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郵送03 (11)「決勝トーナメント最終結果」


[94/8/11] ロボット集+α Vol.3  決勝トーナメント


<決勝トーナメント>


場所はASPHALTとなりました。



VEGETABL(Oh!Fuji) vs BLASTER(かっきー)
(出現位置の左右はこの表記と同じ)

 梅雨あけの早かった平成6年の夏。地面をを照り付ける灼熱の太陽
の下、R.C.コロシアムの中では一番北に位置するアスファルト闘技
場で1回戦第1試合が行なわれようとしていた。予選首位通過の
VEGETABLは、既に入り口ゲートに待機していた。造られて間もないか
らか、強い日差しを反射して輝いている単色の塗装が美しい。もうひ
とつのゲートが開き、樺色の無限起動を静かに滑らせながらBLASTERが
フィールドに入ってきた。ちょうど今、このアスファルト闘技場の解
説ブースから右にみえる車検場で、次の試合の29-GUTS7とKR-20A2の姿
が見える。

 試合開始時刻が間近に迫って来た。2体のロボットがゆっくりをス
タート位置に付く。正面のインフォーメションボードにレッドのシグ
ナル。グリーン。BLASTERは駆動音を唸らせながら、1HEX右前に移動し
た。VEGETABLは右に転回、後方移動。その瞬間を捉えたBLASTERのマシ
ンガンが火を吐き、VEGETABLもレーザーを打ち込む。が、その時、マ
シンガンで相手のダメージを確認したBLASTERは90%レーザーを発射!
VEGETABLは90%以上の損傷を負いながら、回避運動。BLASTERの損傷は
約7割。
 ひたすら動かないBLASTERに観客のブーイングが起きた。同コンスト
ラクターの前回のロボットが好評であっただけに期待していたファン
が苛々している様子。VEGETABLもチャージ中の為、動きを止めていた。
ソーラーのチャージ中も動くべきかと言う話題はR.C.ファンの間で
今なお熱く議論されている。チャージ完了、VEGETABL索敵開始。
BLASTERを発見、極太を打ち込む。が、同時に食らったマシンガンでド
ローゲーム。固唾を呑んで見守っていた観客の溜め息が漏れた。

 第3回規定により、舞台をフォレストに移しての再スタート。
BLASTERは後方に移動、中央上部で待機。VEGETABLは後ろ向きにホバー
をふかし、中継室から見て左手前に移動。VEGETABLは、BLASTERを発
見、障害物を関知、索敵移動、の永久ループにはまり込んだ。コンス
トラクターOh!Fujiの苦い表情が国際映像に映る。一方の
BLASTERはまったく動かない。そのままタイムアップ、またしてもド
ローとなる。次もドローの場合、規定によりBLASTERの負けとなる。

 3試合目は駐車場の南側にある砂漠闘技場で行なわれた。最後の試
合であるこの勝負がドローに終わっても勝負は着いてしまう。BLASTER
には後が無い。コンストラクターかっきーは最後の勝負に向けてマシ
ンのメインテナンスに余念が無い。一方VEGETABLは、プログラムの変
更は禁止されているため、当然そのまま出場。その為か、コンストラ
クターOh!Fujiはメカニックと共に何もせず、ピットの日陰で
沈黙してスタートを待っている。

 メインテナンスを終えたBLASTERがスタートポジションに付いた。
VEGETABLも僅かに遅れてポジションに。シグナルグリーン。BLASTERの
キャタピラが砂を飛ばし、アスファルトと同じ動きを見せる。お互い
を捉え、激しい攻撃!VEGETABLはBLASTERのマシンガンを食らって激し
く燃えながらも、極太レーザーを発射!BLASTERも、90%レーザーを発
射!しかし、VEGETABLがこれを見事に回避!!一瞬の機運が明暗を分
けるか。VEGETABLのイエローの機体が激しく燃えている。炎が消える
のと同時にVEGETABLのチャージが完了し、再び索敵を開始。BLASTERの
前に後方から飛び出す。再び激しい攻撃。VEGETABLの極太がBLASTERの
装甲を貫き、1'08、BLASTERは木端微塵となった。遂にVEGETABLが2回
戦進出を決めた。



