輝夜9
新ろだ910
「ふぅ・・・」
肌寒いどころか痛みすら感じそうな気温の中、〇〇は永遠亭の縁側に腰掛け紫煙をはいていた。
風呂に入って寝る前の恒例行事と化しているこの行為は、たとえ気温がいくら寒かろうが止められるものでもない。
何を考えるでもなく、ひたすらぼーっと竹林から覗く月を見ながら煙草を一本吸い終わるまでは動かない。
つい最近までは一人での行為だった。
そう、つい最近までは。
「こんなにも寒いというのに貴方はまたここにいるのね、〇〇」
もう聞き慣れた声に振り向く。
湯上りしたてなのか、頬を軽く上気させた少女がそこにいた。
黒い髪がしっとりと濡れ、月の光を軽く反射してとても美しく映る。
「いいだろう?俺の日課なんだよ、輝夜」
いいつつ一服。
蓬莱山輝夜というこの永遠亭の主人は、幻想郷に迷い込んだ俺を客人として迎え、以後事あるごとに付き纏ってくるようになった。
別に帰ってまでしたいこともなし、住む場所を提供してくれるというのなら、と承諾して住むことにはしたのだが、四六時中付き纏わられるのはこちらとしてもたまったものではない。
一人の時間がまるで作れなかったために苦肉の策とも言うべき深夜の一服だったのだが、つい最近見つかってしまってこの有様。
見つかって以降はあー寒いだの、何が楽しいのだのいろいろ文句を言いつつも隣に座ってこちらが一服し終わるまで待っている。
いや、別に鬱陶しいんじゃないんだ。
曲がりなりにも、というよりも誰がどう言おうと輝夜は美人だ
そんな美人に、恐らく好意を寄せられているであろうというこの状況は、男としては非常にありがたい。
ありがたいのだが、それでも一人の時間と言うものは欲しいのである。
まぁ、見つかってしまったものはしょうがない。
この寒さだ。
輝夜もすぐに諦めて一人の時間は戻ってくると思ったのだが、どうやらそうもいかないらしい。
今日も今日とて、ああ、まったく酔狂なこととかなんとか呟いて隣に座ってくる。
「なぁ、輝夜」
「あら、何かしら〇〇」
普段は会話など全くしないで終わるこの時間を、自分から壊してみる。
意外なことをしたためか、若干の驚きを顔に表し輝夜は返す。
「四六時中俺といて楽しいのか?」
「・・・?」
何をいきなり、とでもいいそうな感じで首を傾ける輝夜。
ああ畜生かわいいなおい
危ない危ない自省自省
「いやだって、俺は基本的に輝夜に何もしていないだろう?俺にひっついて回る毎日が楽しいのか?」
ああ、と輝夜は得心したようで
「そんなの、好きな人と一緒にいたいと思うのは当然のことでしょう?」
とあっさり返す。
何を当たり前のことを、とでも言いたそうな顔が余計にこちらを呆気に取らせる。
「ふふっ」
貴方のそういう顔を初めて見た、としてやったりな顔で御満悦。
「いや、輝夜。それ初耳なんですが」
「どれ?」
「その、好きっていうの」
いや、そのね?気付かなかったの?って顔をされてもね、困るんですよ。
男って言うのは好意を寄せられてると思っても自衛目的としてそれは勘違いとして済ます生き物なんです。
「なんだ、〇〇はてっきり気付いていてそういう態度を取っているのかと思ったわ」
「そりゃ流石に勘ぐり過ぎだ」
ふぅ、としたところで煙草が一本終わる。
「だからこれが『ほうちぷれい』ってやつなのかしらとか思ってたのだけど違うのかしら」
「・・・輝夜さん?つかぬことをお聞きしますが誰からその単語を?」
十中八九あのうさぎだろうが
「え?てゐだけど?」
おーけーあのウサギ今度シメる。
それで、と輝夜。
「吸い終わったみたいだけどどうするの?」
といわれてもね、まだ会話は終わりそうにはない。
「さて、どうしようね。暇ではあるが、寝る気分でも無いなぁ」
好きとか言われなかったら寝てたけどな、不意打ちすぎるぜまったく。
ああそれなら、と手をぱんっと軽く叩き、こちらに寄ってくる。
そのまま後ろを向いて、こちら側に黒く長い髪が視界いっぱいに広がる。
風呂上りのためかなんていうかすごいいい匂いがしてなんとも言えない。
「手櫛してくださらないかしら」
「手でいいのか?乱れそうだけど」
まぁすることもなし、それぐらいならと軽い気持ちで返答。
でもね
「いいのよ、貴方の匂いを移して寝たいから」
とか言われたらね。
流石に自省が効かなくなりそうで困るんですよ。
「・・・オーケー頑張る」
そのまま抱きつきたくなるのを押さえて返す。
「ふふっ頑張ってね」
こっちの気持ちを知ってか知らずか楽しそうに返す。
