輝夜8
新ろだ475
私が、
蓬莱山 輝夜に出会ったのは、まだ輝夜が竹取の翁が許にいた時。
私は、大きくなってゆく竹取の家で初めての奉公人だった。
その当初は、まだ私も幼さの抜けていない頃で、輝夜もまだ幼い頃である。
大きくといってもまだ竹取の家は、一軒家を二つほど増やした程度の広さで私一人でも何とか手が行き届いた。
掃除や家事手伝い、時折輝夜の世話等を終えれば何とか半時ほどの自由時間が出来る状況。
その半時を利用して、私は竹取の翁から借りた彫刻刀一本と、薪拾いの時に拾ってきた木っ端を彫るのが趣味となっていた。
輝夜が、それに対して少々興味を持ったのは、唐突にお腹が空いたから何か作ってと
私の部屋……と、言うよりも納屋……に、尋ねてきた時だった。
既に私のやる事は、終えており木っ端を彫っていた時の来訪。
少々、私は、驚いたのものの直ぐに彫刻刀と彫り掛けの何かを片隅に置き立ち上がる。
今、簡単なモノをご用意します。と、私が告げようとする前に輝夜は「それ何?」と、尋ねてきた。
それに対して、私はタダの暇つぶしですよ。と、しか告げず台所へと向かう。
無論、輝夜をそのままにしては置けないので、私は、お部屋でお待ちください。と、告げた。
台所で簡単なものを作り、それをお盆に載せて輝夜の部屋に行く。
失礼します。と、襖をスッと静かに開ければ、何故かあの彫り掛けの何かを手にした輝夜。
とりあえず、私は簡単なモノ。丁度、餅があった為作った磯部焼きを輝夜の前に置く。
「ねぇ。これ、最後は何になるのかしら?」
磯部焼きを一瞥した後で、私の顔を見やり輝夜はそう言う。
「さぁ、分かりません。ただ、思ったままに彫っているだけですので」
「そう……じゃぁ、出来上がったら見せてもらえるかしら?」
「……何時、出来上がるかわかりません。もしくは、私が止めてしまうかもしれません」
「……まぁいいわ」
と、その何かを私に軽く投げて渡す輝夜。
そんな輝夜を尻目に私は、「失礼いたしました」と輝夜の部屋を後にする。
襖が閉じられ私が立ち上がった時、襖の向こうから声を掛けられ。
「ねぇ。そういえば、アナタの名前なんなの?」
「………○○です」
それ以後言葉が発せられる事は無く、私は自分の部屋へと向かった。
よくよく考えてみれば、この時初めて私は自分の名前を名乗った。
奉公人と来た時も、名前を言われる訳でもなく直ぐに仕事を与えられ……
こうやって輝夜に尋ねられるまで私は、名無しの奉公人として仕えていたと言う事に
その時になってはじめて気づいて……ため息を一つ。
これが、輝夜と私の本当の意味での馴れ初めなのかもしれない。
◇
竹取の家が、更に大きくなり奉公人も更に増えた頃。
私が、輝夜と出会う事は殆ど無くなり……最初の奉公人と言う事で、他の奉公人の指示や買出し交渉等に忙しかった。
ただ、それでも自分の時間と言うのは有る為、相変わらず木っ端を彫る事を止めてはいない。
あの時、私は、止めるかもしれない。とは、告げたが結局は止めていなかった。
そして、彫るのも然してや木っ端だけでなく竹を彫るというよりも削る事もあった。
私が、竹取の家に奉公人として仕えてから早十年ばかり。ナニカの完成品は、増えに増えた。
そして、とある日。私の時間が時に、何時かの様に輝夜が私の部屋に現れた。
輝夜は、私の顔をジロジロと見る。そして部屋をぐるりと一瞥した後で
「○○。お腹すいたからなんかつくって」
そんな事を言い放つ。何故わざわざ、私のところまで来るのですか。と、疑問に思った。
輝夜付きの奉公人は、何十人といるはずなのだが……考えてもしょうがないと、心の中でため息。
いつかの様に、私は、彫り掛けのナニカと彫刻刀を置き立ち上がる。
「で? それ何?」
まるで、昔のやり取りをそのまま告げてるような……と、輝夜の顔を見れば楽しそうと言うか愉快そうな表情を浮かべていた。
「ただの暇つぶしです……が、少し前に出来上がったモノでよければ差し上げましょうか?」
「あら、この私にふさわしいモノかしら?」
つまり、私の美しさに引けをとらないモノか。と、言う事だろうが……
「さぁ? どうでしょう?」
と、私は、木っ端から彫りだした小さな兎を輝夜の手のひらにポンッと乗せた。
