小町3
>>498
「…しかし…なんでまた彼岸花が増えてるんだろうね…」
思わず愚痴をこぼしてしまう。
彼岸花が増えている…つまり幽霊が増えているって事だ。
「ハァ…また仕事が増えるのかい…」
以前にもこんなことがあり、あたいはその事は知らずに普通のペースで仕事をしていたので、映姫様に怒られてしまった。
今回はしっかりやらないとね…
「さて……ってあれは?」
よく見ると彼岸花をじっと眺めている人間の男が居た。
何がうれしいのかニコニコしながら彼岸花を眺めている。
…なんだか、腹が立った。
生き物の死をそんな笑顔で見るなんておかしい。
「おい、ちょっとそこのお前!」
「ん?なんだい?」
その男は彼岸花から目を離さず返答した。
「アンタはいったい何をしているんだい?」
「見てのとおり、彼岸花を観賞している」
「何だってそんなことを?」
「ん?いや、きれいな花だなぁって」
男はそう言うといきなりスケッチブックを取り出して絵を書き始めた。
「花の命は短いからな…」
……なんだ、この人間はどうやらこの彼岸花には幽霊が取り憑いているという事を知らないのか……
ただその彼岸花が綺麗だから写生をしているようだ。
「アンタ、花を見るのが好きなのかい?」
「いや、僕は綺麗なものを見るのが好きなんだよ」
「ほぉ……で、それを絵に残すのも趣味なのか」
「趣味……と言うよりは使命……かな?」
「使命?」
「うん、形あるものはいつか滅びる。だから滅びる前に記録に残しておくべきなんだ」
「で、アンタはその記録を絵でやっていると」
「そんな感じかな」
……なんか、いい人なのかな?コイツは…
「アンタ、名前は?」
「僕?○○って言うんだけど……貴方は?」
「あたいは小野塚小町って言うんだ。この無縁塚で死者の渡しをやっている」
「なるほど、これからもよろしく」
「ああ……って、これからもって……」
「僕は絵を描くのに最低でも3日はかかるんだ。たしか最長で……一週間ぐらいだっけ?」
「……それって……」
「うん、毎日ここに来るから」
「……はぁ」
どうやらこれから一週間、気苦労が多くなりそうだ……
……さて、今日のところはこれでいいかな。
で、アイツは……何をやっているんだ?
「アンタ、何で描く目的である彼岸花に背を向けて絵を描いてるんだい?」
「ん?いや、彼岸花よりも綺麗なものを見つけたからそっちを描こうかなって思って」
「……ずいぶんと飽きっぽい性格だね……で、その綺麗なものってなんだい?」
「うーん……秘密」
「ハァ?」
「だって言っちゃったら小町が……いや、なんでもないよ。とにかく秘密だ」
「あたいが……なんだって?」
「ほらほら、いい加減に仕事に戻ったらどうなんだ?また閻魔様に怒られるぞ」
「いや、今日の分は終わったからいいんだ。それよりもお前の描いている絵のほうが気になる」
「……今日はここまでにするか」
言うが早いが○○はさっさと荷物をまとめてしまい、ダッシュで帰っていった。
……逃げられたな……
そんなに見られたくないのかね?よく分からないや……
まぁ、完成したら見せてくれるだろう。
「小町!何をやっているのですか!」
「きゃん!え、映姫様?」
「まだまだたくさん霊が残っているでしょう!どうして渡さないんです!?」
「い、いや…今日はこの辺で…」
「ダメです!少なくともあと百人渡しなさい!いいですね!」
「そ、そんなぁ…」
そんなこんなで一週間、アイツは……未だに描いている。
いい加減完成しないもんかね?絵は描いたこと無いから分からないが。
「よし!完成だ!」
おっ、ようやく完成したらしいな。よし、見に行ってみるか。
「ようやく完成したのか。どれ、見せてくれ」
「あっ、小町……ああ、いいよ。見てくれ」
なんだ?突然顔を赤くして?