もう後にも引けないので、覚悟を決めて手櫛を開始。
さて、その感想になるのだが、髪を軽くすく毎にいい匂いがこちらに漂ってきてたまらん。
さわり心地もすごいよくて、すいてるこっちが逆に気持ちいいぐらいである。
横目に輝夜の顔を眺めてみれば、実に御満悦のようで気持ちの良さそうな顔を浮かべている。
正直に言おう、かなりぎりぎりである。
後一歩でも何か入ればそのまま理性が吹っ飛びそうなレベルで。
そのままお互いが無言のまま時がたち、いい加減俺自身寒くなってきた。
「くしゅっ」
とくしゃみをするは輝夜。
「ん、大丈夫か輝夜」
「んーだいじょうびゅ・・・」
いやいや大丈夫じゃないからね。
「ここまでだな、早く温まって寝ろ」
「えー・・・」
すごい不満そうなのだがまたその顔も可愛くて以下略。
「これで風邪でも引かれたらこっちの寝覚めが悪いわ。いいから寝ろって」
「ぶー・・・わかったわよぅ」
急に子供っぽくなった気がするが気にしないでおく。
それじゃあ、と立ち上がり自分の部屋へと向かう。
戸を締めて布団に入ろうとしたところで戸の開く音。
「えーと、輝夜さん?」
嫌な予感がしたが案の定そこにいたのは輝夜で、さらに満面の笑みを浮かべている。
「いいことを思いついたんだけどね、貴方を湯たんぽ替わりにして寝れば私はあったかい、貴方もあったかいで悪いことなしよね」
とかいいやがった。
ついでに貴方の匂いをずっと感じていられるしうふふとか言ってるし。
「ちなみに拒否した場合は?」
「拒否権があると思って?」
満面の笑み。
ですよねー!
見える、このままずるずると引っ張られて明日も明後日も一緒に寝ている自分が見える・・・
だがまぁ、それが悪い気もしない。
ともかく、今夜は眠れない夜になりそうだ。
新ろだ2-064
あんまりにも暇だったので、同じように暇そうだった鈴仙を誘って将棋などに興じてみた。
強くないですよ、なんて断りを入れてきた鈴仙だったが、安心しろ。俺だって強くない。
暇が潰せりゃそれでいいのだ、と二人して実に拙い互角の勝負を繰り広げていたところだった。
スパーン
障子を勢いよく滑らせ、我らがお姫様がご登場なさったのだ。なんだか仏頂面である。
思わず敵陣に攻め込まんと手にした歩を中空で留め、鈴仙と二人、何事かと顔を見合わせてから
輝夜の方を向く。
「あの、姫様? どうかなさいましたか?」
「………」
鈴仙の問いに、輝夜は答えない。
不機嫌なんだか戸惑ってんだかよく分からない表情で、俺達を見つめるのみである。
「……姫様?」
再度、鈴仙の問い。
それに、ポツリと。
「できたわ」
たった一言、意味の分からない答えを返してきた。
「?」
もっかい鈴仙と顔を見合わせる。
何が?
わからん。
視線で言葉を交わした後、やっぱり二人して輝夜を見た。
輝夜は輝夜で表情を崩さないから、何を考えているのか分からないのだが、俺と鈴仙の様子を
見て、言葉を付け足してきた。
「子供、できたそうよ」
「あのご夫婦さんですか? わぁ、それはお目出度いですね」
鈴仙がほっこり笑顔になる。
そういえば、いつだったか新婚夫婦が診察に来ていたな。
妻の体調が悪い、という話だったらしいが、そうか。どうやらおめでたと相成ったらしい。
……あぁ、納得。そりゃ輝夜も複雑なんだろう。
輝夜は不老不死だ。その反動か―――あるいは、代償か。輝夜は子を成せなくなった。
蓬莱人の定めらしい。そんな話を、輝夜から聞いた。
涙とか、寂しさとか、辛さとか、そういうものを堪えた顔で、無理に明るく打ち明けてくれた
あの初夜の事を、今でも覚えている。
子を持つ家族を羨んでいるのか、子を持てない自分を蔑んでいるのか。
俺としては輝夜と愛し合えればそれだけで、と思っていたのだが、どうやら事の外重く考えていたらしい。
……なんだか申し訳ないな。きっちりフォローとかしたほうが良いんだろうか……。
「そっちじゃないわ」
「え?」
そっちってどっち?
「私に、子供が出来たわ」
………………………………………………………………えっ?
「私に、子供が、出来たわ」
ぽろり。
手から歩が落ちた。
輝夜の言葉を理解するのに、一体どれだけの時間を要したか。
その間、誰一人動くことは無く、何一つ妨げるものは無かった。
後に、鈴仙・優曇華院・イナバは語る。
“―――あの一瞬。私は、確かに「咲夜の世界」に入門を果たしていた”と。
そして時は動き出す。
「「えっ、えええええええええぇえええ!?」」
「うるさいわね、叫ばないでよ!」
無茶言うな!