「あら、可愛らしい兎ね」
「身近な動物を彫ってみようかと思いましてね。とりあえず、兎からです」
「ありがたく。もらっておくわ」
で、何か簡単なものをおつくりいたしますか? と、尋ねたら。
輝夜は、ニンマリとした笑顔を浮かべて磯部焼きと私に告げた。
その日の夜を最後に、私は、本当に輝夜と会う事は無くなった。
それは、偏に忙しくなったからである。奉公人が更に増え屋敷も大きくなった。
そして、輝夜に対して結婚してほしいと尋ねてくる男達が増えた事もその要因である。
◇
輝夜に結婚を申し込んだ男は、最終的に五人になった。
そんな五人に、輝夜は一人に一つの難題を出す。
一つ難題「仏の御石の鉢」
一つ難題「燕の子安貝」
一つ難題「火鼠の皮衣」
一つ難題「龍の頸の玉」
一つ難題「蓬莱の玉の枝」
その五つの難題は、誰も持ち帰る事は出来ず贋作を持ち寄るものばかりであった。
輝夜の話は、時の帝にも届き帝自らがこの屋敷に来た時は、忙しいと言う状況よりも更に激しい。
有る意味地獄とも取れる状況だった。
しかしながら、その帝も輝夜を諦めた様である。ただ、和歌のやり取りはしているとの事を噂で聞く。
そして、明くる日。
私が、三十になり輝夜が二十余年。
月からの使者来訪。
月の使者に対し帝は、屋敷を屈強な兵士で周囲を固めたのだが……
それは、無駄な事となってしまった。月の使者の得体の知れぬ技の前に屈強な兵士らは倒れてゆく。
私は、それをみている事しか出来ずただ輝夜は、無事なのだろうか? と、輝夜が居る部屋に向かって走り進んだ。
無礼も承知で、部屋の襖を勢い良くあけた。
其処には、輝夜と竹取の翁。そして見たことの無い女性が一人。
輝夜は、その女性となにやら話をした後で、竹取の翁に二つの壷を渡す。
その後、輝夜はその女性に連れられ私の横を通る。
通り過ぎた時、コロリと輝夜から何かが落ちる。
私が、それを拾えば、それは私が彫った小さな兎だった。
「○○。それ、届けに来て頂戴。待ってるわ」
その言葉を最後に、輝夜は、この屋敷を去った。
輝夜が、居なくなってからの屋敷は、静寂なモノだった。
奉公人もその殆どが暇を出された。いま、この屋敷に居るのは古参と言われる私を含めた古い時から奉公している者達だけ。
そして、私は、竹取の翁に呼ばれ一つの壷をはさんで対峙していた。
翁曰く、この壷に入りたるは、蓬莱の薬。飲めば不老不死になる薬だと言う。
しかし、翁はその薬を飲むつもりは無い。と、私に告げ私に処分してきて欲しいと告げた。
その後は、長らくこの屋敷に奉公してくれたお前に暇を出す。と、言ふ。
私は、頷く事で答えるとその壷を手に取った。
そういえば、壷は二つあったはず……と、私は翁に尋ねれば。
翁は、もう一つは帝へ届けられた。と、話してくれた。
◇
私は、自分の部屋で、蓬莱の薬を前にして腕を組んでいる。
さて、翁は処分して欲しいと言っていた。方法は決まっていない。
【それ、届けに来て頂戴。待ってるわ】
と、輝夜の言葉が思い出される。と、同時に私は懐にしまったやや汚れた木彫りの小さな兎を取り出す。
輝夜は、月に帰ったと言われている。人間が月までたどり着く事は、事実上無理とされている。
それこそ妖怪。それも強大な力を持った妖怪でなくては、月なぞにはたどり着けないだろう。
その強大な力を持った妖怪に助力を頼むとしても、ただの人間は食料にしかならないだろう。
寧ろ、それ以前の問題。どうやってその大妖怪を探し出せばいいのか……
私が、死ぬ前にそれは成せるのか。それが一番の問題。
だが、その問題を解決する方法が目の前に存在した。
不老不死になる薬。
私は、木彫りの兎を壷の蓋が上にポンッと置く。
不老不死。老いもせず死にもしない。と、いう事は、どういうことなのかは分からない。
しなしながら、私は、蓋の上に置いた兎を手に取り再び懐にしまうと、壷の蓋をおもむろに開けた。
◇
かくして、私は、人探しの旅を続ける事となる。
当て無きの旅。妖怪に襲われる事多々。人に襲われる事多々。
出会いと別れの繰り返しを続けながらに私は、旅をする。
時間は流れ、時代が流れ、歴史が紡がれる。
火の国を旅し探し人を尋ねる。されど、探し人は月の民。
幾程まで時代が進めば、人は月へと行けるだろうか?
