幽香6



新ろだ258


スーパー射命丸ターイム!
射命丸文が幻想郷で噂のカップルに粘着的にそれでいてミーハー的にインタビューしてきました。

 ・ゆうかりんサイド
 ・○○サイド
 ・アリスさんサイド
 ・オルレアンサイド
 ・ゆかりんサイド

というわけでインタビューしてきます。








 ・ゆうかりんサイド
「特集!花を操る向日葵妖怪の結婚生活を密着粘着取材!」

――あややや。どうもどうも。えー、本日はお忙しい中時間を割いていただいてありがとうございます。
あら、私は別にいいのよ?○○と私の話でしょ?
そんなのいくらでもしてあげられるわ。・・・クッキー食べる?
――頂きます。・・・あや、これ美味しいですね。
でしょう?私の旦那の手作りなの。向日葵の種入りクッキー。
いい旦那でしょう?
うふふ、あげないわよ?

――お名前を。
幻想郷最強の妖怪、風見幽香よ。
――ご趣味などを。
大量虐殺とお花の世話と・・・お風呂かしらね?
――弱点とかありませんか?
無いわ。あるとしたら○○が弱点よ。

――ご主人のことは普段何とお呼びで?
「あなた」、かしらね。
○○自身もそう呼ばれるのがイイみたいだからそう呼んでるわ。
外では名前でも呼ぶわ。○○、ってね。

――えーと、普段の生活の様子などを教えて欲しいんですが
ええ、そうね。まず朝からかしら?
朝は彼が起こしてくれるのよ。けっこう早めの時間にね。
やさしく身体をゆすって起こしてくれるの。私の名前を呼びながらね。
それでも起きない「フリ」とかをすると困った顔で固まっちゃうのよ。かわいいでしょう?ね?
寝ぼけた「フリ」で朝から抱きついてやったりすると朝から面白いものが見れるのよ?
でも時々あっちもお目覚めのキスとかしてくるからおあいこよね。
――朝からずいぶんとお熱いんですね。
愛に時間は関係ないのよ。

起きると朝食が用意してあるの。朝は毎日オムレツよ。私がそうさせてるの。
あとは牛乳かしら。あとは私にだけ果物とか。彼は果物苦手なの。
まあ、そんなとこかしら。毎朝そんなものよね。
ちなみにケチャップはデルモンテのじゃないと使わないことにしてるの。カゴメケチャップなんて論外だわ。
で、ね、彼に毎朝作らせてると、やっぱり上達するものよね、彼の料理、とてもおいしいのよ。
今度食べにこない?
――ははは。

食べ終わったら着替えかしら。・・・流石に着替えは旦那には手伝わせてないわ。
でも着替えは○○が用意してくれるの。私が起きる前に。いいでしょう?
貴方が媚びを売るために開口一番に褒めたこの服もあの人のセンスなのよ?
――あややや、本当ですか。
今日の青いのもカワイイわよね?あの人ったらいい趣味してるわ、ねえ?
うふふ。
で、その後は顔を洗ったり歯を磨いたり・・・ここらへんは別にいい?そうね。
お洗濯物を干すのは二人一緒にやるわ。私がカゴから出して、旦那がそれをかけるの。
他愛ないおしゃべりをしながら、ね。
あの人ったらどんな魔法を使ってるのかしら?私を暇にさせないための話をいくつでも持ってるのよ?
――仲むつまじい新婚夫婦、といったカンジですね。
カンジ、じゃなくて「仲むつまじい新婚夫婦」なのよ?
結婚してから200年は経ってるけどね。

お洗濯が終わったら、愛する旦那様の見送りよ。
――ご主人は仕事をなさってるんですか?
そうよ。人里の花屋で働いてると言ってたわ。私に合わせてくれたのかしら?
玄関を出る前に軽くハグして、で、私は手を振るのよ。
私だって「いい奥さん」だもの、旦那のネクタイくらい直すわ。
わざと旦那の背広に糸クズとかつけておいて、わざとらしく取ってあげたりとかね。
――定番の「行って来ますのキス」とかはしないんですか?(ニヤニヤ)
…してもいいんだけど、ねぇ?
…してると一回じゃ満足できなくなっちゃうじゃない?
もっとあの人が欲しくなるじゃない?
そしたらあの人がお仕事に行けないじゃない。だからできないのよ。
――・・・はあ。

