文2
2スレ目 >>213
チュンチュンチュン…
雀の鳴き声で目を覚ました。
起き上がってカーテンを開く。
朝の光が窓から差し込んできていい気持ちだ。
俺の家は、紅魔館のそばの湖畔に位置している。
何故人里離れたこんなところに住んでいるのか、と言うと、特に意味は無い。
単なる気まぐれだ。
強いて言うなら、ここでは生まれ育った人里ではなかなか体験できなかったことがある、と言ったところだろうか。
ともかく俺はここで、毎日を氷精をからかったり、氷精をからかったり、夜雀で遊んだり、氷精をからかったりして過ごしている。
…からかってばっかとか言うな。暇なんだ。
そんなここでの数少ない暇つぶしと言えば、おバカな氷精をからかうことと、もう一つ。
「おはようございまーす」
噂をすればなんとやら、だ。
俺は窓を開け、玄関に向かった。
「おはよう、文。いつもお疲れ様」
「いえ、好きでやってることですから」
その暇つぶしとは、この鴉天狗――射命丸 文が配達してくれる新聞であった。
「それに、貴方は私の新聞を購読してくださる数少ない方ですから」
「そーなのかー…面白い新聞だと思うんだがなあ」
「そう言って頂けると書いているかいがあるというものです」
そこまで言われるのもなんだか恐縮な気がする。暇つぶしってだけなのに。
「あー、時に、朝ご飯まだだろう? 食べていかないか?」
「あ…、その、遠慮しておきます、まだ配達するところもあるので」
断られてしまった。
以前、朝ご飯を一緒に食べた時に鳥鍋を出したのがまずかったんだろうか。
あの時は涙目で睨まれてドキッとした。じゃなかった、非常に困った。
「そっか…。じゃ、また明日」
「はい、それでは」
そう言うと文は風に乗り高速で飛んでいった。白。何がって? 野暮なことを聞くな。
文との出会いは大体3ヶ月くらい前のことだった。
俺が、趣味かつ護身のために始めたスペルカード生成作業中のとき、
「こんにちは。○○さんいらっしゃいますか?」
と、玄関から聞きなれない少女の声がしたのだった。
「はいはい、俺に何か用がおありで?」
玄関にいたのは、鴉を肩に乗せた、独特の形をした帽子をかぶった少女だった。
「ええ、ちょっと取材を受けていただこうかと」
取材。…取材? 何の?
「取材、って一体何の? …というか、君は誰」
俺がそう言うと、彼女は手をポンと叩いて言った。
「ああ、すみません、申し遅れました。私は文々。新聞社の記者で射命丸 文と言うものです」
「はぁ、それで記者殿はどうやってここを知ったんで?」
「湖に住む氷精に『最近、面白い人間が近くに越してきた』と聞いてやってきました」
「ふむ、で、なんでまた俺に取材なんぞ」
「ええっとですね、人里で生まれ育った人が、独立して違う場所に住むってことは珍しいんですよ」
ですから、とそこで彼女は一旦言葉を区切り、懐からペンとメモ帳を取り出した。
「こんなネタを見逃すわけにはいきませんから。取材、受けてくださいますか?」
拒否権が無い様に見えるのは気のせいだろうか。
まあ、特に拒否する理由も無い。
どうせ暇だ。いい暇つぶしが出来る。
そう考えた俺は、取材を受けることにした。
「…はい、これで取材はおしまいです。ご協力ありがとうございました」
1時間にも及ぶ取材が終了し、俺はちょっと疲れ気味だった。
「あー、んー、参考になればいいんだけどねぇ」
「これだけあったらとてもいい記事が書けますよ。書きあがったら一番最初に持ってきますね」
その後、俺と文は他愛ない会話をして過ごした。
文の性格もあろうが、俺は文とすぐ打ち解けることが出来た。
文は、とても礼儀正しかった。
どっかの巫女に爪の垢でも煎じて飲ませたいくらいだ。
暫くして。
「あの…なんだか、焦げ臭くありませんか?」
「え? …あ、本当だ。なんだろう?」
言われてみると確かに焦げ臭い。
料理はしてなかったから、火にくべたままとかそういうわけでは…
し ま っ た 。
「ゔわ゙ぁ゙ーーーーーーーー!」
「ひっ!? ど、どうしたんですか急に!」
「スペカ生成炉、火が点いたまんまだ!」
「な、なんですってー!」
「バカバカ! 俺のバカ!」
「どうしてそんな危険なもの放置してたんですか!」
「そんなに長いこと喋ると思ってなかったんだよ!」
「ははは、こやつめ!」
「ははは!」
「ってこんなことしてる場合じゃないでしょう! 早く止めないと!」
「ああ、うん…もう遅い」
「え、ちょ、何言っt
文がそういうと同時に、生成炉が臨界点を突破した。
…紅魔館周辺一帯に、大きな爆発音がこだました。
ドォン!
