過信
人間とは身勝手過ぎる、
宇宙の中心は地球や神は一つしかない、
地動説が証明され銀河を見つけ、火星にバクテリアの化石を見つけても自分らしか生命はいないと断言する。
自分らを特別だと傲慢な考えをしている者達こそ普通で普通だと考えている者達こそ特別だと未だに気付かず。
捜査は意外にも着々と進んでいったが犯人象は浮かばず時間を無駄に浪費してしまった。
又チャーチル事件だけではなく、他の事件もそれぞれ捜査本部は置かれていたが、マスコミに叩かれ今では解散されてしまった。
中ではストラウスみたいに諦めず独自で捜査する者もいるが、大事件の割には規模が余りにも小さく書類上では存在していないことになっている。
「どうしますか~刑事?」
ウォルターは捜査が進んでいないので気分転換しようと言ったので、この古城みたいな屋敷にある中庭で少し気を休めようと言うことになった。
「なんだ?愚痴はもう聞かんぞ。」
「あ、いやそういう訳じゃないけどねちょっと気になってね、」
「確かあの優男、親族の誰にも引き取らなかった、普通ありえないことです、後もう一つはメディアの報道の仕方です。」
「そうか?俺は普通だと思うけど」
ウォルターはやや意外そうな顔をする。
「おや刑事なら気づいていたかと思っていました。」
「まず警察に対しての批判です。普通あんな報道したらどっかのライバル企業が『遺族に対して失礼じゃないか?』と批判一つは起きなければおかしいでしょ?」
ストラウスは成る程って顔をした。
「後もう一つ各報道機関の責任者にそのことを聞きに行くと何も答えず逃げてしまいます、又その実態を掴みかけたもしくは話そうとした人らは自殺、他殺、行方不明」
「待て!そんな話し聞いていないぞ!」
ストラウスは大低関連性がある話しのことは、ほとんど自分の耳に入っているはずと思っていた。
「それはですね、え~とまずこの事件とそれとは無関係として別の捜査本部が作られました、だから刑事の耳に入らなかったんですよ。」
しかしストラウスはその話を反感を感じ
「おかしいだろ!?もしかしたら有力な証拠が出てくるかもしれないのに、向こうが何かと調べるのはともかく、何故連携をとろうとしなかった!?」と正論を説いた。
「はい、そのことがあり連携体型をとる又は合併する予定だったらしいでしたが・・・」
「成る程、ちょうどその時にマスコミの暴論に圧されて。」
ウォルター、ストラウスは今の会話で自分らがどれほど小さいものなのか圧倒された。
「しかもその時の捜査資料が機密扱いになっていますから。」
「なあウォルター、何かこれは仕組まれてないか?こんな都合良く偶然が起きる訳が無い。」
「となると誰かが裏で弾いている。」
「それが事実だとするとかなり巨大な組織が暗躍していることになりますね。」
「イギリス中のメディアと警察をコントロール出来るとなれば警察内に内部通信者がいる。」
いつになく真剣な顔で
「それだとあの坊ちゃんは。」
「全く関係のない子供、って事はないが、本当に巨大組織が存在していたら市役所の戸籍ぐらい簡単だ。」
二人とも顔見合わせた、この話が事実なら自分らの仲間の誰かが内部通信者となる、なんせ事件のスタート地点でもありたった一人有力な事件の鍵を持っているのにも関わらず生きているこれほど重要な手掛かりはない、だから内部通信者がいても不思議じゃない。
「・・・・ハハお前いつも阿保なこと言っているけど意外に頭いいんだな。」
「酷いですね刑事~・・・でも余り核心に近付き過ぎると。」
「最後の生き残りでもあり最後の鍵でもある人間が殺されることっていうことですね刑事さん。」
「!?」
後ろにはあの少年がいた、話に集中しすぎたせいか彼が近づいているのに気付きもせず聞かれてはならいことを、べらべら喋ってしまった。二人は回りに気を配らなかったのを心底後悔し一気に青ざめ言葉を失ってしまった。
「い いつから?」
「マスコミの所から」
『殆どじゃん』
彼は少し苦笑いという純粋な反応をした。
「気にしないでください前から薄々気付いていたので。」
「そうか。」
よく考えたらこの状況で自分だけが安全だと考える人はまずいない、いるとしてもよほど自信があるか、その事実を認めたくないかだ。
しばらくの間トーマスと話しをして、中庭をたち去った。
翌日
いつものように白手袋を付け城をあさくっていた。
「これはなんですか?」
「これは旦那様の日記でございます。」
「ほぉよく押収されなかったな。」
その日記はさすがは、貴族の日記なだけあって少しインテリ的だった。
ストラウスはその日記を自分の後から部屋で読もうかと考えながらページをパラパラっと扇子を開くかのように流す。
しかし途中で違和感があった。
そこはちょうどチャーチルが行方不明になる前日の日付だった。
「誰かに破り捨てられていたのか・・・・」
「うっすらと何か書いた後が残ってますね。」
ウォルターは欠けていた次のページに指を指す。
そこは確かに凹みによって何か文字が見えていた。
「すみませんこの日記色々といじってもいいですか?重要な証拠が出てくるかも知れませんから。」
「いいですよ、それの方が亡くなった旦那様の無念も晴れせると思いますし。」
その日記をウォルターに渡しチャーチルの部屋へ向かって行く。
チャーチルの部屋はやっぱり古風の部屋だった、しかしストラウスはこの部屋に対して、少し異質に感じた。
美術鑑定についてど素人な彼でも感じた、この感覚。
(なんだ?この感覚は)
この感覚は実を言うと、ここだけじゃない他の部屋でもあった。
トーマスの部屋の周辺は特におかしい、門やたいていの通路はいうほど感じなかった。
しかしこれはどういうことか?
