大砲

■大砲とは
大砲(たいほう)は、火薬の燃焼力を用いて大型の弾丸を高速で
発射し、弾丸の運動量または弾丸自体の化学的な爆発によって
敵および構造物を破壊・殺傷する兵器(武器)の総称。

■近代の大砲
19世紀の頃の大砲には以下の特徴がある。

□駐退機
駐退機が発明される以前は、発射の度に砲全体が反動で大きく後退してしまう為
その度に元の位置に戻して再度照準を合わせてから射撃を行う必要がある。
結果的に、攻撃精度が低く、射撃速度も遅かった。

1840年代から、バネ式装置を用いて、砲身のみをある程度の距離を後退させ
ながら反動を抑える駐退機が開発されるようになった。
その中で、1897年にフランスが制式採用したM1897 75mm野砲は世界で初めて
液気圧式駐退機復座機を搭載し、現代火砲の一般的な形式となった。
この結果、射撃速度が上昇し、速射砲と呼ばれる火砲が登場した。

□ライフリング
砲身にライフリング(螺旋状の溝)を施すことで、精度も速度も増し、射程が
伸びることがわかった。 このような新しい砲が登場したのは南北戦争からである

□後装式
後ろから弾丸を装填する方法によって、装填する時間が短縮された。
さらに火薬、砲弾と分けて装填しなくても一気に装填する事が可能になった為早くなった。

□長距離射程
最前線で砲兵が直接視認可能な敵を撃つ砲から、後方から
「弾着観測によって視界外の敵を狙い撃つ」砲へと大きく姿を変える事となる。

■様々な砲

□12ポンドナポレオン砲
1853年にフランスで開発された野砲。 南北戦争で広く使用された。
ナポレオンは「ナポレオン3世」を意味する。前装式滑腔砲であり、
榴弾、実体弾、キャニスター弾、ぶどう弾を使用できる。馬に牽引して移動できる軽量で
1マイル遠方先のもの破壊できる。

□ライット・システム
1855年 フランスの前装式施条砲で、戦場での最初の施条砲だと見られる。
榴弾、榴散弾、ぶどう弾共に3000 mの射程を有している。

□M1897 75mm野砲
1897年 フランスに採用された口径75mmの野砲である。
世界で初めて液気圧式駐退復座機を搭載した野砲の革命児。間接照準砲撃は行えないが優れた。
射撃精度と速射が可能。 フランス第一次世界大戦の主力兵器。

□13インチ列車臼砲
1861年 アメリカ軍が南北戦争で使用した列車に搭載された臼砲で後の列車砲の始祖。

□パリ砲(カイザー=ヴィルヘルム砲)
第一次世界大戦期 ドイツ軍がパリを砲撃するために製造した巨大な列車砲である
超巨大砲と考えられている。 

□マレット砲
イギリスが1857年に製造した世界最大の臼砲である。
クリミア戦争で実践投入される予定だったが、戦争に間に合わず実践投入されなかった。
巨大砲でありながら、分解して運搬可能だった。

■弾
□ぶどう弾
弾子を詰め込んだ前装滑腔砲用の砲弾で、帆走軍艦の索具類破壊と
人員殺傷を目的に考案され、ヨーロッパにおいて16世紀から19世紀にかけて用いられた。
子弾は砲撃と同時に飛散し始めるため、射程距離は短い。施条砲の出現により使用が困難になった。

□キャニスター弾
対人用砲弾である。 ケース、キャニスターは共に容器の意味で、筒状の容器内へ大量の散弾を
詰めてある。発射後に容器が飛散して、バラ撒かれた散弾が広範囲の敵を殺傷する。
だが砲弾が拡散する性質上、有効射程は極端に短い。
キャニスター弾は後装砲唯一の直接照準射撃用散弾として残る。

□焼玉式焼夷弾
19世紀後半まで使用されていた焼夷弾の一種である。 鉄などでできた砲弾を砲弾加熱炉で
加熱してから発射し、目標に火災を発生させる。  

□榴散弾
19世紀から20世紀半ば頃まで使われた対人、対非装甲目標用の砲弾。砲弾内部には
球体の散弾が多数詰まっており、目標手前上空で炸薬を炸裂させ、散弾をばら撒き人や馬を
殺傷させる。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2013年09月15日 00:01