**11、六月初め(休み時間)/教室 この前、垂髪が言っていた白雪の良くない噂と言うのが気になりながらも数日が過ぎた。 あいかわらず垂髪からも詳しいことは聞けなかったし、白雪もいつもと変わりなく過ごしている。 考えれば考えるほど気になって仕方がない。 何だかもやもやとしていて晴れない気分だ。 主「はぁ…。」 羽「ん?溜め息なんかついちゃって。どうかしたのか?」 主「羽生治…。」 日「何か悩み事でも?」 主「日向くんも…。ありがと二人とも。あー…でもなんでもないよ、うん。ただの寝不足!」 そこで聞けばよかったのかもしれないが、俺はとっさに隠してしまった。 きっと俺よりもずっとここでの学園生活が長く、白雪とも付き合いの長いであろう二人ならきっと何か知っているとは思う。 やっぱり聞いておけば良かったか…。 が、しかし、良い噂ならともかく悪い噂となれば聞き辛い。 それに、多少ではあるが好意を持っている子のことだし、聞いた後に後悔するなんてこともないとは言い切れない。 いや、だからこそ聞いておいた方が良いのか…。 聞く→12へ 聞かない→13へ ----------------------------------------------------------- **12、聞く よし、やっぱり聞いてみることにしよう。 …でも、聞くにしても良くない噂となると人前じゃ聞きづらいな…。 後でどちらかにこっそりと聞こう。 どっちから聞こうか? 羽生治→14へ 日向→15へ ------------------------------------------------- **13、聞かない …やっぱりやめておこう。 所詮噂だ、真実とは限らない。 と言うか噂なんて尾鰭が付いて真実とかけ離れてしまっていることがほとんどだ。 下手に聞いて気にするよりも、何も聞かずに今までのままでいるのが一番だろう。 もう噂のことは忘れることにしよう。 ----------------------------------------------------- **14、羽生治 ここはやはり情報通の羽生治だな。 (放課後) ―キーンコーンカーン。 授業も全て終わって、みんな帰り支度や部活動の準備をしたりしている。 ざわざわとした教室の中、羽生治も例に漏れず帰り支度をしていた。 主「羽生治ー!今日一緒に帰んない?」 羽「おう、ちょっと待ってろよー。」 鞄にいろいろと自分の調べたデータ集であろう紙を入れている。 …教科書類は一冊も入っていない。置き勉主義か。 白「あの…●●くん…」 そんなことを考えていると、ふと後ろから声をかけられた。 振り向くとそこに白雪がいた。 主「あ…どうかした?」 白「あの、今日良かったら一緒に帰りましょう。」 主「え!?」 帰る→16へ 帰らない→17へ ---------------------------------------------------- **15、日向 -------------------------------------------------- **16、帰る ------------------------------------------------------ **17、帰らない いつもなら嬉しいんだが、もう自分から羽生治を誘った後だし、噂のことも知りたいし…。 主「ごめん、実は羽生治と帰る約束しちゃっててー…」 白「え、あ…。」 主「悪い、また今度…。」 白「あの、えっと、●●くんは鉄野くんと仲が良いんですか…?」 主「え、ああ、まぁね。」 白「…そうですか。」 主「えっと…」 白「あ、ごめんなさい!今日はタイミングが悪かったんですね!また今度一緒に帰りましょう!」 主「うん、また今度。」 白「それじゃ…」 手を振ると白雪は行ってしまった。 羽「あーあ、勿体無い。俺なら別に良いのに。」 主「や、良いんだってば!誘ったの俺の方だし。」 羽「ふぅん。ま、それじゃ帰りますか。」 (帰り道) 学校からもずいぶん離れて周りから人気も引いた頃、意を決して例のことを聞いてみることにした。 主「なぁ…。」 羽「んー?」 主「あのさ、この前白雪…あ、上城さんに良くない噂があるって聞いてさぁ…。」 羽「それって誰に?」 主「え、あ、まあ、ちょっと…」 羽「…………。」 主「どうかした?」 羽「…いや、何でもない。って、何?お前ってやっぱり上城のこと好きなの!?」 主「え!?…いや、まぁ…好きーとまではいかなくても気になるといいますか…」 羽「ははは、照れんなって!そー言うことね、把握把握っと。」 主「…で、実際どうなのさ。」 羽「うーん、やっぱ良くない噂ってーとアレかねぇ…。」 主「あ、やっぱりあるんだ…。」 羽「いや、でも特に気にしなくて良いと思うんだけどなあ。」 主「どうゆうこと?」 羽「んー、お前が転校してくる前な、上城と先生が付き合ってるらしいって噂が一時期流れててさあ…。」 主「え、先生って…。」 羽「うちの担任の青木。」 主「……………。」 確かにうちの担任は若いし見た目も悪くないし性格も良いし…。 羽「ま、落ち込むなって!何にも証拠とかないし、最近はお前と仲良いからやっぱりデマだったんだろうってことになってるから。」 主「え、そうなの?」 羽「そうそ。ま、よくありがちなただの色恋沙汰の噂だろ。どっから湧いて出た噂だか知らないけど、上城って可愛いけど大人しいと言うか…あんまり目立たないし。その手の噂の標的にされるやすいタイプだもんなー。」 主「そう言うもんかぁ?」 羽「そう言うもんだって!」 主「…そっか、うん。そう言うもんだよな!」 羽「ま、お兄さんが応援してあげましょう。今度なんか上城の情報入ったら教えてやるよ。」 主「!!さすが羽生治様。」 羽「ははは、まあ恩に着るが良いさ。」 そっか…垂髪って、単純そうだもんな。きっと噂を鵜呑みにしてたんだろう。 それになんだかんだ言ってあいつ良い奴だし、俺のためを思ってのことだったんだろうなー。 ま、気にしなくて良いみたいだし、すっきりした。 羽生治に聞いてみて良かった。 →18へ ----------------------------------------------------