「なっ、なんで!? 誰が!? ドコで!? 誰の!?」
「シショー! 急患です! シショー!?」
「二人とも落ち着きなさい!」
バシーン、愛の平手打ち。
頬の痛みで漸く理解できた。これは現実だ。夢オチとかじゃない。
そして間違ってもてゐが「ドッキリ大成功!」(SE:テッテレー)とか看板を掲げて出てこないだろう事も理解した。
「え、マジで、子供? 誰の……って、俺と輝夜のだよな?」
「私は貴方以外に身体を許した覚えは無いわ。それと永琳診察よ、文句ある?」
「ございません」
「し、師匠、は……?」
「ありえないんだぜ! と叫んでバタンとぶっ倒れたわ。イナバたちが介抱中よ」
「シショー!」
脱兎の如く(正に脱兎なんだが)永琳の元へ走り抜ける鈴仙。おい待てバカ一人にするな。
こっちだって混乱してんだよ何とかしてくれ。
「つーかなんで出来るんだ。蓬莱人だろ、おかしいだろ!」
「知らないわよ! あんたの身体がおかしいんでしょ!」
「あぁ! あの時輝夜が“子供が出来ないから中に出し放題よ”なんて涙を堪えて気丈に振舞う姿に
キュン死した結果がこれだよ!」
「わ、悪かったわね! こっちだって予想だにしない展開よ! もっとあんたと周りが胸焼けするくらい
イチャイチャしてる予定だったんだから!」
「俺だってイチャイチャしたかったわ! それより子供ってどうすんの!? 子育てってどうやるの!?」
「だから知らないわよ! 子供ってどう産むの!? 何を育てるの!? ヒッヒッフーって何だっけ!?
助けてえーりん!」
輝夜もいい感じに混乱していた。
それでも、五分ほどお互いに意味の分からない事を叫びあうと、やっと頭の熱も冷めてきて、息も絶え絶えながらに
輝夜と二人、これからの事を考えるくらいの余裕が出来た。と同時に、確認したくなった。
「触って……いいよな?」
「優しくしなさいよ」
輝夜を後ろから抱きしめて、膝の間に座らせる。
服の上から腹をさすってみるのだが、さっぱり分からなかった。
「……ここに、いるんだよな?」
「ええ。正真正銘、私たちの子供よ」
「……ホント、何で出来たんだろうな」
「愛の力ね」
「……恥ずかしいな」
「……恥ずかしいわね」
腹を撫でる手に、輝夜の手が重ねられる。
「……いいのよね?」
「うん?」
輝夜が振り返る。
その瞳は揺れていた。……見て分かるほどに、涙が、溜まっている。
ああ、なんで泣くんだ、まったく。
「喜んで、いいのよね? ……産んでも、いいのよね?」
念を押すように求めてくる。
駄目だ、なんて言うと思ってんのか。俺はどれだけ人でなしか。
子供が出来ぬと泣いて、子供が出来たと泣いて。
―――くそぅ。なんてかわいい女の子なんだ、こんにゃろう。
重ねた手を、優しく握る。
その唇に、キスを落として、一言。
「―――結婚しよう、輝夜」
◇
その後。
「そうと決まれば妹紅のところね!」
「なんでだよ」
こっ恥ずかしいプロポーズの後、途端元気になった輝夜の最初の一言がそれだった。
「当然じゃない。たっぷり自慢してたっぷり見せびらかしてやるのよ」
「ただただ怒られるから止めとけ!」
「あら、その時は守ってくれるわよね、旦那様?」
「一日で未亡人になりたいのかお前」
聞いちゃいねぇ。
輝夜はいそいそと俺の手を引き外へ出ようとする。
「それに原因の解明は必要でしょう?」
「は? 何の?」
「何って、蓬莱人が子を成せた理由よ。私が特別なのか、貴方が特別なのか」
「………で、妹紅のところって………まさか!」
「あの子、貴方にお熱だから問題ないわ。貴方は私のものなのに、ねぇ?」
「ちょ、ま、」
「妹紅の次は永琳よ! 迷いの竹林ハーレム化計画! もちろん私が正妻だけどね!」
「うわああああああああああああああああああああああああ!」
ツンデレ輝夜(新ろだ2-309)
――仕方ないから、手伝っている間は、私を名前で呼んで良いわよ。
――なんで、俺が手伝いなんか……。
1
こんな昼から、セミがバカの一つ覚えのように鳴きやがって、うるさくてしかたがない――と思う今日この頃。
そんな日に、居間で二人そろって仲良く……ではなく仲悪く食卓を挟んで座っているのは、○○と永遠のお姫様――蓬莱山輝夜だ。
どちらも目を合わせず、グチグチと悪口を吐いているだけで、他は何もしていない。
強いて、何かしていると言うのなら、輝夜が湯飲みの微温いお茶を少し啜っただけであろう。
こんなに暑いのにお茶とはどうかと思うだろうが、出されてしまったものは致し方が無い。
その非生産的状況で、○○は胡座を組み直す。
「だから、何を言ってるのよ? 全く理解出来ないわ。 多分、月読様であっても、てんで無理って言うと思う」
「そのままだぞ、耳が遠いのか? それとも頭の方か?」
「バカにそんな事言われたくないわね。このバカ」
とプイッ、と違う方向を向きながら嘯き、輝夜は頬杖をしただけで全く持って反省の色が見れない。
昨日も同じような事を言って、謝らずに、すぐに帰ってしまった。
「バカしか言えないのか? ホント、低レベルな頭してんな。 何歳だよ? 先ずは人里の寺子屋に行けよ」
「はっ? アンタに低レベルなんて言われたくないから! ここに来たついでに永琳に頭の中を見て貰えば?
