幽香2


>>381


諸君、私は花が好きだ――

諸君、私は花が大好きだ。

諸君、私は花の妖怪が好きだ。


一月一日、元日。
俺と花の妖怪の風見幽香は、寝床に近い博麗神社を訪れていた。
無論、初詣なんていう殊勝な事をする気はない。

「ちなみに冷やかしは、お断りなんだけど」
後ろで紅白の巫女が何かを言っているが無視だ。
「減るもんじゃないでしょう?」
「そうそう、けちけちするな紅白さん」
「博麗霊夢!…まったく、それじゃどこかの歌合戦じゃない…」
「黒白歌合戦よりはマシよね?」
「白黒歌合戦だと、決着がつきそうだがな」
まぁ、ここに来た理由なんて、ただ単に遊びに来るのと同時に
暇つぶしの為でもある。
…どちらにしろ似た理由には違いないが。

「で、あんた達、出てってくれない?」
「俺、無理、コタツ、暖かい」
「私もね。彼が出て行く気がないなら。私もこのままよ」
妖怪はこの程度の寒さは何ともないはずだが、俺を理由に
するのもどうかと思う。
いや、嬉しい事は嬉しいんだが。
「…はぁ、このバカップル達は」
「失礼ね。誰がバカップルなのかしら?」
「あんたらだ、あんたら!」
幽香のマジで言っているのか分からない言葉に、霊夢がツッこむ。
「それにしても、こう寒いとやってられないわね…」
いつもやる気がないくせに、と言葉に出かかったが、何とか押し留める。
そんなことを言えば、夢想封印じゃすまない。
「いつもやる気がないくせに」
さすが幽香!俺に出来ない事をやってのけるッ!
そこにシビれる!あこがれるゥ!
「へぇ、あんたも言うわね」
ピクピクと眉が動いている。
それに対して幽香は余裕の態度を崩さない。
「当たり前よ。私に怖いものなんてないんだから」
おー、すごい発言だ。
などと、感心して見ていると
「へぇ…」
不意に霊夢が不敵な笑みを浮かべた。
何か企んでいるのか、口元が緩んでいる。
「それじゃ、○○さんがあんたを残して遠くに行っても?」
「――」
その言葉を聞いて、彼女は俺の方を向いた。
目が合って、俺は逸らそうとしたが、その視線が離れる事はない。
彼女から読み取れる表情はない。
無感情。
その図を想像しているのか、それとも。
「○○」
「ひゃ、ひゃい!?」
唐突にその無感情が笑顔に崩れて、ドスの利いた声で名を呼ばれる。
あんまり慌ててたから、変な声になっちまったぜ。
「私を置いていったら――どうなるかしら?」
殺されますか?
人間辞めさせられますか?
オラオラですか?
「アレだけ、好き勝手に弄んでおいて…」
「待て、どちらかと言うと、お前の方が弄んでるだろう」
「…どっちでもいいから、そういう発言は止めなさい。バカップル」
またバカップルって言われた。
まぁ確かに(ピー!)や(ズキュゥゥゥウン!)とか
(ゴゴゴゴゴ…)なんて事も…。
むぅ、ここまでやればバカップル認定されてもおかしくないか…
「幽香攻めの○○さん受けね」
新手のカップリング使いか!?
「まぁ、霊夢に一言だけ言っておくわ」
「ん、何?」
「もしも彼に手を出すようなら、手加減はしない。頭が春だらけの貴女に
本当の開花を促させてあげる。それこそ生きるのが苦痛と思えるような
生き地獄というものを体験させて、ね」
「出さないって」
「いや、そんなこと言わなくても、俺は幽香一筋だぞ?」

ズキュゥゥゥウン!

ありえない音が聞こえました。
まるで、どこかの漫画のキスの音のように。
「え、っと…まぁ、せいぜい私の機嫌を損ねないようにね」
音のした方向を見ると、幽香がちょっとだけ赤くなっていた。
うん、滅多にこういう表情を見せないから、結構レアだ。
「んじゃ、初詣といきますか」
「えぇ、それじゃ霊夢、春までに春が来るといいわね」
「余計なお世話よ」
苦笑しながら、霊夢は呟いた。

賽銭箱に五円を入れる。
昔の人は良いことを言ったものだ。
縁は異なもの味なもの、ってね。
その縁はどう結びつくか分からないけど
一度、縁が結ばれれば、それは絆となりえる。

妖怪の彼女と、縁が繋がった俺の絆は…
切れる事はないと信じよう――





後書き
===五円玉の裏===

イチャつくスレに必要なものは、何よりも
生まれついた愛だ。これについては
訓練ではどうにもならない。
愛の無い者はいつまで経っても想いを綴れない

MGSマスターより

===五円玉の裏ここまで===

あ、ありのままに起こった事を話すぜ。
『おれは夢で幽香の夢を見たと思ったら、いつの間にか
その夢が終わっていた』
な…何を言っているのか分からねーと思うが、
おれも何が起きたのか分からなかった…
頭がどうにかなりそうだった…
幻想郷の開花だとか、フラワーマスターの脅威だとか、
そんなチャチなもんじゃあ、断じてねえ。

もっと恐ろしい幽香萌えの片鱗を味わったぜ…

つまり、何が言いたいかって言うと
幽香萌えな訳です



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3スレ目 >>687(うpろだ0006)


 ――初めまして。ちょっといいかしら?
 ――新聞なら間に合ってます。 
 ――私は天狗じゃないわ。ていうか人間の癖に私を知らないの?
 ――じゃあ宗教ですか? すいませんが俺、無神論者なんで。あ、押し売りも結構です。金無いんで。
 ――はぁっ。……もういい。私が何者なのか、その身体に教えてあげる!
 ――ま、まさか押し入り痴女!? 確かに可愛いし胸も大きいが人としてそれはどうかt ……あべしっ!






