配だと思い永琳に自分が行った方がいいのではないかと聞く
「…ウドンゲ気づかなかったの?それより姫さま…あの者」
鈴仙の言葉にため息をつき、輝夜に向き直り○○のことを話す
「わかってるわ…あの者…月の使者なんでしょ?」
「ええ!?」
月の使者と聞き鈴仙はただ驚く。
「ほんとに気づかなかったようね…まったくこの子は…」
鈴仙が驚く姿を見て永琳は呆れたように言って続きを話す
「断定はできませんがおそらくは……記憶がないのは単なる嘘かもしれません」
「それで永琳どうするの?何か考えがあってここに住まわせたんでしょ?」
永琳がここに住まわそうと言ったのは彼が月の使者の可能性が高いからである
「……下手に動かれるよりこちらの手元に置いておいたほうがいいと考えました。そして何か不審な動きをすればすぐに…」
「……わかったわ。それであの者…○○をどこに住まわせるの?」
「私の部屋です」
輝夜の問いに答える。監視できるのは私ぐらいしかいないと言わんばかりに
「…わかったわ。それじゃあ私は戻るわね」
話も終わり輝夜は自分の部屋へ戻って行く


そのころ、○○とてゐは屋敷中…とはいかないがだいたいのところを案内し終える。
二人は少し休むことにした
「案内感謝する」
「いいよ~それよりなんかして遊ばない?」
休憩かと思いきやてゐが遊ぼうと誘う
「悪いが少し休みたいんだが」
ええーっと残念そうに言うてゐ。
そこへ、鈴仙がやってくる。
「てゐ、無理言ったらダメよ」
「ちぇ…」
「○○、あなたの部屋を案内するから」
「わかった」
鈴仙についていきある部屋の前に着いた。
そこは永琳の部屋。中にはもちろん永琳がいる。
「ありがとう、ウドンゲ。さあこちらへどうぞ」
「ああ」
永琳に言われて部屋の中へと入って行く。
その部屋は薬品のような物が大量にある部屋だった。永琳の机にも注射器などが散乱している。
「ここがあなたの部屋です。それと私の部屋でもありますがここで寝てもらいますから」
「わかった」
彼は自分が寝泊りする部屋を観察しながら返事をすると永琳は少し笑いながら話しかける。
「ふふ、あなたは女性に対して遠慮がないのね」
「すまない」
永琳に言われて自分はいけない事を言ってしまったんだと思いただ謝った。
そして彼は部屋の隅で目を閉じ正座をし始める。瞑想のようなものだ。
「……置物みたいですね。師匠」
「…ふふ、ほんとね」
鈴仙が言葉を漏らすと永琳も笑みを浮かべてそちらを見ていた。




暫くして、永琳が口を開く。
「そろそろ食事にしましょうか?」
永琳に話しかけられると目を開ける。
「ああ、わかった」
「それじゃあ、いきましょう」
永琳と共に部屋を出る。
そして広い…宴会場のような部屋に入る。そこにはすでに食事が出されていた。


彼は用意された食事を食べ終えて部屋に戻ろうとすると永琳に呼び止めらた。
「待って!○○、いっしょに戻りましょう」
呼び止められただ頷き彼女と共に部屋へ戻る。


部屋に戻り○○はまた部屋の隅で瞑想をし始める。
すると話しかけられ目を開いた。
「食事どうだった?」
夕食が口に合ったかの感想を聞かれて答える
「…うまいと思う」
「そう。それならいいわ……」
彼女はジッと彼を見ていた。それを疑問に思い聞く
「…なんだ?」
「あなたは感情を表に出さないのね」
「そのようだ」
あまりにも無愛想なのでそれを遠回しに告げる。
少し黙ってすまないと謝る。
「ふふ、、、、それより私はお風呂に入るけど…」
彼女がお風呂に入ると言っているので、わかったと答える。
何か言いたそうにしていたので彼は疑問に思って聞いた。
「……なんだ?」
「あなたもいっしょに入りなさい」
「わかった」
彼女の提案にあっさり乗るので、永琳は呆れて言う
「……あなたは女性に対する接し方がわからないようね」
「すまない」
自分が何かいけないことを言ったと思い謝った。
「それじゃあ、いきましょう」
「ああ」
そうして二人は部屋を出て浴場に向かう。