本当は人里まで飛んで送っていってもいいんだけどね、私怖がられてるから行けないのよ。妖怪だし?
――そういえば、これは私どもの調べですけど、結婚なさってからずいぶん人間に対して友好的になりましたね。
別に私はそんなつもりはないんだけどね、○○と一緒にいるとつい上機嫌になっちゃうじゃない?
それだけよ。そういうことよ?
稗田の子も私の評価を見直すって言ってたわね。これいいことなのかしら?
○○が喜んでくれるのなら、これもいいことなのでしょうね。

――で、その後は何をしてらっしゃるのですか?
その後?普通よ普通。妖怪としての普通よ。
えーとね、あんまり言いたくないんだけど、お昼寝・・・とか?
…ちょっと!あーもう!だから言いたくなかったのよ!私がお昼寝したいって言ってるんだからいいでしょ!
もう!

――お昼は旦那さんがいらっしゃらないのでお一人でしょうか。
そうね。お昼は自分で作って食べるわ。
私だってけっこう作れるわよ?女の子だもの。
彼に教わった料理がたくさんあるの。お好み焼きだとか、野菜炒めだとか、またオムレツ作ったりとかね。
――・・・ぜんぶ「混ぜて焼くだけ」じゃないですか。本当は苦手なんですか?料理。
何?「向日葵畑の肥料にしてくださいお願いします」?
もう一度言ってごらんなさい?痛くしないであげるから。
――ごめんなさい命だけは。

お昼を過ぎてからは基本的に適当よね。
花の世話をしたり、神社に行ったり、あとは適当な妖精でも見つけて殺してみたり、ね。
あ、お洗濯は取り込むわよ。私が。
ねえ知ってる?男の人のシャツとかを取り込む時とかは注意しないといけないのよ?
少しでも顔に近づけると○○のにおいがふわーってしてきて
もうそのままくらくら、っと。ね?ウフフ。
――あなたも変わりましたねぇ

あとは、時々アリスが遊びに来るわ。
――アリスさん、ですか?
そう。あの人形の子ね。私、昔からの知り合いで仲がいいのよ。あの子の母親とだって面識あるわ。
つまりお友達なの。あの子が本気を出せば実力だって同じくらいだし。一緒に居て楽しいのよ。
あの子が来るときは大抵人形を二、三体はつれてくるわね。名前はわかんないけど・・・
ちょこまか動いてうざったい時もあるけどお花を好いてくれてるの。悪い子じゃないわ。
あと、アリスが来たときは毎回紅茶なんだけど、紅茶は毎回アリスに入れさせるの。
どうしてだと思う?
――どうしてですか?
アリスの方が紅茶を入れるのが上手いからよ。
悔しいけれどそういうところは負けてるのよね。女として。

適当におしゃべりしたり弾幕で遊んだりしてるとあの人が帰ってくるわ。
アリスが来てない時は真っ先に玄関まで行って抱きついてやりたいんだけどそうも行かないわ。
威厳?違うわ・・・カッコつけ、よ。
アリスは旦那とも仲良くしてくれるし、三人でおしゃべりね。
あと来客がある時はあの人がお菓子を作ってくれたりするわね。
――お菓子も作れるんですか。
ええ。あの人、けっこう料理とか好きみたいで。それでけっこう手が広くて。
私の旦那に相応しいわよね?ウフフ。
特においしいのがアレね、クリームビュリュレ?ん?
…クリームブルリェ?
クリーム・・・クリームb
――「クリームブリュレ」、ですか?
…こほん。
特に洋菓子がおいしいの。
洋菓子よ!わかった?今のところ新聞に載せたら山ごと消すわよ。
洋・菓・子・よ!

