文11



13スレ目>>570 うpろだ1007


 ――雨。
 厚く垂れ込めた鈍色の空から、銀糸を投げ落としたかのように降る降る雨。
 長く伸びた雨脚は、絶え間なく地上へと打ち付けた。

「それにしても、ひどいどしゃ降りですね」
「通り雨だといいんだけどな」

 篠突く雨は、未だ降り止む気配もない。
 長く幻想郷を覆っていた雪が、ようやく融けきった後とはいえ、冬と春の境目に降る雨は身に凍みる。
 それは天狗だろうが人間だろうが同じこと。
 阿求の幻想郷縁起を取材しに行っていた、射命丸文と外から来た青年は、突然の雨に人間の里の軒先を借りていた。

「びしょびしょだから、いっそのこと濡れて帰ってもいいんですけど……」
「風邪ひくぞ?」
「このままだと、文化帖までしおしおになっちゃうかも」
「うーん……しばらくはここで雨宿りかな、文さ――」

 重たげな空を眺めていた青年は、文へと視線を向けて絶句。
 一瞬だけ目を見開いたあと、気まずそうに視線を逸らす。

「……どうしました?」
「な、なんでもない」
「ヘンなの。なにか隠してませんか」
「いや……寒くないかな、と思って」

 青年の気遣いに文はすこしだけ目を細める。

「優しいんですね」
「あたりまえだと思うけどな、そんなこと」
「そうかもしれない。けど、私は嬉しいですよ」
「でも、肌寒くないか?」
「うーん、ちょっとひやっとするかもしれません」

 そう言いながら、腕で自分の身体を抱くようにする。
 華奢な肢体だ。
 いつもは文字通り風の如く、幻想郷中を飛び回ってはいるが、こうしてみると普通の少女なのだ、やはり。
 ようやく綻びはじめた木の芽にも、冷たい雨が打ちつけ、水滴の重さに負けてうなだれていた。
 そんな様子を眺めながら青年は、天気の急変に悪態をつく。

「なんだっていきなり降りだすかな。稗田の家で、傘を借りられれば良かったんだけど」

 高下駄を履いていても頭半分はちいさい文が、青年を覗き込みながら、ぽつりと言う。

「――でも」
「ん?」
「ちょっとだけ、嬉しいですね」

 と、言いながら青年に身体を預ける。
 半身と半身が触れ合い、その部分にだけ熱を感じた。

「…………」
「なんだか……あなたと二人だけ、って感じがして」

 いつも取材と称して飛び回っているために、なかなか二人だけになる機会がなかった。
 二人だけだったとしても、『文々。新聞』の編集作業プラスその手伝いだったりする。
 よしんば、良い雰囲気になったとしても、巫女やら黒白やら、その他大勢が襲撃してきたりして、そのままお流れになってしまうことも多かった。

「でも、このままだと風邪ひくよな。どうしたもんか……」
「やっぱり濡れて帰りましょうか。風に乗れば、そんなにかからないでしょうし」
「駄目だってば」
「空が明るくなってきてますから、もう少し待てば――っくしっ」
「……文さん」
「ああ、なんでもないです……よ?」

 羽織っていた上着を脱いで、文の肩へ、そっとかけてやる。

「ほら、これで多少はあったかいだろ。しばらくはそれ、羽織ってろよ」
「い、いいですよ、そんな! それじゃあ、あなたが――」
「大丈夫。俺はこれでも頑丈なんだ」
「……ありがと。やっぱり優しいですね」
「当然のことだって」

 照れてそっぽを向く青年に微笑みかけて、そこでふと動作が止まる。
 あれ? と小さく零して、青年の開襟シャツに注目。
 濡れて肌に張り付いている。
 そんでもって、自分の胸元も確認してみる。

「あ、あの――」
「ん? 臭かった?」
「あなたの匂いが臭いなんてことはないです」

 ここは即答。

「じゃあ、何だろう」
「そ、その、もしかして……なんですが」
「うん?」
「さっき、わたしの方を見て驚いていましたけど」
「けど?」
「けど……え、と、わたしの服、すっ、透けてました?」

 しどろもどろになりながらも、ようやく言った。
 上目遣いに涙目で、さらに顔真っ赤なのは反則だろう。

「いっ! いや、えーと、透けてなんか――」
「うそ」

 苦し紛れの言葉は、やや喰い気味の台詞に打ち消された。
 青年は濡れた髪を、やれやれ、と掻きながら言う。

「……なんでわかったんだ?」
「ほら、あなたの上着、ぴったり張り付いてますし」
「ん、ああ、ホントだ」
「だっ、だから……透けてたのかなーって」
「いまここに俺一人だから良かったけど、こんどから注意するように」

 ちいさな声で、はい、と答えたけれど、どうにも納得のいかない文は、顔を火照らせたままふくれっ面だ。
 柔らかそうな頬に人差し指を押し付けてみたい衝動に駆られるが、青年は自重する。
 彼女を怒らせるのは本望ではない。