その途中で輝夜に出会う。
「永琳いまからお風呂?」
「はい。○○といっしょに」
永琳が輝夜にそう告げると輝夜は驚きを隠せない様子だ。
「お、お風呂までいっしょに?」
「ええ、そうです」
「…………」
永琳があまりにもハッキリ言うので輝夜は黙ってしまった。
「それでは、姫様」
「え、ええ」
輝夜を後にする。そして永琳と○○は浴場に到着した。
「ここが脱衣所よ」
「ああ、てゐに聞いている」
「そう。それじゃあ服脱ぎましょうか」
「ああ」
そうして彼は服を脱ぎお風呂場へ…永琳はそれを見てから服を脱いでお風呂場へ
体を流して永琳と交代するように湯船に浸かる
彼女も体を流して湯船に浸かった
暫く沈黙してから永琳が話しかける
「なにか思い出せた?」
「いや」
「…そう…」
「すまない」
「あなたすぐ『すまない』って言うのね」
「すまない」
彼の発言に永琳が笑う。そんななんでもない話をして二人は再び脱衣所へ
彼女が少し遅れて脱衣所へ行くとすでに彼は体を拭き着替え始めていた。
それに続いて永琳も着替え始める。
「少し待ってね」
「わかった」
「あ、ここで待ってね」
「そのつもりだが」
「……まったくあなたは…」
彼女はまた呆れて言葉を漏らす。


そして部屋に戻ると布団が敷かれていた。布団は一式で枕は…二つであった。
すると永琳が黙って一式の布団を見つめている。
「……?どうした?」
「え、それより布団が……」
「……?布団がどうした?」
永琳が布団を見つめているので彼もなんだ?と言う顔をして黙る。
「布団が一式しか敷かれていないわ……てゐの仕業ね。まったく」
彼はそんなことかと言い
「それなら俺は廊下で寝よう」
そう言って部屋を出て行こうとする
「いえ、いいからここで寝なさい」
「わかった」
「ほんとにあっさりしてるわね……先に寝てていいわよ。私はまだやることがあるから」
永琳がまた呆れている。
「わかった」
そう言って先に布団の中に入る。
「……」
「まさかもう寝たの?」
「……」
「……」
彼女は演技でもしてるのかと思い様子を見ていた。


それから二時間が経って、永琳が部屋を出ようとする。
「ほんとに寝てそうね…」
彼女は廊下に出て彼をウドンゲに見張らせ、輝夜の部屋へ向かった。
「姫様入ります」
「永琳…○○の様子は?」
「いまは寝ています。いまのところ不審な動きはしません。それどころか私に声を掛けられるまで何もしません」
「何もしないの?」
「ええ、部屋の隅に座ってずっと目を閉じて…瞑想とでも言うんでしょうか。まるで置物のようです」
永琳は一日彼がどのようだったのか輝夜に説明をする。
「置物みたいなの?一度見てみたいわね」
輝夜は置物発言に興味津々の様子である。
「気を許したらダメですよ」
「わかってるわよ」
「…それならいいんですが…」
永琳が何かを考えて輝夜に言う。
「…月人にあれほどの者がいることに驚きました」
「あれほどって?その前にまだ断定するの早いんじゃないの?」
輝夜のツッコミをスルーして永琳は話を続ける。
「感情を殺しています。訓練でもされているのかも知れません。もしかすると私よりも……」
「…そう」
永琳は少し不安な様子で語り輝夜もそれを感じてか不安そうな声を出す。
「あれほどの者が使者として送られて来るとは…ウドンゲをどうしても月に戻したいようですね。もしかすると私達も…」
「…そうね。でも」
「わかっています。それではそろそろお休み下さい」
輝夜はみんなでここに居たいと言おうとする。
永琳もそれを察してか輝夜に優しく語り掛けるように返事をした。
「わかったわ。それじゃあ、お休み…永琳…」
永琳は輝夜の部屋を出る。そして鈴仙と交代し部屋の中へ入る。
「……ちゃんと寝てたみたいね」
彼の様子を見て永琳も布団の中へ入り眠る。


