(757年)
レリィ「
ディアーナ…「ヴィル見なかった?」
ディア「ううん、今日は見てない」
レリィ「そう…」
「またどこか見に行ったんだと思うよ「1ヶ月ぐらい戻って来なかったりするもの」
「……「そうね……」
(ディアーナ)
―――記憶が戻ってからのレリィは
―――笑わなくなった…
―――ごはんもあまり食べてないと
エリンは言う
―――男の人嫌いもひどくなった…
角を曲がったところで
シャンクに会ってびくっとするレリィ
―――ヴィルがいてくれたらいいのに(どこに行ったんだろう…)
―――魔導師団はレリィに対する再度の記憶制御は行わないという決定を下した
―――以前に行った記憶制御があまりに多くの記憶を封じてしまったから
▼没プロット
レリィ「わたしが自分で解決するべきだわ」
ヴァルト「解決できなかったら?」
レリィ「死ぬんじゃない?」(ややむっとした無表情)
覚えてる。
ヴィルはわたしを守ってくれた。
赤い壁を背にして振り返ったあなたを、わたしは覚えてる。
白と赤。
白と赤。
わたしは、覚えてる。
小さいときに、夢を見た。
暗い部屋。真っ黒い模様の描かれた壁。
床にママが座って眠ってる。
起こそうとしたら、人形みたいに倒れた。
次の日、わたしはどこかに引き取られて。
何日か後、パパとママが死んだと聞いた。
ずっと後になってから気づいた。
あれは夢じゃなかったんだ。
『レリィは』
にっこり笑ってほめてくれるはずの姉は、まるで関心がないかのように背を向けた。
『できる子なんだから、当たり前でしょ』
それが幼い妹に対する嫉妬であったことを、レリィは生涯気づくこともなければ許すこともできなかった。
―――わたしなんて、さっさと捨てられてしまえばいい
―――結婚して子供を産んで……巫女の血筋を残して、もう用無しだ
―――結婚? 子供? そんなのできっこない……
レリィ「わたしは巫女だったから生きててもよかったんだ。巫女じゃないなら……死ぬしかないじゃない!」
ヴァルト「どうして?」
レリィ「だってそんなの誰も許さない……!」
ヴァルト「誰かに死ねって言われたの?」
レリィ「わたしは邪魔な人間だから死んだ方がいいんだ!」
ヴァルト「じゃあ、死ねって言われたらそれだけで死ぬの?」
レリィ「わからない……わからない……!」
声をつむぐ唇は、色褪せてもなお美しい。
ヴァルト「贅沢なお嬢さん「お前の欲しがってるのは"永遠の幸せ"だ「この地上のどこにもない」
レリィ「あなたは、なんにもわかってない!」
ヴァルト「わかってもらえるとでも思ってたの?」
ヴァルト「せいぜいがんばんなさい「見ててあげるから「ずっと
コンコン 声
「レリィさんいます?」
のろのろと起き上がるレリィ 窓開けて
レリィ「なに…?」
シャンク「こないだの人からリンゴです、今年とれた「巫女様にお礼にって」
―――"巫女様に"
―――わたしじゃないわ
レリィ「いらない」
シャンク「え」
レリィ「もらいたくない」
シャンク「……「返すわけにもいきませんよ?」
レリィ「ディアーナにあげて」
窓閉める
ディアーナ「レリィ!「リンゴ「一緒に食べよう?」
レリィ「…………」
―――もしわたしが巫女じゃなかったら…?