「あら? 咲夜、なにかしら今の爆発音は」
「さあ、わかりません。でも、大方どこぞの魔砲使いがやったんでしょう」
「そうね、気にするほどのことでもなかったわ」
ありがとう俺の家 さようなら俺の家
君の事は忘れないよ
後に残ったのは、全身真っ黒の俺と文、何故か無事な生成炉、そして見るも無残に崩れた俺の家、だった物の瓦礫だった。
「ああああぅぅうああうぅあああぁあぁあぁあぁぁぁ…」
今俺は非常に後悔している。
後悔後に立つ。
ドクターアフターデス。
悔やんだところで俺の家は戻ってこない。
がっくりと肩を落とした俺を、ぽかんとした表情で文が見ていた。
「ああぅぅあぁ…ええっと…文は大丈夫だった?」
「え、ええ…私は大丈夫ですが…」
「そう、良かった…」
「貴方が非常に大丈夫で無いように見えるのですが」
「きっと気のせいさ、あはは…」
全然気のせいじゃない、が、これ以上文に気を使わせるわけにもいくまい。
「あの…、すみません、私のせいで」
文のほうを見ると、本当に申し訳なさそうな顔でこちらを見ていた。
「いやいや、文は悪くないよ、さっき言ったとおり俺が止めてれば良かったんだから」
まさしく自業自得と言う奴だ。
だから文が気に病むことは何も無い。
「いえ…、こうなった原因は私にもありますから。家、直すの手伝います」
「別にそんな、そこまでしてもらわなくても」
「ダメです。私の気がすみません」
そんな感じの押し問答を暫く続け、結局俺が折れる形となった。
どうも彼女は大変義理深い性格のようだ。
彼女の協力もあり、日が暮れる頃にはどうにか夜露を凌げるほどにまでは復旧していた。
「本当にありがとう、こんなに手伝ってもらって」
「いえ、私が悪いんですから」
「いや俺が」
「いえ私が」
「いや俺」
「いえ私」
「俺」
「私」
終わらん。終わらんよこの問答。千日手だよ。
「ああもう、どっちが悪いかなんて置いとこう、もう。とにかく、手伝ってくれてありがとう、助かったよ」
「え、あ、はい…」
ちょっと強く言い過ぎただろうか。
彼女は肩を落として返事をした。
これじゃ、彼女が悪いみたいじゃないか…って、もうこのことは考えないんだった。
なんとなく嫌な沈黙が場を支配する。
なんか喋らないと…そうだ。
「あー、そういえば、文は新聞書いてるんだよな?」
「はい、そうですが」
「1部、取りたいんだが」
「え…ホントですか?」
妙に食いついてきた。一体なんだというんだ、新聞取るって言ったくらいで。
「恥ずかしながら、私の新聞を取ってくれている人って凄く少ないんですよ…。ですから、とても嬉しいです」
そーなのかー。
まあ、だからって取らないわけじゃないが。
「それでは、私はこれで」
「ん、それじゃ。また明日」
「はい、また明日」
そう言って彼女は、どこからともなく吹いてきた風に乗り飛んでいった。
…ピンク。何が? 世の中には、聞いていいことと、聞いちゃいけないけど聞くと面白いことがあるんだぜ?
今回は後者だ。
まあ、あんなミニでカッ飛んで行ったらどうなるかは想像に難くなく。
要はそういうことだ。
バレたらどうなるだろうか。怖くて想像できない。
バレなきゃいいか。
…とまあ、非常に印象的な出会いをしたのだった。
出会った初日に家が吹っ飛びゃそりゃ忘れないだろう。
それからまた数週間したある日。
チュンチュンチュン…
雀の鳴き声で目が覚めた。
いつもと同じ朝。
カーテンを開ける。
いつもと同じ太陽。
「おはょぅごさぃます…」
いつもと違う声。…あれ?
