永琳6



12スレ目>>599 うpろだ852


「師匠は……いないわね」

 永遠亭の調剤室に帰ってきた鈴仙は部屋の中を見渡した。
 彼女の師匠である八意 永琳は不在らしかった。
 ほっと一息ついて椅子に腰掛ける。

「師匠にばれたら……○○さんどんな目に遭わされるか」




 博麗大結界の外から来た○○は、
 永遠亭の一員としてすっかり馴染んでいた。
 実際より年若く見える顔立ちと、
 その見た目に似合わず包容力のあるところが秘かに兎達の間で人気者だった○○。
 彼が、永遠亭の陰の支配者とも言われる永琳と恋仲になったと知れた時は、
 ずいぶん話題になった。

 曰く、洗脳用の新薬の実験で一服盛られた。
 曰く、怪人としての全身改造に先んじて脳改造を施された。

 真相を確かめようと、永琳のどこに惚れたのか○○に尋ね、

「僕は、永琳って結構可愛いと思うよ」

 と答えられた鈴仙は、噂はやはり本当だったかと内心頭を抱えたものだ。
 少なくとも『可愛い』などという表現は、
 彼女の知る師匠とは180°逆のものだったから。

 しかし、どうもこの言葉は薬や手術によるものではなかったらしい。
 ○○が永琳に惚れ込んでいるのは明らかなのだが、
 それ以上に、○○と二人でいる時の永琳は見た目通りのうら若き女性、
 いや、それよりさらに年下の少女のように華やいでいるのだ。
 そう、『可愛い』などと言っても差し支えないほどに。 

 それ以外の時にはこれまで同様、
 底の知れない有能さ、冷静さであれこれと取り仕切っているのだから、
 その差は余計に際立っていた。

 友人のてゐとそのことを話した時、

「何とかの深情けって言うじゃない?」

 と訳知り顔で言われ、この場合「何とか」に当てはまりそうな言葉を
 二つほど思い浮かべた鈴仙は、納得がいくと同時に

(これはこじれると厄介なことになるだろうな)

 と、一抹の不安を抱いたのだった。




 その不安は現実のものになろうとしている。




 今日、人里に置き薬の補充に行った時、
 甘味処の店先で○○を見かけた。
 ○○は鈴仙に気づかなかったようだが、
 鈴仙は○○に気づいてしまった。
 ○○は見知らぬ若い女性と差し向かいで座り、
 何か話していたようだった。
 見たこともない女性だったこと、
 それにしては親しげだったこと、
 さらに○○が人目をはばかる様子だったことを考慮すると、

「絶対、内緒にしておかなきゃ」
「……何を?」
「ひゃああああああ!?」

 鈴仙は飛び上がって驚いた。
 一切の気配を感じさせずに、永琳が背後に来ていたのだから無理もない。

「し、師匠!?いつからそこに?」
「今来たところよ。それで、ウドンゲ。何を内緒にしておくのかしら?」
「…………ひ、秘密です」

 暴走する月の最高頭脳が繰り広げる修羅場など、見たくはない。

「そう?まあ貴方にもプライバシーはあるしね」

 意外にも、永琳はあっさりと引き下がってくれた。






「……でもね。○○に関することなら黙秘権は与えられないわ」

 …やはり、世の中はそう甘くない。
 一瞬の隙に、永琳は両手に持った注射器を
 鈴仙の首筋に突きつけていた。

「○○にって……ちょ、師匠、今来たとか言って最初から」
「ごたくは要らないわ。どうしても言わないって言うなら」

 張り詰めていた永琳の声がふっと優しさを帯びる。

「……ねえウドンゲ。痛いのと痛くないのとどっちがいい?」
「い、痛くない方で」

 注射器が片方下ろされた。が、もう片方は依然首筋だ。

「そう、じゃあ痛くない方ね。痛み以外にも何も感じなくなるけれど」

 鈴仙は数歩先の修羅場よりも、目前にある生命の危機を回避することにした。




「あら、そんなこと?」
「そんなこと、って……」

 さぞ恐ろしいことになるかと思いきや、
 永琳の反応は淡白なものだった。

「だってそうでしょう?
 私の生きた年月から見れば
 地上人の女性はもちろん、大概の妖怪だって
 年端もいかない小娘も同然なのよ。
 ○○がちょっとよそ見をしたぐらい、
 問題にもならないこと。
 すぐに振り向かせられるわ」