「……10、9、8、7」

 腕に付けた時計を見やりながら呟く。
 時刻は午前6時59分。
 幻想郷の一般ピーポーの皆さんが起きる時間にはまだ少しだけ早い、そんな時間帯。
 本日の天気は雲ひとつない快晴。はるか頭上には天狗かと思われるシルエット。新聞配達ご苦労さま。

 「6、5、4、3」

 それにしても、こんな朝っぱらから一人空を見上げ突如カウントに入る俺。自分でやってて正直どうかと思う。でもやめない。
 しかしやはり他人にも奇怪に写るのか、以前も常闇の妖怪から「あなたってへんー」と言われた。切なさ炸裂である。
 どうでもいい話だが、「せつなさ炸裂」という名(迷?)言を生み出した例のブツは、悪名高き暗黒舞踏を始めとする肝心の出来にユーザーのせつなさが炸裂だろう。

「2、1」

 しかしながらこのカウント、今では一日一回やらないと調子が出ないまでになってしまった。我ながらどうかと思う。
 そんな事を巫女に言ったら「重症ね」と溜息混じりに言われた。否定できない。

「――0」
「おはよう。今日もいい天気ね。元気してた?」

 そうして思考の海に埋没しながら時を刻み終えたのと、俺の背後から声が聞こえてきたのはほぼ同時だった。
 何処からとも無く現れたのはチェック柄の服を身に纏い、愛用の傘を持った緑の髪の少女。
 名を風見幽香。
 人間は言うまでも無く、そんじょそこいらの妖怪では束になっても勝負にならないレベルの力を持った妖怪らしい。
 そんな彼女がなんで俺なんかに興味を持ったのやら。一度聞いたら「私に勝ったら教えてあげる」と言われた。つまり教える気はさらさら無いという事だろう。

「まあまあかな。ってか先週も会っただろ」
「私と会った後、急に不治の病になったりするかもしれないじゃない?」
「お前は病原菌を撒き散らしたりするのか?」
「失礼ね。私の花が撒き散らすのは花粉だけよ」
「俺が花粉症じゃなくて本当によかったよ」

 彼女は丁度7時きっかりにやってくる。7時ちょうどにいない日は来ない日。
 以前、数日間来ない日が続き、今日も来ないだろうと高をくくって一度家から出なかったら、文字通り挨拶代わりに玄関を吹っ飛ばされた。なんて奴だ。
 来るな、とは言わないがせめて来る日くらい指定して欲しい。お陰様で俺は規則正しい健康的な生活を送る毎日だ。

「さて、いきなりだけど覚悟はいい?」
「言わなくても解ってるだろ? “よくない”」
「言わなくても解ってるでしょ? “貴方に拒否権はないわ”」

 不適な笑みを浮かべ、傘を構えながら真っ直ぐに視線を飛ばしてくる幽香。
 傘の切っ先には、俺。 そこから導き出される答えは一つ。言葉無く身構える。

「じゃ、早速いつもの、始めましょうか――!」

 そう宣言すると共に、ひゅん。と風切音が聞こえた。
 迷う事無く地面に転がり込む。半ば反射のそれは、すっかり俺の身体に染み付いた動き。
 瞬間、頭上を花の弾幕が結構なスピードで通過。髪がはらり、と空に舞った。

 傘から放たれるそれはその見た目に反し、直撃すれば意識を持っていかれかねない程の威力を持っている。
 そんなのブツが絶え間無く俺に降り注いでくるが、俺もマゾじゃないのでそれを避ける。避ける。ひたすら避け続ける。
 必死に回避する俺だが、当の幽香はそんな俺にいい笑顔で容赦なく弾幕を放ってくる。

 その笑顔は確かに文句無く可愛い。しかしこれはどうみてもいじめだと思うのだが、どうだろうか? いや、そのサドっ気溢れる表情を見るに実際いじめなのだろう。
 避けるだけ、という弾幕ごっことすら言えないこれ、今に始まった事じゃない。会う度に俺はこうやって俺はいじめられている。

 ……だがしかし! 今日の俺にはとっておきの秘密兵器がある!
 それさえ使えれば勝てなくても、幽香に一泡吹かすことも出来る筈!
 でもそれも俺から手を出して初めて成立するわけで……。

「ほらほら、逃げ回るばっかりじゃいつもと同じよ! 偶には反撃してみたら!? 私は此処から一歩も動いてないわよ?」
「じゃあ! ちょっとは! 手加減しろよ! こちとら! 避けるので! 精一杯だっつーの!」