朝になり先に目を覚ます。隣ではまだ永琳が寝ている。
「起こしたらまずいな…」
起こしたら悪いので部屋の隅で瞑想を始める。
彼女を起こそうものならまた女性に対してどうたら言われそうだと思ったのだ。

「ううーーん…と……あら?○○が居ない!!」
永琳が目を覚ます。そして隣に目をやるとそこには彼がいないので急に慌てだす。
「ここに居る」
「あ!ああ、ごめんなさい…ほんとに置物みたいね」
彼女がホッとした様子で置物発言をする。彼はまた瞑想を続ける。


それから朝食を済ませて部屋に戻る。彼はまた瞑想を始める。
「永琳入るわよ」
そこへ輝夜がやってきた。
「あ、姫様?」
目を開け輝夜を確認する…そしてまた目を閉じ瞑想をする。
それを見た輝夜は永琳に質問をする。
「永琳。○○はずっとこうしてるの?」
「私に呼ばれるまでずっとこうしています」
「ほんとに置物ね…部屋の一部みたい」
「…………」
輝夜にも置物発言をされるが彼は黙って置物になる。すると輝夜に声を掛けられる。
「ねえ、○○少し外に出ない?」
「わかった」
輝夜に呼ばれ目を開け、外にでることを承諾する。
永琳が驚いた様子で輝夜に詰め寄る。
「姫様!!」
「少しだけだから…いいでしょ?」
輝夜は二人で外に出たいとお願いする。
「…わかりました…少しだけですよ」


永琳に許しをもらい少しの間二人は外を歩く。
「どう?ここの暮らしは」
輝夜は永遠亭での暮らしの感想を聞く
「なに不自由ない。感謝している」
その答えに輝夜はなにやら考えて
「……そう…それにしてもあなた感情を出さないのね」
「すまない」
彼は昨日永琳にも同じことを言われたなと考えそして謝った。
「……謝らなくてもいいのに…」
そこへ鈴仙が二人を見てやって来る。
「あ!姫様と…○○!……まさか連れて行かれるんじゃ…」
「ち、ちょっとイナバ!」
「姫様を連れては行かせない!!」
鈴仙は輝夜が月に連れて行かれると勘違いし、いきなり彼に弾幕を浴びせた。


そして彼が目覚めるとそこは永琳の部屋だった。
部屋には永琳と鈴仙、輝夜がいた。
「俺は外にいたはずだが」
「本当にごめんなさい!!」
鈴仙が突然謝る。勘違いから攻撃してしまったんだから
「いや、かまわない」
それを思い出して許すが鈴仙はまだ慌てた様子だった。
「でも、でも…」
「気にされる方が困る」
彼がそう言うと鈴仙は黙り、永琳が口を開いた。
「ふう、大丈夫そうね…」
「ああ」
「……○○も大丈夫そうだし、私は部屋に戻るわね」
そう言って輝夜が部屋を出て行く。
「ウドンゲ。あなたももういいわよ」
「…はい」
そして鈴仙も部屋を出て行く
「まだ気にしているようだな…」
「あなたも他人を気にするのね」
「すまない」
彼はまた『すまない』と謝る。意味もなく
「……………後であの子に声でも掛けてあげてくれる?」
「ああ、わかった」


