電子対生成

  • 電子対生成
光子のエネルギーが1.022 MeVを超えると陽電子と電子を生成し、消滅することがある。
この現象を電子対生成という。

五十鈴「対消滅とは逆に、原子核の電場によって光から電子と陽電子を作り出す反応よ。」

七海「1.022 MeVっていうのは何か意味があるの?」

五十鈴「もちろん。電子の静止エネルギーは覚えているかしら?」

七海「えっと…だいたい511 keVだよね。」

五十鈴「そう。陽電子も同じ質量だから同じエネルギーよね。ってことは511 keVのものを2つ作ろうと思ったらその2倍、1022 keV = 1.022 MeV必要になるでしょ?」

七海「でもどうして2つできるの? 電子単体でもできそうだけど…」

五十鈴「それは電荷の保存則ね。電子と陽電子のペアじゃないと電荷が保存されないでしょ?」

七海「なるほど!」

五十鈴「詳しい理屈は時間があればコラムで話すけど、電子と陽電子の運動エネルギーは違う値になる、電子対生成の断面積は物質の原子番号の2乗に比例するということを覚えておいて。」

七海「ちなみにこれ陽子は作れないの?」

五十鈴「作れるけど、陽子の静止エネルギーは931 MeV、陽子対生成を起こそうと思ったら2 GeV近くのエネルギーが必要となるから難しいわ。」
最終更新:2018年07月03日 21:28
添付ファイル