
| ここには無数の塚山がある。 |
| 伝説によると、我らの先祖が女神によって作られ、最初に降り立った地が、ここなのだそうだ。 |
| はるか昔から、死期が近づいたエルヴァーン族は、この地を訪れて最期の時を待った。 |
| 女神に近づきたい一心で、無数の他族の巡礼者も、長旅の末に、この地で果てた。 |
| 厚い信仰心は美徳だ。 |
| 無欲も賞賛に値する。 |
| しかし、私はあえて言おう。 |
| 先ず自分の生を楽しもう。 |
| 他の生を尊重しよう。 |
| 信仰は、その次でも悪くはない。 |
| そう、ガルカの友人にも言ったら、笑われた。 |
| 人生短き者は、考える暇も無いから、それもよかろう。 |
| しかし、長く感ずる者には、色々ある。 |
| 迷いもまた多いのだ、と。 |
| それもまた真なり、だ。 |
| 天晶759年 グィンハム・アイアンハート |