 余裕に満ちた言葉を聞く限り、
 どうやら永琳は弟子の想像の数歩先を行く
 『大人の女』だったようだ。

「さ、バカなこと言ってないで、
 今日の分の調合を始めるわよ。
 最近風邪が流行っているから、
 熱さましと咳止めを多めに作っておきましょう」
「はい、師匠」

 そう言って、永琳は薬の分量を量るための天秤と分銅を取り出した。
 良かった、いつもの冷静な師匠だ。
 そう思い、鈴仙が安心した矢先だった。

 カチカチカチカチと、耳障りな金属音が響いた。

 永琳は、ピンセットで分銅を摘み上げようとしていた。
 だがその手は小刻みに震えていてしっかりと摘むことができず、
 ピンセットと分銅が触れ合って音が鳴っているのだ。

「……おかしいわ、疲れてるのかしら」

 金属音は鳴り続けている。
 しばらくしてようやく分銅を持ち上げたが、
 そっと置くはずの天秤皿の上に勢いよく落としてしまった。
 均衡状態を指し示す針が大きく左右に揺れる。

「ごめんなさいウドンゲ。後をやっておいてもらえるかしら」

 そう言って、永琳は部屋を出て行った。

「……師匠」

 見送る鈴仙は、複雑な心境だった。
 怒るでなし、叫ぶでなし。
 涙を見せることもない。
 予想していたような被害はない。
 だが永琳は、相当なショックを受けているらしかった。




 食事時は皆が一同に会する。

「あ、鈴仙ちゃん私のご飯今日少なめでいいから」
「えーりん、私ピーマンは苦手なんだけど」
「姫、好き嫌いはいけませんといつも……」
「僕がもらいましょうか」
「○○、姫を甘やかしちゃだめよ」

 騒がしいながらも平和な日常の光景だ。

「師匠、大丈夫ですか?」

 原因には触れないように、
 それとなく、鈴仙は尋ねてみた。

「ええ、少し休んだら良くなったわ」
「ん?永琳どこか具合悪いの?」

 実はそう聞いた○○が具合を悪くしている遠因なのだが、
 ○○は気づいていない。
 一方永琳も、○○が自分のことを心配してくれている様子に
 嬉しそうな顔をしていた。

「ううん、もう大丈夫よ。
 ○○、ご飯よそってあげるわね」
「あ、うん、お願いしようかな」

 永琳は○○の茶碗を受け取ると、ご飯を山盛りによそい―




 ―どこからか取り出した小瓶の中身を、ぱらぱらと振りかけた。

「はい、たんと召し上がれ」
「ちょっと、永琳!?」
「……あの、永琳、それ」

 小瓶にはラベルが張ってある。
 『蓬莱の薬 ~散剤~』と印刷してあるラベルだ。

「ああこれ?ふりかけよ」

 問いかける○○に、
 明るい笑顔で永琳は答える。

「いやでもラベルに」
「ふりかけよ」
「蓬莱の薬って」
「ふりかけだったら」
「でも」
「ふりk」
「…いいかげんにしなさいっ!!」

 輝夜が振り下ろした蓬莱の玉の枝が、
 永琳の脳天にクリーンヒットした。




「じゃあ何?○○さんと甘味処にいたのはてゐだったの?」

 手加減抜きの突っ込みで気絶した永琳の横で、
 輝夜に問い詰められた鈴仙が事の起こりを白状し、
 ○○はその場で事情を説明することになった。

「……うん。永琳を連れて行くのにどんなところがいいか
 てゐに相談したら、クリーム餡蜜一杯でアドバイスしてくれるって
 言って、里の甘味処に」
「顔見知りかどうかよく見たけどてゐだとはわからなかったわ」
「『本当は姫様に頼まれてる仕事があるから、
  さぼってるのがばれないようにね』
 って言って、変装を……」
「!…てゐ、あんた私が今日あの辺回るの知ってたはずよね?まさかわざと……」