いつもならもっと元気がいい挨拶をしてくれるはずの文が、今日は何故か元気が無い。
その声に多少の胸騒ぎを覚えた俺は、足早に玄関へ向かった。
「おはよう文。…大丈夫か?」
今日の彼女は一目見ただけで体調が悪いとわかるほどだった。
「だ、大丈夫です、このくらい。ちょっと、体の節々が、痛いですが」
「いや、もうどうみても大丈夫じゃありません 本当にありがとうございました」
「なんですかそれ…?」
「いや、無意識のうちに口をついて出た」
こうしている間にも、文は肩で息をして非常に辛そうだった。
「おい、文…ちょっとおでこ貸せ」
「え、あ、ちょっと…っ」
非難する彼女を無視しておでこをくっつけた。
「熱っ!? 凄い熱じゃないか!」
「だ、だぃι゛ょぅぶですからぁ…」
断言しよう。全然大丈夫じゃない。
どれくらいかって家が吹っ飛んだ時の俺くらい大丈夫じゃない。
「文、いいから休めって。無理してこれ以上悪化したら困るだろ?」
「ちょっと、あと、ちょっと、配、達する、だけ、です、から…」
満足に喋れなくなっといて何があとちょっとなんだ。
彼女の頑固さに少し辟易しつつも、どうにか説得を試みてみた。
「だから、ダメだって。なんなら俺が代わりに配達するよ」
「ダメ、です、そこまで、迷惑、かけられ、ません」
「だからその体で動いちゃダメだって」
「いや、です」
「ダメ」
「いや」
「ダメ」
「いや」
はいはい、お決まりの千日手のパターンですよ。
こうなるともう俺が折れるしかなくなってしまう。
俺が途方に暮れていると、文は俺に背を向け飛び立とうとしていた。
「それでは、また、明日…」
「ちょっと文! ホントにダメだって!」
「だぃι゛ょぅ…」
ドサッ
言い終わる前に、文は地面に崩れ落ちた。
「お、おい!? 文!?」
慌てて抱き上げ、ベットに連れて行き寝かせた。
顔は真っ赤、体の節々の痛み、非常に高い熱…と来ると、思い当たるものは一つくらいしかなかった。
これは俺だけじゃ解決は出来ない。
俺は身支度を整えると、急いで家を出た。
目指すは竹林の奥深く、永遠亭。
飛ぶ訓練を積んでいて、非常に良かった。
まさか、こんなことで役に立つとは思わなかったが。
「あら? 珍しい客ね」
全速力で飛ばし、永遠亭の戸を叩くと、奇しくも出てきたのは永琳だった。好都合だ。
「頼む永琳! 力を貸してくれ! 俺じゃ無理なんだ!」
「え? 一体どうしたのかしら?」
「詳しい話は飛びながら話す!」
そう言うと俺は、永琳の手を掴んで飛び上がった。
「あ、ちょっと、引っ張らないでって、ねぇ!」
脇目も振らず、全速力で俺の家に飛ぶ。
道中、文の容体を説明しながら。
程なくして家に着いた。
「そうね…、聞いた限りの話だと、あれとしか思えないわね」
「だよな、やっぱり…」
「最近、どうもこれが外でも凄く流行ってるらしいの」
「そーなのかー」
「ええ、この間も夜雀がウチに来たばっかりよ」
文が寝ている部屋に永琳を通す。
暫くの診察の後、永琳が口を開いた。
「ええ、やっぱり…そうね。…インフルエンザよ」
インフルエンザ。
やはり、文が掛かっていたのはこの病気だった。
独自に仕入れた情報だと、今外では、鳥にこの病気が非常に蔓延しているらしい。
さっきの永琳の話でも言われていたが。
「それにしても…かなり危険な状態よ? どうして放っておいたの?」
「いや、俺に言われても」
「気づけなかったの? 少なくとも3日は経ってるわよ?」
全く気が付かなかった。
いや、良く考えれば2~3日前から少し元気が無いような気がしたような。
ともかく、気づけなかった俺の責任もあろう。
「とりあえず出来ることは全てやったわ。…後は本人の回復力に掛けるだけ」
「そ、そこまで危険なのか?」
「今彼女は非常に危ない状態にあるわ。それこそ、三途の川が目の前にあるくらいに」
なんてこった。
俺は、こんなくだらないことで彼女を亡くしてしまうのか?
