捜査許可


「カスミンティ刑事ですかああ知ってますよその刑事。」

 ストラウスはあの電話の後部下に連絡を取り、バスでビックベンへ向かう、さすがに全員は揃わなかったが何とか集まった。

 「いいんですか?カスミンティは信用できません。」 

 「仕方ないだろ今は頼れる人間はいないんだから、おっここだ。」 
 ストラウス達は金を入れビックベンの所へ歩いた、しかし待ち合わせた場所が(ビックベンの下)と言うだけで、具体的な所は何も知らない。

 「刑事、何故ちゃんと具体的に電話で言わなかったんですか?」

 「向こうが勝手に切ったんだ、あんなのがよく刑事になれたな。」

 ストラウス達はビックベンの回りや中まで行ったがカスミンティはいなかった。

 「いませんね・・・・」

 「あのおっちょこちょいが!最後まで話を聞かなかったからな。」

さすがのストラウスめキレた、(前もキレたが)
わざわざ無理して皆を集めここまで来たのに、来ていないと言うことだった。

ストラウスは手を震わせながら。

「もう少し探しておけ・・・・私は頭を冷やしてくる」

 そう静かで低い声を発っし去って行った。

「なあキャルロン、なんか今の恐くなかったか?」

 ハットンは小声で言う。

 「さあね日本のことわざで触らぬ神に祟り無しってあるわ」 
 「どう言うことわざだ?」みんながキャルロンに視線を向ける。

「忘れた。」

(どどっ)

キャルロンの回りにずっこけた男がいたせいで異様な風景になった。

 そのおかげで

 「母さんあの人ら何してるの?」

 「シッ!見ちゃダメよ!」    

 という具合にストラウスの部下達は不審者扱いされる。

「ふう」

 ストラウスはスターバックスで珈琲を注文し席に着いた。

 ストラウスは考えた、あの廃工場で何があったかを、例の銃撃が起き数日後、すぐに鑑識の者が調べつくした、ある意味異例でもあったが、すぐに本部が派遣したのだ。

 しかし、工場からには事件と関連がある物が一つもなかったと言う報告だった。(もしくは上が隠蔽したか)

 カバンに入れていたチャーチルの日記を開き1から読み直した。

 トーマスが現れた頃は『驚きを隠せない』とかそんなものだった、おかしくなり始めたのは中間の後半からだった。

 ある日、いきなり青年が現れた、その青年の年齢は約17歳身長170cm少し痩せた感じだったらしい、恐らくストラウス達が見た老人の持っていた青年の写真だろうと仮定している。