 にらまれたてゐは、珍しく反省しているようだった。

「ごめん鈴仙ちゃん、
 もうちょっとドタバタ喜劇風の結果になるかと思ったんだけど、
 まさかこんなことになるなんて」
「ああもう、この兎は!」

 鈴仙が弾の一つも撃ち込んでやろうとしたその時だった。

「う……ん」
「あ、永琳が目を覚ますわ!」



「かくかくしかじか、というのが真相」

 とにかく永琳を落ち着かせよう、ということで、
 ○○が改めて申し開きをすることになった。

「……」
「ごめん、何だか誤解させたみたいで……
 永琳?」

「その、私こそ……ごめんなさい」

 か細い声で、謝罪の言葉が聞こえる。

「○○を蓬莱人にしてしまえば、
 時間がかかってもいつか私の所に戻ってきてもらえると思って……
 本当に、ごめんなさい。私、貴方の気持ちも考えずに
 勘違いしたまま先走ってしまって」

 小さくなっている永琳の肩に○○の手が置かれた。

「もうちょっとだけ、待ってもらっていいかな」
「え?」
「蓬莱の薬。もう少ししたら、不老不死も受け入れられるから。
 だから、とりあえず」
「……」
「今度一緒に、甘いものでも食べに行かない?
 てゐに教えてもらったんだけど、なかなかいい店だったから」

 ややあって、いいわ、と小さく返事が聞こえた。

「……たくさん、甘えさせてもらうわよ?」
「……こちらこそ。そうしてもらえると嬉しいな」




「鈴仙ちゃん、私達忘れられてる?」
「忘れられてるわね。さ、食器片付けないと」
「あー、私の分もお願いするわ。
 もう少し食べようかと思ったけど、何だか胸焼けが」




 …―後日。

「ところで、何故
 『もう少し待ったら不老不死になってもいい』
 だったのかしら?」

 鈴仙とてゐが掃除をしている横で、
 コントローラーを握り画面に目を向けたまま
 輝夜がつぶやく。

「ほら、○○さん結構幼く見えるところがありますから。
 師匠が心置きなく甘えられるくらい落ち着いた外見に
 なるまでは年を取るつもりだそうで」
「ああ、そーだよねー。
 確かに今のまま止まったら
 ずっと年増と若いツバm―はうっ」

 言いかけたてゐの頭に矢が撃ち込まれた。
 先が吸盤になっているので致命傷にはならないが、
 勢いよく当たっているため引き剥がすのが大変だ。

「あら永琳。出かけるの?」

 開いたふすまの向こうに、永琳が来ていた。

「ええ、ちょっと里まで」
「ふーん。○○も一緒?」
「……わかります?」
「それだけ幸せそうな顔してればね。
 まあゆっくり行ってらっしゃいな」



「……別に今のままでも心置きなく甘えてると思うけれど」
「ですよね」


12スレ目>>780 うpろだ879



「ねー、えーりんー」
「はい、何ですか姫様」
「バレンタインのチョコを●●に渡したいの。
 作り方と渡し方教えてくれない?」
「作り方はともかく渡し方は……
 姫様の方が詳しいのでは?
 地上に下りてすぐの頃は引く手数多でしたし
 男心のツボとか」
「あれは向こうが勝手に寄ってきたのよ。
 永琳だって、○○にチョコ渡すんでしょう?
 何か秘策とかないの?」
「わ、私だってその……経験があるわけでは……
 と、とにかく作り方だけなら教えられます。
 私も自分の分を作りながら教えますから、
 一緒に作りましょう。さて、支度を……」