「まあ俺一人だったら、ずぶ濡れだろうと何だろうと、走って帰るんだけどな」
「わたしには注意しておいて、それですか」
「文さんは女の子だろ」
「天狗でブン屋ですけどね」
「言葉が足らなかったかな。文さんは俺にとって大切な女の子だから、って意味だったんだけど」
「…………」
「――好きな娘の身体を他人に見せたいわけないだろ。それとも文さんは、俺のことなんか嫌い?」
「その聞き方はずるいですよ。嫌いなわけないじゃないですか」
「じゃあ、好き?」
「あたりまえです。これ以上ないくらいに。他になにも見えなくなるくらいに。身体を預けても良いと思えるくらいに」

 また照れてそっぽを向いている青年の後ろから、きゅっと抱きつく。
 それは真っ赤になっている自分の顔を見られたくなかったからだろうか。
 もう言葉はいらない。
 お互いの息遣いと体温だけが、現実との接点を保っていた。

 二人が口を開かねば、静かな時間だった。
 ぱらぱら雨だれが軒先に当たり、静寂に色を添えた。

/

「――あ、そろそろ止むかな」

 どれくらいの時間が経ったのだろうか。
 青年はすこし名残惜しそうに言った。
 ようやく空は明るさを増し、小ぶりになった雨が太陽の光を反射して白く輝いていた。

「ホントですね。これなら大丈夫かな」
「じゃあ、帰ろうか」
「……雷が鳴って、あなたに飛びつくようなイベントがあっても良かった?」
「それは嬉しいけど、なんかキャラじゃないと思う」
「ですね。ベタな展開って、紙面を埋めるのが難しいです」
「……まさかとは思うけど、記事にしたりはしないよな?」
「さて、どうでしょう」
「まあ、いいか。俺は文さんといっしょに居れるだけでも、十分に嬉しいよ」
「ふふふ、わたしもですよ。あなた♪」

/


















「――っくしょい!」
「あれだけ、俺は頑丈だーとか言っておいて、自分だけ風邪を引くとか情けないですよね」
「うぅ……すまん」
「いいですよー、今日はゆっくり休んでいてください」
「文さんは、取材の方はいいのか?」
「ええ、わたしもお休みです。本日はゆっくり、あなたの看病をさせてもらいますから」

───────────────────────────────────────────────────────────

13スレ目>>565


「うーれみりあれみりあ・・・」
こうして今れみりあを探してて走っている僕の名は○○、
幻想郷に拉致られたごく普通の自宅警備員だ。
強いて普通の男の子と違う所を挙げるなら、将来の夢が新聞記者ってとこカナー。
そんな訳で僕はれみりあを探して紅魔館に向かって一目散に走っていたのだ。

門を潜り玄関に向かう途中ふと脇を見ると、
地下室入ろうとする一匹の天狗を見つけた。
うほっ、良い天狗・・・
するとその天狗はおもむろにシャツのボタンを外し、
中から長いソレ(原稿的な意味で)を取り出し、
僕に話し掛けて来たのだ!
「やらないか」(編集的な意味で)
そういえば地下室はその暗さから天狗が暗室で使う事があると聞いた事がある。
そして新聞の編集や天狗に弱い僕はホイホイと、着いていってしまったのだ。

「良い事考えた、お前、私の代わりに校了しろ」

「あぁ・・・次は印刷だ・・・」



…で、文。
何この怪文書。
「嫌だなあ私と○○さんの馴れ初めの話じゃないですかぁ」
くそみそ風にする意味は?
「趣味です」
俺はお前へ穴掘りしたりお前から穴掘りされる趣味は無い。
「ところで○○さん」
何?
「天狗の鼻って長いんですよね」
文は整った顔立ちだと思うがね。
「ありがとうございます。
…天狗の鼻って穴を掘る為にあるんですよね」
…まあ、エロい意味でな。
「女の天狗って、鼻の変わりに舌が長いんですよー」

…ごめん俺用事が「幻想郷最速の私から逃げられるとでも?」
勘弁してください・・・
「はぁーい、きれいきれいしまちょーねー♪」
アッー

───────────────────────────────────────────────────────────

13スレ目>>619


 はじめは、小さな偶然でしかなかったのかもしれない。

「んーっ、いい朝。今日はどこへ取材に行こうかな」

 いつもと同じように流れていく時間。

「よお、今日も元気にパパラッチしてるか?」
「清々しい朝っぱらから、随分な物言いですね、魔理沙」
「ははは、いいじゃないか。――ああ、そういえばお前向きな情報があるぜ」
「何です?」
「ちょっと前から博麗神社に、外から来た人間が保護されてる――ってさ」
「ふーむ、じゃあ、行ってみましょうかね」

