映姫2
閻魔も色恋(>>480)
「あ~あ、今日もいい天気だね~」
あたいは小野塚小町。三途の川の渡し役っていったら、ほかでもない自分のことさ。
好きなものは昼寝。嫌いなものは休日出勤と残業だ。
そんなわけで今日も午後の陽気に誘われて、お気に入りの平岩の上でうとうとしていたら……、いきなり無縁塚にやってきた人がいるじゃないか。
どこの自殺志願者だい、とこっそり見に行ったら驚いた。
「え、映姫様!?」
慌ててあたいは、得物のふにゃふにゃした鎌を振り回して霊魂を導きはじめた。
だってあそこを歩いているのは恐怖の説教魔王、御仕置き権現である映姫様。もしあたいがまた仕事をサボタージュしてるのを見つけたならば…………
ああ、それは恐ろしいことになるねえ。
三つほど、飛び回っている動きの早いのを捕まえたときくらいだろうか?
「はあ…………」
いきなり映姫様がため息をついたのが聞こえた。うわ、なんて女の子っぽいため息の仕方。小町ちょっと感激。
なおも挨拶せず、忙しいフリを続ける。映姫様がいたなんてあたい知りませんでした~。あたいとってもがんばって働いてましたから~。って装うために。
「はああ…………」
もう一回、ちょっと色っぽいため息。うう、映姫様ってちょっとかわいいかも。
そのまま映姫様はすとんと川岸に腰を下ろしてしまった。あれれ、働いてるあたいのことはまるっきり無視ですか?
ぼーっと背を丸めて彼岸を見ている。気のせいか、いつもよりちっちゃくなっちゃったみたいだ。
どうしたんだろ。まるっきり周りのことが目に入らないみたいだ。完全に自分の中。目が虚ろになってるし。
気になって、あたいは手を止めて鎌を肩に担いだ。導いた霊魂たちがあたいに付き従う。待ってな。これが終わったら運んでやるから。
後ろからこっそり覗き込んでも、映姫様はまったく気が付いていない。
手が地面に生えている彼岸花をぷつりと摘む。あらら、普段殺生はしない方なのに。
「好き……嫌い……好き……嫌い……」
ぷちぷちと彼岸花の花びらをむしりながら、映姫様は暗い顔でぶつぶつ呟いている。
へぇ~~~~~~ぇ。ま、さ、か。
「好き……嫌い……好き……嫌い……好き……」
何やってると思えば。何ぼんやりしていると思えば。
まさか映姫様…………恋わずらいですかぁ?
そりゃびっくりだねぇ。あの万人の死後を司る裁判長にも春が来ちゃったんだ。
驚いたその反動か、急にむくむくとあたいの中で好奇心ってのが沸いてきた。
もしかして、映姫様の恋してる相手ってのは、あのよく来る人間じゃないかって思ってね。
経緯はいちいち説明しないけど、あたいと映姫様のところに最近人間の男がやってきている。無縁塚で倒れていたのを助けてやってからずっとだ。
映姫様の周りにいる男なんて、悲しいことにあいつしかいないからな。たぶん、あいつに映姫様は惚れちゃっているんだよ。
だったら、それを一つ確かめるついでにからかってみるのも面白いじゃないか。
さっそくあたいは、何食わぬ顔で映姫様の後ろから大声をかけた。
「あれっ? そんなところにいらっしゃるのは映姫様じゃないですかっ!」
「きゃんっっ!?」
いきなり声をかけられて飛び上がる映姫様。
おいおいいつもと逆じゃないか。小町またも感激。
「なっあっこっこここ小町じゃないですかっっ! な、なななな何やってるの!?」
ものすごい勢いで摘んだ彼岸花を後ろに隠しつつ、映姫様はあたいにシャクを突きつける。いつもなら威厳があるのに、今日はゼロ。
「何やってるって…………見てのとおり仕事中ですよ。そぉら〈卍解〉!」
あたいは、前に香霖堂って変な店で立ち読みしたマンガっぽく鎌を振り回してみせた。
軌跡に次々と霊魂が集まって、鎌が巨大化したようにも見える。
「そ、そそそそそそうですかそうですよねそうでした。わ、私としたことがへんなことを聞きましたね」
普段だったら「こらっ、そんな風に遊ぶものではありません」って怒るのに、おやおや上の空だよ。
「ふ~ん…………」
「な、何をじろじろ見ているんですか。は、早く仕事に戻りなさい」
「映姫様こそ、何でこんなとこに来たんです? 仕事は?」
「そ、それは……えっと…そう、休憩! 休憩に来たんです。何もやましいところはありません!」
「普段は全然休まないのに?」
「わ、私だって疲れることがあるんです! いけませんか」
「ぜんぜ~ん」
カマトトぶってあたいは堂々と映姫様の横に腰を下ろした。びくっと震えて映姫様は向こうに逃げようとする。
おっと、逃がすもんか。まずは先手だ。
「そういえば…………あいつって、今日は来るんでしょうかねぇ」
あいつ、というところに力を込めて言ってみたら、案の定映姫様の動きがぴたりと止まった。