「永琳、お菓子作りの時くらい
 白衣じゃなくてエプロンにしたら?」
「分量をきちんと量って、手順を守って作るところは
 お菓子も薬も同じですよ。
 さ、チョコの用意ができました。
 後は型に流し込んで、固めましょう」
「やっぱり王道のハート型よね。
 あれ、永琳は違うの?」
「私はトリュフチョコにしますので」
「ふーん、大人の雰囲気ってところかしら?
 ……で、何を仕込むの?」
「人聞きの悪いことを言わないでください。
 お酒をちょっと入れるだけですよ。
 ……さて、秘蔵のリキュールを、と……」

 ~少女(?)妄想中~

『○○、ちょっといいかしら?』
『ん、何?永琳』
『これ、私からのチョコレートよ。
 バレンタインだから、ね?』
『ありがとう、すごく嬉しいよ。
 一つ食べてみてもいいかな?』
『あ、待って。
 ……はい、あーん』
『あーん…
 …ん、ほろ苦くて美味しい』
『良かった、薬草のリキュールを
 入れてみたんだけど、
 気に入ってもらえたみたいで嬉しいわ』
『じゃあホワイトデーとは別に、
 これはお返しだよ』
『んっ……ちゅ、ん、はぁ……
 ふふ、もっと、続けて……?』


「うふふふふふふふふ」
「永琳?永琳!
 ちょっと、いくらなんでも入れすぎじゃないの?」
「―はっ。ついうっかり……」
「これは……一瓶空になったわね。
 鬼か天狗でもないと一口食べたところで倒れるわよ」
「……仕方ありません。
 残ったチョコで、お酒抜きのを作ります……」




「……○○、これ、バレンタインのチョコレートよ。
 本当はお酒を入れて、もっと大人の味わいにしたかったんだけれど」
「永琳の手作りってだけで十分幸せだよ。
 ありがとう、永琳」
「待って。……大人の味わいをプラスするから。
 口を開けて?」
「?あれ、なんで自分で食べ……
 ……んむっ!?」

「「……………………」」

「……もう一個、いいかな」
「……ええ、好きなだけどうぞ」


12スレ目>>1000


永琳、好きだ。
君の隣で一緒に永遠を歩ませてくれ。


13スレ目>>322 うpろだ974



「○○起きてる?」
 永琳は襖を開けて中を見てみるが、めくられた布団と毛布があるだけで○○の姿はなかった。
「御手洗にでも行っているのかしら?」
 敷き布団に手を置くとほのかに暖かい。抜け出てからまだそんなに時間は経っていないようだ。
 ふと永琳は毛布を手に取って匂いを嗅いでみた。
「あ……○○の匂い」
 男特有の若干獣のような匂いが鼻の奥に広がる。良い香りとはいいがたいが永琳はこの○○の匂いがそんなに嫌ではなかった。
 しばらくクンクンと匂いを嗅いでいたが自分のしていることに気がついた彼女は取り乱した。
「な、なにやってるのよっ!? 私っ!? こ、これじゃまるで変態じゃない!」
 確かにこんな姿を見られたら誰が見ても怪しい人にしか見えないだろう。
「で、でも、もうちょっとだけ……」
 また毛布を鼻に押し付けて匂いを堪能する永琳であった……



「……なんだこれは?」
 御手洗から帰ってきた○○の目に映るのは毛布を抱き枕にして顔を埋めている永琳の姿であった。
 頭に疑問符を浮かべながら永琳を起こさなければ自分が寝ることができないので○○は彼女を起こすことにした。
「おーい、えーりん?」
 と、目にも留まらぬ速さで足払いを貰い、気がついたら○○は先ほどの毛布の代わりにされ、永琳は彼の胸板に顔を埋めて大きく息を吸い込んだ。
「――はぁ……。やっぱり直に嗅いだ方がやっぱりいいわねぇ」
「あのなぁ、人をポプリか芳香剤扱いしないでくれ。それに男の臭いなんていいものじゃないだろ」
「あら、私は○○の匂い嫌いじゃないけれど。それに○○も私の匂いを嗅いでもいいのよ?」
「じゃ、遠慮なく」
 ○○は永琳の首筋に鼻を近づけると息を吸い込んだ。
 女性らしいやわらかく甘い香りに混じって何かさまざまな香草の匂いが鼻をくすぐる。
「……何かのハーブの匂いがする」
「ふふっ、薬師という仕事上どうしてもそういう匂いがついちゃうの。香草の匂いがする女は嫌い?」
「いや、これが永琳の匂いって気がして俺は好きだ」
「それと同じことよ」
 二人はお互いの匂いに包まれながらゆっくりと眠りについた……