 そして、唐突に訪れる、運命の出逢い。

「――あなたが、外からやって来たという方ですか?」
「……白、か」
「ちょっ、どこ見てるんですかっ!」
「いや、うん、君の方を見たら、勝手に目に入ってしまうというか何というか」
「――――っ!」

 ついでに吹き荒れる暴風と壊れる神社。怒る霊夢。

「なあ、どうして俺まで、縁側に正座させられてるんだろう」
「連帯責任です」
「はぁ……」
「そういえばお名前を伺ってなかったですね」
「他人に名前を聞くときは、まず自分からって教わらなかったのか?」
「――射命丸、文です」
「ふむふむ、あや、ね。いい名前じゃないか。俺は――」

 こうして出逢った天狗の少女と外から来た青年が、

「外の世界ってどんな感じなんです?」
「ああ、それはな――」

 幻想郷の未来を変えていく。

「では……好みの女の子のタイプは?」
「元気な娘がいいかな」
「身長は?」
「あんまり大きいとちょっと。まあ、俺より小さけりゃいいや」
「ふむふむ。じゃあ、胸の大きさは」
「あのさ、それって俺が外から来たことと関係あるのか?」
「……あ」

───────────────────────────────────────────────────────────

うpろだ1027


八雲紫が寄越した特異なラブレターを、○○はじっと眺めていた。
(彼女はこれをどういったつもりで……)
 ○○は一人、静かにその意味を考える。
 確かに八雲紫は掴みどころがない振る舞いをよくする。どこまでが真剣で、どこまでが冗談なのか分からない事は多い。
(……しかし、流石に嘘で『あなたがすき』とは言わないだろう。――どうすれば……)
 考えれば考えるほど、○○は何か得体の知れない感情に支配されていく。
 そんな折、神社に一人の客が文字通り舞い込んできた。
「こんにちはー! 霊夢さん、おじゃましまー……って、あら」
 射命丸文だ。
「あれ、文さんじゃないですか。どうしたんです、取材ですか?」
 突然の来客に○○は驚いたが、見知った新聞記者だったので安心してそう尋ねた。
「えっ? いっ、いや、まぁ、そんなところですけど。あの、それより……霊夢さんはご不在で?」
「あぁ、霊夢さんはお茶を用意してくださるとの事で、今台所のほうにいらっしゃいますよ」
「そうですかっ。じょ、情報感謝します」
 飛び込んできた時の威勢はよかったのだが、○○を確認してからの文は少しモジモジしている。
 促され、机を挟んだ彼の前に座ってからはそれが顕著だ。
 メモ帳とペンを、やけにいじくり回しているところを見ると、忙しいのかな。
「あの……、霊夢さんに呼びましょうか? 取材、急いでますよね?」
「えっ! い、いやっ、だだだだいじょーぶです! 記事にまとめるのは速いんで全然ゆっくりしていけます!」
「なら良いんですけど……」
 ○○のそんな気遣いにも、不思議なくらい慌てて反応してしまう。頬っぺたは既に上気し、赤くなっているのが自分でもわかる。
(あややややや……。まさか神社に○○さんが居るとは……。――って、あれは?)
 文は○○が手にしている紙に気づいた。
 白い紙に何か貼ってあるようだが……。新聞記者としての好奇心が文を動かした。
「あのぉ、○○さん? 手にされているそれ、そうそうそれです。……それは何ですか?」
「いや、良いのかな。こういうのを他人に見せるのってどうなのかな……?」
 ましてや相手が文である。このようなゴシップネタは彼女の最も欲するところであろう。
 しかし、○○はマスコミである文の側面は気にしていないようだった。
「大丈夫ですよー。○○さんが嫌ならいつものオフレコの話って事に出来ますし。それに霊夢さんにも見せたんですよね…?」
 それを聞いた○○は、
「そうだね。霊夢さんにも見せたし、ボクに良くしてくれる文さんになら大丈夫かな」
 と文の目の前に例の紙を広げた。
 新聞の写植を使って、『あなたがすき。八雲ゆかり』と書かれている。
「……え? ……これって?」
 文は、自分の胸がきゅっとなるのが分かった。
 全く予想していなかった内容に、驚いたからだけではない。
「いや、ね……。紫さんからいただいたんですよ。真意を理解しかねて、霊夢さんに相談しに来たという訳ですね」
 目の前で、○○ははにかみながらそう説明する。まだ何か言っているようだが、文には途中から聞こえなくなっていた。
 ――他の女の恋文を、私に見せられる理由。
 文はその理由が分かってしまった。
「霊夢さんは『たち悪いわね』と言っていたので、イタズラかなぁとは思うんですが……」
「……はは、ははは」
「しかも、これ、使ってるの文さんの新聞ですよ。文さんが一生懸命つくった〈文々。新聞〉でこんな事を……」
「…はは、そうですね……」
 もう文は俯いてしまっている。○○が自分の作った新聞を褒めた事にも気付かない。
 ○○は、文のそんな様子に知ってか知らずか喋り続けている。
「でも、やっぱり冗談で他人に『すきです』なんて言いませんよねぇ……?」
「――――っ」
 限界だった。もう聞きたくもなかった。
 文は小さな声で「ごめんなさい」とだけ言い残し、勢いよく飛び去ってしまった。
 突然の事に、どうしたのだろうか、といった顔をしたまま、○○は固まっている。
 机の上には文の取材セットであるメモ帳とペンが置きっぱなしだ。
「はーい、素敵なお茶の登場よー。……ん?」
 そこにお茶を淹れ終わった霊夢がやって来た。お盆の上には煎餅と、三つの湯のみが湯気を立てている。
 室内を見渡し、机の上の文の道具、そして○○の顔の順番で目を留めた。
「天狗はどうしたの? あいつの声がしたから三人分用意したんだけど」
 霊夢の表情が厳しくなる。ジロリと○○をねめつけた。
「いや、さっきまでそこに座ってたんですが…。話していたら、突然飛び出していってしまって……」
「あんたまさか! あの紫のヤツを見せたんじゃないでしょうね!?」
「えっ、いや、まぁ、はい、見せましたけど……」
 霊夢に気圧され、○○は情けない声を出してしまった。
 それを聞いた霊夢は、さらに声を張り上げる。
「信じられない! 本当に信じられない! あんたって女の気持ちが分からないの!?」
 罵倒とともに○○にお茶を引っ掛けようと湯のみを手にしたが、勿体なくてそれは思いとどまったようだ。
 霊夢は本当に怒っている。
「いい? このお茶が冷めるまでに天狗を見つけて謝ってきなさい! それまで私も待ってるから! いいわね!?」
 普段は見せないその形相に、○○はただ首を縦に振る事しかできなかった。

