46億年前、地球と言う惑星が生まれた。
地球での気体の割合のほとんどが二酸化炭素である中、
植物の誕生で光合成が行なわれたり、長い年月をかけて
地中奥深くに埋まりながら、また、生物の一部としても
二酸化炭素は組み込まれて、すこしずつ地表の二酸化炭素は減少していった。
生まれてきた生物は、少しずつ変化する環境に対応しようと定向的な進化を
続けてきた。海で生きる為に、寒さ・暑さに耐えるために、
地球の環境に対して生物は進化を続けた。
しかし、18世紀から19世紀にかけてヨーロッパで起こった「産業革命」から
大きく環境が変化していく。地中に埋り長い年月をかけ
「化石燃料」となった二酸化炭素が掘り出されて、蒸気機関などに使用された為、
埋まっていた二酸化炭素が、地表へと戻っていって
しまったからである。。(科学雑誌 Newton 2007年8月号より)
資源使用は今現在も続いていて、大量の二酸化炭素が空気中に還っている。
しかし、それによっていままでの数倍の速さで環境の変化が進んでしまい、
一部の生物がその環境の変化に対応しきれなくなっている。
何万年もの時間をかけて、進化をしてきた生物にとって、
ここ数十年の環境の変化は、あまりにも劇的すぎて、
対応する進化をしていくには時間が足りないのである。
現在、その環境破壊について、政府・京都議定・IPCCなど
世界レベルで対策案 が作られている。しかし、二酸化炭素の
排出量は減るどころか年々増えている。化石燃料・電気使用・森林伐採、
すべては人間が便利で快適な生活をするためであるが、
人間が便利で生活をするためには二酸化炭素を排出しなければいけない。
二酸化炭素排出量を減らすはとても難しいことである。
二酸化炭素による環境破壊で有名なのが地球温暖化である。
ある程度の二酸化炭素は自然界に吸収されるが、吸収されない分の二酸化炭素は
大気中に残り、空気中の二酸化炭素の濃度を上昇させ、それが結果的に
気温を上昇させることにつながっている。現在、人間は地球上に年間約250億トンもの
二酸化炭素を排出している。この約半分を海洋は吸収していると言われている。(世界気象機関 WMO・日本産業ガス協会資料より)
吸収されている。つまり年間、250÷2=125、約125億トンもの
二酸化炭素が海に吸収されていたということになる。
しかし、250億トンも海に溶け込んでいる中、なにも海には被害が起きないのだろうか。
海水に二酸化炭素が溶け込めば、海はすこしずつ酸性になっていく。
海水が酸性化になることによって、自然界になにかしら影響があるかもしれない。
もしそうなったとすれば、地球にとって大きな被害をもたらすことになるだろう。
海洋酸性化による、被害の可能性について考えをまとめてみた。
海水は弱アルカリ性である。イギリスで起きた産業革命前までではpH8.15とされているが現在
すでにpH8.10まで下がっている。この数値は今世紀末には7.70まで下がると
いわれている。(京都大学フィールド科学教育研究センター瀬戸臨海実験所調べ)
長い地球の歴史の中で一番大きな海水のpHの変化だ。
おそらく、海中で最初に被害を受けるのはプランクトン・貝・珊瑚など、
炭酸カルシウムで殻・硬質部分をを形成する生物である。
炭酸カルシウムは二酸化炭素と水酸化カルシウムが結合してできた物質である。(Wikipedia 炭酸カルシウム参考)
プランクトン・珊瑚・貝などは、海に溶け込んだ二酸化炭素の一部を体内に取り込んでいる。
それを「二酸化炭素の固定」といい、二酸化炭素の自然による吸収の大切な活動である。 (BBC News参考)
中でも、珊瑚の二酸化炭素の固定量は多く、世界中の珊瑚が固定している二酸化炭素の量は、
大気中にある二酸化炭素の約2倍といわれている。(日本船主協会・海運雑学ゼミナール参考)
しかし、急激な二酸化炭素の増加は、殻・硬質部分を形成する生物の
二酸化炭素の固定では間に合わず、逆にその海水の酸度によってそれらの生物を溶かしてしまう。
