今日は大切な日だ。もちろん忘れてるわけはないさ。

~ゴードン先生の一日~

オレはけたたましく鳴り響く目覚まし時計の音でようやく目を覚ました。うるさくて敵わないそれを、オレは叩くように止める。
オレの名はダグラス・ゴードン。職業は教師だ。
自分の部屋を出て、リビングに続く階段を降りていくと、ほのかに滴る朝露の香と一緒に、朝食のいい臭いがしてきた。・・・・今日の朝飯はコンソメスープか。オレは台所を覗いた。
「あらあなた、おはよう」
そこに立っていたのは俺の妻、杏奈だ。
「ああ」
オレはそっけなく返した。結婚してからもう随分経つが、いつ見ても杏奈はキレイでみとれる。
「朝食ならもうできてるわよ?」
よく見るとテーブルには既に料理が整然と並んでいる。
「・・・お前、なかなか用意がいいな」

食事も終わり、オレはさっさと仕事へ行く仕度を済ませた。
「あなた、いってらっしゃい・・・絶対生きて帰ってきて」
「・・・ああ」
いつもどおりの朝。だが、今日は特別な日だ。そう、あいつにとって、特別な・・

~学校~
尾崎「おい風間、給食は残さず食べろよ」
風間「悪いな、エビは嫌いなんだ」
そういって風間はエビフライを食管へ戻そうとした。
尾崎「やめろ、風間!」
風間「いいか、ひとつだけ言っておく。給食の残飯に手段なんて選んでいられない。お前のその優しさは、学校では命取りだ」
尾崎「優しさがなくて・・・どうやって残飯0を目指す・・?」
それを聞いた風間は尾崎の胸倉をぐっと掴んだ。
風間「だからお前は甘いんだ・・・!いいか、俺はベジタリアンだ。野菜のために生まれてきた。・・・セロリじゃない。エビが嫌いなんだ。」
それを聞いた尾崎が風間を殴ろうとする。
ゴードン「尾崎、やめろ!」しかし、ゴードンは顔面を殴られてダウン。
小室「尾崎!」優等生小室もゴードンの二の舞だ。
美雪「男って、ガチガチの筋肉バカばかりだと思っていたけど・・・あなたみたいに筋肉バカかつ、軽薄な人もいるのね」
となりでみていた音無美雪は教師を殴った尾崎に呆れた。
北村「ヒャーハハハハハッハ!・・・・実に面白い」
彼らを哀れむようにはたから笑う北村X。
ゴードン「全く・・・なんてクラスだ」

そんなゴードン先生の苦労は職員室でも絶えない。
波川「ゴードン先生!」
ゴードン「ちっ・・・!」
教頭の波川。こいつはオレの天敵だ。
波川「あなたはこの学校の評判を沈めるつもりですか!今回ばかりは、職員会議も免れませんよ!」
ゴードン「うるせえ!現場に出ねえ奴がガタガタ抜かすな!・・・・黙ってろ!」
波川は言葉につまって机をドンと叩いた。
ゴードン「ダグラス・ゴードン、帰還する」
そう言ってゴードンは家へと帰還した。

~帰り道~
「今日もつかれた・・・・」
そんなゴードンはふと、足を止める。
ゴードン「キャンディ、何故こんなところにいる?」
足元にいたのは杏奈のペット、犬のキャンディだった。
「キャンディ、お前は先に家に戻ってろ。」
それを聞いたキャンディは、いやしかし・・・という顔をした。
ゴードン「いいからいけ」
しぶしぶキャンディは家への道を歩いていった。それと同時にゴードンはある店を見つめていた。
ゴードン「ほう、こいつはいい手土産ができたじゃねえか」

夜遅く、ゴードンは家の前にたどり着いた。玄関前では、さっきのキャンディが尻尾をふって待っていた。
ゴードン「何だ、先に戻ってろって行ったろ」
キャンディと一緒に家の中へと入っていくゴードン。そして玄関には妻の杏奈が待っていた。
杏奈「・・・おかえりなさい」
ゴードン「・・・ああ」
そういってからゴードンは、あるものを差し出した。
ゴードン「・・・探したんだが、こんなものしか見つからなかった。」
そういって、ゴードンはケーキを取り出した。
…今日は杏奈の誕生日だったのだ。そう、つまりは特別な日とはこのことだった。
杏奈「自分も忘れてた・・・・ありがとう・・」
杏奈の目尻は、すこしだけ光っていた。

今日も、彼の一日は終わった。いや、始まったんだ・・・新たな生活が・・

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最終更新:2007年05月24日 01:53