適当な時間にアリスが帰ったあとは晩御飯かしら。晩御飯は一緒に作るのよ?
その日によってメニューはまちまちだけど、昨日は茶碗蒸しだったわ。
――洋食かと思っていました。和食ですか。(というか、また卵料理・・・)
和食でも洋食でもなんでもイケるわ。あの人、最近は紅魔館の門番に教えられた外界の料理に凝ってるとも言ってたわ。
で、これがおいしいのよ。ねえ料理が得意な男性って素晴らしいと思わない?ね?
でもそんな男性の中でも一番素晴らしいのは私の旦那だって胸を張って言えるわ。
それに、愛は最高の調味料、って言うじゃない?
ウフフ。

あとはお片付けして、その後は一緒にお風呂に入るわ。
――ほう。お風呂お風呂・・・
…何よその「予想が的中したからこんなにニヤニヤしてます」みたいな顔は。咲かすわよ?
もう「お風呂は一緒に入るモノ」っていう構図ができちゃってるから変えられないのよ。
彼にね、バスソルトだのシャンプーだのは全部用意させるの。いい香りがする奴ね。
それでお湯と、あの人の肌の暖かさを感じるひと時。
幸せ、ね。
――・・・
あら、あなたの顔が「正直羨ましくて笑ってられません」っていう微妙な顔に変わったわね。
かわいいわね。
バスタブの中では○○が私を抱きかかえるような形で入るのよ。
私が背中を預ける、とも言えるかしら。
この大妖怪・風見幽香が背中を預けるなんて後にも先にも○○だけよ。
身体を洗う時は私が最初に○○の背中を流してあげるのよ。愛を込めて。
その後私の髪を洗わせたりするわ。女の子の髪を弄らせる、って愛こその行動よね。
ねえ、羨ましいでしょ?顔がどんどん曇ってるわよ?
ウフフ・・・クッキーでも食べなさいな。おいしいわよ?

あとは晩酌をしたり、しなかったり。
あらお酒の話になったら目の色が変わったわね。あなた現金ね。
――いやあ、それほどでも。
でも私、お酒弱いのよ。上等のワインとかを吸血鬼の子に貰ったときとかも一杯頂いてからは覚えてないわ。
お酒を飲んだ次の夜はどことなくあの人が疲れてるように見えるの。だからあんまり飲まない、わね。
そもそも好きじゃないというか・・・
あ、今のも新聞に書くことは許さないわ。書いたら貴方の上司やら部下やらがみんなきれいなお花になるわよ?
…にしても、あなたもけっこう聞き出し上手ね。
――勝手に言ってもらえてるので助かってるんですけどね

――さて、その後ですが・・・
ん・・・その後も聞くの?
そうね・・・え?寝巻き?下着にシャツよ。
彼はけっこう子供っぽいのを着てるわ。と言っても私が結婚200周年記念に最近贈ったものだけど。
あの人が気に入ってくれてるから、いいのよ。
その後は・・・ねぇ?
手?繋がないわよ?
その変わりお互いに抱きしめあうの。
冬でも寒くないわよ?あの人の方が少し背が高いから、私が胸に顔をうずめる形になって・・・
よく眠れるの。愛する人の温かさ、いいわよ。

え?そういうことじゃないって・・・あー。
そもそもそんなこと新聞に載せられないでしょう。落ち着きなさいな。
でもね、いい事教えてあげる。あの人ふだんはおとなしいけど、ベッドの上じゃ一変するのよ?
夜にはケダモノになっちゃうの。オスの顔つきになるのよ?
それで私も身を任せて・・・ね?
それにあの人ってけっこう変態的なプレイの方が興奮するのよ?たとえば・・・
こう、胸を寄せてぐりんぐr
――あや、あややややややややや
うふふ。
あなたも早くイイ人を見つけなさい。きっとイイ人が現れるから。
ね?楽しみでしょう?
私は実際に今の生活が楽しいし、とても幸せ。
羨ましい?
でしょう?

