■ケルトの女神 ダナーン
▲ブルーブラッド 城島月子
ケルトの女神、ダナーンの血を引く娘達は、かつての女神、太陽の巫女としての立場を失い、小さな妖精となりはてた。
その中で最も高貴なる血脈を保ち続けたのが、城島月子の一族である。
ユーラシアを東へ渡り中国の隠れ里に暮らしていた彼女は、稀代の陰陽師、玖珂英太郎によって、一族を根絶やしにされた末に玖珂家に引き取られる。
(図解:吸血鬼P126)
光太郎は知らぬことだが、ブルーブラッドとしての月子の神格が漏れ出している。
月子がそこにいるだけで、病室は聖地と化してしまうのだ。(中略)
状況が極端化すれば、人々は自らの食、自らの肉すらも月子に差し出す。故に月子の血族は吸血鬼(ブルーブラッド)と呼ばれていた。
(石神迷路の解 p142-143)
▲ブルーブラッド
次の瞬間には元は人間と同種とは思えないほどの恐るべき速さで暗がりが飛び出した、何人ものブルーブラッドが、棒と槍とで
英太郎を刺し貫いた。(中略)
どれもが美しいブルーブラッド。それゆえの醜悪さを感じて遅れて着地したふみこは、顔をしかめた。
http://blog.tendice.jp/200608/article_9.html
ふみこの言葉を無視し、こちらだと言う英太郎。見つけたそれは小さな聖堂だった。
十字を掲げていたが、それは、それとは縁もゆかりもない邪教の聖堂であった。
方角からしてそれは立てられた場所が逆であり、墓は墓でなく、小さき家のようであった。
http://blog.tendice.jp/200608/article_10.html
◯聖堂の方角
聖堂の方角は、キリストでは通常は東にある。 方角からして建てられた位置が逆である。
■関連質疑
Q:「図解 吸血鬼」p.059 城島月子の項によれば、ケルトの女神ダナーンの血を引く娘達が
落ちぶれて、小さな妖精になったもののうちの高貴な血筋であると記述されています。
元は人間だったというのは、ダナーン自体でしょうか、それともダナーンと子をなした相手が人間だったという意味でしょうか?
A:歴史的にはダナーンも人間ですよ。我々の神話でも神には歴史上の人物が含まれています。
Q: ダナーンが人間であったということならば、元は人であったものが偉大なことを成してしまったが
ゆえに過去が書き換わって神となったということでしょうか?
A:いいえ。単に同じものをそれぞれの世界の言葉で言っているだけです。
その手の神話の場合、英雄も神も人も、たいていはみんな同じものです。
Q:なぜ月子だけ床の下に匿われていたのでしょうか?
A:姫君だったからですよ。
Q:月子は人間を食料としていたのでしょうか?
A:はい。
Q:ケルト神話のヌアザを連想しましたが何か関係有るのでしょうか?
A:ないです。
Q:ブルーブラッドは「人を食う存在を造る魔術」のようですが、英太郎やふみこが「品種改良」とか言っている
あたり、ブルーブラッドは科学的(?)に言うと、そういう風に遺伝子操作された存在であってそれ以上ではない、と考えるのは間違っていますか?
A:質問は明確にしてください。読みにくいと回答も遅れます。
ブルーブラッドが遺伝子操作された存在かという質問に対してはノーです。基幹技術が違います。
Q:ブルーブラットってなんですか?
A:吸血鬼のことです。
Q:ブルーブラッドの子供は、「月子」という名を与えられたことでブルーブラッドではなくなった、という理解でよいのでしょうか?
またこれをもってブルーブラッドの血筋は滅んだ(英太郎たちの依頼達成)ということになるのでしょうか?