旅を続ける私は、大陸へと渡る。
火の国を隅々まで探した。ならば、次は大陸を探そう。と、私は大陸を旅する。
やはり其処でも妖怪に襲われる。人にも襲われる。
だが、大陸で私は大妖怪に出会う。九尾の狐と呼ばれる大妖怪。
しかしながら、その九尾の狐は、大陸の帝と共に住まい唯の人間である私がお目通りする事はできなかった。
遠めに見て……旅する内に知り合った天狗から教えてもらった遠見の術……ただ、彼女は幸せそうであった。
更に私は、大陸を旅する。争いに巻き込まれる事幾千。
殺される事幾万。殺した事幾億。
人を助けた事数え切れず。妖怪を助けた事数え切れず。
探し人を訪ね歩いた歩数など覚えても居ない。
大陸を渡り天竺へ赴いた。しかし、其処にも尋ね人は居らず。
ふと、尋ね人の顔が思い出せなくなった事に気がつく。
女性ではあった。竹取の翁の娘であった。名前も覚えている。私に、届けに来いといったのは覚えている。
さすれば……別段問題は無い。私は、そうこの汚れてしまった木彫りの兎を届けなければいけないのだと改めて認識する。
天竺から更に向こう側へと大陸を旅する。
金色の髪を持ち肌が白い人種の大陸へとたどり着く。
その大陸もやはり争いはあった。その争いに参加した事もあれば眺めていただけの時もあった。
マーリンという老人に出会う。ただ、酒を飲み交わしただけだった。
旅を重ね私は、年を取らず死しても生きている。
氷の国で、氷の女王と出会う。彼女は、寂しげな表情をずっと浮かべていた。
尋ね人は、此処にも居ない。
時代が巡る。妖怪が居なくなってゆく。
人間は、科学と言う手段を手に入れその科学を手に時間を進んでゆく。
私は、再び最初の大陸へと戻る。
時代の流れか、風景の殆どはガラリと変わっていた。
あの九尾の気配すら感じない。彼女は、この大陸から去ったのだろうか?
◇
尋ね人は、何処にいるのだろうか。
火の国へ舞い戻った私は、記憶を頼りに竹取の翁が屋敷へと向かう。
しかし、たどり着いた場所は、屋敷の姿なぞ無く。ただ竹林が広がる場所となってしまった。
其処ではじめて、あの頃を知る者達は皆死してしまったのだ。と、認識する。
無償に涙が流れた。しばらくの間、私はその竹林に住まう事にした。
竹で作った簡素な家をつくりそこで、私は彫刻刀片手に木っ端を彫る。
旅をして来た時に印象深く残った記憶を形にして残す。
私はその作業にいつまでも没頭した。
◆
幻想郷。迷いの竹林に存在する永遠亭。
其処には、二人の女性が住んでいた。
一人は、あらゆる薬を作る程度の能力を持つ
八意 永琳。
一人は、永遠と須臾を操る程度の能力を持つ蓬莱山 輝夜。
輝夜は、ぼやっと幻想郷の空を眺めていた。
空には、夜が広がり満月がぽっかりと浮かんでいる。
そんな輝夜に、永琳が手元を動かし何かを作りながらに声を掛ける。
声を掛けられ、輝夜は永琳が方を向くわけでもなく相変わらず空を見上げている。
「昔を思い出した」
不意に輝夜はそう呟く。
「昔?」
「永琳が、私を迎えに来た時の事よ」
随分と昔の事ですね。と永琳は作っていた何かに黒い粉末を混ぜ込みながらに言う。
「あいつ。まだ、届けに来ないのね」
輝夜の言葉に永琳は、首をかしげる。あいつとは誰の事だろうか?
あの時、あの場所にいたのは、私と輝夜。そして輝夜を育てた竹取の翁。
あぁ、そう。そして、唐突に現れた男が一人か。
つまり、あいつとはその男の事なんだろう。
しかし、あの男は普通の人間。もう寿命で死んでしまってもおかしくは無い。
それなのに、輝夜は、まだ届けに来ないと言う。
「死んでしまったのではありません?」
「そうかもね」
憂いの浮かんだ表情を浮かべる輝夜。
作る手を止めてそんな輝夜を見る永琳。
月明かりが二人を照らす。
そんなシンとした永遠亭に一つの大声が響き渡った。
「輝夜ぁああ!!!!」
「……空気読まない妹紅参上?」
「彼女に空気を読めと言う事は、姫との間柄を考えると不可能レベルです」
「はぁ……今日は、昔を思い出して月見酒としゃれ込みたかったのに」
「ご愁傷様」
◆
蓬莱山 輝夜は、あの時の事を考える。
何故、どう考えても無理だろう事をただの人間である○○に言ったのか?