13スレ目>>271


「〇〇、そろそろ・・・アレやらない?」
朝ご飯を食べてしばらく、
イナバ達は遊びに出かけ姫様は再びネトゲに帰還した頃、
袖を引っ張りながら永琳が聞いてきた。
きっと朝早くからご飯の準備をしていて寒かったんだろうに。
自分もさっき起きたばかりで丁度眠かったので了承した。
「ん・・・良いよ。
 じゃあ奥の部屋まで行こうか」
「ええ、ありがと」

永遠亭のちょっと奥の方にある部屋にこっそりと入り、
襖から毛布を出す。
二人で上着を脱いで毛布に包まって昼寝、いや朝寝。
いやいや、侮って貰っては困る。
こうやって寝ると普通より毛布が暖まるし、
この奥の部屋は数少ない日が差し込む部屋なので、
その気持ち良さは、下手すると適当な薬品より良いかもしれない。
「ふぅ・・・暖まる~」
「冷え症も大変だね」
「流石にこういうのは蓬莱の薬じゃ防げないからね。
 〇〇は、私の体はどう感じる?」
「暖かい・・・あと、柔らかいよ」
早速眠くなってきた。
これには問題があって本当に寝入ってしまうと・・・
眠・・・



喉が渇いたので目が醒めた。
体がけだるいし、何かが体に纏わり付いて暑い・・・
「ん・・・」
…やば、
身動きが取れない、と思ったら、
覆いかぶさる様にうどんげと姫様、
さらにはてうぃまでが体に抱き着き、毛布に潜り込んでいる。
暑い・・・
そう、この寝方は失敗するとこうやって拘束されて、
…運が悪ければ脱出出来ずに脱水症状に・・・
「ぅ・・・永琳・・・起きて・・・」
「zzz・・・」
無理です。
むしろ抱え込むように抱き着いて来て胸に頭が埋もれます。
というか一瞬見えたがてぅぃと姫様めちゃくちゃニヤニヤしてるじゃないか。
というか、汗で甘い匂いが・・・
駄目だ、ここで二度寝したらもう起きられん。
でも・・・頭の中まで甘い・・・

あま

あつ



その日の永遠亭は、昼ご飯の時間が遅くなったとか。



13スレ目>>363


「ふっふっふ○○、私は最強の眠り薬を作り出したわ」
「棒読みで何言ってんのさ一体」
「いやですね、最強の眠り薬をですね」
「実験に付き合えと?」
「・・・あー、なんか過程を説明するのが面倒臭くなったわ・・・それ!」
「うわ!急に抱き着くな!恥ずかしい!」
「ふふふふふ、温かろう甘かろう柔らかかろう!どう、眠くなるでしょう?」
「そりゃまあ柔らかいし・・・」
「あ、駄目だ、○○のが気持ち良すぎて私まで眠くなってきた」
「遠回しに危ない気がする発言をしないでくれ」
「もうこのまま寝ちゃいましょうよ今日は」
「布団くらい敷こうよ」
「あら、それじゃ寝かせて貰えないじゃない」
「何妄想しやがりますかこの薬師は」


13スレ目>>414


「えーりんえーりん耳掃除して~」
「はいはい、ほら膝枕」
「うおおー、すげーやあらかい!」
「こら、動かないの」
「んあぁ・・・」
「変な声出しちゃ駄目」
「・・・っう」
「あら涎が」ジュルッ