新しい発見があるかもよ? 例えば、脳味噌が足りないとか」
頬杖を解いて、輝夜は刺々しい言葉を放った。
頭がおかしいとはあまりに言い過ぎではないかと○○は思う。
そこまで言われたら、少しは――数倍言い返したくなる。
外ではいつものようにアブラゼミが忙しく鳴いていたが、そんなのは○○にとって微塵も関係無い。
「お前がだろ? 話し掛けんなよ。 俺とは話したくないって昨日言ってたじゃんか。 穴、開けたくせに」
「アンタが話し掛けたから言葉を返してやっただけの話よ。
あ~あ、いつから敬語じゃなくなったのかしら。 目上の者は敬わなきゃいけないのよ? ○○?」
輝夜の嘲笑を含んだ子どもをあやすような言い方が○○の怒りを駆り立てる。
あと、目上と使っているあたりもかなりイラついた。
人の家に穴を開けといて目上とはどういう用件だ。
「テメェの頭が腐ってる事に気付いた辺りからだよ。 もしかして、自分で気付いて無かったのか?
頭が腐ってた事。 気付くわけ無いよな、頭が腐ってるんだもんな」
「腐ってないわよ……」
輝夜は俯き、ぽつりと小さく呟いた。
彼女の肩が怒りにブルブルと震えているのを、気付かない女心理解スキル0の○○君。
女性経験がない彼には当然のステータスである。
「あァ? 何をおっしゃているのでしょう? お姫様?」
「腐ってなんか……」
それを聞くと輝夜はドンッ!!と立ち上がり、目をクワッと開き、大量の空気を吸い込んで、
「腐ってないわよ!! この無能!!」
と○○に蝉時雨をかき消すほどの大音量で怒鳴りつけた。
無論、呆然とし、二の句が継げない○○に、続け様の罵声が浴びせられる。
「ヘタレ!!バカ!!変態!!ロリコン!!陰険!!ペド!!」
的を射た……だろう単語の数々は彼の心を、ショベルカーで土石を掘るように抉り続けるのは止まらない。
「おまっ」
「ヘタレ!!ヘタレ!!ヘタレ!!ヘタレ!!ヘタレ!!ヘタレ!!ヘタレ!!」
○○は大切な何かがブチッ、と切れた気がした。
我慢が大切だと重々承知していたが我慢出来ないものはどうにも出来ないのだ。
○○も輝夜に対抗するように立ち上がる。
彼の足が食卓にぶつかり、ガタッと揺れる。
当然、彼に出された湯飲みが横倒しになり、大量のお茶が流れ出したが、
輝夜のアッパー気味に睨む眼力は揺らがない。
「言わせておけば、クソニートが………大体な、いつもいつも、なんで俺に突っ掛かっるんだよ!?」
○○はリフレインをする。
(昨日もそうだ。
俺の家までやって来て、壁に穴を空けて帰りやがった。
△△の前だと可愛いくせに。本当、疫病神なのか疑いたくなる程、俺に災難を連れ込むんだよ)
「お前が△△が好きだからって言うから、その手伝いしてやってるのによ。
しかも、次から次へと無理な事頼んで、俺は恋のキューピットじゃねぇんだ!!
恋愛成就なら博麗神社行ったらどうだ!? テメェはどっかのお姫様か!?
俺はテメェのお守りじゃねぇんだよ!! もう、俺に構うな!!」
○○の語気に圧倒されていた輝夜は、更に怒りを燃やして、目を剥く。
「そうよ、私はお姫様なの!! 私は月の姫なのよ!?
そもそも、無理無理って言ってるけど、それはアンタが無能なだけでしょ?