「そういえばタイトルは?見る前に聞いておきたいんだが」
「タイトルは……『想うは貴女一人』かな……」
ほぉ……つまりこの絵には○○にとっては特別なものなんだな。
さて、どれどれ……
そこには……
あたいの姿があった……
……彼岸花をバックに、あたいの姿が描かれていた。
「……これは……どういうことなんだ?」
「まぁ、つまりはその通りだよ。小町、僕は君を……愛しているんだ」
アイツが真っ赤になって告げる。
あたい自身も顔が真っ赤になっているのが分かる。
「僕はあの時、彼岸花や紫陽花より……いや、無縁塚中のいろんなものより、貴女が一番綺麗に見えた。そして僕は生まれて初めて、恋してしまったんだよ……」
……まさか…描いている"綺麗なもの"があたい自身だったとは…
「小町、こんな僕だけど……貴女を一生幸せにしたい。僕と……付き合ってくれないか?」
「……いいのか?」
「え?」
「こんな…仕事不精でドジでダメなあたいだけど…本当にいいのか?」
「……そんなの関係ない」
そう言うといきなり○○はあたいに抱きついてきた
「きゃん!な、何をして……」
「貴女がどんなに仕事不精でドジでダメな死神でも……僕にとっては愛すべき存在なんだから」
「○○……」
「もう一度言う、僕は貴女を愛している、だから付き合ってくれないか?」
「……ああ、喜んで!」
あたいはそう言うと○○の体を抱きしめ返した。
あたい達の恋物語が……プロローグを迎えた。
Fin
───────────
後書き
どうも、久しぶりの投稿になります。
今回は主人公視点ではなく、小町視点にして見ましたがどうでしょうか?
……締めの言葉がなんだかイタイですが、他に思いつかないんですよね……
────────────────────────────────────────────────
3スレ目 >>865
「全然釣れねーけどマジで釣れんの?」
「なに?あたいの言うこと信用できないの?」
「もう3時間も釣れてないんだぞ?」
「そんなこと言ったってアンタの腕が悪いんでしょ」
「下手も糞も俺初めてだぞ!」
「ふん、知ったこっちゃないね!もう1回投げてみれば?」
「言われるまでもねーよ!――どるぁ!!」
「きゃんっ!?」
「ん?なんだあ?」
「ちょ、引っかかってる!スカート!!早く針外せバカ!!」
「ああ?なんで釣りにスカートなんだよ!」
「うっさいバカ!早く外せって!」
「わーったよ」
「やだ、引っ張んな――」
「ピンクのストライプ」
「見んなこのバカー!!!」
───────────────────────────────────────────────────────────
4スレ目 >>512(うpろだ0031)
「うーん、今日も酒が美味いっ!」
「これで明日も頑張れるってもんだ。」
夜雀の屋台で酒を酌み交わす男女。
その表情は凄く晴れやかなわけで。
「いやー、仕事の後の酒は一番美味いね!」
「そういうこまはサボってばかりだろ?」
「言ってくれるねぇ。でもあたいはちゃんとノルマは達成してるよ?」
「俺が来るといつも仕事そっちのけでついてくるじゃないか。」
「あー、あれは休憩中にお前さんがくるからさ。」
「ほんとかー?」
「本当だともー!」
頬をぷぅと膨らませてむくれるこま。その表情に可愛さをちょっと感じてしまう。
しかしそれよりおかしさがこみ上げ、
「あはははははははは」
「あー!笑うなー!」
俺は森近さんの下で店の雑用だの何だのを住み込みで手伝っている。
無縁塚あたりから商品になるものを回収するのも仕事の一つで、その場合いつも彼女――
小野塚小町がついてくる。
ある日の仕事終わりにこの屋台で一杯引っ掛けた時に常連だった彼女と意気投合して以来の付合いである。
「んー、そろそろ御勘定頼むよ。」
「えー?もう一杯飲もうよー?」
「ダメだ。もう泥酔状態じゃないか」
「ぶーぶー」
こまがふてくされてる間に夜雀に支払いを済ませる。
熱燗一本で銀銭2枚と銅銭50枚。森近さんもこまも言うには良心価格なんだそうだ。
「さーて、それじゃこの小町さんがお前を送ってやろう。」
夜は妖怪に襲われやすいそうで、いつも帰る時はこまが送ってくれている。
しかし今日のこまは飲みすぎた。こんなんじゃ逆にこまが危ない。
「いやいや、今日は遠慮しておくよ。そんなにふらついてちゃ危ないだろう?」
「いーや、大丈夫!こまっちゃんに任せなさーい!」
「ほら、今日は俺が送ってやるよ。」
「酔ってにゃい~!」
ハラヒレなこまを無事家まで送り届け、俺は家路を急いだ。
無防備だから捕まるわけにはいかないのだ。
「泊まっていけなんて言ってたけど、女の子の部屋に泊まるなんて恥ずかしいしな。……ん?」
気付くと周りはとっぷりと真っ暗だった。しまったこれでは道が分からない。
どうするか思案していると、突然右腕が激痛に襲われた。
間髪入れずに左腕と両足にも痛みが走る。
しまった闇討ち――気付いた時にはすでに遅く、頭を噛まれた痛みを最後に意識が消えた。
「……ん…?」
目を覚ますと無縁塚の前だった。
おかしい。家路とは反対方向である。もしかして昨日の妖怪から逃げてきたのか?