「・・・ちょ、今永琳何した?」
「涎が垂れかかってたから吸ったのよ」
「いや・・・そうじゃなくて」
「?・・・おいしかったわよ?」


うpろだ1138


――1人の蓬莱人が人間に恋をした。

彼女は彼と共に生きるため蓬莱殺しを作ることにした

努力の末に彼女は薬を作ることに成功し2人共に幸せに生きるはずだった

しかし運命は残酷だった

永遠であった時の遅れを取り戻すがごとく恐ろしいまでの早さで年をとっていった

そして今彼女はその長く、短かった命を終わらせようとしていた――



「うどんげ、あなたには私の持ちうる全ての知識を授けたつもり。これからはあなたが永遠亭の薬師となりなさい」
「……っ はい、師匠っ」

「てゐ、あなたのいたずらは時々度を越すことがあったけれど今となっては良い思い出ね。
 でもこれからはほどほどにしておきなさい。みんな私みたいに丈夫じゃないんだから」
「……うん」

「それから姫。申し訳ありません。共に禁忌を犯し永劫の罪に囚われるはずだったのに私だけその楔から解き放たれることになってしまって」
「かまいやしないわよ。妹紅だっているんだし、私ももしかしたら気まぐれでそっちに行くかもしれないからその時はお茶菓子でも出して頂戴」

「……永琳」
「ふふっ、あなたと共に生きて死のうと思っていたのにまさかこんなことになるなんてね。こんなにしわくちゃのおばあちゃんになるとわね」
「それでも十分綺麗だよ」
「そう言ってくれるところも相変わらずね。ねぇ、覚えているかしら? あなたを初めて竹やぶの中で見つけた時の事……」

 2人の出会い、馴れ初め、いつお互いを好きになったか、とり止めの無い話を続けてきたがついに終わりの時がやってきた。

「ふぅ、いろいろ話したら疲れちゃったわ。ねぇ、○○? もうあんまり体の感覚がないの。私の手を握ってくれない?」
「ああ、わかった」
「ありがとう」

「それじゃあ、私は先に向こうで待っているわ。待つことには慣れているから私のところに来るのはみんなゆっくりでいいわ……」
 この言葉を最後に永琳は静かに息を引き取った――



 永遠亭より少し離れた竹林にひっそりと小さな墓標が立ち、その前に1人の男が立っていた。

「○○、こんなところにいたの」
「ああ、姫様」
「案外あっさりと終わったわね。宴会以外でみんな集まって、誰一人騒ぐこともないなんて初めてなんじゃないかしら?」

 線香の煙が漂う中、○○は自嘲していた。

「永琳に薬学を叩き込まれたお蔭ですね。今頭の中で必死に反魂香の作成薬式を組み立てていますよ」
「……○○、それは」
「わかっています。そんなことをしても彼女は決して喜びはしないことを。そして俺がそのような禁忌を犯すことも」
「……彼女は幸せだったんでしょうか?」
「さぁ? でも永琳とは物心つくころから一緒にいるけどあなたと一緒にいたときは心から楽しそうにしていたわよ。それが答えなんじゃない?」
「そうですね……。あれ、雨が降ってきましたね」
「え? 別に雨なんて……」
「いや、雨ですよ」

