即位式
ディアーナを見守るコウ
血相を変えた
シャンクが走ってきてコウに耳打ち
はっとするコウ
シャンクに二言三言告げて走り去る
残されるディアーナ
雨上がりの水たまりに映る空
バシャッと足が踏む
正装のまま懸命に走るコウ
コウ(頼む(間に合え(間に合ってくれ―――!)
倒れ込むように部屋のドアを開けるコウ
部屋のベッドに
グラシルが横たわっている
肩で息をしているコウ、茫然
後ろに控える侍女に
コウ「なぜ…もっと早く…呼んでくれなかった…」
侍女「グラシル様に止められました」
コウ「…どうして
レリィを呼ばないんだ」
侍女「寿命だから、と…「女王の死の余波でレリィ様もお疲れのはず、これ以上の負担はかけるべきではない、と…」
まだ息の整わないコウ
薄く目を開けるグラシル
グラシル「コウか…」
コウ「……!」
枕元にすがりつくコウ
コウ「……、…、……、」
名を呼ぼうとしたがどう呼んでいいかわからないコウ
グラシル「なぜ、来た……。即位式の、最中であろう……」
答えることができず、首を横に振るコウ
静寂の中にグラシルのゆっくりとした呼吸の音
グラシル「お前は、近衛であろう……。女王の……側(そば)に、」
コウ「俺は、」
グラシルの左手を両手で握りしめるコウ
コウ「俺はずっと「ずっとあなたを「探していたんですよ……」
グラシル無言
グラシル「……すまぬ、コウ」
間
グラシル「許せ……」
間
コウ、涙をぼろぼろ流しながら、歯を食いしばって
コウ「はい……」
瞼(まぶた)を閉じるグラシル
(墓)
コウの後ろにシャンク
コウ「…いつも「会うたびに叱られたよ…「それが近衛のあるべき態度か、って…「顔合わすたびに叱られてた」
(言い出せぬまま逝ってしまった(何一つ報いてやることができなかった
コウ(雨上がりの秋空(大気は痛いほど澄んで(何もできなかった俺を責めもせず許しもせずただ(ただそこにあるだけの空
コウ「父さん…」
最終更新:2014年01月01日 15:36