「あ、あああああいつとは? あいつだけじゃわ、わ私分かりません」
「ほら、あいつですよ。あの人間の男。このところよく来るのが一人いるじゃないですか」
「さ、さあ。に、人間の都合など知りませんっ!」
恥ずかしいのか、顔を赤くしてぷいっとそっぽを向いてしまう映姫様。でも映姫様、閻魔という職業上、人間の都合など知らないって発言は良くないと思うな~。
というわけでお仕置き。
「あいつって結構かっこいいですよね。結構あたいの好みだったり?」
わざと映姫様の恋心を逆撫でするようなことを言ってみる。
「何ですって!?」
もの凄い勢いで映姫様はこっちに振り向いた。きゃん、目が本気。
「う~ん。人間だけど誠実だし、いったん死んじゃえば種族なんて関係ないし。あたいの鎌でバッサリ斬っちゃえばいいかな、なんて最近思ったりしてますよ」
「そ、そんなこと許しません!」
「えぇ? だって映姫様っていつもおっしゃっているじゃありませんか。あたい一人じゃ仕事の能率に不安だって」
「それとこれとは別です。そんな……相手は男ですよ」
「だから、あたいの好みの奴だって言ってるじゃないですか。あたいが手取り足取りあいつに仕事を教えてやれば………………嘘、徹頭徹尾じょーだんです」
次第に閻魔から阿修羅王へと形相が変化し始めた映姫様に、あたいは慌てて口をつぐんだ。お仕置きと称してからかっただけで八大地獄を見物したくないし。
微妙に涙目で映姫様はこっちを睨んでいたけど、不意に肩の力が抜けてへなへなとうつむいてしまった。
また、彼岸の向こうをぼんやり眺めるモードに戻っちゃったよ。
「ねえ、小町…………」
「はい、なんでしょう」
「私って…………やっぱり魅力がないのでしょうか」
「はいぃ?」
いきなり映姫様の口から出てきた言葉は、今まで一回も聞いたことがないものだった。
だってそうじゃない? いくら女の子の格好とはいえ映姫様は閻魔の裁判長。白黒はっきりつけるのがお仕事の方だ。それがいきなり「魅力がないのでしょうか」だって。
恋わずらいだと分かっていたけれども、それでもあたいは唖然として二の句が継げなかった。
「小町はいいですよね………背が高いし……胸も大きいし……スタイルも抜群だし…………鎌が得物でかっこいいし…………それに比べて私は…………」
ぎゅうっと膝を抱えて縮まる映姫様。急に幼児退行を起こしたみたいに。
「うっ………ぐすっ…………みんなのことを考えているのに…………説教魔だっていっていつも爪弾きにされるし……背小さいし……顔だってよくないし…………」
「あ、え~と、映姫様? もしもし?」
「ずっと閻魔やってるだけで芸もないし……会話するんじゃなくて説教しかしてないし……頭でっかちだし…………可愛くないし………こんなんじゃ私……私…………」
駄目だこりゃ。相当思いつめているよ。考えていることが堂々巡りしすぎて煮詰まっちゃったんだな。
ちょっとだけあいつに殺意を抱くね。まったく、映姫様がこんなに思いつめるまで放っておくんじゃないよ。
仕方ない。ちょっと励ましてやるか。
「えいっ」
「きゃっ!?」
無理やり映姫様の肩をつかんで、あたいの方に引き寄せる。いや、抱き寄せるって言った方が適当かな。
「な、何をするんですか小町! 離しなさいっ」
「いいじゃないですか映姫様。どうせ誰も見ちゃいませんよ」
じたばたと暴れているけれども、弾幕や霊力ならともかく体格と腕力ならあたいの方が上だし。とにかくぎゅーっって抱き寄せてみると、少し静かになった。
「なーに言っているんですか映姫様。バッカじゃないですか?」
「ば、バカですって?」
「そう、大馬鹿ですよお。あたいが見ていて恥ずかしくなるくらいの馬鹿」
「う、うう…………そんなこと、分かっています……ええ、私は馬鹿です。ただの人間を好きになるなんて、私は愚か者です……笑いたければ、笑い、なさ、い………」
「あ、いや、そうじゃなくて。な、泣かないで下さい違うんですっ!」
むしろあたいがバカ。誤解した映姫様が泣きそうじゃないか。大慌てであたいは訂正する。
でも、やっぱり映姫様はあいつのことが好きだったんだな。
「映姫様が、そんなに自分のことを小さく見ているのが馬鹿だなって思ったんですよ。何ですかさっきの愚痴は。全部小さなことじゃないですか」
「そんなことは…………」
「だって、映姫様のいいところなんて沢山ありますよ。そんな小さな欠点よりずっと。たとえば、その説教だってちゃんと本人のことを考えてやってるじゃないですか」
「うう……それはそうですけど」
ひるんだ隙に、あたいはここぞとばかりに映姫様を誉めちぎる。
「あたいなんてでかいだけですけど、映姫様なんて小柄でかえって可愛いですよ」
