6月;

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6月; - (2007/10/02 (火) 15:20:55) の編集履歴(バックアップ)


6-1、3日(HR)/教室


礼「えー、それでは皆さんの楽しみにしていた…テストの成績を返したいと思います。」

先生がそう言った途端に教室中からブーイングが聞こえ出す。

礼「はいはい、静かに!それじゃ名前を呼ぶから前にとりに来てください。…有栖川小兎!」
小「は、はい!」

名前を呼ぶから…と言っても、まあ呼ばれる順番は出席番号順になのだが。

小「うぅ~…はあ…」

出来が悪かったのだろうか、成績表を受け取り一瞬見た有栖川はタメ息を付きながら自分の席へと戻っていく。

小「…ちょっと、なに見てんのよ。」
主「べ、べっつにー…はは。」

成績表を受け取ったみんなの反応は、喜び、落胆と人それぞれだ。
俺はどうなんだろう…俺的には良く出来たと思うのだが…多分…。
う、うん、リヨさんにも勉強見てもらえたんだし…良い…はず、だよな…?

礼「○○●●!」
主「あ、はい!」

名前を呼ばれ成績表を取りに行く。
やっぱり結果を見るのは緊張するな…。
俺はゆっくりと成績表を開く。

!!!!!!!
やった!大分良い成績だぞ!

主「いよっしゃ!」

思いの他良い成績にガッツポーズをする。

礼「…以上です。成績の良かった人も悪かった人もいると思いますが、また次も頑張ってくださいね。」

―キーンコーンカーン

ちょうどそこでチャイムが鳴り、休み時間になった。
そうだ、成績のことリヨさんに伝えよう!
お世話になったし、お礼も兼ねて…

キョロキョロと周りを見渡してリヨさんを探すと、まだ自分の席についたままで成績表を見ていた。

主「リヨさん!」
リ「あ………。」

名前を呼び近づく。

主「有難う!」
リ「え、いえ…私は何も…」
主「こんな良い成績が取れたのもリヨさんのおかげだって!」
リ「そ、そんな…●●さんの実力ですよ…」
主「いやいや、俺普段こんな良い成績取れないもん。本当、リヨさんに頼んで正解だったよ!」
リ「えっと…」
主「本当に有難う!」
リ「いえ…お力になれたのなら…良かったです。」
主「なったなった!十分すぎるほどなった!…あ、リヨさんはどうだった?って、俺より全然良いんだろうけど…やっぱりまた1位?噂でリヨさん、ずっと1位だって聞いてるし…」
リ「私は…その…」

その時、少し離れたところでお喋りする声が聞こえた。

日「すごい!姉さん、1位とっちゃったの?」
暁「ふふ!」
日「姉さん頑張ってたもんなー…おめでとう。」
暁「ありがとう!」

会話内容に思わず振り向く。
日向くんと暁子ちゃんだ。
暁子ちゃんが1位だったって言うことは…

主「あ…」

またリヨさんに向き直すと、気まずそうに俯いていた。

主「あ、あの、ごめん…俺、一人で浮かれてて…!」
リ「いえ…成績が良いのは喜ぶべきことですし…」
主「や、でも…その、何て言うか…ごめん。」
リ「そんな…謝らないでください。」
主「でも、あれだよな…きっと、俺に教えてくれたりしてた所為で勉強時間減ったんだろうし…」
リ「いいえ、私の実力が足りなかった所為です…●●さんの気になさることではないですから…」
主「いや、リヨさんには実力あるよ!」
リ「本当に実力があれば、これくらいでは何ともありませんよ。」
主「でも………」
リ「少し、お手洗いに行ってきます。では…」
主「あ………」

行ってしまった。
なんで何も気付かずにあんな軽はずみな言動してしまったんだろう…
その後も上手くフォローできなかった自分が悔しい。



6-2、3日(昼休み)/掲示板


昼休みにはすでに掲示板に成績上位者の名前が張り出されていた。
この学校では各学年上位10位までの人が発表されることになっている。
掲示板の前は人でごった返していた。

2年の項目を見てみる。
やはりさっき教室でも聞いたように1位は暁子ちゃんだ。
リヨさんは…2位か…。

主「はあ…。」

俺にしてみれば2位でも全然凄いのだが、ずっとトップだった人からしてみればショックなのだろう…
思わずタメ息をはく俺の耳にやけに明るい声が聞こえてきた。

後輩「きゃー!すっごぉーい!生徒会長満点だってー!!」

まったく、人の気も知らずに…。
でも生徒会長…か…。

今年転入してきたばかりの俺はまだ生徒会長が誰なのか知らなかったりする。
ふと3年の項目を見てみた。

『1位 灰塚??  500点』

灰塚…?
そう言えば前にリヨさん、3年に姉がいるって言ってたよな…。
もしかして…

リ「あの、●●さん…」
主「ひっ!?」

考え込んでいると後ろから行き成り声が掛かった。
び、びっくりしたー…

まだドキドキいっている胸を押さえながら後ろを向いた。

リ「あ、あの…大丈夫ですか?」
主「何だ、リヨさんかぁ~…驚かさないでよ~…」
リ「す、すみません、そんなつもりではなく…」
主「あ、いや勝手にこっちが驚いただけだし…あ、で、どうしたの?何か用?」
リ「その…今朝のことで…あの、その…雰囲気を悪くしてしまい、申し訳ありませんでした…。」
主「え、あ!全然俺は気にしてないよ!!むしろ、俺の方こそ…」
リ「●●さんは少しも悪くありません。私が…」
主「あ、えっと………じゃあ、お相子ってことで…どうかな?」
リ「お相子…ですか?」
主「そ、お相子。どっちも悪くないってことで。」
リ「はあ…」
主「で、この話題終了。」
リ「……………。」
主「ね?」
リ「ふふ…そう、ですね…。」

その時リヨさんが一瞬だったけどはっきりと笑った。