彼は永琳と共に食事を済ませる…と物思いにふける。
鈴仙に声を掛けたほうがいいな…そう思い鈴仙の隣に座る。すると永琳が
「声も掛けずにいきなり女性の隣に座るなんて…まったく」
…少し疑問に思う…なにかいけなかったのかと思いとりあえず謝る
「すまない。それより鈴仙」
「……なんですか?」
鈴仙は彼を見ない…まだ気にしているようだ…
「気にしなくていいと言っただろう」
「…でも…」
こういうときなんて言ったらいいのか彼はわからなかった。たすけてえーりんと言いそうになる。が自分で言わなきゃいけないと思い
「あれは…俺が悪い。すまなかった」
自分の責任にした。
「え?なんであなたが謝るの?」
「俺がお前に撃たれなければよかったんだ。だからお前は気にすることはない。鈴仙すまなかった」
「…………(ポカン)」
「…………(ポカン)」
二人はポカンとしながらしばらく止まる。
「…ふふ…なんですか、それ」
「ようやく笑ったな…それでいい」
鈴仙が笑って彼はホッとしたように立ち上がり部屋に戻ろうとする。
「あ、ああ、、、私もすぐ行くから待って…」
「わかった」
永琳に呼び止められていっしょに部屋へ戻る。


そして部屋に戻り…お風呂に行く時間になる。
「それじゃあ、お風呂に行きましょうか…」
「……」
「どうしたの?いっしょにいきましょう」
「昨日は接し方がどうとか言われたが」
「…でも二度目だし、もういいわよ」
「わかった」
彼はなんだもういいのかと不思議に思いながら二人で浴場に向かう。


そうして体を流し湯船に浸かる。そして永琳も浸かる。
「……」
暫く黙っていると永琳が笑い出す。
「……ふふ」
彼は不思議に思い聞く
「どうした?」
「いえ。さっきはウドンゲに声掛けてくれてありがとう」
「鈴仙のことか?あれは俺が悪いからな」
「ふふ、あの子元気になったわよ」
「そうか」


そして二人で部屋に戻ると布団が敷いてあった…
彼は…ん?またか…?と思い永琳を見る。
彼女が黙って布団を見ているとため息をついて
「また、あの子は…○○先に寝てていいから」
「わかった」
そう言われて彼は布団に入り眠りに就いた
「もう寝ちゃったのかしら?」
「……」
ほんとに寝る時はすぐに寝るのねと少し呆れながら言う。
そうして立ち上がり部屋を出る。また鈴仙に見張らせて輝夜の部屋へ


「姫様入ります」
「入って永琳。○○のことで思ったことがあるんだけど」
「なんでしょう?」
「本当に記憶が無いんじゃないの?イナバにもあっさり負けたし」
輝夜は今日起きたちょっとした事件の感想を彼女に話す
「…油断してはいけませんよ。演技かもしれません」
「うーん…でも」
「それに、その後は平然としていますし…まだ信用できません」
「わかったわ…」
永琳に一括されて輝夜もそれに頷き答える。
でも輝夜はもう一つ話すことがあった。
「あ、それとイナバ達も言っていたけど…」
永琳はなんでしょうかと聞く。
「○○は永琳の弟みたいね」
輝夜のその言葉に彼女はええ!っと驚く。
「ってイナバが言ってた…」
予想以上に驚くので輝夜は咄嗟にイナバ達が言っていたことにした。
「……でも自然とそう接しているのかもしれませんね」
永琳が少し考えて言葉を漏らすがすぐに輝夜に向き直る。
「それでは姫様…私はこれで」
「え、ええ。お休み永琳」
「あ休みなさい…姫様」


朝、また先に目を覚ます。いつも道理部屋の隅で正座をして目を閉じ置物化する。
もはやいつもの日課となっているようだ。
「うーん…おはよう。相変わらず早いわね」
「永琳…おはよう…」
お互い挨拶をして二人で朝食に行くことになる