嫌だ。そんなのは嫌だ。
いつもは近くにありすぎて気づかなかった。
亡くす寸前になって気づいた。
俺には彼女が必要だ。
俺は文のことが好きだ。
いや、文のことを愛している。
「ど、どうにかならんのか?」
目の前に突きつけられた現実に眩暈を覚えながら、俺はかすかな希望を永琳に求めた。
「だから、最善は尽くした、と言ったでしょう? これ以上は本人次第よ」
だが、その希望もあっけなく断ち切られた。
いや、完全には切れてない。
本人次第、本人が頑張れれば回復する余地はある。
ただ、俺には何も出来ない。
ただ、そばで見守り、回復を祈り続けることしか出来ない。
歯痒い。非常に歯痒い。
「…わかった」
しかし。
誰も信じなかったら、起こることも無い。
だから、俺は文の回復を祈り続けよう。
彼女の、すぐそばで。
「そう。…ああそう、この病気、人にうつる可能性があるから、貴方もこれを飲んでおきなさい、いいわね?」
「わかった」
「それじゃ、これで。…治るといいわね」
そう言って永琳は去って行った。
それから何日か、俺は文の看病を続けた。
文は、初めは本当に苦しそうな表情をしていたが、だんだんと安らかな表情になりつつあった。
意識は、取り戻してはくれなかったが。
そんなことが続いた14日目の朝。
今日も朝からつきっきりで文を看病する。
「ん…んぅ…」
2週間ぶりに聞いたその声に、思わず、文を凝視した。
俺の期待に答えるかのように、ゆっくりと、文の目は開かれていった。
「え…あ…? ここは…?」
「目が、覚めたのか…文、良かった…」
「あ…○○さん…その、私は、一体」
俺は、今までの経緯をかいつまんで話した。
今は、こうやってまた文と話せることが本当に嬉しかった。
「2週間も寝ていたんですね、私。…すみません、本当に多大なるご迷惑をおかけしてしまって」
「いいって、気にしないの。折角回復したんだから、そんな辛気臭い顔はやめやめ」
「ですが…」
「いいから笑って笑って」
「あの…ちょっと、前から疑問に思っていたのですが」
「何?」
「どうして、貴方は私にそんなに良くしてくれるのですか?」
いい加減、その質問が来る頃だろうと思っていた。
そして、その答えは2週間前にようやく出た。
文が回復した今、この想いを伝えるのは今しかない…。
「それはね、文」
一旦言葉を区切り、文を見る。
文と俺の視線が交錯する。
「俺は、文のことが好きだから、さ」
急な言葉に文はきょとんとしていたが、何を言われたのか理解すると、顔が真っ赤に爆発した。
「な、なな、な、な、ななに言ってるるるるんですか!」
「落ち着けって、落ち着けって」
「だ、だだってっだってっだっててっだって!」
「だから落ち着け」
ここまで慌てた文は凄く珍しい。いいものを見た。
「そ、そんな、急に、だって、その」
「まあ聞いてくれ、さっき言ったとおり、君は生死の境を彷徨っていたんだけど」
「はい…」
「失いそうになって、ようやく気づいたんだ。大切なものに。…俺には文が必要なんだ」
「○○さん…」
ようやく言えたこの想い。
ようやく伝えることが出来た。
気づくのが遅かったこともあるけれど。
「その…○○さん…」
自分の世界に多少入り込んでいた俺を文の声が引き戻す。
文のほうを見ると、彼女はモジモジしながらこう言った。
「実は、その、私…も、○○さんのことが…好きだったんです」
今度は俺が赤くなる番だった。
「あ、え、あ、そそそうだったんだ?」
「はい、初めて会った時からなんとなく惹かれるものがあったのですが…今ので確信しました」
「はあ、えっと、その」
自分が言うならいいが、言われるとどうも相当になんと言うか動揺してしまう。
そしてさっき自分が言ったことを思い出してしまった。非常に恥ずかしい。
後から効いてきた。ボディーブローのように。
でも、それも心地いいものだった。
ぎゅっ
「あっ…」
たまらず俺は文を抱きしめた。
こうでもしないと叫びだしそうなほどだったからだ。
文は、驚いた様子だったが、すぐに抱きしめ返してくれた。
「文…」
「はい…」
「これからずっと、一緒にいような」
「はいっ…」
END
蛇足
「げほごほぐふっ!」
「大丈夫ですか?」
まさか今度は俺が掛かるとは。