      ■  ■  ■  ■  ■  ■

「あーあ…」
 文は、神社から10分くらい飛行したところにある木の上に佇んでいた。
 取材の時に、腰につけているポーチのチャックを開けたり閉めたりしながらため息をついている。
 あのまま我慢して神社に居れば、後々まで続きそうな事にはならなかったのに。
「どうして、飛び出してきちゃったのかなぁ、私」
 ため息ばかり出てしまう。しかし、それも仕方のないことだ。
 明日から、どんな顔をして○○に会えば良いのか分からない。
 いや、もう会わないほうが良いのかな…。
 キツイなぁ……。どうして神社に行ってしまったのだろう。
 あと一日遅ければ、あんな事知らないですんだのに。……知らないままで居られたのに。
 自嘲的に笑いながら文は枝に膝をかけ、ぐるっと回転し重力に引っ張られながら逆さまに空を見た。
 もう夕暮れだ。赤く染まった空がどこまでも続いている。
 今日は、もう帰ろう。
 帰って、適当な記事を書いて早く寝てしまおう。そうだ、嫌な事は忘れてしまうのが一番。
 手をぶらっとさせて、力を抜く。通り抜ける風が気持ち良い。
「わーっ! 文さんパンツパンツ!」
 刹那、驚いたような声が響く。
 文はその声の主が誰であるかすぐに分かった。
「見てません、見てませんから早くスカート押さえて!」
 目の辺りを手で覆いながら、木の根元で○○がなんだかわめいている。
「えっ……。なに? どうして、何でここに? えっ、あっ、ああぁぁ!」
 慌て過ぎたのが間違いだったのだと思う。○○の言葉の意味を理解し、スカートを押さえようとしたらバランスを崩してしまったのだ。
 枝を掴もうとした手は空をきり、翼を開こうにも反応仕切れなかった。
 文の身体に衝撃が走る。
「いたたた……って、あれ? あんまり痛くない……」
 文は、屋根より高い木から落下したにも関わらず無傷だった。
 天狗の身体能力が文を護ったのか、それとも運がよかったのか。
 答えは文の下に居た。
「…あ、文さん。大丈夫です…か……? お、お怪我は…?」
「わぁっ! ○○さんっ! ご、ごめんなさい、受け止めてくれたんですね」
「いえ…、良いんです。文さんが無事なら……」
 ○○が文を受け止めていた。
 倒れこんだときにどこかにぶつけたのだろう。頭から血を流している。
 にも関わらず、真っ先に私の心配をしてくれているのだ。それを思うと、文は身体の芯から溶けそうになった。
「あたたた…。どこか切れてるみたいですね、ははは……」
 あちゃーとでも言いたげな、そのどうしようもない程お人よしな笑いに、文の目はにじみ始めた。
「なに、笑ってるんですか……。もう……、○○さんは……、変です……」
 頬を伝い、涙はぽたぽたと○○の顔にたれる。
 そのまま文はに泣き出してしまい、○○の胸の中に顔を埋めた。
「え…、どうしたんです……? やっぱりどこか痛むんですか?」
「ぢがいまずよっ! ……もう、バカっ!」
 文はぽかぽかと○○を叩く。
 ダメだ。やっぱり好きなのだ。この涙は、○○が好きだから流れているんだ。
 くそっ、悔しいなぁ。八雲紫に先を越されてしまった。
 もっと早めに自分の気持ちに気付けていたら、もっと早めに素直になれていたら。
 想いを伝える事だけは出来たかもしれない。
 ……悔しいなぁ。
「そうだ、文さん。言わなくてはならない言葉があるんです」