―――わたし
―――他になにもない
ディアーナ「私「レリィが巫女じゃなくても一緒にいるよ」
―――それはディアーナが誰とでも仲良くできるだけ
レリィ「…そう」
―――ディアーナは頑張ってるよね
―――女王なのに
―――
アリエンもエリンも…
―――なにもしてないのはわたしだけ
ヴァルト「妄想だね」
レリィ「なら妄想しかできないわたしは死んだ方がいいんだわ」
ヴァルト「最後まで聞きなさいって」
コウと話をして
レリィ「そうよ「あなたが正しくて、私が間違ってる「だからわたしが死ねばいい
(レリィとシーク)
レリィは布団をかぶってむせび泣いていた。その背に窓からの夕日。
シークェインはベッドに腰掛け、その背中をなでてやる。
「そんなに泣くな「…なんで死にたいなんて思うんだ」
「…………」
レリィの瞳が遠くかすむ。
「楽になりたいから」
「死んだ後が楽だって保証はあるのか?」
「霊界の魔物に食い尽くされて終わり。他になにもないわ」
「死んだらもうなにもできないんだぞ」
「消えるのが……わたしの夢だった。最近気づいたの。ずっとそうなることを望んでた」
両膝を抱えて顔を伏せる。
「少し羽目外すか」
「おれは「おまえがそうやって八方ふさがりで頑張ってるのを「見るのがつらいんだ」(レリィじーん)
「……だから、おれのためだな「こんな所まで連れてきたのも「…まあ、謝らないんだけどな」
「巫女だからとかそんなのは考えるな。誰もいらないなんて言うな。おまえはおれがもらってやる」
真摯で力強い空色の瞳が、レリィをじっと見据える。レリィは弱々しく首を振った。
「あなたもきっとわたしを捨てる…」
「あほう。そんなもったいないことできるか」
(レリィとシーク)
「役立たずの巫女なんて死ねってみんなが思ってる!」
「思ってない」
「思ってるのよぉ!」
「妄想だ、あほう」
「わたしは妄想しかできない馬鹿だから死んだ方がいいのよ!!」
「なに言ってる!」
「男が戦いで死ぬのは当たり前だからしょうがない
「でもおまえが死ぬことないだろう」
「おれの目の前で 「死ぬな」
レリィ「シーク 「わたし 「おかしいの
「人の事がどうでもよくなって 「自分だけ楽になればいいと思ってる
「たくさんの人の命 背負ってるのに 「死んで楽になりたいと思ってる」
レリィ「シーク 「殺して」
シーク、後ろから抱いたままレリィの首に手を回す。
シーク「死ぬのは 「怖いぞ 「痛いしな」
レリィ、安らかな顔。
レリィ「死ねば 「もう…感じない」
シーク
「うぬぼれるな。人間が死ぬのはおまえのせいじゃない「全部を全部救うなんて、できっこないんだ」
ベッドに寝ているレリィ
ディアナ「レリィ 「窓開けていい?」
レリィ 「…………」
カーテンを開けるディアーナ。
寝ているレリィの背中に日が当たる。
ディアナ「天気いいよ 「
シュリアストに乗せてもらってどこか行こう?」
レリィ無言。
ディアナ「レリィ、行こ?」
レリィ 「…いい」
シュリア「無理矢理にでも連れ出した方がいいんじゃないか?」
ディアナ「無理矢理はよくないよ」
シュリア「俺の方は蹴られようと引っかかれようと連れて行く覚悟はあるが」
ディアナ「…じゃあ、今度ね」
―――生かされていたのは巫女だから?
―――巫女の血が絶えてはならないから?