A:そういううがった見方もできるかも知れませんが、常識で言えば言葉遊びにしか見えないでしょうね。
http://blog.tendice.jp/200608/article_7.html
■ディナ・シー
ディナ.シーは、アイルランドに住む妖精で 体長20~30cmの人間の姿をした高貴な妖精たちである。
彼らはまるでヨーロッパ中世の宮廷に暮らす王侯貴族のようで、それ以外の者は騎士のような姿をしている。
また支配者然とした風貌にぴったりの暮らしを送っている。
スコットランドの妖精は王を中心にしない「平和好きの人々(ピースオブピープル)」であるのに対し、
アイルランドの妖精は、王を中心とした暮らしをおくり、妖精の国を構え、決闘や狩猟、領内での争いごとや
騎馬行列に熱中する。この騎馬行列の事を「妖精騎馬行列(フェアリー・ライド)」という。
妖精の世界には、年に3度のお祭りがあるという。5月の宵祭りは、収穫をめぐる戦いで、妖精は出来の良い穂を
手に入れるため、美しい草原で戦う。 盛夏の宵祭りは、聖ヨハネを祝うもので妖精の丘全てで篝火を灯す。
11月の宵祭りは、冬の始まりを知らせるもので妖精たちは意気消沈し、幽霊と一緒に踊ったりするという。
また、ハローウィン 古い言葉で万聖節の前の日(諸聖人の日の前の晩(Hallow Eve)→(Halloween))には
妖精たちは人間たちの世界に戻ってくるとされている。
アイルランドで巨石文化を作ったとされるトゥアハ・デ・ダナーン神族は、女神ダヌを母体とする種族である。
その後、ケルト人の祖であるミレシアの息子たちがこの地にやってきたその戦いの後に、ケルト人は地上に住み、ダナーン神族は
地下を支配するという契約を結ぶ。ダナーンはケルト人に崇拝されることになったという。
その後、時代が経つにつれ、ケルトの神々は次第に崇拝されなくなり、供物も捧げられなくなり、人々の頭の中で
妖精は小さくなっていった。その結果、ディナ・シーになったとされる。
(新紀元社 妖精 ディナ・シーより抜粋)
さらわれた赤ん坊や花嫁は血のぬくもりのない妖精の国で暮らすことになる。
言い伝えによれば、そこでの暮らしは幸せだという。
だが、最後の審判の日に、このような人間は、輝く気体になって溶ける運命にある。
霊魂というものは、悲しみなしには生きられないからだ。
この「1ペニーで喜びが買える」国の白い石の扉や他の扉から、物語の王や王妃、王子たちが
たくさん入っていったのだが、妖精の力は次第に小さくなっていくのでその悲しい記録の中にはいまでは農民しかいない。
(ケルトの薄明 人さらいより抜粋)
女王の姿:黒い髪と金の飾りという印象を受けた。
「女王と妖精たちが人間をさらって行くというのは本当ですか? もしそうなら連れ去った者の代わりに、他の魂を置いていくのでしょうか?」
すると女王は答えた、「私たちは体をとり替えるのです。」
「妖精たちの中で、人間に生まれる前にあなたたちの仲間だった者はいるのでしょうか?」「います。」
「それは誰ですか?」「それを知ることは、私たちの掟では許されないことです。」
「女王とその一族は、私達が持っている気分を劇的に現したものなのでしょうか?」すると娘が言うには、
「女王はわからないようです。しかし妖精はとても人間に似ていて、人間がすることはたいがいするのだ、と言っています。」
(中略)
「注意せよ、我々のことを、多く知ろうとしてはいけない」。
占星術師リリーが「女王よ、妖精の女王よ、来たれ(レギーナ、レギーナ、ピグメオルム、ヴェニ)」
(ケルトの薄明 女王よ、妖精の女王よ、来たれ より抜粋)
■メーヴ
メーヴ女王は凛々しく美しい方で、どんな敵もハシバミの杖で打ち負かしてしまうんですよ。
なぜって、ハシバミは神聖で、手に入れられる最上の武器なんです。 それを持っていれば。世界中を歩いて行けるでしょうね。
だけどしまいには、とても気難しくなってしまうんです。 とっても気難しくね。そんなことは、口に出さないのが一番ですよ。
本と聞き手の間に放っておくが、いちばんいい。
私の友人は、ロイの息子 ファーガスと、メーヴ女王との出来事が、老女の頭にあったのだろうと思っている。
(ケルトの薄明 そして美しく怖ろしい女たち)