――ご協力ありがとうございました。
ええ、お粗末様でした・・・かな?ふふ。
――いい旦那さんを捕まえたんですね。
あら、食虫植物みたいな事言わないでくれる?
私と○○は惹かれあうべくして惹かれあったのよ。
運命かしら?吸血鬼の子の能力かしらね。
でも運命と呼ぶにはちょっと残酷かもしれないわ。
○○のことしか考えられなくなっちゃうなんて、一種の呪いよね。
…あら、結構時間経ってるわね。こんな時間・・・
帰っちゃうのかしら?
――はい。後日またご主人にお話をお伺いしようと・・・
あら、そう。いいんじゃない?
取材じゃなくても遊びに来てもいいのよ?今度いらっしゃいな。
私と○○のイチャつきっぷりを見せ付けてあげるわ。
――・・・言ってて恥ずかしくないんですか
…ちょっと。

――最後に。
あら?何かしら?
――「ご主人をどう思ってますか?」
あら・・・
ん。
えー・・・
「私、風見幽香は、○○を誰よりも愛しています」
…こんなのでいいかしら?いいわよね?
これが本心だもの。何も飾らない、私の本心。
さてこれでお開きね。気をつけて帰りなさいね。
夜は怖いわよ?独り身の女の子には・・・ね。
またいつでもいらっしゃい。待ってるわ。
――はい。ああ、あと、いいですか。
何?
――・・・クッキー、もらっていいですか。
ああ、はい。
どうぞ。
おいしいわよね、コレ。
またね。











 ・○○サイド
「続・特集!本紙初登場の向日葵妖怪の夫を徹底取材!」

――本日はお忙しい中時間を割いていただき・・・
幽香から聞いています。なんでも、貴方の新聞のおかげで周りが幽香を見る目が変わったとか。
新聞の効果ってすごいですね。大変なお仕事をされてるんですねー。
――あやや、これはどうもどうも。
さて、早速俺にも何か聞いたりしちゃうのかな?
――それでは早速お願いします・・・

――お名前を。
幻想郷最強の妖怪の夫○○です。
――ご趣味は。
料理かな?お菓子作ったりとか
――弱点などあったら教えてください。
…性的な意味で?
――もう結構です。

――奥様のことは、なんとお呼びで?
ん・・・「幽香」かな?
でも昔は「ゆうかりん」って呼んでたんだけどね。
まあでもやっぱり「幽香」かな?
――かわいい呼び方ですねぇ、「ゆうかりん」って。
そんなこと言ってると嫁に怒られちゃうよ。
「俺以外の人がそう呼ぶのは許さない」んだって。
――難しい人ですね。
人じゃなくて妖怪です。

――普段の生活の様子などを教えていただければ。
ああ、そうだね。まずは朝からだよね。
幽香より少し早く起きて、起こさないようにそっとベッドから抜ける。
毎晩幽香に抱きつかれてるからね。でも不思議と寝苦しくないんだ。
朝ご飯は毎日オムレツなんだ。幽香から聞いたかな?
カーテンを開けて、ご飯を作ったら幽香を起こす、んだけど・・・
正直、文ちゃんとか他の人って、みんな幽香の事「怖い」って思ってるでしょ?
――はい。
そうでもないんだな、これが。
起こしに行くと子猫みたいな寝顔ですぅすぅ眠ってるんだよ。
自分が言うのも何だけどすごくかわいいの。なんかね。
でもずっと幽香の顔を見てニマニマもしてられないからゆすって起こす。
…ゆするだけだよ?何か幽香が変な事言ったかな?んー・・・

いただきますの挨拶は二人一緒だよ。その後は適当に喋りながら食べるね。
幻想郷は広しと言えども、まさか大妖怪風見幽香が楽しそうにオムレツに俺と幽香の名前をケチャップで描いて、
その上二人の名前の間にハートマークを描くのを見れるのなんて俺くらいなんだろうなぁ。
俺もいつのまにか随分すごい人になってしまったのかもしれない。
…これを写真に取ったらいろんな意味でスクープになるんじゃないかな?
――あの、隠しカメラの位置についてお話しませんか?
だめです。
なんで?って・・・こんなかわいい幽香は俺が独り占めしたいからね。ごめんね。
幽香は俺のものなんだよ。へへ。
――(似たもの夫婦・・・)