 悪態をつきながら、飛来する弾幕を回避し続ける。

「ごあいさつね。十分手加減してるじゃない。どんなに当たり所が悪くても死なないように」
「そりゃそうだけどさ!」

 どうにも俺と幽香の手加減の捉え方には大きな差がある。
 確かに俺も軽口を叩く位の余裕はあるし、彼女に本気を出されたら俺なんか一秒持たないだろうけど。せめてEazyレベルで!
 だが、そんな意見が通る相手ではない事は重々承知している。
 そして相手に近づく事すら儘ならないこの状況では、いつもと同じくジリ貧に追い込まれる、という事も。

(つまりは俺が気張らないといけない、と。嗚呼……痛いんだろうなぁ。でも……)

「ナイフとかよりはマシ、か」

 そう小さく呟き、

 ――だっ!

 幽香目掛けて突進する。
 弾幕が眼前に展開され、俺の意識を奪おうと襲い掛かってくる。
 当然全身に無視できない痛みが走るものの、それでも足を止める事は無い。

「ぐっ――!」
「うわ。無茶するわね」

 呆れるような幽香の声。だがそんな事は言われるまでも無く解ってる。
 スキマ妖怪みたくテレポートでも出来ればいいが、いかんせん非力な俺にはこれくらいしか幽香に接近する手段が無いのだ。

 少しでも受けるダメージを減らそうと、利き腕でない左手を振り、出来る限りの弾幕を吹き飛ばす。
 彼女の弾幕が花だから出来る芸当だ。だが仮に幽香がそれ以外、例えば針とかクナイとかの弾幕を撃って来た場合は……考えたくも無い。
 頭に浮かんだ嫌な想像を振り切るように、俺は最短距離を走りぬける。

 あと、十歩。

「――っ」

 そして、左腕以外に幽香の攻撃が命中しなくなった。正確には直撃しなくなった、だが。
 殆ど無意識の内に、どの弾幕が直撃するのか判断出来るようになったらしい。これまでの努力(という名の敗北)があるとはいえ、我ながらびっくりだ。

 そしてついに俺の射程範囲内に辿り着く。
 弾幕に晒し続けた俺の左腕は、見るのも嫌になるくらい痣だらけになっている事だろうが、折れてはいないだろう。多分。

(……なんで俺はこんなに痛い思いしてまで一生懸命やってるんだろうな)

 そう苦笑ながら、俺は右腕で懐から虎の子のスペカを取り出し、即座に発動させる!


 ――即興「名無しにも五分の魂」。


「行くぞっ!」
「っ!?」

 他でもない彼女によって鍛えられた気合避けはともかく、スペカに関しては殆ど素人の俺がスペカを使用する事に対してだろうか。幽香の表情が驚きに染まる。驚くのが妙に遅い気もするが。
 そして、俺の発動させたスペカは眩い光を放ち――!

 ……ぷすん。

 そんな間抜けな音を立てて消滅した。誰がどう見ても不発だった。
 だがある意味予想の範囲内とも言える。
 そもそも素人の俺なんかが、ぶっつけ本番で幽香程の妖怪に一泡吹かせようという考え自体が間違っているのだ。
 無茶して突っ込んだからって、一歩も動いていない、と言っても動かない、と言ってはいない幽香が距離を取らない保障なんかどこにも無いわけだし。

(でも、それでも。今回は幽香を驚かせる事が出来たから俺の勝ちだ!)

 全身に弾幕を浴び、意識を遠のかせながらながら、そんなちっぽけな優越感に浸る俺の目に映るのは、眉間にしわを寄せた幽香。
 一目でわかる不機嫌オーラをその身に纏っているし、弾幕も心なしか厚くなっている気がする。
 そして 俺の意識は 闇に 落ちて……






 ――数時間後。






「……痛い」
「おはよう。よく寝たわね。もうお昼よ?」

 意識を取り戻したのと同時に全身が痛みを訴え、思わず声を漏らした俺の耳に入ってきたのは、俺の意識を持っていった幽香の声だった。
 後頭部に感じるのはなにやら柔らかい感触。倒れるまで俺がいた草の上ではないだろう。絶対に。

 鼻腔をくすぐるのは少女特有のいい香り。視線の先には青い空と幽香の顔。
 これらの情報から導き出される答。つまり俺の頭がある場所は……幽香の膝の上? 膝枕!?
 衝撃の事実に俺は当然驚き、即座に彼女から離れようとするが、

「っていででで!」
「暫くは動けないわよ。貴方が気を失った後も少し打ち込んだから」

 全身に走る激痛に思わずみっともなく叫ぶ俺に、幽香は平然と言い放った。
 鬼だ。此処に鬼がいる。

「……さて。どうしてあんな無茶をしたのかしら? 制御も出来ないスペカの使用。不発ですんだからいいものの、下手したら死んでたわよ」
「それがお前がへそを曲げて俺をここまでぼこにした理由か?」
「他にないでしょ。で、答えは?」
「……一度でいいからお前に一泡吹かせたかったんだよ。いっつも苛められるだけ、ていうのもアレだし」

