46億年前、地球と言う惑星が生まれた。
地球での気体の割合のほとんどが二酸化炭素である中、
植物の誕生で光合成が行なわれたり、長い年月をかけて
地中奥深くに埋まりながら、また、生物の一部としても
二酸化炭素は組み込まれて、すこしずつ地表の二酸化炭素は減少していった。
生まれてきた生物は、少しずつ変化する環境に対応しようと定向的な進化を
続けてきた。海で生きる為に、寒さ・暑さに耐えるために、
地球の環境に対して生物は進化を続けた。
しかし、18世紀から19世紀にかけてヨーロッパで起こった「産業革命」から
大きく環境が変化していく。地中に埋り長い年月をかけ
「化石燃料」となった二酸化炭素が掘り出されて、蒸気機関などに使用された為、
埋まっていた二酸化炭素が、地表へと戻っていってしまったからである。
資源使用は今現在も続いていて、大量の二酸化炭素が空気中に還っている。
しかし、それによっていままでの数倍の速さで環境の変化が進んでしまい、
一部の生物がその環境の変化に対応しきれなくなっている。
何万年もの時間をかけて、進化をしてきた生物にとって、
ここ数十年の環境の変化は、あまりにも劇的すぎて、
対応する進化をしていくには時間が足りないのである。
二酸化炭素による環境破壊で有名なのが地球温暖化。
ある程度の二酸化炭素は自然界に吸収されるが、吸収されない分の二酸化炭素は
大気中に残り、空気中の二酸化炭素の濃度を上昇させ、それが結果的に
気温を上昇させることにつながっている。変化が身に感じられない
温暖化に比べて重要視されていない海洋の酸性化だが、
もし現実となれば、地球にとって大きな被害をもたらすことになる。
海水は弱アルカリ性である。産業革命前までではpH8.15とされているが現在
すでにpH8.10まで下がっている。この数値は今世紀末には7.70まで下がるといわれている。
これは今まででは類を見ないほどの急激な変化である。
おそらく、一番最初に被害を受けるのはプランクトン・貝・珊瑚など、
炭酸カルシウムで殻・硬質部分をを形成する生物である。
炭酸カルシウムは二酸化炭素とカルシウムが結合してできた物質である。
プランクトン・珊瑚・貝などは、海に溶け込んだ二酸化炭素の一部を体内に取り込んでいる。
それを「二酸化炭素の固定」といい、二酸化炭素の自然による吸収の大切な活動である。
中でも、珊瑚の二酸化炭素の固定量は多く、世界中の珊瑚が固定している二酸化炭素の量は、
大気中にある二酸化炭素の約2倍といわれている。
しかし、急激な二酸化炭素の増加は、殻・硬質部分を形成する生物の
二酸化炭素の固定では間に合わず、逆にその海水の酸度によってそれらの生物を溶かしてしまう。
しかも、炭酸カルシウムが溶けて生まれるものは二酸化炭素である。
さらに酸性化の被害が特に受けやすいのは初期発育期であること、
二酸化炭素によるpHの変化が一番激しいところが海洋表面であることから、
水面を浮遊するプランクトンたちには、新たに殻を形成するのが難しくなってくる。
こうしてみると、ある悪循環が見えてくる。
珊瑚や貝などの炭酸カルシウムが溶け、二酸化炭素の固定が解除される。
それによって二酸化炭素はさらに増加し、比例して海洋は酸性化、
硬質形成を行う生物も減少していく、というものである。
ここでさらに重要になってくるのが植物プランクトンの存在である。
これらは若干の二酸化炭素の固定化と光合成を行い、海中の二酸化炭素を減らしている。
しかし、光合成に必要な太陽光を求めて上昇していくと、
もっともpHの変動が激しい海面に行くことになり、植物プランクトンに悪い影響をもたらすことになる。
たとえば、植物プランクトンの生殖機能・成長・耐病性の低下である。
それらの問題が深刻化すれば、植物プランクトンが絶滅の危機
に陥る可能性も高まってくる。大事な二酸化炭素吸収源が失われることになる。
それだけではない。植物プランクトンは食物連鎖でも大きな役割を持っている。
生物は自分より弱いものを食べ、強いものがそれを食べるという「食物連鎖」
によって生活している。
実際では、植物の割合が圧倒的に多く、動物はほんの少しでしかない。
これを、今回注目している海洋の中の様子に当てはめてみる。
海の食物連鎖は、植物プランクトンを基盤として成り立っている。
植物プランクトンを動物プランクトンが食べ、それを大型の生物(魚など)が食べる、といった具合である。
具体的な数値で言えば、生物は自分の体重の十倍の食物を食べる必要がある。
簡単な例を1つ挙げてみる。体重100kgのマグロには1tのイワシを食べる必要があるとする。
1tのイワシが生きていくには10tの動物プランクトンがいる。10tの動物プランクトンが
生きていくためには100tの植物プランクトンが必要になる。ではもし、
急激な変化で海洋酸性化が起きて、植物プランクトンの数が激減したらどうなるだろう。
植物プランクトンが100t分足りないとしたら、動物プランクトンは10t分生きていけず、
そのせいでイワシは1t分生きていけず、最終的には一匹のマグロが餓死をすることになる。
それがどの海洋生物にも起きたとき、海の中の生態系ピラミッドは底辺からゆっくりと崩壊し始める。
最後にはそれが地上にまで影響していき、全生態系のピラミッドの頂点いる人間にまで被害が及ぶことになる。
今、人間によって大量の二酸化炭素がまきちらされて、地球の環境が壊されている。
温暖化により気温が上がり、環境が崩れることによって、地上の生物に影響を与える。
海洋酸性化が起きれば、海の生物までもが大きな被害を与える。
地上・海洋生物の生態系が崩れていけば生態系の頂点に立つ人間にまで必ず被害は及ぶ。
人間は地球すべてを巻き込んだ上で、自分たちの未来を壊しているのだ。
最終更新:2007年12月29日 02:35