あとは洗濯とかした後、仕事に行きます。人里の。
聞いた?人里の花屋でアルバイトさせてもらってるんだ。
最初は困ったよ。隠してるつもりはないけど幽香の夫だってバレるとすごいオーバーリアクションをとられるからね。
「えぇ!?あの大妖怪風見幽香の・・・旦那ぁぁぁぁぁ!?」ってね。みんなこんなかんじ。幽香って結構有名だよね。
俺も妖怪呼ばわりされたりもするけど、そういうの全部弁解して回るんだよ。
辛い、とは思わないね。
幽香の夫なら当然じゃない?ね。
花屋のご主人と奥さんとがいて、俺はもっぱら雑務ですかね。
意外と花屋って力仕事なんですよー。
――と言っても、「人間にとって」力仕事なんですよね。私達妖怪なんで。
…妖怪を相手にするのは骨が折れます色々と。

花屋を選んだのは、単純に幽香が喜んでくれるかな?って理由だったけど
幽香と過ごしたり、花屋で花に触れたりしてる間に、自分の力に気づいたんだ。
自分の能力に、ね。
――あやや、本当ですか?初めて聞きました!
俺も初めて言いました。なんだか言うのも恥ずかしくてねー。
えっとね、それで俺の能力なんだけど、単純な事でね、
「花を元気にする程度の能力」なんだ。
ただ、それだけ。
俺が世話したりすると、なんだかお花が元気になったりする。だけ。
たとえばここに折れて見るからに元気の無い向日葵があったとするじゃない?
そういうのに俺が手をかざすと、なんだかツヤが戻ったり折れた所がふさがったり。
ある時いつか気づいたんだ。ん、いや気づかされたんだっけ?紫さんあたりに。
もしかしたら紫さんに何か弄られたかも。そういう人だから・・・
でもこの能力のすごいところはここからで、ね、単純に考えて、
幽香の能力とすごく相性がいい。トマトのサラダにモッツァレラチーズみたいな。わかりづらい?
やっぱり幽香の夫としてあるべきところに落ち着いたんだろうなって思うよ。
だから最近、幽香性格変わったでしょ?
いいことです。いいこと。
――これはスクープになりますかね?
微妙です。

花屋の奥さんがすごくいい人でね。綺麗だし優しいんだ。
時々俺に煮物とかくれたりするの。いい人なんだ。
でも浮気する気は全く無いんだ。なんでだと思う?
――なんでですか?
俺はそれよりも素晴らしい人の旦那だからね。
浮気のし様が無いってのも罪なモンだよねぇ。
――(やっぱり似たもの夫婦・・・)

――お仕事が終わったら?
そのまま家に帰るね。
でも変える途中に白黒に連れ去られたりいきなり足元にスキマが開いたり
自分の周りだけ音が消えたりするから正直帰るのも大変なんだ。
無事帰れても扉を開けると幽香が飛びついてきたりするしね。
俺も結構苦労してるんです。

――アリスさんとはどんな関係で?
友達です。(キリッ)
まあ友達なんです。嫁の友達ってことは俺も友達って言っていいのよね?
よくうちに遊びに来てくれてるのよ。嫌なんてことは全く無いね。
俺が仕事してる時によく幽香の暇つぶしに付き合ってくれてるみたいだから有難いです。
それにほら、彼女、キレイだからね?
考えてもみなさい、仕事から帰ったら美女が二人待ってるんだぜ?
花だろ?俺、花だろ?

人形で言うとオルレアンちゃんが好きかな。何がって名前の響きがね。
っていうのをいつだかアリスさんの前で言ったらその日以降ずっとオルレアンちゃんをつれてくるようになったね。
そのせいでオルレアンちゃんも俺に懐いてくれたみたいで。
このクッキーをよく食べてちょこんと座ってるよ。
――これですか?
それです。よかったらお一つどうぞ。
――頂きます。

あとはご飯とか、かな?
幽香に夕食は手伝ってもらうんだ。お皿を取ってもらったり、調味料を取ってもらったり。
思いつかない時に献立を決めてもらったりもするな。
――直接料理にはかかわらないんですか?
…何か言うと幽香がすぐ飛んできそうだから聞かないでね。
――はい。