そういえば永琳が何か言ってたような。
ちゃんと聞いとけばよかった。
過去の俺のバカ。
「うぅ…不覚だ…」
「看病して人にうつされるだなんて、いかにも○○さんらしいです」
「ぐはっ」
俺はそんな間抜けに見えるのか。
そう思い、自分の色々な行動を思い返してみた。
………。
どうみても間抜けです。本当にありがとうございました。
「まあ、そんなことは置いといて」
「んぁ?」
「今度は、私が○○さんを看病する番ですねっ」
そう言って、文はこれ以上無い笑顔を俺に向けた。
ああ、何はともあれ、俺は今―――幸せだ。
後書きの間
はいどうも。
通称はまとめの人ですよ。
ニュース見てて思いつきました。この不謹慎な野郎が。
今年の奴は危険そうで。
ニュース見るたびに死亡予想者数が増えてきます。
いまんとこ68万人だそうで。
いや、でももう70万人超えた…のかな?
十分気をつけましょう。
俺ですか?俺はバカだから風邪もインフルエンザもへいちゃらへー。ですよ。
はい、すいません。orz
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2スレ目 >>315
文がまた俺のところにやってきた
「ただ通りがかっただけです…」
俺はそんな彼女が可愛くてついからかってしまう
「オヤオヤ、ドウシタンダイ?君ニトッテ人間ナド取材スル価値モ無イダロ?」
「…そのとおりです。人間なんて襲う対象でしかないですから」
生意気なので亜音速で抱擁。
「ホホォ…君ハ襲ウ時ニモワザワザ『香水』ヲツケルノカイ?」
文の小さな体から花のような匂いがたちこめる
「い、嫌でしたか?」
「俺ハ石鹸ノ香リノホウガ好キダナ」
「あ…」
そして俺は彼女に
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>>150
…うん、今日もいい天気だ。
僕は今、森を散歩している。
いや、暇だったからなんだがね…
今は昼間、多分あの宵闇の妖怪も襲ってこないと思う。
…ん?なんだかものすごい風を切る音が…
ガン!
「ぐぁぁぁぁぁぁ!あ、頭がぁ!」
いきなり後頭部に割れるような衝撃を受け僕は痛みに悶えながら転がった。
「痛ぁ…何かに膝ぶつけちゃったよ…」
そのそばで痛そうに膝を抑えている烏天狗がいる。
…文じゃないか…
「…おまえか、歩行人に空から膝蹴りを浴びせる馬鹿は…」
「えっ?す、すみません!ちょっと急いでて!」
「ハァ…もういいよ。急いでるんだろ、早く行け」
「す、すみませんでしたぁ!」
…全くアイツは…幻想郷随一の速さの持ち主なのは分かるが…もう少し周りを見ろってんだ…
う゛~…頭痛ェ…家に戻ろうか。治療しなくては。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
…見事に立派なたんこぶが出来てやがる…
でもこれ位で済んで良かったな…
もしもアイツの本気の速さで蹴られてたら…おおこわ、考えないようにしよう。
「あの~、○○さんいますか?」
「ん?文か?用事は終わったのかい?」
「ええ、終わりました。さっきはすみませんでした。あの、大丈夫ですか?」
僕は後ろを向き、言った
「これで大丈夫に見えるのか?」
「…ッ!?出血してるじゃないですか!」
「は?」
文にそう言われて改めて後頭部に触ると…わお、出血してるよ。
さっきからなんか背中に違和感を感じていたが…そうか、背中沿いに流血してたのか。
「ちょっとうつ伏せになってください!今治療しますから!」
「いや、いいよ。ほっとけば治るだろ」
「そんなわけ無いじゃないですか!すごい勢いで流血してるんですよ!?」
「そうなのか…ってアレ?なんか、ちょっと、フラついて…あらら、地面が、傾いて…」
「○○さん!?」
僕は文の叫び声を聞きながら意識を手放していった…
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「ん…んん?アレ…僕はいったい…」
「あ、気が付きましたか」
とりあえず状況確認。今僕はベッドでうつ伏せで寝ていて、傍らで文が氷嚢を作っている。
あ、頭に包帯が巻いてある。
「どうやらすっかりお世話になってるっぽいな」