 まさか失敗したからといって、命に関わるレベルだとは思いもしなかったわけだが。

「馬鹿ね。本当に馬鹿。付け焼刃のスペルで私をどうこう出来ると本気で思ったの?」
「まさか。それでも男には引けない時があるんだよ。相手もお前だしな」
「そっか。……ねえ。貴方は私が嫌い?」
「いや、嫌いじゃない」

 どことなく寂しそうに聞いてくる幽香に思わず即答する。
 俺は嫌いな相手を待ったり出来る博愛精神の持ち主ではないのだ。
 というか、どっちかというとむしろ好きなのだが、それを本人の前で言うのは流石に気恥ずかしいものがある。

「そう。私は貴方が好きよ。愛してるわ」
「はい!?!?」
「だから貴方は私だけのモノ。私の断り無く勝手に死ぬなんて絶対に許さない」

 好き? 誰が? 誰を? 好きな相手ほど苛めたくなる理論?
 あまりの突然の告白に戸惑い、パニックに陥る俺。
 そうして、一分ほど経過し、少しだけ落ち着いて、やっと口から出てきた言葉は、

「……もし俺が他の誰かを好きだった場合は?」

 そんな気の利かない言葉だった。て、そうじゃないだろ俺!

「略奪愛って素敵だと思わない?」
「あー、そのn」
「でも変な薬や魔法なんか使わないわ。貴方自信が私を好きになってくれないと意味が無いもの」

 俺の訂正を遮ったそれは、自他共に認める嘘つきの彼女が俺に初めて見せた嘘偽りの無い、本気の目。俺にはそう見えた。

「…………」
「どうしたの? 照れたとか?」
「…………」

 沈黙を肯定と受け取ったのか、彼女はあはは、と無邪気に微笑む。
 まあ実際そうなのだが。

「で、答えは?」

 真顔に戻って聞いてきた。
 なんかさっきも聞いた台詞だ。

「今すぐに?」
「当然」
「……好きだよ」
「そう。……良かった」

 俺の答えにも彼女と同様に嘘偽り無い事が通じたのか、花が咲いたような笑顔を浮かべる。
 それもまた、決して短い付き合いではない俺が初めて見る表情だった。こころなしか顔も赤い気がする。
 これから先、彼女のこんな表情を見る事が増えるのだろうか。

「……それじゃあ、まあ」
「今後ともよろしく。お互いにね」








 ――影が、一つに、なった。



以下、おまけ

(あれが××ね! 知ってるわ! 流石あたい! 蝶天才! IQもとっくに一万は超えてるわね!)
チルノちゃん! あんな破廉恥なもの、良い妖精は見ちゃいけません!)
(そ~なのか~)
(特ダネですよ~!)

「……なあ」
「何?」
「なんか見られてるんだが」
「見せてんのよ」

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3スレ目 >>812


 いつもと同じように弁当をこしらえ
 いつもと同じように向日葵畑に向かい
 いつもと同じように花の妖怪に虐められ
 いつもと同じように一緒に弁当を食べる

 そして

 いつもと同じように気が済むまで適当にダベって
 いつもと同じように夕日を眺め
 いつもと同じように氷精をからかって
 いつもと同じように笑い合って別れる

 ……筈だった

 俺を貫くのは力持つものの重圧
 されどその目に浮かぶ感情は疑問と不安

「私は虐め、それ故に嫌われるモノ。妖怪、人間、妖精分け隔てなくね」
「……」
「それを判っていながら、虐められながら、どうして貴方はここに来るの?」
「なんでって、そりゃあ……」

 ――好きだからに、決まってるだろ。

「Mなんだろ。俺が」
「……嘘つき」

 背を向けながら答える俺を、嬉しそうにからかってくる幽香。
 彼女が軽い読心術を持っている事を俺が知るのは、まだ先の話。


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4スレ目 >>462-468


462 名前: 名前が無い程度の能力 投稿日: 2006/07/10(月) 13:22:17 [ c2uKdXUg ]

俺の母親の下の名前が優香なんだが旧姓が風見らしいんだ。どうしよう。


463 名前: 名前が無い程度の能力 投稿日: 2006/07/10(月) 13:24:31 [ vsS2By92 ]

おーい、ここにゆうかりんの子供がいるぞ。


464 名前: 名前が無い程度の能力 投稿日: 2006/07/10(月) 15:42:20 [ 4Z9OWYA6 ]

相手が誰か、それが問題だ


465 名前: 名前が無い程度の能力 投稿日: 2006/07/10(月) 17:08:50 [ Qc5aonDc ]

462
お、お母さんを僕にください!


466 名前: 名前が無い程度の能力 投稿日: 2006/07/10(月) 20:04:01 [ gT.5Q4PI ]

465早まるな。


やあ、>>462、私が新しいパパだよ!