 ○○は自分の胸のほうに顔を向ける。痛むようで眉間にしわが寄っていた。
「いたたたた……。ちょっと本気でやばいかも、ははは…」
 またその笑い方だ。
「あの、ですね。さっき見せた紙の事なんですが」
「……やだ、聞きたくないです」
「そんな。文さんに聞いてもらわなきゃ、霊夢さんに殺されちゃうんですよ」
 巫女に? どうして?
 文は目を拭って顔をあげた。
「霊夢さんに『あんたって女の気持ちが分からないの!?』と怒鳴られてしまいまして……」
 なーんだ。
 巫女には全部お見通しだったのだ。さすが博麗神社の巫女だけある。
「いいんです……。もう、大丈夫ですから」
 ここまで来ると、いっそ清清しいくらいだ。どさくさで『私もあなたが好き』と言ってしまおうかしら。
「…へ? 大丈夫って、なにがです?」
 ○○は本当に分かっていない様子。こちらもさすがだ。博麗神社の巫女に鈍感と言われた男だけある。
 文は、思わず喉まで出かかった言葉を飲み込んでしまった。
「そうだ、話の続きだ。……でもね、そう言う霊夢さんは男の気持ちが分かっていないと思うんです」
 ゴホンとせきをして、調子を整える○○。
「どうしてあれを文さんに見せたのか。それには理由があるんです。
 まず、八雲さんが文さんの〈文々。新聞〉を使ってあの手紙を製作した事が一つ。
 更に、既に霊夢さんに見せていたからというのも一つの理由です。この二つは言ったと思いますけど。
 ……最後に、最も大きな理由があって、そのぉ、なんというか……相手が文さんだったからなんです」
 ○○は後半しどろもどろになりながらも、着実に一歩ずづ話を進めていく。
「えー、文さんだったからというのはつまりその……、はい、文さんが好きなんですよね、ボク」
 今、目の前の男はなんと言ったのだろう。
「好きな人には隠し事をしたくないってのもあるんだけど、文さんが飛び出していっていまうってのが予想外でした。
 あの後、八雲さんにどうお断りの言葉を言えばいいのかなって相談しようとしたんですよ。あなた以外には興味が
 ありませんよーって事を、さり気なくアピールしようとしてた訳です。
 こんな軽い口調でしか伝えられない自分が嫌なんですが、ボクは射命丸文さんが好きですから」
 私を好きと言ったのだろうか。射命丸文って私だよね…?
「ダメだ…、恥ずかしくて上手く伝えられない……。――文さん、あなたが好きなんです」
 バカっ…。何回言えば気が済むのよ……。
「……うっ、嘘じゃない?」
「冗談で他人に好きだなんて言えないですよ……」
 それを聞いた瞬間、文は飛びついた。
 痛がる声を無視して○○を力いっぱい抱きしめる。
「取材ポーチに応急処置セット入ってますから…。今は、ただ抱きしめさせて……」
 再び大粒の涙がこぼれてきた。
 悔しいなぁ。またタッチの差で遅れてしまった。
 ……本当に悔しいなぁ。
「私もね、○○さん…。あなたの事が、大好きなんですよ……」
 ○○の右の耳元で、文は自らの想いを今度こそ想いを伝え始めた。
「〈文々。新聞〉をしっかりと読んでくれてますし、マスコミの私を邪険にしないで普通に接してくれますし、
 ちょっと心配になるくらいお人よしだし、そして、何よりも○○さんだから―――」
 涙で鼻声になってはいるが、気持ちははっきりと述べている。
「本当に、好きなんです……」