蓬莱人でもない○○。もはや寿命で死んでしまっているだろう事は分かる。
気まぐれだったのかもしれない。
ちょっとした悪戯心だったかもしれない。
もしくは……
「輝夜。てめぇ! なに考え事してんだよ!」
轟と膨大な熱量を誇る焔が、輝夜に向かって津波に様に襲い掛かる。
が、輝夜が拍手を打つと、その焔は霧散する。
「ねぇ。妹紅」
戦闘狂と言われかねないような表情を浮かべている妹紅に対し、輝夜は普通に声を掛ける。
そんな様子を怪訝に思う妹紅。
「アナタ、他にも蓬莱の薬を飲んだ存在をしらない?」
突然の尋ねに、妹紅は眉を顰めた。
寧ろ、己以外に蓬莱の薬を飲んだヤツが居たのか? と、思う。
「知らないようね。残念」
本当に残念そうな表情でため息を一つ。
「今日は、もう止めにしない? 月見酒したいの。昔を思い出して」
「親父の事でも馬鹿にしながらか?」
「違うわよ。懐かしい翁らを思い出しながらよ」
ふん。と、妹紅は鼻息荒くくるりと背を向けて去っていった。
薬を作り終えた永琳は、縁側に腰をかけてお茶を啜っていた。
そんな永琳の隣に腰を下ろし、お猪口に注いだ酒を呑む輝夜。
「そういえば、永琳。イナバは何処にいったのかしら?」
「さぁ。てゐは悪戯が大好きですからね……また竹林のどこかに落とし穴でも作ってるんじゃないでしょうか」
「そう」
空になったお猪口に徳利で酒を注ぐ。
注がれた酒に写るは、夜空の月。
「二つあった蓬莱の薬。一つは翁に、一つは帝に」
帝に送ったはずの一つは、妹紅が私に復讐したいが為に奪い使った。
なら、翁に渡した一つは?
「翁に渡した一つは、どうなったのかしらね?」
「さぁ。分かりかねます……が、可能性が高いとしたら処分だと思いますね」
「でしょうね」
「あと、その処分について確率的にほんの少しの可能性がありますが……聴きます?」
「言って頂戴」
「翁が、誰かに処分を任せた。が、その誰かが蓬莱の薬を使う事で【処分】した」
まぁ、本当に確立低いんですけどね。と、永琳は空になった茶碗を手に立ち上がる。
何か、肴でも持ってきます。と、茶碗を片手に永琳はその場を一旦後にする。
「……もし、あいつがそうやって処分したなら……」
あいつについて考える。あいつ。○○。顔は思い出せない。
竹取の家での初めての奉公人。私が、名前を尋ねるまで名前が無かった様な男。
手渡された今は持っていない小さな木彫り兎。
わざと木彫り兎を落として、あいつに言った言葉。
私は、あいつに何を期待しているのだろうか?
寧ろ、私はあいつをどう思っているんだろうか?
わからない。好きか嫌いかでいうなれば、好きではある。
しかし、それは……
「……生きてるなら早く来い。馬鹿」
あの頃の事を笑って話したい。あいつの磯部焼きが食べたい。そう思った。
◇
○○が、竹林に作った小屋とは言いがたい小屋には、もう○○は居なかった。
ただ、小屋には、大小様々な彫られた何かが、大量に存在した。
人、動物、妖怪等を模様して彫られたそれら。
それらには、一つの共通点があった。みな笑顔だという事であった。
○○は、再び旅路へと出ていた。もう一度火の国を探しつくしてみようと考えた為だ。
月に尋ね人が居る。とは分かっている。寧ろ月に帰ったのだから月に居なければおかしい。
しかし、それでも、○○は火の国を探す事にした。
旅をして一つの神社へと足を運んだ。
その神社は、人の気が無い打ち捨てられた神社。
打ち捨てられてまだ新しいのだろうその神社の鳥居には【博麗】と言う板が存在した。
賽銭箱は、暴かれたのか捨てられたのか壊されたのか定かでないが、存在しなかった。
動物の気配も妖怪の気配もなんにもない神社。
○○は、無駄足だったか……と、神社の縁側に腰をかけてため息を一つ。
しばらく休んだ後で、鳥居を潜り神社を後にしようとした時だった。
不意に、後ろから声を掛けられる。
「あら、博麗神社に何か用?」
その声に振り向けば、其処には箒を片手に巫女服……とは、言いがたいがきっと巫女服を着た少女が一人。
「……人が居る?」
「なに、その生えて出たような言葉」
見やれば、無かったはずの賽銭箱があった。
少女が、私の視線に気づいたのか、少女も賽銭箱を見る。
「賽銭箱が珍しい?」
空っぽだけど。と、少女は言う。
「……いや、私が居た場所。では、賽銭箱が無かったんだ。そして君も居なかった」
その言葉に、少女はポンッと手を打つ。
「あぁ、外来人。迷い込んだ訳ね……外に帰りたいなら帰すけど?」
唐突な物言いに、混乱する。
「説明を求めてもいいかい?」
「? あぁ、此処の事?」
私は、頷くと少女……博麗 靈夢……は、この幻想郷について説明してくれた。
世界から隔離された世界。幻想となったモノが生きる世界。要約するとこんな感じだろうか?