―――ディアーナだけだったね
―――わたしと同じ立場でわたしのことわかってくれるの
―――でもそれも幻想
―――あなたは誰にでも愛される女王
(BALLADRY没)
「―――そうか。事情は大体わかった。……レリィ、」
呼ばれて、彼女は顔を上げる。
「当面、治療には当たらないでくれ。霊界への出入りは一切禁止だ」
コウはそうとまでは思わなかったが、それはレリィにとって死刑宣告とも言えた。
レリィ「わたしは巫女だったから生きててもよかったんだ。巫女じゃないなら……死ぬしかないじゃない!」
ヴァルト「どうして?」
「だってそんなの誰も許さない…!」
「誰かに死ねって言われたの?」
「わたしは邪魔な人間だから死んだ方がいいんだ!」
「じゃあ、死ねって言われたらそれだけで死ぬの?」
「わからない……わからない……!」
声をつむぐ唇は、色褪せてもなお美しい。
(アリエン)
―――この方(シーク)はレリィ様を守ってくださるだろうか
―――レリィ様はもう立派に大人になられた
―――巫女としても、処女でないというハンデを背負いながら、ラドウェアの歴史の中でも屈指の実力を発揮している
―――でもなぜかあの方はひどく危うくて
ヴァルト「殺してあげてもいいけど、そしたらディアーナちゃんはどう思うかしら?」
レリィ「かわいそうね」
即答だった。
「でも、仕方ないわ」
「というと?」
「すぐ死ぬような弱い人間とつきあってたなんて、不運だったっていうことよ」
再び、レリィは瞼を閉じる。深い深い溜息が漏れた。
「それに、あの子は強いから。わたしがいなくたってやっていける。……あの子じゃなくたって、死んだ人間のことなんて三年も経てば忘れられる。―――人間なんてそんなもんよ」
「悟ってますな」
茶化しているのか感心か、その口調からは窺えない。表情からはなおさらだ。
「彼氏はどうすんの?」
「―――」
しばし、無言の時が流れる。わずかに、レリィは目を開ける。
「わからない」
生気のない無表情のまま、レリィは言った。
「ティグから聞いた?」
「何を?」
「わたしの両親ね、心中したの」
ヴァルトの片眉がわずかに上がる。
「……初耳」
「コウの所にいてわかったの。子供を一番愛してるのは親だわ。でもわたしの両親はわたしを捨てたの。わたし、」
紫苑の瞳が、遠くを眼差す。
「一番愛してくれるはずの人たちに、捨てられた」
「そんな人間が今さら……今さら他人の愛情を信じるなんて、できると思う?」
不意に、涙がこみ上げた。
「こんな欠陥人間が生きて普通の暮らしをするなんて……できっこない。あの人と一緒になんか……いられない」
「どうせ望まれなかったのなら「生まれなければよかったのに「生まれなければ「死ぬこともない「ディアーナが泣くこともない」
「クズのままでも生きてられるよ?」
「そんなの人が許すわけない」
「レリィ「ヒトの御機嫌うかがわなきゃ生きるコトもできないの?」
「今までだって「人の言いなりで生きてきたようなものだわ」
「死にたいって一言言えば、競って手を差し伸べてくれる連中ばっかなんだから、世の中捨てたもんじゃないよ?」
「ちがう」
一言の元にレリィは否定した。
「ちがう。わたしは本当は死んだ方がいいのに、わかってない」
「“本当は”って何?」
眼差しがレリィをつかんだ。魔に捉えるように、ヴァルトの目が大きく開く。
「お前は一体どんな“真実”を語る事ができるの?」
「そうやってはぐらかしたって事実は変わらないわ」
「事実、ね」
元の目に戻って、ヴァルトは含み笑った。
「残念、レリちゃんのは真実じゃなくて妄想」
反論しかけるレリィの口に、ヴァルトは指を当てた。
「レリちゃんが生きてるだけで嬉しいって人がいるのは、信じられる?」
レリィはヴァルトの言葉を飲み込み損ねて絶句したが、やがてふいと視線を逸らした。
「他人が何言ったって……」
「ああ、そっか」
ヴァルトは微笑した。
「パパとママに言って欲しかったんだ?」
「……ッ……」
ひくっ、とレリィの咽が鳴った。
「わたしは」
「うん?」
「いらない人間だから」
レリィの呼気が乱れる。
「消えなくちゃ」
開いたままの左目から涙が落ちる。
「……消えなくちゃ……」
両目を閉じると、かろうじて下睫毛(まつげ)にしがみついていた涙が、ようやく行き場を得たように流れ落ちた。
「いらない人間って、誰が決めたの?」
「……みんな……」
「そう言われたの?」
「……思ってる……みんな思ってる……。わたし、役に立たないから……なにもできないから……」
「ふーん……」
被害妄想、について言及しても今のレリィには通じないだろう。
(独り言)
「シーク「わたしは だれの代わりなの?」
最終更新:2014年01月02日 21:09