467 名前: 名前が無い程度の能力 投稿日: 2006/07/10(月) 20:06:10 [ FVu7Fdmc ]

462の父でございます。
このたびは、息子がこのようなレスをしてしまい、
皆様には大変ご迷惑をおかけしております。
深くお詫び申し上げます。

中略

どうぞ皆様、息子を暖かく迎えてやってくださいまし。
本当は良い子なんです。
よろしくお願い申し上げます。
462の父より


468 名前: 名前が無い程度の能力 投稿日: 2006/07/10(月) 20:26:35 [ H2k27uIc ]

人妻の方が燃えるってものよ


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4スレ目 >>474-475


474 名前: 名前が無い程度の能力 投稿日: 2006/07/10(月) 22:15:10 [ 4Z9OWYA6 ]

なあみんな聞いてくれよ。
さっきゆうかりんにあったんだ!
心なしか太ったような気がしたね。
つきのものがこなくなったわって言ってたんだけど、
ゆうかりんに召し使いなんていたっけ?


475 名前: 名前が無い程度の能力 投稿日: 2006/07/10(月) 22:32:32 [ Clb6Kv/I ]


 ( あらあら、しょうがないわねぇ?? ハイッ!!( はぁと☆
   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄  ̄  ̄  ̄

      o     ___   。           ___    o  
      x  ((_ノ´⌒⌒ヽ) o.     x  ((_ノ´⌒⌒ヽ)   
       (( ((((ノ`)ノ))    +.   (( ((((ノ`)ノ)) *.
      ゚ ((_。(i|^.ヮ^ノl)⊃ .     ((_。(i|^.ヮ^ノl)⊃  
         ((,,( ,)ノネl」´ 。         ((,,( ,)ノネl」´ 。  
          ,,∪#i,#゙i       .    ,,∪#i,#゙i     
      +    ||.ハラ´ x     ゚     ||.ハラ´    
        * ('ミ,)           o. ('ミ,)   x  
 ドバァァァァ-- - 、ミ/ + 彡彡彡  *     、ミ/ +彡彡彡
       .   Y o             Y o     
      * ゚/ \ x        ゚ . / \ x    
    . x /  o  \  .   +  /  o  \  
     // 。     \\ *   // 。     \\  x
     i     ゚        i    i     ゚        i 
    ∥ i  ガッ       i ∥  ∥ i  ガッ      . i ∥
   .∥ !   >>474< のわwww∥ !    >>475< ちょ、ちが…俺まきぞe(ry
   ∥|          .o|∥ ∥|           o|∥
   ∥|  o.        |∥ ∥|  o         |∥


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5スレ目>>118


「えーと、つかぬ事をお伺いいたしますが。」
「あら、何かしら?」
「…なにゆえ、我があばら家のちゃぶ台でお茶を嗜んでおられるので?」

…事のあらまし、というか何というか。
俺は里のあばら家に住んでる一介の庭師だ。
ただ、他と違うのは、俺の技術がちっと辺鄙な所の住人にも評価されてるってことだろうか?
春は神社の桜、
夏は向日葵畑、
等と言った具合に、様々なところに呼び出されては手入れをする。
そして、いまここに唐突に出現してのんびり茶を飲んでいるのは、
上得意の一人、向日葵畑の住人の風見 幽香なる花妖怪。

「そうね…強いて言えば庭先の花に惹かれた…かしら。」
「椿…ですか。」
「そう、数の多くない冬の花。」
「はぁ…まあ、それは分かるんですが、何でわざわざこんな所に?
他に立派に椿が咲いている所はいくらもあるでしょうに。」
「いいじゃない。近くに知ってる場所があったから来ただけだし。
それとも迷惑だったかしら?」
迷惑だろうと何だろうと居座るわよ、というオーラが発されている以上、
「いえ、そんなことは無いですけど。」
と答えるので精一杯だった。


「…」
「…」
ついでにと、茶の相手に与って暫しゆっくりと茶を愉しむ。
窓の外の空は雲がかかっており、やがて、
「…あら、雪ね…」
「そうですね。 初雪って訳でもないですが。」
俺の台詞を聞き終えるより早く、彼女は窓の側まで歩いて行き、
小さく窓を開けた。
「そうそう…知っているかしら、雪の別称。」
「いえ…知りませんね。」
クス、と少し笑って、
「六花。雪の結晶っていうのは、花びらが6枚あるよう花に見えるのよ。
だから六花。唯一私に操れないけれど、一番好きな冬の花。」
「…結構、ロマンチストなんですね。」
「女は案外ロマンチストなのよ。」
「まあ、それはそれで嫌いじゃないですが。」
「あらあら、口説くのが下手ねぇ?」
「ちょ、そんなんじゃないですって。」
「あら、私のこと、お嫌い?」
「あー、いや、そういうわけでも…」
クスクス、と悪戯っぽく笑い、座布団に座りながら言うには、
「冗談よ、冗談。…貴方のそんな所、嫌いじゃないけれど。」
また困惑する俺を見て、またクスクス笑う彼女だった。



「…そういえば…
向日葵畑に住む妖怪は人を食う、って言われてますが。デマですか?」
「そうねぇ…案外、デマじゃないかも知れないわよ?」
にまー、っと笑ってこっちを向く彼女。
だが、その顔はいつもの悪戯な笑いが浮かんでおり、
「…勿論、少し違う意味で、ね?」
…えーと、それは一体どういう意味でしょう?
そう聞く前に、俺は押し倒されて
(省略されました。全てを読むには向日葵畑と同量の向日葵を集めてください)