――あの、お風呂についてなんですけど・・・
恥ずかしいからパスしちゃダメですか?
――ダメです。
…えー、と、お風呂は二人で入ります。
二人で軽く身体を流してから、かな。
俺が入ってから、その間のスペースに幽香が入るみたいな・・・
――他には!何か無いんですか!バスソルトとか!
何この誘導尋問怖いです僕もう寝ていいかしら。
あ、好きな温泉の元は「旅の宿」シリーズです。
…何その「はあ空気読めない人を相手にするのは疲れるわー」みたいな顔・・・

――幽香さんはお酒に弱いそうですが。
そうなんです。私の妻はお酒に弱いんです。
少しワインとか飲んだだけでくたーってなっちゃうんですよ。ホント。
俺が飲む時には付き合ってもらうけどなんだか申し訳無い気もするよね?
それに酔うと抱きつき癖が出るんです。幽香。
向かい合って飲んでたはずなのに気づいたら横から抱きつかれてたり。
お姫様だっこをせがまれたり・・・とかね。
――ははあ、カワイイですねえ。
カワイイですよ。

――さて残るは一つになりましたが。
ああ、睡眠ですかね?
――微妙に違うと言ってもかまいませんか?
えー・・・

えっとねえ、じゃあコレだけ言うけど
いつもは強気な幽香だけど、ベッドの上ではおとなしいんだよ?
おとなしいというか可愛らしいというか、見た目どおりの年頃の女の子みたい。
だから俺もちょっとばかり張り切っちゃって・・・
――あややや。

――ご協力ありがとうございます。お疲れ様でした。
はい。お疲れ様でした。色々疲れました。
何か飲む?といってもトマトジュースくらいしかなかった。ごめんね。
これも記事になったりするのかな?
――ええ、明日の新聞をお届けします。待っててくださいね。
なんだか恥ずかしいねコレ。明日は起きなくていいか。
ははは
――最後の質問いいですか?
何でしょう。
――「奥様をどう思ってますか?」
定番の質問ですね。来るとは思ってました。
いつでも答えは変わりませんけどね。
えーと、そうだな、どうしようか、
せっかくだから大声で言ってみようか

幽香ー!!!俺だー!!!!愛してるぞー!!!!!!!!!!!!1

ふう。
以上!
――ありがとうございました。
お粗末!







 ・アリスさんサイド
「ここで読者のAさん(魔法の森在住・年齢不詳)に感想をお聞きしました!」

――○○さんについての質問があるんですが。
「○○と幽香について」の間違いでしょう?
これ私に答える義務とかあるのかしら。帰ってくれない?

――正直な話をお伺いします。○○さんの事、好きですよね?

好きだ、って言っても何も変わらないでしょう?
私と幽香が仲がいいってのは知ってるわよね?
もうね、本当の事を言うと、最初に○○を好きになったのは私なのよ。
どことなく気さくで親しみやすい彼に最初に惹かれたのは、私なの。
私も柄にも無くアピールとかしたわ。もちろん告白だって。幽香には悟られないようにね。
幽香を出し抜いて、って言ってもいいわね。
○○を取られるのが怖かったもの。言わなかったわ。
でも○○は私の想いを断ったの。彼なりの言葉で。
そして「幽香が好きなんだ」なんて言い出すんだもの。どうしようかと思ったわ。
私にそんなこと言って何がしたいのかわからなかったもの。
――色々、あったんですね。
まあね。ま、その後よね。幽香と○○が恋仲になったのは。
だからって私は引くこともできずに、「友達」って位置で自分を保っているのよ。
私はこれで満足してるけど・・・私って甘いわよね。
まだ○○が好き。
それでもどっちつかずの位置に甘んじて・・・私ったら、何がしたいのかしら。
でも不思議ね。○○と幽香の笑顔を見てると、本当にこの二人はお似合いだなって感じるの。
似たもの夫婦だなって思ったりしなかった?そう。やっぱり。
私の仲のいい人と、私が好きになった人が幸せなんだからそれでいいじゃないか、って思ったりもするの。
…甘いわよね。何言ってるんだか。・・・本当に甘いわ。
○○の良く作ってくれるクリームブリュレ並みに甘いわ。
――あやや、言えましたね。
え?何?




