風光明媚だが、生命にとっては過酷な環境であることを、這いつくばる草が物語っている。 |
船を拒む遠浅の海。 |
果てしなく続く砂、砂、砂・・・・・・。 |
海水浴以外、利用価値も無さそうな場所だった。 |
しかし、遊泳中に足がつった少女を助けたところ、その御礼にと、彼女は驚くべき場所へと導いてくれた。 |
イルカを見せるために彼女が案内したのは、天然の良港として最適な小さな入り江だったのだ。 |
結局イルカは現れなかったが、船乗りだった私にとっては、それ以上に大きな収穫だった。 |
私は、この入り江に『セルビナ』と名づけた。 |
自分の名前が地図に記されると、少女は無邪気に手をたたいて喜んだ。 |
天晶762年 グィンハム・アイアンハート |