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5スレ目 >>163


なんだか>>120が焼却されそうな勢いなので、
とりあえず本気で幽香様がキレる量の向日葵運んでくる前に置いておきますよ…っと。

ちなみに幽香スレで言われてた
「普段はからかって遊ぶタイプだけど、いざとなると受け」
がツボだったので、それに基づいて執筆。
「こんなの幽香じゃねえっ!」って言われても知らない。
――――――――――
そう聞く前に、俺は押し倒されていた。
「さーてと、どうしちゃおうかしらねえ…」
にやにやと底意地の悪そうな笑いを浮かべながら、
その想像以上の膂力と不測の事態、二重に動けない俺をゆっくりと眺めていた。
「え、あー、う?」
口から出るのは意味を成さない音の羅列のみ。
「…やーめた。このまま食べても面白くないわー。
まぁ、折角だし…こういうのはー、合意の上で…ね?」
ひょい、と俺の上から退くと、
何処となくいい加減な、そして何処となく真剣な、
掻い摘んで言えばいつもの読めない声と表情で、そう言っていた。
「あ、幽香さん。」
「ん、何かしら?早速その気になった?」
「いやいやいやいや。流石にそんな手は早くないですよ俺は。
お茶もいいですけど、雪見酒を洒落込みませんか?」
「あら、それなら御馳走になろうかしらね。」



冬の縁側は流石に冷える。
とりあえず徳利2つ分を燗にして持っていくことにした。
「中々風流よね、こういう時間も。」
「俺はあんまり楽しむ機会もありませんけどね。
冬でも椿の手入れの仕事が時々入りますし。」
「ええ、花も貴方に感謝しているわ。
他人の家の花だからって手を抜く訳でもなく、
真摯に接してくれるって。」
ああ、そうか。
花妖怪だからこそ、花の言うことも分かるのか。
「でも…俺の一生も、花の一生も、」
手のひらに落ちて来た雪がサッととけて消える。
「この雪の結晶みたいに、一瞬の儚いものなんでしょうね。」
「ええ、そうかもしれないわね。」
俺は思う。
あくまでも彼女は妖怪、俺は人間。
生きている時間は違うのだと。
「でもね。」
けれど、次に紡がれた言葉はそれを否定する。
「いつか死ぬ事には私も貴方も違いは無い。
ただ、それまでの時間が少し違うだけ。」
少し。それが百年か一刻か、それは分からない。
そう、彼女は言う。
「それに、私はフラワーマスター。
貴方が一瞬で消える六花だと言うのなら、
私はそれさえ操れるようになってみせる。」
「…えーと、それは…つまり?」
やれやれ、と肩をすくめてお道化た口調で彼女は言う。
「まあ、鈍感な貴方に優しい幽香様が教えてあげる。」
次の一瞬だけ、頬に柔らかい感触があった。
「…へ?」
「この幽香様が、貴方っていう花を枯れるまで世話してあげましょう、
と言っている訳よ。お分かり?」
「…えーっ、と…それって所謂プロポーズで?」
ぱこん、と何処からか取り出した傘で叩かれる。
「ば、バカ!折角ぼやかして言ってたのに、
そう正面きって言われると恥ずかしいでしょうが!」
…どうも自分のペースを崩されると弱いみたいだなー、と漠然と考えながら、
「よっ…と。」
「○×△□~!」
こちらもお返しとばかり頬にキスをして、もう暫く反応を楽しむことにした。

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5スレ目>>310(うpろだ>>54)


 ――しゃくっ。


「……ん、上出来」

 夏の終わり。
 されど、やはり日差しの厳しさをみせる、昔ながらの幻想郷の夏。
 向日葵も種を実らせ、来たる秋へと山々もひっそりと衣替えを始める今日この頃。

「ちょっと極端な気候で、冷えすぎた感もあったけど――はく」

 ――しゃくっ。

 そんな文明開化以前の景色を残す幻想郷に。

「初物でも、何とかなる物ねぇ」
「そりゃー、『専門家』がついてるからな」

 ビニールハウスと言う、少々不似合いな物がひとつ。
 向日葵畑の一角に、ひっそりと建てられていた。

「あら、専門家とは、私の事で良いのかしら――ん、美味し」

 ――しゃくっ。

 ビニールハウスには、赤い実を豊かに提げたトマトの木。
 その下に、麦藁帽子を被った二つの影。

「お前が乗り気でなければ、正直上手くいくとは考えられなかった。
 ――一つ良いか?」
「んー?」

「――垂れてるぞ」
「あら、いけない」

 今、大地と太陽の恵みを文字通り味わっているのは、一人の少女。
 だが、彼女を知るものは、普段との差異に、一瞬面食らうかもしれない。

 日除けに麦藁帽子を被り、食べかけのトマトを片手に、愉しそうに前掛けで口元を拭う、その佇まい。
 普段と変わらないのは、隣で生い茂る緑黄の葉とお揃いの、柔らかいウェーブの髪。
 そして、悪戯っぽく笑み、細められた瞼の間で輝く、赤い双眸。