「しかし、無意識でここまで来るとは……あれ?」
立ち上がろうとするが感覚が無い。というか体が無い。
透明人間?いや、透明人間でも感覚はあるはずだ。
「一体俺は……!?」
辺りを見回し驚いた。今まで見慣れた無縁塚一帯に霊魂が浮いている。
いままで霊感が無かったからそういうものが見えたことは無かった。
一体何故?解らない。いや、解りたくない。納得できない。
「俺は……死んだ…?」
「はいはい、定員だよー。ちょいと待ってなー。」
三途の川。無縁塚の少し先に彼女の仕事場がある。
正直言ってこの姿を彼女に見せれる訳が無い。
しかし霊の列に入ってしまった以上、仕方が無い。
「はいよ、次の方ー?」
呼ばれた……意を決して俺はこまの前へ行く。
「はい、じゃあ渡し銭を頂くよー。」
どうやら気付いてないようだ。悟られないようさっさと有り金を全て渡す。
「…あれ?この金額……」
こまの表情が曇る。怪訝な顔で俺を見つめるこま。
その手には俺が出した――銀銭2枚と銅銭50枚。
俺は生きてたら青ざめていただろう。そんな顔で見ないでくれ。
「お前……嘘だろ……?」
こまの声が震えている。頼む、それ以上は――辛くなるだけだから……
「貴方が○○さん、ですね?」
「そうです……」
「……開廷前、小町は悔やんでいました。私の所為だ、私の所為だ……と。」
「彼女は何一つ悪くありません!俺の不注意です!俺が悪いんです!」
「そうです。小町は何も悪くありません。身を案じる彼女の気持ちをむげにしてしまった貴方の所為であり、
それが貴方の罪です。」
法廷の中央で俺はうなだれる。
「一夜の恥と量りにかけた物の重さを……いえ、貴方は恥しか考えていなかった。だから彼女の心配を……」
「やめてくれ!」
「……」
「……やめてください……もう、解ってますから……地獄で償います。……彼女のためにも。」
「……貴方は少し鈍すぎる。」
「……え?」
真剣な表情のまま閻魔様は話し始めた。
「彼女……小野塚小町が何故、貴方の世話を焼こうとしたのか、解りませんか?」
「それは……俺を、気に入ったから……」
「それは違います。屋台での縁なら死してもそれまでのこと。小町は……貴方を愛しているのです。」
「……こまが……俺を……?」
やっと気がついた。今まで店まで送ってくれたのも、仕事を放り出して懐いてきたのも、
――あの時、家に泊めようとしたのも、俺のことが……好きだったから……
その日俺は数年ぶりに声を上げて泣いた。法廷の真ん中で泣き崩れた俺を閻魔様は優しく抱き締めてくれた。
それから数ヶ月後――
「なぁ、○○……今日もまた映姫様に叱られちゃったよ……しっかりノルマは達成してるんだよ?」
無縁塚に墓石に語りかける死神がいた。
「……そろそろお盆だよ。……夜雀の店でまたさ……飲み明かそうじゃないか……なぁ?」
墓石に手を添え、語りかける死神。その目は次第に潤み――やがて涙が。
「あたいもそっちに行きたいよぉ……あんた一人に罰を受けさせるなんてあたい、あたいっ……!」