その途中…彼が永琳に話しかける。
「どうやら…記憶が戻り始めているらしい」
突然の暴露話に彼女は慌てて振り返る。
「え!!戻ったの?それより戻り始めてるってどういうこと?」
永琳が珍しく取り乱す。今言うなと言わんばかりに彼に怒り出した。
「まったく!とりあえず…ご飯食べましょう…話は後でゆっくり聞くわ」
彼女はいろいろ言って怒りを静めていき、とりあえず朝食を食べようと彼に話す
「わかった。永琳いろいろとすまない」


二人で食事を済ませ、部屋に戻る。
「永琳、輝夜は呼ばなくていいのか?」
「……いまは私に話して」
彼女に言われ彼はわかったと告げる。
「なにから話せばいい?」
「そうね……まずあなたはここに何しに来たの?」
「…それはまだ思い出せない…ただ永琳と輝夜に会いに来たような気がする」
彼女は黙ってそれを聞き、彼に質問する。
「他には?」
「いや、これだけだ」
「それだけなの?」
「すまない」
「……」
彼女は少し呆れ気味で
「またなにか思い出したら言ってね」
「わかった」
結局しょうもない話であった。すると永琳が思い出したように聞く
「あなたいつ思い出したの?」
「…鈴仙に撃たれたあと…その日風呂場で永琳の裸を見てからだが?」
「……」
それを聞いた永琳は黙って彼の頬にビンタする。ゆるしてえーりんと言いたくなるほど怖い顔で…


その後暫くして鈴仙が部屋にやって来る。二人でなにかしているようだった。
彼は頬に手形を付けた状態で黙って置物化する。
「師匠これどうするんでしたっけ?」
「ウドンゲ…何度教えたと思ってるの?まったく…」
「す、すいません。えっと…えっと…」
彼は目を開け二人を観察する。
何かを作ろうとしているのか?薬の…調合か。と彼は興味深げにそちらに目をやる。
鈴仙はあたふたしていた。彼はその場を立ち上がり近づく
「鈴仙…ここはこれを使え」
「「え!?」」
二人はただ驚くしかできない様子
「そ、そうよ合ってるわ…なんでわかったの?」
「どうやら俺は薬学の知識があるようだ」
「……」
「……」
永琳は鈴仙に彼が記憶を取り戻し始めたことを告げる。


その後彼は永琳に薬の調合をやらされていた。
「これでいいのか?」
そう言って永琳に話しかけ、これで何回目かの調合を終える。
「…工程も合ってるし…分量も合ってるわ」
「す、すごい…」
鈴仙が驚いているようだ…
「……ウドンゲしばらく外してくれる?二人で話がしたいの」
「わ、わかりました」
永琳に部屋を出るように言われて鈴仙は部屋を出る
「いまの薬何かわかった?」
「…いや」
「さっき作らせたものは月人にしか作れない代物よ」
「なら俺は月人のようだな」
まったくこの子は…と永琳は彼を怪しむ。本当は記憶がすべて戻っているんじゃないかと
「とりあえずは…もういいわよ。休んでなさい」
彼女はどうせ何を聞いてもこの調子であることがわかっていたため詮索するのを止めて休ませる。
「わかった」
そう言って彼は部屋の隅で置物化する。


そろそろ夕食の時間になる。
いつも道理二人で移動すると彼がまた話しかける。
「永琳…すまない」
「どうしたの?」
彼が突然謝るので永琳も疑問に思い聞き返す
「…思い出したんだ」
「ええ!?」
またも移動中の暴露話に驚く永琳。すぐに落ち着きを取り戻して彼に話し始める。
「いまから、姫様の部屋へ行きます。いいわね?」
「…わかった」
そして二人は輝夜の部屋へ向かうことになった。