「すまないが……私は、人を探しているんだが……」
「人? 誰?」
「輝夜という女性なんだが……」
靈夢は、顎に手を添えて考え始める。
「他になんか情報ある?」
「昔、竹取の翁と言う人物に育てられた。月の民」
「ん~……わかんない。あぁ、でも迷いの竹林っていうのはあるわよ」
方角的に言うと、あっち。と、大雑把に指差してみせる靈夢。
「外へは、いつでも帰せるから帰りたくなったら来て頂戴。あと、この御札渡しておくわ」
妖怪やら亡霊やらを寄せ付けない御守りらしい。幻想郷は、外と違い妖怪らが多く居る為らしい。
そんな御守りも強大なモノには、効果は無いらしいが……私は、お礼に少ないが食料を奉納と言う形で手渡した。
◆
「あら、てゐ。どうしたの? 慌てて」
「あ、永琳様。いや、私の悪戯にかかっちゃった人間が居たんですがね?」
「あら、日常茶飯事の事じゃない」
そ、そうなんですが。と、困った様に頬をかくてゐ。
「ただ、引っかかったのが、ついうっかり、悪乗りして作って封印してたはずの対妖怪撲滅用落とし穴なんですよ」
「……やたら、物々しい落とし穴ね?」
「えぇ。普通人間だったら死ぬ程度の落とし穴なんですが」
それは、もう悪戯の範囲ではない。と、永琳は人事に思う。
寧ろ、その封印してたはずの落とし穴にかかってしまった人間の冥福を祈る。
「その人間……あの
藤原 妹紅みたいに、生き返ったんです」
「なんですって?」
生き返った?
「その人間は、今何処にいるの?」
「えーっと……永遠亭前に運んで放置し……」
「直ぐ運んできなさい」
は、はいぃい! と、てゐは脱兎の如くその場から走り去った。
◇
○○は、目を覚ました。見慣れない場所だと、起きて直ぐにきょろきょろと辺りを見回す。
「目を覚ましたようね」
と、声を掛けられ声の主を見やる。
その声の主の姿を見て、あの時の記憶が、思い起こされる。
「貴女は……輝夜と一緒に居た……」
○○の呟きに、声の主永琳は、やっぱり。と、ため息。
「今、姫を呼ぶからそのまま其処にいなさい」
そう告げると、永琳はその場を後にする。
そんな永琳の後姿を見送って、○○は考える。
月に居るはずだと思っていた。何より、あの女性は、輝夜を月から迎えに来た人物に違いない。
姫。と呼んだのは多分輝夜。月に居ると思っていた。
今までの旅路は、無駄で無駄じゃないモノだと思って今まで生きてきた。
旅路の目的は、これで果たせるのだろう。
部屋に、二人の女性が入ってくる。一人は先ほどの女性。もう一人は……
「お久しぶりです。輝夜様」
「随分と遅かったわね? ○○」
「えぇ、随分と時間がかかってしまいました。何せ、輝夜様は月に居るものだと思って探しておりましたので」
それは、時間かかるわね。と、二人のやり取りを見ていた永琳は、小さく頷いた。
「ですが、結果的にコレを届ける事はできましたね」
と、懐から取り出すは、年月の経過が為にその殆どが朽ちてしまった小さな木彫り兎だったもの。
「随分、かわっちゃったわね。この兎」
「私と共に、輝夜様をずっと探し続けていたからでしょう」
○○の輝夜探しの旅は、常に小さな木彫り兎と共にあった。
妖怪に襲われた時も、この小さな木彫り兎だけは、傷つけはさせなかった。
それでも、ただの彫っただけの小さな木彫り兎には、年月の経過と言う痛みを回避する事は出来なかった。
「ねぇ。○○。また、彫ってくれるかしら?」
「えぇ。ソレを届けた後の事を考えても居なかったので……喜んでやらせてもらいます」
「そう。じゃぁ……また、兎を彫ってもらえるかしら?」
えぇ。喜んで。と、○○は笑顔でそう答えた。
かくして、○○の旅は、終わりを迎え……幻想郷での生活が始まるのだった。
「それにしても輝夜様」
「なによ?」
「成長しておりませんね」
「…………それは、喧嘩を売ってると取っていいのかしら?」
「さぁ? それより、お顔をもっと近くで見せていただけませんか?」
「なんでよ?」
「正直な話。輝夜様のお顔……お会いするまで忘れてましたし」
「…………まぁ、私も人の事いえないわね」
チラシの裏。
私もイチャイチャなSSを描きたい。と、衝動的に描いた。
あれ? イチャイチャ成分がどこにもないよ。
寧ろ、この後からイチャイチャ成分が出てくる気がするんだ。
あと、霊夢が靈夢になってるのについて。霊異伝っていつだかわからんかった。
先代博麗の巫女だと思ってもらえると嬉しい。
一応、年代表モドキ。
竹取物語序盤 ○○が奉公人として竹取の家に来る。