「…………だけど」
「むしろ小さい方が好みっていう男も多いし」
「…………でも」
「あたいみたいに蓮っ葉なしゃべり方じゃなくてですます調なのも点数高いし」
「…………はう」
「大丈夫ですよ。あいつだって映姫様が嫌いだったらこんなに足しげく来るわけないじゃないですか」
あたいの褒めちぎりが効いたのか、映姫様はほんの少しだけ明るくなった顔をこっちに向けた。
「そう…でしょうか?」
「当然。映姫様の魅力は、このあたい小野塚小町が保証します。もしあいつが朴念仁を決め込むんだったら、腕ずくで教えてやりますよ」
腕まくりしておどけてみせると、ようやく映姫様は笑ってくれた。
「ありがとう、小町。本当に、つまらないことであなたの手をわずらわせてしまいましたね。私はどうかしていました」
ひょこっと立ち上がると、もういつもの映姫様に戻っていた。
「さあ、仕事に戻りますよ。衆生の済度に努めなくてはなりません。小町、サボりは禁物ですからね」
あらら、お堅いところまで元に戻っちゃったよ。それじゃ、もう一言。
「でも、意外でしたよ~。映姫様が恋、だなんてね。もしかして初恋ですか?」
立ち上がって着物の裾を払いながらそうからかってみると、案の定映姫様は分かりやすく驚いてくれた。
「なっ、な、な、何をいきなり聞くんですか。こっこっここ恋だなんてそんな。私はただあの方を見て、魅力的な殿方だなって思っているだけで………」
「それ、ばっちり恋ですよ。で、あいつのどこに惚れちゃったんです?」
「そ、そんなこと言えるわけありません! もう、私は戻りますからね!」
照れがついに限界を突破したらしく、映姫様は真っ赤な顔で飛んでいってしまった。
おお、速い速い。いつもの倍速だよ。
あ、夜雀と衝突した。さてはよそ見ををしてたな。
……なんて見物しているうちに、無縁塚に残ったのはあたいただ一人だけ。
それにしても、映姫様が恋ですか。
あたいにとっては、嬉しいことだねえ。
なぜって? だってあたいだって映姫様のことが好きだからな。
でも、男だけが与えられる幸せってのもあるのさ。その種の幸せは、同じ女のあたいにゃ逆立ちしてもあげられないからねえ。
だから、映姫様に恋人が出来たっていうんなら、もろ手を挙げて歓迎するさ。
あいつも、映姫様を見る目が一味違っていたからなあ。紆余曲折あるだろうけど、似合いのカップルってとこかね。
さて、だいぶ待たせたね。行き場のない魂魄たち。
これからしばらく、罪科流れる三途の川渡りとしゃれ込もうかい?
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3スレ目 >>184
とりあえずこんな現代映姫ネタが出来たので投下。
イチャつく、というより友達みたいな感じで。
バキリ、と箸が折れた。
俺の箸じゃない。一緒にちゃぶ台を囲んでいた映姫様の箸だ。
その目はテレビに釘付けになっている。
「……これに対していまだ何の公式回答もなく、被害にあった方たちの心痛は計り知れません。
しかし当事者である会社の社長は…………」
しまった。これを見せるんじゃなかった。
ニュースでやっているのは、とある会社ぐるみの詐欺商法についての報道だった。
「許せませんっ!!!」
テレビに向かって叫び、どこから取り出したのかあの杓をインタビューを受けているテレビの中の社長に向かって突きつける映姫様。
「なんですかその言い訳がましい態度は! それでもあなたは人の上に立つ人間ですか。弱い人々から言葉巧みに金銭を巻き上げ、
あまつさえ知らぬ存ぜぬを決め込むとは。ええい断じて許しません。その魂魄、尽く無間の業火で焼き払ってあげます!」
がばっ、と立ち上がる映姫様を、俺は必死で止めた。
「ちょ、ちょっと待ってください。落ち着いて」
「これが落ち着いていられますか! 離して下さい!」
なおも窓を蹴破って外に飛び出そうとする映姫様の細い脚をつかんで、何としても外に飛び出さないように捕まえる。
こんなけったいな格好で空を飛んでいったら、いったいどんなニュースになるか。
「いいから離しなさい! 何としてもあの社長が地獄に落ちる前に罪を悔いさせます!」
まだばたばたと暴れている映姫様。
俺は今後絶対に、この少女裁判長にテレビは見せまいと心に誓ったのだった。
映姫ってテレビを見ていていちいち独り言で感想を言うタイプっぽいな~と。
細木○子がテレビに出たら怒りそうだ。
SSでもない、ただのネタです。
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3スレ目 >>508
三途の川の彼岸側には、一軒の屋敷が建っている。
