[96/3/13] ロボット集+α Vol.7 決勝トーナメント
トーナメントの組み合わせは決勝進出の8体をリーグに残し、メニ
ューからオートトーナメントを選ぶ、という方法でおこないました。
なお、引き分けた場合は、最初の4試合の後、ランダムに選んだ他
のマップで再試合を行い、どちらかが勝つまで続けます。以降の試合
のマップは、すべてランダムに任せます。
★ PENPEN01(頼田 俊哲) vs .CTION/3(Sky Net Lab (歪王))
2 POW ENG 6 SHL MIS
(出現位置の左右はこの表記と同じ)
決勝戦開始は2月12日午後6時5分、建国記念の日の振替休日。
場所は数多くのロボットの残骸の眠るDESERT。ELECTRIC SHEEPのXVI
の仮想空間での、しかし実際の出来事の記録である。
PENPEN01と.CTION/3。試合前に表示される過去の対戦成績は、全てゼ
ロ。過去の100試合には、まったく接触がなかったらしい。めずら
しいことだが、時にはこういうこともある。R.C.の乱数が悪戯好き
なのは、既によく知られた事だ。乱数を味方に付けるロボット、乱数
に運命の糸を断たれるロボット。過去にも多くの決勝トーナメントに
乱数は絡んできた。.CTION/3は、そのプログラムに乱数を取り入れ続
けている歪王の最新機である。7回目の決勝戦を始めるべく、マウス
はクリックされた。
試合開始直後1HEX後退した.CTION/3は、前進して左右を確認する
PENPEN01にミサイルを放った。この最初の贈り物は、しっかり彼/彼
女に届けられた。武器までは奪わなかったのは、.CTION/3の余裕か、
それとも乱数を操るためか。ダッシュして.CTION/3の方に向き直り、
射軸をずらしたまま1歩1歩近づくPENPEN01。そのまま、.CTION/3の
正面に出る。.CTION/3の方に転回、その間にミサイルを食らう。
PENPEN01、パワーアームを.CTION/3にめり込ませる。が、.CTION/3は
1HEX後退し、パワーアームの連続攻撃をかわし、さらにミサイル
で報復する。追うPENPEN01。更に後退してミサイルを放つ.CTION/3。
画面に赤が散る。
ストレートなロボットであるPENPEN01は、ミサイルと共に昇天した。
2'47"を残して終わった短い試合が、長いトーナメントの幕を開ける
ことになった。
★ BLUEJEAN(電人工房(としぞう)) vs ZZ-COMM(H.O)
6 POW MIS 4 POW MIN
1回戦の第2試合。砂漠と言う、ZZ-COMMには最悪のコンディション
だが、こういうことは常にあり得ることだ。その不幸に追い撃ちをか
けるように過去の対戦成績はBLUEJEANの有利を告げているが、もとも
とどちらかはここで脱落する、それだけのことだ。コロシアムには人
生と等しく、希望も絶望ある。
砂漠のテーマ曲をバックに、試合は始まった。前方に走行する
ZZ-COMMにBLUEJEANはミサイルを放つが、ZZ-COMMには当たらない。回
避行動を取ったBLUEJEANの射軸上にZZ-COMMを発見、ミサイル。当た
らない。これで計2発は無駄に終わった。
前進するZZ-COMMの正面にBLUEJEAN。3発目のミサイルは、ZZ-COMMの
シールドを破壊、更に発火する。避けられない不幸もあるという見本
のようだ。方向転換して回避するZZ-COMMは、またしてもBLUEJEANの
射軸上。ミサイルが容赦無くダメージを与える。回避した先に、ミサ
イル。更に回避した先に、またもやミサイル。2'35" ZZ-COMMは何の
手出しも出来ないまま終わった。
どこかにはこういう人生もあるのだろうと思う。避けられない不幸。
ロボットの運命ではあるけれども、私はディスプレイを通してそれを
傍観している。H.Oには幸福を、などと祈るのは幻想だと思いつつも。
★ HIYOKO2(KEIICHI (B.I.R.D.)) vs SPINNER(かっきー)
6 SHL MIS H CAN ENG
極めて武器にたいして即物的なロボットと、ソフトでハードの差を乗
り越えようとするロボットの対決となった。SPINNERは試合開始直後、
何HEXか後退する。それを狙って放たれ、外れるHIYOKO2のミサイル。
今まで何度と無くここで繰り返されたであろう、R.C.の日常的な光
景である。その後、ゆっくりと左回りにHIYOKO2の方を向くSPINNER。
気配でも感じ取ったのだろうか。
壁を3HEX向こうに感じ取ったSPINNERは、下向きに方向を変える。
そこにHIYOKO2が現れる。HIYOKO2はすかさずミサイルを撃つが、既に