      ■  ■  ■  ■  ■  ■

 霊夢は神社でイライラしていた。煎餅をバリバリ食べながら、目の前の湯のみたちの目をやる。
 何が悲しくて、たっかーい玉露茶をコールドで飲まなくてはいけないのだろうか。
 そう。まだあの二人は神社に帰ってこない。
「まったく! 何やってるのよ!」
 こんな事になるなら、○○に引っ掛けてやったほうがましだったわとでも言いたげだ。
 そんな霊夢の右斜め後ろ。空間にスーッと切れ目が入り、三日月形に開く。
 八雲紫のスキマだ。
「ハァーイ、霊夢? 元気かしら?」
 自分が問題の引き金になっているとは考えてもいないだろう、暢気な声だ。
「ちょっと紫! あなたどういうつもりよ!?」
「なぁに、いきなりそんな大きな声出して。折角お茶を飲みに来てあげてるのに」
「よくお茶なんて言ってられるわね……。紫、あんた○○に手紙を出したでしょ?」
 ゆったりとした動作で扇子を取り出し、口にそっと当てる紫。
「あら、○○に聞いたのかしら。確かに出したわよ。そうだわ、お返事を聞かなきゃいけないわね♪」
「だから! どういうつもりよ!? 『あなたがすき』だなんて」
 霊夢の言葉に眉をひそめ、紫は思考をめぐらす。
「『あなたがすき』って…、手紙にそうあったの?」
「『あなたがすき。八雲ゆかり』。そう新聞の写植を使って書かれていたわ」
 もう紫の頭の中では答えが出ているようだ。目を細め、優しく微笑んでいる。
「いやぁねえ。橙ったら順番を間違えちゃったのね」
「……はぁ?」
「あのね、橙が天狗の新聞で遊んでいてね、藍に手紙を作っていたのよ。
 それがとっても楽しそうだったから、私のも作ってってお願いしたの。
 ちょうど○○に手紙を送るつもりだったし、たまにはこういうのも趣があって良いかなってね」
 既に霊夢は呆れている。
「……それで?」
「橙にはこういう文章にしてってお願いしたのよ。『あなたはきす。八雲ゆかり』ってね。
 この前、きすの天ぷらを食べたのよ。それが美味しく美味しくて、藍にまた買ってくるように頼んだのだけど、
 里にもなかなか出ないみたいでね。そしたら、○○が釣りに行くって言うから……」
「『あなたはきす』を釣ってきてね、ってこと?」
「そうそう、さすが霊夢ね。だけど橙ったら、『分かりました、紫様っ!』って元気は良かったのだけど……」
「順番を間違えた上に、てをにはが出来ていないと」
「藍に言わなきゃダメねぇ……」
 深いため息と共に、霊夢は立ち上がる。
「紫、ちょっと○○と天狗を探してくるから。お茶はそこにあるコールド玉露を勝手に飲んでいって」
「なぁに、どうしてそんなに冷たいのよ。それにあの二人のところなら、今行くのは野暮ってものよ」
 今度は霊夢の左横。
 スキマが開くと、どこかの木の下で、文が○○の頭に包帯を巻いている光景が広がった。
 二人とも笑顔だ。
「どうりで戻ってこないわけだ」
 霊夢はそうつぶやくと、棚に移動しておいた文の道具の処に向かった。
「お菓子は羊羹で良いんじゃないかしら。温かいお茶に良く合うわ」
 何かをしたためる霊夢の背中に、図々しい要望をぶつける紫。
 ペンの蓋を閉め、霊夢は紫に「うるさいわよ」と切り返す。
 満足そうに台所に向かう霊夢の後ろでは、一番新しいページに『新聞記者の恋叶う』という明日の一面用のネタが書かれたメモ帳が
 ばさばさと風に吹かれていた。



                                         終わり

───────────────────────────────────────────────────────────

うpろだ1137


 人里離れた妖怪の山。
 いつものように河童やら下っ端天狗やらをからかって遊んでいる所に、文が何かを抱えて文字通り飛んできた。
 それはそれは大事そうにしっかと抱きかかえて、一言。
「赤ちゃん拾っちゃいました!」
「返してきなさい」
 山を、寒い風が一筋通り抜けた。



「犬猫じゃないんですから放っておいたら確実に死んじゃうじゃないですか。○○さんの人非人」
 文は大層ご立腹なようだ。
「だからな、慧音の所に預けるとか、色々あるだろ」
「拾うだけ拾って後はお願いしますとでも言えと? そんな薄情な事はできません!」
 こんな時ばかり正論言いやがって。しかし俺は何よりも、お前が子育てする気満々なのが怖いんだ。赤ん坊の行く末の為にも。
「わ、可愛いですねー。うりうりー」
 椛も、はしゃぐんじゃありません。
「兎に角だ。文の気持ちはわからなくもないが、ここは一つ、赤ん坊の事を想うなら……」
「……っく、ぁぅ」
「天狗が人の子を育てた前例だってあるじゃないですか! 私は立派にこの子を育てて見せます!」
「ぐすっ、っえぐ……」
「だから! 敢えて他種族の下で生きるより人の中で生きていく方が自然だろうが! それ位わかるだろ!」
「……ぅうう」
「あ、あのお二人とも」
「椛は黙ってて下さい! もういいです。○○さんには頼りません。この子は私だけで面倒見ますから貴方はさっさと山を降りて「びええええええええ!!」きゃあ!?」
 大声で怒鳴りあったせいか、それとも剣呑な雰囲気を察してか。文の腕の中で赤ん坊が泣き出してしまった。
「ど、どうしましょう!? ○○さん」
「お、落ち着け。とりあえずあやすんだ。それで大概なんとかなる気がする」
「わかりました。ほーらよちよち、あややややー」
「ぎゃーん!!」
 状況悪化。
「駄目じゃないですか!」
「むぅ……そうだ。椛!」
「は、はい!?」
「おっぱいだ!」
「出ませんよ!!」
 真っ赤になって怒る椛。
「って言うかなんで椛に言うんですか」
 半目で睨んでくる文。
「いや、だって文よりでk……うわちょっとやめてごめんなs」

