第八話
喧嘩勃発から一週間・・・・夏真っ盛り。
優馬「あっつ・・・・。なんだこの異常気象・・・・。」
隼人「おっけ!腹の傷も癒えたぜ。」
優馬「どうした。傷が直ったぐらいで。」
隼人「決まってんだろ!あいつらにもう一度勝負を申し込む!!」
優馬「え!?この暑いなか、よく戦う気になれるな・・・・。」
沙織「全く、喧嘩バカね・・・・。」
その時、会話を裂くように施設内に放送が流れた。
熊坂「M機関の少尉諸君、至急「水中訓練場」に集合せよ!以上。」
優馬「水中訓練場?・・・ああ、プールか。」
沙織「じゃあ、行きますか。」
訓練場前に辿り着き、扉を開けると、そこには先輩少尉に同期の少尉たちが集まっていた。一体、何をしようというのか。
熊坂「よし。これで全員だな。」
伊織「上官、これからなにをするんです?」
隼人「・・・おっ、伊織先輩もきてたのか。」
熊坂「うむ。皆、今この50m.プール二つは水を抜いてある状態である。そこでだ。きみたち少尉にプール掃除を任せることにした!」
少尉たち「え~――――?」
大輔「おおっ、掃除をすれば泳げる!この暑さも吹き飛ぶ!」
鈴菜「ニャハ~・・・。暑い・・・。」
和也「・・・フン。」
熊坂「伊織!」
伊織「ハイ。」
熊坂「オレはこれから任務言い渡しに行ってくる。ここの統制はお前に任せたぞ。」
伊織「承りました!」
熊坂「ではな。」
扉を閉め、熊坂は行ってしまった。
伊織「う~ん、プールは二つあることだし、ここは二組に分かれて掃除を始めよう。」
分かれる方法はグットンパに決まり、二組とも手にデッキブラシやたわしを持って掃除を始めた。
沙織「なんだ、こっちはレギュラー全員いるじゃない。」
隼人「もしかしてこれは、あの三人を叩くチャンス!?」
優馬「またグットンパか。」
少尉「あっついな・・・。はやく泳ぎてぇ・・・。」
少尉「ホントだよな。さっさと終わらせようぜ。」
優馬たちと違う組の少尉たちはまじめに掃除をしている。そして作業開始から10分、レギュラー組の方のプールに変化が現れた。隼人はプールサイドに腰掛けている和也に尋ねた。
優馬「おっ。和也くんに掃除しろって注意しに行くのか。やるじゃん隼人。」
隼人「なあ。」
和也「・・・!・・・お前か。・・・なんだ?」
隼人「ちょっと提案が。耳かせよ。」
沙織「隼人なにやってんの?」
優馬「注意してるようには見えないな。」
隼人「・・・・というわけだ。」
和也「・・・フン。なんだお前は。ガキか・・・。」
隼人「まあ、こうやって「戦ってみる」のも面白いだろ?」
和也「・・・ちっ、・・・よかろう。さっさと奴らに伝えろ。」
隼人「おーい。このプールを掃除して奴らは聞いてくれ!」
少尉たち「・・・・・!」
優馬「どうしたんだよ。」
隼人「今から『夏のプール掃除恒例のプールホッケー』を始めたいと思いまーす!」
沙織「はあ?」
優馬「何?プールホッケー?・・・ていうか、いつから恒例になったんだよ。まだ入隊して半年だろ・・・。」
大輔「なんと!新種の戦か!?」
鈴菜「面白そ~!わたしもやる~♪」
和也「ルールだが、まずは二組に分かれる。各組、プールの両端をゴールとしゴールキーパーを1人決める。あとは両組、デッキブラシなどを使って石鹸を移動させゴールへシュートする。多く得点を取った組が勝利となる。試合時間は7分。しかも石鹸があちこちを移動するため遊べて自然と掃除もできて、一石二鳥だ。(隼人談)」
伊織「こらこら。そんなことしちゃダメだよ。上官に怒られるぞ?」
沙織「あの、きちんと掃除もできるらしいですよ?」
伊織「ああそう、じゃあ僕は参加しないよ。無関係だよ。なにかあったら君たちの責任だからな。」
隼人「じゃあチームを決めるぞ!グットンパだ!」
そしてチームは分かれた。優馬・隼人・沙織がいるチームと大輔・和也・鈴菜がいるチームできれいに分かれた。
隼人「おっしゃ!このチーム最強!」
沙織「こんなことしたら、余計に暑くなる・・・。」
優馬「それにしても、またグットンパか。好きだな。・・・この作者。」
大輔「おおおお!負けられぬ~!!」
鈴菜「わたし、こういうの好き~♪」
和也(・・・しかし、なんでオレはこんなままごとをしてるんだ・・・?)