ついに小町は墓石に抱きつき泣き出した。他人の、霊の目をはばからず大声で泣きじゃくった。
「こま…」
「つらいよぉ……どんな地獄よりも、あんたがいない生活なんて苦しくってつらいんだよぉっ!」
「こま…」
「映姫様だって解ってるくせに……あんまりだよっ……!」
「こまっ!」
「なんだよぉ……何か用なのかい○○……ふぇ、○○?」
ギョッとした表情で声のする方を向く。
そこにはふよふよと漂う魂が一つ。
「な…んで……?」
「地獄での刑期を終えて、冥界に引き取られたんだ。」
「え……?」
「閻魔様の御情けさ。ちゃんとこまの事、考えてくれてるんだよあの人はさ。」
「じゃあ○○……もう……」
「ああ、冥界に来れば合えるさ。まぁ俺がこっちに来る事もあるけど。」
「うわぁぁぁぁ……○○……っ!」
泣きながら飛びつく彼女を抱きしめることは出来ないけれど、言いたい言葉はある。
「こま……愛してるよ…」
その後、こまが今まで以上にサボるようになったのは言うまでも無い。
───────────────────────────────────────────────────────────
5スレ目 >>56
三途の河原でいつものように小町と話す。
俺は今日、彼女に俺の積年の夢を打ち明けてみる事にした。
「小町頼む! 俺のこと ダーリン って呼んでくれ!!」
「いや……いくらあたいらが、その、付き合ってるっても、流石にそれは恥ずかし過ぎ」
俺の積年の夢は一蹴されてしまった。だが俺はこの程度では諦めない
「そうか、そういう事なら……実力行使に出るしかあるまい(ワキワキ」
「お、おい○○? なんで両手ワキワキさせながら寄ってくrぎゃー!
追う俺、逃げる小町。なかなかの健脚だが、俺だって学生時代は
通学路を毎日ダッシュしていた経験を持つ。追いついてみせる!
ぎゃーぎゃーとたくましい悲鳴を上げながら走り回る小町。そんな中
がっ、と小町の服の端に俺の手がかかる。捕らえた! と思った瞬間
2人してバランスを崩し、盛大にすっ転んだ
「っぜえっ、はあっ……、痛てて……」
散々走った所為で呼吸もままならない。が、何とか手をついて起き上がろうと
ついた掌が、むにゅ、とした感触を伝えてきた
「んん?」
手の先を見る、その先には、ムネ ……胸!? 誰の!?
問うまでもなく、その胸の持ち主は、四つん這いになった俺の下にいる小町だった
うわ! そういえばさっきから小町の反応が無い! お、俺っ、こ、殺さ れっ
「……」
「あ、あの、小町さん?」
じわっ と、小町の目尻に涙
「ぐすっ……○○……ひどいよ、こんなの……ぅ……」
ヤバイ、どうしよう、マジ泣きだ
小町は、子供のように座り込み、本格的に泣き出していた。ちょっと可愛いな
泣き声を擬音で例えるなら、びえー! って感じだな。ちょっと可愛いな
ああ、ええと、そうじゃない。どうしよう、どうしたら泣き止
ズゾゾゾゾゾ……
停止寸前の俺の思考に割り込む謎の音。そしてその直後
「こぉーーーらぁーーー!! ○○ーーーー!!」
ざばー! と
川の水面から 閻魔があらわれた!