かっきーのロボットはいない。これもまた日常的な光景と言えるだろう。
キャノンを撃ち、前進するSPINNER。そこはちょうどHIYOKO2の射軸な
のだが、そのレスポンスの良いプログラムによって、SPINNERは難無
くかわす。HIYOKO2は1HEX後退。SPINNER前進。またしても同じよ
うにミサイルをかわす。その動作によってお互いの間合いが開いたた
め、忙しく動く2体。
SPINNERはキャノンを撃って、前進。HIYOKO2に近付いて行く。HIYOKO2
のミサイルは残り4発。後退したHIYOKO2はSPINNERを発見、ミサイル
発射。既にSPINNERはいない。あと3発。
6 SHL MISと言うのは1.2に於いて相当強力な機体ではあるが、SPINNER
のプログラムの前ではそのストレートな戦術は用をなさない。SPINNER
がHIYOKO2の前に出る。ミサイルは外れる。また出る。当たらない。
HIYOKO2のミサイルはあと1発になってしまった。
距離が近いためか、SPINNERは後退する。残り1分。このまま引き分
けるのか。このまま引き分け続ければ、SPINNERの苦手な森に持ち込
むことが出来る。
今度はSPINNERの正面に出たHIYOKO2。SPINNERはキャノンを一発だけ
撃つ。HIYOKO2は最後のミサイルを放つが、あたらない。これが命取
りになる。ミサイルの硬直時間内に到達したキャノンが、HIYOKO2の
シールドを破る。しかもダメージ。
残り30秒。相手を探しながら移動する2体。逃げる途中にもう一発
キャノンを食らってしまうHIYOKO2。そのまま試合は終了した。
SPINNERは判定勝ち。特に、今回の人気武器であるミサイルに対して
は完璧な動きである。
★ SAKO-32(後迫浩一) vs BYKATIYO(K.O.さっちゃん)
C SHL MIS 6 LSR MIS
1回戦最後の試合はSAKO-32対BYKATIYO。過去の成績からすれば、ど
ちらにも勝機はある。
試合開始。SAKO-32は3HEX後退する。そこを狙うBYKATIYOのミサ
イル。やはり外れる。こうして日常の光景は繰り返されるのだった。
方向転換して画面上を向き、徐々に下がるBYKATIYO。その正面に、
段々近付いてくるSAKO-32。お互いに発見し、打ち合う。打ち続ける
SAKO-32に対して、回避するBYKATIYO。シールドを持っているものと
レーザーを装備しているものの差だから、これは正しい。今度は右下
を向いて後退するBYKATIYO。この時、BYKATIYOが炎上しているのが明
らかになった。SAKO-32はシールドの力で、ノーダメージ。ふたたび
射軸が合い、打ち合う。先程と全く同じ結果。お互いにミサイルを撃
ち、SAKO-32はシールドがこれを防ぎ、BYKATIYOは被弾/炎上し、そ
の後回避する、ということだ。
ついに最後のコミュニケーションが起きる。打ち合い、SAKO-32のミ
サイルがBYKATIYOを捉え、BYKATIYOは砂漠に散った。
★★ .CTION/3(Sky Net Lab (歪王)) vs BLUEJEAN(電人工房(としぞう))
6 SHL MIS 6 POW MIS
こういうのをめぐり合わせというのだろうか。ある種似通った部分を
持つ2体である。.CTION/3はバックで右下に進み、そこで振り返る。
その後、BLUEJEANも画面中央に鏡を立てたようにバックで左下の
HEXに進み、振り返る。.CTION/3はそこから1HEX後退する。
BLUEJEANは潔く前進。ただし、後ろを向いて。.CTION/3を発見して振
り向くBLUEJEANの目の前には、既にミサイルがあった。1発報復して
回避するBLUEJEAN。しかし、シールドを持ち連射するものの前にこの
行動は不利となる。結果、2発被弾したBLUEJEAN。.CTION/3は
ノーダメージ。
お互いに同時に移動した先で出会う2体のロボット。一瞬先に
.CTION/3の放ったミサイルが、BLUEJEANのパワーアームをもいだ。空
しく地面に転がるイエローグリーンのパワーアーム。後退してミサイ
ルを撃つ.CTION/3。BLUEJEANもミサイルを撃つ。が直後に被弾、爆破。
.CTION/3はさらにシールドで耐えている。画面中央で、鮮烈な爆発を
繰り広げるBLUEJEAN。.CTION/3は戦術において一枚上手という印象を
持った。
★★ SAKO-32(後迫浩一) vs SPINNER(かっきー)
C SHL MIS H CAN ENG
この試合の前に他の仕事が入り、一時中断。結局そのまま続けること
が出来ず、今は翌日の午後7時47分である。