「いえ、元はといえば私のせいですし。あ、お昼ごはん食べましょうか」
「ああ、じゃあ作らないとな」
そういって起き上がろうとした僕を文が抑え付けた。
「ダメです。貴方は怪我人なんですから、私が作りますよ」
「おいおい、そこまでやらなくてもいいよ。仮にもお客様なんだし」
「いーえ!○○さんは寝ていてください!私が美味しいお粥作ってあげますから!」
「う…そうか…じゃあお願いする…」
「ハイ!任せてください!」
うーん…どうでもいいが…文の奴料理美味いんだろうな…
@風神少女料理中………@
「出来ました~」
「お、見た目はなかなかだな」
文が作ったのはありきたりの卵とじ粥。まぁ、病人にはいいんだろうが…
…僕は、怪我人だよな…
まぁ…いいか。
「おっと、食べるには仰向けにならなくてはだな」
「いえ、そのままで安静にしててください」
「え?でもこの状態じゃものすごい食べづらいんだが?」
「私が食べさせてあげますから♪」
「え゛?」
何を言い出すんだコイツは…
おいおい、ちょっとマジかよ…
「○○さん、あーん」
「おいおい、いいよ。それぐらい自分で…」
「ダメです。安静にしてなくちゃいけないんですから。はい、あーん」
「…絶対にこの食べ方じゃないとダメなのか?」
「ええ、ダメです」
…腹を括るか…
「はい、あーん」
「うう、誰かに見られたら恥ずかしいな…はむ」
「どうですか?」
「ん、なかなかいけるじゃないか」
「でしょう?たくさん食べてくださいね♪はい、あーん」
「…ハァ…」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「ご馳走様でした」
「お粗末さまでした。そしてこちらもご馳走様でした」
「ん?文になんかご馳走したっけ?」
「いえ、貴方がこういう風にお粥を食べている写真を撮らせていただきました♪」
「ナヌ?」
「明日の一面を飾るので楽しみにしててくださいね♪」
「いや、ちょっと待て。それは文自身の恥にもなるのでは?」
「フフフ…もちろん写真は私が写らないように編集させていただきますよ?」
「え゛?いや、おい待てよ」
「それでは○○さん、失礼します」
バタン、元気良く僕の家の戸が閉められた。
後に残された僕はただベッドの上で呆然としているだけだった。
ちなみに翌日、文々。新聞の一面(「○○、イチャイチャ同棲生活!」)を見た僕はこの行き場の無い怒りを…とりあえず外で歌いながら飛んでいた夜雀に対してぶつけることにした。
ちなみに夜雀は白玉楼に速達で届けてもらうことにした。
何が書きたかったんだよ…俺…
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>>327
「おはようございます」
「…あー…?」
目を開ける。
文の顔がどアップ。
「ちょwwwwwちけぇwwwwwww」
「そんなことはどうでもいいです」
「あー…?」
起き抜けの頭では認識がなかなか出来なかったが、少し時間が経ってみると――文は怒っているようだった。
「『あー』じゃないです」
「えーっと…なんで怒ってるんだ?」
「わからないんですか?」
「あー…?」
「だから『あー』じゃないです、そればっかりじゃないですか」
「うー?」
「『うー』でもないです!」
「え「ふざけないでください」…すまんかった」
「で…本当にわかってないんですか?」
はっはっは、自慢じゃないが全くわからん。
なんかあっただろうか。
文との約束だったら忘れるはずがない。
「よし、なにひとつわからない」
「はあ…じゃあ一つ質問します。…今日は何月何日ですか」
「えーっ?今日は、12月…2…6……」
ぅゎ ぉれ ょゎぃ
「わかりましたか?」
「はいわかりました」
「…で、何か言うことは?」
「あのホントすいませんでした許してください」
「許せると思いますか?」
「…すいませんでした」
「クリスマスに!恋人放っておいて!どういう了見ですか!」
「ぐががががちょまちょそれまじしn」
「ほら早く納得いく説明を!」
「いやだkらふあがかしでゃb」
正直言い訳のしようもない。
ただ完全に忘れていた、それだけだ。
言ったら文はさらにヒートアップした御様子でした!