「姫様入ります」
「永琳?どうしたの?って○○も…」
輝夜は彼を見て思い出したのねと思い部屋に入れる
「なにから聞きましょうか…」
輝夜が何を聞いたらいいのか考えていると永琳が先に聞き始める。
「いままで本当に記憶がなかったの?」
「ああ」
「それで…ここに何をしにきたの?」
「俺は…永琳に会いに来たようだ」
まるで他人事のように告げる。
「私に?あなたはウドンゲを連れて行くためにここに来たんでしょ?本当のこと言わないと、どうなるかわかってるの?」
「鈴仙を連れて来いとは言われたが俺はそんな事どうでもよかった」
「(どうでもって)」
輝夜は少しポカンとしているが永琳は話を続ける
「じゃあ、私に何の用があって来たの?」
「俺は永琳を目標にしていた。だから一度会ってみたいと思ったから来たんだ」
彼の話を永琳は聞き考えている。たしかに薬学の知識はかなりある。それに嘘は言ってなさそうと考えるが彼の場合はわからない。
「私に会ったのならあなたはこれからどうするの?」
彼女にそう聞かれ彼は口を開いた。
「できれば…永琳の下にいたい」
「私の?」
「ああ、そうだ。それにここへどうやってきたかわからないから帰れもしない」
永琳は考え込むと黙って聞いていた輝夜が口を開く。
「いいんじゃない?ここに住まわせても」
その言葉に永琳は驚く。何言ってんのとした感じである。
「それじゃあ、いままで道理○○は永琳に任せるわ」
「…姫様がそう言うのであれば…」
そう言って永琳は彼の方を向き
「これからも監視するから…ね」
「ああ」
彼は二人に感謝の言葉を言った。




その後三人で朝食を食べることになった。
朝食を済ませ永琳はさっき聞けなかったことを聞く
「あなた、本当の名前は?○○じゃかわいそうだし」
「そうね。なんて名前なの?」
二人に言われて彼はすぐに口を開く
「いや、○○でいい。永琳が付けてくれた名だからな」
そう答え、その場を立ち上がる。と輝夜に話しかけられる
「あ、私のことは姫様じゃなくて輝夜でいいからね」
「ん?わかった」



そうして二人で部屋へ戻る。
「正直私からあなたに教えることはなさそうだけど」
ふと永琳が座り、話始める。
「それじゃあ、俺は不要だな」
「いきなりね…」
「すまない」
彼女が笑い始める…それを見て彼も笑みを浮かべる。
「初めて笑ってるとこ見たわ…」
「そうだったか?」
「それよりあなた記憶が戻っても今までと何も変わらないわね。『すまない』って言わないでよ」
「……」
先読みされて黙り込むそして彼は少し考えてから
「それよりいままで道理お風呂はいっしょなのか?」
「……」
部屋の空気が凍り…永琳は彼にビンタを一発…その音は屋敷中に響くほどの物だった。



それから数日が過ぎて…
鈴仙は永琳の部屋へ来ていた。否。連れ込まれた
「師匠の実験台なんて嫌ですよ!」
そう言って抵抗し始める。そこへ彼が口を開く。
「心配するな鈴仙。その薬は俺が作ったものだ」
鈴仙を落ち着かせるために彼は話す。
「じゃ、じゃあ飲みます…」
永琳はそれどういう意味よ!と二人に怒り出す。
結局○○は永琳の助手をする形となっていた。
「怒るな永琳。それより思ったんだが」
「どうかしたの?」
鈴仙もこちらも向く
「どうやら俺は永琳のことが好きらしい」
あまりの突然なことに鈴仙が薬を噴き出している。
永琳も呆れている
「ほんとにあなたは……でもまだ弟ってところね」
「ふふ、わかった」
鈴仙が彼を指差し笑ってると驚いていた。







<あとがき>
ここまで読んでくれてありがとうございます。今回は永遠亭メインで書いてみました

話の流れがかなり速いです。文章を書く練習した方がいいのかな…

今回の主人公は第三次スパ○ボαの主人公の中の一人をイメージしました
ってこういう主人公紹介いらないな……_| ̄|○

なんかこう…ストーリー作らないとSS書けない俺ダメぽだな…
今度はもっとシンプルなの書きたいと思う次第です。


最終更新:2011年02月27日 00:27