竹取物語終盤少し前 ○○が、木彫りの小さな兎を輝夜に渡す。
竹取物語終盤 蓬莱の薬。竹取の翁と帝へと輝夜が残す。
○○に落とした木彫りの小さな兎を届けに来てと頼む。
竹取物語終了 竹取の翁の命で、○○蓬莱の薬を使用という形で処分。(妹紅と同時期に不老不死に)
百年後 ○○。気まぐれな天狗に技を習うも遠見の術だけ覚えるという駄目っぷり。
三百年後 ○○。大陸へ。(妹紅は妖怪退治を始める)
さらに数百年後。 てゐが永遠亭へ。(○○、天竺から欧米諸国に向かい旅を開始)
六百~七百年後 ○○。露西亜方面に旅を開始。(妹紅だらだらしはじめる)
九百~千年後 妹紅が輝夜と遭遇。(○○、露西亜から亜米利加へ旅を開始)
第零季より十年前 亜米利加から○○火の国(日本)へ舞い戻る。と、同時に引きこもり開始。
第零季 博麗大結界発動。(永遠亭。迷いの竹林に姿を現す)
第零季より十年後 引きこもり終了。再び火の国の旅を開始。
鈴仙来訪より五年前 ○○。外世界で博麗神社を発見後。幻想郷へ。
ここまでが、チラシの裏。
新ろだ488
ある日の永遠亭の庭。
健康のため、てゐは庭を散策していると、新聞を膝の上に置き、目を閉じてニヤニヤしている○○を見つけた。
てゐはげんなりと顔をしかめた。
男が一人、庭に向かって腕組みをしつつニヤニヤしている光景は、はっきりいって気色の悪い光景だった。
彼にツッコミを入れる人はいないのかしらんと、てゐは周囲を見回してみた。
実のところ、○○が一人きりでいることなど滅多になかった。
他の兎や輝夜と一緒に談笑している光景が、ここ永遠亭ではしばしば見られた。
なので、誰かいないのだろうかと考えたのだが、生憎ここには誰もいなかった。
てゐはならば自分が指摘してやるしかないかと考え、○○に近づいていった。
ちなみに彼女の裡には無視するとか、見なかったことにするという選択肢は存在していなかった。
どんなことが原因であれ、彼と二人きりなれる機会などそうそうあることではなかったので、この好機を逃すつもりはなかった。
「そんなところで一人でニヤニヤしちゃって、どうしたの? 何か変なものでも拾い食いした?」
「失敬な。ただ、最近、巷で合体ネタが流行ってると耳にしたもんでな」
「んー。そういえばそんな話が噂に上ってるわねー」
彼女が最近耳にした噂は、『合体』というネタを口実にして、恋人とイチャイチャする幻想郷の住人がいるというものだった。
そういうことで盛り上がれるというのは非常に、こう、馬鹿らしいというか、羨ましいというか。
「いやいやいや。羨ましくなんてないから。ないんだからね!」
「……お前さんは、いきなり何を言っとるんだ?」
ちなみにネタ元は○○の膝の上にある『おはようからおやすみまで、あなたを見つめる天狗』というキャッチコピーで有名な"文文。新聞"だ。
てゐはここ最近の記事の題を思い返した。
前々回…『人形遣いの合体模様』
前回…『八雲家の合体事故』
今回…『大合体オニぃさん』
思い返してみて、ちょっとゲンナリする。
おそらくその記事をこの男も読んだのだろうということは想像に難くない。
そして、合体ということから想像できるいやらしいことを妄想しているに違いないと思った。
「ごほん。ということは、合体っていう言葉から、エッチなこと考えてるのね」
「人聞きの悪いことを言うな」
てゐの胡乱な視線を受けて、すぐさま○○はその指摘が見当違いだと否定した。
さらに胸を張って続けて言う。
「ある種の言葉から態々連想なんぞぜずとも、スケベなことだったらいつも考えてるわい!」
「……余計に酷くなってる!」
○○は自身の恥部を堂々とてゐにぶちまけた。
少なくとも胸を張って言う言葉ではない。
もちろんここが外ではない別の場所だったのなら、話は変わってくるだろうが。
突然のカミングアウトに頭痛がするのか、それを聞かされたてゐはしきりに眉間を揉んでいた。
しかし、てゐはまだ知らない。
○○の裡にあるスケベ心など、彼の深遠なる思考のほんの一部にすぎないことを。
彼の頭の中を占めるモノを知ったとき、おそらく彼女は認識を新たにすることだろう。
「それとだ。そもそもから訂正させてもらうぞ、てゐ」
「うん?」
「俺が合体という言葉から連想したものを、教えてやろう――!」
右手を伸ばし、ばさぁっ! と横に空を切る。
「まずは永遠亭の寝殿から渡殿、東対を分離!」
「は?」
「分離する際、内装の御簾やら箪笥がどういう原理か壁の中に引き込まれ、埋まっていく!