いやお前、その登場は閻魔としてどうよ
───────────────────────────────────────────────────────────
5スレ目>>240(うpろだ>>53)
「ぬぉーりゃー」
ピチューン
奇声を上げて襲い掛かってきた○○をいつものように返り討ちにする。
「命は大事にしろっていつも言ってるだろ?あたいも忙しいんだから程々にしておくれよ。」
そう、アイツが襲い掛かってきたのは今日が初めてではない。
拙い弾幕で、妖精程度の弾幕で何度も何度も挑んでくる。
10を超えてからは数えるのを止めていた。
いつもなら放っておくのだが今日はなんとなく構ってみる事にした。
「なぁ○○、なんでアンタはいつもあたいにつっかかってくるんだい?」
「なんだ、敗者に尋問か?そんな事せずにさくっと殺してくれよ。」
「だから命を大事にって何度も言って」
「理由は幾つかある。」
あたいの言葉を途中で切って○○が急に話し出した。
いつも「殺せ」「やだね」「じゃあまた来る」だったからなんだか新鮮だ。
「一つ目の理由は戦いたいからだ。」
「別にあたいじゃなくてもいいだろう?」
「色々あんだよ、最後まで聞け。」
「二つ目の理由は死にたいからだ。」
「命は大事にしろって何度言わせるのかねこの妖怪は。」
「三つ目の理由は生きたいからだ。」
急に起き上がってこっちを真剣に見てくるから少し驚いた。
「何度もやって知ってると思うが俺は弱い、落ちこぼれだ。
同属からは種族の面汚しって言われる程にな。故に死にたい。
けど死にたくない、俺だって強くなりたい。故に戦いたい。
で、小町なら俺の自殺を止めてくれるだろうと思って挑んでる。」
何とも自分勝手な妖怪だ、あたいを何だと思っているのやら。
「あたいは別に修行場でも何でもないんだけどねぇ」
「けど見捨てられない、見捨てればコイツは死にに行くというのが見えているから。」
嫌な所を突く、自殺者は見捨てられないという性を利用されているらしい。
「ま、もう一つ理由があるけどそっちは秘密だ。」
「どうせ傍迷惑な理由だろ、あたい明日は久々に休暇もらったんだ。
絶対に邪魔しに来ないでよ?ホラ、帰った帰った。」
アイツは「フン」なんてかっこつけてからヨロヨロと飛び去った。
しかし何十年ぶりの正規の休暇かね、今から楽しみだよ。
少女宴会中
あたいが霊夢達の所から帰ってくると魂喰らいの妖怪とアイツが倒れていた。
「遅かったじゃねぇか、大事な客のピンチだったんだぜ。」
「○○・・・・・・何やってんのさ?」
「別に、何となく来たら魂喰らいが小町の客に手を出そうとしてたから」
「だから戦ったって?」
「そ、だから戦ったんだ。」
「なんで」
○○は答えない、答えられないのかもしれない。
だって○○から妖気がほとんど感じられない。
○○の体がところどころ欠けている様に見える。
「さてね、小町には迷惑かけたし最後くらい恩返ししても
いいと思ったから。っていうのはどうだい?」
「ふざけ」
「ふざけてない。落ちこぼれの俺に、邪魔者の俺に。
それでも優しくしてくれた小町に俺は惚れた。
○○は小野塚小町に惚れていたのさ。
けど落ちこぼれ妖怪と死神じゃ釣り合わんだろう?
故に今まで黙ってた、ソレが最後の理由。
誰にでも同じ優しさだったとしても
俺にとっては生まれて初めての優しさだった。
だから小町は気に病む必要は無いんだぜ。
疲れてるんだからもう起こすなよ?」
そこまで一気に捲くし立ててアイツは少し咳き込んだ。
最後の最後までカッコつけるつもりだ、きっと。
「冗談じゃないよ」
もう○○は動かない、けれど。
「勝手にやってきて勝手に死んで勝手な事ばかりして」
○○を引っつかんで飛び立つ
「そんな最後認めてやらない。」
何故か俺は和室で目を覚ました。
死んだら閻魔に裁かれるんじゃなかったのか?
おおよそ最高にカッチョイイ死に様で満足して死ねたんじゃ?