豪華とは言えないまでも、二人が住むには十分であり、部屋数もある。
「はぁ……」
そんな屋敷の主は、自室で溜息をついていた。
彼女の手には、ピンクの写真立て。
いつからそうしていたのか、視線はその中の写真にずっと向けられていた。
自然体で笑う部下と、仏頂面で少々愛想が欠けている自分。
そして、そんな二人の間に映っているもう一人。
「あ……」
その人物を見ようとして、視界がぼやけた。
ぽたり、ぽたりと床に落ちる雫に気付くと、彼女は慌てて目を擦る。
記事にされる条件と引き換えに、天狗に撮ってもらった写真。
もう少し笑えばよかった、と彼女は思う。
過ぎ去った時間と、撮られた写真は変えようがない。
「こんなに待っているのに……あまり、私を待たせないで下さい」
それでも、彼女は待っている。
過去が変わらないのなら、これからもっと良い思い出を作ればいいのだ。
――そう、時間が残されているのならば。
無縁塚には、先日まで彼岸花が咲き乱れていた。
今はそれが嘘のように、草の一本すら生えていない。
それこそがこの場所、無縁塚の本来の姿なのである。
「彼岸花、散ってしまいましたね」
「ああ。もう取り憑く花もありゃしないな」
その河原では、一組の男女がぼんやりと川を眺めていた。
男の方は急ぐでもなく、いつもそうしているように、付近の石を集め、ただ積み上げていく。
「他にいた奴らは、みんな先に小町が連れて逝ってしまったしな」
「そうですね。罪人や徳の低い人は、三途の川の川幅が広くなるそうですし。
後回しにされても仕方ないですよ」
「はいはい。どーせ俺は早死にで女泣かせの極悪人ですよーだ」
こつり、こつりと彼は石を積む。
積み上げる石はピラミッド状になるので、積み上げるほどに難しくなっていく。
「……まあ、映姫も忙しいのが解ってるから、落ち着くまで待ってた、ってのはあるんだけど」
「ふふ。また記事にしてもいいですか?」
「ああ、好きにしてくれ。世話になった分の恩返しだ」
花の異変が起きた際、彼もまたその調査に乗り出し、無縁塚まで辿り着いた。
そしてその原因が、霊が花に取り憑いていることだと知ると、彼はそこで調査を打ち切ったのだ。
特に害もなく、何者かの陰謀でもない現象ならば、後は小町の出番。
そう決め込んでからは、無縁塚で小町を応援したり、霊の誘導を手伝ったりしていたのだった。
部下の珍しい働きぶりと、そんな珍しい人間に気付いた映姫と文は、こうして無縁塚で彼と出会ったのだ。
「しかしまあ、○○さんといると、ネタに困りませんよ」
「まあ……『突撃・隣の晩御飯!』とか見出し付けて、たかりに来なければもっとよかったんだが」
「ふふ。取材も出来てお腹も満たされる、一石二鳥です」
それは生前の思い出。
過ぎ去った日々はもう戻らず、彼が辿る道は文とは違う。
この川の流れの向こう側、死の先の世界が彼の行く場所だ。
「色々済まなかったな、見送りまで来てもらって」
「取材の、一環ですよ。
第一発見者が私ですから、ちゃんと見届けないと、最後まで記事が書けないじゃないですか」
「あ~……面倒掛けたのは悪かったな。
でもいっそのこと、そう言ってくれた方が、しんみりしなくていいや。さんきゅな、文」
今生の別れならば、せめて清々しく。
死んだ後に別れを告げられる、というのも奇妙な話ではあるが、それを可能にしてしまえるのが幻想郷だろう。
「そんなこと言って……映姫さんが嫉妬しても、私は知りませんよ?
まあ、存分に記事のネタにさせて頂きますけど。『スクープ!閻魔の純情恋物語』なんてどうでしょう?」
「書いた場合に文がどうなるかも、俺は知らないけどな。
まぁ……俺は文も小町も、親友だと思ってる。
大事な人に礼を言うくらいなら、映姫だって大目に見るだろうし。それよりも……」
言葉を切って、彼は空を仰ぐ。
日が隠れるくらい、適度な雲が浮かぶ空は、ずっと見ていたいような光景に見えた。
「……死んじまったことを隠してた方が、よっぽど責められそうだよ」
「そうですね。……閻魔という職業柄、気付いてもおかしくなさそうですけど。
気付いていたなら、映姫さん自身がこちらに来そうですし」
生前の行動全てを知り、それらに対して有罪か無罪かの判決を下すのが映姫の職である。
彼の状態も、知ろうと思えばたやすいことなのだろう。
「いつも小町に頼んで呼んでもらってたからなぁ……呼ばれるのを待ってるのかも」
「映姫さんって意外と受け身なんですね。……あ。噂をすればなんとやら、ですよ」
「何!?」
慌てて彼は水平線を凝視する。
どこまでも広い三途の川は、見た目にはとても広い湖のようで、そこから人影を捜すのは容易ではない。
そんな彼の様子を見て、文は川岸に向けてカメラを構え――
カシャァッ!!