29-GUTS7(29型TV) vs KR-20A2(KOO)

 隣の駐車場から壁をつたって観客席に絡まって登るアイビーの葉が、
真夏の日差しのなか、風に揺れていた。現在の気温38度。今年の名
古屋での最高気温で、過去30年の記録を塗り替える熱さ。超満員の
観客達の額に滲む汗を風が冷ましていた。
 1回戦第2試合は再びアスファルト。ここから見て正面右に以前の
試合で破壊されてしまった6角柱コンクリートの補修痕が真新しい。
最新のテクノロジーで設計されたR.C.コロシアムも最近のレーザー
使用のエスカレートで遂に補修が必要となった。何物にも絶対など無
いと思い知らされた出来事だった。

 先程の砂漠の試合中に平成6年度規格1.1の車検をクリアしてして来
た2体のロボットは、他のリーグの出場経験も豊富で場馴れしている
為か、既に入場位置に待機して試合開始を待っていた。
 「過去の対戦成績は4勝2敗0分で29-GUTS7有利」アナウンスに従っ
て2体が入場。KR-20A2は4輪の素晴らしいスピードでスタートポジショ
ンに付いた。遅れて29-GUTS7。シグナルグリーン。29-GUTS7、闘技場
中心を向いて、そのまま後退。KR-20A2は4輪の機動性を活かして素晴
らしい速度で前進する。29-GUTS7がKR-20A2を捕捉した瞬間、KR-20A2
もそれを感知、一気に5HEX後退した。が、そこがちょうど29-GUTS7の
左正面。KR-20A2にスパークを浴びせる。KR-20A2もレーザーで応戦、
極太を閃かす。相手を定位を確認した29-GUTS7がKR-20A2目掛けて極太
を放つが、KR-20A2はこれを受け流した。KR-20A2は29-GUTS7のスパー
クを食らって燃えている。KR-20A2はチャージしながら1歩ずつ移動。
再び射軸が合い、KR-20A2のチャージがそこで丁度完了。29-GUTS7はス
パークでKR-20A2を攻撃するも、2度目の極太レーザーにとどめをささ
れた。2'13、KR-20A2が29-GUTS7を下す。アスファルトに散った29-GUTS7
の黒煙が、空に溶けていた。



LEE-007A(LEE) vs R-TANK21(AIN)

 29-GUTS7の破片の回収作業が行なわれているアスファルト闘技場に
2体のロボットが待機していた。橙に朽ち葉のLEE-007A、紅白のR-TANK21。
クローラー、レーザーを共に装備している。2年以上の経験を積んだ
オフィシャルのみが国際大会のオフィシャルとして起用される。照り
付ける日差しも多少西に傾きつつあるが、まだまだ気温は下がらない。
オフィシャルはイエローのスーツで汗だくになって回収作業を続けて
いた。最後のパーツが回収された後、3台の黄黒に塗られた清掃車が
コロシアムを丁寧に拭っている。コロシアム完成当時のエレクトリッ
クシープの清掃車に替わり、常木、北条、北御門の3氏に寄贈された
清掃車が今は日常的に使われている。いつもはこの裏の森での観客の
歓声が聞こえてくるのだが、今日は決勝戦。試合は同時に消化される
事はないため、観客のほとんどはここに集まっていた。
 清掃が終わり、2体が入場して来た。予選順位が上のLEE-007Aの方
が若干人気があるようだ。観客席では「LEE」や「AIN」と書か
れた手製の旗が振られている。

 シグナルがグリーンに変わり、R-TANK21は1HEXずつ前進。LEE-007A
は停止したまま。R-TANK21がさらに前進し、LEE-007Aの左斜め前に出
る。R-TANK21はLEE-007Aを感知し後退回避しようとするが、わずかな
差でミサイルを食らってしまう。お互いに相手を探りあうかのような
動き。両者共に発見、LEE-007Aがミサイルを発射。R-TANK21は極太レー
ザーをLEE-007Aに打ち込み、回避行動を開始するが、ぎりぎりで
LEE-007Aのとどめのレーザーを食らってしまった。LEE-007Aが2回戦
進出を決める。