「目を覚ましたか大馬鹿○○」
何故か小町が居る。
「まだここは三途の川の上なのか?」
頭をどつかれた。直後に首を締め上げられた。
「アンタはまだ死んでないよ、知り合いの医者に治療してもらったからね。」
「なぜそんなこ」
「五月蝿い。黙って聞け。」
「ハイ。」
怖いです、っていうか苦しいんです。
むしろワケが分かりません。
「勝手に惚れさせて勝手に守って勝手に居なくなるなんて許さない。
カッコつけたまま死なせやしないよ。○○。
お前にはカッコ悪くあたいに着いて来て貰う。」
「へ?」
「アンタはあたいのお付きとして働いてもらうって言ってんのさ。
もちろん死ぬまでね。」
なんてこった、俺に生きろというのか。彼女の傍らで。
足手まといになりながらカッコ悪く。
「は、はは・・・・・・小野塚小町。」
「なんだい、改まって?」
「愛してるぜ。」
「実は最初から知ってたよ。」
そういうと彼女は優しいキスを
スパン!
「あだっ」
「何期待してんだい、ホラ行くよ。」
「ど、どこに?」
「映姫様にバイト雇うことを伝えにね。」
あっさり引き摺られながらこれはこれでいいか、と思ってしまう自分が居た。
あとがき
俺の中でこまっちゃんは姉御肌のカッコイイお姉様。そして嫁。
───────────────────────────────────────────────────────────
6スレ目>>277
とりあえず妄想投稿。
―――もう、いいや。
そう思って僕は首に縄をかけ、椅子を蹴った。
ふと気づくと大きな河の前に立っていた。あちらこちらに彼岸花が咲いている。
―――ここが有名な三途の川か・・・
そんなことを考えていると目の前に人がいるのに気が付く。
「またか。わざわざ命を捨てる馬鹿もんが・・・」
赤毛で長身の女性が立っていた。
なぜかバカでかい鎌を持ってこっちを睨みつけていた。
「何を好き好んで自殺なんか・・・」
僕はその言葉の意味も判らなかったし、聞いてもいなかった。
その女性があまりにも綺麗で一目惚れしてしまった。
その人は軽く頭を振ってこういった。
「いや、まだあんたは息がある。考え直しな。」
僕は軽く突き飛ばされ、
気が付くと元の部屋に、首から縄をぶら下げて倒れていた。
上を見ると、縄の切れ端が残っている。
自殺には失敗したが、僕はもうそんなこともうどうでも良かった。
また、あの人に会いたい。それだけが頭の中を支配していた。
次の日、僕はまた自殺を試みることにした。
住んでいるマンションの最上階―――五階から飛び降りることにした。
「なんだ、また懲りずに来たのか・・・。」
飛び降りると、昨日と同じ場所に同じ人がいた。
「反省の色無しか・・・もういい、蹴落としてやる。」
と言うと、その人は僕の首根っこを捕まえて、三途の河べりまで連れて行く。
―――あ、終わったな。
そう思ったが、あえて抵抗はしなかった。
しかし、河に着いたとき、彼女はなぜか急に顔を赤くして、
「・・・もう一度だけチャンスをやる。考え直せ。」
と、ぶっきらぼうに言うと、地面に蹴倒された。
同時に場面がマンションに戻り、腰を痛めただけの僕がそこにいた。
「・・・悪運が強いな。」
自嘲気味にそう呟くと、自分の部屋に戻った。
「・・・馬鹿が、いい加減にしろ。」
ついに六回目にそういわれた。
そりゃあ六回も同じ自殺願望の人間を現世に戻していれば、そんな文句が出るのも当たり前だろう。
「何がしたくて死にに来ているんだ?」
ついに聞かれた。僕はこの世界で始めて口を開いた。
「最初はこの世に嫌気がさして自殺しようとしたんだ。でも、」
意を決して伝える。
「あなたが・・・好きになって、ここに来てるんだ。」
簡潔に、彼女に自分の気持ちを伝える。
彼女の顔がだんだん赤く染まる。
「あんたは馬鹿だ。どうしようもない馬鹿だ。でも、あたいもあんたの事が好きだ。」
その言葉をきいて、僕は力が抜けて地面にへたり込んだ。
「いいのか?あたいは死神だぞ?三途河の渡し小野塚小町だぞ?」
そう問いかける死神。
「もちろん、よろこんで。」
そう、答えた。
「でももう来るな。いつ死んでもおかしくない。」
そう告げる小町。でも僕もそんなことを素直に聞くような奴じゃない。
「やだ。小町に会えなくなるじゃないか。」
そういうと、小町は困ったように前髪を掻きあげて言った。
「わかったわかった、毎年二回、こっちから出向いてやるよ。」