 輝夜が○○の横顔を見ると上を見上げている彼の頬から一筋の雫が伝っていくのが見えた。

「……そろそろ戻りましょう。ここは冷えるから○○に風邪なんか引かせたら私が永琳に怒られそうだわ」
「わかりました」

 ○○に先を進ませ姿が見えなくなると輝夜は振り返り墓に向かって呟いた。

「大丈夫。ちゃんと私が○○のことは見守るから。むしろとんでもない難題吹っかけてあなたへの土産話に事欠かないようにするわ」

心なしか嬉しいような困ったようなそんな顔をした永琳が見えたような、輝夜はそんな気がした。



うpろだ1149


「ちょっと、○○」
「どうしたんだ、永琳」
「…できちゃったの」
「子供が?」
「…蓬莱の薬を飲んだ人間は妊娠できない…知っているのに言わないで頂戴」
「すまん、迂闊だった。…だから、そんな悲しい顔をしないでくれ」
「…いいわ、許してあげる」
「それで、何ができたんだ?」
「…蓬莱の薬と、蓬莱の薬の力を消す薬よ」
「え!?蓬莱の薬はともかく解除薬なんて作れるのか?」
「作れたのよ」
「で、でもそれを使ったら長生きしてる師匠や輝夜さんは死ぬんじゃ…」
「ええ、死ぬわね。でも、薬を使ってから丁度60~70年は生きれる」
「そうなのか…それで、なんでこんな事を俺に?」
「貴方に選んでもらう3つの道があるの」
「3つの道?」
「一つ目は、このまま暮らして私をここに遺しこの世を去る道」
「二つ目は、そこにある蓬莱の薬を貴方が飲んで、永遠の命を得る道」
「三つ目は、そこにある解除薬を私が飲んで、私と貴方で同じ位の時を生き、死ぬ方法」

「そうか、そういうことか…」
「ええ、貴方はどの道を選ぶの?」
「言うまでも無いな、二つ目の道だ。」
「○○、それはもっとも厳しい道よ?…考え直すつもりはないかしら」
「逆に聞くが永琳、なんで考え直す必要があるんだ?」
「永遠の命はとても辛いものよ。私達の時の流れは周りの人や妖怪と比べて遅すぎる、永すぎるのよ」
「確かに辛いかもしれないが、俺は永琳さえ居れば大丈夫さ。」
「…私は貴方に出会ってからの時間はとても楽しかった!だからこそ貴方に辛い思いはさせたくないのよ!」
「その選択肢を出したのは、永琳だろ?」
「確かに、そうだけれども!」
「安心してくれ、俺はお前さえいたら後はどうでもいいさ」
「子供ができないのは悲しいけど、永琳が居るならそれでいい」
「○○…」
「だから、さ その蓬莱の薬を飲ましてくれよ」
「ごめんなさいね、○○。あれは実は蓬莱の薬なんかじゃない。只の風邪薬よ」
「…はい?」
「もう一方は、姫様のための酔い止め。つまり、これは嘘だったのよ」
「…俺の決断はどうなるの?」
「でも、これは貴方の思いを聞いておきたくてやったの。けして落胆させるためなんかじゃないわ」
「何か釈然としないというか・・・」
「でも、そういってくれて嬉しいわ。蓬莱の薬はきっと作ってあげるからね」
「まあ、それならいいか」
「…ねぇ、○○。キスしない?」
「いきなり何を言うかと思えば・・・いいぜ、別に」
「じゃあ、○○からお願い」
「わかったよ、んっ・・・」
「んぁっ…ぷはぁっ ご馳走様」
「お粗末様でした、と言いたいところだが、嘘吐きには罰が必要だな?」
「…優しく、してね」
「もちろん、女性の身体を傷つける趣味などないさ」

おしまい


うpろだ1159


何かを鞄を抱えて永遠亭にやってきた○○

○「えーりんせんせー。お薬持ってきたよ!」
永「ありがとう、いつもご苦労様。
永「遠かったでしょう、お茶を出すわ。そこで待っててね」
○「うん、ありがとう!」

永「ねぇ、○○」
○「?」
永「私の事、好き?」
○「うん、大好き!」
永「ふふふ、ありがとう、嬉しいわ」

――それじゃあ、私といつでも一緒に居てくれるって事よね。

○「え?」
永「どうしたの? あら、顔色がちょっと悪いわね。薬を出すわ」
○「え、だ、大丈夫だよ!」
永「ダメよ。その気持ちが後になって大きな病気を繋がるんだから」
○「そ、そうなの?」
永「大丈夫よ。この薬を飲めばすぐに良くなるから」
○「これを飲めばいいの?」
永「えぇ、すぐ飲むのよ」
○「う、うん――「そこまでよ!」