少尉「なんだなんだ?あっちのプールの奴ら、なにか始めようとしてるぞ。」
少尉「ったく、こっちはマジメしやってんのに・・・。」
そしてプール掃除・・・いやハチャメチャプールホッケーが幕を開けた。
少尉「こっちには和也くんがいるから楽勝って感じね。」
少尉「でもあっちには、Mスクールを首席で卒業した
皆本優馬がいるんだぜ?」
少尉「大丈夫だって。行くぞ!」
大輔「むおおおおお!!燃えてきた~!!つぇいっ!!」
大輔は優馬チームの少尉を数人まとめて、デッキブラシで打ちのめした。その数人は腹を打たれ、エビのように体をそらせ吹っ飛んでいった。
大輔「敵将、討ち取ったり~!!」
鈴菜「大輔、違う違う!ルール聞いてた!?」
大輔「おっとしまった。オレとしたことが、つい熱く・・・・。」
和也(もとから熱いがな・・・。)
隼人「げっ!そんなのありかよ。デッキブラシで叩くなんて反則だぜ!」
大輔「すまぬ!これからはマジメにやろう。」
すると鈴菜の足元に石鹸が転がってきた。
鈴菜「よーし、わたしがスーパーシュートきめてやるもんね♪」
優馬「なに!?」
沙織「ゴールキーパー、気をつけて!」
鈴菜「ドラゴン・ファイアーーーーーー!!(シュート名)・・・・・ありゃ?」
鈴菜は石鹸の泡でツルツルの床で足を滑らせ、デッキブラシを石鹸にかすらせただけであった。そしてべシャッと音をたて床に倒れこむ鈴菜。
鈴菜「やっちゃった~;」
和也「ちっ!使えんやつめ!」
隼人「ドラゴンファイアぁ!?スローすぎてあくびが出るぜ。打ち返してやる!」
隼人は勢いよくデッキブラシを石鹸に叩き込む!それは和也チームのゴールに猛スピードで突き進んでいく。
和也チームのGK「・・・は、速い!こんな石鹸止められない!」
そして石鹸はシュートされた。壁に当たり、石鹸は動かなくなった。
優馬「よーし、一点先取だ!グッジョブ!隼人!」
沙織「このままの調子でいくわよ。」
隼人「よっしゃ!」
優馬チーム:1
和也チーム:0
鈴菜「うえ~ん、わたしがミスったばっかりに~!」
和也「消えろ。貴様のような雑魚はこの和也チームに必要ない。」
鈴菜「ニャハ~・・・・。そこまで言わなくても・・・。」
大輔「いいではないか。和也。失態は誰にでもある。・・・しかし、敵ながら見事なデッキブラシ裁き・・・。
平岡隼人、侮れん。」
和也チームGK「よし、こっちボール(?)だな。」
そういうと和也チームのGKは壁に当たって動かなくなった石鹸を手に取り、和也に放り投げた。
和也GK「たのんだ!」
和也「ふっ、こんな茶番、さっさと終わらせてやる!」
デッキブラシを巧みに操り、優馬チームのディフェンスを軽々と抜いていく和也。するとその前に沙織が立ち塞がる。
沙織「抜かせない!」
和也「・・・無駄だ。」
呟くと和也は先ほどの隼人動揺、石鹸を思い切りデッキブラシで叩いた。猛スピードで宙を舞う石鹸。それは沙織の顔面に鋭く直撃した。
沙織「ぐお・・・・っ!・・・・野郎!」
優馬「沙織さん、大丈夫!?」
沙織の顔面から跳ね返った石鹸はプールの床に落下。そしてすかさず和也が石鹸をデッキブラシで拾い、そのままシュート。優馬チームのGKに石鹸が迫る。