その日から僕にとって毎年二回の彼岸が大切な日になった。
───────────────────────────────────────────────────────────
避難所>>86
「……掛からんな」
ここは三途の川。死者が集まる不毛の地だ。
俺は三途の川の畔に来ている。言っておくが決して死んだわけではない。ちゃんと生きている。
とは言っても生者が好きこのんで来る場所ではないので、周りに自分以外の人影は見えない。見えるは霊魂ばかりなり。
だが俺にとっては静かで落ち着ける場所である。客観的に見てかなりやばいとは思うけど仕方がない。
それ以前に生きていながら三途の川に来れるこの幻想郷のほうがアレだと思う。
「ありゃ、お前さんまた来たのかい」
不意に背後からかけられた声に振り返ってみれば、巨大な大鎌を背負った赤髪の少女。
「まったく、自殺志願者かと思って来てみれば、またお前さんとはねえ」
「自殺志願者のほうが良かったかい? 小町」
「うんにゃ、あの連中に比べたらお前さんのほうが百倍以上ましさ」
少女の名前は小野塚小町。この三途の川で死者の霊を相手に船頭をしている。所謂死神というやつだ。
まあ死神だと認識できるのは持っている鎌ぐらいで、それ以外はトンチキな格好をした江戸っ子少女なのだが。
後は……そうだな、その豊かな双丘か。男としては目を向けざるをえない場所である。
「……まーた変なこと考えてるな?」
「馬鹿な。至って普通のことを考えてるだけだ」
「嘘こけ。大方あたいの胸を触りたいとか、そんな感じのことだろ」
「それに関しては常日頃から考えているから対象外だ」
「考えるな馬鹿たれ」
うむ、いつも通りの会話だ。小町の視線が少し冷たく感じるが概ね問題はない。
そのまま小町は俺の背後にある岩に寄りかかった。
「……仕事に戻らないのか? またあの人に怒られるぞ」
あの人というのは小町の上司の閻魔様のことである。非常に説教好きなことで有名で、俺も何度かお世話になった。
「いいのさいいのさ。最近は魂の数も少ないし、マイペースが一番なんだからな」
注意するのは……よそう。この筋金入りのサボり魔を更正させられる存在はこの世にもあの世にも存在しない。
あの閻魔様でさえ達成できないことがどうして他の者にできようか、いやできない(反語)。
「そういうお前さんのほうこそ、何をしてるんだい?」
「見れば判るだろう。釣りだ」
そう、俺は現在三途の川に釣り糸を垂らしている。
この三途の川には外の世界で絶滅したといわれる魚や、まだ見ぬ大物が巣くっているという。
それを釣り上げて丸焼きにしたらさぞ美味いことだろう。楽しみだ。
「そうか……」
ここで会話が途切れる。只でさえ音のない三途の川がより静寂に包まれる。
少女怠慢中&青年釣り中...
暫く時間が経ったとき、唐突に小町が口を開いた。
「なあ○○。非常に言いにくいんだが……」
「なんだ小町」
今は釣り糸の先に集中しなければならないので話しかけないでほしいのだが。
「この川の魚は幽霊だから釣り上げられないぞ」
「……マジですか」
張り詰めていた緊張が途切れ、一気に脱力してしまった。
確かに死者が渡る川なのだから普通じゃないとは思っていたが、まさか魚まで霊だったとは。
さっきまで胸に抱いていた夢が一瞬で泡となって消えた。元々馬鹿な夢ではあったが。
「この三日間の苦労はなんだったんだ……。つーか、なんで言ってくれなかったんだよ。いつも一緒にサボってただろ」
そうだった。一昨日、昨日と俺が釣りに来たとき、小町はいつも近くでサボっていた。
最近に限らないでも俺がこの場所に来たときは、必ず小町と話したり一緒に昼寝したりしていたのだ。それが閻魔様の説教の種にもなっているのだが。
それを言うと、小町は頭をかきながら、
「いやぁ~……見当違いなことをしてる○○の姿が可笑しかったというか……」
ははは、と困ったような顔で笑った。
「……つまり俺は知らぬうちに小町に笑われていたわけだ」
自嘲気味に呟く。と、小町は慌てた様子で、
「そ、そういう訳じゃないって! 叶いっこない夢を馬鹿みたいに追うのも悪くないと思うぞ!」
あんまりフォローになってない気がするのは俺だけか。叶わぬ夢だと断言してるし。
「それに…そういう馬鹿なとこがあたいは好きなわけだし……」
また馬鹿とか言われた……ん? 好き?