マップを砂漠にセット。左右の出現位置が同じことを確認して、精神
をコロシアムに戻す。試合開始。
同時にスタート位置に付く2体。2体共何HEXか後退する。
SPINNERの方が1HEX後ろだ。2体とも、右下を向く。SAKO-32が前
進し、SPINNERの射軸に交わる。すかさずSPINNERはかわす。
SPINNERがSAKO-32を発見、素早く身を翻す。逃げた先でまた遭遇する
が、一足早く身を隠すSPINNER。その後、SPINNERはSAKO-32の正面に
飛び出す。しかし、難無くSAKO-32のミサイルをかわす。SAKO-32は前
進してくる。またSAKO-32の正面に、今度は3HEXで飛び出すが、
やはりかわす。近付き過ぎたと思ったか、SAKO-32はバック。そこに
SPINNERが出るが、またもや当たらない。お互いに前後しながら何度
か同じことが繰り返される。SAKO-32のミサイルは最後の一発となる。
今度はタイミングのずれから今までに無い2HEXの距離からの発射。
しかし、これもかわされる。1'18" SAKO-32はすべてのミサイルを使
い果たした。もっとも、シールドの下にはナックルを持っているのだが。
ミサイルを使い果たしたSAKO-32は、今度は前進してくる。SPINNERの
正面。キャノンを放って離脱するSPINNER。SAKO-32、ダメージ!猛烈
にパンチを繰り返すSAKO-32。しかしその前はただ砂漠が広がってい
るだけだ。前進するSAKO-32。そこはSPINNERの正面で、またもやキャ
ノンを食らう。SAKO-32のパンチが空中をもがく。何度も。SPINNERは
キャノンをめくら撃ちして後退。そこにSAKO-32が来る。もう一発
キャノンを放ち、左後ろにかわすSPINNER。SAKO-32も距離を感知して
左後ろにかわす。この判断は正しいのだが、SPINNERは数段上を行く。
またSPINNERの前に飛び出すSAKO-32。キャノンを食らい、逃げ、そし
て前進してまた撃たれる。もうダメージはナックル一発分にもなって
しまった。これを繰り返しつつも、残り1秒でチャンスが訪れる。
SPINNERに気付かれずに1HEXまでついに接近!唸るSAKO-32のナッ
クル!だが!やはりそこにSPINNERの姿はなかった。
タイムアップ。画面上でSAKO-32はピットに引き上げてゆくように見
えた。
★★★ .CTION/3(Sky Net Lab (歪王)) vs SPINNER(かっきー)
6 SHL MIS H CAN ENG
かつてからミサイルを愛用して来た歪王は、1.2から急増して来たミ
サイラーを退けた。それを待ち受けるのは、完璧とも言える逃げのプ
ログラミングで、出場のほとんどを入賞して来たかっきー。この試合
の後には1体の優勝ロボットがあるのみ。
第7回R.C.郵送大会最後の試合は、今静かに動き出す。.CTION/3は
左下に移動、SPINNERを待ち構える。SPINNERはいつも通り上に逃げ、
既に危険域を離脱している。今回は29型TVのロボットのようにこ
こにスパークを撃ってくるロボットがいないから、これはかなり有効
であると言えるだろう。一度お互いに発見するが、激しく動きながら
画面下に向かう.CTION/3。SPINNERは左下を向きながら、そのまま前
進する。索敵範囲内に入るつもりだろう。SPINNERが.CTION/3の正面
に向かっている。このまま行くと、5HEXで.CTION/3の正面に入り、
いくらすぐにかわしても間に合わないのではないか。SPINNERがその
HEXに入る。しかし、.CTION/3も近付こうとしていたため、その隙
にSPINNERは逃げてしまった。体勢を立て直す2体。射軸の延長線は
互いに交わっている。最近のロボットの間合いの取り方だ。この裏を
かいて29型TVは優勝したのだが、その戦術の印象が強すぎて真似
のように思われるからか、まだ一般化していない。それによって
R.C.は1世代先の戦いを垣間見たのだが、まだその時代には早かっ
たようだ。しかし、このSPINNERの存在によってふたたび脚光を浴び
るのではないか。
キャノンを打ちつつ下がるSPINNER。.CTION/3はその射軸上に近付い
ていってしまう。SPINNERの思う壺だ。.CTION/3が出る!キャノンを
放って逃げるSPINNER。キャノンが.CTION/3に向かう。移動中の
.CTION/3。キャノンが当たる!運命を分ける一瞬か。と思いきやぎり
ぎりでシールドがこれを防いだ。2'09" 以前として両者ノーダメージ。
キャノンを撃って前進するSPINNER。今度は.CTION/3の正面に出る!