 ・オルレアンさんサイド
「怪奇!喋る人形の謎!」

――(アリスさんに「せっかくだからオルレアンにも何か聞いてみたら?」って言われたけど)
――(どうすればいいのかしら・・・)
オルレアーン
――あ、ああ、おるれあーん。
オルレアーン




 ・ゆかりんサイド
「その時!特派員を襲う謎の亀裂!特派員の運命やいかに!」

――今日は取材の予定は無いんですが。
あら、そんなことは百も承知よ。
そんなことより知ってる?○○って利き手は右だけど自分を慰める時は左手使うの。
と言っても幽香が毎晩求めるから慰める機会なんてあんまりないみたいだけどね。
あら、これを「右投げ左打ち」って言うのはどうかしら。左手はバットに、て意味で。
――あのー、そろそろ帰っていいですか。
ダ・メ・よ。きっと幽香も知らないわよねこんな事。
ねえコレスクープにならないかしら?
――なりません。


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新ろだ395


 黄色いじゅうたんが広がる太陽の畑。

 ここは○○の恋人である風見幽香、自慢の向日葵畑だ。

 ○○が顔を出すと、すぐに幽香が笑顔で迎えにくる。

「ごきげんよう○○、今日もいい天気ね」

「やぁ幽香。今日はコレを持ってきたんだ」

 そういって○○は背中に引っ掛けていた麦藁帽子を取り出した。

 以前○○が被っていた麦藁帽子を幽香が「私もおそろいの帽子がほしいわ」と言っていたのでわざわざ仕入れてきたのだ。

「あら…嬉しいわね」

 ○○の前ではいつも笑顔が絶えない幽香だが、今日は一層笑顔に輝きが増した。

 麦藁帽子を受け取ると日傘をパタリと閉じ、帽子を被る。

「どう?○○、似合うかしら?」

 幽香はその場でクルッとターンをする。その拍子にスカートがふわりと風に乗って広がるしぐさがとても可愛らしい。

「うん、似合っていて、とても可愛いよ」

「ふふふ、これってあれかしら?ペアルックね?うん」

 少し頬が赤くなりつつも、太陽の笑顔を○○に向ける乙女がそこにはいた。




 風見幽香、○○の恋人である。

 アルティメットサディスティッククリーチャーだの幻想郷一のジャイアニズムだの呼ばれているが、○○の前ではこんなものである。

 恐ろしきは恋する乙女という奴だろう。

 今では自他ともに認める恋人同士という事になっているが、そこに到るまでの経過には沢山の山あり谷ありがあったが、そんな些細なことは誰も聞きたいとは思わないだろう。

 しかしあえて例をあげるとしたら、宴会の時に○○がぽろりと零した「幽香がすきなんだ」発言に沸き立つ群衆。

 野次馬根性むき出しで幽香に振り返ると真っ赤なりんごがそこにあり、「私も…○○のことが…」なんて。

 それを見たどっかの加齢s(スキマ送りになりました)などは冬でもないのに泡吹いてぶっ倒れ、三日三晩うなされたとかどうとか。

 それほどありえない光景だったらしいが蛇足である。

 今は○○と幽香のウザイほどラブラブな空気が少々向日葵に悪影響がありそうなくらいである。




 さて、そんな砂糖生産工場は一時停止して○○について少し語ろう。

 といっても中二病な能力があるとか、白髪でオッドアイとかいうフザケタ設定はない。

 もちろん名前もごくありふれた名前だ、決して普通の日本人にはありえない様な、難しい漢字の名前など持ってない。

 幻想郷に迷い込んで、そのまま住み着いた普通の外来人。

 外では少々田舎住まいで畑仕事を手伝っていただけの学生。

 しかし趣味の野菜作りが自然と仕事となり、安定した収入、豊かな食生活が望めた。

 外の知識を活用した土いじりで美味しい野菜は里でも評判になり、その経過で幽香と知り合いになった。

 草木を育てれば自然と花も咲く。

 花が咲けば幽香が見にくる事もある。

 会えば自然と会話をする事もあり、そんな交流から収穫された野菜を幽香に譲ってあげる事もある。

 そしてお礼として幽香がお弁当を作ってくるという、他の面々が見たらあごが外れるほど口を開けて仰天する様な場面もあった。