 結局、文が猛スピードで里まで行ってミルクやらおしめやら子供用玩具を調達してきた事により何とか事なきを得た。
 うやむやの内に子育てにも協力すると約束させられ、これから先の事に頭を痛めるばかりである。

───────────────────────────────────────────────────────────

うpろだ1141


「文ちゃん、君のことが好きだ!」

今日も山には男の声が響く。

「…毎日毎日飽きもせずによく来ますね、○○さん」

少女の口からため息が一つ。

「俺は諦めないさ。いつか君の気持ちが傾くまでやめないよ」
「ストーカーまがいの行為は止めて下さい」

男の口からもため息が一つ。

「つれないねぇ、文ちゃーん。でも俺は諦めないよー?」
「そうですか、勝手に頑張ってください」
「…むぅ、冷たいねえ。で、俺は今日も追い返されるのかな?」
「そうです、死なないように手加減します。だから、今日も逃げ帰ってください」
「文ちゃんは優しいねえ!じゃ、俺も死にたくないから今日は帰ろう!」

少女から弾が放たれる。男は必死でそれを避け、逃げる。
逃げる男は、叫んだ。

「文ちゃーん!俺はまだまだ諦めないからな!君が俺の恋人になるまで!」

追い返す少女も、叫んだ。

「人間ごときが…思い上がらないでください!」
「思い上がった馬鹿な人間を愛してみるってのはどうだい!?」
「いい加減にしてくださいっ!」

男は弾幕を避けながら山道を下る。
此処は妖怪の山。本来ならば人間なぞ天狗が追い返しに来る場所。
しかし、今や射命丸以外の天狗は男を追い返そうとしない。
少女の前に毎日のように現れ、少女に愛の言葉を叫び、少女の弾幕から逃げ帰る。
そんな一風変わった馬鹿な人間の恋路に興味を持ったのだ。
それに、手加減してるとはいえ、射命丸の弾幕を避けきる男だ。
そこらへんの天狗では倒す事などできはしない。
今日も男は愛を叫ぶ。今日も少女は男を追い返す。
此処は妖怪の山。技術の高い河童やスクープ好きな天狗の住む山。
そして、馬鹿な男と天狗の少女の愛の舞台の場。
今日もその舞台を、河が、滝が、河童が、天狗が見守っている。
男は叫び、少女は美しい弾幕を放つ。

「ははは、明日も会いに来るから待っててくれよー!」
「来なくていいですっ!」

少女は怒り、男は笑う。周りでこっそりと見守る妖怪たちも笑う。
今日も妖怪の山は音が響く。
それは、愛の叫び。それは、怒りの声。それは、笑い声。
今日も妖怪の山は平和だった。明日もきっと平和だろう。
妖怪に恋してしまった人間の男と、人間に恋された妖怪の少女がいる限り。

───────────────────────────────────────────────────────────

うpろだ1176


「風は私に屈服し、風は私に操られ、風は私と共に在る――。」


「私は風に屈服し、私は風に操られ、私は風と共に在る――。」









「「だからこそ、彼の在り方に憧れた――。」」
















  ――――――――――――――『東方風人録』――――――――――――――















――古来から人間は『山』を信仰の対象にしてきた。
往々にして『山』は人間の住みやすい環境にはなく、危険な環境の集まりだ。
そんな『山』を、人間は畏怖し崇拝し、『山』に霊的な存在を感じていた――。


――まぁ、本当に妖怪とか住んでるんだから、そりゃ霊的なものだってビシバシ感じるわなぁ。


皆さんご存知の幻想郷、その(多分)中央にデーンとデカイ面を晒しつつも鎮座しているのが『妖怪の山』だ。
そう、本当に妖怪の住んでいる『山』なのだ。


頂上に守矢神社を頂くこの妖怪の山には、神社へと続く一本の長い階段がある。
神社への階段なのだから、まばらにでも人が居ても良さそうなものだが、不思議な事に俺以外の人間の姿を目にする事は殆ど無い。
これは何ということだ?と不思議に思い、里の人達に話を聞いてみた。
色々な意見があったのだが、遠まわしにも言いたい事は一つのようだ。

即ち――「あんな長い階段上ってられるかってんだちくしょー。」だそうで。
……幻想郷の『山』も――あぁいや幻想郷だからこそか? 例によって例のごとく人間にとっては過酷な環境らしい。