優馬GK「は、速い!」
隼人「させるかー!」
優馬チームのGKの前に隼人が立つ。猛然と迫りくる石鹸を隼人はデッキブラシで打ち返した。
和也「・・・なに!?」
隼人「たのんだぜ!優馬!」
隼人が打った石鹸が飛んでいく方向にはすでに優馬がスタンバっていた。飛んでくる石鹸をデッキブラシで受け取る優馬。和也チームのGKに迫る。
大輔「ぬお、石鹸を打ち返し、さらにその先には味方が。そしてゴールを狙うとは、なんという奇策!!」
鈴菜「ニャハハッ♪やってくれるじゃない。でも、さっきの失態を取り戻しちゃうもん!」
優馬の前には鈴菜が立ち塞がった。・・・しかし。
優馬「そこかあああああ!!」
優馬がシュート。打たれた石鹸は猛スピードで加速。鈴菜の両足の間をすり抜け、和也チームのゴールにまたもや石鹸は叩き込まれる。
和也GK「そんな・・・。」
沙織「やった。二点目!」
優馬チーム:2
和也チーム:0
鈴菜「え~ん!またやられちゃったよ~!」
和也「貴様、今すぐオレの村正で切り殺されたいのか!?」
鈴菜「だって、石鹸の速さが・・・・!」
和也「言い訳は聞きたくない。」
鈴菜「わかったよ~。今からは絶対ミスしないから~!・・・・和也、熱くなりすぎだよ・・・。」
大輔「よいではないか和也。あれは敵の策。予測できなかったのだ。・・・しかし、あのような奇策を使ってくるとは。一度、戦場(いくさば)で剣を交えたいものだ。」
残り時間2分。
―――任務司令室
国木田「久々の任務になるな、成宮。」
成宮「まあ、そうですね。」
国木田「今日のお前の任務は、少しレベルが高い。」
成宮「と、言いますと?」
国木田「先ほど「立花防衛軍」からの通信があってな。正体不明の敵の大群と戦闘中のようだ。しかも、防衛軍はほぼ壊滅状態である。」
立花防衛軍。2001年、ゴジラが横浜を襲撃した際に目覚しい活躍をみせた地球防衛軍の主力。その軍が壊滅だという。
成宮「敵の大群?どういうことです!?」
国木田「そんなことはどうでもいい。今は時間が惜しい。お前は同期の
北原奈菜を連れて、立花防衛軍の援軍として現場である、東京湾に向かえ!場合によってはまたこちらで編成した部隊を数隊向かわせる。いいな。」
成宮「・・・!御意!!」
―――水中訓練場
優馬チーム:2
和也チーム:0
で、試合は終了。
大輔「・・・・無念!」
和也「全く、この敗北はすべてお前のせいみたいなもんだぞ鈴菜。」
鈴菜「ごめん~。でもさ、和也だってこの試合を茶番って言ってたじゃん。その茶番に負けて悔しいの?」
和也「茶番でも敗北は敗北だ。」
隼人「オレたちの勝利だ!へっへ~ん。」
沙織「痛っ!さっき顔面に石鹸当てられたのが、まだ痛む・・・。」
優馬「これで、あいつらには借りは返せたな。」
―――地球防衛軍本部入口
北原「なんですって!?」
成宮「とにかく、オレたちはさっさと東京湾に着いて奮戦せねばならん。地球防衛軍の主力をここで、なくさないために。」
北原「わかった。ここは私たちのチームワークの見せ所ね。いくわよ、和村!」
成宮「・・・ああ。」
優馬たちが楽しんでいる最中、成宮和村と北原奈菜は東京湾へと走った。
最終更新:2007年08月26日 17:31