「……へ?」
「なんだい。あんた気付いてたのか?」
「はい。桟橋に船を停めて、こちらに聞き耳を立てていた辺りから、ですけど」
彼には、突然現れたとしか思えなかった。
そこに立っていたのは、大鎌をかついだ渡し守。
先程までは見えなかった川の桟橋も、時を同じくして現れた。
「小町……来てたんなら、別に隠れなくても」
「いやいや。人の恋路を邪魔する奴は、馬に蹴られてなんとやら、って奴さ。
あたいが割って入ったら、それこそ蹴られちまうだろ?」
意地悪な笑みを浮かべ、二人を見やる小町。
そんな彼女の様子に、文が穏やかに訂正を入れる。
「何言ってるんですか。蹴られるのは私の方ですよ。
○○さんはずーっと映姫さんしか見てませんから、私がこんなに親切にしてあげても振り向いてくれませんし」
それは訂正というより、彼に対する当て付けだろう。
もっとも、半分は冗談で、それは彼も解っている。
「俺にとってはみんな大事だよ。……まあ、確かに好きなのは映姫だけどさ」
「ほら、これですもん」
「そういうことは、あたい達じゃなくて、映姫様に直接言ってやんなよ。
さっき向こうに霊を送った時なんか、あたい達が写った写真見て、切なそうに溜息ついてたよ」
それは文が撮った写真だが、映姫は本当は、彼とのツーショットを希望していたのはまた別の話。
「でも○○さんも、同じ写真を持ってますよ?私が焼き増ししましたし」
「今となっては遺影代わりにしかならないけど――いや悪かった!悪かったってば!」
「縁起でもないこと言わないで下さい。……まあ、本当のことですけど」
文の烏が羽ばたいて、くちばしと爪で一閃する。
そんな二人のやりとりを見て、小町は一層深く溜息をついた。
「お前さん達……放っておいたら、いつまでたっても続けてそうだねぇ……。
で、どうすんだい○○。あたいのタイタニックに乗ってくかい?」
「もちろん。そのためにここにいるんだし。
でもいいのか?小町のことだから、あと数日は待たされると思ってたんだけど」
「上げ終い管理って奴さ。ここいらにいる霊はお前さんで最後だから、送ればあたいにも休みが貰えるんだよ」
「……そっか。それじゃあ船長、向こう岸まで宜しくな。タイタニックだからって、沈んじゃ駄目だぞ」
「あいよ。あたいはスミス船長じゃないし、三途の川には氷山なんてありゃしないさ。
準備するから、ちょいと待ってな」
――もう少し、二人っきりでな。
そう付け加えそうな笑みで、小町は悠々と桟橋へ歩いていく。
無縁塚を、風が駆け抜けていく。
散る花すら今はない、寂しい地に吹く風は、何も運ばず何も連れ去らない。
「……すまない、文」
沈黙に耐え切れなくなった彼は、また頭を下げる。
痛いくらいに、気持ちが解っていたから。
どちらかを選べば、どちらかが傷付くのは避けられない。
結果として、彼が傷付けたも同然――
「もう、いいんですよ。
流石に早過ぎましたけど、いずれは私を置いてっちゃうことは、ずっと解ってましたし」
頭を下げたままの彼の側で、文は遠くを眺めたまま静かに呟く。
その視線の先にあるのは、広い広い三途の川の向こう岸。
遅かれ早かれ、全ての者は向こう岸に渡り、そしてまた向こう側からこちらへ還る。
それが、輪廻転生。
「お仕置きのひとつでもしたい所ですけど、それは映姫さんにお任せします」
「俺は……文に責めらても構わないけど」
「それはちょっと可哀相ですし、遠慮しておきますね。その代わり……」
文は俯いたままの彼の手を握る。
「小町さんが来るまで、ずっとこうしてて下さいね。
……ちょっと、未練がましいかもしれませんけど」
「文……ありがとう」
ほどなく小町が戻って来て、彼は船に乗り込む。
桟橋から船へ上がる時、彼の足は一瞬止まったが、振り返ることは出来なかった。
そんな彼の様子に、文も何かを言いかけたものの、何も言葉が出てこなかった。
(……はぁ。豪華客船なのに、湿っぽい出航だねぇ。
ま、死神の船が賑やかじゃ、心安らかにってのも無理があるってもんか〉
「それじゃあいくよ。お前さんじゃ何日かかるか、解ったもんじゃないけど」
小町の言葉に、彼は小さく頷くだけ。
口にはしなかったものの、彼女はこっそり溜息をついた。
(今生の別れだってのに……向こうに渡ってから後悔したって、あたいは乗せてやれないんだよ?)