寝殿はブラキオサウルス型――
渡殿はプテラノドン型――
そして東対はステゴサウルス型のロボに変形する!」
「…………あのね」
「さらには竹林がまるでモーセの十戒のように割れていき、そこから三体のロボが出撃する!
または三位一体の飛行機として出撃することも可能だ!」
○○が熱く語るのに比例して、てゐの頭痛がひどくなってくる。
「そして! 三体の恐竜型ロボが変形して、凛々しい顔の人型ロボに合体だ!
これが、これこそが――!」
「薬物合体ゴウドラッガーね!!」
突如現れた姫様こと蓬莱山輝夜。
太く艶やかな黒髪。
切れ長で少し垂れ気味の目、すらりとした鼻の下にぷっくりとした小さな唇。
相変わらずの神秘的な美しさを振りまいている永遠の少女が、そこにいた。
彼女は○○が発しようとした妄想ロボのネーミングに自身の発言を重ねた。
「うわ、姫様、そのネーミングやべぇ」
「あら、薬物合体ホウライサンの方がよかったかしら?」
「……そもそも、どこでそんなネタを仕入れてきてるのよ、姫は」
彼女の背後についてきていた永琳が呆れていた。
小さく胸を張って輝夜は永琳の問いに答えた。
「私のネタ的情報源は、そこにいる○○よ」
「俺の情報源は、外の世界にいたときに仕入れた知識と幻想郷の同人作家殿だ」
様々なネタ的な本を回し読みをする仲――
○○と輝夜の仲は、実はこの程度のものだったりする。
「……同人作家? ああ、こないだ皆で見たエロ本を描いてる仙人モドキのことね」
「あら、エロ本も描いてる、よ。永琳」
「ぐはぁっ」
「ヤブヘビというか、自分で黒歴史を掘り起こして自爆してたら世話ないわねー」
ひょんなことから初春に起こった永遠亭春画事変を、この場にいる全員が思い出してしまった。
購入者である○○は恥ずかしさの余り、その場でのた打ち回っている。
輝夜はエロ本の内容を思い出したのか、頬をかすかに染め、照れ臭そうに○○から視線をそらした。
永琳は生温かい目で○○を見やった。
事変の原因たるてゐはのた打ち回っている○○を、呆れた様子で見下ろしていた。
今回のように自分が仕掛けた悪戯以外で発生した他人の狼狽は、てゐにとればあまり面白くないものだったりする。
てゐにとっての悪戯の楽しみとは、○○曰くの『孔明の罠』でなければならないのだから。
「は、話を戻そう」
しばらくして立ち直った○○。
そして話を戻すのかとてゐは内心ツッコんだ。
「そうね。ねえ、永琳……」
「言っておきますけど、私は合体ロボの知識なんて持っていませんからね」
『そ、そんなぁ!』
にべもない永琳の返答に二人は声を揃えて無念の声を上げた。
「そもそも。あれは鉄筋コンクリート造の校舎が変形合体するから燃えるんです!
寝殿造りの永遠亭が変形合体しても、燃えるものがないじゃないの!」
「言われてみれば、それもそうね」
「だったらまずは校舎か……」
てゐはひっくり返った。
そして彼女は思わずつぶやいていた。
「駄目だこいつら。早く何とかしないと……」
永遠亭は今日も平和です。
新ろだ578
「○○……起きてる?」
「……輝夜か」
○○が永遠亭に住みついてから随分経つ。
だが、前々から仲を噂されていた永遠亭の主人、蓬莱山輝夜と晴れて恋仲になったのはごく最近である。
その美貌により数多の男から求婚を受けてきた輝夜だが、実際に男と付き合った経験がないためか、若干の初々しさが残っていた。
そんな輝夜がいかに恋人といえど、夜更けに○○の寝室を訪ねてきたことに○○は驚いた。
「どうしたんだ?こんな時間に」
「ええ、ちょっと話したいことがあって」
輝夜は自然な体で○○の布団に潜り込んだ。
いつもの輝夜らしくない積極性にドキリとしつつも、体をずらしスペースを空ける。
輝夜は○○と並んで枕に顔をのせると、仰向けに寝転んだ。
「たまにはこういう、地味な寝床もいいものね」
「……そんなことを言うために来たわけじゃないだろう」
輝夜が顔を○○の方へ向け、二人が向き合う。
「ねぇ……やっぱり蓬莱の薬、飲む気になれないの?」
飲んだ者を不老不死にする蓬莱の薬。
これのために輝夜は老いることも死ぬこともなく、永遠に生き続ける存在となった。
そして恋人である○○ともその時を過ごしたいと思い、今までも何度か打診している。
しかし、○○の返事はいつも同じだった。
「言ってるだろ。まだ踏ん切りがつかないって」