中には妖怪の山に近づきたくないとか本音のような建前のような意見もあった。
けれど、この意見をくれた八百屋のおっちゃんはインタビュー直後、野菜を求めて3000歩してきた夜雀相手に笑顔で商いをしていたので、発言に全く説得力が無い。
おっちゃん曰く
「可愛いもんは可愛い! 可愛いは正義だって偉い人が……って、ゲェー! おまえはかあちゃん!! か、かあちゃん違うんだ別に俺は浮気をしようってわけではうわなにをするやめr……。」
かの夜雀の可愛さには全面同意の姿勢を示すところであるので、おっちゃんの説得力は完全回復だ。……代わりにHPと寿命は激減したようだが。南無。
こういう場面を見ていると、幻想郷縁起にあるように人間対妖怪の関係は本当に崩れているように思える。
外来人の俺に限った話ではないけれど、やっぱり不安は不安だからなぁ……、死活問題だし。


兎に角、何にせよ階段に人が集まらないと言うことは、況や神社をや、なのである。
こんなことで信仰の方は大丈夫なのですか、と短期間ながらも仲良くなった神様に「すわっ!」とお伺いを立てたところ「ケロッ!」と快くお答えくださった。

「里にも博麗神社にも洩矢の分社があるから、そこで信仰が集まるようになっているの。だからおーるおっけーのもーまんたいなのよっ。」

とのことで。腰に手を当て無い胸張って、エッヘンと得意気だ。
流石はケロちゃn……ゲフン! 諏訪子様。
余りにも感動した俺は、その溢れんばかりの尊敬の念を示そうとしたのか、気付けば右手がその金に輝く御髪を撫で梳いていた。


「……あーうー。」


目を細めてそのまま頭を委ねてくださったので、ちょっとは気に入ってくれたのかな?などと自惚れてみたり。




「……分社に分霊を送っているのは、私なんだけどねぇ。」

オンバシラが邪魔で聞こえません。というか撫でてほしいんですか?

「いや……、遠慮しておくよ。」



まっこと、乙女心とは複雑なものである、まる













さて閑話休題。
そんな『長い、高い、疲れる』な誰も寄り付かないような階段であるが、俺は毎日のように通っている。
別に何処ぞの詐欺ウサギのような、『けんこうのためのそのいち』を実践しているわけではなく、単純にこの場所が気に入っているだけである。

……まぁ、多少の下心はあるのだけれど――。

幾つか気に入った理由はあるけれど、先ず挙げられるのはこの景色だろうか。
この階段があるのは山の斜面。長いし高いし疲れるし、それでもそのお陰でここからは幻想郷が一望できるのだ。
一現代人たる俺としては、こんな自然に囲まれた、というよりむしろ自然オンリー天然生活。みたいな景色を見ることの出来た機会は、稀だったと言ってもいい。
そして科学が発達した現代とは言え人間は人間だ。自然を美しいと感じる心は残っている。
そう、この景色には苦労してでも見る価値がある。

日課の散歩をしていたら 気付けばそこは森の中 携帯通じずアンテナ0本 跳んで転げて迷った果てに 森が開けば一大パノラマ っとくらぁ。

幻想郷に迷い込んで、混乱してパニックを起こしていた俺を落ち着かせてくれたのは、この景色だ。
感謝もしてるし単純に大好き。いつまでも見ていたい衝動に駆られる。
そして俺が最も気に入っていること、それは……。

ヒュォォオオオオオオオオオオ――。

そう、この風だ。
景色がパニックを落ち着かせてくれたのは良いんだが、情けないことに落ち着いたと同時にちょっと凹んでしまったのだな。
そんな俺を慰めてくれたのが、この風だ。
階段の下から吹き上げてくる、全身を優しく包んでくれるような、湿度も温度も良い塩梅。
不覚にも泣きそうになって……ない。な、泣いてなんていないんだからねっ! バカッ!! ……ゲフン。
えーっと、気落ちしていた俺だったが、こいつのお陰で気持ちに余裕が出来たわけだ。


……まぁ、余裕が出来過ぎて一人ニヤニヤと余韻に浸っていたら、初対面の筈の射命丸の人にこっ酷く貶されてしまったのだけれど。

「酷い言われようですね、貴方が一人で不気味にニヤついていた事実を指摘しただけですよ。」

嘘だっ!! 初対面の俺に対しても慈悲の欠片も見えないあまりのSっぷりに、俺の中のM魂がキュンキュンと刺激……ん?

「うわっ……、本性を見せましたね、この弩変態性欲魔人。そんなに虐められるのが好みなら向日葵畑への散歩をお勧めします。
 きっと素敵なデュアルスパーk……3Pで思うさま虐めてもらえますよ。」

ちょっと待て、さっきから聞こえるこの声は、もしかして……。

「あ……。」

「あ?」

「あ、あああ……。」

「愛してる?」







「文!?」





「はい、あなたの文ですよー。」





――紛れも無い射命丸の人が、空に浮いていた。























                                                      ~opening~

───────────────────────────────────────────────────────────
最終更新:2011年07月19日 00:20