船は静かに流れの中に繰り出す。
黄昏時の川は、夕日を反射して琥珀色に輝いている。
日はいずれ水平線の向こうに落ち、じきに夜がやってくるのだろう。
船が目指すのはその夜の向こう側。閻魔が裁きを下す法廷である。
「○○さんっ!!」
彼はその呼び声に振り返る。
河原はそろそろ見えなくなりそうだったが、そこにいる文の姿は、何故かはっきりと見えていた。
文はカメラを構えている。
撮ろうとしているのだろう。彼の、最期の姿を。
「笑ってやりなよ。それが最後で、最高の一枚になるんじゃないのかい?」
「そう、だよな――」
彼は彼女に笑いかける。
刹那、シャッターが切られた。
カシャアっ!!
河原まではかなり遠い。文のカメラは最大望遠にされていた。
それでもきっと、彼の涙までは映るまい。
カメラを降ろした文は、彼が何か言っているように見えた。
だが、距離が開いてしまい、内容までは聞き取れない。
「○○さん……?」
だが、瞬時に落ち着きを取り戻し、文は唇を読み取った。
〈元気でな、文〉
「は……はいっ!○○さんも!」
〈馬鹿……死人に言うことじゃないだろ?
……もし生まれ変わってまた会えたら、また皆で呑もうな〉
「……はいっっ!」
世界が、ぼやけていく。
河原の天狗の姿が
船上の死者の姿が
距離が離れ、雫が溢れ、霞んで見えなくなっていく。
「○○さん……っ」
文は口元を押さえ、ぎゅっと目をつぶった。
それはいつか来る別れだと、自然の摂理なのだと知っていたのに。
(さようなら……です)
別れは――知っていても、辛く、寂しかったのだ。
かくして、彼は彼岸へと渡り、河原には天狗が一人残された。
愛しき者を送る風は今も淋しさを乗せ、無縁塚に吹き続けている。
死者の魂はその淋しさ、悲しさを感じ取り、ここが三途の川だと悟るのだ。
「小町……ちゃんと前見て安全運転してくれよ」
「はいはい。あんたの泣き顔なんて見やしないよ。
あたいの最新鋭タイタニックは防弾性もバッチリさ。氷山に当たったって、沈みやしないよ」
前後左右。見えるのはただ、代わり映えのしない水面ばかり。
川幅はどこまでも広く、むしろ海のよう。
「さあて。この分だと一週間お説教コースか、はたまた素直に地獄送りか、どっちかだろうね。賭けるかい?」
「賭けるも何も……賭けられないだろ?
渡し賃で全部持って行ったのは小町だろうに」
「じゃあ、来世の渡し賃にツケとこうかい?」
「……次に死んだときのことを今から考えるってのも、何か嫌なんだが」
「はは、それもそうだねぇ」
どこまでも、どこまでも、空を映す水面は続く。
液状の鏡の上を滑るようにして、船は遥か彼方の、空と海の境界を目指して進んでいく。
鎌で漕ぐ度に起きる波紋だけが、川に航路を記していた。
「……小町、頼みがある」
その航跡が、途絶えた。
「何だい?」
「もし文がまだ落ち込んでたら、元気付けてやってくれないか?」
「そりゃあ、随分と高くつく頼みだねぇ……」
「そうだな。来世にツケといてくれ」
「……お前さん、本当はどっちが好きなんだい?」
「もちろん映姫だよ。だから、映姫には俺から誠心誠意込めて詫びるつもりだ。
……文を、頼めるか?」
死神は再び船を漕ぎ始める。
彼岸はまだ遠く、手を休めていては着くのが遅くなるだけだ。
もっとも彼女らしいマイペースで漕ぐので、決して早く着くわけではないのだが。
「向こうに着くまで考えとくよ。それくらいの時間はあるだろ?」
神様は空にいる。
そう最初に言い出したのは誰なのだろうか。
それは、きっと海の果ては空に続いていると信じたから。
水平線を越えた先の、遥か遠くから神様は見守っている、と。
そう考えた人がいるのならば、意外と真実に近い所を見ていたのだろう。
海ではないが、海のように広い三途の川。
その水平線の向こう側には、確かに閻魔がいるのだから。
「紫色の桜……か」
「ああ。罪深い魂が宿る花だね。
ここの魂は一番最後に還されるから、まだ映姫様も仕事が残ってるんだろうね」
三途の川を渡り終え、辿り着いた彼岸。
小町が必死に送った魂は、(大半が罪人だったのだろうか?)桜の木に宿り、裁きを待っていた。
「……っと、それももう散りそうだ。もうすぐお前さんの番だよ」
それも残るは一枝。桜は散り際とは言うものの、これでは散りすぎだろうか。
花は散ったとしても、それらはいずれ土へと還り、次に咲く花の力に変わる。
全ての魂は裁かれ、各々の道を歩み、そしてまた生を受けるのだ。
「ほらほら。なんて顔してんだい。まさか、ここへ来てビビってる訳じゃないだろ?」
「小町……お前、わざと言ってるだろ」