「あの~刑事?」
「ん何だ?」
「さっきの日記なんですがやっちゃいます?」
「何をだ?」
ウォルターが良からぬことを考えているのは顔でわかった。
「これを署に届けず自分らでやっちゃうのは?」
ストラウスは一瞬怒鳴りつけようとしたがある意味いい考えと思った。
自分らが今欲しいのはあくまでもページにある凹みの文字なのだ、他の証拠はどちのみち後から出てくる。
(そうするか・・・)
ウォルターはおそらく昨日の話を本当という前提でこの案を出したんだと思うが
「よし!いいだろう。・・・・ところでウォルター」
「なんですか?」
「この部屋に違和感を感じないか?」
「怖いこと言わないで下さい幽霊だのそういうのは苦手なんですから。」
ストラウスはこいつに聞くべきじゃなかったと思った。
「とりあえずこう言うのはキャルロンが得意だろ、呼んでこい。」
「よしきた!」
しばらくしてキャルロンがやってきた。
彼女はこの捜査前からの知り合でもあり、鑑識でもある。
「と言うわけなんだが・・・」
「刑事、無理です一応これは署に送って精密検査をするべきです。」
キャルロンは正論をぶつけた。
「そこを何とかして下さいよ~美人で綺麗なキャルロン様~~ッガブゴギ!?」
ウォルターはまたもや鉄拳が入った。
「いくら言っても無駄!第一道具もないのに」
「殴らなくてもガク・・・」
そんなウォルターと違って真面目にストラウスは率直に聞いた。
「やはり無理なのか?何とか向こうに知られずにしてほしいんだが」
「その前に何故知られたらいけないんですか?」
ストラウスはしまったと思った。
今の会話がどうのこうのじゃなくこれからもこのように自分で墓穴を掘るようなことをしないかと心配した。
「私に言えない事情ならわかりましたけど・・せめて質問には答えて下さい。」
「これは上の命(めい)あってのことですか?」
「うぅっ・・」
正直に答えるか迷った。
何とかウォルターとアイコンタクトをとろうしたけど向こうは全く気づいていなかった。
(はぁ全く)
「いや上とは全く関係ない。」
「なら何故?」
彼女が正論をかわすたんびに自分が嫌いになってきた。
昨日ウォルターが言っていたことをまともに受けたことがマズかったかしかし実際このようにしなかったおかげで悲惨な最後を遂げた。
ストラウスもどうせ最初で最後だから規則を破っても構わないと腹の奥底で考えていたことを今この瞬間に気付く。
「すまないが今は言えないそのうち話す。」
「・・・いいわでもそのうち話して。」
「あの日記に鉛筆で強すぎないぐらいに全体的に塗ってみて下さいもしかしたら文字が浮かぶかもしれません。」
その言葉を言い残して部屋から出る。
早速ストラウスとウォルターは鉛筆を使い文字を浮かび上がらせた。
その文字の内容は
「今日でハッキリしたトーマスは・・・・・(文字が浮かばない) だった、だったら今この屋敷にいるトーマスは一体誰だ?奴は自分が思っているほど甘くはないだろう、もう既に信頼出来る者は生ける死体となり
私が消されるのも時間の問題だろう。
もしこの日記を見てる者がいたとしたらトーマス貴様だ!
貴様がこの日記を見ていると言うことは既に私を殺した後だろ
追伸
もしトーマス以外の誰かがこの日記を読んでいたのなら
この事件を解決して下さいこれは私達にとって理解に苦しみ、我々の知力を超えた物です現に(ここも文字が浮かび上がらない)
そしてあいつの心臓にクイを打ち込んでこの謎を幕に閉じて下さいそれだけが願いです。」
と半ば意味不明な所がありまた肝心な所がわからない
クラウスの時と同様、文法的にもおかしく
日記と言うより遺書に近い物だった。
念のため写真を撮ってその日記を自分のカバンの中に入れた
最終更新:2011年07月30日 13:43