それを私のせいにするのはお門違いよ!! 意味が分からないわ!!」
それとね、と輝夜は裾が零れたお茶に濡れている事にも気付かない。
「博麗神社には行きたいのアンタでしょ!? 好きなんでしょ、あの巫女が!?」
あまり想い人の名を大声で叫んで欲しくはない○○。
だが、もう輝夜にばれているのだから、恥ずかしがって仕方が無かったのだ。
「ああ、好きだよ、悪いか!? テメェが△△が好きなのと同じだよ」
「高望みもほどほどにね」」
高飛車な様子で輝夜は腕組みをして、フンッとあらぬ方向を向いた。
「お前がだろ?」
罵声の応酬が終り、沈黙が数十秒、支配する。
蝉時雨が二人の間に滑り込んだ。
その黙した行為が○○のエンジンを冷やし、何やってんだ、俺、と軽い後悔を与えた。
あまりに冷静さを欠いていたな、と反省の念もあった。
○○が視線を上げると、
「…………、」
目の前には依然として不機嫌な顔をして腕組みをしている輝夜。
頬が紅潮しているのは叫んだせいだろうか。
上下長い睫毛の距離が近いのは、眉間に皺を寄せているからだろうか。
黙っていれば、可愛いはずなのだ。
すぐに揚げ足を取るのをやめたり、正直に感謝すれば、△△だってすぐに振り向いてくれるはず。
「何よ」
そんなどうでもいい事をふと思った○○は、輝夜の吐き捨てた言葉で我に返った。
「あのさ……もう、帰るから」
「帰ればいいじゃない。私に断りを入れる必要無いでしょ? 勝手に帰って頂戴」
「そうするよ、あのさ。俺に謝る事とか感謝する事あるか?」
「別に……無いわよ」
輝夜は簡潔に、そして明白に答えた。
その答を受け取ると、体にドッと疲れがのししか掛かった気がした○○。
しかし、それは嫌な疲れでは無く、晴れやかな、縛りがない生活を過ごせる代償の疲れだ。
「そう」
○○は帰る為、襖を開けて、廊下に出る。
慈善事業をモットーとして○○は生きている訳では無い。
だが、悪役になるつもりも無い。
口が汚い事は十分理解している。 無論、彼には直すつもりも無い。
だから、人に好かれなくてもいい。
だからこそ、感謝という見返りが無いのなら、中立の彼が人の恋愛を手伝う必要が無いのだ。
最初から分かっていたはずなのに、今の今まで切り出せなかった自分を悔いる。
「じゃあ、さようなら、輝……蓬莱山さん」
約束したのだ、○○は。
蓬莱山を手伝う時は名前で呼ぶと。
「えっ?」
はぁ、と○○は――なんで、そんな分かり易い驚いた顔すんだよ。
言う。
「帰るから、永琳さんとかに言っておいてくれ。あと、無理して、俺の家に来るな」
2
所変わらず居間。
「姫様? 聞いてます?ねぇ、姫様?」
「聞いてるわよ。 筍の話でしょ?」
輝夜はボォーと茶柱を眺めていた。ボォーとしているの今日に限った事では無く、ここ数日は多少の放心状態。
心配になった鈴仙は、必然的に明るい調子なるのであった。
しかし、眠気を元気に換えるのは至難の技であり、鈴仙は欠伸を噛み殺し、口を開く。
「違いますよ。 明日、一緒に人里行って欲しいって、話です」
「ああ、そんな話だったわね」
「今日はやけに上の空ですね? 寝不足ですか?」
そう言ったが、鈴仙も永琳の手伝いなどで絶賛寝不足中である。
しかも、夕飯が腹部に溜まり、三大欲求の睡眠欲が鈴仙の脳を見境ないなく襲っていた。
鈴虫の音がさらに眠気を誘う。
一方の輝夜は少し考えたように黙り、
「違うけど、なんで私と人里に? 永琳とか色々と居るじゃない。私と行ったって良い事無いわよ?」
と呟きに近い音量で言った。
はぁ、と鈴仙は溜め息を吐く。
本当に話を聞いていなかったらしい。
「えっと、人里で可愛い服とか……。小物とか……。買いたいなぁ~って思って。
姫様はこの頃、頻繁に人里に行ってたから、そういうお店に詳しいかなって」
「服……小物……ね。という事は、□□と会うでしょ?」
「まぁ……そうですけど。
姫様が考えてるような事ではなく……。お友達としてですよ」
鈴仙はぶきっちょに呟いた。
それを聞くと輝夜は胡乱な目付きになる。
「知ってるわよ。貴女がそんな簡単に好きとは言えないわよね」
「す、好きって訳じゃないですよ、気になるって段階で、……はい。
そのやっぱり、少しはおめかしをして遊びたいなぁ~みたいな」
「……まぁ、いいわ。じゃあ、明日は暇だし行きましょう。