「本当に貴方って人は貴方って人は!」
今、文は一見笑顔だが目は全く笑っていない、やばいよこれもうしぬかもわかr
俺は平謝りするしか出来ない。
完全に俺が悪いのだから…。
「いやはははあのほんとすいませんでした」
「謝って…済むと思いますか?」
「どうみても済みません ほんとうにありがとうございました」
「このダメ人間!」
「あうぅ…」
「バカ!バカ!」
「うぅ…」
「バカ…バカ……」
文の声に急に元気がなくなった。
見ると…文は泣いていた。
「文…」
「クリスマス…楽しみにしてたのに……あんまりですっ!」
「…」
「私、ずっと待ってたんですよ?いつ来るかわからないから何度も玄関まで行ってみたり…」
「…」
「いつまで経っても貴方は来なくて…一人でずっと待ってる寂しさわかりますか!?」
「…」
「折角、ずっと前から準備もしてたのに……」
準備、か。
そもそも俺もクリスマスを完全に忘れていたわけではない。
少なくとも1ヶ月前までは覚えていた。
だからもちろんプレゼントもちゃんと用意してある。
が、何故かここ1~2週間ですっかりと頭から抜け落ちてしまっていたようだ。
…さて、俺に何が出来る。
っても――出来ることはまあ限られているか。
「文…」
「なんですか」
文は真っ赤な目でこちらを睨んだ。
自分のせいでこんなになってしまったことに心が締め付けられる。
何時だって一人は寂しいものだ。
「ごめんな…本当に」
「…聞き飽きました」
「その…なんつーかこんなこと言うのはおこがましいが」
「…」
「二日遅れになっちまったけど…パーティー、するか?」
「……」
「本当、悪かった」
さて…後は文次第だ。
これで許してもらえるかな、なんて思ってる俺はやっぱり小さくて甘い人間なんだろうな。
まあ、これでダメだったとしてももう俺に出来ることはないし、悔いはないさ…。
「……わかりました。パーティー、しましょう」
「あ…許して、くれるのか?」
「そんなわけないでしょう!」
やっぱそうだよな…。
「ただ…ただ…来年は、ちゃんと当日にやってくれたら許してあげます」
「っ!…それって」
「来年もよろしく、お願いしますね」
―――どうも、文とは長い付き合いになれそうだ。
後書き
ぅゎ ぉれ ぉそぃ
気づいたのは当日の朝。
遅筆の俺にはどうしようもなく。
まいっかー☆ で当日を過ごしてしまったけれども、どうにも。
俺の中で『書かねば』って意志が熱く燃え滾ってしまっていたので。
えーっと、後は…。
お正月ネタ間に合うといいなあ?
ということで、まとめでした?
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>>375
○○「ああ文か、あけましておめでとう」
文 「おめでとうございます○○さん。今年初の新聞です、どうぞ」
○○「年中無休か、忙しいな」
文 「何年もやってれば慣れますよ」
○○「そんなもんかな…。 なあ文、時間あるか?」
文 「今日の分の配達は終わりましたから、いくらでも」
○○「よかったら餅つきしないか? 永遠亭で杵と臼を借りてきたんだ」
文 「わあ、面白そうですね。やりますやります♪」
文 「これでよし、っと。準備完了ですね♪」
○○「だな。 ところで文、餅をつくのとまわすの、どっちをやる?」
文 「そうですねえ…餅をつくのは初めてですから、両方やってみたいです」
○○「それがいいかもな。そんじゃまずは…」
ξ・∀・)<○○選択
1.餅をついてくれるか?
2.餅をまわしてくれるか?
選択肢1
○○「餅をついてくれるか?」
文 「わかりました♪」
文 「け、結構重たいんですね…」
○○「はは、大丈夫か?」
文 「大丈夫ですよ。せめて十回くらいはやってみせます」
○○「そっか。んじゃ始めるぞ」
文 「はいっ♪」
ぺたっ。ふわっ。
○○(ん…?)