PISTER3(はた) vs TITAN-RZ(高原 桂)

 第1回戦最後の試合となった。東に向かってのびはじめた左の観客
席の影がコンストラクターはたのPISTER3を覆い、濃いグリーンを黒っ
ぽく見せていた。右の入り口で待機していたTITAN-RZの鮮やかなブルー
の機体にアトミックとキャノンが色を添えていた。右手には頭にタオ
ルをかぶったりしながら暑さを凌いでいる観客達が揺らめいていた。

 アナウンスの声が響き、PISTER3は素晴らしいスピードで、TITAN-RZ
は6足の駆動音を響かせながら入場してきた。ボードのシグナルにグ
リーンが灯る。PISTER3は1HEX前進、180度反転して北に向かう。
TITAN-RZはくるくるとボディを回転させながら辺りを伺う。TITAN-RZ
のこの動作がなかなか人気らしく、観客席にもファンが多いようだ。
TITAN-RZがPISTER3を発見、キャノンを連射!PISTER3はこれをかわし
た!今度はPISTER3がTITAN-RZを発見、振り返って間をつめる。TITAN-RZ
もすかさずキャノンで応戦するが、盾に阻まれる。TITAN-RZはさらに
アトミックを発射!もろに食らったPISTER3のレーザーは、付け根から
もげてしまう!しかしその瞬間PISTER3は盾を捨て、TITAN-RZのブルー
のボディにパンチをめり込ませる!装甲を突き破るPISTER3のナックル!
爆発!2'42、左腕のもげたPISTER3がTITAN-RZの爆発の中から姿を現し
た。TITAN-RZ惜敗。



★★ VEGETABL(Oh!Fuji) vs KR-20A2(KOO)

 2回戦第1試合はフォレスト。ここフォレスト闘技場はアスファル
トやデザートと違い、北側と南側に観客席があるため、報道用のブー
スは南側席の上に位置する。そのため、ここでは他より若干俯瞰ぎみ
に試合を観る事になる。いつもは横から眺めているから気付きにくい
が、4輪の機体は上から見ると意外に大きい。植え込まれた広葉樹か
ら木漏れ日がちらつく。電光掲示板に過去の対戦成績、装備などが表
示されていた。アナウンスと同時に2体のロボットがスタートを静か
に構えた。シグナルグリーン!KR-20A2は木の間をするすると前に進む。
木の向こうにVEGETABLを発見、転回し後退、体勢を整える。そこで再
びVEGETABLを発見、極太レーザーを発射!しかし、特殊素材で覆われ
た木に命中し、吸収される。後退しながら索敵するVEGETABL。軸があ
うたび逃げるKR-20A2。ここで、KR-20A2がチャージ完了、索敵開始。
発見!KR-20A2はVEGETABLにレーザー!VEGETABLもレーザーで応戦!電
光掲示板に表示されるダメージはVEGETABLの方が大きい!観客からざ
わめき!両者は一旦離れた。
 KR-20A2は再びチャージ完了、VEGETABLを追う。VEGETABLはホバーで
燃費が悪く、まだチャージが終わっていない!KR-20A2が追う!VEGETABL
を激しく追う!捉えた!KR-20A2は極太レーザーを発射!VEGETABLこれ
をかわす!!チャージが出来ていないため、お互いに発見しあっては
逃げまくる。遂にタイムアップ!好燃費で純度の高いレーザーを決め
たKR-20A2の判定勝ち。予選では圧倒的な勝率を誇ったVEGETABLも、
10秒ルール順守のKR-20A2に敗れた。



★★ LEE-007A(LEE) vs PISTER3(はた)