人里へ。 私も久し振りにおしゃれしちゃおうかしら」
鈴仙は安堵の息を吐く。
掘り下げらたら、ボロが出る事は簡単に予測が出来た。
兎にも角にも、輝夜が行くと言ってくれたのだ。
結果オーライって奴ね、と頭の中で思い浮かべて、目の前の微温くなった湯飲みを一気に喉へ通す。
今日はやけに眠気が酷い。
「じゃあ、決まりですね。明日は人里っと。昼頃に向かいましょうね」
と言って、この場はしめたはずだが、何か言いたいそうな顔をしている月の姫。
「というか、□□と何処行くの? 私も付いて行こうかしら」
「それは、次の日――」
3
「姫様、こっちです。濡れちゃいますよ」
「分かってるわよ」
鈴仙と輝夜は突き出た廂の下に逃げ込む。
鈴仙の手には布に包まれた服が数着。
先ほど、この人里で流行の服屋で買ってきたものだ。勿論、その中に輝夜の服も含まれていた。
「やっぱり、雨でしたね」
「私にも天候はどうにもできないわ。そうね、龍神様を殺すようなものね」
輝夜は廂から雨雲を眺めながら。言った。
会った事もない龍神を殺すなど、物騒な事を言ってはみたが、
もし、面識があったのなら、殺すとは恐れ多くて言えていないだろう。
ぴしゃり、と大粒の雫が輝夜の顔に掛かる。
「雨は嫌ね。やっぱり」
「風流じゃないですか。私は好きですよ、雨」
鈴仙は空いた手を雨粒の受け皿にした。
「雨か……」
△△に会ったのも雨の日だったなと、輝夜は思い出した。
一人で濡れて帰るかと悩んでいるところに傘を貸してくれたのだ。
ただ、それだけで惚れてしまった自分はどうか、しているのではと当時は想ったが、
好きに成ってしまったのは仕方が無い。
その後、あの○○と友人と聞いて驚いた事も思い出す。
それから、異常に○○の家に居付くようになったのだ。
「…………、」
「どうかしました?」
「な、何でもないわ」
鈴仙が心配そうな視線を向けていた。
ここ数日、自分自身、元気がない事は輝夜も分かっていた。
元気が出ないというか、元に戻ったというか。
前のように退屈になってしまたのだ。
恐らく、○○と一緒に居る時間は退屈ではなかったのだろう。
適当に人里を練り歩いたり、将棋やトランプをやったり、勤め先の団子屋の親父も交えて、食事をしたり。
しかし、今更、後悔しても仕方が無い。
謝るタイミングを見失ってしまった。
もう一度雨雲を見上げると、どんよりと灰色だ。
自分の心みたいね、と輝夜は思った。
「龍神様に会いたいですね」
「ん?」
横を向くと鈴仙も空を見上げていた。
「龍神様に会いたいなぁ~って思っただけです。決して、ゴマを擦ろうとかそんな事を思っていませんよ」
「じゃあ、なんで?」
「凄く綺麗だと思うから、では駄目ですか?」
「何よ、それ」
「皆が信仰する神様が汚い訳無いじゃないですか。多分、龍神様は信じられないくらい大きくて綺麗なんだろうな……って」
鈴仙の横顔がやけに綺麗に見えた。毛先が雨粒に塗れているのを、憂いを帯びたような目を、嫉妬するぐらいに。
三度、見上げる。
「そう……かもね」
雨はどしゃぶりだ。
目を瞑っても雨音で分かった。
「…………、」
龍神を信仰しているのは、きっと、皆、何かに縋って生きていきたいのだろう。そうしなければ、膝から崩れ落ちてしまうから。
自分の場合、どうだろう。
何かに縋って生きていくべきなのか。
死ねないのに。
人生に目標など見出せないのに。
縋るつく気力もないのに。
でも、△△を好きだと言うにはやはり、
「私……」
鈴仙が頭に疑問符を浮かべている。
それはそうだ。
噛み殺すように呟いた輝夜を見ているのだから。
「……バカみたい」
縋らないと駄目なようだ。
輝夜は走る。
泥が服に飛び跳ねようとも、服がどんなに濡れようとも、足は止まらない。
背中に鈴仙の止める声が掛かるが、足を止める気は無い。
もし、止まってしまったら、また退屈な日が延々と繰り返される気がして止められなかった。
一軒のボロい家の前に立つ。
ここは○○の家だ。
何度も開け閉めした戸に手が掛からないまま、輝夜はそこに立ち尽くす。
黒髪から滴る水が廂下の乾いた土を濃く染める。濡れた服はべたっり、と体にくっ付いて気持ちが悪い。
しかし、ここまで、走ってきたのはいいが、結局、濡れただけで終わりそうだった。
「姫様、走らないで下さいよ」