文 「こ、こうですかー?」
○○「そうそう」
くるっ。
文 「よい、しょ…っと」
ぺたっ。ふわっ。
○○(お、これは…)
文 「こんな感じですか?
○○「上手いぞ、文」
文 「そ、そうですか?」
くるっ。
○○「強いて言うなら、もうちょっと腰を入れた方が良いな」
文 「力任せにつくだけじゃ駄目なんですね。」
○○「まあな。結構難しいんだよ。もっかいやってみ?」
文 「はいっ!」
ぺたっ。ふわわっ。
○○「!!!」
文 「ど、どうでしょうか?」
○○「あ、ああ。大分良くなったぜ」
文 「ふふふ♪ 続けましょう♪」
くるっ。
ぺたっ。ふわぁっ。
○○(おおっ!)
くるっ。
ぺたっ。ふわわわっ。
○○(見えたっ!)
くるっ。
ぺたっ。ふわわわっ。
○○(…白! ナイス選択だ文)
ぺたっ。ふわわっ。
○○(こいつは…強力すぎる)
ぺたっ。ふわっ。
○○(ん? 段々見えなくなってきてるような…)
ぴたっ。
○○(ぴたっ…?)
ちらっ。
┣゙ ┣゙ ┣゙ ┣゙ ┣゙ ┣゙
文 「どうしたんですか○○さん。続き、やりましょうよ」
○○「あのさ文笑いながら杵を振り回すなよ危ないし怖いぜ可愛い顔や真っ白なパンツがだいなs」
そのご ○○の すがたを
みたものは だれも いない…
Congratulations? Ending No.???
杵エンド
選択肢2
○○「餅をまわしてくれるか?」
文 「わかりました♪」
○○「うっし、いくぞ」
文 「はいっ!」
ぺたっ。
くるっ。
文 「どうでしょうか?」
○○「そうそうそんな感じ」
ぺたっ。
くるっ。
ぺたっ。
くるっ。
○○「しっかしアレだなぁ、くるくるやってると…」
文 「?」
○○「なんつーか、こう…くるっ、くるっ、くれらっぷーみたいな感じがしないか?」
文 「言ってる意味が分からないのですが…」
○○「そっか…」
ぺたっ。
くるっ。
ぺたっ。
くるっ。
ズズー…。
○○「あ゙ー…」
文 「風邪ですか?」
○○「いや、違う。クシャミが出そうで出ないんだよ」
文 「も、餅に鼻水を垂らさないで下さいね」
○○「努力はしてみるさ」
ぺたっ。
くるっ。
ぺたっ。
くるっ。
ぺt「ぶえーーーーーっくしょい!!」
文 「ひあっ!?」
ばしゃっ。べちゃっ。
○○「文、だいじょ…」
文 「ふえぇ~、ベトベトでびしゃびしゃです~…」
○○ (餅+水=白くてベトベトwwwww妄想広がりんぐwwwwwww)
文 「○○さぁ~ん…」
○○「うはwwwテラエロスwwwwwっうぇwww …ハッ!」
文 「○○さん…あなたはまた
そ ん な こ と を 考 え て い た の で す か ?」
┣゙ ┣゙ ┣゙ ┣゙ ┣゙ ┣゙
文 「○○さん…最後に言い残すことはありますか?」
○○「…『ぺたっ。くるっ。』ってずっと見てると『つるっ。ぺたっ。』って見えてこないか?
それが文を彷彿とさせr「判決『死刑』!!!」
ド グ チ ア ァ ァ !!
文 「…後は映姫様にお任せします」
Congratulations? Ending No.???
ぽるぽるエンド
餅杵臼餅杵臼餅杵臼餅杵臼餅杵臼餅杵臼餅杵臼餅杵臼餅杵
杵 臼
臼 あとがき 餅
餅 逃げ回りゃ、死にはしない! 杵
杵 そんなふうに考えていた時期が私にもありました 臼
臼 餅
餅杵臼餅杵臼餅杵臼餅杵臼餅杵臼餅杵臼餅杵臼餅杵臼餅杵
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最終更新:2010年05月11日 17:13