 戦いは再びアスファルト闘技場に戻る。2回戦ともなると観客は超
満員で、正面のフェンスにも人が群がっていた。砂漠闘技場では第1
回のBLASTERの跡をオフィシャルが均していた。この勝負を制したロ
ボットがKR-20A2の相手となる。待ちきれない観客の騒ぎの中、2体の
ロボットが入場ゲートに現れ、LEE-007Aはキャタピラの波をアスファ
ルトに響かせながら、PISTER3は疾風迅雷に、スタートポジションに着
いた。グリーンのランプが掲示板の漆黒に反射した。試合開始。PISTER3
は前進右を向いて待機した。LEE-007Aは動かない。PISTER3は更に前進
し、LEE-007Aの左前に出くわした。LEE-007AはミサイルでPISTER3を狙
うが、前に出て避けられる。PISTER3は旋回して軸をずらしたまま
LEE-007Aの方を向く。LEE-007Aは前進し、PISTER3の側面を捉えるが、
またしてもかわされる。PISTER3は移動し、振り返ってLEE-007Aのバッ
クを取った。LEE-007Aもすかさず振り返る。PISTER3はパンチを繰りだ
すが、一瞬早くLEE-007Aが放った極太レーザーでPISTER3を潰えし、決
勝進出を決めた。



★★★ LEE-007A(LEE) vs KR-20A2(KOO)

 決勝トーナメントも最終決戦となった。選ばれた地形はフォレスト。
始まった時は強い日差しを放っていた太陽も、大きく西に傾いていた。
観客席から溢れる人々。ピットに詰め掛けた中継のカメラ。丁度砂漠
の観客席の裏に位置するコンストラクターKOOのピットにはフラン
スの局の美人アナがフレンチイントーネーションのたどたどしい日本
語でKOOにインタビューしていた。一方、LEEのピットでは
LEE-007Aがアルミ色のカバーを半分掛けたまま、メインテナンスが行
なわれていた。

 電光掲示板に2体の情報が浮かび上がり、アナウンスが最後の時を
告げた。「過去の対戦成績は0勝2敗0分けでLEE-007A不利。平均試
合時間は...」
 入場を地面の高さから捉える国際映像が、逆光に蹶然と聳える
LEE-007Aを映しだす。翼々とスタートポジションに着く、2体の影。
暫しの沈黙。4つずつ灯いている赤のランプがグリーンに変わる。今、
最強を賭けての戦いが滑り出した。KR-20A2のモーターが唸り、前進
右転回前進。LEE-007Aを森越しに捕捉し、方向を改め、後退。そこを
LEE-007Aのミサイルが襲う!KR-20A2は難無くかわし、前進。が、そこ
が丁度LEE-007Aの前。LEE-007Aのミサイルが火を吹く!命中。KR-20A2
もレーザーを打ち返す!続いてLEE-007Aの切り札の90%レーザーが
KR-20A2に向かって発射された!KR-20A2は既に回避運動に入っている!
が、剃刀一枚の差でKR-20A2を捉える!!KR-20A2を爆発が包みはじめ
た。2'47、機会を制したLEE-007Aがルール1.1初の優勝をもぎ取った。

 すべての試合が終わり、オフィシャルたちは緊張もとけたのか、開
放感にひたっている。アスファルトとフォレストの間、サルスベリの
咲き乱れる駐車場寄りにある報道用の表彰台。その頂点に今、LEE
が立った。主催のエレクトリックシープ代表から贈られるトロフィ。
天にトロフィをかざすと、空気を割る洪水のような拍手がLEEを包
んだ。表彰台の下でLEE-007Aが夕日の長い影を落としている。夏の一
日が終わる。LEEの旗が観客席に舞っている。




    <第3回郵送ロボットバトル大会最終結果>





優勝  LEE-007A  LEE
準優勝 KR-20A2   KOO
 3. VEGETABL  Oh!Fuji
 3. PISTER3   はた
 5. BLASTER   かっきー
 5. R-TANK21  AIN
 5. 29-GUTS7  29型TV
 5. TITAN-RZ  高原 桂


最終更新:2022年02月03日 23:06
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