輝夜といつまでも共に過ごしたいと願っているのは○○も同じである。
だが、蓬莱の薬を飲むということは事実上人間をやめるようなもの。
絶対に死ぬこともなく、永遠の時を過ごさねばならないという重い枷を背負うこととなる。
○○は輝夜の気持ちを知りつつも、未だ勇気が出せないでいた。
「……ごめんな」
「ううん、無理を言ってるのは私の方だから。永遠を強いるなんて、無茶なことだと分かっているもの」
「だが、それを言いに来たというわけでもなさそうだけど」
○○がそう言うと、輝夜は目を伏せた。
しばしの沈黙の後、口を開く。
「……私ね、思うの。貴方と一緒になれて、今最高に幸せ。でも、この先はどこまでも不安と隣り合わせだって。
貴方と結ばれても、それで終わりじゃない。まだ物語は続くのだから」
不老不死である輝夜にとって、親しい者の死は何度も経験してきた。
その度に悲しみはあったものの、その一方で仕方のないことだと思ってもいた。
生ある者が死ぬのは自然の摂理であり、それを踏み外す蓬莱の薬の邪道性も認識している。
だから今までは誰にも、蓬莱の薬を飲むのを強いることは決してなかった。
だが、その摂理を踏み外してでも一緒にいたいと思える人が現れた。
「貴方は不老不死でもない、普通の人間。いつか不慮の事故で死んでしまうかもしれない。
そう思ったら急に怖くなって、少しでも貴方と一緒にいたいと思うようになったの。
あんなにも欲しかった日々がここにあるのに、私は明日を信じられない」
おかしい話よね、と輝夜は微笑む。
それを見て、○○は察した。寝る時など自分と別々な所にいる時、輝夜はいつも不安で押しつぶされそうだったのだと。
そう思うと、今○○に見せている輝夜の笑顔が、逆にひどくか弱いものに見えた。
○○の右腕は、自然と輝夜を抱き寄せていた。
「え、○○!?」
「……ごめん、やっぱりまだ蓬莱の薬を飲む勇気はない」
でも、と輝夜の目をまっすぐに見据える。
「俺は輝夜を悲しませるようなことは絶対にしない。輝夜をおいて死んだり、いなくなったりなんてことはないさ。
だから、安心して。俺はいつでも輝夜と一緒にいるよ」
輝夜を抱き寄せたまま、左手を輝夜の右手に絡める。
輝夜は、頭を○○の胸へ埋めた後、その手を強く握り返した。
新ろだ792
「……」
「……」
ピコピコ ピコピコ
「……○○、お茶取って」
「はい、姫様。ポーズの間待っててくれたんですね。有難う御座います」
ピコピコ ピコピコ
「ぬーあーっ、負けたーっ」
「ふぅ……久しぶりにやったからキツかったー」
「なんでこんな間抜けそうな面した奴がこんなに上手いのよっ!」
「いやぁははは、あっちの世界でもこんな事ばっかりやってましたし」
「……さて、姫様。約束です」
「ゔ……な、何のことかしら」
「おや、姫様ともあろう御方が約束を反故になさると。
……おししょうさm「わーわーわー!」」
「分かったわよ……それで、何をすればいいの?」
「そうですねぇ。折角"何でも言う事を聞かせる"権利を貰ったわけですし――」
「……スケベ」
「――失礼な。そんな低俗なものを願ったりはしませんよ。少々考える時間をいただけますか」
「決めるなら早くしてね」
「はいはい」
「はい、姫様。どうぞ」
「何コレ」
「見ての通りですが」
「……本気?」
「一応は。姫様の出したお題を突破したから……という事にはなりませんかね」
「それは、その……○○は」
「はい?」
「○○は……私なんかで、いいの?」
「……」
「……お願い、答えて」
「さて、姫様以外に"女性"というものを私は知りませんので」
「!」
「比較のしようが……おっと」
「ホント、馬鹿なんだから」
「姫様に言っていただけるならそれも褒め言葉です」
「バカ――だいすきよ、○○」
「私も大好きです」
「ちなみに姫s「かぐや」――輝夜」
「なーに?」
「もし買っていたら何を私に頼むつもりでした?」
「そうねぇ……ひみつ♪」
「残念。ちょっと興味があったのですが」
「大体貴方と似たようなものだから、ね?」
「成る程――むっ!?」
「――ふふっ。つまりはそういうことよ――んっ、あ――」
省略されました。全文を表示させるには東方キャラの誰かとフラグを立てた後、
その人物の目の前でフラグクラッシュしてください。
最終更新:2010年07月30日 23:24