.CTION/3、絶好の機会。しかし、なぜか.CTION/3は攻撃せずに身を翻
す。ファジー回路がたまたま回避を選んだのだろうか。射軸が2
HEXでずれたままお互いに右上に向かって移動を続ける。突然、上
に進路を変更する.CTION/3。これでSPINNERの正面に向かうことに
なってしまった。ついに正面に出る!SPINNER、キャノン発射。回避。
.CTION/3気付いて今度は後退する。間に合うか!?すれすれでかわさ
れたキャノンは壁に当たって爆発。回避行動の後、SPINNERの回避先を
狙う.CTION/3。しかし、「離脱からの離脱」が速いかっきーのプログ
ラム、すでに安全圏に逃げている。しかし、また向かい合っている。
接触!逃げるSPINNER。移動を終え、振り返ってミサイルで的を狙う
.CTION/3。当たらない。1HEXおいて向かい合う2体。共に後退する。
残すところ1分。ついに一発、.CTION/3はぎりぎりでSPINNERのキャ
ノンを食らってしまった。今度はSPINNERが近距離で.CTION/3の前に
飛び出す。ミサイル!しかし、恐るべきレスポンスでこれをかわして
しまう!のこり20秒。ミサイルで狙うも、SPINNERは捉まらない。
1HEXずれてにらみ合う2体。かっきー2度目の優勝は目前。
ついに残り1秒。.CTION/3はバックで、なぜか突如2HEX後退。
SPINNER、予想外の動きを感知したのか、.CTION/3の横をすり抜けて
画面上に向かう。しかし、電光石火で振り向いた.CTION/3のミサイル
がラスト0秒でSPINNERを捉える!炸裂するミサイルの火花!!
SPINNERの象徴とも言えるエナジータンクがもげ、砂漠に転がって破
裂した。
画面にはTIME UP!.CTION/3 WONの表示。ラスト0秒の逆転。奇跡は誰
にでも一度は起きる、とでも言うのだろうか。
.CTION/3の特徴の一つであるファジーさが効いたのだろうか。それと
も、みかスペシャル(Vol.6 事典参照)だったのか。確かに6足の後
退速度と回転速度をいかせる有効な技だ。
みかスペシャルはSky Net Labのみかがあみ出した技である。それを
受け継いでかっきーのプログラムを破ったなら、チームの勝利という
べきだろう。
もっとも、重要なのはこの場面でそれが有効だったということだ。
SPINNERの回避プログラムよりも速く攻撃することの出来た.CTION/3。
最後まで取っておいた切り札が、奇跡の逆転を産み、地味な展開の多
かった第7回決勝にふさわしい名勝負となった。
.CTION/3は1996年2月13日21時09分、R.C.1.2初の大会で、頂点に立
つ。
<第7回郵送ロボットバトル大会最終結果>
優勝 .CTION/3 Sky Net Lab (歪王)
準優勝 SPINNER かっきー
3. BLUEJEAN 電人工房(としぞう)
3. SAKO-32 後迫浩一
5. HIYOKO2 KEIICHI (B.I.R.D.)
5. ZZ-COMM H.O
5. PENPEN01 頼田 俊哲
5. BYKATIYO K.O.さっちゃん
最終更新:2022年11月01日 06:41