永「!!」
○「わっ」
輝「言葉間違えたわ、と……永琳、濫用はダメと言ったでしょう」
永「姫様……」
輝「特に○○はまだ子供なんだから、今飲んだら世間の常識すら覚えなくなるわよ」
永「姫様……お言葉ですが、○○はそこまで学習能力の無い子ではありません」
輝「気持ちは分からなくもないけど……やめなさい。まだ耐えられないわ」
永「……くっ」
○「な、何のお話してるの?」
永「…………」
輝「…………」
永「○○、私の部屋に行きましょうか」
○「え……?」
輝「永琳……」
永「大丈夫です、姫様。もう蓬莱の薬を飲ませません」
永「その代わり、彼に大人の魅力を教え込みます」
輝「……やめなさい。それこそ、そこまでよ」


うpろだ1223


永琳「五色の弾丸…姫に捧げる?」
○○ ニア 龍の頸の玉を捧げる
     冗談じゃない

永琳「砕けぬ意志…姫に捧げる?」
○○ ニア 仏の御石の鉢を捧げる
     冗談じゃない

永琳「焦れぬ心…姫に捧げる?」
○○ ニア 火鼠の皮衣を捧げる
     冗談じゃない

永琳「永命線…姫に捧げる?」
○○ ニア 燕の子安貝
     冗談じゃない

永琳「虹色の弾…姫に捧げる?」
○○ ニア 蓬莱の弾の枝を捧げる
     冗談じゃない

永琳「あ、貴方何者?地上には実在するかも判らない宝を5つも、それも一人で…」
○○「どう、それなりによく出来てるでしょう?」
永琳「ぶっ!」
(ガクッ)
○○「ふむ…私の陶芸・細工師としての腕も捨てたモンじゃないですね。
   月の民が腰を抜かして驚いてくれるとは…。」
永琳「驚いてるのはそこじゃありません!」
○○「ああ、怒った顔もキレイです、八意さん…」
永琳「あきれてるんです!」
○○「それでも、あまり見たこと無い表情だから貴重です。」
永琳「あ、貴方恥ずかしくないの?姫と婚姻を望む男としてこのような…」
○○「いいんです。」
永琳「こんなもの幾ら持ってきても、姫には会わせられませんよ?」
○○「それでもいいんです。」
永琳「いいって…貴方ねえ、一体なんのためにこんな事を?」
○○「八意さんに会う口実です。私はあなたに会いたいためだけに、
   こうして婿候補の1人に志願して、
   そして合格するはずの無いチェックを受けに来てるんです。」
永琳「ち、地上の男の考えることは判らないわ…(汗)」
○○「それじゃあ、またきます。」
永琳「あ、ええ…いつでもどうぞ。。(本当…変な男…)」

~2ヵ月後~
○○「こんにちは。八意さん。」
永琳「あら、○○…って、なんで研究室に直接くるのよ。」
○○「玄関開けっ放しだったもので…」
永琳「よく迷わずここまでたどり着けたわね。」
○○「迷いましたよ、3日ほど。いやあ、ふすま5千枚は開けましたね。」
永琳「……。(あぁ、めまいが…)」
○○「あ、私の作った御鉢、使ってくれてるんですか?」
永琳「あ、ええ。乳鉢として使わせてもらってるわ。」
○○「てっきり全部処分されてるものだとばっかり…って、蓬莱の玉の枝まで。。」
永琳「この実の部分に使われてる塗料が、薬の材料になるのよ。」
○○「……嬉しいです。」
永琳「バ、バカなこといってないで、その偽物置いてさっさと帰りなさい。」
○○「あ、置いてっていいんですか?偽物なんか置いてってもジャマじゃ…」
永琳「い、いいのよ。持って帰るのも大変でしょう?」
○○「じゃあ、お言葉に甘えて…」
(どさどさ…)
永琳「あー、あと…コレをあげるわ。
   この眼鏡を掛ければ幻覚に惑わされずにすむから。」
○○「わぁ、ありがとうございます。大事にします!」
永琳「い、いいわよ別にそんなに喜ばなくて…」

その後…○○製品がじわじわと永琳の私物として貯まっていくのであった。。
てゐが御鉢を割ってしまった時にめっさ怒られたとか、
火鼠の皮衣とかいって暖かいどてらを持って行ったら輝夜と取り合いになったとか、
それはまた別のお話。


最終更新:2010年05月28日 23:00