 『この少年は一ヶ月もたたない内に自分の権力構図をかき変えてしまった。』


 それからの日記は、もう意味不明な文章ばかりで、また『まだ生ける屍になってない友人に会う』とかもうオカルト的な話になっていた。


 よくこの日記に出て来る生ける屍とは何か、まずそれの正体を掴むことを先決にする。

 ストラウスがこのように色々考えこんでる最中に、「面白そうな日記ですな」とイキナリ後ろから声が聞こえた。

 驚いたストラウスは後ろを向くと、「待ち合わせ場所はビックベンじゃなかったのか?」と声をかけてきた。


 「お前がカスミンティか?」

 「そうだ。」

 「何処にいた?お前を探していたんだぞ」

 ストラウスが怒りながら腕時計を見せた。


 「カスミンティ、今がちょうど待ち合わせ時間になっているなのにビックベンから片道10分かかるスターバックスにいるのは何故だ?」

 「フッ」

 カスミンティが笑い捨てた。

 「聞いて驚くなよ、ストラウス俺がここにいるかを」

 カスミンティから凄く気迫のある目でこう答えた。

 「財布落として歩いてここまできたんだ~~~~(約3キロ)」

 「・・・・・」

 ストラウスは呆れて何も言わなかった。

 プルルル「はいもしもしストラウス刑事何かありましたか?」 

 「ああキャルロンか?カスミンティをスターバックスで見つけた、ビックベンの橋で待っておけ、少し時間がかかる。」

 「はいわかりました。」プッ


 「どうしたんだ?」

 「カスミンティを見つけたらしいわ何故かスターボックスで」

 ハットン達は首を傾げてキャルロンに問いた。

 「あ~確かビックベンだったよな?待ち合わせ場所。」 

 「ええそうよ。」

 「なんで?」

 「さあ」

 そんな会話を続けながらビックベンの隣にある橋へ行った。

 「なあキャルロン何か知ってるか?」

 不意にハットンが言った。 

 「何を?」

 「あの銃撃戦どう考えたってストラウスとウォルターを殺ろうしたにしか思えないんだが・・・」

 キャルロンはストラウスとウォルターがあの屋敷で不審な行動していたのを思い出した。

 ストラウスは(その時になったら話す)と言ったが今ウォルターが死んだこの状況だからこそストラウスに告白してもらおうと思った。

「別に何も知らないわ。」 

 それから十数分後ストラウスとカスミンティがやってくる。

「いや~具体的な場所聞かなかったからな~。」

「具体的な場所を話す前に切ったのはそっちだろ、しかもスターバックスでウロウロしていたくせに。」

キャルロン達と合流したストラウスは結局、近くの喫茶店で話すことにした。

「だからよ、名目上では執事メイド不審死事件の捜査ってことにしてほしいんだよ。」

 テーブルを囲んで何度も同じ単語を繰り返していた。 

「上の言うことは俺にまかせて・・・」

「常識知らずでちゃらちゃらした奴の言うことなど信用できん。」

「ストラウス刑事一度この賭けに乗ってみません?」

 キャルロンが意外なことを言った。

 「今この状況だと進展がないのは一目瞭然仮に犯人を決定づける証拠を見つけても自由に動けません、第一中には別の捜査に回された者だっているんですから。」 

 「・・・・そうかよし、お前の指揮に入る誰か意見がある奴は手を上げてみろ。」

 意外にあっさりしていたがストラウスは覚悟をした声で言った、しかし誰も手を上げなかった。

 「ストラウスんじゃ俺上の所へ言ってくる。」

 カスミンティが言い外に出ていく。

 「いいんですか?仮に捜査が復活しても、あいつの指揮下に入ってしまいますよ。」

 ストラウスは返事を返さずにマスコミのことをを考えた、カスミンティは自信満々だったがどうやってマスコミの反発を避けるか、そしてその壁を越えたとしても、どうやって上を動かすか。

 ストラウスは捜査の前にそっちの方で力を使いきりそうだった。

 捜査許可は案外すんなり許可を得た。

 この魔法みたいなことをどうやってやったかを聞くと、(いつも上のワイロ現場を盗撮したり、怪しげなことを立ち聞きしたりしていたから、それをネタにしてやった)と言った。

 ある意味色んな所で恨みを買い仕返しをされそうでで不安になってきた。

 しかしあくまでも警察署内のことで世論が許さない、だからそっちを何とかするまでは正式に許可を与えることは出来なくなったらしい。

 「ストラウス刑事、意外にカスミンティ刑事はやりますね・・」

 ストラウスの部下の一人マイクが言った。

「あの自信はここで出てきたんだな、多分マスコミの方もな・・・・」


 そこへ

 「ストラウス刑事こちらへ。」

 キャルロンが手招きして奥の部屋へ誘った。

 その部屋は資料倉庫だったので少しカビ臭い臭いがただよっている。

 「・・・・そんで今ここで話せって訳か?」

 「はい、あの時何の話を?それが原因であなたは殺されかけたんですよ!?」

 「なら尚更だあの時ウォルターが軽はずみな考えが原因でこんなのになったらな・・・」

 「第一自分はそれが余りにも非現実的だったからお前に知らせなかったんだ。」

 キャルロンは首を横に振って、答えろと言う顔をした。

 「ふう・・・わかった、だが失望するなよ一応自分はウォルターが死ぬまで単なる妄言として捉えていたからな」

 と嘘をついた、理由は言う間でもない、しかしストラウスはなんであんな話をまともに受けたのか今でもわからないからだ。

 「実はな・・・・」

 話は十数分で済んだ。

 最初はキャルロンも疑いの顔を見せたが。

「確かに馬鹿げた話ですね・・しかし実際に刑事とウォルターを中心に殺そうとした・・・」

 「しかし、これを理由に殺そうとした確証はない、だがその反面他に理由が思い当たらない。」

 そしてキャルロンもウォルターと同じ心配をし始めた、それは内部通信者がいること。

 ストラウスはもう一つ考えた、トーマスあの青年がばらしたのではないかと。

 「どっちにしろ今結論出来ることじゃない、それにこんなに長く話をしていたら何言われるかわからない。」

 そう言って資料室から出て行った。

 「あっストラウス刑事何の話してたんですか?カスミンティ刑事が待ってますよ。」

 「わかった。」

 応接室へいくとカスミンティがコーヒーを飲んで待っていた。

 「よお、待ちくたびれたぜ。」

 呑気に手を振っていた、ストラウスは確かに、さっき部下言われたよう、この刑事の指揮下に入ると思うて腹立ちを感じた。

 「マスコミの方で自分らの力が必要なのか?」

 「あったり~よく分かったな。」

 「お前なら簡単に上司を脅せる野郎だマスコミも同じようにしてるだ ろ、しかしお前はマスコミに何もしないままここに来た
これだけで十分わかる。」 

 カスミンティは少し苦笑いをして話し出す。

「ハハ、キツイな実はな今はこの不況の中だリストラになり奴はかなりいる。」

「なら、むしろ世論に反しない報道しかしないような気がするが」

「しかし会社が潰れるとしたら?」

ストラウスはカスミンティの意図がわからなかった、会社が潰れるならなおさら保守派になると思う、一人だけの問題ならわかるが会社レベルとなるとそんな賭けに乗ることはしない。

ストラウスはこれじゃあ何も解決にならない、マスコミにばれないよう捜査許可をもらえるようにするのが適切じゃないのかと思った。

「いいから任せろ。」

それを言い残しカスミンティは部屋から出て行った。

「どうでしたか?」

「・・・・・・・・・・胃薬をくれ少し横になりたい」

「さ~てと、行くか・・」 

ストラウスが腹痛で倒れているのとは裏腹に全く逆に彼は気楽にパソコンをいじりに行った。

「全くストラウスは固いな~別に世論はラジオやテレビ、新聞だけじゃないのにな~」












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最終更新:2012年02月13日 09:56