五十鈴「
加速器は私より詳しい友達、通称
加速器たんがいるからそっちに説明をお願いするわね。」
七海「友達?」
梨花「こんにちは。佐倉梨花(さくら りか)よ。」
五十鈴「
加速器とか放射線物理は実は私より梨花のほうが詳しいの。」
五十鈴「『
加速器の説明は私がしたい!』っていうから連れてきたわ。」
梨花「放射線物理も呼んでくれれば私が説明したのに。」
五十鈴「主任者対策なら梨花の知識いらないのよね。」
七海「まあ、ほどほどに...」
五十鈴「
加速器のページ作っていいから詳しい話はそっちでしてね。」
梨花「はいはい、じゃあほどほどにしておくわね。」
梨花「まず加速方式の話からするわね。今から紹介するコッククロフト・ワルトン型加速器とヴァンデグラフ型加速器は静電型加速器と呼ばれているわ。」
七海「静電? 静電気のこと?」
梨花「そうよ。静電気っていうのは"電圧があるけど電流はない"っていう状態ね。」
梨花「電圧は電気的な高さ、電流は名前の通り電気の流れよ。」
七海「電気を水みたいなものだと考えたら、高さの差はあるけど、水は流れてない状態ってことだね。」
梨花「静電
加速器っていうのは要するに電気的な高さを作り出して、そこに電荷をもった粒子を転がして加速するイメージよ。」
七海「うーん。なんかイメージがわきにくいかも」
梨花「原理としては下敷きをこすって静電気をおこすのと同じね。下敷きにプラスの電荷が溜まって...って話聞いたことない?」
七海「あ!髪の毛がひきつけられるやつだよね!」
梨花「引き付けられるってことは、引力が働いているってことだからその力を受けて粒子は加速するわ。原理自体は単純なのよ。」
七海「ってことは電位差を大きくすればするほどいいんだね。」
梨花「理論的にはそうゆうことよ。現実は電位差を大きくしすぎると絶縁破壊という現象が起きてしまってダメなんだけど、細かいことはいいわ。」
コッククロフト・ワルトン型
加速器
コンデンサと整流器を積み重ねることで高電圧を生み出し、荷電粒子を加速する。
梨花「これを使うと元の電圧よりも高い電圧をかけることが出来るの。といっても得れるエネルギーは低いんだけどね。」
七海「コンデンサの数を増やしたらダメなの?」
梨花「理論上はそうなんだけど、そうするとコンデンサや整流器が電位差に耐えられなくなるの。」
梨花「この
加速器を使った研究でコッククロフトとワルトンはノーベル賞を受賞しているわ。リチウムに陽子をぶつけることによってヘリウムの原子核を人工的に作ることに成功したのよ。」
梨花「コッククロフト・ワルトン型では電子も正電荷を持ったイオンも両方加速できるわ。」
ファン・デ・グラーフ型加速装置(ヴァンデグラフ加速装置)
絶縁体のベルトに電荷を載せて電極を運んで電位差を生み出す加速装置。
梨花「主に陽子やイオンの加速に使用される装置よ。電子も加速できるけどね。百聞は一見に如かずというし実物を見てもらったほうが早いわね。」
梨花「左の大きな銀の玉の表面部分に電荷をためて電位差を作り出すの。」
七海「電荷はどうやって運ぶの?」
梨花「絶縁ベルトというものに電荷を載せて輸送するのよ。」
七海「うーん、なんか加速するイメージが湧かないなあ。」
梨花「上のほうに正電荷がどんどんたまれば、負電荷はそこにひきつけられて加速されるでしょ?」
七海「磁石と同じだね。」
梨花「ちなみに、最初に加速するときは電子が多い陰イオンの状態で加速して、そのあと電子を剥ぎ取る方式があるの。」
七海「電子を剥ぎ取る...ってことは陰イオンが陽イオンに変わっちゃうよね。」
七海「上の部分には正電荷があるから...陽イオンは反発を受けるよね。」
梨花「そうね。その反発を利用すれば一つの装置で2回加速することが出来るわ。」
梨花「こういう2回加速する加速器をタンデム加速器といって、東海村にある原子核物理研究なんかに使う加速器などでもこの方式で加速をしているわ。」
梨花「次は線形加速器の話をしていくわね。」
梨花「線形加速器はライナックとかリニアックって呼ばれることも多いわ。理論的なエネルギーの限界はないから、大型のものを作ればそれだけ高いエネルギーまで加速することが可能よ。」
七海「なるほどね。」
梨花「本当は定常波型と進行波型の説明をしたいんだけど、主任者試験にはほとんど出ないし、電磁気の知識が必要になってくるからここではやめておくわね。」
梨花「というか位相速度とか群速度の説明するのめんどくさいから...」
七海「じゃあ線形
加速器は何を覚えておけばいいの?」
梨花「さっき言った定常波型と進行波型の二種類があるっていうのと、これも電子・イオン両方の加速ができること。それと高周波電場を使って加速しているということ、あとはシンクロトロン放射がないこと。」
七海「シンクロトロン放射ってなに?」
梨花「荷電粒子が制動を受けたらX線が発生するでしょ? 円形
加速器だと粒子を周回させるから、そのときにシンクロトロン放射っていう光子、特にX線を放出するの。」
梨花「その分だけエネルギーが失われるから、円周
加速器だと加速できるエネルギーに限界があるわ。」
梨花「そのために今より大きいエネルギーが必要となる素粒子実験用
加速器はこの方式で作られているのよ。ILC(国際リニアコライダー)とか。」
最終更新:2018年06月09日 21:15