後ろを振り向くと、びしょ濡れの鈴仙。
「だって、」
「謝るのでしょ? 分かってますって」
鈴仙はニヤリと笑って、輝夜の隣に並んだ。
「……何で?」
言った覚えが無かったのだ。
「皆知ってますよ。喧嘩した事は皆、知ってます」
輝夜は戸に伸びた腕を引っ込める。
「でも、私は無理みたい。謝るの」
輝夜は唇をかみ締めた。長いときを生きておきながら、人一人に謝れない自分が情けなく感じた。
それを聞くと鈴仙は当然の如く、さも簡単に口を開く。
「○○さん!!」
「ちょっと、れ――――」
「――――はぁーい」
○○の声だ。
聞き覚えのある声であり、忘れるわけも無い声。
一歩、一歩、雨音の中に足音が聞こえる。
この戸が開いたら、○○に会ってしまう。
輝夜はどんな顔をして良いか分からなかった。 笑って迎えるのか。ムスッとした顔をすればいいのか。
「何のよ……」
戸が開く。
○○は口を開けて立っている。輝夜が着たのは相当、意外だったようだ。
一方の輝夜は最終的に俯いた。
答えが見つからなかった為だったからである。
「…………、」
沈黙を切り裂いたのは、鈴仙の声だ。
「えっと、着替えさせて貰えませんか? こんなに濡れていたら、その気持ち悪いし」
「あっ、ああ。 じゃあ、俺は外に居るから…………」
4
雨は好きだった。
家を出ずに済むからだった。 家に居れば、嫌な事や嫌いなものを考えなくて済む。
つい、最近だったかもしれない。
雨が嫌いになったのは。
確信をもっては言えないが今は、雨が嫌いだ。
「なんで、家に居れてるんだろうな。来るなと言っておいて」
曇天は暗く厚い。 ねっとりとした首筋を触れば、日本の夏は蒸し暑いのを思い知らされる。
○○は自宅の壁に寄りかかり、空を見上げる。
確か、蓬莱山を輝夜と呼ぶようになったのは今日のような雨の日だった、と○○は思い返す。
その日は前日から雨が続いていた。
そんな日に尋ねてきたのが蓬莱山だ。 ずぶ濡れで、妙に興奮した様子であった。
「同じだな。あの時と」
そう、同じだった。
家にずぶ濡れで訪れた事も、その後、家に入れた事も、自分がこうして外で待っている事も、黙って俯いている事以外、まるでデジャビュのようにも○○は思えた。
「入っていいですよ」
こん、こん、と寄りかかっている戸が控え目に叩かれた。
「あ、ああ」
と言って、○○は戸を遠慮がちに開く。家主のくせに遠慮がちにとは変な話だ。
自宅内は女性者の服が脱ぎっぱなしになっており、断り無くボロい白熱電球に光が灯っていた。
その中で、
「どうですか?」
目の前には青を基調とした浴衣を着た鈴仙が袖をはためかせ、揺れていた。恐らく、見てもらい為に衒っているのであろう。
「そうか、明日は博麗神社で」
夏祭りなのだ。それが理由で、今日は博麗と人里を見て回るはずだった。
「……私の」
浴衣を褒めて欲しかったはずの鈴仙は少し不満そうに黙り込む。
そんな鈴仙を気付かないまま○○は彼女の後ろで背を向けている少女に、ふと視線を向ける。
赤をベースに黄色で梅の花があしらわれた浴衣を着た蓬莱山。
後ろ姿であっても腕を組んでいるのが、一目で分かった。
その長く伸びた黒髪も、華奢な後ろ姿も、ほっ、と一息つく安堵感を心の内で生む。
だが、なんとなく声が掛けられない。
褒められなかったのにムスッとしていた鈴仙は二人を交互に見て、仕方ないといった様子で溜め息を吐く。
「姫様も」
「ちょっと、」
と、鈴仙は蓬莱山の両肩を掴み、ぐるんと180度、背面と正面を逆転させた。
少し湿った黒髪が半回転して、
近い距離に端正な顔が現れる。
唇が少し、震えていて。
下を向いて。
黙っていた。
「…………あのさ、」
そう、○○が始まりの言葉を口にするが、それ以上が続かない。
感覚が冴えて、手の中が蒸れて、それでいて、自分自身が情けなく感じた。
己の鼓動、息遣いさえ聞こえる程の沈黙。
その中で雨音が一瞬、止んだ気がした。
「…………………………ごめん」
確かに聞こえた。
が、
「えっ?」
やはり、○○だ。勿論、勇気を出して一生懸命捻り出した答えを聞き返してしまうのが彼に備わったスキルである。
「えっ?」
蓬莱山も顔を上げて、○○と目を見合わせて、
「このバカ!! 普通、えっ?とか真顔で言う!? もう少し、私の気持ち汲み取るとかしない訳!?