しかも、炭酸カルシウムが溶けて生まれるものは二酸化炭素である。
さらに、酸性化の被害を受けやすい時期が初期発育期であること、
二酸化炭素によるpHの変化が一番激しいところが海洋表面であることから、
水面を浮遊するプランクトンたちにとって、硬質部分を形成するのが難しくなってくる。
こうしてみると、ある悪循環が見えてくる。
「珊瑚や貝などの炭酸カルシウムが溶け、二酸化炭素の固定が解除される。
それによって二酸化炭素はさらに増加し、比例して海洋は酸性化、
硬質形成を行う生物も減少していく」というものである。
ここで重要になってくるのが植物プランクトンの存在である。
これらは光合成という形で二酸化炭素の固定を行い、海中の二酸化炭素を減らしている。
しかし、光合成に必要な太陽光を求めて上昇していくと、
もっともpHの変動が激しい海面に行くことになり、植物プランクトンに悪い影響をもたらすことになる。
たとえば、植物プランクトンの生殖機能・成長・耐病性の低下である。
それらの問題が深刻化すれば、植物プランクトンが絶滅の危機
に陥る可能性も高まってくる。
逆に海洋内の二酸化炭素が増え、植物プランクトンたちの光合成が活発化するとする。
一見、海洋にとって良い循環だと思われるが、現在「貧栄養状態」
といわれているほど海水にリン・窒素といった「肥料」が少ない状態である。
リン・窒素は、光合成で作られる養分とは別に必要な養分である。
植物でいう、土から吸い上げる養分のようなものである。
そのため、植物プランクトンの光合成が活発化しても、窒素やリンが少ないため
思うように増殖しない。結局二酸化炭素が増えても、植物プランクトンの増加は期待できない。
(海洋生物によるCO2の固定 寺岡克哉参照)
また植物プランクトンの二酸化炭素の固定は、直接体に組み込むのではなく、
光合成をし、養分として組み込むため、一回一回の固定量は少ないが、
繰り返して固定を行うため、二酸化炭素の固定を支える重要な生物でもある。
もし数が減ってしまった場合、さらに海水の酸性化は進んでいく。
それだけではない。植物プランクトンは食物連鎖でも大きな役割を持っている。
生物は自分より弱いものを食べ、強いものがそれを食べるという「食物連鎖」
によって成り立っている。
実際では、植物の割合が圧倒的に多く、動物はほんの少しでしかない。
これを、今回注目している海洋の中の様子に当てはめてみる。
海の食物連鎖は、植物プランクトンを基盤として成り立っている。
植物プランクトンを動物プランクトンが食べ、それを大型の生物(魚など)が食べる、といった具合である。
生物が自分の体重の十倍の食物を食べるとするとして、
簡単な例を1つ挙げてみる。体重100kgのマグロには1tのイワシを食べる必要があるとする。
1tのイワシが生きていくには10tの動物プランクトンがいる。10tの動物プランクトンが
生きていくためには100tの植物プランクトンが必要になる。ではもし、
急激な変化で海洋酸性化が起きて、植物プランクトンの数が激減したらどうなるだろう。
植物プランクトンが100t分足りないとしたら、動物プランクトンは10t分生きていけず、
そのせいでイワシは1t分生きていけず、最終的には一匹のマグロが餓死をすることになる。
それがどの海洋生物にも起きたとき、海の中の生態系ピラミッドは底辺からゆっくりと崩壊し始める。
最後にはそれが地上にまで影響していき、全生態系のピラミッドの頂点いる人間にまで被害が及ぶことになる。
現在大量の二酸化炭素が人間によって排出されている。
その一部は海に溶け込んでいき、海水は酸性化する。
それによって二酸化炭素を固定してきた存在が死滅していく。
それは同じ海洋の生物から地上の生物の生態系にまで影響をもたらす。
生物の生態系が崩れていけば生態系の頂点に立つ人間にも必ず被害は及ぶ。
人間は地球すべてを巻き込んだ上で、自分たちの未来を壊しているのだ。
最終更新:2008年01月04日 19:44