「あ、あはははは。何言ってんだいお前さんは。あいつのことならあたいに任せなって。
その分のツケは、しっかりと来世の渡し賃に回すけどね」
「――そっか。なら、安心だ」
軽く跳んで、彼は船から降りる。
無縁塚から吹く風が最後の桜を散らせ、空に舞い上げていくのが見えた。
「残念だが、あたいが送ってやれるのはここまでだ。ここから先はお前さんの道だよ。しっかり歩いてきな」
「ああ。死んでも足はあるからな。ちゃんと歩いてくよ。……よい休日を、小町」
背を向けて彼は歩いていく。
振り返らずに、覚悟を決めて、既に散った桜並木を歩いていく。
それは全ての死者が辿る道。
言い換えれば、黄泉路とも言えるだろう。
何にせよ、彼岸を知らない彼にとっては、迷わずに済んだことが幸いだろう。
目的地までは一本道だから、迷いようがないのだ。
「それがあたいの見た、あいつの最後さ」
「そうですか……」
60年に一度。大量の死者の霊によって幻想郷の花が咲き乱れ、この無縁塚にも大量の彼岸花が咲く。
逆を言えば、それ以外の時期の無縁塚は、何もないとても寂しい場所だと言えるだろう。
最後の一人を送った後は滅多に霊も来ないので、最近は死神も開店休業である。
「では、それ以上のことを知っているのは……」
「間違いなく、映姫様だろうね」
あれから文は、毎日のように無縁塚に来ている。
突撃取材と称しては、小町を掴まえて情報を聞き出していた。
曰く、閻魔の裁判とはどのようなものなのか、
曰く、死神の渡し舟の乗り心地はどの程度のものなのか、
曰く、裁かれた死者にはどのような道があるのか、などなど。
面白さを重視して記事を書く彼女にしてみれば、至極真面目な質問である。
「でも、あたいもあれから、映姫様に会ってないしねぇ……」
「何か、あったんですか?」
しかし、それも当然のことである。
それらは、全て彼に関する事柄なのだから。
小町もそれは承知している。彼はこういうことも予想していたのだろうか。
「いやぁ。正確には、彼岸まで船を出せなくなった、ってトコだね。
あたい一人で船を出しても、すぐに前も後ろも霧で真っ白になっちまうんだ。
そのくせ、あたいの能力で距離を縮めれば、こっち側には帰ってこれるんだよ。おかしなもんさ」
「そう、なんですか……はぁ……」
文は肩を落とし、ため息をつく。
その様子に、慌てて小町は明るい口調で付け足した。
「いやほら、きっと映姫様だって誰にも会いたくない時があるってもんじゃないかい?
そうだ、一つ昔の面白い話をしてやろう。あれはずっとずっと前の、映姫様が風邪をひいて……きゃんっ!?」
どこからともなく卒塔婆が飛んで、小町の眼前を通り過ぎ、地面に突き刺さる。
小町は恐る恐る、文は勢いよく振り返ると、そこには
「……私が風邪をひいて、どうかしたというのですか。小町?」
白黒つける裁判長が、そこにいた。
「映姫さんっ!」
「映姫様っ!?」
「お久しぶりですね。まぁ……最近、私が少々引き篭っていたせいもありますけど」
映姫の口調はいつも通り穏やかで、様子も特に変わりはない。
だが、その当たり前が、今は逆に不自然なのだ。
「……小町、何をそんなに驚いているのですか?」
「い、いやぁ。映姫様が無縁塚までいらっしゃるのは珍しいなぁって……」
「裁く霊がいなくなれば、私も休暇くらい頂きます。
ここ数日は少々立て込んでいたのですが、私だってたまにはこちらに来たくもなりますよ。
……用件も、あることですしね」
『裁く霊がいない』
それはつまり、彼の裁きも済んだということである。
先程から口を出さず、じっと見詰めるだけの文に向き直ると、映姫はゆっくりと口を開いた。
「私の用件は、文……あなたにお話があります。――正確には、○○のことについてですが」
「私も○○さんのことについて、映姫さんにお聞きしたいことがあります。答えて頂けますか?」
「ええ、あなたから質問して頂けるのなら話は早いですね。
ヤマザナドゥの名において、嘘偽りなく答えましょう」
映姫は文の隣に腰を降ろす。
今までは、その二人の間に彼がいたのだが、今はもういない。
小町も文も実感してしまう。もう彼がいないことを。
「では、お聞きします。
映姫さんは……○○さんに、どのような判決を下したんですか?」
「少し長くなりますが、答えましょう。
有罪か無罪か、で言えば有罪です。全ての者は罪を背負って生まれて来るのです。
無罪の者は、皆無と言っていいでしょう。
私の説教は生前の罪の精算であり、それでも足りない罪を負った者は、地獄で罪を償うのです。
ここまでは宜しいですね?」
「……はい」
「そりゃ映姫様の説教を聞いてたら、かなりの贖罪にな……」
シュンっ!!