 其は、四季の花統べるアヤカシなるモノ。
 幻想郷に知らぬ者無しとされるその名を、風見 幽香と言った。

「ってこら、何の為の手拭かッ」
 その御前。
 人々の間で畏怖すべき妖怪の代名詞として知られる彼女に対し、慄くことなく、
 寧ろ等身大で接するのは、一人の青年。

 幻想郷の外より迷い込んだ、という生い立ちを除けば、現地の彼らとまるで変わらない、
 名乗るほどの名声も無い一端の人間であった。

「やーねぇ、細かいことを気にし――」
「ホレ、動くな」
「んあーあにをふるひひゃまー」

 様々な事情により、幻想郷への永住を決めた彼。
 そんな彼が身を寄せたのは、同じく人が住む里ではなく、

「綺麗な顔が台無しですよ、お嬢さん――これで良し」
「むー」

 今、彼の目の前で為すがまま口元を拭われている、恐怖の大妖怪の所であった。

「だいたい、さっきまで畑の手入れをした顔で、ってのはどーなのさ?
 こっちは髪とか砂噛んで気持ち悪ぃってのに」
 顰め面で、汗と泥で汚れた、彼の顔は、正に農夫のそれ。
 幽香はその顔を覗き込むと、

「そーいえば、いつもより2割増で男前ね、○○の顔」
「っ」
「あ、赤くなってんの♪はははコヤツめ」
 と、彼を手玉にとって見せる。

 何の因果か、彼女もまた、この一端の人間を悪くは思っていないようだ。
「お前な――うぐ」
「はい、動かないの」

 今度は逆に、幽香が彼の顔を手拭で拭う。
 ――上背の差が有る、○○の上体を首から引き寄せる格好で。

「……」
「はいはーい、綺麗にしましょーね」

 暑さからとは明らかに違う何かに頬を紅潮させながら、眼を閉じてただ従う彼。
 そんな彼の顔を嬉々とした表情で拭う幽香。
 その有り様はまるで――恋人たちの其れのように。

「はい、終わり。『○○の かっこよさ が 2 さがった !』」
「……俺のかっこよさは10しか無いんか」
「時価だもの」
「Σ時価って何!?」

 と、突っ込みに大口を開けた彼の口に――

「はい」
「ぁぐ」

 食べかけのトマトが捻じ込まれた。ヘタごと。

「このトマトの味と似たような物ね」

 面食らい、訳が解らない彼は、唯捻じ込まれたトマトを咀嚼する。

「美味しいでしょ」
「んぐ……如何にもトマト、って仕上がりだな。
 鮮烈な酸味の中にほんの僅かな甘さ、そして口一杯に広がるミネラルを感じさせる鉄臭さ。
 良くも悪くもトマト。個人的には勿論好きだが、性格が強いので嫌いな人は嫌いなタイプの典型だ。
 酸味が強いのでお勧めはやはりパスタのソースか。いやチキンカレーに仕込むのmぉぶっ!」
「誰ぁれが品評しろっつったー!」

 吟味から素面で語り出した彼を、頬を紅潮させた乙女番町の鉄拳が制する。

「ぐふゥッ、い、いいパンチだぜ……」
 膝をがくがくと震えさせ、口や鼻から赤いもの――唯のトマトの残滓である――が垂れるのを
 手で抑えながらサムズアップする○○。
「何を呆けたことを……」
 もう一発いくか、と幽香は黄金の左を固め――

「ん?流れ的には『い、今のは間接キスだったんだからねっ』みたいな事をボソボソを呟く
 ツンデレ属性爆発シーンを其方から曝け出す羞恥プレイを誘導してたんd――」
「『花鳥風月――」
 スペルカードに、切り替えた。

「待て、それは洒落になら――む」

 慌てて止めようとした彼が、ビニールハウスの外壁に目を留めた。
「どうしたの?」
「――雨」

 ビニールハウスに、音を立てて落ちる雨粒たち。
 その勢いは次第に増し――

「うお、夕立」

 大音響をビニールハウスに満たした。

「天狗の予報もたまには当たる、か。作業済ませて正解だな」
「――」

 それまでの勢いは何処へやら。
 日を遮る曇天を、幽香はただぼんやりと眺め――

「トマトの籠のカバーは良し、と。傘は――って幽香!?」

 無言のまま、弾かれたように、駆け出した。

「お、おい、何処へ――」

 混乱する頭のまま追いかける○○を余所に、幽香は走る。
 ハウスの扉を少々乱暴に開け、雨にも構わずに飛び出して行く。


「ったく、開けたら閉めろっての――幽香ー!?」
 念の為と扉を施錠しつつ、声を張り上げて幽香を呼ぶ。

 漸く○○の声に振り返った幽香が立っていたのは、向日葵畑。
 開花の時期を過ぎ、種を実らせた後、ただ枯れてゆくのみの向日葵たちは払われ、
 今は水を吸った土肌のみが広がる、何処か寂しげな向日葵畑。