 それはきっと二人が惹かれあうのは当然の結果という事だったのだ。


 いつしか○○が畑仕事をしていると幽香がそれを教わり、たどたどしい手つきなれど手伝うという流れができていた。

「畑仕事をするなら軍手をしないと」

 素手で芋などを持つのは幽香が平気でも、見ている○○が心配なのだ。

「こーりんの所から長靴を貰ってきたよ、多分幽香の足のサイズと同じだと思う」

 最近になって太陽の畑の近くに田んぼの開墾をした、そして幽香も田植えの手伝いを買って出たが、靴が無く遠慮したのだ。

 私も手伝いたいと少し拗ねる幽香のために長靴を購入した。


 そして月日がたち、気が付けば幽香のいでたちは麦藁帽子、日傘の代わりに鍬を持ち、軍手をはめ、長靴を履き、誰から見ても<のうかりん>であった。

 しかし、そこには汗が輝きを放ち、常に太陽の笑顔が浮かんでいた。

 ○○と出会う前の幽香と比較するとかなりの変貌を遂げていたが、愛する○○と寄り添うその姿はむしろ美しくなったと人は言う。



 ただし、一昔前の幽香を知る者は、その異様な光景を見るとひきつけを起こすほど驚愕するらしい。特に虫の王とか。




「今年も豊作ね!」

「うん、この野菜は俺達二人の愛の結晶だからね、きっと今年も最高に美味しい野菜だよ」

「腕を振るって愛情一杯の料理作るわ」

「ありがとう幽香。愛してるよ」

 そして近づく二人の影。

 それを見ていた新聞記者は今日も痙攣しながら砂糖を吐いていた。





















──────────────────────────

うん、ごめん。リアルのうかりんを書きたかったんだ。

ただそれだけなんだ。

でも幽香はきっと恋したら、とても素直でちょっぴり従順な所があると思ったんだ。

可愛いよね、ゆうかりん。 

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新ろだ423



○○は―――気付いてしまった。
彼女を、幽香を愛せない事に。

愛せないというのは、不可能という意味ではない。
愛してはいけないのだ。
ここ最近幽香と親しく、恋人のように一緒にいる。
手を繋いだり寄り添ったり、とだ。
幽香に告白しようかとも思った。
そしてその後の二人の築く家庭をも想像した。
そこには問題があった。
幽香と○○は寿命が違いすぎた。
○○は幽香に人間になってほしいとは特に思っていない。見てみたい気もするが。
自分が妖怪になるならまだしも。
吸血鬼?いや、それだと一緒に日の下に出歩けない。
魔女?いや、普通魔術を極められるのに何年かかるだろうか。
残るは蓬莱の薬…いや、不老不死になりたいわけではない。
だから、このまま想いを告げずにいるのが二人にとっての幸せだと、気付いてしまったのだ。
でも、もし妖怪になる方法があったとしたら…幽香は…



幽香は―――気付いていた。
自分が、○○を愛してしまった事に。

○○が好きだ、言葉に出来ないほど好きだ。
彼になら何を捧げてもいいと思った。
しかし、一つ問題があった。
そう、寿命が違いすぎるのだ。
幽香は○○に妖怪になってほしいとは思っていない。ありのままの今の○○が好きだからだ。
自分が人間になるならまだしも。
最近、というよりも○○に恋心を抱いてから、人間を食べた事は無い。
怖いのだ、人を食す事が。
妖怪から人間になる方法なんてあるのだろうか。少なくとも今までに聞いた事はない。
あの大魔女なら何か知っているかもしれない、今度聞いてみよう。
しかし人間になってしまったら不便な事が色々とあるのではないだろうか。
今まで自分に恨みを持っていた者が、それを機に攻め込んだりしてくるだろうか。
負ける気はしない。しかし、○○を巻き込みたくはない。
やはり人間を愛するなんてダメなのだ、愛してはいけないのだ。自分の心に自制をかけねば。
でも、もし人間になる方法があったとしたら…○○は…


「止めるだろうか…」
「止めるのかしらね…」


幻想郷に、二人の溜め息。好きになった方の負け。お互い負けで引き分け。
二人の歯痒い関係は、もうしばらく続くようだ。


最終更新:2010年06月16日 23:40