近距離から放たれた卒塔婆が、小町の鼻先を掠めて虚空へ飛んで行った。
「小町。人の話は黙って聞くものですよ?」
「は、はーい……」
そんな二人のやりとりに苦笑しつつ、文は背を正した。
「では、聞き方を変えますね。
○○さんは、どこへ行ったんですか?」
どこへ行ったのか。
それはつまり、映姫の裁きの後のことだ。
地獄か、冥界か。はたまたそれ以外のどこかか。
「……閻魔は公明正大でなければなりません。個人的な関係があったとはいえ、減刑する訳にはいきません。
彼の罪は、決して少なくはありませんでした。結果として、彼には相応の償いが必要になります」
「そう、ですか……」
少なくない罪。
相応の償い。
映姫は明言を避けたが、文は肩を落とした。
全く予想していなかった訳ではないが、こうして知らされるのはやはり辛い。
「――ですが、罪の償い方が1つきりとは限りません。
外界の法では、禁固刑、懲役刑、罰金刑などがあるように、生前の罪の償い方にも方法があります。
どうも、地獄の責め苦の印象ばかりが強いようですが……地獄で償うのは、余程の悪人だけです」
「じゃ、じゃあ○○さんは……!」
「償う方法は、その罪と本人がどう向き合うかで決まります。彼は、彼の道を歩いていますよ。
……だから、あなたもそんなに落ち込まないでください。
会おうと思えば、また会えるんですから」
「「……え?」」
声が、ハモった。
「え、映姫?何でバラすんだよ!?」
「まったく。恥ずかしいなら付いて来なければよかっただけでしょう?」
「あいつの声……?」
「でも、どこから……」
「彼はここにいますよ。この中です」
映姫は、自らの帽子を脱ぐ。
そこには……。
「なっ………」
「ぷっ、くくく……」
「ああもう笑うな小町ーーっ!!」
手の平サイズに縮まって、腕を振り上げて怒る、小さな彼がいた。
「……今はこんな姿ですけど、60年も経てば私くらいには大きくなるでしょう」
「あの、映姫さん。どういうことなんですか?」
「小町のお目付け役にはちょうどいいですし、私も人肌恋し……じゃなくて、信頼できる副官が欲しかった所なんです。
これが、彼の選んだ贖罪の道ですよ」
「それ、映姫さんの希望も含まれてませんか?」
「……否定はしませんよ。私も女ですから」
結果として、死しても彼等の絆は途切れる事なく
「ほらー、○○さん全然呑んでないじゃないですか」
「こ、こんな身体でコップ1杯なんて空けられないだろ!?」
「ふふ。約束でしたから、今夜は朝まで呑みましょうね♪」
むしろ、それをきっかけとして深まったとも言える。
「おーい小町ー、休憩時間終わりだぞー」
「ゆっくり確実に仕事をすることがが大事なんだよ。だからあと10分延長だ」
「……それ、10分前にも聞いたぞ?」
それでもまた、ひとときの別れが訪れるのならば――
「さて、今日の被告の資料は出来てますか?」
「で、出来てるけど……重い……」
「……仕方ありませんね。半分持ちましょう。今後に期待しますね」
せめて――再会を望む物に、彼岸花を手向けよう。
時はまた流れ、季節は廻り、それはまたやってくる。
「うわ……もう花畑になってるぞ」
「まあ、60年前もこうでしたしね」
60年前と同じく、大量の霊によって幻想郷の花は咲き乱れていた。
「な、何だい?あたいは真面目にやってるよ」
「……まあ、これから忙しくなるんでしょうけどね。しばらくは休めないでしょう」
「花じゃ記事にはなりませんけど……みなさんの働きぶりなら記事になりそうですね」
赤に染め上がる無縁塚。
見渡す限りに広がる赤い絨毯を見遣り、思うことは人それぞれである。
「しっかし、何で無縁塚に来る霊は、彼岸花にばっかり宿りたがるのかねぇ。
紫陽花とか朝顔とか、花ならいっぱいあるじゃないか」
「そりゃ当然だろ?」
死者の気持ちは、死者が一番よく知っている。
彼もまた一度死んで、別れを経験したのだから。
「彼岸花の花言葉、知ってるか?
『また会う日を楽しみに』 だってさ」
映姫:恋人 小町:同僚兼悪友 文:異性の親友 みたいなのが書きたくて配役しました。
彼岸花の花言葉は他にも、「悲しい思い出 」「想うはあなた一人」などがあるそうです。
さらに補足。白花曼珠沙華という白い彼岸花もあるらしいです。無縁塚も紅白ですね。
彼の死因ってなんだったの? 構想段階では病死でした。
ヒロインは映姫様なの? そのつもりですが何か?
実は文にも脈あったんじゃ? 書いてたら文の株が急騰しました。反省。
映姫様職権濫用じゃない? そうかもしれませんw
雑談スレで「登場人物多いと複雑で大変です」って言ってた割には、実は前に書いた物の方が多いという罠。
人数うんぬんよりも、キャラに対する理解と文章表現の熟練度合いの問題でしょうね。それでは失礼しました。
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最終更新:2010年05月11日 13:55