だから、モテナイのよ!! 昔はね、私の為、躍起になって見つけられる訳無い物、探しに行ったのよ!? ホント、バカ」
「バカって。謝り来たんじゃないのかよ。お前」
はぁ、と○○は溜め息を吐くが何処と無く顔が笑っている。いや、にやけている。
「何、ニヤニヤしてんの!? キモイ」
「いや、それゃ、デレたなぁぁぁって。 『………ゴメン』なんて、永久保存版だろ。人里の奴等に聞かせてやりたいぜ」
「デレて無い!!」
怒りに顔を紅くした蓬莱山の右腕が振りかぶられ、
「あっぶな!!」
と○○は半身になって避ける。
所までは良かったのだが、蓬莱山が浴衣の裾に足を取られ、彼の胸元へヘッドからダイブ。
ここで○○が華麗に受け止めれば、おろおろと二人を交互に見ている鈴仙や、あっ、という顔をした蓬莱山の○○男気株がぐーんと上がるのだが、
「うおっ!!」
○○は、ぐちゃぐちゃになった地面に仰向けに倒れる。
と泥が宙に舞い、姫の赤い浴衣にこげ茶色の斑点模様を幾つも作った。
言わずとも、○○の顔は酷い有様だ。
「………んっ」
蓬莱山は○○の胸元から、眉間に皺がよった顔を上げる。
重いので、跨ったままなのはやめて欲しいなぁ~などと思っていた○○は、
それを見て、一安心する。
仮に顔を真っ赤にして、純粋な乙女のように恥じらっていたら、たまったものじゃない。
頭を打って、どこかおかしくなってしまったのか疑ってしまうほど、心配してしまう。
そして、彼は呟く。
「えっと、ゴメン」
「○○の……バカ」
雨の中、彼女は緩い笑みを噛みながら、プイッと横を向いた。
○○は彼女の淡い朱色に染まる顔を見て、ふと思う――後で、似合ってるって浴衣を褒めてやるかな。 それで、△△はイチコロ、と。
蓬莱山から視線を外すと、彼女の背から、わたわた、と慌てた様子の鈴仙が走って駆け寄ってくる姿が見える。
○○は胸の辺りが温かくなるのを感じながら、弱く笑い、もう一度。
「ホント、ゴメンな」
「――――輝夜」
―――――手伝うときは名前を呼ぶと、決めたのだ。
゛輝夜゛のバックに天を覆う雨雲に切れ目が出来ていた。
そんな訳、鈴仙視点では仲直りしたこの二人は、△△の家に向かい、夏祭りを一緒に行く約束を取り付け、今はまた、○○宅で何か言い合っている。
働けだの、仕事しろなどのキツい言葉を放つ○○に対して、輝夜は、ロリコンを連呼していた。
何がきっかけで口喧嘩が勃発したのか分からないが、とにかく、二人とも何処と無く楽しそうで何となく安心した鈴仙。
何だかんだ言って、良いコンビなんだなぁ~と再確認する。
「早く、帰れよ!! 俺の仕事分けるから、少しでも働らけ!!」
ここまで、気兼ね無く月のお姫様に啖呵切れる人間を鈴仙は見た事が無い。
働け!!とは鈴仙でも遠回しでしか言った事が無い。
しかし、
「うっさい!! バカにしてるの!?」
「うん」
恐らく、その正直さが気に入ったのだろう。
持って来れない物ははっきりと、『持って来れない』と言えば良いし、出来ないものは出来ないと言えばい。
「はぁ、もう、帰る。早く帰るわよ」
「えっと、はい」
鈴仙は頭を下げて、輝夜の後に続く。
一瞬、金魚のフンみたいだなと脳裏を過ぎったが、それは気にしてはいけない。
「じゃあな、次は用具箱を持って来いよ?」
○○は、天狗の新聞が貼られた元壁を指差しながら、言った。
「はいはい、分かった」
輝夜は扉を開けて、少し外に出ると、
「姫様?」
人形のように固まった。
鈴仙も気になり、外に素早く出る。
やはり、律義に扉を閉めるのは彼女らしい。
空には雨が降り止んで、夕日が差しているが、輝夜が風景を見て、感銘を受ける訳も無い。
では……
「負けないから」
声。
異変解決に出払うあの巫女の声だ。
鈴仙は空から輝夜の方に視線を向けると、
「絶対、負けないから」
あの博麗霊夢がもの凄い眼力で輝夜を射っていた。
そして、呆然とした鈴仙と隣をスタスタと抜けて、○○の家に入っていく。
「負けないって」
輝夜はガバッと振り返る。
何故か、すんごく焦っているように見えた。
「ラ、ライバルッ!?」
勿論、輝夜の世界では△△が中心で動いているのだ。
鈴仙はその輝夜の真剣な顔に笑ってしまう。
そんな拍子に、なぜ、○○と輝夜が言い合っていたのかを、鈴仙は思い出した。
○○が輝夜に――――似合ってるな、可愛いじゃん、なんて言うから。
輝夜が、○○のあまりにもストレートな口説き文句に、対する面映ゆさを隠す為に、
「発情期か!!」
と、怒鳴ったのだ。
まぁ、そういう訳で、○○が、最後に
「△△なんて、イチコロだぜ!!」
と、茶化したのは誰の耳にも入っていなかったのは、明瞭であろう。
拙い文章を読んでもらって、有難うございます。
えっと、キャラ崩壊すみません。
まぁ、蓬莱山輝夜がツンデレになった経緯としては、
とらドラ、おもしろす
↓
ツンデレ書きてぇー
↓
アリス? 無難だな。
↓
五つの難題って……かぐや姫って、ツンツンじゃね? 待てよ。 デレが無いじゃないか!!
↓
姫って、高飛車ですよね。
↓
キャラ崩壊すみません。
こんな感じです。
本当にすみません。
続くかは、私の気分次第です。
キネティックノベル大賞……間に合わない。
最終更新:2011年02月26日 22:14