「小町、今なんか言ったか?」
「い、いやいやいや、何も言ってないよっ」
「なんか好きとか聞こえた気がするが……」
「それはほらっ、友人として好きってやつだよ! よくあるだろ?」
「そうだな……よくある話だ」
「そ、そうそう。勘違いしてもらっちゃあ困るね!」
ここで再び会話が途切れ、辺りを沈黙と微妙な空気が包む。
俺は後ろで座ったままの小町のほうに振り返り、
「俺も小町のことは好きだぞ。友人じゃないほうの意味で」
「な…………!!」
小町は呆然とした顔を浮かべる。が、すぐに慌てた様子に戻ると、
「ちょ、ちょっと待て○○。えっと……それって本気?」
「間違いなく本気だ」
力強く断言すると、小町は普段の彼女には似合わないぐらいに縮こまっておろおろし始めた。
ううむ、本当の気持ちとはいえその場のノリで言うべきではなかったか? 狼狽えている小町を見れるのは嬉しいけどな。
驚かれるのは承知の上だったが、何も言われないというのは不安だ。何かしら返事を返して欲しいものだが……
案の定、小町は突然立ち上がると踵を返し、
「ちょ、ちょっと用事を思い出したよ! そろそろ仕事にも戻らなきゃだしね!」
「お前に限ってそれはな……って、本当に戻るのかよ!」
恐らく『距離を操る程度の能力』を使ったのだろう。気付けば小町の姿を遠く離れた所にあった。
小町が完全に見えなくなった後、何気無く頭をかいた。
「まだ返事をもらってないのになぁ……」
仕方がない、残念だが小町からの返事はもうちょっと待とう。もう一つの問題は現状が手持ち無沙汰なことだ。
話し相手の小町が行っちゃったからなぁ……
「……しょうがないか」
無駄だと判りつつも、やることもないので再び釣竿を振った。
───────────────────────────────────────────────────────────
7スレ目>>798
「おーい、小町。ちょっと」
「ちょっとちょっと。なんだい、あたいは忙しいんだけどね」
「嘘つけ。……突然ですがクイズの時間です。いいか? 制限時間は十秒だ」
「なんだか分からないけど……、わかった」
「じゃあ問題。『それは長いです』」
「ふんふん」
「『毛が生えています。それを出したり入れたりして、
最後には白いものを吐き出します』。…さあ、答えは何だ!?」
「……そそそそれって…!」
「いーち、にーぃ、さぁーん、よぉーん……」
「あううう。セクハラだぁ、映姫さまにチクってやる…」
「ごーぉ、まさか分からないのか? …なーな……」
「ううううう……。チ……チ…………」
「はーち、きゅーう……」
「うわあああ! やっぱりあたいには言えないよ!」
「……じゅーう。…はい、時間切れ。こんな簡単な問題も分からないのかよ」
「うるさいっ! で、答えは何なんだい?」
「『歯ブラシ』」
「……は?」
「だから、『歯ブラシ』。…こう、ブラシがあって、シャコシャコってして、
最後に唾をぺって吐き出すだろ」
「…………○○」
「なんだよ。……って、ちょ、おま、鎌は仕舞え! あぶなっ、振り回すな!」
「うるさいうるさいうるさい! そこになおれ! 五寸刻みにしてやるっ!」
「殺す気か!? 俺は死んだらそれで終わりだぞ!?」
「あたいが三途の川岸でこき使ってやるよっ! …おら逃げんな!」
「願い下げだねっ!」
「待ちやがれ! この変態野郎がっ!」
───────────────────────────────────────────────────────────
最終更新:2010年05月11日 15:39