「○○ーー!!見ーてーてーーー!!!」
「あーん!!!?一体何を――」

 雨に打たれながら、向日葵畑に気付いた○○は――そこで足を止めた。


 夕立の中。降りしきる雨の音が支配する向日葵畑の上で。

 ――幽香が、踊っていた。
 回るように、くるくると。

 左手には、畳まれたいつもの日傘。
 右手には、一杯に握り締めた向日葵の種。

 幽香は踊る。素足を向日葵畑に埋めて。
 幽香は踊る。手から種を振り落としながら。
 幽香は踊る。頬に、瞼に、額に、肩に、空の恵みを受けながら。

 歌が聞こえる。祭囃子のように遠く聞こえる、ありふれた畑仕事の歌が。
 歌が聞こえる。空に、大地に、自然に感謝する歌が。


 ――きれいなお花を、咲かせましょう――


「……」
 その光景を、ただ○○は呆と眺め、立ち尽くしていた。
 だがその瞳は何処か静かで、涼しげだった――これから起こる『何か』を、待っているかのように。


 やがて、幽香の手から種が尽きる。
 気が付けば、雨は上がっていた。


 彼女の姿は、今や向日葵畑の外。
 ○○とは、丁度対岸の位置。


 恍惚と空を望んだ彼女の瞳が、うっすらと開かれ、
 その紅い瞳が、○○が映りこむ。
 雨に濡れ、垂れた前髪ごしにも、その紅ははっきりと○○の目に捉えることが出来た。

「――お待たせ」

 そして目を細めたまま微笑み、再び歩み始めた――途端。

 彼女の背後、その一列を、緑色の壁が埋め尽くした。



 ――彼女が一歩、進むたび、示し合わせたように『壁』が突き出す。
 それは、既に蕾までつけた、向日葵の茎の整列。

「もう夏も、終わりだから――」

 中程まで進んだ頃、幽香が日傘を差す。
 それが引き金だったのか――曇天を、陽光が切り拓いてゆく。

「最後に、見ておきたくて、ね?」

 そして――向日葵たちが、その蕾を一斉に開く。
 陽光の方へ向けて。焦がれるように、羨むように。


「――どうかしら?」
 ○○の眼前。
 畑を往復し、すっかり濡れ鼠となった花の姫。
 濡れた髪をかき上げ、何時もの悪戯っぽい笑みを浮かべ、一回転。

「――綺麗だ」
「きゃ――っ」
 感想は、至極簡潔、かつ明確に返された。
 すなわち、真正面から抱き締め――唇を重ねるという実力行使で。

「は――」
「――ん」

 やがて、どちらからとも無く顔が離れる。
 残滓を幽香の細い指が拭い、紅に染まった顔を、○○は優しく撫ぜ、張り付いた髪を払う。
「――うん、その顔」
「ん?」
「今の顔なら――幾らかしらね」
「ありがとさん」

 そして再び、顔が近づき――

「っくし」
「うおあぶね」

 可愛らしいくしゃみに、コンタクトが遮られる。

 一瞬の沈黙の後、二人揃ってくすくすと笑いあう。

「今のはNGだろーが――っはは」
「うるっさいわね――ふふ」

 そのまま、日が沈むまでずっと、向日葵畑を一望しながら、笑い合っていた。



 帰り道。
 トマトを詰め込んだ籠をお揃いで背負い、夕日に照らされる影法師。

「帰ったら、先ずは風呂か」
「それなら、黒白から『善意で』頂いた温泉があるわ」

 人と妖。
 二つの影が寄り添い、手を繋いで、相合傘で、陽の傾く空へと歩いていく。 


「○○の家にも引いといたから、直ぐ入れるわよ。もちシャワー付きで」
「そりゃあ良いな。じゃあさっさと引き上げてサッパリしよう。
 んで――」

 二人は向き合い――見つめ合い


「夕飯は、パスタにしよう」
「うん、そうしよう――だったっけ?ふふ」
「用法は違うがなーはっはっは」

 笑い合っていた。

「ミネストローネ風のスープパスタで。スパイス効かせてね」
「おう、任しとけ――で」
「ん?」

 その様は仲睦まじく、

「デザートは幽香まるごt」
「トマトぶつけんぞ」
「やめれ、表皮傷ついちゃう」


 向日葵たちは、そちらを眺めていたのか。
 風に揺られる度のざわめきは、まるで世間話のようだった。



「ったく――メインディッシュに足りないと言うのかしら(ぼそり)」
「……腹の虫が鳴ってぶち壊しになったのをお忘れk」
「はっ、恥ずかしい事言うの禁止ッ!」
「むが――もごもご」



 家に辿り着くまでに、トマトが2桁程減ったのは、ご愛嬌である。 






「さて、では引き続き密着取材はフルーツトマトの様に甘酸っぱい夜の部へと――」
「ほっほう、この天狗、トマトの様に真っ赤に染まりたいと見える」
「げぇーッ!!幽k」

 ピチューン

 ――甘い夜の公開は幽香様のご要望により制限されました(血文字)
 続きを読む場合は(この先は血が滲みすぎて読めない)


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最終更新:2010年05月11日 16:17